若林智香「バファリンはっ☆」小関麗奈「優しさを捨てきれぬ未熟者よッ!」 (84)

麗奈「このレイナサマは違うわよッ。レイナサマこそ無慈悲な悪の校帝! 世界をレイナサマ色に染める手始めとして、まずは事務所を征服よ!」

凛「また麗奈の病気が始まった」

智香「前回からそろそろ1週間っ……もうそんなに経つんだね、定例の開催行事っ☆」

卯月「じゃあ今日もレッスン、がんばろうね」

麗奈「うおい、そこぉ! このレイナサマの決意表明を、日常風景みたいに言うのは止めなさい!」ビシッ

智香「はいはい。じゃあ麗奈ちゃんは、今日はどんな悪事をするのかなっ?」

麗奈「よく聞いてくれたわ。このレイナサマだけでは、効率的に世界征服は難しい。そこで!」

凛「智香と卯月は、もうステップ覚えた?」

智香「え? あ、うん。ダンスには自信があるんだっ☆」

卯月「じゃあ今日もレッスン、がんばろうね」

麗奈「レイナサマの話を聞きなさーい! そこで今日は……って、ホントにレッスンに行ったなぁーっ!!」

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まさかの2個目

はえぇよホセ

シーン

麗奈「こうなったら……やるわよ。今まで温めていた、これまでとは次元の違う作戦を……ふふ、フフフ、フハハハハハハーーーっげほごほ」

麗奈「のーの!」

乃々「あ、麗奈ちゃん……うぅ、いぢめないで欲しいんだけど」

麗奈「今日は違うって。あのさ、またプロデューサーがこっそり大きなお仕事を計画してるのよ」

乃々「え……当面は大きな仕事は入れないって、言われたんだけど……」

麗奈「罠よ」

乃々「えっ?」

麗奈「このレイナサマが極秘に諜報活動を行った結果、プロデューサーはドッキリの撮影を目論んでるの」

乃々「ドッキリ……そういうの、心が折れるんだけど……」

麗奈「でしょ? だからこそ教えてあげてんの。急にありえない事態が起こったらパニックだけど、ドッキリだとわかってたらなんてことないでしょ?」

乃々「そ、そうか。ありがとう、麗奈ちゃん。は、初めて麗奈ちゃんがたのもしくみえるんだけど」

麗奈「あ、そ、そう?」ニコニコ

クルッ

麗奈(乃々、いつかシメる)キラーン★

クルッ

麗奈「わかってると思うけど、プロデューサーにはこのレイナサマが乃々に教えたことは内緒よ。そんでもって、他の娘にも教えてあげるといいわ」

乃々「あの、でも、その……どんなドッキリなの?」

麗奈「さすがのレイナサマも、そこまでは把握できなかった! でもわかっている事がひとつだけあるわ!」

乃々「な、なにかな?」

麗奈「撮影は明日、行われるということ。そしてわかっていることはもうひとつ!」

乃々「え、わかってることはひとつじゃ……」

麗奈「対象は、ウチのプロダクションに所属するアイドル全員ということ。そしてもうひとつわかっていることがあるわ!」

乃々「じゃあわかってることは、3つだね……」

麗奈「アイドルの中の何人かは、仕掛け人として登場するらしいのよ。そしてわかっていることはあとひとつ!」

乃々「それってかなり、わかってる気がするんだけど……」

麗奈「ドッキリだから隠しカメラが仕掛けられているのはもちろんだけど、明日のどの時間にどの場所でどんなドッキリが起きるかは、秘密らしいのよ」

乃々「そうなんだ……わからないんだね。わかったよ」

麗奈「みんなにも教えあげなさいね! これは命令よッ!」

乃々「う、うん……」

麗奈「……行ったわね。あっはっはっはっはー……げほごほ、かかったわね。これぞレイナサマの『ドッキリが無いのにドッキリがあるというデマを広げるドッキリ』作戦! 明日はみんな、ありもしないドッキリにビクビクしながら過ごすといいわッ! おーっほっほ……げほごほ」

~翌日 事務所~

凛「お、おはよう」ギク

卯月「あ、おはよう。り、凛ちゃん」シャク

凛(今この場所も、撮られてるのかな? な、なんか緊張する)

卯月(普通にしてないと、ドッキリのお仕事そのものが失敗しちゃうもんね。普通に……普通に……難しいな、普通って)

智香「ひゃっほーう☆ 凛ちゃん、卯月ちゃんおはよーっ!」

今年も張り切ってるな腋P

普通が難しいに草WWW

凛「お、おはよう智香」

凛(普通だ……)

卯月「と、智香ちゃんおはよう」

卯月(あれ? 智香ちゃんも聞いてるはずだよね?)

