―初夏・長野―
和「………そう…」
和「じゃあ、お母さんとお姉さんは東京に…」
咲「うん…まだ、離婚はしてないけど…」
咲「一度…一人で会いに行った事があるんだよ」
咲「お姉ちゃんは一言も口を利いてくれなかった…」
咲「きっとまだ、私のこと怒ってるんだ…」
和「?」
咲「でも、麻雀なら…」
咲「麻雀を通してならお姉ちゃんと話せる気がする!」
『面白い。その願い、叶えてやろう』
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―翌日―
和(『全国に行こう!』)
和(宮永さん…素敵な方ですね…)
和(きょ、今日会ったら…何の話をしましょうか…)
和(さ、流石にまだ名前呼びは早すぎるでしょうか?)
和(…となると、まずはニックネーム的な呼び名を…)
咲「デジタル!」
和「そうそう!そういうニックネーム的なものを…」
咲「?」
和「ーって!誰がデジタルですか!」
咲「?デジタル!ツモ番!」
和「…えっと、宮永さん。もう一回言って貰っても良いですか?」
和「どうやら昨日は良く眠れなかったので聞きそびれてしまったみたいです…」
和「…あ、違うんですよ?宮永さんの事をずっと考えたとかそういうわけでもないですし、体調も悪いわけでは…」
咲「デジタル!4800の12本場!」
和「あー。私やっぱり駄目かもしれません」
京太郎「おい…咲…いつの間にお前、和と仲良くなったんだ…」
和「須賀君…良いところに!」
優希「私もいるじょ!」
和「優希!助かりました…」
京太郎「何があったんだ?」
和「いえ、どうやら私の耳の調子が…」
咲「多牌!東風!ツモ番!」
和「おお、もう…」
京太郎「……は?」
優希「…すまん咲ちゃん。もう一回言ってくれるか?」
咲「長考~?」
京太郎「もう何言ってるか分からん」
咲「…海底!多牌!東風!4500の13本場!」
優希「うん、とりあえず咲ちゃんの様子がおかしいのは良く分かった」
咲「配牌13牌!」
和「宮永さんには申し訳ないですが、とりあえず保健室に行きましょう」
京太郎「保健室に行ってどうにかなる問題なのかこれ…」
咲「イーシャンテン!?三着確上がり!配牌13牌!」
優希「お、でもこれは何となく分かるじぇ!」
和「どういう事です?優希」
優希「イーシャンテンは医者行ってんだ、つまり医者に行くの?みたいなニュアンスだと思うじぇ」
京太郎「うーむ…まぁ確かに分からんでもないが…」
和「そもそも保健室ですよね…」
優希「次に三着確上がり…そして、この震える咲ちゃんから導き出される答えは一つ!」
優希「ずばり、『嫌だ!嫌い!』って感じだじぇ!…つまり、咲ちゃん!」
咲「?」
優希「保健室!」
咲「フリテン!」
優希「保健室!」
咲「槍槓!」
優希「ほれ、間違いないじぇ」
和「いや、フリテンはともかく槍槓が嫌な理由が…」
優希「細かいことは気にするな!」
優希「最後に配牌13牌…」
京太郎「至って当たり前のことだよな」
和「つまり普通って事ですよね」
咲「裸単騎…」
優希「とりあえずまた咲ちゃんが謎の発言をしてるのは置いておいて」
優希「さっきの咲ちゃんの発言をまとめるとこういうことになる!」
優希「『保健室!?嫌だよ!普通だよ、問題ないよ!』」
京太郎「おお、確かにそれっぽい…」
和「……いや、それっぽいのはそれっぽいんですが」
和「何故宮永さんは麻雀用語で何喋ってるクイズやってるんですか?普通に喋れば良いのでは?」
咲「原点25000!」
優希「これも『普通』って事なんじゃ?つまり、『普通に喋ってるよ!』みたいなニュアンスだじぇ!」
京太郎「えー…つまり、どういう事だ?」
和「…つまり、あまり信じたくはないのですが」
和「宮永さんは普通に喋っているつもりでも、麻雀用語でしか会話が出来なくなっている…という事でしょうか…」
優希「多分そうだじぇ!」
京太郎「な、なんじゃそりゃ…」
咲「ダブ南…」
テラカオスww
久「えー…すると、何か?」
久「昨日まで普通に喋れてた宮永さんが、和と会話し別れた後に一夜明けて」
久「今朝の登校時に声を掛けてみたら訳のわからない発言しかしない」
久「どうやら麻雀用語でしか話が出来ないようだ。なけるぜ」
久「…ーってことで良いのかしら?須賀君」
