モバP「テリブルティータイム」(34)
―都内某パンケーキショップにて―
ザワザワ… オイアレタシカ… マサカホンモノ…?
心「シュガシュガスウィート♪ う~ん!あま~い香りがしてしあわせ~☆」ルンルン♪
時子「その脳が溶けそうな歌を今すぐ止めなさい。只でさえ店の外で散々待たされて
気分が悪いのに、気が狂いそうになるわ」イライラ
ヘレン「フッ、相変わらず余裕の無い女ね。あるがままを受け入れられる度量がないと
世界レベルにはなれないわよ」フフン
佐藤心(26)
http://i.imgur.com/sK7zeFn.jpg
財前時子(21)
http://i.imgur.com/nPf5rH5.jpg
ヘレン(24)
http://i.imgur.com/ADuaMq7.jpg
心「そうだぞとっきー♪ いつまでもコワ~いカオしてないで、とっきーもシュガーで
スウィーティーなフンイキになじめよ☆」キャハ☆
時子「誰がとっきーよ。私はあんたを『はぁと』なんて死んでも呼ばないからね」ギロリ
ヘレン「孤高と孤独は違うのよ時子。全てを拒んでひとりで強がっていても、大衆は
あなたを支持しないわよ」
時子「その偉そうな物言いやめてくれないかしら。無性に腹が立つわ」ビキビキ
―――
心「ど~れ~に~し~よ~か~な~♪ う~ん、全部おいしそうで迷っちゃう☆」
時子「ホイップクリームが馬鹿みたいに載ったパンケーキを食べるんじゃなかったの?
迷うのはあんたの方向性だけにしてくれないかしら」ムス
ヘレン「あなたはもう決めたの?」
時子「アァン?私はこのベーコンエッグとトーストを……」
心「え~!? とっきーパンケーキ食べないの~!? マジKY~!! 」ブーブー!!
時子「いい歳してKYとか言うんじゃないわよ。痛さに拍車がかかってるわよ」
心「痛いじゃねーよカワいたいだよ☆ こっちだって必死なんだゾ☆」キャピ☆
時子「黙りなさい昭和生まれ。元号の壁はあんたが思ってるよりずっと高いのよ」フン
心「うるせえ☆ はぁとアタックくらわすぞ☆」イラッ
ヘレン「だけど時子、ベーコンエッグなんてこの店じゃなくても食べられるじゃない。
どうしてパンケーキにしないの?」
時子「甘ったるいクリームが載ったパンケーキがランチなんて御免よ。こんなものを
わざわざ並んで食べる人間の気が知れないわね」フン
心「わざわざ並んでベーコンエッグを注文するとっきーもおかしいゾ☆」
時子「あんたが並ばせたんでしょうが!2時間も店の外で待たされるって知っていたら
最初から来なかったわよ!」ガタタッ!!
ヘレン「落ち着きなさい時子。他の客が怯えているわ」ジロリ
ザワザワ… ヒソヒソ…
時子「……チッ」ストン
ヘレン「まったく、もう少し広い心を持つ事が出来ないのかしら?あまり小さなものに
囚われていると大事なものを見逃してしまうわよ」フウ
時子「じゃああんたの言うその大事なものとやらを是非私に教えてもらえないかしら?
10秒以内で答えて頂戴」イライラ
ヘレン「10秒もいらないわ。ここはパンケーキ屋だからパンケーキが一番美味しいの。
これがこの店の真理、いえ、世界の真理よ!」ビシッ!!
心「ヘレンちゃんカッコいい~!さすが世界レベル☆」
オオォ~… パチパチパチパチ…
ヘレン「フ、大衆が私を支持する声が聞こえるかしら時子。これが世界レベルの私と
あなたの差よ」フフン♪
時子「パンケーキ屋でパンケーキを食べる豚共を相手に言えば、支持されるのは当然
じゃないの……!! 」ビキビキ…
心「だぁ~けぇ~どぉ~♪ とっきーはその当たり前に気づけなかったよね? だから
店のフンイキになじめって最初に言っただろ☆」ニヤニヤ
ヘレン「そう、つまりそういうことよ」サラリ
時子「」ブチッ
時子「上等よ!この店で一番ホイップクリームが載ったパンケーキを持って来なさい!
