親父「俺はもう疲れた お前が働け」
俺「は?」
親父「だからぁ…俺はもう仕事し疲れたんだよ!文句あっかぁ!?」
俺「なに言ってんだ お前まだ定年でもないだろが」
親父「いやwwてかもう辞表出してきたしwww」
俺「は?嘘だろ?」
親父「嘘じゃねぇよwいいからお前が働け!お前もいい歳こいてなにタラタラしてんだゴミ!!」
俺「てんめぇ…」
親父「ったくよぉ…なんでこんな息子を産んじまったのかねぇ」
親父「はあーぁ…疲れた疲れた 寝るわ
お前明日からハロワな」
俺「ざけんなぁ!!」
俺は親父をぶん殴った
そして倒れた親父にのしかかった
親父「…痛ってぇなぁ!」
俺「一体なんなんだよ…お前は!」
俺「ずっと前から思ってた!いっつもいっつもヘラヘラしやがって!挙げ句の果てに仕事やめるだと!?ざけんな!」
俺はもう一発親父を殴った
親父「……痛っ!」
俺「俺だって働きたい…でも…親父の近所付き合いの悪さのせいで外にも出れやしない!」
俺「俺にはなぁ…妹だっているんだ!お前は息子と娘の気持ちや将来を考えた事があるのか!?」
親父「…」
俺「う…うわああああああ!!」
俺は無我夢中になって親父を殴り押し倒しては殴った
親父のボコボコになった顔と体は覚えてるがあとは忘れた
案の定ではあるが警察沙汰になり結局俺が覚えているのは警察署から出たあたりからだ
俺「…くそがっ…冗談じゃねぇ…」
俺の家庭は親父に俺にあと妹の三人
母親は俺が物心ついたころには死んでた
結局親父が俺達二人を育てることになったが男手一つで子育て なんて良い言葉で表せるような育児じゃねぇ
妹が小さい頃なんか妹と遊んでやるくらいしてやってもいいのに家では寝てるとこしか見たことがない それは今もだが
とにかくロクな父親じゃなかった
俺「なんで…俺がこんな目に」
俺「なんだってんだ…俺の人生…もうやだよ…」
別に悲劇の主人公気取りたいわけじゃない
でも俺の人生になぜここまで光がないんだと心から神を妬んだ事が何度あったか
俺「ただいま」ガチャ
俺に唯一希望があるならば妹だ
妹だけは俺の素を出し話す事ができる
そして妹もきっと俺が大好きだ
聞いたことはないけど
俺「妹~」
俺「妹~帰ったぞ~」
俺「…」
俺「あれ?」
いつもならうんとかすんとか返事があるのだが
俺「妹いるのか?部屋入るぞ…?」ガチャッ
妹「…」
妹は壁を向いた机に座っていた
俺「おい…妹?帰ったぞ?」
妹「…」
俺「なんかあったか?」
妹「…お兄ちゃんのバカ」
俺「なに?」
妹「…聞いた?お父さんすっごい怪我してて入院したんだって」
俺「へぇ…そうなのか」
妹「お兄ちゃん…なんで?なんでそんなことしたの?」
俺「妹…分かるだろ…親父はロクな人間じゃ…」
妹「違うよ!…確かに…お父さんは酷い人間だけど…そんなことしちゃったら…お兄ちゃんもおんなじだよ!」
俺「なっ…!」
妹「お兄ちゃんだって自分勝手だよ!自分が嫌だからってなんでもかんでも後先考えず行動して!いっつもそうなの!」
俺「お…俺はお前の事も思って…」
妹「私の事なんか思ってない!いっつもそう言って…ほんとは自分の事しか考えてない!」
俺「…お…俺は…俺…」
妹「…っっ」
俺は言い返す言葉をなくした
これまでにないなんとも言えぬ気持ちに襲われていた
今まで優しかった妹が…
妹「もういや…出ていってよ」
こんな…こんなこと言うなんて…
妹「もう!!出てって!」
俺「妹!お前には分かんねぇよ!」ガッ!(肩を掴む)
俺の頭は混乱していた
俺は妹の肩を揺らしながら喚いた
妹「もうっ!いやっ!きもい離して!!」
俺「俺はな…俺はな…!!」
妹「もう!お兄ちゃんなんて死んじゃえ!」
俺「…!!」