京太郎「ええ、多分…」
咲「ポン?」
まこ「んなわけあるかああああああい!」
優希「おお、第三者ツッコミ!」
久「いや、だって…授業とかであてられなかったの?」
咲「現物ベタ降り」
優希「振り込むのを回避、って意味じゃないか?」
和「………つまり、あてられなかった、という事で良いんでしょうか…」
久「ふーん。何だか面白そうね!」
まこ(絶対そう言うと思ったわ…)
京太郎(さされる、じゃないのか…)
久「じゃあじゃあ宮永さん!私のこと呼んでみて!」
咲「悪待ち」
久「おおお!的を得てるわね!私が悪待ち好きなのをどうやって知ったかは置いといて!」
優希「じゃあ私は?」
咲「東風」
優希「うむ!咲ちゃんは良く分かってるな!」
和「…なるほど。今考えると、朝の謎の発言の一つは優希の事を言ってたんですね…」
和「………つまり、私のことは…」
咲「デジタル」
和「…………………でしょうね」
優希「おお、のどちゃんがこの世の終わりのような顔を」
和(朝ウキウキ気分で登校した私を引っ叩きたい…)
まこ「わしはどうなんじゃ?」
咲「清一色」
まこ「おお!分かっとるな!混一色より清一色じゃけえのう。何なら緑一色でもええぞ?」
京太郎「…ん?じゃあ俺は?」
咲「多牌」
京太郎「…ん?たーはい?」
咲「多牌」
京太郎「すみません部長、多牌ってどういう…」
久「…さ、さぁ。戯れるのもここまでにして!面子も足りてるし麻雀しましょうか!」
優希「よしきた!かかってこい咲ちゃん!のどちゃん!」
咲「嶺上開花、トップ!」
久「お?これも何となく分かるわね。嶺上開花は宮永さん自身の事を言ってるんだろうし…」
久「『私、負けないよ!トップ取るよ!』みたいな感じかしら?」
和「何で優希と部長は宮永さんの言葉が分かるんです…?」
優希「そんなもんフィーリングに決まってるじぇ!」
久「あ、何なら宮永さんには大きなメモ帳とかをいつも持ってもらおうかしら?答え合わせに!」
和「…答え合わせも何もそれで伝えれば事は足りますよね?」
京太郎「おーい、多牌…」
まこ「…お前さんは知らなくてええ」
京太郎「いや、すっごく気になるんですけど」
まこ「……この女比率が多い麻雀部で、女性陣を独り占め出来てうらやまけしからんって事じゃろきっと」
京太郎「何だ、そういう事か。咲の奴妬いてるのかー。可愛いところもあるもんだ」
まこ(…うむ。もしかしたらそういうニュアンスから来たやつかもしれんし。嘘は言うとらん)
優希「私の起親だじぇ!宜しくお願いします!」
久「宜しくお願いします…っと」
和「宜しくお願いします」
咲「3400の4本場」
優希「東場の私の実力を見ると良いじぇ!ダブリー!」
久「あらら…流石伊達に東風と呼ばれてるだけの事はあるわね…」
咲「ポン聴…」
和「いやポン聴も何もダブリーですけどね…どっちも早いですけど…」
京太郎「何か普通に麻雀してますね、相変わらず咲は何言ってるか分からないですけど」
まこ「いやまぁ推測は出来るぞ?」
まこ「3400の4本場ってのは4600点じゃ。話の流れから言って『宜しくお願いします』の省略形『よろ』って事じゃろ」
京太郎「ん、確かに…」
京太郎「あれ?そうすると今朝会った時に咲が言ってた、なんたらの何本場ってのは…」
まこ「朝に会った時にかける言葉じゃろ?『おはよう』って事で積み棒合わせて語呂合わせの(0)8400ってところか」
京太郎「なるほど…何だ、麻雀用語だけでも結構何とかなるもんなんですね!」
まこ「毒されとるぞ!何とかならんわ!」
咲「カン。嶺上開花、2000・4000」
優希「親っ被りでまくられたじぇ~!」
久「かぁー。やるわねぇ宮永さん」
和「こうして麻雀する分には何の影響も無いんですけどね…ありがとうございました」
久「ありがとうございました」
優希「ありがとうございました。惜しかったじぇ!」
京太郎「でもこの『ありがとうございました』は語呂合わせの仕様がないですよ?」
まこ「別に語呂合わせじゃなくても何かの比喩やら例えでも構わんじゃろ…」
京太郎「あ、そうか」
まこ「…おんし、若干楽しんでないか?」
京太郎「先輩こそ楽しんでません?」
まこ「……まぁ、少しは」
まこ・京太郎(さあ、どう来る…?)
