――――――――――――テレビスタジオ舞台袖
拓海「よっしゃ!! 行くぞーっ!!」
http://i.imgur.com/Dsx3pFO.jpg
向井拓海(18)
涼「燃えてくるぜっ!」
http://i.imgur.com/uXvYFeQ.jpg
松永涼(18)
夏樹「そんじゃ、Pさん。行ってくるよ」
http://i.imgur.com/b8WM9BO.jpg
木村夏樹(18)
P「おう。行って来い」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412172158
P(今日はテレビの歌番組でのライブシーンの撮影だ)
P(ライブと言っても観客は誰もおらず、撮影や音響スタッフと番組プロデューサーなど身内がほとんどだった)
P(それでもあいつらは久しぶりのライブなので張り切っている)
???「モバPさん。どうもお久しぶりです」
P「ああ、これはこれは。○○プロダクションのP(以下、他P)さん」
他P「いやあ、涼ちゃん拓海ちゃん夏樹ちゃん調子いいっすね?」
P「いえいえ、そんな。まだまだですよ」
他P「次の新しいユニットのご予定は?」
P「うーん、今のところないですね。作ろうにも新しいコンセプトが見当たらなくて」
他P「あれ? 別に新しいコンセプトいらなくないじゃないですか?」
P「と申されますと?」
他P「せっかく今の三人が調子いいんです。彼女たちの姉妹ユニットでもいいじゃないですか」
P「姉妹ユニット……確かに某ダンスグループなどには弟分妹分のユニットがありますね」
他P「それと同じです。ファンも期待してると思いますよ」
P(姉妹ユニットか……)
――――――――――――翌朝、事務所
ちひろ「おはようございます」
P「ちひろさん、おはようございます」
ちひろ「あれ? Pさん? こんな早くに?」
P「ちょっと、いろいろ思うことがありまして……」
ちひろ「すごいクマですよ? もしかして徹夜だったとか?」
P「ええ、まあ……」
ちひろ「ダメじゃないですか! きちんと帰って寝ないと」
P「すいません。これ終わったら少し仮眠取りますので。その前に」
ちひろ「??」
P「ここにリストアップした連中を呼び出してもらえませんか?」
ちひろ「この子たちを?」
P「お願いします。そして、その後にいつものあいつらも……」
ちひろ「わかりました」
――――――――――――一時間後、事務所
P「おはよう、お前たち」
巴「急な用事って言うから来てみたんじゃが、何かあったんか?」
http://i.imgur.com/LgqCjzz.jpg
村上巴(14)
晴「録画してたリーガエスパニョーラ見たかったんだけどな」
http://i.imgur.com/TwDveA4.jpg
結城晴(12)
飛鳥「ボクはいつでもいいよ。キミが必要とするならいつでも飛んでいける自信はある」
http://i.imgur.com/0L04bXK.jpg
二宮飛鳥(14)
P「ありがとうな。実はお前たちに仕事の話があってな」
巴「仕事の話ならメールがあるじゃろ? 今までもそうしとったのに」
P「仕事の話だが厳密に言うと、仕事が決まってるわけじゃない」
晴「何だそれ? 意味わかんねえよ」
P「涼、拓海、夏樹のユニットはお前たちも知ってるな?」
飛鳥「知ってるよ。ここ最近はだいぶ知名度が上がってきたみたいだね」
P「今回、お前たちにはあいつらの妹分としてユニットを組んでもらいたい」
巴「ウチらが姉御たちの妹分か! それは光栄なことじゃ」
晴「何か面白そうだな!」
飛鳥「とは言ってもどのようにやるんだい? ボク達は彼女たちのように演奏には自信がないよ」
P「何も必ずロックバンドを組めとは言ってない。そこで今日はお前たちにどんなユニットにするか話し合ってほしい」
巴「なんじゃ? それは決まってないんか?」
P「俺が決めるのは仕事の方向性だけだ。具体的にどのようにしたいかはお前たちの意思を尊重したい」
晴「なんだか面倒くせーことになってないか?」