妹「…」ギロッ
俺「…」
俺はゆっくりと後退りをし妹の部屋をでた
俺の頭は真っ白だった
遂に…妹に見離されてしまった
気付くと俺は泣きそうになっていた
たかが妹だが俺にとってはたった一人の味方だったのだ
俺は部屋へ戻りベッドに飛び込んだ
俺「…俺は…俺はどうすればいい…」
俺「もういやだ…もう皆死ねよくそが…」
俺「誰も俺の味方なんていないだろ!?みんなみんな死んじまえゴミ共ぉ!!」
俺は目に涙を浮かべながら人生を振り返る
小学校ではこのブサイクな顔で虐められ後々は母親がいないことをネタに中学までイジメは続き 高校ではイジメのせいでコミュ症に かつ家の貧乏さ故に友人との遊びとよばれる青春を過ごす事はなかった
人類皆平等
これは人間が人間らしく生きていく為に考えられた表面上だけの薄っぺらい言葉だ
人生の平等さなんざ産まれた時に全部決まるもんだ
俺はポロリと涙を流し眠りについた
翌日
俺は携帯の着信音に目を覚ました
親戚のババアだった
俺「…はい…」
親戚「あなたねぇ…!あんなことしといて病院にお見舞いにもこないの!?」
俺「は…はぁ…」
親戚「一番来るべきなのはあなたなのよ!!もう既にたくさんの親戚が集まってるの!今すぐあなたも病院に来なさい!」
俺「…はぁ」
あんな親父にも親戚が集まるのか
まあ所詮は人間付き合いってやつなのだろうが
俺「仕方ない…コンビニついでに寄るか」
ーーーーー
病院にて
俺「すいません ○○の息子の者なんですが」
受付「…」
俺「…○○の病室教えていただけますか?」
受付「…」
俺「…」
受付「…」
俺「…いや…あの…」
受付「…え?あ、すいませんっ ご用件は…?」
俺「はぁ…」
ーーーーー
俺「ったくっ…んだよあの態度…あんなのでも仕事できるのかぁ…俺も病院の受付の仕事でもしようか…なんて」スタッスタッスタッ
俺「ここが親父の病室か」ガラッ
中には親戚のジジイやババアが7~8人見舞いに来ていた
俺「すいません…息子の俺です…」
少し言うのを躊躇ったが言わないわけにはいかない
親戚一同「…」
俺「…あの…」
親戚一同「…」
無視してやがる…なんなんだ?俺を呼び出すだけ呼び出しといて親父を殴った事への皮肉のつもりか?
俺は親父のベッドと親戚一同のほぼ真ん中に嫌みっぽく入り言った
俺「息子の俺です!」
親戚「…お…おおっ…やっと来たのか俺君」
親戚「俺君って誰だっけ?」
親戚「失礼な事言うんじゃないw」
なんて仕打ちだこれは
俺「は…はい…」
俺は苦笑いで返す
親父はまあまあ重傷のようだ
目を覚ましてないらしい
ざまぁないな 俺は心の中で眠る親父を嘲笑った
結局何事もなく俺は一時間ほどして病室を後にした
俺「くそが…時間の無駄だった」
俺は予定通り通り道にあるコンビニに寄った
俺「」ウイーン
最近の店員ってのは「いらっしゃいませ」の一言も教わってないらしい
イライラすると何もかもに腹が立つ人間の本能だ 仕方ない
俺は昼飯と夕飯のカップメンをレジに出した
店員「…」
俺「…あ、これお願いします」
店員「…」
俺「…」
俺「いやあの…」
店員「…」
なんだってんだよさっきの受付といい…
俺「おい!聞いてんのか!」
店員「!?」
店員「…い…いらっしゃいませ…ああ…えぇと」
何かおかしい
店員は無視してたという感じでもなかった
なんなんだ?何かあるのか?
俺に不可解な恐怖のようなものが取りつき始めた
家に帰ると妹が一人自分で買ったであろうレトルトカレーを食べていた
俺「あ…妹…」
妹「…」
俺「…」
この時急に俺は今何のために生きているのかという疑問が頭を過ぎった
俺…生きてる意味あんのかな?誰にも必要とされてないんだぞ?
