男「パンツから始まる恋だってある」 転校生「ねーよ」(190)


男(最悪だ・・・)

男(寝坊して遅刻しそうになったから走って学校に向かってた途中)

男(派手に転んだ!)

男(さらにそれも道端に捨ててあった生ゴミの群れからはぐれていたバナナの皮に滑った!)

男(しかし、問題はそこでは無い)

男(俺の視点の先には―――)


男(飛びっきりの美女がいたんだ)

?「・・・」

男(しかも、着ている制服を見たところ俺と同じ高校だ)

男(こいつはツいているっ・・・と言いたい所だが)

男(今の状況がそれを許さない)

男(彼女はスカートを普通より短くして履いている)

男(そして今の俺は地面とほぼ平行。つまり)

男「―――・・・しましま、か」

男(パンツ見放題だぜ!ウヒョーッ!)

男(寝坊してくれた自分自身とバナナを捨ててくれた人。そしてこの状況を作ってくれた神様に感謝するぜッ!)

男(まぁ、そんなウマイ状況が長く続くはずもなく)

男(バナナで派手に転んでるんだ。今赤面している当の彼女だって俺の存在に気づかない訳がない)

男(要は何が言いたいかって言うと)

?「・・・こ、このっ」

?「変態ヤロッー!」

男「あべしっ!」バキッ

男(さよなら、俺の青春)

――――

ザワザワザワザワ

友「おっ、来たな遅刻野郎」

男「寝坊しちまってな・・・ それより何だこの騒ぎは?」

友「それがな、今日とびっきりなカワイ娘が転校してきたんだよ!」

男「マ、マジかっ! 今どこにいるんだ」

友「それがよかったな男クン。晴れて彼女は君の席の隣だよ」

男「こいつはツイてるぜ! 早速拝見といこうか」

男(俺の机の周辺には確かに人だかりができていて、その中心にいたのは――)

男「あっ」

転校生「えっ・・・」

男「し、しまs「しましま言うなー!」

転校生「ハッ・・・」

「しましまって何のことー?」 「まっ、まさか・・・」

転校生(こ、これはなかなかマズイ状況・・・)

転校生「・・・ちょっとトイレ行きたいから、そこの君案内してくれる?」ニコニコ

男「えっ、俺? 喜んで」

男(めっちゃニコニコしてる・・・)

―――

男「んでそこを曲がれば―」

転校生「ちょっと待って」

転校生「あんた、私のパンツ見た上にクラスで柄までバラそうなんてどういうことよ!?」

男「すまん。まさかあんな所にバナナが捨ててあるなんて思いもしなくて」ハハハ

転校生「笑ってる場合か!」

男「でも、柄をバラしたのは俺じゃなくて君だ」キリッ

転校生「そっちが言い出したんでしょ!」

転校生「大体人見た瞬間にパンツの柄呟くって何よ!」

男「君を見た瞬間どうしても口に出ちまったよ」

男「それに俺縞パン嫌いじゃないし」ハハハ

転校生「あんたのパンツの好みなんて聞いてない」

転校生「と に か く !」

転校生「あんた、この一週間私のパシリね」

男「・・・パシリ?」

転校生「そうよパシリ。考えてもみてみなさい」

転校生「あんたが私のパンツを見たって言えばこれからの学校生活どうなるかしらねー」

男「」ギクッ

男(確かにその事をばらされるとこれからの俺の立場はエライことになりそうだ)

男(それに美少女のパシリ・・・それも悪くない!)

男(でもここですんなり折れてもそれはそれで悔しいなぁ)

男(少しは抵抗した態度見せていくか)

男「・・・くっ、殺せ」

転校生「?・・・それって社会的に殺していいって事?」

男「ごめんなさいやらせてください」

転校生「フン・・・早くそうやって言えばいいのに」

男「・・・ところでさぁ」

男「トイレ行かなくていいの?」

転校生「」ブチッ

転校生「あんた呼び出すための口実よバカッー!」

男「こぶらっ」ドガッ!

――――

教師「えー、それでここでαを代入してー」

転校生「」カキカキ

男(かくして俺のパシリライフが始まったわけだが)

男(まぁ、この女見た目はいいのに腕っ節がいいもんだ)ジー

男(おそらくコイツの前世は宇宙ギルドに追われながら宇宙を駆け巡る三枚目の宇宙海賊とかだろう)

男(次はきっとそのペンを握っている右手に隠されているサイ○ガンをぶっ放すに違いない)ジー

転校生「・・・何ずっと腕見てるのよ」

男「とても魅力的に見えて」

転校生「あっそ・・・ちょっとパシリ、あんたの教科書貸して」

男「えっ」

転校生「あんたがパシリ引き受けたんでしょ。ほら、早く貸して」クイクイ

男(お前の強制だろ)

男(しかしまずいな・・・)

男(この教科書には無駄にクオリティの高いラ○ちゃんの落書きしてあるんだよな)

男(しかも『ダーリン、女は大きさじゃなくて感度だっちゃ』の言葉を寄せてセクシーポーズを取っている)

男(さらにそれは全裸だ)

転校生「ねぇ、バラすわよ?」

男「お納め下さい」

男(俺に選択の余地は無かった。まぁ、今の授業の範囲とは関係ないから多分だいじょ―――)

転校生「・・・何これ」

男(うわああああああああああ)

男(なんで運良くそのページが開くんだよぉ!)

転校生「最低ね・・・」ギロッ

男「いや違うんです。転校生さん。事故です、事故」

男「それは俺が書いたんじゃなくて友達が書いた絵なんですよ」

男(悪い友。だがお前はイケメンだから多分大丈夫だ)

友「クシュン」イッケメーン

転校生「・・・じゃあ、そういう事にしといてあげる」フン

――――

男(気づけばもう昼休みだ)

男(まぁ、これまでの転校生さんの事を見ていたが)

男(まぁ、何というか座ってるだけでも絵になるように綺麗な人だ)

男(そんでもって成績も相当いい。指名されても涼しい顔して答えやがる)

男(休み時間には男女問わず彼女の周りに人は寄ってきて、その対応も当たり障りもなく接しやすい)

男(こりゃあ、チートだな)モグモグ

男「それで友クン。一つ質問がある」

友「何の脈絡も無いんだが・・・それで質問って?」

男「俺って転校生さんに嫌われてると思う?」

友「分からねぇよ・・・せめて嫌われたと思う理由を聞かせてくれよ」モグモグ

男「いやぁ、偶然パンツ見たりとか、渾身のエロい落書きを見られたりしただけなんだけど」モグモグ

友「嫌われてるな。間違いなく」

男「あ、やっぱり?」

男「だからイケメンの友クンに聞きたいわけよ。嫌われた美少女の機嫌を直す方法をな」

男「慣れてるだろ?そういうやつ」

友「それを分かっていたら俺だって苦労しないさ・・・第一転校生さんとあの人達が一緒だとは限らないだろ?」

男「そうか。完璧超人の会長殿と転校生さんは似てそうだが」

友「・・・あの人は少し特別だからな」

男「確かにあの人と上手く付き合えてたらお前も今そんなに苦労してないか」

友「う、うるさいなぁ」

男「まぁ、お前なら大丈夫だろう」ハハハ

男(俺の悩みの種の転校生さんは俺の席まで巻き込んで食事を楽しんでるようだ)

男(転校生さんの周りにはクラスの中心人物がぞろぞろと集まっているな)

男(クラスで友の次に顔がいいと噂のサッカー部)

男(気さくな性格で男女から人気のチャラ男)

男(演劇への情熱的な熱意で有名な演劇部の女友)

男(そしてクラス委員長でクラス一の良心、女)

男(・・・女、ねぇ)

男(他にもいるが目立った奴と言えばそれぐらいか)

男(様子を見てると男子連中が転校生さんに質問攻めをして、それを女友が退けて質問して)

男(それで男子連中が女友と言い争いになり、それを女が仲裁していてそれを見てる転校生が対応に困って苦笑いしてる)

男(・・・笑った顔かわいいな)ジー

友「・・・気になるのか?」

男「何のことだ?」

友「転校生さんと、女さん」

男「・・・バカ言え。さっぱり分からんな」

友(・・・)

――――

転校生「」ウキウキ

男(この人、すごいウキウキしてるな。目に見えて分かる)

男「ウキウキしてるね、転校生さん」

転校生「フフン。だって放課後に女さん達に学校案内してもらえる事になったの!」ルンルン

転校生「女さん、すっごくいい子で可愛くて、見てるこっちが癒されちゃう!」キラキラ

転校生「それにサッカー部君とかチャラ男君とかも面白くて優しいし、ホント、あんたみたいな”変態”とは大違いよ」

男「そこまで言ってもらえると光栄だ」ハハハ

転校生「褒めてないわよ」フン

女「・・・」ジー

――――

転校生「お待たせっ。待った?」

女「ううん、大丈夫だよ。行こう転校生さん」

転校生「それにしてもこの学校すっごくおっきいよねー」キラキラ

女友「ここらでは一番大きいかもね」

女友「・・・それで転校生さんに一つ聞いてもらいたい話があるんだけど」

転校生「? なに?」

女友「演劇部に入る気ない?」

転校生「ん~それなんだけど、実はサッカー部のマネージャーとかにも誘われてて・・・」ウーン

転校生「今まで部活動とか本格的にやったことがないから悩んでるの」

女友「そっかー。それなら仕方ないね」

女「ちょっと意外だね。転校生さん、運動神経がいいから部活動とかやってたと思ってた」

転校生「運動は昔から得意なんだよねー よく外で遊んでたりしてたなぁ」

女「・・・ちょっとわかる気がするなぁ」

転校生「そっ、そうかな?」

女友「うんうん。私も何かそんな気がする」

転校生「それどういう事よもうー」ムスー

女「フフッ。ねぇ、転校生ちゃんって呼んでいいかな?」

転校生「いいよ。じゃあ私も女ちゃんって呼ぶね!」ニコニコ

女「それでね、転校生ちゃんに聞きたいことあるんだけど―――」

転校生「うん、何でも聞いて」

女「・・・男、くんと結構話してたけど何かあったの?」

転校生「・・・うーん、男くんね・・・ 誰?」

女友「転校生ちゃんの隣の男だよ」

転校生「あっ、アイツかー! アイツなんて最低最悪のゲス野郎よ!」

女「そ、そんなに言わなくても・・・ 男くんかわいそうだよ」

転校生「いいのよアイツは、私のパンツを見たんだから!」

女「えっ」 女友「えっ」

転校生「・・・あっ」

転校生(し、しまったー! 口が滑ったー!)