P「あいつらだって細かいことは全て自分たちでやってきたんだ。お前たちに出来ないとは思ってないよ」
飛鳥「信用してくれるのか。だとしたらその期待にこたえないとね」
P「詳細が決まったら報告してくれ。しばらく……俺は……一眠りするから」
巴「寝不足で仕事とは気合が足りんわ」
晴「もう少しシャキッとしろよ」
P「……」
飛鳥「大丈夫だよ。後はボクたちでなんとかする。キミは心ゆくまで眠りにつくがいいさ」
P「すまんな」
――――――――――――会議室
巴「とは言うたものの。どうすればええんじゃ?」
晴「そもそも、この三人ってあまり接点がねえもんな」
飛鳥「とりあえず妹分である以上、彼女たちのどのような部分を継承していきたいか話しあおう」
巴「それなら決まっとるわ。ウチは姉御じゃ」
飛鳥「姉御……?」
巴「向井拓海の姐さんじゃ。あんなファンをぐいぐい引っ張っていくような硬派な立ち振舞いがしたいんじゃ」
飛鳥「確かに彼女のパフォーマンスは独特だね。ただ、ファンに乱暴な言葉づかいはどうかと思うけれど」
巴「そこがええんじゃ。媚び売ったナヨナヨしたのはウチにあわんけんのう」
飛鳥「なるほど。晴はどうだい?」
晴「オレは涼さんみたいなカッコイイステージがやりてーな」
飛鳥「カッコいいか……確かにそれも魅力的なフレーズだね」
晴「オレさ、あの人みたいな…こう、クールなんだけどアツい……みたいな、そんなのに憧れんだよ」
飛鳥「それはよくわかる。実はボクも一度、涼さんとユニットを組ませてくれと頼んだことがある」
晴「マジか?」
巴「それは何故ダメになったんじゃ?」
飛鳥「よくは知らない。『飛鳥・涼』のユニット名でやらせてくれと頼んだけど、今はダメだと取り付く島もなかったよ」
巴「……それはウチらでも反対するわ」
晴「特に今の時期はマズイだろ……色んな意味で」
なおたくみんスマイル
巴「飛鳥はどうなんじゃ?」
飛鳥「ボクはまだ見つけていないな。人は常に自分を探す旅人でありたいからね」
晴「意味わかんねーよ」
飛鳥「強いて言うなら夏樹さんのような生き方には憧れる」
巴「まとめ役みたいなもんか?」
飛鳥「それもあるよ。でも、彼女は掴み所がない。どのようにしたいのか自己主張をしているように見えない」
晴「確かに、夏樹さんは涼さんや拓海さんみたいに前に出る人じゃねえな」
飛鳥「だけど、ボクが思うに彼女はブレてないんだ。はっきりとした自分を持っている」
巴「なんとなくわかる気はするのう」
飛鳥「みんなの意見はだいたいわかったよ。後はどのような仕事をやってみたいかだね」
巴「そんなのは決まっとるじゃろ?」
飛鳥「そうなのかい?」
巴「そうじゃ。演歌でファンを酔わせるんじゃ」
晴「は? 演歌のユニットなんか聞いたことねーよ」
巴「無ければウチらが最初になればええじゃ。姉御のようなパワフルな舞台を魅せつけてやるんも悪くはない」
飛鳥「うーん……」
晴「お断りだね。演歌なんてやってられるかって」
巴「じゃあ、何があるんじゃ!? 言うてみい!!」
晴「決まってんだろ。涼さんみたいな尖ったカッコいいステージを目指すんだよ。最高のロックとかな」
飛鳥「……うーん。例えばどんなロックだい?」
晴「よくわかんねえけどさ、みんなが元気になれるやつだよ。サッカーの日本代表の応援ソングになれそうなさ」
巴「何が日本代表じゃ。ウチはそんなん興味ないわ。それはもっと有名なやつらにさせとけばええ」
晴「代表バカにすんなよ! そういうのもアリだって言ってんだよ!!」
巴「何偉そうに言うとんじゃチビっ子! 目上の人間には敬意を払わんかい!」
晴「目上って2つしか変わんねえだろ! 同じユニットで年上も年下もあるかよ!!」
飛鳥「よしなよ、二人とも。そんなに怒りに身を任せては本質は見えなくなるよ」
巴「じゃかましいわ。さっきから、おどれは何を仕切っとるんじゃ?」
晴「そうだ。いきなりリーダー気取りかよ」
飛鳥「そんなつもりは毛頭ないさ。じゃあ君たちの中でまとめられる人間がいるのかい?」
巴「……もうええわ。お前らとじゃウチの理想には届かん。勝手にせえ」