死にたい死にたいって言ってる奴の気持ちが今なら理解できる
俺は何の生産性も無かった今日一日を思い返しながら眠りについた
翌日
俺「んん…あぁ…もう12時か…はあ…」
俺「腹減った コンビニ行こう」
まとめ買いしとくべきだったなあと後悔しつつ歩いていると前から来た不注意な男にぶつかった
俺「いっ…あ、すいません」
男「…」
男は何も言わずまた歩き出した
俺「ちっ…んだよ」
俺は少し不自然に思ったが構わず昨日と別のコンビニに入った
ここも挨拶がない
嫌な予感がした
俺は不安を横目にわざと音を立てて商品をレジに置いた
俺「これください!」
店員「…」
やっぱりおかしい
店員はまるで俺を見てない
皆おかしくなってるんだ
皆狂い始めてる
後ろから別の客が来た
その男は俺を除け者にするかのようにレジ前に現れた
案の定俺とぶつかり俺は押し倒された
しかしその男は不思議そうな顔で周りをキョロキョロし始めた
ゾッとした
まさか
そんなはずない
店員「…ど…どうかしました?」
男「あ…いや…なんでもないです」
俺の顔は恐らく真っ青だったに違いない
俺はうわああああと叫び声をあげコンビニを飛び出した
俺はこの街で一番人通りの多い交差点に来た
信号が青になると俺はダッシュで交差点のど真ん中に立った
迫り来る人々はまるで俺を見ていない
俺はサラリーマンにぶつかった
転けて また立ち上がると次は急いで走ってきたOLにぶつかった
そして次々にくる人々に俺は踏み潰されていった
人々は皆不思議な顔をしている
確信した
俺は認識されてない
俺は人々の目に映っていなかった
この時俺は原理とか原因とかなんてどうでもよかった
俺はただただ絶望していた
横断歩道を歩く人々の足の痛みに絶えながら
ーーーーー
あのあと俺は色々な場所を徘徊した
そしてその徘徊途中に俺はジュースを万引きした
勿論ばれなかった
市内の中学校に忍び込み廊下を歩いてみた
勿論ばれなかった
俺は気付いた
俺は自由を手に入れたんだと
誰をも寄せ付けない 完全な孤独
俺は徐々にこの現象に憂いを感じ始めた
そして俺は丸一日新しい世界の徘徊を続け完全にこの現象に浸っていた
しかしそれからたった3日後
俺には自宅に帰るという選択肢しか残っていなかった
どうやら飽きてしまったらしい
本能には逆らえぬ
俺はふらふらと自宅へ戻った
俺「ただい…」
俺「…」
俺「そうだ どうせ見えないんだし妹の部屋入ろ」
ガチャ
俺「なんだ妹寝てるのか」
ピロリロリン
俺「ん?妹の携帯?」
俺は妹の携帯を手にとる
今の俺にデリカシーなど一ミリもない
俺「は?男からのメールだとぉ?クソが 妹の野郎男とイチャイチャしやがって…」
俺「よし えぇと…【わたし実は変態なの/ / わたしとセックスしましょ(≧∇≦)】…と へへへ…」ポチー
俺「…て俺…なにしてんだろう…」
俺「…」
俺「…ん?俺への送信履歴?」
そういえば俺は携帯なんて使うまいと引き出しに入れたままだ
俺「どれどれ…」ポチー
【お兄ちゃんこの前はごめん
ほんとに反省してる 私が言い過ぎたの だから帰ってきてお願い
私はお兄ちゃんが大好きだから】
俺「い…い…妹…」
体中が熱くなり何か込み上げるものがあった
今すぐベッドの妹に抱きつきたい気分だった
しかし今の俺は無の存在
妹を驚かしてしまうだけ
妹「ん…んん…」
俺「妹…起きたか…」
妹「…」
俺「…」
妹が俺を見ている気がする
妹「…」
いや…見ている
俺「妹?」
妹「お…お兄ちゃん!?」
妹は俺に飛びついてきた まるで子供みたいに
妹は泣いていた
妹「ウゥェッ…ウゥェッ…ウゥェッ…お"に"い"ち"ゃん」
残念ながら俺は何も言うことができない
何故なら状況を呑み込めないからだ
妹「私…ウェッ…お兄ちゃんに…ウェッ…死んじゃえなん…て…言っちゃったから…ウェッ…ウェッ…ほんとに死んじゃったのかと思って…ウゥェッ…」
俺「妹…」
妹がさらに俺を強く抱きしめる
妹「ごめんお兄ちゃん…!ごめん…!」
なんで妹に俺が見えてるのかなんてどうでもいい
俺は妹を強く抱きしめた
俺「俺も…ごめん…」
ーーーーー
一段落つくと俺は妹にこれまでのことを説明した
妹は驚いていたが信じてくれた
