ライナー「アルミン?」(19)
エレン「どうかしたのか、ライナー?」
ライナー「いや、なんでもない」
ライナー(アルミンの奴、こんな時間にどこに行くつもりだ?)
ライナー(……後を付けてみるか)
アルミン「――はぁ………」トコトコ
ライナー(しかし、アルミンの顔、酷く暗かったな)ササッ
ライナー(それに、珍しく不機嫌でイライラしているようだった)
ライナー(訓練時も、夕食の時だっていつも通りのアルミンだったというのに)
ライナー(いつものようにミカサがエレンを構い、コニーがちゃかして、ジャンが悪態を付き、アニとミカサが殺気を放ち、ユミルが火に油を注ぎ、クリスタが天使で、サシャが食事を横取りして、俺が特に理由もなく吹っ飛んで)
ライナー(………いつも通りだったな)
ライナー(こんな人気のない所に、いったい何の用が)
アルミン「―――だよ」
ライナー(ん?アルミンの声?誰か他にいるのか?)
アルミン「ん――、―ま――――、もぅ――――」
ライナー(誰かと話しているのか?相手は誰だ?ここからでは暗くて見えんし、声も聞き難い)
ライナー(気配を断ち、慎重に、こっそりと…………)コソコソ
アルミン「今日だってエレンのせいでどれだけ僕が気をすり減らしたか」
ライナー(いったい何の話をしているんだ?それに、いつもよりも声が低い気が)
○○○「うん。アルミンは優しいから大変だね」
ライナー(一体、誰と………)ヒョイッ
ライナー(!!!!)
ライナー(ミ、ミカサ?!しかも!?)
ライナー(アルミンがミカサの胸に頭から寄りかかっているッ?!)
ライナー(お、俺はとんでもないものを見てしまったッ?!)バクバクッ
アルミン「まずエレンだよなんだよあの天然ジゴロ悪気がないからよけいたちが悪いんだよ直ぐにカッとなるしムキになるし危なっかしいし僕がどれだけ大事にならないように気をすり減らしているとおもってるんだよ」ブツブツ
アルミン「この前だっておもしろ半分でサシャにパンをあげたばっかりにどれだけ大変だったか」ブツブツ
ライナー(あ、あの時か。確かにあの後サシャが必要にエレンにパンをねだったせいで、ミカサやアニの機嫌が………)
ライナー(今思い出しても寒気がする。アルミンがいなかったら……)ブルッ
アルミン「ジャンはミカサの気を惹こうとエレンにちょっかい出すし空回りするし飛び火するしもうやめてよなんで最後は僕の所にくるの」
アルミン「皆の注文も日に日にエスカレートしすぎだよ肉食べたいとか惚れ薬作ってとか女子のスリーサイズ表とかクリスタの下着とか教官のズラとかエレンのおとし方とか男子の好みとか女子の意中の相手とかなんでも僕に頼りすぎなんだよ」
アルミン「最近一部の女子から変な視線を感じるから何かなって思ったら『エレン君とは、どういう関係?』って顔を赤らめながら聞かれてさ」
アルミン「僕だって男だしそういうのに興味ない訳じゃないから『幼なじみだよ』って返したら『それ以上の関係は?!』って鬼気迫る勢いで迫られたしさ」
アルミン「なんだよなんでだよ訳わかんないよそういうのは知ってるし他人の趣味に口を出したくはないけどやめてよほんとなんだよあの満面の笑みは僕にどうしろってんだよ僕はノーマルだよ」グスッ
ミカサ「アルミンは童顔だから、これから成長すればそういうのも無くなるから気にしすぎないで」ナデナデ
ライナー(………そういえば、俺もたまに妙な視線を感じるな。………まさかな)
アルミン「一番堪えたのは、クリスタにその事を聞かれたときだよ。クリスタもよく意味が分かっていなくて天使だったけど」
ライナー(グボァッ)
ミカサ「クリスタは優しいから誰かに頼まれたんだよ」ナデナデ
アルミン「最近またクリスタの好みは、とかミカサの好きな話題は、とかアニってどうすれば蹴ってくれる、とかサシャを餌付けしたい、とかなんで僕に一々言うのさどうしろっていうんだよ本人に直接言いいなよ仲介役じゃないんだよ僕は」
アルミン「クリスタの好みとかむしろ僕が知りたいよ!」
ライナー(全くだ)
アルミン「でも下手に話しかけて面倒事になったらまた僕がどうにかしないといけないしさなんで僕がどうにかしないといけないのその内僕胃に穴空いて吐血するよ」
ライナー(アルミン……)
ミカサ「皆アルミンを頼りにしてるんだよ」ナデナデ
アルミン「頼りにって……、ミカサみたいに身体能力よくないしエレンみないに向上心ないしライナーみたいに安心感ないしクリスタみたいに優しくないしでもクリスタ天使だし」
ミカサ「アルミンは頼りになるよ。自信を持って。だから皆に相談されるんだよ」ナデナデ
アルミン「相談ていうより無理難題だよもっと皆協調性もってよほんとうにミカサもミカサだよエレンに関すると直ぐ殺気出すし」
ライナー(アルミンッッ!!ミカサ本人いるから目の前に!!)ブルッ
アルミン「この前だってアニとエレンが組み手してるの見て巨人も逃げ出すくらいの殺気だしてさ。頼むから抑えてよ血まみれとかやだよ本当に。エレンに近付く女子にはなりふり構わずそうだしさ」
ミカサ「それはエレンに近付くあいつ等が悪い」
アルミン「ミカサは過保護すぎるって何度も言ってるのに聞いてくれないしさ。いっそミカサとエレンがくっ付けば僕の負担もぐっと下がるのに」
ライナー(アルミンッッ!!どうしたんだいつもの思慮深い君はどこに行ったああああッッ!!)