10分以内でね!」バンッ!!
***
―1時間後―
店員「た、たたた大変お待たせしました~。ス、ススストロベリーホイップクリームと
マ、マママカデミアナッツのパンケーキダブルホイップです……」ガタガタ…
時子「…………ねえあんた。ちょっといいかしら?」ギロリ
店員「は、はひ!? 」ビクッ!!
時子「私は10分で持って来いと言ったわよね?どうして1時間もかかったのかしら?
1時間もかかった理由が知りたいのだけど」ビキビキ
店員「も、申し訳ございません…… 本日大変混みあっておりまして……」ビクビク
時子「言い訳は聞きたくないわ。店の外で並んで待った2時間も含めて、どうしてこの
私がパンケーキを食べるのに3時間も待たされないといけないのかしら?今すぐ
ここに店長を呼んで来なさい」ゴゴゴゴゴ…
心「はいはいスト~ップ☆ ごめんね~、このコこういうイタいキャラでやってるから
気にしないでね☆ ホントはマジメでとってもイイコだから♪」ウィンク☆
時子「ハァ!? 私はあんたと違ってキャラを作ってるわけじゃ……!! 」ガタッ!!
ヘレン「学習能力のない女ね。あなたが蔑む豚の方がまだ賢いのではないかしら?」ジロリ
時子「ぐ……っ!! 」ブルブル…
時子「……もういいわ。下がりなさい」シッシッ
店員「し、失礼します……」ペコリ
心「ありがと~☆ 」ヒラヒラ
ヘレン「あら、チップはいらないの?せっかく準備したのに」
時子(いつもの調子が出ないわ……)ハア
―――
心「ちょうど3時のスウィーツだね☆ はぁとったらナイスタイミング☆」キャハ☆
ヘレン「このクリームまるでピサの斜塔みたいね。世界を感じるわ」マジマジ
時子「クッ、何て量なのよ……考えたヤツは馬鹿じゃないの……? 」ギリリ
心「い~ただ~きまぁ~す☆ ぱく♪ うぅ~ん!とってもスウィーティー☆」ニコニコ
ヘレン「パンケーキもなかなか美味しいじゃない。クリームと合わせて食べるのね。
トッピングのベリーも悪くないわ」パクパク
ワイワイ キャッキャッ
時子「……」ジー
時子(甘く見ていたわ…… せいぜいコ○ダのシ○ノワールより少し多いくらいだと
思っていたのに、比較にならないほど盛っているじゃないの。これが小倉あん
だったら余裕だけど、クリームでこの量は辛いわね…… )
心「どうしたのとっきー?フリーズしてるけど食べないの?」
時子「うるさいわね食べるわよ!それからふざけた名前で呼ぶんじゃないわよ!」グワッ!!
心「え?今更?さっきからずっととっきーって言ってたケド?」
ヘレン「心、そっとしておきなさい。時子は今余裕がないのよ」クス
時子(大丈夫…… 常識的に考えてクリームをこんなに盛るなんてありえないわよ……
きっと甘さが控えめで、意外と軽い感じで食べられるはず……)ブルブル…
時子(いざ!)パクッ
時子(…………)
時子(甘っ!? )ビクンッ!!
