咲「桃子ちゃーん」
桃子「…うるさいっすねぇ…」
咲「ねぇ、モモちゃんって呼んで良い?」
桃子「勝手にすればいいっす…」
咲「じゃあモモちゃんって呼ぶね!モモちゃん!」
桃子「さっさと帰るっす…」
咲「あ、待ってよ。モモちゃーん!」
桃子「慣れなれしいっすねぇ…」
…あれ?
………モモちゃん?
……………いや、モモだったっけ?
私、昔、誰かに。そういう呼び方をされていたような…。
…誰にだったっけ…?
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元ネタがあります。ゆるーいかじゅモモです。どっかの草生やしたSSとは違って何も考えずに読んで下さい。
それでも宜しければお付き合い下さい。
―2年前―
ゆみ「モモ。こんなとこにいたのか。もう放課後だぞ」
桃子「……先輩」
ゆみ「…全く。その先輩って言うのは何とかならないのか?」
ゆみ「お前と私は…その…」
ゆみ「特別な関係…と言うか…」
ゆみ「付き合ってるわけだろ?」
ゆみ「もうちょっと他の呼び方はないものか?」
桃子「そう!それなんっすよ、先輩!」
ゆみ「また先輩って言ってるぞ…」
桃子「それについてちょっと考えてたんっすよ!」
桃子「私はあくまで先輩と対等な立場になりたいんっす!」
桃子「いつまで経っても私は先輩の2つ年下のまんま」
桃子「付き合ってても蒲原元部長にはモモは若いなーだの」
桃子「むっちゃん部長にもモモの若さは良いなーだの」
桃子「若いって何なんすか!?若さってなんなんすか!?」
桃子「振り込まないことっすか!?」
ゆみ「良く分からないが、多分惜しい」
桃子「って言うか、あの2人も10代っすよね!?」
ゆみ「…まぁ何だ、あの2人はお前をからかってるだけだろう」
ゆみ「基本あの二人はボケ役だからな」
ゆみ「妹尾が聴衆役で、私とモモが突っ込み役と言ったところだろうか」
桃子「そう!それも問題っす!」
ゆみ「はぁ?」
桃子「加治木先輩はスペックが高すぎるっす!」
桃子「状況分析力、それに対する対応力…!」
ゆみ「私は普通にやっているだけなんだがな…」
桃子「その普通が凄いんっすよ…」
ゆみ「例えば?」
桃子「そうっすね…。あの県大会決勝の大将卓の話でも挙げてみますね」
桃子「県大決勝、清澄のリンシャンさんが嶺上開花を連発していた矢先」
桃子「満貫確定の6枚待ち満貫に受けずに、たった残り1牌でしかも役無しの聴牌に受ける」
桃子「あんな待ちになんて、先輩しか受ける人いないっすよ!」
ゆみ「…あれは何というか、体が反応したというかだな…」
ゆみ「実際、あれで宮永が2sを引いて加カンしなかったら総スカンだったろうしな…」
ゆみ「…ん?カンだけに、か。我ながら上手いことを言ったものだ」
桃子「聞いてないっす!!」
桃子「ていうかそもそも、先輩の指導と分析がなければ」
桃子「鶴賀が県大会決勝まで来ることなんてなかったはずっす!」
ゆみ「そんな事はないと思うがな…」
桃子「あー!そんで今度は謙遜っすよ!謙遜!出来る女過ぎて困るっす!大好きっす!」
ゆみ「お、おう」
桃子「せんぱーい♪」ゴロゴロ
ゆみ「コロコロ感情が変わって、猫みたいだなお前は」ナデナデ
桃子「大好きっすよー♪」
ゆみ「分かってる、分かってる。で、話ってそれだけか?」