咲「3900」
まこ・京太郎「Thank you!」ヒューッ
お……多牌
優希「それにしても咲ちゃん強すぎだじぇー」
咲「偶然役~」
和「偶然役…。一発や海底等が分類される、偶然性に強く支配される役の事ですよね」
久「つまり『たまたまだよ~』みたいなニュアンスかしらね?」
京太郎「お、これってもしかして咲が喋った麻雀用語の意味を知ることによる良い勉強になるかも…」
まこ「確かにお前さんにとっては良い勉強になるかもしれんのう」
和「……部長、大きいメモ帳なり何なりを買いましょう。今すぐ」
久「これはこれで独創性豊かでオリジナリティに溢れてて良いと思うんだけどなぁ」
和「豊かすぎるし溢れすぎです…。というか、どっちも同じ意味ですよ」
咲「出和了、高め安めなし」
優希「お、また新ワードが!」
まこ「高め安めなしってことは出上がりの場合の得点が一緒ってことじゃな」
京太郎「あ!俺分かりましたよ!」
京太郎「『どっちの出上がりでも一緒→どっちでも同じ→どっちでも良いよ』」
京太郎「じゃないですかね?」
久「みたいね。やっぱり要らないんじゃない?事情を知らない人と対局しても、他の三人で考えれば何となく分かりそうだし!」
和「……宮永さん、私個人で買ってお渡ししますね」
咲「デジタル、3900」
―長野団体戦決勝・後半戦南3局―
咲「カン・カン・カン・ツモ」
華菜・ゆみ・衣「なっ…!」
咲「嶺上開花・タンヤオ・対々・三暗刻・三槓子…8000オール」
衣(聴牌気配のない安手のイーシャンテンからいきなり倍満を上がる相手…)
衣(衣の支配の及ばない淵底の向こう…王牌から牌を掠めていく敵!!)
衣「清澄…」
咲「?」
衣「逆転できると思っているのか?」
咲「牌」
咲「嶺上開花、逆転トップ」
咲「東風、清一色、悪待ち、デジタル、嶺上開花…全局国士」
咲「連続打点上がり、嶺上開花、過水流局」
咲「連続打点上がり、嶺上開花、親…一色」
華菜「いや、何言ってるか意味分かんないし」
―清澄控え室―
和「あぁ、とうとう宮永さんが話し掛けられてしまった…」
優希「むしろこれまで良く話し掛けられなかったじぇ」
まこ「まぁ普通麻雀って口より手と頭を動かす競技じゃからのう」
久「流石に対局中じゃあ、和が買ってあげたでかいボードも使いようがないわね」
京太郎「…って言うかそのボードもここにありますし」
和「対局中にそんなボードなんて持っていけるわけないじゃないですか…」
まこ「何にせよ咲の発言の真意を他の三人が汲み取ってくれるかが心配じゃな」
優希「風越の大将は何言ってるんだこいつ的な目で見てるからあてにならんじょ」
久「あ、でも案外咲の発言が頭の中で残って対局に集中出来なくなるかも?」
和「そんなオカルト…」
衣「…すまん清澄。再度頼めるか?」
咲「牌」
咲「嶺上開花…」
華菜「もうそこからして意味不明だし」
ゆみ「そういえばこの対局中も極力喋ろうとしなかったな」
ゆみ「そして口を開けば出てくるのは麻雀用語だらけ。…まさかとは思うが清澄、麻雀用語でしか話せないとか…」
咲「牌」
衣「……これは、返答の『はい』で良さそうだな…」
華菜「ええ…。華菜ちゃん絶望的な状況だけど、何だかそれ以上に清澄が絶望的で可愛そうになってきた…」
ゆみ「良し、ならば先ほどの清澄の言葉を順に辿って理解していこう」
