オーガ娘「私、大きいよ?」(117)
オーガ娘『ぐすっ、ひっく…』
悪ガキ1『みなしごーみなしごー!』
悪ガキ2『やーい、巨女ー!デカ女ー!』
悪ガキ3『鬼の子ー!』
オーガ娘『やめてよぅ、ぐしゅっ』
悪ガキ1『やーい!弱虫ー!』
悪ガキ2『デカイくせに泣き虫ー!』
悪ガキ3『鬼のくせにすぐ泣くー!』
オーガ娘『うぐっ、うわぁぁぁん!』
男『オラァっ、お前らっ!!』ダダッ
オーガ娘『ううぅっ…お、男…ひっ、ちゃん、えっぐ…』
男『また性懲りもなくっ!』
悪ガキ1『来やがったな!』
悪ガキ2『デカイ奴にデカイって言って何が悪い!』
悪ガキ3『角なんか生やしやがって!だっせーの!』
男『おまえらっ…!!!』ムカムカ
悪ガキ1『やるか?』
悪ガキ2『いつもやられてばっかだから、今日はやり返してやる』
男『やれるもんなら、やってみろ!』
悪ガキ3『やっちまえー!』
男『おらぁっ!』
バキッ、ドカッ、ゲシッ…
……
…
……
オーガ娘『男ちゃん、ひっく、大丈夫?』
男『いつつ…、くちびる切れてる…』
オーガ娘『ごめんね、いつも私のために』
男『オーちゃんが謝る必要なんてないだろ?』
男『悪いのはアイツらだ』ムカムカ
男『でも、1対3はキツかったな…やられちゃった』
オーガ娘『卑怯だよぅ、うくっ』
オーガ娘『アイツら、えぐ、わ、私をダシにして、男ちゃんをおびき出したのよ…』
男『…わかってた』
オーガ娘『私のせいで、男ちゃんがケガしちゃ嫌だよ…ひっく』
男『こんなもんはほっときゃ治るからいいんだよ。それよりオーちゃんが傷つけられるのは我慢ならねぇ』
男『アイツら、オーちゃんが今までどれだけ辛かったか知らないから…!』ギリッ
オーガ娘『男…ひっく、ちゃん』
オーガ娘『ふふ、優しいね、男ちゃん』
男『オーちゃんはそうやって笑ってる方がいいよ』
オーガ娘『いつも、ありがとう』
?「お………ゃん…」
男『いいよ、別に』
?「男……ん」
オーガ娘『私、大人になったら…』
?「男ちゃ…」
オーガ娘『男ちゃんとけっ… ?「男ちゃんっ!」
―――
――
―
?「男ちゃんっ!」
男「んが…」
男「んあ、オーちゃん…」
オーガ娘「んあ、じゃないっ!」プン
オーガ娘「私が警護団の任務で遠方に行くから、出発までに工房に来てくれって言ったの、男ちゃんでしょう!?」プンスカ
男「ふああぁ…そだったな…」
オーガ娘「来てみたら、型紙にヨダレ垂らして寝てるし…」
男「あ、いけね、作り直しか…」ジュル
オーガ娘「あーあー、もう…」
男「んん、うぇぇいぃ…」グリグリコキコキ
オーガ娘「随分お疲れのようね」
男「最近、オーダーがよく入って、忙しいのなんのって…」
オーガ娘「人気仕立て職人はツラいね、ふふふ」
男「忙しいうちが華ってことさ」
男「あ、お茶淹れるわ」
オーガ娘「もう頂いてまーす」
ホカホカ
オーガ娘「勝手に用意させてもらったよ」
男「すまないな」
オーガ娘「それで用件は何?」
男「ああ、採寸だ」
男「新作のドレスを作るから、念のためにな」
オーガ娘「ああ…////」
オーガ娘「やっぱりか…////」
男「落胆するわりに、素直に寄ってくれたんだな」
オーガ娘「まあ…男ちゃんが仕立て職人になったのは、私が原因だから」
オーガ娘「協力しないとね」
男「原因とかそんな言い方するなよな」
男「俺がオーちゃんの服を仕立てたのが始まりなだけだろ?」
オーガ娘「男ちゃんの手先の器用さにはびっくりしたよ」
オーガ娘「簡単に服を作っちゃうなんて」
男「小さい頃からもの作りは好きだったんだよ」
オーガ娘「それからどんどん巧くなって」
男「新作を作ると、オーちゃんスゲェ喜んでくれるから」
オーガ娘「今は自分の工房も持って、人気も出て」
男「よせよせ////」
オーガ娘「まあ、オーガ族の私の体型に合うような服なんて、そうそう無いから助かるっちゃ助かるんだけどね…」
新作待ってた
支援
オーガ娘「…」シュン
男「自分で言ってヘコむなよ…」
男「ま、だから俺が仕立ててんだろ?」
男「オーちゃんは出るとこ出て、引き締まって全体的にバランスの取れた良いカラダしてるから」
男「モデルにピッタリなんだよ」
オーガ娘「恥ずかし…////」
男「照れんな照れんな」
オーガ娘「そんなこと言ったって////」
男「はははっ」
男「オーちゃんは気にするかもしれないけど、大きいと服の見映えもよくなるし」