転校生(でも悪いのは全面的に悪いのはアイツだしいっか)

女「・・・そ、それってどういうことなのかな」ソワソワ

転校生「実はね・・・」

~説明中~

転校生「―――・・・っていうことなの」

女友「それは全面的に男が悪いね」

女「そ、そうだね・・・」

転校生「ホントにそうだよね!思い返すだけでムカつく!」プンスカ

女友「それならさ、男は今転校生ちゃんのパシリなわけなんだよね?」

転校生「そうだけど・・・」

女友「なら、明日男に食堂で販売される通称『幻のプリン』を買ってもらうっていうのはどう?」

転校生「『幻のプリン』・・・?」

女「毎日限定10個だけ販売するんだよ。でも10個だけしか出ないからお昼休みは凄く食堂が混むんだって」

女友「一度も食べたことないけど、友達に聞いた話だとすっっごくおいしいんだって!」

女「私も食べてみたいなー」

転校生「そうなんだ・・・」フーン

――――

~次の日~

転校生「・・・というわけで、今日のお昼に『幻のプリン』買ってきて」

男「おいおい。それは俺に向かって死ねって言ってるようなもんだ」

転校生「・・・社会的に死ぬのと肉体的に死ぬの、どっちがいいのかなー?」

男「行きます。いや、行かせてください」キリッ

男「・・・って言っても『幻のプリン』を手に入れるは結構難しいんだよな」

転校生「そんなことは分かってるわよ。だからアンタに買いにいかせるの」

男「そんな簡単に言われてもなぁ・・・多分転校生さん、あなたのパンツを見る方がかんた―――」

転校生「・・・」ギロッ

男「ジョークですよジョーク。まぁ、やれるだけやってみますよ」ハハハ

転校生「もし買ってこれなかったら・・・わかってる?」

男「肝に銘じております」

――――

キーンコーンカーンコーン

男「・・・さて、と」

友「どこ行くんだ男。まだ4時限目が残ってるが」

男「物事はすべてスタートダッシュが大事なんだ。友、俺の事は上手く誤魔化しといてくれよ」

友「? じゃあ保健室にでも行ったことにしといてやる」

男「頼んだ」


~~屋上~~

男(まぁ、そんで『幻のプリン』を買うために授業をわざわざサボってるんだが)

男(先客の女子がいる)

?「・・・」

男(・・・綺麗な人だな。身にまとっているオーラが凄い大人っぽいていうかクール)

男(風になびいて揺れる長い髪が凄く印象的。)

男(何だか近寄り難い感じがするな。触らぬ神に祟りなしってヤツだ。ここはスルーした方がいいだろう)ソー

黒髪「ねぇ、君もしかしてサボり?」

男「」ビクッ

男「・・・それ以外に授業中に屋上に来るやつなんていないと俺は思うぞ」

黒髪「まぁ、そう言われたらそうかな」ハハッ

黒髪「何で君は授業サボってるの?」

男「所用で『幻のプリン』を買うことになったもんで、俺みたいな貧弱な男は正々堂々買いに行っても絶対に買えないからな」

男「そこで俺はズルして他よりもスタートダッシュを早く決めようって訳」

黒髪「ふーん。正当な理由だね。私から見たら君は貧弱には見えないけど」

男「やだなぁ、そんな事言われたら照れますよ~」

黒髪「全然照れてるように見えない」クスッ

男「ハハハ。ところで君はどうして授業をサボっているんだ?」

黒髪「そうね・・・嫌いなの、縛り付けられるの」

黒髪「いつでも自分の意志に従って自由に生きたいの、私」

男「見た目と同じで随分大人っぽい思考の持ち主なんだな」

黒髪「よく言われる。でもそういうのも嫌いかな」

黒髪「外から見ただけで評価を点ける人はね・・・」

男「そいつは悪い。頭に浮かんだ言葉は思わず口に出ちまうんだ」

黒髪「それで後悔した事あるでしょ」

男「そうなんだよ。つい昨日それでうっかりやらかしちまって」

男「おかげで今こうやってパシられてるんだよなぁ。損な性格な持ち主だぜ」

黒髪「所用ってそういう事ね。でも、私そういう性格は嫌いじゃない」

男「なんで?」

黒髪「私もそういう性格なの。私の場合はあまり後悔してないけど」

男「それは幸せな生活を送ってそうでなによりだな。羨ましい」

黒髪「そういう訳でも無いのよ。あなた好きでもない人から言い寄られて嬉しい?」

男「俺は自分に好意持ってくれてるってところが嬉しいけどね」

黒髪「そう? 私から見たらその考え方が羨ましい」

男「意外と扱いづらいぜ」

黒髪「扱い方が分かればお得じゃない?」

男「それもそうだな」

黒髪「・・・そろそろ戻ろうかな。君とのお喋りで凄くリラックスできた。ありがとう」ニコッ

男「」ドキッ

男「いえいえ、俺もお役に立てて光栄ですよ」

黒髪「・・・面白い人だね。私は黒髪。君は?」

男「男だ。どうぞよろしく」

黒髪「男ね・・・それじゃあ、また今度」

男「今度があるかは分からないぞ」

黒髪「いや、あるよ。私はそんな気がする」

男「それなら俺もそんな気がしてきたよ。またな」

バタン

男(近寄り難いと思っていたけど、話してみれば意外と話しやすい人だ・・・)

男(それに最後に見せた笑顔は凄く綺麗だったな・・・)

男(っと、多分もうそろ授業が終わるな)

男「さて、俺も行きますか・・・」

――――

~食堂前~

男(何事も無く食堂に着いたが・・・)

男(いくらなんでもチャイム前に買いに行くと怪しまれる。チャイムが鳴るまでは大人しく待ってるか)

男(それにしても、『幻のプリン』か・・・)

男(一度だけ買いに行こうと思って挑戦してみたが、あの時は酷かった)

男(チャイムと同時にクラスの何人かが廊下へ猛ダッシュ)

男(廊下はもう既に戦場だった。一人ひとりのさっきが凄かった)

男(中には妨害してまで買いに行く奴もいた)

男(俺もそれらの妨害をくぐり抜けて食堂に辿り着いた。・・・が)

男(その時にはもう『幻のプリン』は売り切れていた)

男(その後に何回も買おうと挑んだが、やはり無理だった)

男(廊下はもう既に戦場だった。一人ひとりのさっきが凄かった)→男(廊下はもう既に戦場だった。一人ひとりの殺気が凄かった)

キーンコーンカーンコーン

男(だからこうやって楽して手にいれるのが一番だな。なぜこの方法を前から思いつかなかったのか)

