和「迷探偵マホちゃん 6人目の容疑者(サスペクト)」 (53)

13:00~清澄高校旧校舎裏~


和「…咲さん。どうしてこうなってしまったのでしょうか」

咲「いつか、こんな日が来ると思ってた。仕方のないことだったんだよ…」

和「こんな!こんなことになると分かっていれば、あの時私はっ…!」

咲「ううん、和ちゃんのせいじゃないよ。悪いのは全部わたし」

咲「…先に行って待っていて」スッ

和「咲さん!!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407490452

和「S.O.A 証明終了」の続きみたいなものでー

今回ちょっとマイナーなキャラが多いんで名前と顔や背格好が一致しない人は
こちらの登場人物一覧を参考にして欲しいんでー

http://sciasta.com/characters.html

和「咲さん!」ガシッ

咲「うん。本当もうすぐ補習始まっちゃうから、そろそろ教室に戻らせて欲しいんだけど…」


宮永咲は女子高生探偵である。
普段は大人しやかな文学少女として、学校でも目立たない存在の彼女は
いざ事件に当たれば解決率100%を誇る凄腕の探偵に早変わりする…のだが
今日は学生の本分に立ち返って、お勉強なのだ。

和「もうちょっと引っ張りましょう!今かなりいい画が撮れていると思うんです!!」

咲「いや、いい画って…また職員会議で新しい校則が作られちゃうよ」

和「同級生の写真ラミネート加工販売禁止条項は、なかなか痛かったですね」

和「無理解な大人は常に反体制の敵です」


主役の傍らに名アシスタント有り。
コロンボとウチのカミさん、ナポレオンにベルティエ、大空翼と岬太郎。
そして宮永咲の側には、もちろん原村和がいた。
そのピンク色の脳細胞はこの日も輝き、明後日の方向へ全力疾走中なのだ。