凛「と、智香?」

智香「なにかなっ?」

卯月「その……昨日、乃々ちゃんからメールきた?」

智香「乃々ちゃんからのメール……あっ!」

卯月(……忘れてたんだ)

凛(……忘れてたんだね)

智香「きょ、きょきょきょ、今日も、おしごとばんばろうねっ★」ギクシャクギクシャク

佐久間まゆ「お、おはよう……ご、ございます」

智香「あ、み、まゆちゃんお゛はようっ☆」

まゆ「あ、え、えっと……今は朝だから、おはようであってますよねぇ……? あ、で、でもぉ、この業界では挨拶はいつもおはようだから……えっと、つまり」

凛「もう完全に疑心暗鬼になってる」ヒソヒソ

卯月「でもまゆちゃんの気持ちもわかるよ。やるなら早く、やって欲しいな」ヒソヒソ

~その頃 机の下では~


麗奈「くっくっくっく、笑いが止まらないわッ。みんなドッキリの陰におびえて、ビクビクしちゃってるじゃない」

乃々「あの……麗奈ちゃん、せまいんだけど……」

星輝子「お隣さん……増えた? ……フヒ」

麗奈「いいから。こりゃなんにもしないでも、見てるだけで楽しめるわね。くっくっくっ」

乃々「?」

幸子「……そうだ! ちょっと皆さん、花を摘みに行きませんか」

智香「え? 別に今、行きたくないけど」

幸子「いいですから。ほら、皆さん一緒に!」

まゆ「え、ええ?」

凛「幸子、どうかしたのかな」

卯月「きっとなにか、考えがあるんだと思うよ」

~洗面所~


幸子「ふう。あのですね皆さん、さすがに御不浄にカメラは無いと思いますからここで話しますけど」

卯月「あ、それでみんなを連れてきたんだね」

幸子「ええ。皆さんは、ドッキリに対する姿勢というものをわかっていないようですね」フフーン

まゆ「ドッキリに対する姿勢、ですかぁ?」

凛「確かに、今までそういう仕事って無かったから」

智香「わかってないかも知れないね」

幸子「このままだと、ドッキリ番組は失敗しそうですからね。ここはこのボクが、レクチャーしてあげますよ」フフーン

卯月「さすがにウチで、誰よりドッキリにひっかかってる幸子ちゃんだね」

凛「頼もしいよ」

幸子「ちょ、ちょっと待ってください! ボクは別にドッキリにひっかかったことなんてありませんよ!」

智香「あれっ? そうだったっけ?」

まゆ「スカイダイビングの時とかぁ……」

幸子「あれはドッキリじゃありませんよ。ま、まあ、ほんの少しだけ驚きはしましたが」

卯月「言われてみると……幸子ちゃん別にドッキリに出演た事って無いよね」

凛「確かにそうだね。でもドッキリには詳しいんだ」

幸子「ええまあ。ともかく、ドッキリ番組の神髄とは!」

まゆ「? なんですかぁ?」

幸子「普段見られない、驚いた表情を見せることにあります!」

卯月「そうなの?」

幸子「そうですよ。皆さんはお互いの素顔というかお仕事以外の表情もよく知ってるわけですけど、ファンや視聴者はそういうテレビ向きじゃない表情を見たいんですよ」

凛「そうか。ファンの人ってテレビやライブの時の仕事中の私たちしか見たことないものね」

智香「なるほどっ!」

幸子「ドッキリは、視る人にとって本当じゃないという安心感をもって、驚いたり狼狽える表情のアイドルが視られる、願ってもない場なんですよ」

まゆ「これはまゆ、幸子ちゃんに教えられちゃいましたねぇ」

幸子「ですから皆さん、もっと派手に驚いたり狼狽えたりした方がいいですよ。それこそ普段の、演技力レッスンをいかせるように」

卯月「でも、やり過ぎはよくないよね?」

幸子「それはもちろん、わざとらしくないようにですね」