晴「けっ、こっちもゴメンだ。時間の無駄だったぜ。あばよ」
がちゃ
飛鳥「……やれやれ」
――――――――――――駐輪場
巴「なんなんじゃ、あいつらは……」
巴「プロデューサーは何がやりたいのかわからんのう……」
巴「お……? あそこにおるのは……向井の姐さんじゃないけえ」
巴「姐さん」
拓海「よお、巴。何やってんだ?」
巴「ウチは……ちょっとな。姐さんは?」
拓海「あたしはこいつの整備をな」
巴「バイクか。自分でいじることもできるんか?」
拓海「まあな。美世ほどじゃねえけどよ……巴、そこのレンチ取ってくれ」
巴「これでええんかの?」
拓海「おう、ありがとな」
巴「……」
拓海「どうした? なんかあったのか?」
巴「……姐さんは……今のユニットはどう思うんじゃ?」
拓海「なんだよ、急に?」
巴「誰かと一緒にてのは、どうやればええのかわからんくなって」
拓海「別に難しいことじゃねえよ。いつもどおりのあたしをやるだけだ」
巴「いつもどおりか……」
拓海「話なら聞いてやるぜ。何があった?」
巴「実は……」
巴「……ということなんじゃ」
拓海「ふうん……」
巴「どう思う?」
拓海「なんか……小せえな」
巴「そうじゃろ! あいつらは何もわかっとらん」
拓海「ちげーよ。お前のことだよ、巴」
巴「は?」
巴「ウチのどこが小さいんじゃ! いくら姉御でも言ってええことと悪いことがあるぞ!」
拓海「カリカリすんなよ」
巴「姉御だってやりたいことあったじゃろ! やりたいこと言って何が悪いんじゃ!」
拓海「それに関しちゃ間違ってねえ。あたしも自分の意見を通してきた」
巴「そんならっ!」
拓海「だけど、あたしなら涼にも夏樹にも正面からぶつかっていく。途中でキレてその場からいなくなったりはしねえ」
巴「ぐ……!」
拓海「聞いた限りじゃ晴にも自分の意見があるんだろ? 頭ごなしに貶して自分だけいなくなるのはズルくねえか?」
巴「……」
拓海「お前の親父がそんなことをしているの見たことあるか?」
巴「……ない」
拓海「……まあ……あたしもデカイ言えた義理じゃねえけどな」
巴「……」
拓海「そうしょげんなって。お前の事はあたしも認めてんだ。問題はこれからどうするからだろ?」
巴「……ほうじゃの」
拓海「頑張れよ。小さいまんまじゃカッコつかねえぞ」
巴「ありがとうな、姉御」
――――――――――――廊下
晴「ちぇっ、なんだよあいつ。わかってねえな」
♪~
晴「ギターの音? レッスン室に誰かいるのか?」
晴「あっ、あれは」
――――――――――――レッスン室
がちゃ
晴「涼さん」
涼「よう、晴。どしたんだ?」
晴「ん? ちょっと見学させてもらおうかなって。入っていいかな」
涼「おう、いいよ。好きにしな」
晴「へへ、ありがと」
♪~
晴「なあ、涼さん」
涼「ん?」
晴「覚えてるか? 日本代表がさ、敗退してオレが落ち込んでる時カラオケに誘ってくれたよな」
涼「ああ、そうだったね」
晴「その時に歌ってくれた歌、覚えてる?」
涼「確か……『タマシイレボリューション』だったっけ。Superflyの」
http://www.youtube.com/watch?v=Mro4V8FWUqw
※参考動画
晴「そうそう! あれさ、オレすごく感動したんだ!」
涼「そうなのか。あんがと」
晴「原曲はさ、4年前でオレもだいぶ小さかったから忘れてたけど、やっぱいい歌だよね」
涼「そだね。あのパワフルなボーカルはアタシも憧れるな」
晴「それを歌った涼さんの声もすごかったよ……なあ、涼さん?」
涼「なんだよ、あらたまって?」
晴「オレ……アイドルやるなら涼さんみたいな歌を歌いたいよ。オレにしてくれたみたいな元気づけるようなさ」
涼「ははは。そう褒められると、なんかむず痒いな」
晴「クリスマスの時だっけ。カッコいい衣装着てさ……落ち込んでる奴も元気がわくようなさ」
涼「……そっか」
晴「でも……オレには出来そうにないかも」
涼「……どうした? 何かあったのか?」
晴「……実はさ」
晴「……ってことがあってさ」