咲「しょうがないよ。このままだと、進級の為の単位足りなくなっちゃうみたいだし」

咲「事件で欠席した分は夏休み中の補習で免除してくれるだけ有難いと思わなきゃ」

和「全く、私としたことが狡猾な罠に嵌ってしまいました」

咲「でも凄いよね。夏休み前の数学の抜き打ちテスト、授業出てた人も含めて満点は和ちゃんだけだったもん」

咲「あれ、有名大学の入試に使われるような応用問題も混ざってたらしいよ」

咲「『全問正解したらこの前休んだ分の補習はチャラにしてやる』って言ってた先生も、
  まさか本当にやる人がいるとは思ってなかったんじゃないかな」

和「そのせいで咲さんとのランデブー・ピッチ・マニューバの機会を逃すとは一生の不覚」

和「私たちの仲を引き裂こうとは、全く昨今聖職者のモラルはどこへ行ってしまったのでしょう」

咲「ちゃんと約束守ったのに、本人がその言い草じゃ先生もさぞ不本意だろうね」

咲「優希ちゃんと京ちゃんは英語の補習受けてるし、今日は事務所もお休みみたいだよ」

和「はい、せっかくなので放課後はキャッキャウフフとショッピングを楽しもうという腹づもりです」

和「仕方ありませんね、では先にお店に行って待っています」

咲「うん、私もなるべく早く終わらせられるように頑張るよ」

14:30 ~イオンモール1階・サーティーワン店内~


和「ふう、こんなものですかね。なかなか充実した買い物が出来ました」

和「ジャスコで無くなったのは寂しいですが、利便性が増したのはありがたいです」

和「ちょっと戦利品を確認がてら休憩しますか」

和「ふんふむ、今月の百合姫もなかなかのラインナップですね」ペラペラ

和「土佐乃らんぷ先生の『スケパン刑事Ⅱ』は特にいいです」

和「『おまんら許さんぜよ!』の決め台詞とともに、
  それまでの展開や雑誌のカラー完全無視の濃厚な絡みが始まる展開が素晴らしいですね」

和「主人公の名前がサキなのも感情移入面でのポイント高いです」

イオンとかいう田舎における一大テーマパーク

店員「カフェブラストカプチーノとベイクドチーズケーキサンデーのお客様ー」

和「はーい、こっちです」

和「ビー玉ヨーヨープレー!なるほど、そういうのもあるのですか」ペラペラ

店員「……お待たせしました」

和「ありがとうございます。ここ置いといてください」ペラペラ

和「むむっ、このシチュエーションは応用が効きそうですね。メモしておきましょう」パクパクパク

和「そして次回予告は”サキ、プーさんの世界へ!”ですか」

和「メルヘンチックな煽りから、どんなド変態シーンが生まれるか。これは次も見逃せませんね」

マホ「あー!和先輩ですー」トテテテテ

和「おや、聞き覚えのある女児の声がすると思えばマホちゃんじゃないですか」

マホ「なにしてるですかー?」

和「なに、ちょっとした読書ですよ。夏の高校生は勉学に余念がないのです」

マホ「さすがですー。マホも早く高校生になって和先輩や宮永先輩みたいに探偵として活躍したいです!」

和「まあ別に年齢は関係無さそうですけどね。うちの所長は採用も気まぐれですから…」

和「ところでマホちゃんこそ、今日はここに何か用があったんですか?」

マホ「あーっ、そうでしたー!今日はムロちゃんと買い物の約束をしていたです」

マホ「でも、待ち合わせの場所に行ってもいなくて…」

マホ「電話をかけても出ないので探して回っていたのです!」


Prrrrrrr


マホ「ひゃうっ!!」ビクッ

和「…測ったようなタイミングでかかってきましたね」