男「俺も結構助かってんだぜ?」
オーガ娘「そう言われると、大きいのも悪くないね」
男「そういうこと」
男「じゃあ、採寸するか!」
男「ふむふむ…」メモメモ
オーガ娘(ああ…男ちゃんの前で薄着で…)
オーガ娘(女の子の極秘情報のスリーサイズ計られてるなんて…////)
オーガ娘(いつまで経っても慣れないなぁ////)
男「オッケ!ありがとう」
オーガ娘「うん」キガエキガエ
男「オーちゃん、また胸でかくなったな」
オーガ娘「あえ!?////」
オーガ娘「や…やっぱり?////」
オーガ娘「最近、団の制服、前ボタンがキツくなったんだよね…////」
男「いつまで成長期なんだか…」
オーガ娘「し、身長は止まったもんっ////」
男「まあ、毎日の訓練で鍛えてるから、体幹がしっかりして姿勢もよくなるしな」
男「胸なんかは下地の筋肉が鍛えられたら大きくなりやすいらしいし…」
男「しかし…」ジー
ポヨン
男「…」ニヘラ
バキッ
男「おがっ…」
オーガ娘「せっ、セクハラッ!////」
オーガ娘「目線がやらしいっ!」
男「いだいいだい」モンゼツ
オーガ娘「あ、ごめん…」
男「いたた…いや、こっちも悪かった」
男「しかし、相変わらずのパワーだな」
オーガ娘「このオーガ族天性の剛力で王立警護団にスカウトされたからね」フン
オーガ娘「コンプレックスだったのに、頼りにされると誇りに思うの…不思議ね」
男「はははっ、昔はいじめられっ子のオーちゃんだったのにな」
オーガ娘「はう…////」
男「今じゃ、警護団でも一目置かれてるもんな」
オーガ娘「なんでそんな話////」
男「さっき寝てたときに、夢を見てな…」
男「小さい頃の夢だった」
男「いつも、オーガ族の事をからかわれて泣いてたのに…」
男「ホントは強かったんだよな」
男「両親を早くに亡くして、それでもへこたれず、真っ直ぐ、いい女になった」
オーガ娘「いい女…」
オーガ娘「私みたいな、デカイ女に…そう言ってくれるの男ちゃんだけだよ」
男「そんなことないだろ」
男「それは見た目の話であって、みんな内側の良さにも気づいてるよ」
オーガ娘「そう、かな」
男「もう昔と違って、みんなに認められてるだろ?」
オーガ娘「まあ…うん」
男「自信持てよ」
オーガ娘「うん!」
男「それで?今回の任務は?」
オーガ娘「ああ、っとね。隣国からの要請で災害支援」
オーガ娘「おととい、大嵐があったでしょう?」
オーガ娘「国境を越えてすぐの場所なんだけど」
オーガ娘「先刻の大嵐で複数の種族の集落が被災し、甚大な被害が報告されており、当国だけでは対応しきれないため応援願います、だって」
男「…災害支援、か」
男「…毎度の事だけど…危険な任務の時は気をつけてくれよな」
ギュ
オーガ娘「男ちゃん…」
男「出発は?」
オーガ娘「明日夜明け前」
男「そうか」
男「帰ってきたらまたモデル、頼みたいから」
男「気をつけて、な」
オーガ娘「うん!」
オーガ娘「そろそろ行くね、明日の準備とかあるから」
オーガ娘「お茶ごちそうさま」
男「明日、見送り行くよ」
オーガ娘「いいよ、男ちゃんは忙しいみたいだし」
オーガ娘「それに、夜明け前だと男ちゃん、大変でしょう?」
オーガ娘「朝、弱いし」クスクス
男「う…。まあ、確かに…」
オーガ娘「男ちゃんはいい服仕立てて!ね?」
男「ああ」
オーガ娘「じゃあ、またね」
―翌日・夜明け前―
団長「今回の任務は隣国に於ける災害支援だ」
団長「如何なる状況下でも対応できるよう、各自細心の注意を以て臨むように」
総員「「「はいっ!!」」」ビシッ!
オーガ娘(男ちゃん…行ってきます)
団長「では出発する」
ヒヒーン!
ドドッドドッドドッ…
―
――
男「いらっしゃい、注文の品できあがっていますよ」
客「まあ…!ホントにいつ見ても綺麗な仕上がりね」
男「ありがとうございます」
客「これで孫に素敵なウェディングドレスをプレゼントできるわ」
客「ありがとう」
男「いえいえ。またどうぞご贔屓に!」
男「ありがとうございましたー!」
男(夕方か…少し休憩しようか)
[只今休憩中]
[ご用の方は呼び出しベルを鳴らして下さい→]
男(お茶は…と)カチャカチャ
男(出発から約半日…)
男(そろそろ警護団も活動し始めた頃かな)
男(無事に任務をこなしていればいいけど…)
コポコポ…
ピシッ…!