衣「うむ。それが最善の策だ」
華菜「気になって麻雀に集中出来ないのは困るし」
衣「まず、衣が問うた。逆転できるつもりなのか?と」
華菜「それに対して、『牌』。つまり逆転するつもりだと。勿論あたしだってまだ諦めてないけど!」
ゆみ「次が『嶺上開花、逆転トップ』。逆転するつもりである、という言葉に続いてと考えると…」
ゆみ「今日のこれまでを見て、この嶺上開花と言うのは清澄自身の事を差すと考えて良いだろう」
衣「自分が逆転トップを取って勝つ…という事か。面白い」
華菜「次が…」
咲「東風、清一色、悪待ち、デジタル、嶺上開花…全局国士」
華菜「おお、サンキューだし」
咲「裸単騎、槍槓」
ゆみ「…………なるほど。会話に参加しない一人ぼっちは嫌だ、といったニュアンスか?」
ゆみ「良い頭の体操になるかもしれん。蒲原にもやらせてみるか…」
華菜「さっきから鶴賀の大将、理解が早いな!」
ゆみ「一点読みには定評があってな」
衣「その調子で引き続き頼む」
ゆみ「さて、『東風、清一色、悪待ち、デジタル、嶺上開花…全局国士』か」
華菜「嶺上開花は清澄自身の事だろ?」
衣「だが、他の4つの単語にも特に関連性はないが…」
ゆみ「これも容易い。おそらくそれぞれ、清澄の各区間の事を言っているのだろう」
華菜「そういや副将は謎の待ちばっかやって荒稼ぎしてたし…」
衣(見てないから分かんない…)しょぼん
ゆみ「全局国士は文字にすると分かり易いな。恐らく全国というニュアンスか」
華菜「えー、つまり清澄みんなで全国に行くんだ!的な?」
衣「そうはさせまいがな」
ゆみ「そして次だが…清澄、悪いが復唱頼む」
咲「牌」
咲「連続打点上がり、嶺上開花、過水流局」
咲「連続打点上がり、嶺上開花、親…一色」
華菜「これは難しそうだし」
ゆみ「過水は台湾麻雀の用語だな。日本で言うフリテンに近い」
ゆみ「だが、恐らくここではその意味ではなく、先ほどの全国と同じ使用方法だと考えると…水に流すと言ったところか」
衣「連続打点上がりと言えば…現インハイチャンピオンの宮永照の代名詞だな」
華菜「清澄、確か苗字宮永だったよな。……まさかとは思うけど、もしかして…姉妹?」
咲「……………牌」
華菜「はぁ、道理で強いわけだし…」
衣「…つまり、宮永照と清澄を水に流す…」
ゆみ「水に流すと言えば、全てを許すと言ったニュアンスがある」
ゆみ「転じて仲直りするの意味もあるわけだが…」
咲「………………」
衣「…なるほど?姉妹で喧嘩でもしたということか」
ゆみ「最後のはそうなると、家族揃って一緒と言ったところか」
華菜「おお!すっきりした!さあ清澄!続行だし!」
衣「…………」
咲「3900」
華菜「お、これはありがとうだな!気にしない気にしない!困ったことがあったらお互い様!」
華菜「麻雀も一緒で協力することもあるしな!」
ゆみ「…そうだな。良いリフレッシュになった。楽しかったよ」
衣(楽しい…?)
衣(対局以外が契機とは言え…衣と一緒の卓に…座っていて…楽しい…?)
咲「…海底撈月」
衣「…衣のことか?」
咲「麻雀、炎上!」
華菜「大量失点続きで悪かったな!」
ゆみ「…いや、多分enjoyの意だな。…そうだな、麻雀は楽しいものだ。忘れていたよ」
咲「一色、炎上!」
衣(…!)