妹「じゃあ…徐々にお兄ちゃんが皆から見えなくなって忘れられていって最終的には私しかお兄ちゃんを見れなくなったってことだよね」
俺「そう」
妹「多分だけどね 最初親戚の人達はお兄ちゃんに電話できるくらいだからハッキリお兄ちゃんの存在は覚えてたんだよね 」
妹「だからお兄ちゃんに深く関係がない人からお兄ちゃんの姿が見えなくなってきてるんじゃないかな」
俺「でも…なんで…」
妹「…」
妹「…お父さんだよ!」
俺「え…」
妹「きっとお父さんに会えば何か分かるよ!」
俺「なんでだよ」
妹「だっておかしくなったのってあの日あたりでしょ?」
俺「まあ…」
妹「ね?いこ?病院」
俺「…あぁ…うん…」
この時俺は恐れていた
この現象が終わってしまう事を
情けない事に俺は今の孤独状態を気に入っているらしい
しかし翌日妹はあまり乗り気ではない俺を引き連れ病院へ来た
妹「○○の娘と息子です!病室教えてください!」
受付「息子…?」
妹「…あ…いや…娘です」
俺「…」
ーーーーー
妹「ははは…なんかごめんね…」
俺「なあ…ほんとに行くのか…?」
妹「当たり前でしょ~何言ってるの~」
妹が俺の手を引っ張りながら歩く
俺には親父に会いたくないもう一つの理由があった
妹「ここだね」ガラガラ
妹「お…お父さん…?」
親父「…ん…」
親父の意識はもどっていた
妹「お…お父さん…!今お兄ちゃんも来てるの…」
親父「…」
妹「…お兄ちゃんのこと…覚えてるよね?」
親父「…」
俺は居ても立ってもいられなくなり病室を出た
俺がもう一つ恐れていたこと
それは親父が俺を覚えていなかった場合のことだ
病室のドアを出たところで妹に腕を掴まれた
妹はまた泣いていた
妹「行かないでよ…」
俺「なんで泣いてる…関係ないだろお前には」
妹「あるよ!」
俺「俺は別に…今のままでいいんだよ!」
妹「違う!」
俺「なにが!」
妹「もしかして私までお兄ちゃんのこと見えなくなっちゃうのかもしれないって…忘れちゃうのかもしれないって思うと…恐いの…」
俺「…!」
妹「私今お兄ちゃんがここを出ていったら…お兄ちゃんの事忘れちゃう…そんな気がするの…」
俺「妹…」
俺の頭はもうぐちゃぐちゃだった
ここを今すぐ離れたい
でも妹には忘れられたくない
妹を放したくない
でも親父に会いたくないし顔も見たくない 見られたくもない
どうすればいい
妹「お兄ちゃん…」
俺「…」
俺「…すまん」
俺は妹を振り払い出口へ走った
後ろから妹の声が聞こえたが無視して走った
俺は病院を出て無我夢中に走った
俺は最低だ
俺は妹の声よりもこの孤独世界を選んだ
俺が自分勝手だって…ほんとにその通りだ…
ごめん妹…
ーーーーー
気付くと俺は自宅に戻っていた
もう何もかも終わったんだ
きっと今では俺はこの世に存在してない人間なのだろう
妹の泣いている顔が脳裏を過ぎる
親父のせいだ
全部親父が悪いんだ 何もかも
無性に腹が立ってきた
俺は親父の何もかもを壊してやりたくなった
俺は親父の部屋に飛び込み暴れていた
世界に認識されてない俺に理性などはなかった
気がつくと周りには何十もの壊れたビール瓶に倒れた机 その机の引き出しから溢れる何かの資料 割れた窓ガラス
部屋は文字通りぐちゃぐちゃになっていた
俺「はぁ…はぁ…はぁ…」
俺「…ふふっ…ははは…」
俺「ふははははははははははwwwwwwwww」
ドサッ
傾いた本棚から一冊のノートが落ちた
俺はそれを拾い上げる
俺「…なんだこれ…表紙に親父の名前が書いてある」
俺「なになに【今日から今流行りの日記というものをつけてみようと思う。日記をつけることも認知症対策になるらしい。】…親父の日記?」
俺はぐしゃぐしゃの部屋の真ん中に立ち 日記を読んだ
【今日もなかなか充実した日であった。仕事帰りに見る妻の顔というのはなんとも微笑ましいものだ。】
おい…親父ってこんなキャラじゃないだろ…
【今日は朝妻と喧嘩してしまった。
しかし家に帰るとキャラクターお面を被り声まねをしながら妻が私を出迎えてくれた。ほんとにいい妻を持ったものだ。】
【遂に我が家に第一子が産まれた。
とても元気な男の子だ。まだ自分の子供が産まれるという感覚が分からなかった私はかなり戸惑ってしまったが妻がとても嬉しそうでなによりだ。】