男「あ!」
男(この湯飲み、気に入ってたのに)
男(しかし、ひび割れするなんて、なんか縁起悪いな…)
男(オーちゃん…)
―
――
オーガ娘「周辺集落の住民の避難、順調に進んでいます」
団長「ああ」
オーガ娘「ただ、二次災害の恐れもあり生存者の捜索、救助は慎重にならざるを得ません」
団長「ん…ああ」
オーガ娘「…どうかしましたか?」
団長「いや、朝な」
団長「滅多に見ない新聞の占いを見たんだよ」
オーガ娘「団長もカワイイところがありますね」
団長「うるせ。そしたら、まあ、俺の今日の運勢、最下位だったんだが…」
団長「大切なものを失うかもしれません、だとよ」
オーガ娘「所詮占いですよ」
団長「それに、愛用のブーツの靴紐も切れちまったんだ」
オーガ娘「あら…」
団長「不吉だろ?」
オーガ娘「そう言えば…私も今朝、愛用のマグカップ、落としてもないのに横に真っ二つに割れましたね」
団長「横に?」
オーガ娘「マグカップの輪切りみたいな感じですね」
団長「なんか、気味悪いな…」
オーガ娘「考えすぎでは?」
団長「だといいんだがな」
団員1「団長!」
団長「どした?」
団員1「危険区域のエルフの集落にて、生存者を確認しました!」
団長「よし。団員1、オーガ娘、いけるな?」
オーガ娘・団員1「はい!」
団長「行くぞ」ダダッ
――
団長「くそっ」
団長「もっと早くに救援要請してくれりゃ、まだ楽に活動できたのによ」
オーガ娘「同感ですね」
オーガ娘「何故もっと早く要請が無かったんでしょう?」
団長「推測の域を出んが、過去の因縁だろう、どうせ」
団長「どうぞ慌てずに!必ず全員助けますから!」
オーガ娘「はい、もう大丈夫よ。お父さんお母さんとはぐれないでね」
エルフ子供「ありがとう、オーガのお姉さん!」
オーガ娘「どういたしまして」ニコ
オーガ娘「…でも大戦があったのはもう二百年以上前でしょう?」
団長「隣国の中枢は、頭でっかちで石頭のジジイ共らしいからな」
団長「何よりメンツが大事な連中じゃねーの?」
オーガ娘「皆さん、足元気をつけて下さいね!」
団長「そんなのチャチなメンツなんかどうでもいい。今は任務に集中して救える命を救うだけだ」
オーガ娘「…ですね」
団長「落ち着いて避難して下さい!」
ポツ…
ポツ…
ポツ…
オーガ娘「!」
ポツ…ポツ…
団長「雨…?」
ポツポツ…ポツポツポツポツ…
ザアァァアァァァァ…
オーガ娘「本降りかも…マズイですね」
団長「しばらくは快晴続きとか言ってたじゃねぇかよ!」
ザザアァァァアアァァァァァ…
オーガ娘「未だ止む気配は無し」
オーガ娘「むしろ降り方が激しくなってきています」
団長「あと何人いる!?」
団員1「あと二人です!」
オーガ娘「急ぎましょう!」
ゴ…
ゴゴッ…
オーガ娘「!?」
ガラッガラガラガラ…!
オーガ娘「そんなっ…」
ドドッ…
オーガ娘「みんなっ!離れてぇぇっ!!」
ドドドドドドッ…
団長「み、道が崩落…」
団長「前の大嵐と…この急な大雨でか!!」
団員1「向こう側も長く保ちそうにありません!」
オーガ娘「あと、あと二人なのにっ…!」
団長「くそ、何とかしないと…」
エルフ少女「パパっママぁっ!」
オーガ娘「!」
オーガ娘「…」
………
オーガ娘『お父さんっお母さぁんっ!』
オーガ娘父『行きなさいっ!』
オーガ娘父『父さん達は…もう、そっちに行けない…』
オーガ娘母『あなたはっ…生きて』
オーガ娘母『私達の…分までっ…幸せになってっっ!』
オーガ娘『お父さんっ…!!お母さんっ…!!』
オーガ娘父『約束…だぞ!』
オーガ娘『約束っ…する!』
オーガ娘父母『私達はずっとお前を見守っているよ』
ドドッドドドドドドドド…
オーガ娘『お父さ…お母…さ』
『いやあぁぁああぁぁあぁっっっ…!!』
……
…
オーガ娘「…」ギリッ
オーガ娘「私が行きます」
団長「は?」
オーガ娘「私が跳び越えて、二人を連れて戻ってきます」
団長「ちょ、何言って…」
オーガ娘「私の跳躍力なら…可能です」
団長「落ち着け!オーガ娘っ!」
オーガ娘「その子に…私と同じ思いをさせたくありません!」
団長「待てっ!冷静になれっ!」
オーガ娘「エルフちゃん…」
オーガ娘「必ずお父さんとお母さんを助けるから!」
ダダッ
エルフ少女「え」
団長「待…!」
ダダダッ!
オーガ娘「うぉおおぉぉあぁぁぁっ…!!」
ダンッッ!!
オーガ娘「らああぁぁぁぁぁぃっ!!!」
団長「!」
一同「「「!!!」」」
ズシャアァァンッッッ!
エルフ父母「うわっ!」
オーガ娘「ふんっ!」フン
団長「と…届いた…!」
一同「「「ワアーーーー!!」」」
オーガ娘「驚かせてすいません。でも、事は急を要するので」
オーガ娘「さ、早く行きましょう。お嬢さんが待ってますよ!」ニコッ
エルフ父「な、なんて無茶を…」
オーガ娘「…」
オーガ娘「私は…災害で両親を亡くしています」
エルフ母「え…」
オーガ娘「エルフちゃんに…私と同じ思いをしてほしくありませんから!」ニコッ
オーガ娘「必ず…あの子の元へ!」
エルフ父「…ありがとう」
オーガ娘「では失礼しますね」
ガシッ
オーガ娘「跳ぶ瞬間、少し力みますから…苦しいかもしれませんが我慢して下さいね」
エルフ父母「…はいっ!」
オーガ娘(とは言ったものの…)
オーガ娘(助走距離は…行きの半分くらいかな)
オーガ娘(かつ、小柄な種族とは言え、成人エルフ二人を両脇に抱えて…)
オーガ娘(いや…マイナスイメージはやめよう…)キリッ
オーガ娘「ふぅっ…ふぅっ!」
オーガ娘「…行きます」ゴクッ
オーガ娘「お父さん…お母さんっ!」
オーガ娘「男ちゃんっ…!」
オーガ娘「ふぅっっ!」グッ
タッ!