マホ「あっ、ほんとにムロちゃんでした!はい、もしもしこちらマホです!」ピッ

ムロ『マホー、助けてくれ~!』

和「………?」

~2階ファンシー雑貨ショップ・バンブー~


マホ「どうしたですか!?」

ムロ「あっ、マホ!それに和先輩までどうして!?」

和「さっきそこでたまたま会ったんです。しかしどうしたのですか、電話口からは切羽詰まった様子でしたが」

ムロ「それが…」

西田「あら、原村さんじゃないの。この子のお知り合いとか?」

和「西田さん、珍しいところでお会いしますね」

マホ「和先輩の知っている人ですかー?」

和「WEEKLY麻雀TODAYの記者の方ですよ。前に何度か取材を受けたことがあります」

和「ここで働いているということは、遂にクビになってしまったのでしょう。お気の毒なことです」

西田「違う違う!遂にとか人聞きの悪いこと言わないで!自分でも心配になってくるから!!」

西田「今日はオフ。ここで働いてる友達に頼まれて、留守番やってただけよ」

西田「それで私も少し売り場を離れてたのね。用を済ませて戻ってきたら、ちょうど何かが倒れる音がして」

和「…なるほど、棚が傾いて商品がいくつか散乱してますね」

和「中には傷がついているものもあるようです」

西田「そうなのよ。ちょっとした事件だわ、これ」

和「これをムロちゃんがやってしまったと?」

ムロ「ち、違うんです。私じゃありません!」

西田「でもねえ、私が来た時この場にいたのはあなただけなのよ?」

ムロ「たまたまこの辺りを歩いていたら大きな音がしたんで、何だろうと見に来ただけです!」

マホ「和先輩、ムロちゃんはきっと無実です!なんとか私たちで助けましょう!!」

和「マホちゃん、名探偵助手の心得その一です」

和「”面倒そうな事は事前に避ける”これで事件の9割型は予め防ぐことが出来ます」

和「遠出は控えてください。電話もつながらない絶海の孤島に行くなんてもっての他ですよ」

和「夏の間はクーラーの効いた部屋で鬼平犯科帳の再放送でも見ていましょう」

和「今回の場合、話が始まるやいなやクルリと踵を返してカフェに戻り、優雅なアフタヌーンティーの続きを楽しむ。これが正解です」

マホ「ええー!?」

和「ですが、可愛い後輩の危機です。今日はそうも言っていられませんね。西田さん、少し時間をいただけますか」

和「私が手伝いますから、マホちゃんがこの事件を解決してください」

ムロ「和先輩、信じていました!ギリギリのところで!!」

マホ「はい!マホに任せてください!」

和「では、まず何をするべきだと思いますか?」

マホ「ええっと、”何か閃くまで待つ”ですか!?」

和「3点です」

マホ「」ガーン

和「何も推理だけが探偵の役割ではありませんよ。有意義な情報を集めるのも大切な仕事です」

和「(私は面倒なのであまりやりたくありませんが)捜査の基本は脚です、この意味が分かりますか?」

マホ「…!!わかりましたー!マホがんばって探してくるです!」ダダダッ

〜10分後〜


マホ「事件が起きた頃に大きな物音を聞いたお客さんを5人見つけて来ましたー!」

マホ「顔までは分からないそうですが、皆さん別々にお店から走り去る怪しい人影を見たらしいです!」

和(ふむ、短時間でこれだけの目撃者を集めるとは少々驚きました。フィールドワークの働きは抜群です)

和(ゆーきとはまた違った種類の勘の鋭さを持っているようですね)

和(これは近い将来意外な戦力になってくれそうです)