桃子「…はっ!?」
ゆみ「おお、凄まじい勢いで飛ぶように離れた」
桃子「また先輩の出来る女っぷりにあてられて抱きついてしまったっす…」
ゆみ「特に何もしてないんだが…」
桃子「とにかく、そんな訳でですね…」
桃子「私は先輩と同じ土俵に立ちたいんっすよ!!」
桃子「同じ年齢になって、同じ学年になって!」
桃子「四六時中先輩と一緒にいたいんっす!」
ゆみ「…そりゃあ、私もたまに思う事がある」
ゆみ「モモが同級生だったらどんなに楽しかったことだろうか、とな」
桃子「ほら!流石先輩と私!深層心理のレベルで2人は繋がってるんすよ!」
桃子「もうこうなると、私と先輩が2個年齢が違うのは神か何かの陰謀っすよ!」
桃子「おかしすぎるっす!絶対におかしいっす!」
桃子「そこで私は考えたんっす…。どうにかして先輩との年齢差を縮めることが出来ないかと…」
ゆみ(多分私のことが好きすぎて訳のわからん世迷言を言ってるんだろうが)
ゆみ(私は若干、お前のその行き過ぎてるおかしな考えが心配だ)
桃子「あ。今多分私に対して失礼なことを考えましたね、先輩」
ゆみ「!?」
桃子「顔に出てるっすよ」
ゆみ「…まぁ、何にしてもだ」
桃子「スルーは良くないと思うっす」
ゆみ「それが神の陰謀だったとしても。悪魔の誘いだったにしても、だ」
ゆみ「私との年齢差を埋めるだなんて、出来やしないんだ」
ゆみ「そんな事を言ってる暇があるのなら、オータムに向けての調整でも…」
桃子「先輩」
ゆみ「…どうした、急に。いきなり真面目な顔になって」
桃子「今日の夜、23時に。もう一度部室に来て下さい」
ゆみ「……今じゃ、だめなのか?」
桃子「……その時間じゃなきゃ、ダメなんっすよ」
ゆみ「…分かった。覚悟して行く」
桃子「お願いしますっす」
ゆみ(そんな時間に私を深夜の校内に連れ出すとは…)
桃子(覚悟していくって事は…もう私の考えが伝わってるんっすね…)
ゆみ(モモの奴、溜まってるんだな…。これじゃ若いって思われても仕方ないぞ…)
桃子(流石は先輩っす…)
―23時―
ゆみ「き、来たぞ」
桃子「ありがとうっす、先輩…わざわz…」
ゆみ「ん、どうした?そんなに目を丸くして」
桃子「先輩…可愛すぎるっす!!」
ゆみ「おわっ。…また抱きついて…」
桃子「何なんすか!?そんなに綺麗に粧し込んで!」
ゆみ「いや…だって…その…」
桃子(恥じらう先輩も初々しくて可愛いっすね)
ゆみ「その…。…するんだろ?」
桃子「ええ…。するんっすよ…」
ゆみ「だからな、下着がないこの世界ではせめて服装だけでも…」
桃子「タイムスリップを!」
ゆみ「整えて事に応じようと…」
桃子「……」
ゆみ「……」
桃子・ゆみ「「は?」」
桃子「え?事って何すか?」
ゆみ「いや、お前こそタイムスリップって何の話だ?」
桃子「いやだから、私言ってたじゃないっすか!」
桃子「先輩と同い年になりたいって!」
桃子「だから、タイムスリップして同い年になろうと!」
桃子「先輩には私の考えが伝わったから、覚悟して私を見送ってくれると思ったんっすよ!」
ゆみ「………」ズーン
桃子「…って、先輩?何かすごーく落ち込んでるっすけど、大丈夫っすか?」
ゆみ「…いや、良い。大丈夫だ」
桃子「それで、先輩の言う事って…」