男「すいませ―――」

?「っと、ちょっと待って」ガシッ

男「!? ・・・先輩も『幻のプリン』を買いに来たんですか?」

会長「それは違うわ。私は生徒会の仕事でここにいるのよ」

男「・・・お勤めご苦労様です。それじゃあ俺は――」

会長「だから待ちなさいって」ガシッ

男「何ですか先輩。いくら俺でも二回も手を掴まれたらさすがにドキッとしますよ」

会長「言ったわよね?私は生徒会の仕事に来てるって」

男「それがどうしたんです?」

会長「・・・最近ね、『幻のプリン』を買うのに姑息な手を使う輩がいるらしいの」

会長「妨害工作なんかは前からあったけど、今度は授業をサボってる輩まで出てきたみたいでね・・・」

男「・・・」アセアセ

会長「もちろん男クンとかはそんな事は・・・しないよね?」

男「・・・勿論です」アセアセ

会長「本当にしてないの?」

男「身命に誓って」キリッ

会長「・・・まぁ、あなたが授業に出ないでプリンを買おうとしてたのは分かっている事なんだけどね」

男「・・・どういうことです?」

会長「証言者がいるの。紹介するわ」

?「はろー」

男「う、嘘だろ・・・」

会長「あなたと同じ二年の黒髪。生徒会では会計をやってるのよ」

黒髪「・・・だから、言ったでしょ。また会うって」

男「・・・してやられた」

黒髪「秘密にしておいてごめん」

黒髪「生徒会として君は取り締まらないといけない対象だから」

男「それじゃあ、さっき屋上で言ってた事は?」

黒髪「それは本当」

男「・・・それなら君みたいな人がなんで生徒会に」

黒髪「自分のやりたい事には妥協しないタイプでもあるから」

男「・・・まったくいい性格をお持ちで」

黒髪「それはどうも」

会長「という事で男クン。早くここから立ち去らないともれなく人の波が襲ってくるけど」

男「それもそうですね・・・ ん?」

会長「どうしたの?」

男「先輩・・・これ買うのはアリですか?」

会長「これは・・・どうせ売れ残るし、買っていいわ」

男「感謝します」

男「・・・黒髪さん」

黒髪「何?」

男「――また今度」

黒髪「おそらく今度があるかな?」

男「あるよ。俺にはそんな気がするんだよ」

黒髪「・・・そうね。楽しみにしてる」クスッ

男「では先輩、失礼します」スタスタ



会長「彼、面白いでしょ」

黒髪「えぇ。彼の事が気になってきました」

会長「黒髪がそんな事言うなんて珍しいわね・・・」

黒髪「・・・それほど気になるってことですよ」

会長「そう」フフッ

>>38

黒髪「おそらく今度があるかな?」→黒髪「今度があるかな?」

よくよく見たら日本語おかしかったです

――――


転校生「・・・これ何?」

男「『幻のプリン』だ。」

転校生「えーなになに・・・かれーぷりん?」

男「ほら、滅多に見かけないだろ?カレー味のプリンなんて。それでウチの学校ではカレープリンの事を『幻のプリン』って言うんだ」

転校生「・・・だそうだけど」

女友「全然違うね。それ一日10個限定販売だけど、10個中10個全部余るって噂のゲテモノよ」

転校生「・・・これはどういうつもりかしら?」メラメラ

男「俺もまさか『幻のプリン』をくださいって言ったらこれが出てきたもんでビックリしてんだ」

転校生「本当は?」

男「授業サボって買いに行ったら生徒会に捕まって買えなかった」

転校生「・・・ハァー ホント何やってるのよ・・・」

男(これで俺の高校生活も終わり、か・・・)

転校生「・・・」

転校生「・・・もう一度チャンスをあげるわ」

男「・・・え?」ポカーン

転校生「もう一度チャンスをあげるって言ってるの。いらないって言うならいいけど」

男「是非お願いします」キリッ

転校生「反応早っ。・・・内容は今日と同じよ」

転校生「分かってる?次はないから・・・!」

男「分かってるよ。必ず『幻のプリン』を持ってきてやる」タッタッタッ

女友「――本当に大丈夫かなぁ?どう思う女?」

女「!」ビクッ

女「た、たた、多分男くんならできると思うよ・・・」

転校生「・・・どうして女ちゃんそんなに焦ってるの?もしかして―――」

女「はうあ」カァァァ

転校生「――体調悪いの?男がいた時もずっとボーっとしてたし」

女「う、ううん。大丈夫だよ」

転校生「そうかな?男の毒っ気に侵されてるかもしれないよ?」

女「本当に大丈夫だって。心配してくれてありがとうね」

転校生「友達の事を心配するのは当たり前でしょ?」

女「そうだね・・・」

女「それにもう・・・私は・・・」ボソッ

転校生「ん?今女ちゃんなにか言った?」

女「な、なんでもないよ!」

女友「・・・」

――――

~放課後~


女友「・・・いい加減ハッキリしたら?」

女「・・・? 何のこと?」

女友「決まってるじゃない。男の事よ」

女「えっ、ええええええええ!?」

女友「いや、私前から知ってるからそんなに驚くことじゃないと思うけど・・・」

女「・・・それもそうだよね」

女友「正直、中学の頃からずっと女はそうだよね」

女「・・・うん。でもちょうどその頃だったっけ、男くんと疎遠になり始めたの」

女友「家が隣で幼なじみ・・・なんだっけ」

女「・・・昔はそうかもしれないけど、もうそんな事言えないよ」

女「今なんて学校ですれ違っても、挨拶も何もしなくなっちゃったな・・・」

女友「そんなの別にいいじゃない。今から男にアタックしたって」

女「・・・そんなのできないよ・・・ 今の男くんと私が疎遠になったのは私に原因があるんだから・・・」

女友「・・・まぁ、いいよ。そういうのは女の整理ができてからで」

女友「悩んでるなら私に言ってね?なんでも相談乗るから」

女「・・・ありがとう女友ちゃん」

女友「それじゃあ私こっちだから。また明日」

女「うん・・・じゃあね」

――――

女「ただいまー」

バタン

女「はぁー」

女(本当に私は仕方ないなぁ・・・)

女(少しでも男くんが近くにいるだけで緊張しちゃう・・・ うぅ・・・)

女(平常心でいようとすればするほどダメだよぉ・・・)

女(・・・私が男くんにした事が悪いのに・・・ 私、男くんの事がどうしようも好きなんだなぁ・・・)

女(この窓を開けた先にいる男くんに『好きです』って言えたらいいのになぁ・・・)

女(本当に私、どうしたらいいんだろう・・・)

今読み返して見たらすごくおかしい日本語がちらほら・・・
お許し下さい

それではおやすみなさいー

――――

男「どうすればいい」

友『いきなり電話掛けてきてどうしたんだよ・・・」

男「色々あって『幻のプリン』を買うことになったんだけどよ、生徒会が監視してて上手く楽して買えないんだよ」

友『あー、そういえば前言ってたな姉さん。最近不正が多いから監視をするって』

男「先輩がいるから厄介なんだよ。あの人さえいなければどうにかなると思うんだが」

男(少し懸念してる奴もいるけどな・・・)

友『不正はする前提なんだな・・・ それで今考えてることは?』

男「それが全く思いつかないのよ。だから友。お前に相談してるんだ」

友『そうだなぁ・・・俺が姉さんを引きつける事ができればいいんだが、生憎授業中だからな・・・』

男「お前もサボって買いに行くってのはちょいとキツイよな。ところどころに監視員がいるみたいだしな」

友『監視員まで・・・そんな事ができるのは姉さんぐらいだろうな・・・』

男「・・・ちょっと待てよ。先輩を逆に味方につけるっていうのはどうだ?」

友『どういう事だ?』

男「簡単だよ。会長にプリンを買ってもらうんだよ」

友『簡単じゃないだろ・・・ 第一姉さんが買ってくれるわけないどだろ・・・』

男「俺達の頼みならな。しかし、一人だけ先輩に買ってもらえる人がいる」

友『それってまさか・・・後輩の事か』

男「その通り。妹に激アマな先輩なら、妹の頼みとあればすぐに用意してくれるだろう」

男「そこでだ・・・ 友、頼む!後輩を懐柔してくれ!」

友『お前から頼んでもいいだろうに・・・』

男「俺はあのガキんちょは生意気だから嫌だ」

友『あいつが生意気なのはお前だけだ。本当は素直でいいやつだぞ』

男「俺にだけ敵意剥き出しでくるんだよ、あいつ」

男「あれは敵に威嚇する猫と同じだぜ。キャットフードあげたら機嫌直してくれっかな」

友『そんな事言ってるから嫌われるんだ』

男「あいつを見てると血が騒ぐんだよ」

友『好きな子ほどからかいたくなるって言うが・・・まさか』

男「誰があんなガキ好くかっての」

友『・・・まだ女さんが気になるのか』

男「・・・まぁ、少しだけな」

友『だったら・・・」

男「いいんだよ。今更どうこうできる仲じゃない。それにこうなったのには俺に原因があるんだからな・・・」

友『そうか。じゃあ後輩には俺から言っておくから』

男「俺の名前は出すなよ。その時点で失敗するから」

友『分かってるから。じゃあな』

男「おう」

ピッ

男「・・・女、か」

男「○ブラでも読むか」

――――

ピンポーン

後輩「はーい、ってお兄ちゃんか。いつもインターホン鳴らさなくていいって言ってるのに」

友「いくら俺らが幼馴染だとしてもやる事やらないとな」

後輩「お兄ちゃんはそういう所ホントにしっかりしてるよね・・・」

後輩「それで何の用?お姉ちゃんならまだ帰ってきてないけど」

友「いや、いいんだ。むしろ後輩に用あってきたんだよ」

後輩「ん?私に?」

友「・・・頼みがある」

友「姉さんに『幻のプリン』を買ってもらってそれを俺に譲ってくれ!」

後輩「・・・え?」

後輩「別に私に頼まなくてもお兄ちゃんなら多分自力で買うことできると思うけど・・・」

友「俺が欲しいんじゃないんだよ・・・知り合いにどうしても欲しいって奴がいてな」

後輩「そうなんだ・・・まさか、その知り合いって男先輩じゃないよね?」ギロリ

友「そんな訳ないだろ・・・あいつには自分に買いにいかせるさ」

友(まぁ嘘だけどな)

後輩「じゃあ、誰に頼まれたの?」

友「・・・」ギクッ

友「ク、クラスメイトだよ・・・」

後輩「・・・ならいいけど。もしかして、女の子じゃないよね?」

友「大丈夫。男友達だから」

後輩「そうだよね・・・ お姉ちゃんの手を煩わせて他の女に貢物してるんだったら馬鹿らしいし」

後輩「お兄ちゃんも早く告白しちゃえばいいのに・・・」

友「バッ、バカ!姉さん来たらどうするんだ」

後輩「大丈夫だよ。生徒会がそんなに早く終わるはずがないも―――」

会長「ただいまー」

友「!?」後輩「!?」

友「とっ、とにかくさっきの話頼んだぞ!」

後輩「う、うん分かった」

友「じゃあ「おっ、友じゃないか」

会長「ウチに来るなんて久しぶりじゃない。最近寂しかったんだから」ダキッ

友「ちょっ!? 姉さんやめて///」

友(胸がっ! 胸があたってる!)