オーガ娘「私に力をっ…!私をっ…!」
ダダダッ!
オーガ娘「守ってぇぇぇっっっ!!!」
ダッンッッ!
一同「「「!!!!」」」
ドンッ
オーガ娘「!」
オーガ娘「届いた…」ホッ
ガラッ
オーガ娘「え」
ズルッ
オーガ娘「ヤバっ…!」
団長「お、オーガ娘ぇっ!!」
エルフ少女「お姉ちゃんっっ!」
オーガ娘「せめて…お二人だけは!」
エルフ父母「え?」
ブンッ
エルフ父母「わあっ!?」ドシャァ
ガラガラッ
オーガ娘「男ちゃん…」
―
――
男(!)
男(!?…?)
――
―
オーガ娘「もうモデル、できないよ…ごめんね…」ジワ
オーガ娘「もっと」ポロリ
オーガ娘「男ちゃんの仕立てた服」ポロポロ
「着たかったな」
ブチッ
―工房―
バタンッッ!
男「おわぁっ!?」
?「しっ、失礼っ、します!」
男「警護団、の方…?」
団員2「はっ、はあっはあっ、伝令…です、はっはあっ…」
団員2「先程…はっ、派遣先から、連絡が、はあっ、ありまして…」
団員2「おっ、オーガ娘が…はあっ、任務で…はあ、被災者を救助しようと…」
男「え」ドクン
団員2「救助した、二名は…、かすり傷程度で済んだんですが…」
団員2「オーガ娘が…!」
男「え…」ドクンドクン
ドクンドクンドクンドクン!
ここで焦らすか…
支援
牛はこの前やったよな…?
オーガは何だ?
おい
複数のコメント、及び読んで頂きありがとうごさいます
ここより一気に最後まで投下できると思いますので、引き続き、楽しんで頂ければ幸いです
―避難所―
オーガ娘「」
男「…」
オーガ娘「」
男「うぅ…ぐすっ」
オーガ娘「男ちゃん…」
オーガ娘「泣いてるの?」
男「…」コク
オーガ娘「男ちゃん…」
オーガ娘「あばら骨と足、折っちゃった!てへ♪」テヘ
男「てへ、じゃねぇ!!バカタレェ…あぐっ」
オーガ娘「ごめん…なさい…」
男「顔も…うぐ、傷、だらけで」
男「頭も、何針か、っく、縫ったらしいな」
オーガ娘「ごめん…」
オーガ娘「骨折以外は、異常は無いみたい」
男「うん…生きててくれて…」
男「うっく…良かった…ホントに良かった…ぐすっ」
オーガ娘「小さい頃、ケンカで負けても泣かなかった男ちゃんが…泣いてる」
男「ひぅ、ぅうるせぇっ!」
オーガ娘「泣いてるの初めて見た」
男「ふっぐぅ…」
オーガ娘「心配かけてごめんね…しか、言えない…。ホントにごめん…」
男「ぐすっ、ああ」
オーガ娘「…これ」スッ
ボロッ
男「すん、これは…」
オーガ娘「ミサンガ。切れちゃったけど…」
オーガ娘「今回も着けて任務に就いたの」
男「…ぐすっ」
男「まだ、持ってたのか…」
オーガ娘「任務の時のお守りにって、男ちゃんが入団祝いにくれたんだよね」
男「お守り…か」
オーガ娘「崖から落ちた時ね…」
…
……
………
ガラッ
オーガ娘「え」
ズルッ
団長「お、オーガ娘ぇっ!!」
エルフ少女「お姉ちゃんっっ!」
オーガ娘「せめて…お二人だけは!」
エルフ父母「え?」
ブンッ
エルフ父母「わあっ!?」ドシャァ
ガラガラッ
オーガ娘「男ちゃん…」
オーガ娘「もうモデル、できないよ…ごめんね…」ジワ
オーガ娘「もっと」ポロリ
オーガ娘「男ちゃんの仕立てた服」ポロポロ
オーガ娘「着たかったな」
ブチッ
オーガ娘「あ…」
オーガ娘「ミサンガ切れ…」
………
男『これ、お守りだ』
オーガ娘『これは?』
男『南の大陸の工芸品で、願いが叶うとき切れるって言われてる、紐で編んだ腕輪』
男『ミサンガっていうものなんだ』
男『警護団の入団祝いに、な』
オーガ娘『ホント!?ありがとう!』
男『ごめんな。まだ工房も開いたばっかりで、金が無くて…』
男『余った糸とか…生地で編み込んだだけなんだ』シュン
オーガ娘『ええっ!?そんなの気にしないでよ!』
オーガ娘『ホントに…嬉しいよ、ありがとう』
男『せめて、俺に着けさせてくれ』
オーガ娘『うん』
クルッキュッ
男『ほい』
オーガ娘『ありがとう』
オーガ娘『私、頑張るから!』
ギュッ!
