帝国都市 城門前…
勇者(異世界から召喚された選ばれし者達だって神官様は言ってたけど…)スタスタ…
勇者「…」チラッ…
企業戦士「…?…どうされました?」
女医「なによ…」
凄腕「…」スゥー…プハァー…モクモク…
勇者「ねぇ…あなた達って異世界から召喚されたんだよね?」
企業戦士「えぇ…まぁ…」
女医「ホントいい迷惑よね!アタシらだって自分の生活があるのに、こんなワケの分からない世界でタダ働きなんて…」ヤレヤレ…
勇者(…強制召喚されたんだ…)
凄腕「…」スゥー…プハァ…
凄腕「…!…おい…」
勇者「は…はひ!?」ビクッ!
勇者(喋った!?)
凄腕「…敵だ…」
俺の後ろに…立つな!!
勇者「敵って言ったって…一体何処に…」キョロキョロ…
…ヴゥーン…キラキラキラ…
企業戦士「あれは…!?」
女医「何よ、あのキラキラした輪っか…」
勇者「あれは高度な転移術の魔方陣よ!」
…ズズズズ…
鉄巨人達「「「オ゛オォォ…!」」」ズズズ…
勇者「…!…鉄巨人!?…どうしてこんな魔物が…!」ゾクッ…
女医「うぇー…なんかゴツゴツしててキモーイ…」
企業戦士「なるほど…これが“魔物”というモノですか…」フムフム…
凄腕「…」ジー…
勇者「ちょっと!何やってるの皆!早く逃げなきゃ!…あんなの敵いっこな…」
企業戦士「いえ…大丈夫ですよ…きっと!」ニコ…
凄腕「…だな」スッ…
女医「はぁ…なんでヤル気満々なのよ…。もぅ…わかったわよ…アタシもやりゃいいんでしょやりゃあ」はぁ…
企業戦士「では久々に…ビジネスといきましょうか」ギラッ…
女医「アタシ…オペには時間を掛けない主義なのよね…さっさと終わらせるわよ」ゴゴゴ…
凄腕「…潰す」ドンッ!
勇者(…!?…皆の雰囲気が…変わった…!)ビリビリ…
鉄巨人達「「「ヴオオォォォ…」」」ズシン…ズシン…
企業戦士「インフレーション!」ズァ…
▼企業戦士の全能力が大幅に上がった!
企業戦士「ネクタイ…パージ!」シュルリ…
企業戦士「タイブレイド…レイズアップ!」ヴゥン!
勇者(企業戦士が首に撒いてた布きれが…輝く剣に…!?)
鉄巨人「オォォォ…!」ズァ!…ゴオォ!
勇者「危ない!真上から腕の降り下ろしが…!」
企業戦士「“通勤快速!”」シュンッ!
勇者「消えた!?」
鉄巨人「オォォォ!?」スカッ…グラリ…
鉄巨人「…ウォ……」キョロキョロ…
企業戦士「何処を探している…私は…」ヒュンッ!
企業戦士「ここだ!」ズァッ!
…ズバッ!…ザシュッ!…
鉄巨人「グオオォォ…!」ヨロ…ドッシャアァァ!…
勇者「全身が鋼で出来た巨人を…いとも容易く…!?」
企業戦士「ふむ…これは良い鋼材ですね…」
企業戦士「今後とも懇意にお取引きをお願いしたいものですね」
最後の詰めが甘い!
この流れでなんで普通に
『ザシュッ!』なんだよ
なんだ、強いのか…
企業戦士は名刺カッターを使うな。きっと。
企業戦士強いなw
普通に交渉術とかかと思ったら
女医「あら…早かったじゃない。こっちも終わったわよ」スタスタ…
勇者(…!…鉄の巨人が…細切れに…)
企業戦士「お疲れ様です」ニコ…
女医「労いなんかいいわよ…それよりさっさと残りを片付けましょ」チャキ…
企業戦士「そうですね」
凄腕「…その必要はない」スタスタ…
勇者「え!?」
凄腕「あれを見ろ…」クイッ…
鉄巨人達の残骸「「「…」」」
勇者「…ッ!」
女医「へぇー…やるじゃない!アンタ」
企業戦士「お見事です」
凄腕「制圧…完了」ガシャコン!…チリーン…
勇者「凄い…」
勇者(何者なの…この人達…)
勇者「…あなた達は元の世界では何をしていたの?」
企業戦士「私はとある企業に勤めるしがないサラリーマンですよ…あ、良かったらこれをどうぞ。名刺です」ペコリ…
勇者「そ、そうなんだ…」
勇者(…どこかに勤めてるってことは商人さんなのかなぁ……名刺?)