会長「いいじゃないか。お前を抱きしめられるのも久しぶりなんだ」

会長「最近、私のこと避けてないかー? お姉ちゃんはさびしんだぞー?」ギュー

友「それは忙しいからであって、べっ、別に姉さんを避けてるわけじゃないから!」

後輩「・・・」ニヤニヤ

会長「忙しいって『問題児』クンと一緒に遊んだりするのが忙しいって言うのかー!?」

友「男は関係ないだろ!本当に勉強とかで忙しいんだって!」

会長「むぅ。勉強なら私が教えるのにぃ・・・ やっぱり私のこと避けてるんだー!」

友「だから違うって! 姉さん恥ずかしいからやめて!」

後輩「・・・」ニヤニヤ

後輩「・・・いい加減くっつけばいいのに」ボソッ

――――

~朝 通学路~

男(友は後輩を懐柔できただろうか)

男(いや多分大丈夫だろう。友ならやってくれる)

男(後輩は優しいヤツだからなー)

男(今、俺の目の前の女子高生が財布を落とした生徒にその財布を拾って届けるぐらいに優しい)

男(女子高生・・・ちなみに君の可愛いくまさんパンツが見えたぞ・・・)

男「・・・って後輩じゃないか」

後輩「げっ、男先輩じゃないですか」

男「財布を拾って届けるとは・・・やっぱり”大人”のレディは違うね」

後輩「それは私は男先輩と違って”大人”ですから」

男「・・・一つ言っておくが、”大人”のレディはくまさんなんて履かないと思うけどな」

後輩「な、ななな何で男先輩が私のパンツの柄知ってるんですか!この変態!」

男「変態呼ばわりする前に自分の格好を考えて行動しろよー」

男「物拾うときに思いっきり前傾したらそりゃ短いスカートならパンツ見えるに決まってる」

男「つまり俺は不可抗力だ。眼福眼福」ハハハ

男「けどくまさんって所はマイナスポイントかもな・・・」

後輩「そ、それは財布とか大事なものをすぐに拾うにはしょうがない事じゃないですか!」

後輩「それに私がどんなパ、パンツ履こうが関係ないですっ!」

男「確かに一理あるが、それでも”大人”のレディならいつでもお淑やかに行動すると思うけど?」

後輩「ぐぬぬ・・・男先輩はまたそんな事言って・・・!こ、この借りは必ず返す!・・・」

男「言っとけ言っとけ。どうせ徒労に終わるぞ」ハハハ

後輩「ぐぬぬ・・・ そういえば」

男「露骨に話題変えたな」

後輩「う、うるさい! お兄ちゃんがクラスメイトから『幻のプリン』を買うように頼まれて」

後輩「お姉ちゃんから私経由で渡す事になってるんですけど・・・」

後輩「そのクラスメイトってまさか、男先輩じゃないですよね?」

男「・・・そんなわけないだろ。俺が友に頼み込んでまで『幻のプリン』を食べたいと思うか?」

後輩「そうですよね・・・ 男先輩が甘い物が好きだったら引きます」

男「何言ってる。俺は甘い物好きだぞ」

後輩「・・・」ササッ

男「冗談だから。まぁ俺じゃないから安心しろよ」

後輩「分かりました。それではまた」タッタッタッ

男「おうよ」

男(・・・あぶねぇ)

――――

~教室~

転校生「・・・今日こそは手に入られるんでしょうね」

男「任せとけ。確実に手に入れられる方法を考えてるからな」

男(後輩がしくじったらそれこそ全力で買いに行くだけなんだが)

転校生「そう。せいぜい頑張りなさい」

男「頑張らせてもらいますよ・・・」

友「・・・おはよう・・・」

男「酷く元気が無いな。どうしたんだ?」

友「・・・昨日姉さんに絞られた」

男「あぁ。それは仕方ないな。でも憧れの姉さんとべったりできるんだからいいんじゃないか?」

友「良くないわ! あの人のスキンシップは異常だ・・・」

転校生「友くんってお姉ちゃんがいるのね・・・ 凄く綺麗そう・・・」

友「いや、転校生さん。姉さんっていうのは俺の実の姉じゃないよ」

転校生「どういうこと?」

男「こいつは昔から会長とは家が隣でいわゆる、幼なじみってやつで仲がいいんだよ」

転校生「へぇ・・・ 一度会長さんとは会ったけど凄く綺麗な人だったなぁ・・・」

男「全く羨ましい限りだ・・・」

友(・・・お前にも幼なじみはいるだろうに)




女「・・・」

女(いいなぁ転校生ちゃん・・・ 男くんと楽しそうにしていて・・・)

女(・・・私もいつかあんな風にできたらいいのになぁ・・・)

女友「・・・どうしたの女。珍しくボーっとして」

女「あ、いやなんでもないよ!?別に誰かを見つめてたとかじゃないよ!?」

女友「・・・また男?」

女「い、いや違うよ!あれだよ、空を見つめてたの!あーきょうもそらがきれいだなー」

女友(ホント正直じゃないなぁ・・・)

――――

キーンコーンカーンコーン

「よしプリン買いに行くぞ!」「今日こそは手に入れるぞォ!」「ちくわ大明神」


男(誰だ今の)

転校生「あれ?アンタは買いに行かないの?」

男「・・・俺には召喚魔法が使えるんだよ。後にプリンを持った妖精が現れると思うぜ」

転校生「・・・ついに買うのを諦めて頭がおかしくなったのかしら」ハァー

男「俺はいつでも正常だ。まぁ見てろって」

後輩「失礼しまーす。友先輩はいますか?」

男「ほら来た妖精」

後輩「よ、よよ妖精とは、何ですか男先輩!」

転校生「嘘・・・」

転校生(ヤバイ!すごくかわいい・・・!妹にほしいっ!)キラキラ

後輩「・・・すみません。あの~どなたですか?」

転校生「・・・」ジー

男「・・・」ジロジロ

後輩「・・・」アセアセ

男「・・・お前だよお前」

転校生「あっ、私か! 私は転校生よ。この間転入したばかりなの。よろしくね」ニコッ

後輩「一年の後輩です。こちらこそどうぞよろしくお願いします」ペコッ

後輩(すごく綺麗な人だなぁ・・・ お姉ちゃんとは違った魅力がある・・・)


男「・・・それで友になんの用だ?友なら今席を外しているが」

後輩「渡す物があるんですけど・・・」

男(よし来た!)

男「・・・俺が代わりに友に渡しとこうか?」

男(これで後輩が俺にプリンを渡せばっ・・・!)

後輩「嫌です。男先輩、信用ないですから」

男「・・・たまには信用してくれてもいいんだぞ?」

後輩「・・・変ですね」

男「?? 何がだ?」

後輩「いつも会話に余裕のある男先輩がなんだか焦っている様な気がするんですよ」

男「・・・まさか、俺がお前ごときに焦るものか」

後輩「ますます怪しい・・・」

男(こいつ・・・いつものアホの子属性はどうしたんだ・・・!?)

男「あのな、怪しいとか言ってるけどな・・・俺はまだ何もしてないぞ」

後輩「ふむ・・・なら仕方ありませんね。ではこれお願いします」サッ

転校生「あーっ!もしかしてそれ『幻のプリン』!?」

後輩「えっ!? まぁそうですが・・・」ビクッ

転校生「それすごくおいしいらしいね~ 私に男が買ってきてくれるはずなんだけど・・・」

男「げっ」

後輩「えっ」

転校生「??」

後輩「・・・まさか」

後輩「お兄ちゃんやお姉ちゃん、私を利用して女の人に貢物をする気だったんですか・・・?」メラメラ

男「・・・そ、そそそんな訳ないだろ・・・友や会長にそんな事ができるはずが・・・」

後輩「じゃあどうやってプリン手に入れる気だったんですか?」

男「それはだな・・・うん、ごめん。悪い手使うつもりでした」

後輩「・・・だから男先輩は信用ないんです」ハァー

後輩「とりあえずこれは私が預かります」

男「・・・そこを何とかならないか」

後輩「嫌です。それでは私は用が済んだので」スタスタ

男「・・・マジかよ」

転校生「・・・普通に買わないあんたが悪いのよ」

転校生「けど、これは私のせいでもあるし・・・猶予は明日までに伸ばしてあげる」

男「・・・いや、放課後まででいい」

転校生「なんで? もうプリンは売ってないはずだけど」

男「今からでも後輩説得してくる」タッタッタッ

転校生「・・・それほど嫌なのかなぁ。パンツの事言われるの」

サッカー部「ちょっといいかな転校生さん」

転校生「ん?いいけど・・・」

サッカー部「今日の放課後是非サッカー部の見学に来ないかい?」

転校生「う~ん。私以外の人も誘っていい?」

サッカー部「勿論。人数は多ければ多いほどいいからね」

転校生「・・・じゃあ、行ってみようかな」

サッカー部「ありがとう!いやぁ、嬉しいな」

転校生「そ、そんなまだ私サッカー部のマネージャーやるの決めたわけじゃ」

サッカー部「いや、転校生さんが見学するだけで部員のやる気が出るからね」

転校生「そうなんだ・・・」

サッカー部「放課後に詳しい事は言うから、またあとで」




サッカー部「・・・」ニヤリ

――――


後輩(何でだろう・・・)

後輩(男先輩が他の女の人に必死にプリンを渡そうとしてるって思うとすごくモヤモヤした・・・)

後輩(これじゃあまるで私が―――)