まゆ「わかりましたぁ。まゆ、がんばっちゃいますねぇ」

智香「ひゃっほーう☆ じゃあ改めて、それを心がけてやっていこうねっ!」

凛「うん。日頃のレッスンの成果、見せてあげるよ」

卯月「幸子ちゃん、ありがとうね。アドバイス」

幸子「いえいえ、じゃあがんばっていきましょう」

一同「「おーーーっっっ!!!」」

麗奈「みんなしてどこへ行ったのかしら?」

乃々「あ。も、戻ってきたよ」

智香「じゃあみんな、くれぐれも気づいていると気づかれないようにねっ☆」

一同「「おー!」」

三村かな子「みんなー! アイドルだけど、クッキー焼いてきたよ」

卯月「!」

かな子「今回はねー。新しいフレーバーにチャレンジしてみたんだ」

凛「どう思う?」ヒソヒソ

智香「もしかして、かな子ちゃんは仕掛け人?」ヒソヒソ

卯月「新しいフレーバーっていうのが、怪しいよね」ヒソヒソ

かな子「? どうしたのみんな。食べてみてよ」

凛「わ。わかった」

智香「変な味とか激辛でも、カメラまわってるんだから平静にねっ」ヒソヒソ

卯月「でも、ちゃんとテレビ的にオッケーなリアクションをしてね」ヒソヒソ

凛(驚きすぎず、驚かなすぎず……難しいな)

凛「じゃあかな子、いただくね」パクッ

かな子「うん! どうかな?」

凛「……あれ?」

かな子「? どうしたの?」

凛(普通に美味しい。こういう場合、どうリアクションしたらいいのかな?)

凛「……えっと」

かな子「美味しくなかった?」

凛(こういう場合……こういう場合は……好感を持っている事をアピールしつつ自分の雰囲気を崩さない、私の得意なアレで)

凛「ふーん、これが新しいフレーバー? ……まあ、悪くないかな……」

かな子「そ、そっか。けっこう自信作だったんだけどな」シューン

凛「あ、ちが……その、美味しいんだけど、その……」

かな子「気をつかわなくていいよ。正直な感想の方が、自分のためになるし。うん」

凛「ほ、ほんとに美味しかった。ほんとだから」

かな子「私、もっとがんばらないとね」

凛「かな子、違うから!!」

麗奈「お……おなか痛いわ。くくくくく。その調子よ、もっとみんな疑心暗鬼になるといいわッ! あはははははは」

乃々「あの、あんまり喋るとここにいること、ばれちゃうんだけど」

P「おう! みんなおはよう」

凛「あ、プロデューサー……」

卯月「お、おはようございます」

智香「びゃ、ぴゃっほーぅ……★」

P「? なんだ? みんなどうした?」

凛「……別に」

凛(ドッキリを仕掛けた張本人のプロデューサーが来た)

卯月「なんでもないですから」

卯月(きっとここからだねドッキリは)

智香「きょ、今日もばんばりますっ☆」

智香(いったいどんなドッキリなのかなっ?)

まゆ「Pさぁん……今日も素敵ですねぇ……」

まゆ(Pさん……Pさん……Pさん……まゆのPさん……Pさん……Pさん……えへへ……えへへへへ……Pさん……Pさん……Pさん……まゆのPさぁん……)

P「そうそう、幸子。今度のライブだが、会場へはこれで登場してもらうぞ!」

バン

凛「……私たちに説明するのに、わざわざフリップを用意してるよ」ヒソヒソ

卯月「まず間違いなく、ドッキリたね。これ」ヒソヒソ

まゆ「ですねぇ」ヒソヒソ

智香「ええと……『ス○イダイビング』ですかっ?」

P「さあ、○に入る言葉はなんだと思う?」

幸子「? カ、でしょう? やれやれ、スカイダイビングならもうやりましたよ。忘れたんですか?」

P「ふっふっふっ。正解はこれだっ!