涼「……」
晴「巴の奴、自分のやりたいことだけでさ。ちっともオレの話聞かないし」
涼「……くくっ」
晴「……涼さん?」
涼「あっはっはっは」
晴「!! な、なんだよ! 何がおかしいんだよ!!」
涼「ああ、ごめんごめん。そんなつもりじゃないんだ」
晴「じゃあ、どういうつもりなんだよ!?」
涼「……うれしいんだよ。晴もここまで来たかってね」
晴「?? どういう意味?」
涼「アタシもさ、よくあったよ。そういう悩み。バンドしてたからね」
晴「涼さんも?」
涼「そうだよ」
晴「じゃあさ、こういうときどうすりゃいいんだ? Pに言って代えてもらったほうがいいのか?」
涼「その前にさ、アタシからひとつ聞いいていい?」
晴「ん? なんだよ?」
涼「サッカーの話でさ、アタシ試合観て気づいたんだけど」
晴「うん」
涼「守備してる時、誰かひとり相手のゴール前に待機してたらいいんじゃね? そしたらさ、ボールが来たらキーパーしかいないから楽じゃん」
晴「はぁ……涼さん何も知らないんだな。それはオフサイドっていう反則なんだよ」
涼「そうなのか?」
晴「サッカーではパスを受けた時に、相手GKと1対1になっちゃいけないんだよ」
涼「へえ、そうだったのか」
晴「必ず相手のDFを一人は挟まなきゃいけないんだ」
涼「でもさ、こういうのって、一人は無闇に突っ込んでゴール狙いそうじゃね?」
晴「そこはチームプレイがモノを言うんだ。突っ込んだ奴とGKの間にDFが一人入るタイミングを狙って絶妙なパスを出せばいい」
涼「なるほど。考えられてんだな」
晴「そうだよ。一人突っ走る奴がいても、その周りのやつがフォローすれば充分に…………あっ」
涼「どした?」
晴「……いや……その」
涼「なんかユニットのチームワークみたいだよな」
晴「……」
涼「話聞いてる限りじゃ、巴も強引だよなとは思ったよ」
晴「……」
涼「だけど、それだけ情熱をかけるものを持ってるってのは悪いことじゃないだろ?」
晴「……うん」
涼「一人で飛び出す奴がいたら、みんなでフォローすればいいって言ったのはお前だろ?」
晴「……だよな」
涼「大変だと思うけどさ、そういう悩みを12歳で経験できるってある意味幸せだと思うんだよ」
晴「……そっか」
涼「頑張んなよ、晴。アンタならやれるよ。アタシが保証する」
晴「涼さん……ありがとう」
――――――――――――ファミレス
飛鳥「……はぁ……なんなんだ、もう」
飛鳥「みんな、やる気ないのかな……人の心とは花の色のように移ろいやすいものだな」
???「おじょうさん、よかったら相席いいかな?」
飛鳥「申し訳ないけど、今は一人で……って、夏樹さん?」
夏樹「よっ」
飛鳥「どうしたんだい? こんなところで」
夏樹「いや、暗い顔してファミレスに入って行く奴が見えたんでな」
飛鳥「それなら、早く声かけてくれたらよかったのに」
夏樹「悪ぃな。ここ、空いてるか?」
飛鳥「構わないよ。ちょうどボクも夏樹さんに聞きたいことあったんだ」
夏樹「へえ、あたしに答えられたらいいけどな」
飛鳥「夏樹さん、涼さんや拓海さんとユニットを組んでるよね?」
夏樹「まあな」
飛鳥「大変じゃないの? 涼さんも拓海さんも気が強いだろ?」
夏樹「確かに気は強いな」
飛鳥「喧嘩したりとかしないのかい?」
夏樹「まあ、ケンカなんてのは日常だな。大なり小なり」
飛鳥「まとめるのって大変そうだよね」
夏樹「んー? どうかな?」
飛鳥「今のユニットって、夏樹さんがリーダーみたいな感じだよね?」
夏樹「そんなことねーよ。特に誰がリーダーなんて決めてないし」
飛鳥「でも、打ち合わせや細かい情報伝達は、夏樹さんが二人にやってるって聞いたよ?」
夏樹「まあ、あいつらはそういう細かいことやりたがらないからな」
飛鳥「二人は夏樹さんのやることに、文句は言わないのかい?」
夏樹「文句もしょっちゅうだな。でもやらなきゃいけねえし」
飛鳥「そういう時に、納得させてまとめるには……」
夏樹「ちょっと待った」
飛鳥「ん?」
夏樹「なあ、あたしも一つ聞いていいか?」