マホ「どうしたですかー?」

和「いえ、なんでもありません。早速話を一人ずつ聞いていきましょうか」

田中「んだよ、こんなとこ連れてきて」

マホ「お願いです。ちょっとだけお話を聞かせてくださいー!」

田中「だめだめ、他当たんな。ウチは忙し…げげっ!原村!!」

和「あなたはっ…えーっと…ニライカナイでお馴染み、真嘉比高校の銘苅さんでしたっけ?」

田中「誰だよそいつは!田中だよ田中、今宮女子3年の田中舞!かつてお前と熱戦を繰り広げた!!」

和「ああ、エトペンを強奪した挙句に左手に損傷を与え真っ青になって謝罪に来た田中さんですか。お久しぶりです」

田中「ぐっ、そういうとこはきっちり覚えてやがる…」

和「良かったですね、マホちゃん。この人なら前科もありますし、適当に罪を捏造しても大丈夫です」

和「解決の目処も立ったところで、甘味屋さんにでも行きましょうか」

田中「ちょっと待て!なんだか知らんけど、今日は何もやってねえぞ!」

和「冗談ですよ、もっとも後々事実にならないとも限りませんが」

和「私も知人を警備員さんに突き出すのは忍びありません。今日の夕食も自宅で取りたいでしょう?」

和「その為にも正確で有意義な証言に協力していただけることを期待していますよ」

田中「くーっ、果てしなくムカつく…。そのうちぜってー痛い目見せてやっからな!!」

和「それでは改めてお話を聞いていきましょう、マホちゃん最初の人を呼んで来てください」

マホ「ハイですー」

今日はここまでです
明日には終わらせたい所存ー

乙!相変わらず面白い

ここの和は相変わらず明後日の方向に思考がブッ飛んでるなww

待ってました!続き楽しみ

杉乃「はい、こちらには何度か買い物にきています」

杉乃「本日は、お仕えするお嬢様お二人に申し付けられたものを購入していました」

杉乃「主にコーヒーカップやティースプーンなどの調度類、それにお休み用のヌイグルミです」

杉乃「一通り購入は済みましたが、もうしばらく見て回ることにしました」

杉乃「あの…自分用にも何かお揃いで欲しいなと///」

杉乃「私が見た人影ですが、髪の色は黒でした。それと髪先は特に縛ったりはしていなかったと思います」

杉乃「ええっと、これでよろしいでしょうか…?」

南浦「私は今日ここに水着を買いに来ていた。今まで着ていたものが少々キツくなってしまったのでね」

南浦「せっかくの夏だ。ずっと部屋の中にいると、たまには外の空気を吸いたくなってくる」

南浦「2階の売り場で、大人しめのデザインにしようか、今年は思い切って大胆なものにしようか迷って…いや、まあそれはいい」

南浦「立ち去った人物か、リボンとは違うものを何か頭に被っていたな。あれは何という名称なのだろうか…」

棟居「ちょっと同じ部活の後輩へのプレゼントを選びにね」

棟居「結局まだ決まってないんだけど。何考えてるか分かりにくい子なんで、毎回苦労するわ」クスッ

棟居「私が見た人は、髪はそんなに長くなかった気がするわね。少なくとも肩までは届いて無かったと思う」

棟居「随分慌てた様子だったけど、何かあったの?」

田中「ようやく、ウチの番か」

田中「何の用って涼みにだよ。こんなあっちーのに外なんか出てられるかっての」

田中「走り去った奴か。後ろ姿だから確信はねーけど、メガネはかけて無いっぽかったな」

田中「まあメガネに悪い奴はいないから、当然だ」

田中「いや、ほんとだっての!ツッコミ待ちとかいうな!!警察に連絡するフリとかやめろ!…いや、おい…フリだよな!?」

???「おうー、和。こんなところで奇遇じゃねえ」

和「………」

???「どうした?」

和「今日この台詞を口にするのは何度目か分かりませんが、今回が一番実感を込められそうです」

和「何をしているんですか、染谷先輩」

まこ「そりゃあ、買い物に決まっとるじゃろう」

まこ「うちの店のコーヒーメーカーが急に故障してのう、このままじゃ冷コーも出せやせん」

まこ「じゃから、夕方店が混んでくる前に急いで新調しようと思ったんじゃ」

和「それで、roof-topの格好のまま来ているのですか」

まこ「なにせ時間も無かったけえ。おかげで中々お買い得なんが買えたわ」

和「染谷先輩も、何か目撃されたのですか?」

まこ「おお、怪しい人影か。妙にタッパのある奴じゃったな」