ゆみ「何でもない」
桃子「いや、気になるんっすけど…」
ゆみ「何でもないの!!」
桃子(おお、ちょっと膨れて拗ねて口調がいつもと違う先輩もやっぱ可愛いっす」
ゆみ「……最後言葉に出てるぞ」
桃子「はっ!」
ゆみ「…いや待て。タイムスリップってどういう事だ?」
桃子「ふっふっふ…。良く聞いてくれたっす、先輩」
桃子「じゃーん!これが鹿児島と長野の共同で作られてるとか何とかいうタイムマシンっす!」
桃子「何でも鹿児島の不思議な力と長野の時間を操る能力者の合作だとか…」
ゆみ「いやちょっと待て。これ普通に大衆向けに売られてるのか!?」
桃子「普通に売ってるっすよ。ほら、ここ」
ゆみ「通販サイト!?」
桃子「結構お世話になってるんすよ、このサイトには」
ゆみ「う…胡散臭すぎる…。…ちなみに、値段は?」
桃子「何でも全く売れないとかで、本来は結構高かったらしいんっすけど…」
桃子「おひとり様限り!税込価格98000円!って文句に釣られて買っちゃったっす!」
ゆみ「いろいろおかしすぎるだろ!!」
桃子「ふっふっふ…。これさえあれば、もう私はみんなに若いだの何だの言われることもなく!」
桃子「先輩とも同い年になれるって寸法っすよ!!」
ゆみ「いやいやいやいや待て待て待て待て」
桃子「待つっす」
ゆみ「え?何?お前本気で信じてるの?これ」
桃子「だってレビューが☆5しかないんっすよ?」
桃子「実績十分じゃないっすか!」
ゆみ「お前さっき全く売れなかったとか言ってなかった?」
桃子「大丈夫っす!このサイトの満点レビューは信用できるっすから!」
ゆみ(うわぁ…。モモの目が輝いてる…。信用しきってるぞこれ…)
桃子「さ、やると決めたからには移動っすよ!」
ゆみ「移動?」
桃子「屋上に行くっすよ!」
―屋上―
桃子「…さあ。やるっすよー!」
ゆみ「何で屋上に移動したんだ?」
桃子「何でも、落下速度や風圧速度等の条件が揃わないと発動しないらしいんっす」
桃子「流石に夜中にならないと、他の生徒さんたちの目があるっすからね…」
ゆみ「な!屋上から飛び降りるとでも言うのか!?馬鹿な!?発動しなかったら…」
桃子「先輩がそう言うのを見越しておいて、マットを用意しておいたっす!」
桃子「ほら、そこっす」
ゆみ「…これもひょっとして、さっきのサイトで買った奴か?」
桃子「そうっす。やっぱり鹿児島と奈良の人が協力して作り上げた、おもちクッションって奴っす」
桃子「あ、じゃあ試しにこれ落としてみるっすね」
ゆみ「何だそのぬいぐるみ」
桃子「ペンギンになれたエトピリカっす。このマット買うと付いてくるんすよ」
桃子「この2点セットでお値段たったの980円!」
ゆみ「安すぎるだろ!!」
桃子「それじゃー。ほいっと」
ゆみ・桃子「……………」
桃子「おおー。すごいっすね。2階くらいまで跳ねたっすよ!」
ゆみ「………おい。おかしいぞ。ぬいぐるみの質量と重力加速度とマットの反発係数、色々加味してもあんなに跳ねないぞ」
桃子「って事で、万一発動しなくても安全ってのが先輩にもわかってもらえたと思うっす!」
ゆみ「いや全然安全じゃないから。お前、体重があのぬいぐるみの何倍あると思ってるんだ?」
桃子「な!?先輩!女の子に体重なんて聞いちゃダメっすよ!デリカシーに欠けるっす!」