【第二子が産まれた。今度は可愛い女の子だ。まだ二人とも幼いがきっといい子に育ててみせよう。妻と共に。】
【明日は妻の誕生日か。前回はバラをプレゼントするとくさいと言われたからなぁ。今度は頑張って高めの指輪でも買ってあげよう。】
【そんなバカな
妻が死んだ 終わりだ 何もかも】
【妻が死んでしまって私は少し取り乱していたようだ。
私にはまだ幼い二人の子供がいるのだ。妻の為にもこれから頑張らなければ。】
【最近頭痛に腰痛が酷くなってきた。少し仕事を増やしすぎたか。しかし今の家計では子ども達二人を養うことができなくなる。ここでやめるわけにはいかない。】
【私にほんとに息子達を育てられる資格があるのか。私はどうやら仕事場で倒れたらしい。私は休養をとることになってしまった。こんな親を将来彼等は許してくれるだろうか。】
【私はもう疲れてしまったようだ
何も考える気力がでない
ただ子供たちだけは無事成長させなければ】
【古い友人に薬たるものを貰った
元気がでる薬らしい
今一つ試してみたがこれはなかなかいい とてもいい気分になる
これからはこの薬を飲んで仕事を頑張ろう】
【職場の人達からなにか噂されてる 気のせいだろうか 薬を飲んで頑張ろう】
【薬がきれた
薬がない
薬が欲しい
頑張らないと
子供たちのために
薬がない
薬が欲しい】
【つかれたつかれたつかれたつかれたつかれたつかれたつかれたつかれたつかれたつかれたつかれた】
【意識が朦朧とする
俺に息子達を守ることはできないようだ もう 記憶すら とんでしまいそうだ 今俺が俺であるうちに何か書けるのならば
子供逹に すまないと言いたい】
ここで日記は終わっていた
俺「…」
俺は全てを後悔した
俺がさっさと働いていれば
親父のせいで外に出られないなんて言い訳だった
実際は働きたくなかっただけだ
親父が一番に求めていたのは俺達子供の幸せだった
戻りたい
もうこんな独りの世界こりごりだ
俺は一人じゃなかったんだ
会いたい 妹にも親父にも
俺「うわああああああああああああああああああああああ!」
俺は今まで溜めていた涙を全て流した
ーーーーー
俺「俺はもう疲れた お前が働け」
息子「は?」
俺「だからぁ…俺はもう仕事し疲れたんだよ!文句あっかぁ!?」
息子「なに言ってんだ お前まだ定年でもないだろが」
俺「いやwwてかもう辞表出してきたしwww」
息子「は?嘘だろ?」
俺「嘘じゃねぇよwいいからお前が働け!お前もいい歳こいてなにタラタラしてんだゴミ!!」
息子「てんめぇ…」
俺「ったくよぉ…なんでこんな息子を産んじまったのかねぇ」
俺「はあーぁ…疲れた疲れた 寝るわ
お前明日からハロワな」
息子「ざけんなぁ!!」
息子は俺を殴り倒し
のしかかってきた
俺「…痛ってぇなぁ!」
息子「一体なんなんだよ…お前は!」
息子「ずっと前から思ってた!いっつもいっつもヘラヘラしやがって!挙げ句の果てに仕事やめるだと!?ざけんな!」
俺はもう一発殴られた
俺「……痛っ!」
息子「俺だって働きたい…でも…親父の近所付き合いの悪さのせいで外にも出れやしない!」
息子「俺にはなぁ…妹だっているんだ!お前は息子と娘の気持ちや将来を考えた事があるのか!?」
俺は我に返った
一体俺はなんてことを…
また薬で頭が混乱していたようだ
息子は叫び声をあげ俺を殴り始めた
意識は遠のいていった
ーーーーー
俺が目を覚ますと病室だった
あれからどれだけ経ったのだろうか
何日か経ったのだろうか
意識はあるが体が動かない 表情すら麻痺して変えれないようだ
こんなクソ親父 殴られて当然だ
俺は息子との最後の喧嘩を思い出す
ーー俺にはなぁ…妹だっているんだ!お前は息子と娘の気持ちや将来を考えた事があるのか!?ーー
俺はあの時つい息子の気迫に圧されていた
ほんとに良く成長してくれたもんだ
そんな事を考えていると聞き覚えのある声が聞こえてきた
?「ここだね」ガラガラ
?「お…お父さん…?」
俺「…ん…」
娘だ!娘がお見舞いに来てくれたのだ
この子はよく息子が世話してくれたからな
ほんとにこの子もいい子に育ったよ
しかし顔が麻痺してよくみえない
首が曲がらないのだ
娘「お…お父さん…!今お兄ちゃんも来てるの…」
なに…!息子が…!?