男「―――後輩!」

後輩「・・・何ですか。女たらしの男先輩」

男「頼むっ!プリン譲ってくれ!」

後輩「・・・さっき断ったじゃないですか。嫌なものは嫌です」

男「そこをなんとかできないのか?」

後輩「・・・いやです」

男「・・・そうか。ならまたあとで来るからプリン残しておけよ!」

後輩(行っちゃったなぁ。私も素直に渡せばいいのに)

後輩(・・・今は男先輩のことは考えないようにしよう)

―――

~放課後~

キーンコーンカーンコーン


男「よし、今から後輩にプリン譲ってもらうからここで待ってろ!」タッタッ

転校生「え!? ちょ、ちょっと! 私これから用事が・・・」

男「んな事後にしろ! じゃな!」

転校生「もう・・・どんだけ必死なのよ」

転校生(あっ、そうだ。放課後の部活の見学、女ちゃん誘おう)

転校生「女ちゃん~この後何か用事ある?」

女「ごめん転校生ちゃん。クラスの委員会があるから今日は無理なんだ・・・」

転校生「・・・そっか。それじゃあ仕方ないよね・・・」

転校生(一人で行くかな・・・ちょっと不安だな)

転校生(てもあの優しいサッカー部君が一緒にいるんだから大丈夫よね)

サッカー部「転校生さーん!」

サッカー部「ごめん・・・ちょっと部活内での準備に時間がかかって」

転校生「部活内での準備って?」

サッカー部「・・・せっかく転校生さんが見学にくるんだ。少しぐらいはちゃんとしないとね」

転校生「別に私のためにそこまでしなくていいのに・・・」

サッカー部「それだけ僕達は転校生さんにサッカー部のマネージャーになってほしいんだよ」

転校生「・・・そこまで言われると、ちょっと恥ずかしいかなぁ・・・」

サッカー部「フフッ。じゃあ行こうか」


スタスタスタ


女「・・・どうしたんだろうあの二人・・・」

――――

男「こーーーーーうーーーーはーーーーいーーーー!」

後輩「な、何ですか! 静かにしてください!」

男「プリンもちろん残してるよな!?」

後輩「・・・まぁ、一応」

後輩(正直私が持っててもあんまり意味ないけど)

男「頼む!俺にプリンを譲ってくれ!」

後輩「・・・だから、嫌ですって何回行ったらわかるんですか」

後輩(あげてもいいのになぁ・・・ 思わず反対の事言っちゃうなぁ・・・)

男「・・・分かった。お前の言うこと何でもするから譲ってくれ」

後輩「」ピクッ

後輩(今、何でもするって・・・)

後輩「・・・仕方がないですね。今日は機嫌が良いので譲ってあげます」

男「マジか!じゃあ急いでるから!」

後輩「・・・一つだけ聞かせてください」

後輩「どうして転校生さんのプリンのためにそこまで必死なんですか?」


後輩「どうして転校生さんのプリンのためにそこまで必死なんですか?」☓

後輩「どうして転校生さんにプリンを渡すのにそこまで必死なんですか?」○

うとうとしながら書いてたら下ネタチックなセリフに

男「俺の明るい高校生活が危ういんだよ」

後輩「まったく意味が分からないです」

男「・・・あいつには借りがあるからその借りを返さなきゃいけねーんだよ」

後輩「それがプリンですか・・・決して、貢物とかではないんですね?」

男「それは違うぞ。第一物で人の気を引くなんて俺は気が引けるね」

後輩「・・・分かりました。ならいいですよ」サッ

男「おっ、ありがとな!次会う時までに何してほしいか考えとけよ。じゃな!」タッタッタッ

後輩(・・・なーんでこんな事で安心してるだろ私)

後輩(先輩に、何頼もうかな・・・)

――――


~グラウンド~

サッカー部「どうかな。それなりに県内でも強い方だから見てても飽きないと思うよ」

転校生「うん!部員の人たちみんなすごく頑張ってて、輝いて見えるよ!」

転校生(いいなぁ・・・私もこの中に入って・・・)キラキラ

サッカー部(・・・そろそろ頃合いだな)

サッカー部「・・・転校生さん。部室の方も見に行こう」

転校生「いいけど、結構男子だけの部活って部室がちょっと汚いイメージがあるけど・・・」

サッカー部「うちの部室は結構掃除とかも頻繁にやっていて綺麗にしてるから大丈夫だよ」

転校生「そうなんだ・・・ それじゃ行きましょ」

――――

~校内 廊下~

男(後はこのプリンを転校生さんに渡すだけだな・・・)

男(あの人クラスにいなかったらどうしよ。まぁ、言っといたから大丈夫だろ)

モブ1「なぁ知ってるか?」

モブ2「何だ?」

男(ん?)

モブ1「最近転校してきた可愛い人いるだろ?」

モブ2「転校生さんか。その人がどうした?」

モブ1「遂にあの先輩、食べるらしいぜ」

モブ2「マジか!羨ましいな」

モブ1「今頃サッカー部の部室でヤってるんだろうよ」

男(・・・これは大変な事になったな・・・)

――――

~部室前~

サッカー部「ここがウチの部室。ちょっと中に入ってみない?」

転校生「ちょっとだけ見てみようかな・・」

サッカー部「それじゃあどうぞ」ガラガラ

転校生「わぁー!ホントに綺麗にしてるのね・・・」

ガチャ

転校生「・・・? サッカー部君?どうかしたの?」

サッカー部「まったく手間かけさせてくれる・・・」

転校生「えっ?ど、どうしたのサッカー部君・・・」

サッカー部「ったくさぁ、ころっと俺に惚れちまえば簡単にヤれたものを・・・ おい、出てこいよ」

ゾロゾロ

チャラ男「やっぱ可愛いなぁ。こんな子とヤれるなんてサッカー部様様だなぁ!」

「やべー!興奮してきた!」「早くヤろうぜー!」

転校生「い、いやぁ・・・」ウルウル

チャラ男「いいねぇ転校生ちゃん!その涙目がそそるねぇ・・・」

サッカー部「まずはその胸を見せてもらおうかな・・・」

サッカー部「おい、口塞げ」

「ウイッス」

転校生「やめっ!・・・んー!」

サッカー部「さてと・・・うん。実に形の良い胸だね・・・」スルスル

チャラ男「案外着痩せするタイプじゃん。おい、早く揉ませろよ」

「いや、俺が最初にだな・・・」「いや僕だ!」「そこは俺だろう」

サッカー部「そう焦るな・・・転校生さんは逃げないよ?」

転校生「・・・」

転校生(あれって・・・)

チャラ男「ここは公正にジャンケンとでもいくか!」

「賛成!」「絶対に負けないぞ!」「俺はチョキ出すからな」

チャラ男「いくぞ・・・ ジャンケン!」

「「「「「ポイ!」」」」」

サッカー部「おいチョキ出すって言ったのにパー出してるんじゃ・・・」

チャラ男「お前、裏切ったな!・・・って」

サッカー部「・・・お前誰だよ」

?「?」

チャラ男「お前だよ!」

?「俺か?俺は――――」

転校生(何であいつがここにいるのよ――)








男「ジェームズ・ボ○ドだ!!」ニヤリ







転校生(・・・)

チャラ男「・・・は?」

サッカー部「・・・なんだこいつ」

男「お前ら月に代わって、おしおきよ!・・・って一度は言ってみたかったんだよな」

チャラ男「・・・何が言いたいか分かんねぇけどよぉ。邪魔なんだよお前!」シュッ

男「おっと、アブねぇ。いきなり殴りかかってくるなんて礼儀がなってないな」サッ

男「だがこれでお前から殴りかかってきたんだから、俺がやり返しても正当防衛ってことで罪には問われないよな?」

チャラ男「何をごちゃごちゃとうるせぇな・・・オラァ!」ヒュッ

男「・・・俺はおしゃべりなんだ、よっ!」ブンッ

チャラ男「ぐっ!」バタ

男「さぁて、次はどいつだ?」

サッカー部(用心棒として連れてたチャラ男が一発で・・・)

「う、うわああああああ!」「やってやる!やってやるぞ!」

男「二人同時かよ・・・参ったなこりゃあ」

男「まっ、構わんが」

「おりゃ!」ヒュッ

男「よっと!」ブンッ 

「ぐわっ!」バタッ

「うらぁ!」シュッ

男「ん!」ブンッ

「ぐぇっ!」バタッ

男「・・・後はお前だけだな。主犯格さん」

サッカー部「・・・ククククク。ハハハハハハハハハハハ!」

男「おいおい。この状況下で笑えるなんてとんだプラス思考の持ち主だな」

サッカー部「お前のせいで!俺様の計画が狂った!」

サッカー部「殺してやる!お前なんて殺してやる!」カチッ

転校生(あれはナイフ!危ない男!)