ゆみ「ええー…」
桃子「という事で、私はタイムスリップするっす!」
桃子「時間は二年前のこの日の夜20時頃。先輩と同い年になるために!」
ゆみ「…いや、百歩譲ってだぞ。いや、万歩譲ってだ」
ゆみ「そんなのが成功したら、モモが二人になってしまうのではないか?」
桃子「『同じ時間に同じ人間は二人存在しません』って書いてあるっす」
桃子「多分、16歳と14歳の私が入れ替わるだけなんじゃないっすかね?」
桃子「その代わり14歳の私は、先輩たちの記憶から消失すると思うっすけど…」
ゆみ「…馬鹿な。それじゃ分からないって事じゃないか!」
ゆみ「私が、そんないきなり現れた人を、好きになるかなんて!」
桃子「信じてるっすよ」
桃子「先輩を…」
ゆみ「………モモ」
桃子「…じ、じゃあ。やるっすよー」
ゆみ「……待て。やっぱり震えてるじゃないか」
桃子「ふ、震えてなんかないっす」
ゆみ「一旦その震えを抑えてからにしろ。ほら、タイムマシンを私に貸せ」
桃子「先輩…。ありがとうっす」
ゆみ「説明書とか無いのか?」
桃子「あ、説明書ならここに」
ゆみ「ふむふむ…。未来に行くには、右のダイヤルをFに、と…」
桃子「いやーでも、先輩と私が同学年とか、鶴賀黄金期が作れそうっすね!」
桃子「私と先輩と蒲原元部長の3年生トリオ!強そうっす!」
桃子「ねえ、そうは思いませんか、先輩?」
ゆみ「モモ」
桃子「………え?」
どうして、あなたが。タイムマシンを身に付けてるんですか?
「 」
何かを言い残し、先輩は消え去った。
桃子「うわあああああああああああああああああああああああ!!」
桃子「大変っす!!!!!!!」
桃子「先輩が!先輩が!!」
桃子「未来にタイムスリップしてしまったっす!!!!!!」
桃子「もしもあの機械がちゃんと発動しなかったら!!」
桃子「いや、先輩が発動前にいろいろいじってたら!!」
桃子「そもそも、何で先輩が使っちゃうんっすかあああああああああああああ!!!」
桃子「れ、冷静になるっす。……確か、先輩は言ってたっす…」
桃子「『未来に行くには、右のダイヤルをFに』、と…」
桃子「つまり、私が設定した2年という値で未来に飛んだ事になる…はず…」
桃子「と、とにかく…。あのサイトのレビューを信じるとするなら…」
桃子「先輩はきちんと未来には飛べているはず…」
桃子「となると、私に出来るのは…。みんなに相談する事しかないっすね…」
桃子「まずは先輩の家族にきちんと事情を説明しに行くっす…」
―加治木宅―
桃子(そういえば先輩の家に来るのは初めてっすね…)
ピンポーン
ゆみ母「はい。どちら様でしょうか?」
ゆみ母「…あら、誰もいない?」
桃子「はっ!気付かれてない!」
桃子「いるっす!ここにいるっすよ!」
ゆみ母「…あら、ごめんなさい。可愛いお客様ね。今日はどういったご要件で?」
桃子(先輩のお母さんもやっぱ美人っすねー)
桃子「あの…その…申し訳ないことをしてしまった、と言うか…」
ゆみ母「んー。どういう事?」
桃子「加治木先輩を…。いえ、ゆみ先輩を。私の不用意で未来にタイムスリップさせてしまったっす!!」
ゆみ母「……ええ?何だかよくわからないけど…」
桃子(バカバカバカ!私のバカ!この説明で分かる人が何処にいるんすか!私のバカ!)