男『ああ、応援してる』
オーガ娘『ふふ、うん!』
………
オーガ娘「男…ちゃ…」
オーガ娘「私の…手…、掴んでっ…」
ガッシィッッ!!
オーガ娘「あがっ…!!」ギシンッ!
ギシッ…
オーガ娘「いぎぃっ…木の…枝っ!?」
オーガ娘「助かっ…」ベキッ…
オーガ娘「あ」
ベキベキベキッ!
オーガ娘「うそうそうそ…」ベキンッ!
オーガ娘「きゃあぁぁっ…!!」
――
―
―
――
団員1「い、いました!」
団員1「おいっ、オーガ娘!!」
オーガ娘「…ぅ」
団長「様子は!!?」
団員1「息はありますっ!気絶しているだけですっ」
団員1「しかし、頭部から出血、足も折れているようです」
団長「無茶しやがって…!救護班!急げっ!!」
………
……
…
男「俺の…手?」
オーガ娘「うん…」
オーガ娘「男ちゃんが、私に手を伸ばしてくれたの」
オーガ娘「男ちゃんが掴んで、助けてくれたんだね…」
男「大袈裟な…」
オーガ娘「ううん、本当にありがとう」
男「俺は何もしてねぇんだけど」
男「…何にせよ、大事に至らなくて良かった」
男「オーちゃんに何かあったら、亡くなったご両親に顔向けできねぇもの」
オーガ娘「ごめん…」
男「…もう無茶しないでくれよな」
オーガ娘「うん…でも、わかんない」
オーガ娘「また今回みたいな事があったら、ね」
男「ははっ、オーちゃんらしいや」
コンコン
オーガ娘「はい」
団長「団長だ。入っても大丈夫か?」
オーガ娘「はい、大丈夫です」
ガチャ
団長「お?仕立屋の男」
男「おひさしぶりです」
団長「ああ」
団長「今回はすまんな。俺がついていながら、お前の大切な幼なじみに大ケガさせてしまって…」ペコリ
男「あいやや、団長さんの責任じゃないっすよ!」
男「こいつが冷静さを欠いたのが問題なんであって…」
オーガ娘「…ごもっともです」
団長「確かにな」
団長「本当に…事故の日の占い、外れて良かった」
男・オーガ娘「え?」
団長「大切なものを失うかも…オーガ娘、お前は俺の大切な部下であり、大切な仲間だ」
団長「失わなくて…本当に良かった」
オーガ娘「はい…ご心配おかけしました」
団長「うむ。今回は運が良かった、ということもある」
団長「今後はもっと冷静に行動するように」
オーガ娘「…はい。すいません」
団長「まあ、そのオーガ娘の無茶のお陰で、二次災害での死者はゼロ」
団長「お前はかけがえのないものを守ったんだ」
団長「入ってください」
バッターーーーン!
男・オーガ娘「!?」ビクゥッ!
ダダダッ!
エルフ少女「お姉ちゃんっ!!」ダキッ!
オーガ娘「あだだだっ!あ、あばら、おお折れてるの!!」
エルフ少女「わあっ!ごめんなさいっ!」バッ
オーガ娘「え、エルフちゃん!」
エルフ少女「ありがとう!パパとママを助けてくれて!」
エルフ父母「オーガ娘さん…」
オーガ娘「お父さんお母さんも!」
エルフ父「すいません、私達のために…」
エルフ母「なんとお礼を言っていいのか」
オーガ娘「いえ、私は私の役目を全うしただけです」
オーガ娘「何より、エルフちゃんに辛い思いはさせたくなかった」
オーガ娘「私がケガ済んで、幸せな時間が守れたならそれで満足ですから」
エルフ母「オーガ娘さん…」
エルフ父「エルフ、あれをお姉さんに渡して」
エルフ少女「はい!」
ゴソゴソ
エルフ少女「お姉ちゃん、これ」
オーガ娘「あら、カワイイ包み」
エルフ少女「私が包んだの!」
エルフ父「中にはエルフ族の秘薬が入っています」
オーガ娘「エルフ族の秘薬っ!?」
オーガ娘「そんな貴重な物を!?」
エルフ母「せめてものお礼です。長老様から是が非でも受け取ってもらうように、と」
エルフ父「オーガ娘さんは、この秘薬よりももっと大切なものを守ってくれました…、どうかお受け取り下さい」
オーガ娘「でも…」
団長「お前はそれだけのことを成したんだ」
団長「厚意を受け取るのも礼儀だぞ」
オーガ娘「はい…、では有り難く、頂戴しますね」
エルフ母「ええ、どうぞ!」
エルフ少女「ね、お兄ちゃん」
クイクイ
男「ん?」
エルフ少女「お兄ちゃんはお姉ちゃんの恋人?」
オーガ娘「どぅえっ!?」
オーガ娘「エルフちゃんっ!違っ 男「そうだよ」
オーガ娘「え////」
オーガ娘「ええっ?////」
オーガ娘(ええええっっ!!?)
エルフ少女「お姉ちゃん、優しくてカッコよくて美人で」
エルフ少女「お兄ちゃん、ハナタカダカ、だね」
男「ああ、そうだな」ニッコリ
エルフ少女「お姉ちゃんを泣かせたら私が許さないよ!大切にしてね!」ニッコリ
男「ああ、約束する」ニッコリ
オーガ娘「////////」マッカッカ!