智香「『スゴイダイビング』……?」

P「ああ、今度はスカイダイビングを超えたインザスカイ、凄いダイビングで降りたってもらうからな」

輿水幸子「え?」

P「スゴイダイビングで登場だ! ファンも驚くだろうしサプライズだ」

智香「スゴイダイビングって、スカイダイビングとは違うんですかっ?」

P「成層圏からの降下を考えている!」

幸子「ええっ!? ま、まさか本当に……あ」

幸子(ははあ。これ、ドッキリですね。まったくこのボクを驚かしてうろたえさせようなんて、考えが浅いですよプロデューサー)

幸子「いいですよ。カワイイこのボクが宙から舞い降りたら、正に天使ですからね」フフーン

P「お? いいのか? もし幸子が嫌だって言うなら止めようと思ってたが」

幸子「何を言ってるんですか、いいに決まってますよ。このボクが今さらダイビングなんかおそれる訳ないじゃないですか」

P「そうか。いや案外、泣いて止めてくれとか言い出したら……とか思ってたんで」

幸子「やりますよ、スゴイダイビング! あー楽しみだなあ!!」

P「わかった。そうと決まれば……ああ、もしもし? ええ、さっきの企画は本人の了承が出ました。ゴーです」チラッ

幸子(またまた、ボクをうろたえさせようとしてそんな小芝居を……底が浅いですよプロデューサー)

幸子「あー。楽しみだなー。スゴイダイビング」フフーン

P「ええ。当人もやる気なので。ええ。お願いします」

幸子「天使のようなボクが見られて、ボクのファンは幸せですね」

幸子(ふふっ。ボクのカッコいい所、アピールできたかな)チラチラ

麗奈「アハハハハ! ほ、ほんとに、ほんとにスゴイダイビングさせられるとも知らないであの余裕! 笑える。ホント笑えるわ!! アハハハハハハハハ」

乃々「麗奈ちゃん、本気で笑うとむせないんだ……」

(アカン負けフラグや)

P「それから卯月、今度の衣装だがウケを狙って大胆にブルマだ!」

卯月「ブルマ? ブルマってなんですか?」

P「……菜々(安部菜々)、教えてやってくれ」

菜々「ナナだって知りませんよう!」

P「こやつめ、ハハハ。しかたない、ちひろさんお願いします」

千川ちひろ「はい。履いてみました、これがブルマよ卯月ちゃん」バーン

卯月「これ……本当に私、はくんですか?」

P「似合うぞきっと! 卯月のヒップラインが強調されるからな」

卯月「で、でも……あ!」

卯月(もしかしてこれ、ドッキリ?)

卯月「……いいですよ。よろこんではきます!」

P「え? いいのか?」

卯月「プロデューサーさんが、私の為に考えてくれたんですよね。それによく見たら可愛いですよ」

P「そうか? 良かった。じゃあこれで発注かけるからな」

卯月「はいっ! がんばります」

卯月(がんばる私、アピールできたかな?)チラチラ

麗奈「くくくくくくく! あのカッコを自分でオーケーしちゃったわ。ホントにおかしいったらないわね。アハハハハハハ」

乃々「わ、わたし、あんな衣装はむーりぃー……」

P「智香には、制汗スプレーのCMのオファーがきてるぞ」

智香「ひゃっほーう☆ ……えっ?」

P「健康的にスポーツをして汗をかいて、腋にスプレーをしてるシーンを流すんだ」

智香「あ、はあっ……」

智香(な、なんか普通だなっ)

P「? 嫌か?」

智香「嫌じゃないんですけど……なんていうか、それだけなんですかっ?」

P「え?」

智香「もっとこう……汗をかくにしてもおっきな炎の前で護摩業とかして、腋もパンからズームでアップにするとかっ……そういうのかと思ってましたからっ」

P「……なんと大胆な」

智香「えっ?」

P「智香がそこまで考えて、やる気だったとは……じゃあそれで代理店さんに提案してもいいか?」

智香「え? あ、はいっ! いいですよっ☆」

P「今はデジタル放送で画質もいいからな、大画面で智香の腋がドアップで放映……これはイケるぞ!」

智香「楽しみですっ☆」

智香(ちょ、ちょっと……というか、かなり恥ずかしいけどっ……ま、まあドッキリでの話だからっ)

麗奈「……っ~! お、お腹痛すぎて笑い声も出ないわ……わ、わざわざ自分で大変で恥ずかしい仕事にしちゃうなんて……~!!!」ゴロゴロ

乃々「麗奈ちゃん大丈夫? お腹痛いの?」

P「それから……あー……ま、まゆはいるか?」

佐久間まゆ「なんですかぁ? Pさぁん」

P「その……な。まゆにグラビアの依頼がきてるんだ、が……」

まゆ「グラビア、ですかぁ? まゆ、読モもしてましたからぁ、そういうお仕事は得意ですよぉ?」

P「あ、う、うん。そ、それがその……水着でのオファーなんだ」

まゆ「水着……」

P「これまでそういう仕事はなかったが、その……まゆがOKなら……どうだ?」

まゆ(もう、Pさんたら人が悪いですねぇ。そんなお仕事をPさんが持って来るはずないですからぁ、ドッキリだってまゆすぐにわかっちゃいましたよぉ? あ、でももしかしてまゆがちゃんとわかると思ったから、安心してこんなドッキリをしかけたんですかぁ? もう、Pさんたらぁ……まゆの大事なPさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……Pさん……)