まこ「わしもそれ程背が低い方じゃないが、あいつは棚の二段目より上に頭が来とったからな」

まこ「最低でも165センチはあったじゃろう」

和「なるほど…」

まこ「こんなもんでええかのう?それじゃあ、わしは急いどるから」

まこ「また明日事務所でな、後輩のコマいのとデカいのにもよろしゅう」

和「以上が得られた証言ですね」

ムロ「なんか特徴がバラバラですね…同じ人物についての証言とはちょっと考えにくいかも」

マホ「聞けるお話は多いほうがいいと思って出来る限り人を集めてきたですけど、あまり意味は無かったんでしょうか」ショボーン

和「そんなことはありませんよ、これは重要な手がかりです」

和「証言者の皆さんは全員走り去る人物を目撃していますが、もう一つ共通している点があります」

和「棚が倒れる大きな音を聞いた。それは事件が起きたと思われる時間、この売場周辺にいたということ」

和「つまりあの人たちは、今回の場合目撃者であると同時に容疑者でもあるのです」

ムロ「え!?それじゃあ和先輩!?」

和「はい。犯人は、この中にいます」

マホ「そ、それは誰なんでしょーか!?」

和「さっきも言いましたよ、私はあくまでアシスタント」

和「真相を突き止めるのは、マホちゃんの仕事です」

マホ「分かりました!マホ、考えます!!」


5分後


マホ「………………………うう~っ、難しいですー」プシュー

ムロ「そんなとこだと思った…」

和「仕方がありませんね、ではヒントをあげます。これを元に回答を導いてください」

マホ「は、はいっ!!」

和「ヒントその1。よく観察することです」

和「今しつこいくらいCMでもやっているでしょう。ありのままを見るなら、私に言わせれば一目瞭然ですよ」

和「ヒントその2。犯人はウソをついている可能性があります」

和「即ち撹乱のため意図的に異なった証言をしているという可能性です」

和「或いは実際に本当のことを言っているかもしれませんが…」

和「どちらにせよ、犯人の証言の信ぴょう性は考慮する必要が無いと言えます」

和「逆に言えば、それ以外の人の証言は真実であるいうこと」

和「任意の一人の証言を除いて全て当てはまる人物が犯人です」

マホ「ありのままを見る…ですか?」

和「はい。証言者の皆さんの外見的特徴を、もう一度よく思い返してみてください」

和「それを先ほどの証言と照らし合わせるのです」

和「最後のヒントは…先入観を捨てることです」

和「無意識のうちにある思い込みは推理の妨げにしかなりません」

マホ「それは和先輩が宮永先輩と相思相愛と思い込んでいる、みたいなことでしょーか?」

和「それは客観的事実です。客観的事実と主観的妄想の区別を付けることが名探偵の必要条件」

和「”完全にありえないことを取り除いて残ったものは、いかにありそうにないことでも事実である”ですよ」

和「マホちゃん、このようなショッピングセンターのファンシー雑貨店に来るのは、どんなお客さんですか?」

マホ「ええっと、それはやっぱりヌイグルミやお人形みたいな可愛い物が好きな女の子で、家の近くには売っているお店が無いような…」

和「それが既に思い込みなんです」

マホ「…?…?………?……………ああーーっっ!!!」

ムロ「マホ、何か分かったのか!?」

マホ「はい!なぞは、なぞは多分解けましたー!!」

南浦「改めて呼ばれたのだが、今度はどういう用件なのかな?」

マホ「はい。たくさんの人のお話を聞いて、今回の事件の犯人がようやく分かりました!」

南浦「ほう…」

マホ「今、私の目の前にいる人がそうです!」

南浦「やれやれ、目撃情報の次は犯人か…。そうまで言うからには、何か確信があるのだろうね?」

マホ「はい!単純な…しょ、しょ、しょう…

ムロ「消去法」コソッ

マホ「ショーキョホーです!」

マホ「杉乃さんが犯人だとすると他の人の証言のうち、背の高さが一致しません」

マホ「同じように棟居さんは髪の色が、田中さんは被っている装飾品が、染谷先輩はもう色々おかしいです!」

南浦「それが私なら全て矛盾なく当てはまると?」

マホ「はいです。自身のものを除いた証言から導き出される犯人像は、黒髪の短髪でメガネをかけていない身長165センチ以上の人物…」

マホ「つまり、あなたです。南浦聡さん!」