女医「アタシはこう見えても医者よ…ってかこの白衣見りゃ分かるでしょ普通…バカなの?アンタ…」
勇者「あうぅ…ごめんなさいごめんなさい…」タジ…
勇者(そんなこと言われてもわかんないよぉ…)
凄腕「…」ゴソゴソ…スッ…
…カチッ…シュボッ!…
勇者「あの…凄腕さんは…」
凄腕「…」スゥー…プハァー…
勇者「…凄腕さん?」キョトン…
凄腕「なぁ…嬢ちゃん…」スゥー…
勇者「な…なんですか…?」
凄腕「世の中には知っておいた方がいい事と…知らない方がいい事がある…」プハァー…
勇者「は…はぁ…」
凄腕「俺が言いたい事は…分かるな?」ピッ!…グリグリ…ジュー…
勇者「…うん」
勇者(そんな言われ方したら余計気になるよぉ…)
勇者(でも…)
凄腕「…先を急ぐぞ…」
女医「ちょっと!アタシに命令しないでよね!」
企業戦士「まぁまぁ…」ハ…ハハ…
勇者「…かっこいいかも///」ボソ…
企業戦士「あの…勇者さん?」
女医「アンタ…趣味悪いわね…」
勇者「…!…い、今の無し!今のなしぃー!!」アセアセ…
―――――…
『…とまぁ、こんな感じで私たちの旅は始まったんです』
『英雄召喚によってこの世界に召喚された三人と私はこれから世界各地を渡り歩いて行く事になるんですが…』
『…まさか、この旅がきっかけであんな事になるなんて…あの時の私は思ってもいませんでした…』
―――――…
序章『遠方(異世界)より来る…』 完
…引き続き…
第一章『私…初心者(ビギナー)なんです…』
ゴルゴ!?いや違うな
とにかく④
どっちかっつーとスネークとかそっちかな?
夕暮れ…
湖畔の街 宿屋…
三階 客室…
勇者「うぅ…酷い目に遇いましたぁ…」どよーん
企業戦士「災難でしたね…」
女医「ぷ…くく…あっはははは!」
勇者「あー!ひっどーい!なにも笑うことないでしょー!」プン!
凄腕「…」カチャカチャ…
女医「いやー、でもさすがにあれはないわー…だってさぁ…」
―――
――
―
―
――
―――
数刻前…
街道…
企業戦士「はッ!」ヴゥン!…ズバッ!
オーク「ぐはっ…」ドサッ…
スライム「…」ビュッ!…ベチャ…
勇者「やーん!変な液で…服が…」シュワー…
女医「それっ!」スパパパパッ!
ゴブリン「ギ…ギギ…」ブシュッ!
スライム「…」ピョーン!…スルリ…
勇者「やだやだ!待って!服の中に入って来ないで!…そこは…!!」モジモジ…
凄腕「…」ジャカッ!…
…ズガンッ!…ビスッ!…
怪鳥「グギャー!」ヒューー…ドサッ…
スライム「…」ウネウネ…ウニョウニョ…
勇者「ひー!…もういやあぁーん///」はぁ…はぁ…
勇者「みんなー!…た、たーしゅけてー!」ウルウル…
―――
――
―
―
――
―――
湖畔の街 宿屋…
女医「あんな弱そうな魔物に辱しめられた上に…『たしゅけてー!』って…アンタ…ぷっ…」プルプル…
勇者「は…辱しめなんて受けてませんよー!」ウガー!