桃子「あ、タイムスリップってのは…」
ゆみ母「うちにはゆみなんて子、いないわよ?」
桃子「……は?」
―麻雀部部室―
智美「ワハハー。今度の休みも4人でどこかに行こうな」タン
睦月「元部長…。運転どうにかならないんですかね…」タン
桃子「…………」タン
佳織「…あれ?」
智美「ワハハ。どうした佳織。何を切ったら良いのか分からないか?」
佳織「あ、これ上がってます!タンヤオチンイツチートイツモ…。4000・8000でしょうか?」
睦月「そ、それは倍満じゃなくてですね…」
智美「ワハハ。佳織、それは大車輪と言って役満扱いだぞ」
佳織「ええ!?」
睦月「しかし妹尾さん、役満のバーゲンセールですね…」
佳織「んー…」
智美「どうした、佳織」
佳織「何か、私がこういう上がりをした時。きちんと説明してくれる人が他にいた気がするんですけど…」
桃子「……………」
智美「……ワハハ。…確かに。私は説明役って柄じゃない気がするぞ」
睦月「確かに…。私よりきちんと説明してくれる人がいたような…」
佳織「『ローカルルールだがな。割とメジャーなルールだ。ちなみに採用されてなくても七対子じゃなくて二盃口扱いで三倍満だからな』」
佳織「みたいに言ってくれる人がいた気がしたんです…」
桃子(………間違いない、っす)
桃子(先輩が未来に行ってしまった影響で、先輩の存在が消えかかってるっす…)
桃子(このままでは、私もいずれ先輩のことを…)
桃子「そ、そんなの認めないっす!」
佳織「ひえっ!ご、ごめんなさい。じゃあ4000・8000で良いです…」
睦月「三倍満じゃなくて!?」
桃子(忘れない…。絶対忘れないっすよ、先輩!)
桃子(世界中の誰もが先輩のことを忘れたとしても、私は絶対に…)
佳織「あ、あの…桃子さん。…点棒の支払い、忘れてない?」
桃子「忘れてないっす!!!忘れるわけないっす!!!!」
佳織「ひええええええごめんなさい!もう私が払います!」
睦月「どうしてそうなる」
智美「ワハハ。むっきーにはキレが足りないぞ。やっぱり何か突っ込み役が足りない気がするぞー」
桃子(…忘れるな。絶対に忘れるな。先輩が来るはずの日付を、携帯にきちんと残しておくっす…)
桃子(例え忘れたとしても!絶対に思い出してみせるっす!!!)
そして、2年後―
「桃子ちゃん。もーもーこちゃん!」
桃子「ふあ…」
咲「一緒に帰ろ?」
桃子「まーた宮永さんっすか…」
桃子「週に1,2回もわざわざ鶴賀まで来て大変じゃないんすか?」
桃子「多分おっぱいさんが泣いてると思うっすよ」
咲「ふふふー。桃子ちゃんが可愛いからいけないのだー!」
桃子「わけわからんっす…」
咲「何かね、放っておけないんだよね。桃子ちゃん。母性本能をくすぐる、って言うのかな?」
咲「……で、帰らないの?」
桃子「帰るっすよ。どっかの誰かに起こされたせいで寝損なったっす」
咲「その分私と一緒にいられると思って!」
桃子「意味がわからんっす…彼女にでもなったつもりっすか?」
咲「え、そんな事はないけど…。どっちかって言うと、可愛い妹?」
桃子「誰が可愛い妹っすか!!」
咲「でも桃子ちゃんと付き合えたら、毎日楽しそうだね!」
桃子「そんな事ないっすよ…。…さ、さっさと帰るっす」
咲「はーい!」
咲「桃子ちゃーん」
桃子「…うるさいっすねぇ…」
咲「ほら、アイスクリーム!一緒に食べよ?」
桃子「……何味があるっすか?」
咲「じゃーん!白桃とブルーベリー!どっちが良い?」
桃子「…別にどっちでも良いっす」
咲「じゃあ私が白桃たーべよっと」
桃子「宮永さんが勝手に買ったんっすからね。美味しくなかったら許さないっすよ」
咲「あ、味の保証はちょっと出来ないかな…。私が作ったわけじゃないし…」
桃子「で?いくらだったんすか、これ」
咲「え?」
桃子「何キョトンとした顔してるんすか。私だけ奢ってもらうとかありえないでしょ」
咲「に、250円…」
桃子「はい。これで貸し借りなしっすよ」
咲「優しいんだね。……ねぇ、桃子ちゃん」
桃子「なんっすか」
咲「私、桃子ちゃんの事モモちゃんって呼んで良い?」
桃子「勝手にすればいいっす…」
咲「じゃあモモちゃんって呼ぶね!モモちゃん!」
桃子「さっさと帰るっす…」
咲「あ、待ってよ。モモちゃーん!」
桃子「慣れなれしいっすねぇ…。あ、このブルーベリー味、旨いっす」
…あれ?