南浦聡「…………」

マホ「他の証言者の人たちに南浦さんを改めて見てもらえば、きっと確かめられるです」

マホ「そうすればムロちゃんの疑いも晴れるはずです!」

聡「…!別人が疑いをかけられていたのか、これは認めねばなるまいな」

聡「すまなかった、棚を倒して立ち去ったのは確かに私だ」

和「素直に認めていただいて感謝いたします。確認の手間が省けました」

和「即興にしては、なかなかリアリティのある証言でしたよ」

和「しかし、夏に着る水着の購入は言いすぎでしたね。2階の売り場では女性物の水着しか扱っていませんよ?」

聡「…?それがどうかしたのかね?」

和「……いえ、なんでもありません。さすがですね、土佐乃らんぷ先生」

聡「……よく、知っていたね」

和「もしかしたらと思いまして。nanposatoru⇔tosanoranpu ちょっとした並べ替えです」

和「パートナーがよく、この手のアナグラムを好んで解いているものですから」

和「ひょっとして、それが逃走した理由なのですか?」

聡「うむ。土佐乃らんぷが私だと公になると、少々マズイことになるのだよ」

和「ああ、なるほど…」

ムロ「どういうことですか?」

和「らんぷ先生は、正体不詳の漫画家さんなんですよ。公式サイトでも性別・年齢共に非公開です」

和「何度かスピンオフで実話漫画化もしていますが、その際のキャラクターデザインはポニーテールの女子高生です」

ちょっと時間空きます。14時~15時辺りに再開の予定でー

南浦さんの口調に微妙な違和感あったけど6人目の容疑者ってそういうことか
>>2の一覧にちゃんと爺さんの方も入ってるのね

聡「買い物のついでに取材のため実物のヌイグルミを見学しに来たのだが、あいにく店員がいなかったようなので一人で見て周っていた」

聡「それで随分と不安定な積み方をしているなと思いながら棚の上のヌイグルミに手を伸ばした矢先、端から崩れてしまった」

聡「単独での取材の際には、くれぐれも気をつけるようにと出版社から釘を刺されていたのだが…」

聡「事情説明から正体が漏れるかもしれない。一瞬そんな考えがよぎって、その場を立ち去ってしまったのだよ」

聡「あとから匿名で迷惑料込みの弁償金を送付しようと思っていたんだが、私の代わりに疑いをかけられていた者がいたとは」

聡「お嬢さん、本当に申し訳なかった」フカブカ

ムロ「そんな、私は疑いが晴れればそれで…」

聡「それで済む問題ではない。どうか思う存分蹴ってくれ、罵ってくれ。唾を吐きかけられても仕方がないと思っている」

ムロ「…いや、ほんとカンベンして下さい」

西田「そうよ、そういう訳にはいかないわ!」

マホ「あっ、店番記者のひとです!」

西田「経緯は了解しました。それでは店舗や私の職場へも報告の上で、改めて対応を検討させていただきます」

和「西田さん。今までお話したように、これには少し込み入った事情があるのです」

西田「それはお気の毒だとも思うけど、こちらにも果たすべき義務があるのよ」

和「…イオンモール従業員規定第三章第4項」

西田「へ?」

和「いえ、ただの独り言ですよ。なんとなく諳んじてみたくなったのです」

和「イオンモール従業員(以下スタッフ)は、自身の職場の安全と管理に努め、他スタッフの確認を経ずにその場を空けてはならない」

西田「あ、あら…」

和「この状況では、一時的とはいえ場を空けたスタッフに落ち度が無いとは言えませんね」

和「しかも商品陳列棚は、非常に不安定な状態で放置されていた。ちょっとした刺激で物が崩れ落ちるほどに」

西田「そ、それはね…」

和「これでは臨時スタッフとはいえ西田さんに責任が及ばないか心配です」

和「留守番を依頼したお友達にも迷惑がかかるのでは無いでしょうか」

和「以前デスクへの始末書がかさんで大変だと仰っていましたし、本業でも週明けにまた叱責されてしまうかも…」

西田「ううーん…」

和「ここはこの場で全額買い取りにしてもらって、今日の売上に貢献するのが誰もが幸せになる方法なのかもしれませんね」

和「以上、ちょっとした独り言でした」


・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ムロ「結局、穏便に済ませる方向で決まって良かったですね」

