豊音「トヨネダヨ…アケテ…アケテ…」 (37)
塞「ひぃぃ!?」
豊音「ネェ?ナンデイジワルスルノ?アケテ…」ドンドン!
エイスリン「オマエ トヨネジャナイ!カエレ!」
白望「そうだ!来るな!」
豊音「ミンナ…チョーヒドイヨー」
白望「酷いのはお前だ!胡桃を、こんな目に遭わせて!」
胡桃「はぁはぁ……」
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エイスリン「クルミ ダイジョウブ?」
塞「酷い怪我だ、早く病院に診せないと」
ドンドンドン!!!
豊音「ドウシタノ?ハヤクアケテ…」
塞「ひぃ!?」
白望「もっと、ありったけの重しで入り口を塞ぐんだ!」
エイスリン「ワカッタ」
白望(こんなことになったのは今から数時間前のことだ…)
白望(私たちは朝早くから宮守学園の麻雀部に顔を出すこととなった…)
胡桃「豊音おはよー」
豊音「あ!胡桃おはヨウ」
胡桃「何だか随分大きくなってない?」
エイスリン「トヨネ オオキイ」
白望「胡桃三人分?」
胡桃「そんなにちっさくないよ!」うがー
エイスリン「クルミ チッサイ」きゃっきゃっ
豊音「………」
塞「おはよ…ってわ!豊音…そんなに大きかったっけ?」
豊音「ヤダナ、塞さんも変なコトイッテ…」
胡桃「でも確かにさっき見たより少し背が伸びたような…」
白望「成長期?」
豊音「ウフフ…」
白望(今日は宮守は休校となっていてインハイに向けて練習している私たちと、警備員のおじさん以外誰も居ない…)
白望(外は不気味に吹雪いてきた…天気予報では晴れだったんだけど、まぁ東北だからか珍しくもない)
白望(私たちは麻雀部の部室へと向かう。熊倉先生は見当たらなかった、この吹雪の中だ向かう途中、雪道で難儀しているのだろうと私たちは考えた…)
胡桃「ポン!」
豊音「それロンダヨ…」
胡桃「え!?そんな…」
エイスリン「トヨネ ツヨイ」
白望「さっきから豊音が勝ってばっかりだ…」
胡桃「シロが手も足も出ないなんて珍しいね」
白望(まぁ、たまにはこんなこともあるか…豊音も最近めきめきと力を付けてるみたいだし…)
エイスリン「モウイッキョク」
塞「ねぇ?モノクル知らない?」
エイスリン「モノクル?」
塞「昨日、部室に忘れて来ちゃったんだけど、何時もの場所にないの…」
白望(ふと、普段は使わないロッカーの前に塞のモノクルがあるのを発見する…)
塞「あったあった…って!?割れてるじゃん!」
胡桃「酷いね…誰がこんなことしたんだろう?」
塞「熊倉先生から頂いた大事なモノクルなのに…」
エイスリン「サエ ゲンキダシテ」
豊音「………」
ガタガタ…
エイスリン「!?」びくっ…
塞「外、吹雪いてるね」
胡桃「熊倉先生大丈夫かな?」
豊音「………」
白望「う~ん…これじゃあ帰れそうにないな…だる…」
塞「最悪、学校に泊まる事になるかもね」
エイスリン「オトマリ?ヤッター!」
白望「それじゃあ早速…寝よう…」
エイスリン「ワタシモシロトネル」
塞「そんな暢気にしてる場合じゃないでしょ?先生雪のなかで往生してるかもよ?」
胡桃「でも先生だし…大丈夫じゃない?」
エイスリン「ダイジョウブ♪」
豊音「そうだよ…ウフフ…」
白望(何だか豊音がまた大きくなったような気がする…)
塞「でも、何でロッカーの前にモノクルがあったんだろう?」
胡桃「誰かがいたずらした?」
塞「でも、私と先生以外にこのモノクルの置き場所を知らないはず…」
豊音「フフ…気ニシスギダヨ…」ごご…
白望(豊音…?)