時子(何よこれ信じられないくらい甘いじゃない!! 想像していたよりは重くないけど、
この甘さでこの量っておかしいんじゃないの!? ) ※時子様の感想です
時子(おまけに昼食を抜いてるし、空腹の状態でこの甘さと量は拷問だわ。私は元々
クリームがあまり得意じゃないのよ……!! )プルプル…
時子(ああ、豚肉が食べたい、小倉が食べたい、抹茶小倉パスタが食べたい……)
時子「……ブタ……ウイロウ……」モグモグ
心「何かとっきーヤバくない?虚ろな目でブツブツ言いながら食べてるよ☆」ヒソヒソ
ヘレン「フ、まだまだ若いわね。だけど世界レベルを目指す為には、時には辛くても
1人で乗り越えないといけない壁があるのよ」クス
心「いや、パンケーキを食べても世界レベルにはならないだろ☆ だったらここにいる
女の子達は全員世界レベルになっちゃうぞ☆」
ヘレン「何を以て世界とするかは人それぞれよ。私達にとっては何でもないクリーム
だけれど、時子には恐ろしい怪獣でも見えているのかもしれないわ。彼女は
このパンケーキに討ち勝つ事で、世界レベルに近づくのよ」
時子「ゴフッ……」←むせた
心「う~ん、はぁとにはよくわかんないんだけど、それじゃあほっといた方がいいの?
とっきー今にも倒れちゃいそうだケド☆」
ヘレン「フッ、確かに余計な手助けは無用だけど、私は世界レベルとして時子に教えて
あげないといけない事があるのよ。それが結果的にだけど、彼女を助ける事に
なるかもしれないわね」ス…
心(ん?手を挙げて何するつもりなんだろ?)ハテナ?
ヘレン「ヘーイ!ウェイトレス!例のものを持って来て頂戴!」パチンッ☆
店員「はい!お待たせしました!ベーコンエッグとトースト3セットです!」サササッ!!
時子「なっ!? 」ギョッ!!
心「えっ!? 」ギョッ!!
ヘレン「ジャストタイミングよ。はい、これチップね」サッ
店員「ありがとうございます!これからも応援します!」ペコペコ
オオ~!! アレガセカイレベル… パチパチパチ…
時子・心「「……」」ポカーン
ヘレン「さぁ時子、心。このプレートは私の奢りだから遠慮せずに食べなさい」
時子「何の真似よこれは……?」ギロリ
ヘレン「言ったはずよ時子。全てを拒んでひとりで強がっても、大衆はあなたを支持
しないって。ならば私達はパンケーキだけでなくて、あなたがオーダーした
ベーコンエッグも食べるのが当然ではないかしら?」
心(いやいや、意味わかんねえし)
ヘレン「ここはパンケーキ屋だからパンケーキが一番美味しいのは間違いないけれど、
かと言ってベーコンエッグが不味いわけではないわ。私も正しいしあなたも
正しい。ならば両方食べればいい。つまりそういうことよ」フフン♪
心(日本語喋ってるのにゼンゼン理解出来ねえ☆ これが世界レベル?)
時子(パンケーキとベーコンエッグ…… ベーコンの塩気で忌々しいクリームの甘さを
リセットすることが出来るわね。そしてプレーンのトーストも併せて食べれば、
更にクリームの甘さが気にならなくなる……)
時子(両方食べると必然的に量は多くなるけど、地元のモーニングで慣れ親しんだ
ベーコンエッグなら苦も無く食べられるし、パンケーキの脅威はほぼ消えて
無くなったわ。だけど……)
時子「あんた最初から、こうするつもりだったの……?」
ヘレン「何の事かしら?私はただ世界レベルとして当然の事をしただけよ。世界中の
人間が私のようにすれば、この世から争いはなくなるのにね」フッ
心(は?争い?いいや、もう考えるのやーめた☆ )
時子「…………フン」
時子「今回は自称世界レベルのあんたの顔を立ててあげるわ。だけどこれしきの事で、
この財前時子様を懐柔したと思わない事ね」ギロリ
ヘレン「思ってないわよ。だけどあなたは近いうちに認めざるをえなくなるでしょう。
この私こそが世界レベルだということをね!」ビシッ!!
時子「ククク……」
ヘレン「フフフ……」
心「おい☆ 盛り上がってる所悪いんだけど、はぁとはベーコンエッグいらねえよ☆
こっちはダイエット中なんだぞコラ☆」
ヘレン「Sunny-side upは世界中で愛される卵料理ね。シンプルだけど奥が深くて、
一口食べれば心がダンサブル……!! 」パクパク
時子「パンケーキの分際で、よくもこの私を散々苦しめてくれたわね。一片も残さず
食べ尽くしてあげるから覚悟しなさいアハハハハ!! 」パクパク
心「いや聞けよ☆ ていうかお前ら何でそんなに食えるんだよ☆ 若さか?若さなのか?
