ーパワプロー (6)
~プロローグ~
4月…まだ冬の寒い風が部屋の窓から吹き付ける中1人の少年が目を覚ます。
髪は真っ黒く短髪で体型はやや細めに見えるがしっかりとした筋肉がついていて優しい顔立ちをしていた。
ー小波沢 大和ー
この少年の名前だ。
窓を開けっ放しにしていたせいか少し鼻声混じりで
「ふぁぁあ、もう朝か...」
と昨日夜遅くまで親友と明日の話を電話で談笑していて、いつの間にか眠っていた事を忘れてるかのように呟く。
ふと、机の上に飾って置いてある薄茶の写真立てに目をやり重たい体を持ち上げてその写真立てに近づき
「・・・」カタッとその写真を伏せた。
そして、クローゼットに掛けてあるしわ一つない制服に目をやり
「高校生か...」と呟いた。
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その制服は去年までは女子校であり今年から男女統一校となった学校の制服であった。
「恋恋高校か」
その学校の名前を呟いて制服に手を掛けようとした時
「大和ー!学校行こうぜー!」とその日初めて自分の声以外に聞いた声があまりにも大き過ぎて大きくため息をついてしまうほど、、、あいつらしいなと思いながら空いてる窓に身を乗り出して
「近所迷惑だぞ、靖友」と相手に聞こえる程度で返事を返した。
靖友と呼ばれた彼は、悪戯顏して笑ってみせた。身長は大和と変わらないかやや小さい感じで下瞼に小さなホクロ3つあり、ボサボサな茶色の髪を靡かせて歯の八重歯がギラリと輝かせていた。
「入学式ー!遅れるぞ!」と言いながらまだかまだかと待ちきれない様子が全身から湧き出ているのが分かる。
今行くよ、と聞こえない声で制服に身を通して部屋の入り口の鏡に映る自分を見てふてぶてしい顔、と映る自分と同じ顔した自分に毒を吐いて部屋を出た。
今年この町の4月は例年より暖かめで通学路として使う道は今は立派な桜が満開で街を綺麗な桜色に染め上げていた。
通勤する人、登校している人、遅刻ギリギリなのか慌てて駆けて行く人、八百屋さんの朝市特売!と大声で売り込むをするなど賑やかな商店を人はパワフル商店街と呼んでいる。
その商店街を抜ければ恋恋高校と呼ばれる俺たちが通う高校はもうすぐそこなのだ。そこを抜ける前あたりに一緒に登校している靖友が八重歯を輝かせて
「あの八百屋のおっさんいつも同じ大根しか売り込みしないよな?」と突っ込みながら俺の顔見て
「部活決まったのか?」とインタビューどうぞ!みたいな感じで降ってきた。
「部活はやるつもりはない、1度だけの高校生活ぐらいのんびりやりたいよ」と腑抜けた答えを返してやった。
絶望的に読みづらい
俺と靖友は中学の頃は野球部に所属していた。先輩、後輩、顧問、指導者、親御さん達など贅沢とも言える最高の環境の中で俺たちは2年連続中体連2連覇を成し遂げる事が出来た。が。
体の出来てない俺は夏の大会まえに肩をある理由で壊してしまった。が部員の皆には知られずやり過ごし3年も中体連で全国を優勝することが出来た。しかし肩を壊したのを知っているは中学の部員でも誰1人として知らない。
「大和はなんで恋恋高校なんて選んだんだ?」
とあたかも別々の高校同士みたいな会話をしてくる靖友を細くみて
「だいたいお前もなんで俺と同じ高校入ったんだよ!」
とつっこみを入れた。
すると待ってました顔で照れ臭そうに
「ただあれだよ、お前ともう一度野球やりたいなって思ったんだよ」
今度は悪戯顏でもなくただ本気でそう思っていたのだろう、それが伝わる笑顔だったがなぜか少し悲しそうにも見えた。
俺は少し後ろめたさをかんじながらも靖友は言葉を続けた。
「それにお前!大和ならスカウトの4〜5つは来てただろ?なんで全部蹴って恋恋なんて選んだんだよ!」
たしかに俺の技術を買ってくれて各名門校がスカウトが来たのは事実だ。だが故障をしている自分がその期待に重圧にとても答えられる事が出来ないと思っていたからで、、野球部のないこの高校を選んだ理由になる。
それを正直に言おうかと悩んだ時に近くから予鈴が鳴り。俺と靖友は入学式遅刻とかしゃれにならない!と心の中で叫びながら商店街を駆け抜けた。
EP〜早川あおい〜
入学式は思った以上に早く終わり各クラスに分かれてオリエンテーションを行う事になっていたのだ。
俺と靖友は別々のクラス分けになっていて何故か安心していた。
同じクラスになっていたら有る事無い事言われてしまうからだろう。
とはいったものの中には同じ中学の奴らもちょこちょこ見える。
窓際の席で見える景色を眺めていたら
「
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