………モモちゃん?
……………いや、モモだったっけ?
私、昔、誰かに。そういう呼び方をされていたような…。
むっちゃん元部長?かおりん先輩?蒲原元部長?
いや、もっと他に…。大切な人に呼ばれていたような…。
確か、ふわふわとした紫色の髪をしていて…。丁度この、ブルーベリーの色のような…。
絶対に忘れちゃいけない、大事な人がいたような…。
…誰にだったっけ…?
咲「モモちゃーん」
桃子「…また来たんすか、宮永さん。暇っすねえ」
睦月「わざわざ清澄からご苦労だな、宮永」
佳織「お疲れ様です、宮永さん」
桃子「…あれ、二人も来てたんっすか?」
睦月「うむ。たまには可愛い後輩と麻雀でも打とうかな、と」
佳織「せっかく4人いることだし、ね!」
咲「賛成です!やりましょう!ね、モモちゃん?」
桃子「今何時っすか?携帯携帯…。19時過ぎてるじゃないっすか…。やるなら1半荘のみっすよ…」
桃子「ん?」
桃子「今日って、誰かの記念日でしたっけ?」
睦月「いや?」
佳織「誰かの誕生日、ってわけじゃないよね?」
桃子「じゃあ何なんすかね、これって…」
○○○○年×月△△日20時
忘れるな!思い出せ!
咲「カン」
睦月「ふふふふふ…」
佳織「?」
睦月「ロン。その槓、成立せず!槍槓だ!」
咲「うわぁ…!」
桃子「………槓槍、っすか」
佳織「睦月ちゃん、凄い!」
睦月「いやー、宮永には何とかしてこれを喰らわせてやりたかったんだ!」
咲「槍槓なんて喰らったの初めてですよ…」
桃子「え?」
咲「え?」
桃子「宮永さん、二年前に槓槍喰らってなかったっすか?誰かから」
咲「そうかな?そんな覚えないけど…」
桃子「……………」
桃子(いや、間違いない…。確かに、二年前…)
桃子(宮永さんは誰かから槍槓を喰らってるはず…)
咲「」タン
佳織「」タン
睦月「」タン
桃子(…しかし、どうしてなんだろう。思い出せない)
咲「モモちゃん?」
桃子(県大会決勝卓で…。…しかしそうなると、うちの誰かのはず…)
桃子(龍門渕と風越の大将はそういった細かい事は苦手だからやれない…っすよね?)
咲「モモちゃーん!モモちゃーん?」
佳織「どうしたの?モモちゃん」
睦月「どうしたんだ、モモ」
咲「ツモ番、みんな待ってるよ?」
桃子「あ、ごめんっす…今ツモ…」
モモちゃん…モモちゃん…モモちゃん…
モモ…モモ…モモ…
待ってるよ…待ってる…待っててくれ…
「モモ」
「待っててくれよな」
桃子「!!!!!」
桃子(思い出した…全て思い出したっすよ、先輩!!!!)
睦月「ん?どうしたモモ。突然そんな真剣な顔して」
桃子「い、今何時っすか!?」
佳織「ご、午後7時56分だけど…」
桃子「あと4分しかないじゃないっすか!!」
桃子「こうしちゃいられないっす!睦月元部長!」
睦月「な、何だ?」
桃子「おもちクッション、捨ててないっすよね?」
睦月「ああ。そこのロッカーに詰め込んであるけど…」
桃子「助かるっす!じゃあ私はちょっと用があるのでこれで!」
咲「よ、用って…一体どうしちゃったの?モモちゃん」
桃子「帰ってくるんすよ、やっと」
咲「誰が?」
桃子「私の、彼女が!」
桃子(タイムスリップ!先輩が、2年後に!何で思い出せなかったんだ!!)