衣「うんっ!」
ゆみ「…まだ二局ある。みんなで楽しんでいこうか」
華菜「望むところだし!まだまだ決着はついてないし!楽しんだもん勝ちだし!」
『決まったあああああぁっ!』
『長野団体決勝を制したのは、清澄高校ーっ!』
『土壇場で龍門渕を交わしての初進出だーっ!』
ゆみ「…ふっ」
華菜「……しょうがないか」
衣「………」
咲「…3900!」ぺっこりん
ゆみ「……ありがとうございました」
華菜「ありがとうございましただし!」
衣「………清澄」
咲「?」
衣「名前を、教えてくれないか?衣を打ち破った強き者である、お前の名を」
華菜「って言っても麻雀用語でしか喋れないんじゃ…」
和「宮永さん!」
咲「デジタル!嶺上開花、逆転トップ!」
和「信じてましたよ。宮永さんなら、絶対に勝つって…!」
衣「ハラムラノノカ!」
華菜「ああ、インハイミドルチャンピオンの…」
ゆみ「私はその存在よりも脇に抱えてるボードの方が気になる」
和「あ、これは宮永さん専用ボードです。皆さんにも知られてしまったようですし、隠す必要はありませんね」
和「はい、宮永さん」
咲「デジタル、3900」
咲「」かきかき
咲【私の名前は、宮永咲!】
衣「…そうか、宮永咲。……咲、か…」
衣「咲、これからも、また一緒に衣と麻雀をやってくれるか?」
咲【うん!楽しかった!またやろうね!】
華菜「おっと!宮永だけじゃないぞ!」
衣「!」
ゆみ「そうだな。楽しかったよ。またご相伴に預かりたいものだ」
咲【そ、そんな謙遜なさらずに…】
衣「お前たち…衣は酷いこと言ったのに、許してくれるのか…?また麻雀を打ってくれるのか…?」
華菜「華菜ちゃんは大人だからな!宮永の麻雀用語を翻訳するのを共に悩んだ仲ってことで!」
ゆみ「そういう事だ。また麻雀しながら色々考えようじゃないか」
咲【ボードがあれば、大会じゃなきゃそんな手を煩わせる事ないですよー!】
ゆみ「おっと、それもそうだな」
ハハハハ…
和(雨降って、地固まるですか)
―インハイ二回戦―
恭子「ツモ!4000・8000や!」
豊音・霞「!」
咲「ツモ。400・800」
豊音・霞「」
『インハイ準決勝へ駒を進めるのは清澄と姫松だーっ!』
豊音「うえええええん!ありがとうございました!」
霞「ありがとうございました」
恭子「ありがとうございました」
咲「3900」
豊音・霞・恭子「!?」
>>18
中堅じゃろ池田のとこ
天才かよ
恭子「いやいやいや、3900って何?」
恭子「『Thank you』って事か?」
咲「牌」
霞「あら、じゃあこれは『はい』って事かしら?」
豊音「…ぐすん。宮永さん、普通に喋れないの?」
咲「……牌」
豊音「そ、それはちょー大変だよー!」
恭子「しかもこれ、限定された用語でしか喋れへんのか?大変やな…」
豊音(……あ、あら?そんな神様に心当たりが…)
和「いえ、心配には及びません」
咲「デジタル!」
豊音「あ!原村さん!サイン頂戴!」
和「別に構いませんが…」
>>28
あー豊音がおっぱいの台詞喋ってるしめちゃくちゃだよ(棒読み
×豊音(……あ、あら?そんな神様に心当たりが…)
○霞(……あ、あら?そんな神様に心当たりが…)
和「はい、咲さん。どうやらこの三人の方にも理解して頂けたみたいですね」
咲「デジタル、3900」
豊音「おお、エイスリンさんみたいなボード」
咲【すみません皆さん。私は普通に喋っているつもりなのですが、どうやら麻雀用語に変換されて口に出るようで…】
霞(……や、やっぱり凄く心当たりが…)
恭子「とんでもない話やな。と言うかあんた字、うまいな」
咲【毎日書いてるもので…】
和「…こんな感じで良いですか?」
豊音「ありがとうございます!ちょーうれしいよー!」
豊音「あ、宮永さんも末原さんも石戸さんもサイン書いて欲しいよ!」
恭子「うちのサインなんかいるんか?あんたも大概に変な人やなー」
咲【でも、一番手ごわかったですよ?末原さん】
恭子「え、ほんまかー?」テレテレ
豊音「むむ!次はもっと強くなって見返してあげるよー!」
霞(ど、どうしましょう…六女仙はみんなこっちにいるし…)
和(しかしこの人は肩凝らないんでしょうか?)