飛鳥「いいけど……?」
夏樹「まとめるって……なんだ?」
飛鳥「え?」
夏樹「聞き方を変えようか。まとめるって必要な事か?」
飛鳥「突然どうしたの? 禅問答でも始めるのかい?」
夏樹「あたしさ、あいつら二人をまとめたって意識は全然ないよ?」
飛鳥「そんな馬鹿な。あれだけ個性的な二人だよ? ひとつにならないとユニットで仕事なんてやれないはずさ」
夏樹「一つになるのは必要なことさ。だけど、それをあいつらに強要したことはないぞ」
飛鳥「そんなはずはないよ。ボクらでもあの二人は時々怖く感じることがあるんだ。どうやって、まとめてるのか理由を知りたいよ」
夏樹「んー、まとめると言ってもな……大切なのはあいつらを信じてるってことかな?」
飛鳥「信じる……?」
夏樹「あたしも、涼も拓海も信じて走ってる方向は同じなんだ。そこに向かって走ってる」
飛鳥「……」
夏樹「方向が同じならそれぞれ高速でも国道でも田舎道でもなんでもいい。いつかは途中で巡り会えるからな」
夏樹「あいつらもそれはよくわかってる。だから細かいことなんかどうでもいい。今は同じ時間を走っているってことばわかれば」
飛鳥「……」
夏樹「ケンカされると大変だけど、それはあいつらにも主張があるってことだ。主張があるならお互いぶつけあって納得すればいい」
夏樹「あたしはそれを見て、時に、あたしも主張してあいつらを納得させたんだ」
飛鳥「……そうだったのか」
夏樹「まあ、そんな感じだな。これが巴や晴に当てはまるかはわからねえけどさ」
夏樹「でも飛鳥ならやれるさ。あたしにだってできたんだからな」
飛鳥「……ありがとう、夏樹さん」
夏樹「参考になったか?」
飛鳥「まだ、わからないよ……でも、少しだけ心に霞んでいた雲が晴れたような気がする」
夏樹「そいつはよかった」
飛鳥「ごめん、夏樹さん。ボクはこれから出かけてくるよ。やらなくちゃいけないことが見えてきたんだ」
夏樹「おう、行ってきな。がんばれよ」
飛鳥「うん!」
――――――――――――会議室
巴「……」
がちゃ
巴「!!……なんじゃ……お前らおったんか」
晴「……別に。オレもさっき来たところだ」
飛鳥「二人がいずれ来そうな気がして待っていたんだ。来てくれてありがとう」
巴「べ、別に深い意味なぞないわ。ただ、ちょっと言いたいことがあってのう」
晴「お、オレも……」
飛鳥「待ってくれ、二人とも。その前にボクに言わせてくれ」
飛鳥「ボクはこの面子でプロデューサーに話をもらった時、ボクがしっかりしないとと思い込んでいた」
飛鳥「それは思い上がりだったんだ。キミたちに不快な思いをさせたことを謝るよ。申し訳ない」
巴「い、いきなり謝るなんて反則じゃぞ!!」
晴「そ、そうだ!! オレも言いたいことがあって……その……巴……さん」
巴「……な、なんじゃい?」
晴「な、生意気言って悪かったよ……あんたがどうして演歌って言ったのかよく聞きもせずに……」
巴「それはええんじゃ。そもそも、ウチが勝手に話を進めてゴリ押ししたのが悪いけんのう」
晴「そんなこと」
巴「あと、お前の言うとおりじゃ。同じユニットやし仲間じゃ。年上も年下も関係ないわい」
晴「そ、そうか……ありがとう」
飛鳥「ふふふ……なあ、二人ともボクの話を聞いてくれるかい?」
巴「なんじゃい、あらたまって?」
晴「どうしたんだ?」
飛鳥「ボクらはせっかく、拓海さん、涼さん、夏樹さんの妹分ユニットなんだ」
飛鳥「だったら彼女たちと同じくロックでやってみてはどうだろう?」
巴「同じ土俵に立つ言うんか?」
晴「楽器とかどうすんだ? やったことあんのか?」
飛鳥「もちろんないよ。でも、出来ないからやらないのは何か違う気がする。そう思わないか?」
巴「……」
晴「……」
飛鳥「それにみんなあの三人に憧れを持っているだろう? 憧れで終わらせるよりボクは彼女たちに挑んでいく姿勢でありたいんだ」
巴「なるほど……強いやつに挑んでこそ真の強者じゃ。ウチの親父もいいよったわ」
晴「さながらFIFAランク上位の強豪に格下が挑む、ジャイアントキリングか……おもしれえ」