アルミン「いくら言っても家族だからって本当に……本当に……、エレンもエレンでそういうの疎い以上に恋愛に関係した神経全部機能不全起こしてるんじゃないかって疑うレベルだしなんなのあの歩くフラグ建築士は」
ミカサ「そういうところも、エレンの良さ」
アルミン「ミカサもこの前趣味はエレンってさも当たり前みたいに言うしさなんだよそれはあの後僕がどれだけ……どれだけ………怖い思いをしたと………」
ライナー(アニとミカサの血で血を洗う骨肉の闘争が起こる一歩手前だったからな)
アルミン「―――――」
ライナー(お、アルミンが静かになった。―――ッッ!)
ライナー(こ、こんどは膝枕だとッッ!!)
ライナー(……ジャンが見たら、失神するな)
ミカサ「――――出てきたら?」
ライナー(ッ!?き、気付かれた?!)
ライナー「――す、すまん。偶々声が聞こえてな。しかしどうしてわかった?」
ミカサ「エレンの匂いが微かにしたから」
ライナー(え、何ソレ怖い)
ミカサ「――できれば、今日のことは黙っていて」
ライナー「それは、構わんが。それにしても意外だったな」
ミカサ「偶にこうやって吐き出さないと。アルミンはため込みすぎて我慢しちゃうから」
ライナー「昔からか?」
ミカサ「うん。最初はエレンがやってたんだけど」
ライナー「?」
ミカサ「……エレンだと、余りに何も考えなさすぎて壁に向かって話しているみたいでダメだったみたい」
ライナー(確かに、アイツは相談受けたりするタイプじゃなさそうだしな)
ミカサ「だから、私がこうやってアルミンの話を聞いて、少し休んでリフレッシュさせてるの」
ライナー「だから、いつものアルミンとは思えない程毒をはいてたのか」
ミカサ「いつも相談に乗ってくれてるから、これくらいは」
ライナー(……き、聞いてみるか?この流れで)
ライナー「………前から気になっていたんだが、エレンの事をどうおもっているんだ?」
ミカサ「家族」
ライナー「いや、そうだな、異性としてどう思っているんだ?」
ミカサ「異性として?家族としてではなく?」
ライナー「いや、だから………」
ライナー「………なら、将来エレンに好きな人が――た、例え話しだ!だからそんな殺気を向けないでくれ」ブルッ
ミカサ「冗談でも笑えない」
ライナー(笑えないのはこっちだ!)
ミカサ「―――エレンが、幸せなら私は」
カーンカーンカーン
ミカサ「もう時間。アルミンはもう少しで目を覚ますから、ライナーは先に戻っていて」
ライナー「あ、あぁ。わかった」
ミカサ「――――アルミン」
アルミン「ん……ミカサ。ごめん、ちょっと寝ちゃってたみたい」
ミカサ「今度みんなで町に行こ。クリスタも誘うから」
アルミン「―――うん、ありがとう」
短すぎてごめんなさい。
ただアルミンとミカサを書きたかっただけです。
淡々と愚痴をいうアルミンが書きたかった。
でも実際書くと愚痴あんまり書けなかったです。
ごめんなさい。
よかった、乙
乙。面白かった
乙、充分だよ
乙乙乙です
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