これが元号の壁ってやつかよ☆」
おわり
―おまけ―
―事務所会議室・PM4:00―
真奈美「さて、どうしたものかな……」
美里「私時子ちゃんと代わってあげてもいいけどぉ、勝手に代えちゃダメだよねぇ?」
真奈美「美里も女子高生役をやるじゃないか。今風の女子高生よりはクラッシックな
セーラー服なだけ、時子は今の配役の方がマシかもしれん」
美里「あぁ~確かにぃ。時子ちゃんはゆるふわのJKってカンジじゃないもんねえぇ」
法子「ち、ちなみにその時子さんはどこに行ったんですか……?」オソルオソル
木場真奈美(25)
http://i.imgur.com/a81k8w4.jpg
間中美里(20)
http://i.imgur.com/4OMl6DC.jpg
椎名法子(13)
http://i.imgur.com/0tPRTPg.jpg
参考:今時のゆるふわJKとクラシカルな女子高生
http://i.imgur.com/0oqU9T8.jpg
美里「さっきちひろさんに聞いたんだけど、はぁとちゃんとヘレンさんとランチを食べに
行ったみたいだよぉ。4時から次のお仕事の打ち合わせをやるって連絡したのに、
香港から帰って来たばかりで忘れちゃったのかなぁ?」
真奈美「どうしてそんなメンバーで行ったんだ…… 心さんとヘレンの相手で疲れている
ところに、セーラー服を着ろなんて言われたら血を吐くかもしれんな」
法子「と、時子さんそんなになっちゃうんですか!? 」ギョッ!!
真奈美「ものの例えだ。だが時子が大きなストレスを感じるのは容易に想像がつくから、
この件は私からうまく言おう。法子と美里はそれまで黙っていろよ」
法子「あわわ、ドーナツ食べたら機嫌よくなってくれるかなあ……」
美里「大丈夫だよぉ法子ちゃん。真奈美ちゃんとーっても頼りになるから♪ 」
真奈美(まったく、香港から戻って来たら憶えてろよP。しかし最近の時子は少々働き
過ぎではないのか?香港にも飛んで日帰りロケをしたそうだし、本人は弱音を
吐かないがそのうち過労で倒れてしまうぞ)
真奈美(……もしかして、心さんとヘレンは時子を労わってやろうとしてランチに
誘ったのか?ヘレンも心さんもああ見えて意外と鋭いところがあるから、
時子が疲れているのを察知したのかもしれないな)
真奈美「フッ、存外リフレッシュして帰ってくるかもな」クス
―――――その頃時子は、ヘレンと一緒に食べ過ぎで動けなくなった心を肩に担いで
文句を言いながら事務所を目指していた
END
ここまで。パンケーキ屋はモデルがありますが、SSに出て来たお店はフィクションです
のであしからず。1度行ってみたい気もするけど、トータルでどれくらい待つのかな……
時子様がツッコミからボケになったり、心さんがボケからツッコミになったりする中で
一貫して変わらなかったヘレンは流石世界レベル。3人共面白いアイドルなので、また挑戦
したいです。では
悪くないだけに立てた時間が不味かったな
多くの人の目に触れたいなら速報で書いてるでしょ
>>31
>>32
見て欲しくないわけじゃないんですw 前から速報と深夜につながりのあるSSを
同時に投下するのをやってみたくて、今回はいつもより早く書き上がったので
やってみました。速報にも似たようなタイトルのモバマスSSを投下しています。
CDのカップリング曲みたいな感じで、どちらかだけでも楽しめるけど、どちらも
読むとより楽しいサービス的なもののつもりで両方の板で書かせて戴きました。
よろしければ速報にも行ってもう片方のSSを探してみて下さい。
>>33
少なくとも佐藤を知らない俺が読み進める程に面白かったよ
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