オーガ娘「あ、あ、ああの、ささ早速、お薬いいい頂きますね!」アセアセ
パク
エルフ父母「ああっ!?」
オーガ娘「んえ?」
エルフ母「その秘薬は…料理とかに混ぜないと…」
エルフ父「と、とてつもなく…ニガイ、ですよ?」
オーガ娘「!!!!」
オーガ娘「ぎにゃあああああああああああああっっっっ!!!!!!」
―数日後―
団長「痛みは残るようだが、もう骨は十分にくっついているそうだ」
オーガ娘「驚きました」
団長「多少なら動いても大丈夫だと」
男「すげえな、エルフの秘薬」
団長「それから」
団長「与えた休暇でキッチリ傷を癒すことだ」
オーガ娘「…はい」シュン
団長「そう落ち込むな」
団長「今回、無茶をしたと言ってもその功績は多大なものだ」
団長「自信を持て、オーガ娘」
団長「団の皆も、お前が帰ってくるのを待っている」
オーガ娘「団長…」
団長「俺達の大切な『仲間』だからな」スッ
オーガ娘「はいっ!」ニギッ
アクシュアクシュ
団長「では男」
男「はい」
団長「付き添いを任せてすまないな」
男「いえ、大丈夫っすよ」
団長「我々もまだ復興作業が残っているのでな」
団長「あまり時間が無いんだ。協力感謝する」
男「気にしないで下さい」
団長「それから休暇中のオーガ娘の話相手でもしてやってくれ」
男「はい。団長さんも復興作業頑張って下さい」
団長「ああ。ありがとう」
団長「外に馬車を待たせてある」
団長「直ちに帰還し、英気を養いたまえ」
オーガ娘「ありがとうございます」ペコリ
男・オーガ娘「では失礼します」
――
ゴトゴト…
オーガ娘「…////」
……
エルフ少女『お兄ちゃんはお姉ちゃんの恋人?』
男『そうだよ』
……
オーガ娘(気まずい…)
オーガ娘「…はあ」
男「団から離れるの、不安か?」
オーガ娘「え?」
男「さっきから黙ってて、ため息ばっかりだ」
オーガ娘「そ、そうかな?」
オーガ娘(男ちゃん、アナタのせいですよ!)
オーガ娘「不安…かな。でも、今は全力で休養に勤しみます」
男「休むのに全力…か、はははっ」
オーガ娘「ふふふっ」
オーガ娘「…忙しいのに何度も往復させてごめんね」
男「気にするな。仕事は問題無くこなしてるよ」
男「それにオーちゃんとは幼なじみなんだから、大変な時は俺を頼ればいいさ」
オーガ娘「うん、ありがとう」
男・オーガ娘「…」
男「…なあ」
オーガ娘「ん?」
男「王都に着いたら、工房に寄ってくれないか?」
オーガ娘「いいわよ。どうせ暇だから」
男「見せたいものがあるんだ」
オーガ娘「え?何?何?」
男「見てのお楽しみ!」
ゴトゴト…
―夜・工房―
男「入ってくれ」
オーガ娘「うわっ…!」
ゴッチャゴチャ…
シッチャカメッチャカ…
オーガ娘「どこが『問題無く』よ!」
オーガ娘「バタバタした後が目白押しじゃない!」
男「忙しいのも重なって、な」ポリポリ
オーガ娘「しかし、これは…」
ゴッチャゴチャ…
シッチャカメッチャカ…
男「お客さんも忙しいのは解ってくれてるし、ボチボチ片付けるから」
オーガ娘「はあ…。ま、私のせいでもあるから後で手伝うよ」
男「そんな事より、こっちこっち!」チョイチョイ
オーガ娘「うん」
男「これを見せたかったんだ」
キラキラ
オーガ娘「真っ白で…すごく綺麗…」
オーガ娘「でも不思議な形の服ね」
男「文献で見つけた『キモノ』っていう服で、東の果ての島国の服らしい」
男「その中でも」
男「花嫁に着せる、この純白の衣装を」
男「『シロムク』というらしいんだ」
オーガ娘「花嫁…」
男「シロは純白、ムクは無垢」
男「純白も無垢も、清く穢れのない清楚な状態の事を指すだろ?」
オーガ娘「うん」
男「花嫁の清純さを表した衣装なんだと」
オーガ娘「へぇ…」ホレボレ
男「服の構造を調べるのにえらく時間がかかったけど…」
男「ようやく8割くらいまで作れた」
オーガ娘「新作のドレスって、これのことだったのね!」
男「ああ」
オーガ娘「あ、この白い帽子みたいなのは?これも不思議な形ね」
男「それも、同じ島国の花嫁衣装で」
男「『ツノカクシ』っていう帽子なんだ」
男「白無垢とセットの帽子だ」
オーガ娘「ツノカクシ…角隠し、ってこと?」
男「まあ、そうだな」
男「説明臭くなるけど、文献によると…」
男「女性が嫁入りするにあたって、嫉妬や怒りを象徴する角を隠すことで、優しく従順でしとやかな妻となることを示す」
男「だ、そうだ」
オーガ娘「なんかイヤなカンジー!」ツーン
男「違う」
オーガ娘「え?」
男「この衣装を文献で見つけた時」
男「俺は真っ先に、オーちゃんの顔が浮かんだ」
オーガ娘「え?え!?」
男「オーちゃんの真紅の綺麗な髪と純白の衣装」
男「紅白で縁起がいいだろう?」
オーガ娘「…う、うん」
男「角隠し」
男「オーちゃんの額に生えた、オーガ族の象徴の角」
男「偶然だけど、ツノカクシ、そのまんまだろ?」
男「オーちゃんの為の衣装って思ったんだ」
オーガ娘「ほえぇ…」ポカーン
男「この衣装は」
男「ただのモデルでオーちゃんに着てもらうために作ったんじゃない」
オーガ娘「え…」
オーガ娘「え、どういうこと…!?」
男「オーちゃん…」
オーガ娘「はっ、はひっ!」
男「小さい頃から一緒にいて」
男「いつのまにか好きになってた」
オーガ娘「!!////」
男「体は大きいけど、心は繊細で」