P「い、色々と考える所もあるだろうから、返事は急がないから……」

まゆ「いいですよぉ」

P「え?」

まゆ「まゆ、水着でのお仕事がんばっちゃいますねぇ」

P「い、いいのか? ほ、ほんとうに?」

まゆ「もちろんですよぉ。Pさんのプロデュースを、まゆは信頼してますからねぇ」

まゆ(もう。でもPさぁん? これがドッキリじゃなかったら、まゆ泣いちゃってましたよぉ?)

P「そ、そうか。いや、まゆがそんなに乗り気とは。意外だな」

まゆ「Pさんがプロデュースしてくれるならぁ、まゆはビキニでもハイレグでもやりますよぉ」

P「……え?」

まゆ「まゆはPさんを、信じてますからねぇ」

P「い、いいのか?」

まゆ「はぁい」ニコニコ

P「……よ、よし。じゃあ天井付きでガラス張りの、例のプールを予約しておくからな」

まゆ「楽しみですねぇ」

おいそのプールは…

P「それから乃々! 乃々はいるか?」

乃々「ひゃうっ!」

ガンッ

智香「えっ!?」

卯月「どうしたの?」

凛「今、なにもしないのにその机から大きな音がした」

白坂小梅「ラ……ラップ音?」

まゆ「そういうドッキリですかねぇ?」

P「ははあ。乃々! その机の下に隠れてるな!!」

ムンズ

P「見つけたぞ! 乃々……って、あれ?」

麗奈「ちょ、ちょっとP! はなしなさいよッ」

智香「麗奈ちゃん?」

卯月「なんで机の下に?」

まゆ「ドッキリじゃなかったみたいですねぇ」

麗奈「ちょ、ちょっと秘密の作戦をたてていただけよ!」

乃々「れ、麗奈ちゃん、もしかしてわたしをかばって……あ、ありがとう……」

輝子「キノコ……掴まれなくて、良かった……フヒッ」

P「いや、すまんすまん。てっきり乃々かと思って……仕方ない、乃々への用件は後にするか。それより今日は……重大な発表が……ある」

凛「なに?」

P「えー……っと。ああ……じ、実は……」

まゆ「どうしたんですかぁ? なんだか言いにくそうですけどぉ」

P「う、うむ……実は! 俺は結婚することになった!!!」

まゆ「え……」

麗奈「え!?」

P「俺、結婚するんだ」

まゆ「Pさぁん……?」

智香「ま、まゆちゃんの目からハイライトが消えかけてるよっ!」ヒソヒソ

凛「まずい、卯月!」ヒソヒソ

卯月「うん。ま、まゆちゃん!」ヒソヒソ

まゆ「嘘ですよねぇ。冗談ですよねぇ」

卯月「まゆちゃん! ドッキリ、ドッキリだよっ!」ヒソ

まゆ「ねえ、Pさぁん本当の……あ!」

卯月「ね」

まゆ「そうでしたぁ。えへへ」コクン

ちひろさんのブルマ姿はよ

P「? 今まで黙っていて悪かったが、みんなのレッスンや仕事の邪魔になりたくなかったんだ。だが、いよいよ式とかも本決まりになったからそろそろ……と思ってな」

凛「なるほど」ヒソヒソ

智香「これがドッキリの核心部分なんだねっ☆」ヒソヒソ

卯月「ちょっと本気でびっくりしたよ」ヒソヒソ

菜々「ナナもすっごく驚いちゃいましたよっ!」ヒソヒソ

まゆ「ほんとにぃ。事前にビックリだと教えてもらっていなかったらぁ、まゆどうなってたか自信ありませんでしたよぉ」ヒソヒソ

麗奈「え? なに? ちょ、え……?」

P「? どうしたみんな? やっぱり驚かせちゃったかな」

凛「驚いたよプロデューサー」

智香「でも、おめでとうございますっ☆」

まゆ「Pさぁん、幸せになってくださいねぇ」

智香「プロデューサーさんの結婚生活、応援しちゃいますっ☆

麗奈「ほ、ホントにするの? 結婚!?」

菜々「そ、それでっ! お相手は誰なんですか?」