―インハイ決勝前―
久「え?インハイ決勝では試合前に4校の出場者全員が集まるって?」
美穂子「ええ。聞いた話で申し訳ないのだけれど」
未春「運営の方々から直々に激励の言葉があるとか…」
華菜「…でも、そうなると。宮永はお姉さんと…」
咲「………」
まこ「ボードは持ってけんのか?」
優希「流石にそんな集まりにこのどでかいボードは持っていけないじぇ」
和「……咲さん」
咲「DORA麻雀」
まこ「おお、新ワード」
美穂子「ドラ麻雀…ですか?」
未春「決勝の対戦相手である阿知賀の先鋒の方がそれに近い打ち筋ですよね」
優希「対策はバッチリだじぇ!」
華菜「でも、それだと意味不明だし。見ろ、宮永を」
咲【大丈夫】
久「…さっきの咲の発言はドラ麻雀ではなく、DORA麻雀ね。ドラをローマ字表記にしたものよ」
和「…って、何です?聞いたことありませんけど…」
美穂子「丁度そこに、PCがあるから使って調べてみましょう。そういうのが出来るんですよね?」
美穂子「…って、あら?動かなくなってしまったのだけれど。画面も青いし…」
未春「ああ、キャプテン触っちゃダメですよ!」
美穂子「ご、ごめんなさい。つい…」
まこ「いや、どうやったらそうなるんじゃ」
優希「お姉さんにかかれば電子器具は一発だじぇ」
和「…こっちは全然大丈夫じゃないですね」
久「…これ、請求されないわよね?」
美穂子「た、叩けば治らないかしら?」ガンガン
華菜「キャプテン落ち着いてー!」
キャップが使えないから、つい自分で調べてしまった
久「…DORA麻雀ってのはね、簡単に言うとネットで対人で出来る賭け麻雀の事を言うわ」
まこ「それ、大丈夫なんか?」
久「問題ないみたいね。国際オンラインギャンブルライセンスという高品質の許可書を取得しているらしいし」
久「ユーザの多くも日本人らしいし、サイトもソフトも日本語よ」
優希「ほえー」
久「レートは20円~5000円。日本のフリーよりもたくさんの選択肢があるわ」
久「1位と2位に勝ち金が渡されるから、結構シビアよ」
久「ちなみに円じゃなくてドル払いだったりするわ」
優希「部長、詳しすぎだじぇ!」
和「なるほど。まぁ、実際にやるやらないはともかくとして」
和「咲さんのその発言は『DORA麻雀→大丈夫』というニュアンス…」
和(DORA麻雀って麻雀用語なのかどうかはさておきですが)
ちょっとした推理小説より頭使うSSだな……
優希「つまり、咲ちゃんのお姉ちゃんと会うような事があっても大丈夫!ってことだな!」
咲「牌」
まこ「咲は強うなったのぉ」
和「確かに。麻雀だけでなく、心も強くなった気がします」
咲【もう逃げないって、決めたから】
久「良し、その意気よ!」
久「咲は清澄の大将にしてその一番の原動力!もっと胸張ってお姉さんに会ってきなさい!」
優希「咲ちゃんに張るだけの胸はないじぇー」
咲【優希ちゃんだってないでしょ!】
アハハハ…
<にゃああああああああ!煙出てきた!
<だから、キャプテンは触っちゃダメですって!
<ご、ごめんなさい…
どうしてスレタイは和じゃなくて優希なんじゃろか?
『それでは、最後まで勝ち残った4校の栄誉を称えて…』
淡「ふわ~。退屈だった」
菫「シャキっとしろ。マスコミにすっぱ抜かれるぞ」
尭深「いつもに比べれば、1位通過の阿知賀の方に注目は行ってます。大丈夫でしょう」
誠子「決勝で準決勝の借りは返す!」
照「とにもかくにも早く控え室に…」
菫「急ぐ理由でもあるのか?」
照「……それは」
淡「お菓子だね!お菓子不足!」
照「もうそれで良いからさっさと帰…」
咲「………」
照「………」
淡(あっ、テルーの妹)
菫(なるほど、これでか…)
咲「連続打点上がり!」
菫「!?」
淡「!?」
尭深「!?」
誠子「!?」