塞「そうかな?」
豊音「フフフ…」
白望(何だか今日の豊音はおかしい気がする…豊音なのに豊音っぽくないというか…)
白望(それから、何事も無く時が過ぎて行った…)
豊音「チョットお腹空いたヨー」
塞「え?朝ご飯食べてこなかったの?」
エイスリン「トヨネ クイシンボウ」
豊音「ちょっと購買覗いて来るね…」
塞「ちょ!?今日は購買は休みだって…行っちゃった…」
エイスリン「トヨネ アワテンボウ」
塞「購買に行っても何も無いのに…」
エイスリン「ゴハン ココニモナイ」
白望「だる…」
塞「まぁ、そのうち戻ってくるでしょ」
胡桃「ちょっと行って止めて来るね」
白望(そうして胡桃は勢いよく出て行った豊音を追っかけて部室を出て行った…)
胡桃(豊音は何処だろう?…なんだか昼間なのに薄暗くて不気味だな…)
バリ…バリ…
むしゃ…むしゃ…
胡桃「豊音?居るの?」
バリ…バリ…
ゴリ…ゴリ…
豊音「………」ガツガツ…
胡桃「豊音?何か食べてるの?こんな所で食べてないで部室に戻りなよ…」
豊音「………」モグモグ…
胡桃(?赤い液体が足下に…)
胡桃「ねぇ、豊音?この液体何?トマトジュースでもこぼしたの?」
むしゃ…むしゃ…バリ…
胡桃「え?これ、警備員さんの制服…これ、人の腕?」サー…
豊音「チョーオイシイヨ…」バリバリ…
グシャ…
警備員「 」
胡桃「キャー!!!」
豊音「ネェマッテヨークルミーアハハ」どしどし…
胡桃「くるなー!」
白望(私たちが胡桃の叫び声に気付いた時、血だらけになった胡桃が部室へと逃げ込んで来た)
塞「ど、どうしたの!?胡桃!?」
エイスリン「クルミ ダイジョウブ!?」
胡桃「はぁはぁ…化け物…アイツ、豊音じゃない…」
塞「ちょ!?どういう…」
白望(言い終えると胡桃は力尽きて死んだように横になった…)
白望(胡桃が逃げて来た廊下の先には、点々と続いた胡桃の血とその向こうに豊音の格好をした何とも形容しがたい化け物のようなものが居た…)
塞「なに!?何が…」
白望「とにかく教室を閉めよう」
エイスリン「デモ トヨネガ…」
塞「そうよ!豊音が外に…」
白望「違う!胡桃の怪我を見たでしょ?アイツは豊音じゃない!」
こういうホラー系好き
期待
胡桃「うぅ…」
エイスリン「クルミノケガノチリョウヲ…」
胡桃「エイちゃん…ありがとう…」
エイスリン「クルミ…」
白望「塞、火を焚いて」
塞「え!?ここ部室の中だけど…」
白望「いいから!」
白望(それから、私たちは部室にあるありったけの物で部室の入り口を塞ぎ、雑誌などの燃えるもので火を炊く。私たちは奴が何処かへ行くまで籠城することにしたのだ)
塞「ねぇ?胡桃…一体何が起こってるの?」
胡桃「アイツ…食べていた…警備員のおじさんを…」
エイスリン「ホワイ!?」
塞「どういうことよ…もしかしてドッキリ?ねぇ、そうなんでしょ…」
エイスリン「デモ クルミホントウニケガシテル」
白望「残念ながら、胡桃の話は本当だと思う…」
白望(私たちはばちばちと燃える焚き火を囲み、この身に降り掛かった凶事が過ぎ去るのをじっと待ち続けた…)
白望(こんな怪奇な事も…熊倉先生なら何とか出来るかもしれない…そんな微かな希望を胸に抱いて…)
エイスリン「ウゥ…センセイ…」
塞「そうよ!あんなオカルトパワーのあるモノクルを持っている先生だもん!きっとあんな奴もやっつけられる」
白望(私たちはふとロッカーを覗く、そういえばここの前に塞のモノクルが落ちてたんだっけ)
塞「ちょっと気になるから開けてみるね…」
エイスリン「サエ…」ふるふる…
白望「いや、私が開ける…」
塞「シロ…」
白望(私が勇気を出してロッカーを開けるとそこには全身血だらけの熊倉先生が居た…)
エイスリン「センセイ!!?」
塞「熊倉先生!?」
トシ「…」
白望「脈はまだある…大分弱っているけど…気を失ってるだけだ」
トシ「お、お前達かい…」
塞「熊倉先生!?どうして…」
トシ「アイツに…あの豊音の姿をした化け物に襲われて…必死にこのロッカーに隠れてたのさ…」
エイスリン「ヤッパリ…アイツ トヨネジャ…」
ドンドン!!