麗奈「な、なに言ってるのよ……そ、そんな冗談はやめなさいよッ!」

P「麗奈……」

麗奈「アンタを……Pをこき使っていいのは……このレイナサマだけなのよ! アンタは一生、アタシの……レイナサマの奴隷なのよッ!」

P「……」

凛「麗奈、落ち着いて」ヒソヒソ

卯月「これね、ドッキリなんだよ」ヒソヒソ

智香「乃々ちゃんから聞いてない?」ヒソヒソ

まゆ「そうですよぉ。そんなに動揺しちゃったらぁ、だめですよぉ」ヒソヒソ

麗奈「そ、それはその……」



麗奈(ドッキリは……アタシの……)


まゆ「Pさぁん、それでお相手はどなたなんですかぁ?」

P「あ、ああ。その……これもみんなを驚かしてしまうかも知れないんだが……入ってくれ」

ガチャッ

三船美優「……あの、みんなびっくりさせてごめんなさい」

凛「なるほど」ヒソヒソ

智香「そうきたかっ☆」ヒソヒソ

卯月「これは本当にありそうな人選だよね」ヒソヒソ

まゆ「確かにまゆもドッキリだって知らされていなかったら、信じちゃうところでしたねぇ」ヒソヒソ

P「本来なら、プロデューサーとアイドルとの恋愛や結婚などとんでもないことかもしれない。だが……美優に笑顔を教えていくうちに、いつか美優が俺にとってかけがえのない存在になっていったんだ」

美優「私も彼……プロデューサーさんと一緒にがんばるうちに、その……次第に惹かれていったの」

凛「美優さん、お幸せに」

P「凛、いいのか?」

卯月「はい! 私たち、お二人を祝福します」

智香「応援しますよっ☆」

まゆ「おしあわせに」

麗奈「ちょ、ちょっとまゆッ!」ヒソヒソ

まゆ「なんですかぁ? 麗奈ちゃん」

麗奈「これ、もしドッキリじゃなかったら……どうするの?」

まゆ「これが、ドッキリじゃなかったらですかぁ?」

麗奈「そうよ」

まゆ「……うふ」

麗奈「?」

まゆ「うふ、うふふふふ……うふふふふふふふふふふふふ……うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……」

麗奈(……こ、こわい…)

P「みんな……みんな、ありがとう! 正直、みんなに怒られると思ってた。担当アイドルとこんな……」

凛「私たち、そんな心がせまくないよ」

卯月「はい!」

智香「お幸せにっ☆」

菜々「それにしても年下の……じゃなかった、美優ちゃ……さんに先を越されるとは……」ブツブツ

まゆ「式には絶対にまゆたちも、呼んでくださいねえ」

P「もちろんだ。じゃあ美優、さっそくホテルに予約に行こう」

美優「はい////」

凛「……これでドッキリは終わりかな」ヒソヒソ

まゆ「どうですかねぇ」ヒソヒソ

菜々「もう少し、様子をみてみましょうよっ!」

智香「そうだねっ☆」

卯月「油断しないで、がんばろうね」

麗奈(ど、どうすればいいのよ……)

ガチャッ

?「全員、おとなしく手を上げろ!」

卯月「えっ!?」

まゆ「な、なんですかぁ?」

?「騒ぐな。これが見えないのか? 言っておくが、モデルガンじゃないぞ」

パーン

智香「きゃっ!」

凛「え? なに? なにがおきてるの?」

幸子「みなさん、おちついてくださいよ」ヒソヒソ

まゆ「えぇ?」

幸子「これもドッキリですよ、ドッキリ。決まってるじゃないですか」ヒソヒソ

凛「そ、そうか」ヒソヒソ

智香「わ、わかっててもひっかかっちゃうね、これっ」ヒソヒソ

まゆ「これは予想外でしたねぇ」ヒソヒソ

卯月「プロデューサーさん、すごいね。こんな大がかりなドッキリなんだ」ヒソヒソ

菜々「枠としては、特番かな?」ヒソヒソ

(あ、これ死んだな)