照「……咲、あなたにお姉さん呼ばわりされる筋合いはない」
菫「!!??」
淡「!!??」
尭深「!!??」
誠子「!!??」
咲「連続打点上がり!嶺上開花、嶺上開花!」
照「…全く身に覚えがない」
咲「連続打点上がりっ!!」
照「……ごめん、私たちは急いでいる…菫、行くよ」
咲「長考っ!!」
照「………待たない」
淡「いやいや、つーかちょっと待った!」
咲・照「?」
淡(うわぁ振り向くタイミング同時、流石姉妹)
菫「淡に同感だな。……申し訳ないが、二人で何を喋ってるんだ?」
照「何、って…」
咲「連続打点上がり…」
照「だから、私に妹はいないと」
誠子「いやもうそこからして意味不明なんですけど」
照「?」
尭深「さっきから此方の方は、『連続打点上がり』と連呼していらっしゃってばっかりで…」
照「いや、尭深こそ何言ってるの。さっきから咲が言ってるでしょ。お姉ちゃんお姉ちゃんって」
照「私に妹はいないと何度も言ってるのに」
咲「連続打点上がり!」
照「ほら、また」
誠子「いやその台詞は私たちが言うべき台詞なんですけど」
淡「もう何が何だかさっぱり!」
久「はーい咲。終わったー?」
まこ「修羅場っぽいのう」
優希「どっちかって言うと話が伝わってないんじゃ?」
和「一度控え室に行って戻ってきました」
菫「清澄御一行の登場か」
淡「こりゃー、直ぐには帰れそうにないね!テルー!」
照「ぐぬぬ…」
誠子「まぁ、こっちとしても願ったり叶ったりだ」
尭深「何の会話してるか全く意味不明でしたからね…」
和「はい咲さん、ボードです」
咲「デジタル、3900」
淡「まーた意味不明な事を」
照「全然意味不明じゃないでしょ。『和ちゃん、ありがとう』って言ってるだけじゃない」
菫「いや全然そうは聞こえんがな」
尭深「『デジタル、3900』にしか聞こえません…」
誠子「さっきから麻雀用語ばっか連呼してますよこの人は」
照「そんな馬鹿な話が…」
咲【ごめんなさい。どうやら私の口から出てくる言葉は、補正がかけられて麻雀用語になるらしくて…】
照「普通に喋ってたじゃない!」
菫「その普通が既に普通じゃない」
久「ちなみに咲が言ってる、いや書いてることは本当よ。おかげで凄く苦労したんだから」
まこ(面白がってた気がするんじゃが…)
照「………本当なの?咲」
咲「牌」
誠子(問いに対する『はい』って事で良いんだよな?)ひそひそ
尭深(多分…)ひそひそ
咲【確かに、これのせいで苦労しなかったと言えば嘘になります】
咲【でも、別に私は悔やんだり悩んだりはしませんでした】
咲【この決勝に来るまでの間に、沢山の人とこれのおかげで仲良くなれたから】
咲【この決勝に来るまでの間に、たくさん強くなれたから】
淡(テルーの妹、字書くの早いしうまいなー)
咲【それに……嬉しかった】
照「…どうして」
咲【だって、お姉ちゃんだけは私の言葉を理解してくれたから】
照「……っ!」
咲【今思うと、神様が私の願いを叶えてくれたんだと思います】
咲【私がこうなったのは、『麻雀を通してならお姉ちゃんと話せる気がする』と思ったその次の日】
和(そういえば…確かに)
咲【今こうしてここで、私はお姉ちゃんと麻雀を通して会話出来た】
咲【そりゃ、本当は同じ卓で麻雀したかったけど区間も違うし…】
咲【だから、私は満足しています】
照「………」
菫「…おい、照」
照「…何」
菫「どうやら遅かったみたいだな。マスコミがいつの間にかたくさんいらっしゃってる」
照「……もっと早く私に言えたんじゃない?菫の視野なら」
菫「さて、何のことやら」
照「………ふんっ」
咲「……連続打点上がり」
照「………ええ、認めますよ」
照「ここにいる宮永咲は、私宮永照の唯一の妹です」
咲「!」
<マジかよ
<写真撮ってけ、写真!