マホ「でもあんな決まりまで知ってるなんて、和先輩はさすがですー」

和「いえ、いくら私でも1ショッピングセンターの就業規則までは把握していませんよ」

和「ですが、西田さんが知っているとはそれ以上に考えづらい状況でしたからね」

ムロ「ええっ!?じゃあ、あれハッタリだったんですか!?」

和「言ったでしょう、ただの独り言だと。他の人がそれを聞いてどう思ったかは、私の関知するところではありません」

和「それに重要なのは、どう解決したかですよ。真実は、いつも一つとは限らないのです」

ムロ「…本当に、さすが和先輩です」

聡「どちらにせよ、助けられた。改めて礼を言わせてもらいたい」

和「私は次号も、らんぷ作品を読みたいと思っただけですよ」

和「ところで見返りというわけではないのですが、今後の展開に関して一つ提案があります」

和「次回のゲストは、ショートカットの文学少女とピンク髪の美少女なんてどうでしょう?」

和「数奇な運命に翻弄されながら逃避行を続ける二人、偶然出会い彼女たちを助けることになる主人公」

和「そして、なんやかんやあった後は…」

聡「わかった、シリーズ最高のガンギマリ,アヘトロ回にすることを約束しよう」スッ

和「楽しみです」ニコッ


ガシッ


マホ「わぁー、カッコいい握手シーンですー」

ムロ「そうかなあ…」

数絵「お祖父様!こんなところにいらしたのですか!!」

聡「うっ、数絵!」

数絵「待ち合わせの場所にも来ず、どうせまた誰かのご厄介になっていたのでしょう!?」

聡「いや、これには深山幽谷の化身よりも深い理由が…」

数絵「何をわけの分からないことを仰っているのですか!」

数絵「今日という今日は許しません!帰ったらお祖母様にたっぷり叱っていただきます!」

聡「そ、それは勘弁してくれ。我々は話し合う余地があるはずだ…」ズルズル

和「行ってしまいましたか。サインを貰い損ねたのが少し残念です」

ムロ「……はあ、何だかどっと疲れた…でも、ありがとうございます」

ムロ「マホと和先輩のおかげで何とか無事に解放されました」

マホ「………」

和「おや、随分元気が無いですね」

マホ「マホ、結局和先輩に助けられてばかりでした…」

和「確かにマホちゃんは見た目は子供・頭脳も子供で、まだまだ未熟です。副会長のストライクど真ん中な程に」

マホ「はい…」シュン

和「ですが、事件を解決に導くための情報収集の過程における行動力は悪くありませんでしたよ」

マホ「え…」

和「そして何より、親友のために何としても事件を解決するんだという強い意志は、お見事です」

和「これも言いましたよ、推理だけが探偵の仕事ではないと。あなたの見込みは大いにあります」

ムロ「聞いたか、見込みあるって!やったな、マホ!!」

マホ「じゃ…じゃあ、マホがんばります!」

マホ「がんばって皆さんのお役に立てるようになって、いつか清澄探偵事務所に会いに行きます!」

和「ええ、待っていますよ。未来の”名”探偵さん」

マホ「ハイですー!!」

16:00~イオンモール1階・サーティーワン店内~


咲「お待たせ、和ちゃん。今まで何してたの?」

和「いえ、ちょっとした後輩指導ですよ。私のなってみたいものの1つは小学校の先生ですから」

咲「…?でも、そうだね。悪いところは叱って、いいところはちゃんと褒めて…」

咲「和ちゃんなら、きっといい先生になれるかもだよ」

和「もう1つのなりたいものは、咲さんの協力も必要ですけどね。グフフフフ」

和「ところで、咲さんは小説だけでなく漫画作品も嗜みますか?」

咲「うん。詳しいってほどじゃないけど、人に薦められていくつか読んだりするよ」

和「そうですか、それは楽しみです」

和「秋の校内読書週間に向けて準備を整えておくとしましょう」

和「全く、夏の高校生はやることが一杯ですよ」

咲「何だかよく分からないけど、また嫌な予感がするよ…」


後日、とある高校の校則に
『購入図書リクエスト及び課題図書推薦におけるダンボール投票の禁止』
という項目が追加されることになるが、それはまた別の物語。



積(カン)!

以上です。ここまで読んでくれた人・コメントくれた人、ありがとうございました!

乙乙 面白かった

この和、なぜか憎めない
乙!


ここの和は相当こじらせてるな…

次回以降の構想って結構先まであるのかな?
いや、のどっちよろしく展開希望してるわけじゃないんだけどねw

質問や希望、ここおかしくねってツッコミも歓迎ですよー
それで先の構想ですが、全く何も考えてませんww
最初の龍門渕編の時点ではシリーズ化するとも思ってませんでした

でもまだ色々楽しそうな学校やキャラクターも大勢いるんで
次があるかどうかも分かりませんが
何か思いついたら、また書きたいなとは思ってます

そのうち見かけたら読んでもらえれば嬉しいです

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