?「そこ、なにを喋ってる!? 静かにしろ」

卯月「えっと、こういう時はどうしたらいいのかな?」ヒソヒソ

まゆ「やっぱり怯えて女の子らしさをアピールしてぇ」ヒソヒソ

智香「うんっ! きっと色々と仕込みがしてあると思うからっ☆」ヒソヒソ

凛「それでいて、情けない態度じゃなければいいんじゃないかな」ヒソヒソ

幸子「決まりですね」ヒソヒソ

?「黙れ、撃たれたいのか!?」

麗奈「……え? な、なに? なんなの? どういうことよッ!?」

乃々「お帰りなさ……どうしたの麗奈ちゃん?」

麗奈「あ、あれってもしかして本物の……テロリスト?」

乃々「随分大がかりなドッキリだね」

麗奈「ど、どどどどど、どうすればいいの!?」

?「そこのオマエ、テレビのスイッチを入れろ」

凛「私? いいけど」

ポチッ

『今話題のシンデレラガールズの所属事務所に、正体不明のテロリストが侵入し、数名のアイドルを人質に立てこもっているという衝撃的なニュースが飛び込んで参りました』

卯月「うわあ、大がかりだね」ヒソヒソ

智香「これって事務所にだけ流れてるのかなっ?」ヒソヒソ

幸子「当然ですよ。そういうしかけに決まってますよ」ヒソヒソ

『こちら現場前です。プロダクションがあるというビルは、武装したテロリストに封鎖されています。あ、こちらに銃を向けて威嚇しています』

凛「あ、事務所の前だ」

卯月「ほんとだ。窓から見えるよ」

幸子「これはそうとう予算かけてますね。ヤレヤレ、プロデューサーも大げさですよね」

まゆ「でもぉ、これは番組として失敗させちゃうわけにはいきませんねぇ」

智香「だねっ。ドッキリって気づいてないようにしないとっ☆」

『あーあー。聞こえるか? 要求はなんだ? 何が目的だ? その娘達は無関係のはずだ。即時解放しなさい』

ガラッ

?「先日この国で拘束された弟……いや、同士ヒート・ゴロシスキーの解放を我々は要求する」

『……要求については了承した。が、即答はできない』

パーン

?「我々は気が長くはない。クナシリやエトロフのように、交渉を引き延ばしても無駄だぞ」

幸子「うーん。銃声がなんかシヨボくないですか?」ヒソヒソ

凛「そう言われると……ドラマとかだともっと派手だよね、音」ヒソヒソ

卯月「麗奈ちゃんのバズーカの方が、大きな音だったよね」ヒソヒソ

乃々「確かにそうだよね。ね、麗奈ちゃん」

麗奈「ほ、本物の銃……」ガクブル

『ではスタジオには世界情勢に詳しく、そして人質となっているアイドル達にも詳しいこの方に来ていただきました』

まゆ「? みなさぁん、テレビを見てくださぁい」

ヘレン「心までアナリスト。世界レベルは世界を知る、そうでしょう?」

智香「あ、ヘレンちゃんだ」

『早速ですが、立てこもっているテロリストは何者なんでしょうか?』

ヘレン「要求から察するに、ヒート・ゴロシスキーの所属している組織、USAMINに間違いないわ」

凛「ふふっ」

まゆ「どうしたんですかぁ? 凛ちゃん」

凛「USAMINって……ローマ字読みすると……」

卯月「うさみ……あ。あはは」

菜々「あ!」

智香「ぷぷっ……こ、ここ、笑っちゃっていいとこなのかなっ?」

まゆ「だ、だめですよぉ……ふふっ。きっと、わ、笑ってるとぉ、あのテロリストさんがぁ」

?「そこ! なにがおかしい!」

まゆ「ほらねぇ。銃を向けられちゃいましたよぉ」クスクス

智香「それにしてもウサミンって……アタシ、ちょっと想像しちゃったんだけど」

菜々「その時、ドアからテロリストが入ってきたのです」

凛「あーあれは誰だー」(棒)

まゆ「誰ですかぁ」(棒)

卯月「誰なんだー」(棒)