豊音「アケテー…トヨネダヨー」
ドンドンドン!!!
トシ「うぅ…絶対開けちゃ駄目だよ…アイツは…化けもんだ…」かくっ…
塞「熊倉先生ー!!」
エイスリン「センセイー!?」
白望「大丈夫、気を失ってるだけだ。胡桃と一緒に寝かしておいてあげよう」
ドンドンドン!!!
豊音「豊音ダヨ…アケテ…アケテ…」
エイスリン「オマエ トヨネジャナイ!カエレ!」
白望「そうだ!出て行け!」
塞「うぅ…胡桃…熊倉先生…」
白望(とにかく今の状況を何とかしないと…)
白望(扉の前に置いてある重しはどんどん音を立て壊れてゆく…化け物の力は私たちが想像していたよりもとても強かった)
白望(二人を早く病院へ連れて行きたい…でも、あの化け物と戦う道具なんてここには…)
塞「そうだ火だ!さすがにあの怪物も燃え盛る炎には太刀打ち出来ないはず…」
ドンドン!
豊音「アケテ…ハヤクアケロ…」ドンドン!!
エイスリン「ウエノホウニ チイサナスキマガアル ソコニ”ヒ”ヲナゲステレバ」
白望「よし…」
白望(私は入り口の上の方にある小さな隙間から火を付けた木材を外へと投げ込んだ)
白望(火事になる危険はあったがこの怪物に襲われるよりはマシだと私たちは判断したのだ)
豊音「火!?グワァァ!!?アツイィィ!!?」
白望「怪物が燃えている!?」
塞「やった!?」
豊音「アツイ…アツイ…ナンテネ…」
白望(不思議な事に、化け物を覆っていた炎が瞬く間に消えてしまった…奴は…火さえも効かないのだ…)
塞「そんな…こんなのって…」
豊音「フフ…ヒドイコトスルナー…ユルシテアゲルカラココアケテ…」
ドンドン!!
白望(すべての望みは絶たれた、炎さえも克服する怪物に向かって只の女子高生三人がどうやって立ち向かうことが出来るのか…)
白望(私たちは只、この化け物の声を聴き、恐怖に震えるしかできなかった…)
塞「うぅ…シロ…」がくがく
エイスリン「タスケテ…ダレカタスケテ…」
白望「みんな…」ぎゅっ…
豊音「アケロ!ハヤクアケロ!」ドンドンドン!!!
「フゥ…なかなかデンジャラスなモンスターですね…」
白望(誰かの声が聞こえる)
豊音「ナンダキサマハ」
其の時––
遠くより鈴の音がりんと鳴る––
「ノーウェイ…そんなオカルトありえませんよ––」
外にはよく解らないが、紫色の髪をし黒橡色の背広を着た女性が立っていて、化け物を鎮めるように何か念仏のようなものを唱え始める。
すると、化け物は何やら仰ゝしい叫びをあげながら地面をのたうち回った。
暫くすると凄まじく吹雪いていた雪風の音が止むように、辺りがしんと静かになった––
白望達が恐る恐る外へ出ると、そこには一匹の年老いた猿の死骸が横たわっていた。
遠野の山ゝに住む猿は永い年月を重ねると人に化けることが出来ると古い噺に聴いたことを白望は思い出した。
怪異の正体は、老猿の経立だったのか––
本物の姉帯豊音は、この怪事件が絶ち消えてから少しして現れた。廊下に捨てられた警備員の惨たらしい死骸を見つけてそのまま気絶したみたいだった…
さて、白望達が宮守の校舎の中より見た紫色の髪の女性の姿は何処にも居なかったという––
カン––
乙
やっぱり寺生まれって凄いと思った
乙ですよー
神社生まれのKさん乙
俺のお股にも形容し難い何かがぶら下がってるから取り除いてもらいたい
乙
寺生まれってすごい
>>33
切り取ればいいのかなー?
くるみ割り機もった霞さんがそっちいったぞー
ひぃい
ラストの豊音が可愛いww
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