女医「あと…『ひぎぃ!』とか…『らめぇ!』とか…」クク…
勇者「そ、そんな事、言ってないもん!///」カァ…
女医「あっははは!…そうよねー…ホントは『たしゅけてー!』だもんねー」ニヤニヤ…
勇者「女医さんのバカー!」ポカポカ!
女医「ちょっと…やめ…やめなさ…」
勇者「うわーん」ポカポカ!
女医「…少しは落ち着いたかしら?」ボロ…
勇者「うん」スッキリ!
女医「まったく…アンタらも見てないで止めなさいよね」ムス…
企業戦士「自業自得です」ニコ…
凄腕「…知ったことか」キリッ!
女医「アンタら…ホンットいい性格してるわね」ジトー…
勇者「そういえば皆は何でそんなに強いの?」
勇者「凄腕さんは見るからに常日頃から何かと戦ってます!って感じだけど…」
凄腕「…」
勇者「企業戦士くんと女医さんは…」ジー…
女医「あら…失礼ね。アタシだって救命救急という名の戦場で、命の危機に瀕した患者に迫り来る死神共と戦ってたのよ」
企業戦士「私も生き馬の目を抜くビジネスの修羅場で日々悪質なクレーマーや公認会計士と戦っているんですよ」
勇者「そ…そうなんだ…」
勇者(救命救急?…クレーマー?)
女医「ってか逆に質問なんだけど…アンタは何でそんなに弱っちいのよ?」
勇者「え…?」
女医「仮にもこの世界の命運を託された選ばれし者なんでしょ?」
勇者「確かにそうなんだけど…私…」
勇者「…初心者なんです」
企業戦士「初心者…とは?」
凄腕「…」
勇者「う、うん…なんか御信託が下ったとかで大聖教の神官様が『今日から貴女が勇者です。どうか世界を救って下さい!』って…」
勇者「それに私…一応貴族だから今まで帝国都市からあんまり外に出たこともほとんどなくて…」
企業戦士「それは…困りましたね…」フム…
勇者「だからそれを見かねた神官様が英雄召喚でみんなを喚んでくれて…」
女医「…冗談でしょ?…それでアタシらはこんな右も左も分からない世界に来て…しかもこんなヒヨッ子のガキの使いに巻き込まれたっての?」
女医「やってらんないわよ!」ガタッ!
勇者「…ごめんなさい」
女医「はぁ…なんかどっと疲れたわ……寝よっと」スタスタ…ポフ…
企業戦士「…それでは私達も部屋に戻りますね」スタスタ…
凄腕「…」スタスタ…
勇者「あ……」
…ガチャ…バタン…
勇者「おやすみ…なさい…」
―――――…
『私だって好きで選ばれた訳でもないし、ましてガキの遣いなんかじゃない!…出来るなら平和に暮らして居たかったよ!!』
『…私はよっぽどそう言い返してやりたかった…だけど…』
『宿屋で私の話を聞いた三人の心がなんとなく私から離れて行くような気がしてならなくて…』
『自分に自信がもてなかったあの頃の私はいつも不安でいっぱいだったんです』
『本当に…このパーティーとうまくやっていけるのか…と』
―――――…
第一章『私…初心者(ビギナー)なんです』 完
…引き続き…
第二章『白衣の(堕)天使』
おもしろい、支援
鉱山の町…
坑道 入口前…
女医「だ~か~ら~!…それを何とかしなさいって言ってんのよ!」
衛兵「無理なものは無理だ!坑道が通行可能になるまであと、1週間はかかる!」
衛兵「今は落盤によって生じた土砂の撤去作業中だ!…復旧するまで待て!」
企業戦士「仕方ありませんが…他に道もありませんし、坑道が通行可能になるまで待ちましょう」
凄腕「…」スゥー…プハァー…
勇者「じゃあ宿を探しに行こっか」
企業戦士「えぇ」ニコ…
女医「はぁ…」
女医(アタシはこんな世界で悠長にしてらんないってのに…!)
凄腕「…」
つまんな
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