男「でも芯は真っ直ぐで、決して曲がらない、決して折れない」
男「そんなオーちゃんに惹かれていた」
男「さっき、帰りの馬車で『幼なじみ』って言ったけど…」
男「俺の中で、オーちゃんはもう『幼なじみ』じゃいられないんだ」
男「この衣装を俺のために」
男「俺のお嫁さんになるために、着てくれないか?」
オーガ娘「お…と…」
オーガ娘「男…ちゃんっ!」
オーガ娘「種族…違うよ?」
男「それでも心は通じ合うだろ?」
オーガ娘「私、大きいよ?」
オーガ娘「身長242センチの大女だよ?」
男「それはこっちが聞きたい」
男「俺は人間の平均身長からしたら普通だと思う」
男「でも、オーちゃんと比べたら、やっぱり小さいだろ?」
男「キスもオーちゃんに屈んでもらわなきゃできない」
男「抱きしめ合っても、抱いてるのか抱かれてるのかわかりゃしない」
男「それでもいいのか?」
オーガ娘「私は…いつも守ってくれる男ちゃんが大好きだった」
オーガ娘「こんな私でも『女の子』として見てくれて、優しくて、いつも勇気をくれる男ちゃんが大好きだった」
オーガ娘「体は私の方が大きいけど」
オーガ娘「男ちゃんの『器』は他の誰より大きい!」
オーガ娘「そんな男ちゃんの…」
オーガ娘「あなたの、隣で…」
オーガ娘「その花嫁衣装を身に纏いたい!!」
男「オーちゃんっ…!!」
男「オーちゃん…おいで!」
オーガ娘「はいっ!」タッ
ダキッギュウ!
男「おぅげっ」ギリリッ
オーガ娘「あ、ごめん…嬉しさのあまり…」シュン
男「大丈夫…」
オーガ娘「うふふふ」キュウ
男「なあ、キス…していいか?」
オーガ娘「…はい////」
トン
男「はははっ、立て膝ついてもらってようやくか。少し情けないな」ポリポリ
オーガ娘「仕方ないよ」
オーガ娘「ね?それより////」ン
男「うん…」スッ
チュ
オーガ娘「んんっ」チュウ
男「ふむっ」チュウ
オーガ娘「ふぅっ…はぅふっ」
男「へへへ////」
オーガ娘「うふふ////」
オーガ娘「男ちゃんっ!」ガバァッギュウ
男「ふんむっ!」ムネギュウゥゥゥゥ!
オーガ娘「大好きっ!大好き!大好き大好き大好き大好き大好きっ…!!」ギュウ
男「…!…!…!」バタバタバタ
オーガ娘「大好き大好き大好き!!!」
男「もぶぁっ!ちょ、ぜぇ、胸に、ぜぇ、押し付け、はあ、られて」
男「ぐる、はあ、し、はあ」
オーガ娘「ああっ!ご、ごめん!!」
男「ふひー、気をつけてくれよな」
オーガ娘「…はい」シュン
男「まあ、その大きな胸も大好きデスヨ?」ニヘラーニヘラー
オーガ娘「////」
オーガ娘「…えっち、ばか////」
オーガ娘「採寸の時、いつもすごく見てたもんね」クスクス
男「…////」
男「…はい////」
オーガ娘「でも」
オーガ娘「私は…もう男ちゃんのモノだから…許す////」ニッコリ
男「ははは」
オーガ娘「ふふっ」
男「オーちゃん…」
オーガ娘「ん?」
男「二人で、幸せな家庭をつくろうな」
キュ
オーガ娘「!」
オーガ娘「はいっ!」
―――
――
―
―十数年後―
オーガ娘「おはよう」
息子「おはようごさいます!団長!」ビシッ
オーガ娘「こらこら」
オーガ娘「家では『母さん』でいいのよ」
息子「あ、ついクセで…警護団で訓練中の母さんは、ホント『鬼』だからな」
オーガ娘「まあ、ヒドイ!」クスクス
娘「ふわああああ」ノビー
男「ふわああああ」ノビー
オーガ娘「二人ともおはよう」
男・娘「おはよぅふあああぁぁ」
オーガ娘「また徹夜?」
男「まあ」
娘「だってお父さんが新作のキモノのデザイン、なかなか描いてくれないんだもん!」
娘「結局、私が出した図案でいくことになったけど…」
男「ふむ、お前も随分腕を上げたな」
男「父さんはあえてお前を試したのだ!よくぞ試練を乗り越えた!」
娘「馬鹿言ってないで、早く食事!仕事も貯まってんだから!」
男「へい」シュン
娘「まったく!どっちが上かわかりゃしない!」
オーガ娘「ふふふっ」
男「はははっ」
息子「何を二人して笑ってんだよ」
娘「気味悪い…」
男「息子、お前は母さんに似て良かったな」
息子「は?」
男「恵まれた体格、揺るぎない勇気、類い稀なる身体能力」
男「どれも母さん譲りのものだ」
息子「ああ、感謝してる」
息子「でも、いつか母さんを超えてやる」
オーガ娘「ふふふっ楽しみね」
オーガ娘「貴女は父さんに似てるわね」
娘「ん」
オーガ娘「器用な手先、美的センス、底を知らない探求心」
オーガ娘「ホントに父さんとそっくり」
娘「私はまだまだ高みへいくよ?」
娘「それで、父さんの服より素晴らしい物を作ってやる!」
男「俺も負けねぇからな!」
オーガ娘「ふふふ」
オーガ娘「さあ、朝ごはん食べましょう!」
カチャカチャ、ワイワイ
――
オーガ娘「そうそう!」
オーガ娘「エルフちゃん、今度結婚するらしいわ」
男「エルフちゃんも、もうそんな歳か!」
オーガ娘「昨日、連絡があったの」
オーガ娘「お相手は隣国の貴族なんだって!」
娘「エルフお姉ちゃん玉の輿だぁ!いいなぁ…」
息子「エルフ姉みたいな美人の嫁さん!いいなぁ…」
オーガ娘「それでね」
オーガ娘「ウェディングドレスを、あなたと娘に」
オーガ娘「結婚式典の近衛兵の役を私と息子に頼みたいって!」
オーガ娘「旦那さんも賛成してくれてるみたいだよ!」サムズアップ!