菜々「それは……ナナでーすっ☆ 

凛「ぷぷぷっ。や、やめて智香」

?「……流石に芸能人ってのは、剛胆だな。この状況で笑えるとはな」

『なるほど。ヒート・ゴロシスキーが、恐るべきテロリストであるのはわかりました。では、今回の首謀者は?』

ヘレン「おそらくその実姉にして、ヒートの数倍は恐ろしいテロリスト。ミーナ・ゴロシスキーに違いないわ」

まゆ「ヒートゴロシスキーに、ミーナーゴロシスキーだそうですよぉ」クスクス

卯月「こういうのは、楓さんとか美羽ちゃんの役だよね」クスクス

智香「たぶん最後に登場して、覆面とったら中は楓さんかなっ?」クスクス

凛「美羽かもね」クスクス

ヒート「おいそこ、なにが可笑しい!?」

まゆ「怒られちゃいましたよぉ」ヒソヒソ

卯月「ちょっと私たちも真剣にやろうか?」ヒソヒソ

智香「そうだねっ!」ヒソヒソ

凛「じゃあ私が行こうか」

まゆ「まってましたぁ」

卯月「がんばってー!」

智香「ファイト! オー!」

麗奈「ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょ! な、なにする気よッ!?」

凛「テロリストなんて、私は怖くないよ」

ヒート「な、なに?」

凛「こう見えても私、強いよ」

麗奈「や、やめなさいって! 帰ってきなさいよッ!!」

ヒート「……いい度胸だな。よし、相手になってやる」

麗奈「やめなさーい! やーめーなーさーいー!!!」

卯月「がんばれ凛ちゃん!」

菜々「ナナ、応援してますよっ!」

まゆ「やっちゃってくださぁい」

智香「ファイトだよーっ☆」

麗奈「あ、アンタ達なにあおってんのよ!!! やめさせなさいって」

智香「もう、麗奈ちゃんってば。あのね」

麗奈「な、なによ?」

智香「これ、ドッキリなんだよっ☆」

麗奈「だ、だからそれは……って、ああっ!」

バタン

P「みんな! 無事か!?」

凛「プロデューサー!」

P「凛、あぶないマネはよせ。おい、俺が人質になる。その娘たちは解放しろ」

ヒート「いい度胸だな。だが……」

パン

智香「キヤッヌ!」

P「う……あ……」バタッ

まゆ「P……さん?」

ヒート「これ以上の人質は要らん」



麗奈「え? い、いやああああああぁぁぁーーー!!!」


凛「プロデューサー? プロデューサー!!!」

まゆ「死なないでくださぁい! 死んじゃ……死んじゃいやですよぉ!」

菜々「ナナをおいていかないでくださいっ!」

幸子「こんな……こんな最後なんてボク……」

卯月「きゃあああ!」

智香「プロデューサーさんっ!!!」



麗奈「あ、アタシの……せい? アタシのせいで? そんな……そんな……いやああああああ!!!」


ちひろ「はいはーい。みんなおつかれさまー! 実はこれ、ドッキリでしたー」

『ドッキリ大成功』

智香「あ、やっぱりっ☆」

凛「もう、プロデューサー人が悪いんだから」

P「いやあ、スポンサーの意向でしかたなくな。みんな、気づいてたみたいだな」

まゆ「それはわかりますよぉ」

卯月「演技力レッスン、がんばってますから!」

幸子「プロデューサーは浅いんですよ」ヤレヤレ

菜々「ナナ、うまくだまされちゃいましたよっ!」

麗奈「……へ?」

P「ともかくみんな、なかなか良かったぞ。驚いたり怖がったり、そして悪にも敢然と立ち向かっていた」

凛「ちょっとやりすぎたかな?」

P「いや、良かったぞ。この番組も成功だ」

麗奈「へ? え?」

P「これ特番だからな。ゴールデンの2時間スペシャル」

菜々「ゴールデン……いい響きですねえ」

まゆ「結婚ももちろん……違うんですよねぇ?」

P「はは。当然だ」

麗奈「な、なによそれ……」

P「さあ、じゃあ今日はもうこれから打ち上げだ! みんなで行くぞ!」

一同「「やったあああぁぁぁーーー!!!」」



麗奈「なんなのよこれはいったーいッ! アタシの計画はなんだったのよッ!」


※失敗です

お わ り

以上で終わりです。
おつきあいいただきまして、ありがとうございました。

※訂正


>>69
× 智香「キヤッヌ!」
○ 智香「キヤッ!」


おもしろかた

おっつー

レイナ様は滑ってなんぼってハッキリわかんだね
おっつし

乙です。すげえ良いオチだったも

乙。
ドッキリが若干やらせ臭くなるというテレビ局に対する些細な悪事

ヒートの解放を要求してるけどヒート本人が居るやん

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