【艦これ】腰抜け提督の戦記 (8)
適当に書き綴ります。不定期、キャラや世界観の崩壊注意
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透き通るような青さに囲まれ、そして何もない場所だった。青い海と空、そして青空に浮かんでいる深緑色の零式水観しか無かった。
本国からかけ離れた南西諸島。町も港もない小さな無人島が連なるこの場所はかつては戦地だった。我らにとってこの場所は本国と遠方の資源産出地を結ぶシーレーンの中間地点だった。
開戦と同時に深海側は艦艇を進出させ通商破壊作戦を実施、我らはシーレーン防衛と奪回の為、砲撃を交えた。
戦いは長く続いた。制海権を掌握するまで、この海は艦艇と飛行機の残骸で覆い尽く、空は火薬の匂いで充満していた。
制海権を掌握して数ヶ月経った今、戦いの前の様に何もない場所であり続けた。まるで戦いなんて無かったかの様に青い空と海が広がっていた。ただ時折、砂浜に座礁した艦船が見え、景色と不釣り合いな錆び付いた鉄の塊が戦いがあった事を示し続けている。
「少佐殿。着きましたよ。あの島です」
前の操縦士が指を指して言った。指を指した先には少し大きい島があって入江にはコンクリート製の港があった。港には小さくまっ平らな空母が1隻、停泊していた。
「降下して着水します。舌を噛まないようお気をつけください」
桟橋で私を出迎えてくれたのは、一人の老人と一人の若い女性だった。老人は将校らしく白い小綺麗な制服と帽子を被り、女性は和装で弓矢を携えていた。
「八木海軍少佐。ただいま着任しました」
私は老人に敬礼した。
「私は長永大佐じゃ。話は聞いておるよ。君が新しい司令官だね?」
「はい!仰せの通りです」
「いや、気を楽にしたまえ。ここは本部じゃなくて僻地じゃ、誰も咎めんよ。遠路はるばるお疲れ様じゃ。とにか今は休め。引き継ぎは」
「引き継ぎは休んでからでよかろう」
「はっ!了解しました。」
「隣にいる鳳翔が部屋まで案内する。そこで長旅を休むがいいだろう」
私は和装の女性の案内に従った。道中彼女やこの基地について伺った。
「ええと、ほ、鳳翔で良いんだっけ?」
「ええ、そうですよ。これからよろしくお願いしますね」
「いや、こちらこそ。どころで、港に停まっていた空母、君のかい?」
「そうですよ。私は軽空母です。すこし旧式ですが…」
「艦隊は君だけ?」
「いいえ。他の皆さんは商戦の護衛に行っています。帰りしだい、提督にご挨拶を伺うと思います」
読みにくいから、次から地の文と会話文の間を改行することをオススメします
夕方になった頃、私は老提督の執務室に呼ばれた。部屋の中央のテーブルには二膳の食事が対になって置かれていた。
「鳳翔さんが用意してくださった。冷めないうちに頂こうではないか」
食事は質素なモノだった。麦飯に白身魚の焼き魚、沢庵とお味噌汁だった。
でも後方とはいえ戦地で食べるご飯にしては凄く温かく美味しかった。
「内地はどうじゃった?」
老提督はそう伺ってきた。
「内地はどうと言われましても…何時も通りでした。相変わらず戦争は辞めろだの厭戦運動ばかりでしたよ。私ら軍人を見るとひと殺しだの罵倒してきますよ」
「そうか…そうか」
老提督は溜め息をつきながらそう答えた。
「鉄底海峡の悲劇以来だな。あの戦いで大損害を被って旗色が悪くなってからじゃ」
「…」
「戦争っていうのはじゃな勝者と敗者しか生まないんじゃ。こっちが侵略しようが相手が侵略しようが勝利と破滅、支配と屈伏しかないんじゃ。厭戦を主張する気持ちも解るのじゃ。だけど、戦わずして降伏する事は敗戦と同様なのじゃ」
期待しているぞ、
お、なんかいいぞ
期待している
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