サッカー部「あああああああああああああああ!!」

男「折り畳ナイフとは入念だな・・・歯には歯を。ナイフには必殺技を!」

転校生(え?必殺技?・・)

男「いくぞっ!稲妻キック!」ヒュン

サッカー部「うがっ!!」

転校生(ただの飛び蹴りじゃん・・・)

サッカー部「・・・ぅぁ・・・」バタッ

男「・・・こりゃあまた会長に怒られるかな」

男「さて・・・今助けてやるよ」

転校生「ん・・・ぷはぁ・・・何であんたがここに・・・」

男「お前を探してる途中に怪しい事を言ってた奴がいたから、その話を信じて向かった先にお前がいたわけよ」

男「あとお前、早く上の服着ろ。上の下着までまじまじと見せてどうする」

転校生「っ!・・・ぅるさい・・・今着るわよ・・・」カァァ

転校生「・・・それで、この人達どうするの?」

男「そりゃあ、生徒会と教師に任せるさ。まっ、こんな所早くおさらばしようぜ」

転校生「そうね・・・」

――――

~帰り道~

男「・・・何でお前は俺について来るんだ?」

転校生「な、なんでって、怖いのよ・・・また襲われるんじゃないかって」

男「大丈夫だ。少なくとも俺はお前みたいな奴襲わないから」

転校生「・・・そう。私ってそんな魅力無かったかな・・・」シュン

男「いやいやいやいや。転校生さん!そんな事はありませんよ!今すぐにでも襲わせていただきます!」

転校生「アホかっ!・・・ねぇその転校生”さん”って他人行儀な呼び方やめてよ」

男「・・・ではなんてお呼びしたら?」

転校生「気軽に下の名前で呼んでくれればいいわ」

男「じゃあ、転校生?・・・」

転校生「う、うん。お、男・・・」カァァ

転校生(案外、こういうのって恥ずかしい・・・)

男「うーん、こっちの方がしっくりくるな。転校生」

転校生「ひゃっ!? そ、そうね」

男「・・・そういえば大事な物渡すの忘れてたなぁ」

転校生「大事なものって?」

男「お前が買ってこいと言った『幻のプリン』だよ」

転校生「そういえば・・・でもいいわ。それはあんたにあげる」

男「え?そりゃあまた何で?」

転校生「・・・ぉ、お礼かな?・・・」

男「いいのか?別に俺はそんなに欲しいわけでもないんだか・・・」

転校生「いいの。こういうのは受け取りなさい」

男「ならいただくぜ・・・」モグモグ

転校生「この場で食べるのね・・・」

男「・・・うん、こいつはうめぇな!」

転校生「・・・やっぱり私も食べたい」

男「今頃かよ!・・・ほれ」

転校生「ん・・・あっ、これすごくおいしい!」

男「・・・」ジー

男(こいつ間接キスの事分かってないのか?)

転校生「何よジーッと見て・・・あっ」カァァ

男「・・・後は全部やるから」

転校生「い、いいいいわよ!残りは全部があんたが食べて!」

男「お前がいいならいいけどよ・・・」パクッ

転校生「ぅっ」カァァ

男「・・・非常に食べづらいんだが」

転校生「き、気にしないでっ!・・・その、意識したら反応せずにはいられないっていうか・・・」

男「・・・だぁーっ!わかったよ!全部流し込んでやる!」

転校生「・・・そんなに私との間接キs・・・」

男「違うわアホ!お前に気使っただけだ!」

転校生「それは・・・ど、どうも・・・」

男「お、おう・・・」

男(こいつさっきまでとは違って急にしおらしくなったりして・・)

男(すごく可愛いんだけど・・・)


転校生「私の家ここだから」

男「あっ、分かった。またな」

転校生「うん。また明日、男」ニコッ

男(っ!?)ドキッ

男(・・・そう言ってあいつは家の中に入っていった)

男(女の家は他の家と比べると凄く大きくて、いわゆる金持ちの家だった)

男(そして最後に見せたあの笑顔・・・あれはすごくドキッとした)

男(その笑顔と転校生の家を見るとなぜか懐かしい気持ちになった―――)

――――


~朝 教室~

男「おはよう、朝は大丈夫だったか?」

転校生「あっ、おはよう。心配ないわ。女ちゃんと一緒に来たからね」エッヘン

男「そうか・・・そりゃあ、よかったな」

転校生「そ、それでさ・・・」モジモジ

男「ん?」

転校生「昨日『幻のプリン』食べたら、プリン作りたくなって作ったんだけど・・・」

転校生「作りすぎて量が余ったからし、仕方なくあんたに一つあげる」カァァ

男「おう。ありがとな」ニコッ

転校生「!? ・・・し、仕方なくなんだから!」

男「分かった分かった。仕方なくなんだな・・・」

男「んじゃ早速・・・」パクッ

転校生「・・・」ジーッ

男(これは・・・)

男「・・・これ『幻のプリン』よりうまいぞ・・・」

転校生「ホント!?一生懸命作った甲斐があったわ!」

男「えっ?」

転校生「い、いや違うのよ!? 自分のために一生懸命作ったのよ?」

男「しかし意外だな・・・お前が料理得意なんて」モグモグ

転校生「昔からお菓子作るのは得意だったの」

転校生「そっ、それで、話があるんだけど・・・」

男「おう。なんだ?」パクッ

転校生「パシリのこと解消してあげてもいいけど・・・?」

男「マジか!? イヤッホゥゥゥ!」

転校生「えっ?そんなに嬉しいの?」

男「形式美に則ってみただけだ」

転校生「そう。だからこれからは―――」

転校生「か、か」

男「か?」

転校生「――――やっぱ無理!パシリで!」

男「・・・えっ」

転校生「これからは、あんたは私のボディーガードとしてパシる!」

男「おいそれって・・・」

転校生「またあんな事があったら嫌なの!いいでしょ?」

男「おいそれって・・・―――」


男(――こうして俺は転校生のボディーガードとしてパシられる事になりました)

こっからは短編的な感じで場面場面を切り取りながらって感じでいきますー
おやすみなさいー

>>109
男「おいそれって・・・」
↑これ消してください。

転校生「またあんな事があったら嫌なの!いいでしょ?」

書き溜めてからぼちぼちいきます


【課外学習】

男(あの事件から二週間。季節は新緑眩しい5月後半)

男(結局あの後、主犯のサッカー部とチャラ男は勿論退学。その他の奴らも退学になった)

男(俺はと言えば、鬼の形相をした会長に絞られそうになったが転校生の必死の弁明により難を逃れた)

男(その借りにより俺は未だに転校生のパシリ、もといボディーガードを続けていた)

男(まぁ、それよりも今は大事なイベントが始まろうとしていた―――)

男「山だァーッ!森だァーッ!課外学習だァーッ!」

友「・・・暑苦しいなお前」

男「こんな山の奥で一泊二日って言うのはこうもテンション上げないとな」

男(課外学習。山の中の旅館に一泊二日で泊まり、仲間との親睦を深めようという行事である)

男(基本は昼は5人の班で行動し、夜にはキャンプーファイヤーなど端から見ればイベント盛り沢山だが・・・)

男(それは表向きのイベントだ。俺達の本当の目的は・・・)

男「風呂・・・だよな?・・・」

友「・・・はぁ?」

男(俺達飢える狼の男子一同の今回の第一の目的は・・・そう!女子風呂の覗きをすることだ!)

石井「皆!・・・どれだけ我々はこの日を待ちわびたことか!」

友「・・・おい、誰だよあいつ」コソコソ

男「お前石井を知らないのか?ましてやもう五月の後半だぞ?」コソコソ

友「だから、何であいつあんなにでしゃばってるんだ?」コソコソ

男「あいつは通称『エロ男爵石井』。性の事に関しては学校中誰一人として適わない言われてるという猛者だ」コソコソ

男「その我らが石井が今回はガチで覗きに来てると聞けば・・・ワクワクしてこないか?」コソコソ

友「いや、しない・・・」コソコソ

男「流石に会長一筋のイケメン友クンはお堅いデスね~ そんじゃ俺は集会に行ってくるぜ!」

友「集会って何だよ・・・」ボソッ

石井「今日は聖戦!いや・・・”性”戦である! 今日俺達は・・・漢になる!!」

男子一同「オオッーーー!!」

石井「女子の裸体を!この目に焼き付けるぞォーッ!」

男子一同「オオーーーーーーッ!」

石井「我が学年には名だたる美少女が集まっている!」

石井「なんと言っても一番は転校生さんだ!」

石井「あの端正な顔立ちに完璧なスタイル!」

男(・・・やべっ。あの時の事を思い出しそうになったわ)

石井「そして黒髪さん!」

石井「学年一の乳の異名を持つ彼女は是非ともお目にかかりたい!」

男(あいつそんなに有名人だったのか・・・確かに胸はスンゴイな)

石井「最後に隠れた逸材と呼ばれる女さんっ!」

男(ブーッ!)

石井「ぶっちゃっけ俺のもろ好みです!ありがとうございます!」

男(石井・・・お前っ・・・)グスッ

石井「今日俺達はこれらの美少女の裸体を拝むのだ!いいか!もう一度言う・・・」

石井「これは・・・”性”戦だ!!」

女友「男どもが集まって何か騒いでるわね・・・」

女「あの中心にいるのは確か・・・誰だっけ?」

転校生「多分石井君じゃないかしら?」

女友「あぁ・・・あの変態野郎か。転校生ちゃん、あいつには決して近づかないようにね」

転校生「? どうして? クラスで話した時はとても紳士的でいい人だったけど・・・」

女友「それは表向きの顔ね。本当のあいつはどうしようもない変態よ。あんまり危害は加えてこないけど」

女「石井君とかはちょっと話してることが怖いかなぁ・・・」

転校生「うっ、うん。気をつけるね」ビクッ

転校生(二週間前にあんな事があったからちょっと怖く感じる・・・)

転校生(そういえばあいつはどこにいるんだろう・・・)キョロキョロ

ワーワー

転校生(げっ。あの男子の群れの中に紛れ込んでる)

転校生(男の人ってやっぱりあんな事には誰でも興味を持つのかな?)

転校生(だったら男は下着の私を見た時はどう思ったんだろう?・・・)

転校生(って何を考えてるんだ私は!)