桃子(そのためには屋上から飛び降りるだけの落下速度と風圧が必要だった!)
桃子(おもちクッションなしに着地なんかしたら大変なことになる!!)
桃子(あと30秒………20秒…!)
桃子(間に合うのか…。いや、間に合わせてみせる!)
桃子「うああああああああああああああああああ!!!!」
ゆみ「うおっ」
桃子「!」
ゆみ「モモ!」
桃子「先輩!」
ゆみ「…って、うああああああああああ」ボイーン
桃子「あ」
ゆみ「だから言っただろうがああああああああああああ」
桃子「うわー。先輩、超凄い高さまで跳ねたっす」
ゆみ「あのぬいぐるみの実験でこうなることは分かってただろうがああああああああああああああ」
ゆみ「はあ…はあ…」
桃子「………」
咲「すっごく、綺麗な人…」
ゆみ「モモ…。いや、死ぬかと思ったよ。何度宙を跳ねた事やら…」
桃子「バカ!先輩のバカ!」パシンッ
ゆみ「……」
咲「……そっか。加治木さん…。あなただったんですね…」
ゆみ(……宮永。…そうか…。…悪いことをしたな)
桃子「一歩間違ってたら死ぬところだったんっすよ!!」
桃子「何であんな無茶したんっすか!」
桃子「私が思い出したから良いものを!」
ゆみ「…ごめんな」
咲「!」
桃子「謝って済む問題じゃないっすよ!」
ゆみ「……な?」
咲「ううん。大丈夫です。良かったね、モモちゃん!」
桃子「ん?」
ゆみ「おーおー、随分と容姿も大人びたな。綺麗になった」
桃子「…ぐっ、褒めても何も出ないっ…」
ゆみ「……ふふっ。相変わらず、その口は良く回るんだな」
桃子「な…!な…!!」
ゆみ「言っただろ?どうにかして、その口は閉ざしてやらないと、ってな」
桃子「な…何てことしてくれたんっすか!!ファーストキスは私からやろうと思ってたのに!バカバカ!」
ゆみ「なぁ、モモ」
桃子「……何すか!」
ゆみ「何拗ねてるんだ。…ちゃんと待っててくれたか?」
桃子「なーに言ってるんすか!大体昔から先輩は…」
ゆみ「…ふっ、お前こそ何を言ってるんだ」
桃子「え?」
「もう、先輩じゃないだろ?」
カン!
元ネタは青山剛昌さんのデビュー作・「ちょっとまってて」です。
https://www.youtube.com/watch?v=w7q-rtLbpzg
原作でもアニメでも咲が演じてる役の子が非常に可哀想な扱いを受けてます。主人公に邪魔そうにあしらわれる他めったくそに言われます。
そりゃー元々勝ち目がないんですけどね。なので、あくまで咲はモモの事を妹みたいな可愛い子だという変更を。後の流れは大体同じです。
やっぱ何も考えずに見れるゆるいかじゅモモも良いと思います。読んで頂いた方がいらしたら、ありがとうございました。
おつおつ
出だしでゴーショーかと思ったらゴーショーだった
乙
だとしても言わずにはいられない
咲とかいうかじゅモモにおけるかませ乙
乙
これは懐かしい元ネタ
流石にモモがタイムマシンを発明はしなかったかww
咲ちゃんは何のために出たんや
モブなんざ当て馬で十分。出してやってるのに何のために?とか文句いうな。
HTML化忘れてた。
>>34
思い出させる要員です。何故咲かと言うと、どっかの草生やしてるSSとの対比で。
普通に戦ったら咲がかじゅモモの間に割って入る隙はなんですよね…。
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