俺のためにか…?
妹「…お兄ちゃんのこと…覚えてるよね?」
なんでそんな質問をする?
勿論覚えてるとも
しかし俺は首を動かすこともできず麻痺した口で「覚えている」と言うこともできずにいた
すると妹が何かを叫んでる
どうやら泣いているらしい
息子を引きとめている?
耳を傾けるとそうらしい
俺はこんな時でさえ何もしてやれない自分に腹が立っていた
どうやら息子は帰ってしまったらしい
娘が俺のベッドのほうに歩いてくる
娘「お…お父さん…」
娘「ごめん…お兄ちゃん帰っちゃった…」
やはり息子はこんな俺に呆れていたようだ
しかたあるまい
娘「グスッ…私ね…お兄ちゃんと喧嘩しちゃってさ…グスッ…バカだよね…」
俺は娘がこうして話せもしない自分に喋りかけてくれていることだけで嬉しかった
本当にいい子だ
俺は何もしてやれなかったっていうのに…
娘「…まあ…いいや…」
娘「私…少しここにいるね」
俺はこの先の事を考えていた
ただでさえ俺がこのまま入院を続ければそれだけ費用がかかる
なのに子供たちだけでどうするんだ?
今の俺はとても冷静だった
なぜクスリなんかに手を染めてしまったのか
俺は心から後悔していた
娘はいつのまにか病室の椅子で眠ってしまっていた
俺はこの先どうすれば…
息子たちに見放され それでもなお息子たちに迷惑をかけるのか?
これならいっそ死んでしまおうか
ガラッ
息子「親父いぃい!!」
俺「!!」
娘「…ん…」
息子だ
物凄い汗だ
そして息子が娘の肩を掴む
俺「妹ぉ!見えるか!?俺が分かるか!?」
妹「……」
娘は泣き出した
妹「…分かるよ…お兄ちゃん…!」
俺「ごめんよ…妹」
息子が娘を抱きしめ 次に俺の方へ向かってくる
俺「…」
息子「これ見たよ」
息子が差し出したのは俺が気まぐれで付けた日記だった
息子「親父…ごめん」
俺「…!」
鳥肌がたった
息子に謝られる日がくるとは思わなかった
息子「俺…働くよ 親父はもうゆっくり休めばいい
妹も俺が守る 約束する」
息子…ほんとにほんとに良く成長してくれた
こんなに嬉しかったことが今まであっただろうか
俺はいつの間にか表情の動かない顔に涙をこぼしていた
息子も泣いていた
俺は麻痺した口を必死に動かし一言だけ息子に伝えた
「あ…り…が…と…う」
ーーーーー
あの現象は終わっていた
どうやら俺の涙が引き金だったらしい
きっと神様が独りになる辛さを教えてくれたのだろう
俺はこの街の大きな鉄工所で週6で働くことになった
親父は徐々に回復に向かってるようだ
俺「ただいまー」
妹「おおお兄いいちゃあああん!?」ダダダダダドッ
俺「ぐはっ!?」
俺「なんだよいきなりドロップキックなんかして!」
妹「これなによ!」
妹が携帯を差し出す
俺「ん?なになに…私実は変態…私とセックスし…ああっ!!」
妹「これお兄ちゃんでしょ!」
俺「い…いやちげぇよ!てか妹変態だなぁそんなメール送るなんてw」
妹「もおおおおお…」
妹「お兄ちゃんのバカぁ!!」
親父…今日も俺達は元気です
end
おわり
乙
乙
乙。すげー良かった
駄作すぎて吹いた
面白かった
よくわからんかった
お前こんなとこにも晒してんのかよ
安定のバイトリーダーだった
乙
色んな人に見てもらいたいんだよ
まあまあだな(笑)
物語性がない
起承転結が曖昧
つまらなかった
起承転結がないだと…
考えておこう
これは酷い
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