<そういやあのホーン、二人揃ってそっくりだな
照「………苦労してきたんだね、咲」
照「…でも、私が咲を許す許さないはまた別の話」
照「……だから、良い?咲」
照「私に認められる麻雀を、あなたの全力の麻雀を私に見せなさい」
照「あの頃の、ふざけた麻雀でなく。今の成長したあなたの全力の麻雀を」
照「…そうしたら、私も咲の事を。許してあげなくも…ないよ」
一行「いよっしゃあああああああああああああ!」
咲「お姉ちゃん」
和「!」
咲「私、頑張るから。全力で応えるから」
咲「ちゃんと、見ててね?」にこっ
照「…うん、見てるよ」
和「咲さん、連続打点上がりじゃなくて…お姉ちゃんって…」
咲「え?ホントに?」
和「ほら普通にしゃべってます!私のこと呼んでください!」
咲「和ちゃん」
和「FUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO」
和「夢にまで見た咲さんとの名前呼びぃいいいいいいいいい!」
優希「のどちゃんが倒れた!」
まこ「ここまでひたすら冷静にしてた分の反動じゃな…」
久「内心では相当我慢してたのね…」
こうして、私宮永咲の奇妙な体験は終わりを告げました。
私自身は普通に喋っているつもりなので、全く分からないんですけれども…
でも、おかげで色んな人と仲良くなれました。
お姉ちゃんとも、仲直りできました。
お父さんとお母さんも、近々ヨリを戻すみたいです。
家族一緒に暮らせる日が、こうして現実になろうとしている。
一度は完全に諦めた私の夢が、今こうして叶おうとしている。
それだけで、私は世界一の幸せ者です。
『祖母上様…上手くいったのでしょうか?』
『あら、ご挨拶だこと』
『私とて昔は六女仙の一人。神様一人祓うくらいなら、そう難しいことではありませんよ』
『そうでしたか…。ありがとうございます』
『ただ…その余波で…番いの…』
『え?』
『…いえ、何でもありません』
『霞。姫様をくれぐれも頼みましたよ』
菫「…で、お前が妹さんと仲直り出来たのは非常に喜ばしいことなんだが」
照「うん」
菫「さっきからお前はお菓子を貪りながら何をやっているんだ?」
照「決まっている。咲のメールの練習相手…という名のお菓子推進運動」
照「お父さんったら、最近まで咲に携帯すら買わせないで…咲が可愛そう」
菫「ああ、それも何回も聞いた」
菫「で、だ。今私たちは別室で特打ち中なんだが…」
菫「何でそれに参加しないのかとやんわり聞いている」
照「今私は忙しい」
菫「さっきからそればっかりだよな!?」
菫「いやホント頼むぞ。お前近々長野に戻るんだから。それまでに後輩の指導をするのは義務だからな」
照「んー。分かった分かった。これ終わったらすぐ行くから」
菫「………」
照「菫。ネチネチ言ってるとお嫁さんに貰えないよ」
菫「お前よりは引く手あまただから安心しろ」
照「菫も咲みたいな苦労を味わうべき、うん」
照「む、咲め。お菓子ばっかり食べてると太っちゃうよ?と来たものだ」
照「全く咲はお菓子の素晴らしさが分かってない。菫もそう思わない?」
菫「…お前こそ妹さん並の苦労を知るべきだな」
照「私が?…それなら、お菓子の良さを咲に説明するためにも、お菓子を通じて咲と話したい」
菫「またお前はそういう…」
『面白い。その願い、叶えてやろう』
カン!
乙 今度は照かw
おっとっと!
対応
長考→待った(て)(>>40)→また(>>3)
ツモ番→華菜「早くツモれよ」→はよ→お早う(>>2,>>3)
海底→Sea→See→だから!(>>3)
裸単騎→豊音「重ならないとぼっちだよ~」→一人ぼっち、もしくは蚊帳の外(>>5)
ダブ南→南南→なんなん→なんなの(>>5)
※炎上は麻雀用語ではなく勝負事の用語です。本当は中*6で夢中ってやるつもりでしたが「楽しもうよ!」にならないので妥協
>>37
初期案では現タイトル名に続いて和「SOA」とあった名残です。
SSを書くいつもの時間よりも3倍時間がかかりました。なんだこれ。でも宮永姉妹が仲良しならそれで良し。
後ほどHTML化申請致します。読んで頂いた方、あり…3900!
おつ、面白かったよ3900!
乙
面白かった
6000はなんのこって?
多牌…乙!
何をどうしたらこんな発想が生まれるんだ
乙
素晴らしかった
乙
ちょっとのよりんっぽさもあったな
>咲「牌」
そのまんまじゃねーかwwwwww
もんのすごく斬新で面白かった乙
馬鹿みたいな京太郎スレが並ぶ咲スレの中で
久々に面白いと思える良スレだった
>>1 3900!!
>>1 3900!!
>>1 3900!!
>>1 3900!!
連投して申し訳ない orz
連続上がりかな?
俺は3900を三回あがるより12000上がる方が好きやで!
1乙!
乙
3900
乙
これは力作
乙
4800な作品だった
>>東発、500/1000
3900
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