転校生(これだと私が変態みたいじゃない!)プシュー

女「・・・?」

女友「・・・女、ちょっと来て」

女「? わかった」



――――

女友「いい?これはチャンスなのよ女」

女「え?何のこと?」

女友「女が男と仲直りをするチャンスよ!運良く同じ班になったんだからこのチャンスを大いに利用しなきゃ!」

女「そっ、そんないきなりは無理だよぉ・・・」

女友「そんな事言って後悔するのはアンタよ? 今までと同じでいいの?」

女「・・・それは嫌だよ」

女友「ならやるよ!私が色々と工面するから」

女「・・・うん。わかった。女友ちゃん、私頑張るよ!」

―――――


教師「えーこれからは班行動をしてもらいます」

教師「各班でこれから昼食のカレーを作ってもらいます。材料などは―――」

女友「・・・いよいよ来たよ女・・・」

女「うん・・・」

女(こんな事で男君との仲が昔の様になるとは思えないけど・・・)

女(せめて、男君と普通に話せるようになりたい・・・でも・・・)

女(男君はあの時の事をやっぱり気にしてるよね・・・)

女(今さら仲良くなりたいなんて自分勝手かもしれない。それでも、私は後悔したくない)

女(女友ちゃんだって応援してくれる。大丈夫、きっと―――)

男「さーて、班行動の時間が来たわけなんですが・・・」

「・・・」「・・・」「・・・」ジー

男(周りの視線が痛い。それもそうだ。俺の班のメンバーといえば)

男(友と転校生と女と女友さんと俺)

男(クラス屈指の美少女達とイケメンが班にいれば、俺に向けられる視線、それは嫉妬)

男(何でお前がっ!・・・って言うのがひしひしと伝わってくる・・・)

男(仕方ないだろっ!俺は友以外の男友達少ないし、転校生はボディーガード云々でついてくるし、女と女友は転校生に誘われるし)

男(これは成り行きです!よって、俺無罪!)

友「? どうした、さっさと作業に移ろうぜ」

男「あぁ。っとその前に役割分担をしたいと思うんだが・・・」

男「基本的に料理は女子の方が得意だと思うから、俺達より先にそっちを優先的に役割を決めてほしい」

転校生「フフン。任せておきなさい!カレーなら私の得意中の得意よ!」ルンルン

男「なら転校生をメインに役割を考えてくれ」

転校生「そうね・・・じゃあ」

女友「ちょっと待って転校生ちゃん。ちょっと相談が・・・」ヒソヒソ

転校生「うんうん・・・分かった。なら――――」

男「・・・」

女「・・・」モジモジ

男(ど う し て こ う な っ た)

男(よりによってどうして女を俺と組ませるんだ転校生よ・・・)

男(絶賛気まずい関係中の女と組むとなるとどうにもやりにくんだが)

男(女は絶対あの時の事気にしてるだろうしな・・・)

女(・・・やっぱり男君困ってるよ・・・)

女(女友ちゃん、いきなり二人きりはさすがにキツイよ!)

男「・・・と、とりあえずやるか」

女「あっ、うん。そ、そうだね・・・」

男「・・・」トントントン

男(野菜を切るだけなのになんでこんなに苦労してるんだ俺は!)

男(これが心労ってやつか!そうか!これが心労か!)

男(っと、人参切り終わったし次の材料を・・・)サッ

女(ふぅ・・・新しい人参取らないと・・・)サッ

ピタッ

男「!?」カァァ 女「っ!!!」カァァ

男「わ、悪い!」

女「こっ、ここ、こちらこそ!ご、ごめん」

男(・・・これは相当キツイ・・・)

女(・・・男君の手にさわっちゃったよぉ・・・)

女(近くにいるだけでも緊張するのに手も触れたら私・・・)カァァ

男「・・・大丈夫か?顔赤いけど」

女「う、ううん!気にしないで!なんでもないよ!」

女(男君に心配されちゃってる・・・やっぱり私ダメなのかなぁ・・・)

男(・・・これは相当キツイ・・・)

女(・・・男君の手にさわっちゃったよぉ・・・)

女(近くにいるだけでも緊張するのに手も触れたら私・・・)カァァ

男「・・・大丈夫か?顔赤いけど」

女「う、ううん!気にしないで!なんでもないよ!」

女(男君に心配されちゃってる・・・やっぱり私ダメなのかなぁ・・・)


男「消毒液と絆創膏貰ってきたぞ。消毒少ししみるかもしれないが我慢してくれ」

女「う、うん・・・っ!」

男「悪い、かけ過ぎたか?」

女「ううん。大丈夫だよ。続けて?」

男「おう・・・これで大丈夫か?」

女「うん。ありがとう男君」ニコッ

男「いや、まぁ、うん。どうも・・・」

男「・・・傷口が酷くなったら大変だから少し休んどいてくれ」

>>136>>137の間に
女「っ!いたっ・・・」

男「!! 指切れてるじゃないか」

女「だ、大丈夫だよ、この位・・・っ!」

男「いいからっ!少し待ってろ!」タッタッタッ

女(・・・やっぱり昔から変わってないなぁ。困ってる人や傷ついてる人がいたらすぐに助ける所・・・)

女(前もこんな事あったな・・・だいぶ昔の事だけど・・・)

女(やっぱり変わったのは私だけなのかな―――)

女「うん。そうしてもらうね。男君には迷惑かけるかもしれないけど・・・」

男「気にするな。こんぐらい平気だ」

女「・・・ありがとう・・・」

女(・・・今の間、男君と自然に話せてた。まるで昔の様に)

女(この状況がもっと続けばいいのになぁ・・・)

女(・・・言おうかな。あの時の事、私が悪かったって)

女(言おう。この状況を自分で変える―――)

女「あの――「男ー!」

男「んあ?何だ転校生」

転校生「そっちの進み具合はどうかなーって見にきたの」

女(間が悪すぎるよ転校生ちゃん・・・)ウルウル

転校生「フムフム・・・男のくせにちょっとはやるじゃない」

男「だろ?だからお駄賃頂戴」

転校生「あんたにやる金は一銭も無いわよ! 女ちゃんはどう?」

女「ちょっと手切っちゃったから少し遅れてるかも・・・」

転校生「え!?大丈夫!?」

女「うん。男君に治療してもらったから大丈夫だよ」

転校生「信用ならないわね・・・」ギロッ

男「おいおい、そこは信用してくれよ」

転校生「ホントかしら・・・」ジトー

女「一生懸命やってくれたから傷みも和らいだし、本当に大丈夫だよ」

転校生「・・・そこまで女ちゃんが言うなら大丈夫そうね。でも今度何かあった時はコイツなんかより私を頼ってね」

男「コイツなんかって・・・最近俺の扱い酷くない?」

転校生「当たり前じゃない。アンタ私のパシリだし」

男「酷いっ!私泣いちゃう!」タッタッタッ



転校生「・・・ホントあいつって変わってるよね」

女「え?うん。そ、そうだね」

女(いつかまた・・・昔の様に・・・)

男(・・・勢いで逃げてしまってきたが大丈夫だろうか。多分大丈夫だろう)

男(ほとんど材料も切り終わったしな)

男(女との会話は少し気を使うから疲れるな・・・昔の様に気軽に話せる様になればこうもなりもしないんだけどな)

男(いつかはこの気まずい関係を解消して、昔みたいにできたらな・・・)

男(俺のせいでもあるんだし、俺から言うべきだよな、やっぱり)

?「おっ、また君はサボりか」

男「人を常にサボってるかのように言うのは止めてもらおうか。黒髪さん」

黒髪「私はサボってる君しか見てないから、そう見えても仕方の無い事なのよ」

男「・・・大体サボりに寄って来る君だってサボりなんじゃないか?」

黒髪「私は学校行事に積極的に参加しようとしない問題児君を説得しにきただけ」

男「それをサボりっていうんだよ。生徒会様がこんな所で羽を伸ばしてても意味ないぞー」

黒髪「いいの。私は自由に生きるから班行動っていう枠には囚われないの」

男「・・・めんどくさいだけだろ、班行動が」

黒髪「・・・そうね。露骨に私の機嫌を取ろうとしてくる男連中なんて見てて反吐が出る」

男「・・・黒髪さんは人気者ですなぁ」

黒髪「茶化さないで。本気で悩んでるんだから」

男「贅沢な悩みな事で」

黒髪「それ以上言うと会長に言って叱ってもらおうかな・・・」

男「それだけはマジでやめてくださいお願いします」

黒髪「・・・君ってそんなに会長が苦手なの?」

男「先輩には昔からお世話になってるから、その怖さは人一倍知ってるつもりだ」

黒髪「ふむ。これは一つ君の弱みゲットだね」

男「・・・しまった。また墓穴を掘ってしまった」

黒髪「フフッ。これで私も君をこき使える様になったわけ」

男「パシリなら間に合ってます」

黒髪「パシリなんてそんな酷い扱いはしないわ」

男(どっかの誰かと違ってこの人は正常のようだ。良かった)

黒髪「う~ん。そうだ、君。私の彼氏役やってよ」

男「ブッー!!」

男(俺の見当違いだった。この人、転校生とはまた違った大変な思考の持ち主だ)