一同「「「おお!イイネイイネ!」」」
オーガ娘「お忙しいとは思いますが、是非ともお願い致します、だって」
息子・娘「やるしかないでしょ!!」
男「決まりだな」
オーガ娘「そうね」
オーガ娘「…じゃあ」
オーガ娘「式典当日まで各自精進に努めよ!」ビシッ
一同「「「了解!」」」
息子「先輩に近衛兵の心構えを教わろ!」
娘「早速デザイン考えなくちゃ!」
オーガ娘「ふふふっ」
男「どうした?」
オーガ娘「ううん、なんでもないの」
オーガ娘「ただただ、幸せだなって…」
男「そうだな」
オーガ娘「うん」
キュ
男「またまたどうした?」
オーガ娘「この幸せは、あなたのおかげよ」
男「いや、違うな」
男「二人で築き上げたもんだろ?」
オーガ娘「いいえ」
オーガ娘「あなたと出会えたのが全ての始まりだった」
オーガ娘「あなたが居たからこそ」
オーガ娘「あなたと幼なじみになれたからこそ」
オーガ娘「幸せになれたんだよ」
…
……
孤児院のおばちゃん『今日からうちで預かることになった、オーガ娘ちゃんっていうの』
オーガ娘『…』ペコ
男『俺は隣に住んでる男っていうんだ』
男『事情は…聞いた』
オーガ娘『…』
男『つらかっただろう?』
男『だから、俺がオーガ娘をつらいのから守ってあげる』
オーガ娘『え』
男『誰だってつらいより楽しい方がいいもんな!』
男『おばちゃん!二人でちょっと出かけてきてもいい?』
孤児院のおばちゃん『ええ、あまり遅くならないようにね』
男『おっけ!』
男『早速、王都を案内してあげるよ!』
男『行こう!』グイ
オーガ娘『あ』
男『えーと、オーガ娘だから…』
男『オーちゃん!』
オーガ娘『あ、と、うん』
男『よろしく、オーちゃん!』
オーガ娘『よ、よろしく、男ちゃん』
男『ぎゃー、男ちゃん!?男なのに、ちゃん付けしないでくれよーぅ』プー
オーガ娘『…ふふ』
オーガ娘『男ちゃん!』
男『ぎぇー!』
オーガ娘『男ちゃん!』
男『ぴゃー!』
オーガ娘『あはははっ!!』
……
…
オーガ娘「私、男ちゃんと出会えて本当に良かった!」
男「お?その呼び方、久しぶりだな」
オーガ娘「…ダメ?」
男「いや、久しぶりだから少し照れるけど『オーちゃん』がそう呼びたいなら、かまわないよ」
オーガ娘「あ…ふふ////」
オーガ娘「男ちゃん!」
男「オーちゃん!」
オーガ娘「男ちゃん♪」ニヘラー
男「オーちゃん♪」ニヘラー
オーガ娘「男ちゃ~ん♪♪」ニヘニヘラー
男「オーちゃ~ん♪♪」ニヘニヘラー
息子・娘「…バカ夫婦め////」
オーガ娘(お父さんお母さん…)
オーガ娘(見てくれてる?)
オーガ娘(二人と約束したこと)
オーガ娘(ちゃんと叶えたよ!)
オーガ娘(だから、これからも見守っててね)
「私、今すごく幸せよ!」
おわり
乙乙乙
乙です!
いい話だ、癒されます
最後まで読んで頂きありがとうございました
過去作共に読んで頂いている方がいるとは思わず、感激した次第です
また、新しく作った時は投下したいと思いますので、その時はよろしくお願いいたします
ありがとうございました
オーちゃん可愛いな
乙乙
乙
今回は干支シリーズとは関係ないのか
ジャック・ハンマーぐらいの身長か・・・
でも美少女なんでしょ?
乙
でっけぇ
乙
乙パイ大きいよ?
ふさふさ
わさわさ
このSSまとめへのコメント
良かった!
ええ話やな