巴「ウチは乗ったる! ロックにウチのアツいこぶしを乗せたるわ!」
晴「よし! やってやろうぜ!」
――――――――――――会議室の外
拓海「やれやれ……あいつら、あたしら倒すつもりでいやがるぞ」
涼「こりゃ、強敵だな」
夏樹「でも、良かったのかよ? Pさんからはあいつらにアドバイスはするなって釘刺されてただろ?」
拓海「けっ、どうでもいいんだよ。んなことは」
涼「まあ、アドバイスじゃなくて助言だしな。今回はノーカンってことで」
夏樹「あはは、屁理屈だな」
拓海「でもよ……」
夏樹「ん?」
拓海「妹が困ってるのに、何かしてやろうって思わない姉はいねえだろ」
涼「……そうだな」
夏樹「んじゃ、あいつらに追い越されないよう練習するか」
拓海「おう」
涼「がんばんないとな」
夏樹「でもさ」
拓海「なんだよ?」
夏樹「あいつら、お前らのことカッコいいって言ってたけど、アレもカッコいいのか?」
涼「アレって?」
夏樹「ウサちゃんぴーすとたくみんすまいる」
涼・拓海「!!」
夏樹「アレはちょっとカッコいいとはちげーよな」
涼「夏樹ィ……」
拓海「てんめえ……」
夏樹「あはは、冗談だって……いやいやマジになんなよ……じゃあな!!」ダッ
拓海「待ちやがれ!!」
涼「その事言ったらただじゃすまないからな!!」
夏樹(今回はうまくいったけど……Pさん、このことを最初から見越してたのか?)
夏樹(……まさかね)
おわり
やるなって言われるとやりたくなっちゃうからね、仕方ないね
※これで終わりです
僕の妄想で勝手なユニットつくって申し訳ないです
今回は少し頼りがいのある三人を書きたくて書きました
ここまで読んでいただいてありがとうございました
おつおつ
乙乙
村上巴(13)
すみません! 今気づきました!
巴は13歳です
14歳と思い込んでいました
不快に思われた方申し訳ありません
>>5
――――――――――――一時間後、事務所
P「おはよう、お前たち」
巴「急な用事って言うから来てみたんじゃが、何かあったんか?」
http://i.imgur.com/LgqCjzz.jpg
村上巴(13)
晴「録画してたリーガエスパニョーラ見たかったんだけどな」
http://i.imgur.com/TwDveA4.jpg
結城晴(12)
飛鳥「ボクはいつでもいいよ。キミが必要とするならいつでも飛んでいける自信はある」
http://i.imgur.com/0L04bXK.jpg
二宮飛鳥(14)
P「ありがとうな。実はお前たちに仕事の話があってな」
巴「仕事の話ならメールがあるじゃろ? 今までもそうしとったのに」
P「仕事の話だが厳密に言うと、仕事が決まってるわけじゃない」
晴「何だそれ? 意味わかんねえよ」
>>13
巴「何が日本代表じゃ。ウチはそんなん興味ないわ。それはもっと有名なやつらにさせとけばええ」
晴「代表バカにすんなよ! そういうのもアリだって言ってんだよ!!」
巴「何偉そうに言うとんじゃチビっ子! 目上の人間には敬意を払わんかい!」
晴「目上って1つしか変わんねえだろ! 同じユニットで年上も年下もあるかよ!!」
飛鳥「よしなよ、二人とも。そんなに怒りに身を任せては本質は見えなくなるよ」
巴「じゃかましいわ。さっきから、おどれは何を仕切っとるんじゃ?」
晴「そうだ。いきなりリーダー気取りかよ」
飛鳥「そんなつもりは毛頭ないさ。じゃあ君たちの中でまとめられる人間がいるのかい?」
巴「……もうええわ。お前らとじゃウチの理想には届かん。勝手にせえ」
晴「けっ、こっちもゴメンだ。時間の無駄だったぜ。あばよ」
がちゃ
飛鳥「……やれやれ」
※以上、訂正となります
本当に申し訳ありませんでした
乙
新鮮な組み合わせで面白かった
だりーな が 仲間になりたそうに こっちを見ている!
>>46
ギター弾けるようになりなさい
>>46
歯ギターやめなさい
このSSまとめへのコメント
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