黒髪「過大なリアクションありがとう」

男「・・・あなたが少し怖くなってきました」

黒髪「心外だな。だってそこらのオスどもは私と付き合いたいから寄ってくるんでしょう?」

黒髪「だったら簡単。私に彼氏がいる事を示せばいいでしょ?」

男「随分簡単に言うが、それには俺の演技力だったり俺の容姿が君に釣り合ってないと無理だと思うけど」

黒髪「大丈夫。私が認める」

男「・・・その自信はどこからくるんだよ。とにかくこの話はナシだ」

黒髪「・・・ケチ」

男「いくらでも言え」

黒髪「・・・まぁ、冗談だけど」 

男「冗談かよ。本気で焦ったじゃねぇか」

黒髪「君をからかうと面白いからね」

男「人で遊んではいけません。俺はそろそろ自分の班に戻るわ」

黒髪「うん。またね」

黒髪(・・・本気で焦った、か)

―――

転校生「ちょっと、どこ行ってたのよ!あんたがいない間にもうカレーできたわよ!」

男「おぉ、悪いな。見事にサボってしまって」

転校生「まったく・・・」

転校生(って言ってもほとんど材料切り終わってたから男サボった影響あんまりないのよね)

転校生(でも、もしかしたら男がサボっていなかったら私の事を手伝ってくれてたかも・・・)

転校生(いや、ないないない!最近の私変な事考えすぎだぞ!)ブンブン

女「・・・転校生ちゃん、大丈夫?もう食べる準備できてるよ?」

転校生「ううん!気にしないで!早く食べよ?」


男「俺はもういただいてるけどな!」

転校生「普通みんなで挨拶してからでしょうが!ホントどうしようもないわね・・・」

男「・・・ところでこれ市販のカレールーで作ったんだよな?」

転校生「そうよ?」

男「これ俺がいつも食べてるやつと味が全然違う・・・ぶっちゃけ凄い美味い」

友「普通に店で出してもいけるレベルだね」

転校生「そうでしょ!?これは私が研究を重ねて生み出した秘伝のレシピでね―――」

女友「・・・女、その様子では上手くいかなかったようね」コソコソ

女「・・・うん。ごめんね。せっかく機会を作ってくれたのに・・・」ショボン

女友「そんなに落ち込まないの。正直いきなり二人きりは女にはキツイと思ってたから」コソコソ

女「でも・・・」コソコソ

女友「まだ課外学習は始まったばかりよ?チャンスは幾らでもあるって」コソコソ

女「・・・うん。頑張るね、女ちゃん」コソコソ

ソレデコノスパイスガスゴクイイノヨ! イイカゲンキキアキタ・・・

友「・・・」ジー


―――

―ホテル―

男「やっと、一息つけるな・・・」

転校生「それにしても山奥にしては凄くいいホテルよね~ 部屋が気になるなぁ」

女「本当にそうだね・・・」

男「全く女子の部屋は気になりますねぇ」(ゲス顔)

転校生「・・・女ちゃん、この変態に近づかない方がいいわよ」ササッ

女「う、うん・・・」ササッ

男「ちょっと冗談だから。その反応はマジで傷つくから」

転校生「・・・」ジトー

男「信じてないだろ、それ」




友「・・・ちょっといいか、女友さん」コソコソ

女友「えっ、友君?別にいいけど・・・」

友「もしかしてさ・・・女さんと男について悩んでない?」

女友「そうだね・・・ちょっとあの二人の関係は見ててもどかしいのよ」

友「やっぱり・・・中学の時のあの二人を知ってるから尚更だね・・・料理作る時に男と女さんを二人きりにしたのも、それが関係してる?」

女友「バレてたのね・・・そうだよ。少しでも機会があればいいかなぁて思ってやったんだけど」

友「やっぱりね。ちょっと女さんが男についてどう思ってるか聞かせてくれないか? 言える範囲で」

女友「分かった。えっとね―――」



友「・・・なるほど。以外にこれは簡単にいきそうだ」

女友「どういうこと?」

友「女さんが男に対してあの時に悪いことをしたと思って近づきがたくなってるよね。それって男も同じなんだよ」

友「男も女さんにあの時の事を悪いと思ってるから近づかない。まぁ、お互い様ってわけなんだよ」

女友「あの時の事はどちらも悪くないのにね・・・」

友「・・・そうだね。とりあえず、俺も二人のもどかしい状況をどうにかしたいんだけど・・・考えはある?」

女友「正直あの二人に任せるのが一番だと思うんだけど・・・それじゃあ、いつまでたってもあのままだよね・・・」

友「そうなんだよね。キッカケさえあればどうにかなるんだけどな」

女友「・・・無いなら作ればいいんじゃない?」

友「・・・やっぱりそう来ますか。一番手っ取り早いのはどっちかに片方の思ってる事を伝える事だけど・・・」

友「多分二人共それを聞いても信じないだろうし、それを伝える立場の奴が辛いだろうし」

友「それほどあの時の事は二人の心に残っていると思うんだ」

女友「・・・多分今の女なら大丈夫だと思う」

女友「女はあの時の事を悪いと思ってるけどそれ以上に男を想う気持ちが強いから、多分大丈夫」

友「・・・言ってよかったの?」

女友「友君は分かってるでしょ?女の気持ちは」

友「確かに女さんは考えてる事丸わかりだからな・・・それじゃあさっきのことは頼める?」

女友「任せて。何年女の友達やってきたと思ってるの?」

友「そこまで言えるなら大丈夫そうだ。じゃあ、お願いするよ」

女友「うん」

女友「・・・」

女友(・・・友君。君が会長好きなのはもろバレだからね)

女友(それが分かってなかったら、今の会話で凄く喜べるんだけどなぁ。友君超かっこいいし)

女友(はぁー。独り身は辛いねー)

――――

転校生「それでね・・・」

女「へぇ~ そうなんだ~」

女友「・・・」

女友(言い辛っ!とても男の事を切り出せる雰囲気では無い!)

女友(転校生と話が盛り上がってて女を呼び出せる状況でも無い!)

女友(一体どうしたら・・・)

転校生「そういえばさっきから女友ちゃん静かだけど・・・どうしたの?」

女「部屋入ってから一言ぐらいしか話してないと思うけど・・・」

女友「ちょっと考え事。気にしないで」

女「そう?私が話聞いてもいいけど・・・」

女(女、あんたの事で悩んでるの!)

転校生「なんなら私が聞くけど・・・もしかして」

転校生「もうすぐお風呂だからってスタイルの事気にしてるでしょ!」ビシッ!

女友「」ビクッ

女友「アハハハ・・・転校生、なんのことかなー?」

転校生「分かるよー!私も最近料理の味見とかで太ってるかもしれないし・・」

女友(転校生、あんたそんなこと言っといてメチャクチャウェスト細いじゃん!)

女友(てか転校生胸結構あるし!私気にしてるのそこだし!)

女「私も最近お菓子食べ過ぎてるかもしれないから太ってるかも・・・」

女友(いやいやいやいやいや!あんたも十分細くていいスタイルしてるし、胸もそこそこあるし!)

女友「・・・」ツルペターン

転校生「ほらほら、素直に言っちゃいなさよ!」

女「こういう時は言ったほうがスッキリするかもよ?」

女友(こ、こいつらっ!・・・)

女友「・・・私、胸小さいからさ・・・」

転校生「あっ。・・・ごめんなさい」

女「私もごめん・・・」

女友「いや、いいよ・・・」

女友(何だよこの微妙な雰囲気!お前ら絶対悪いと思ってない!勝者の余裕か!そのバストは!)

転校生「・・・さて、そろそろおふろいこうかなー」(棒)

女「うん。そうだねー」(棒)

女友「・・・行こうか」

――――

転校生「あっ。やばい・・・」

女「どうしたの転校生ちゃん?」

転校生「ちょっと忘れ物したから取ってくる」

女「じゃあ、先に行ってるね」

転校生「うん」

女友(言うとしたら今がチャンスかな・・・)

女 ルンルン

女友(・・・今はやめとこうかな)

女友「・・・ってお風呂の前に凄い綺麗な人いる。確か生徒会の人だっけ」」

女友(そしてナイスバディ。嫌がらせか)

女「本当だ・・・凄く綺麗・・・」

黒髪「ん?あなた達は今からお風呂入る所?」

女友「そ、そうですけど・・・」

女「どうかしたんですか?」

黒髪「実は今一部の男子が女子の着替えを覗こうとしてるらしい」

女「えっ・・・」

女友「・・・サイテー」

黒髪「それで、私達生徒会が中心となり阻止しようとしてるんだけど、対策として女子の入浴時間を変えてるのよ」

黒髪「という事で女子は男子の入浴時間終了までお風呂に入ってもらうのを止めてもらってるから申し訳ないけど待っててもらえるかな?」

女「それなら仕方ないですね・・・分かりました」

女友「・・・転校生は大丈夫かな?」

女「多分、生徒会の人が伝えてくれるんじゃないかな?」

女友「まっ、そうだよね。部屋戻る途中に会うと思うし」

女「そうだね」


「黒髪さーん」

黒髪「なに?」

「そろそろ交代の時間だから黒髪さんは少し休んでて」

黒髪「・・・もうそんな時間・・・ 分かった」

「あ、ありがとう」

黒髪「じゃあ私は部屋に戻るよ」スタスタスタ


「あと30分かー ちょっとトイレ行ってこよっと」スタスタスタ

――――

転校生「・・・」アセアセ

転校生「道に迷ったー!!」

転校生(お風呂への道を聞いてなかったからなぁ。分かる人いないかな・・・)

転校生「あれ?これってもしかして・・・」

転校生「暖簾下がってるから・・・お風呂だよね?」

転校生「・・・うん、お風呂のはず。中で女ちゃん達待ってると思うし早く入ろうっと」

―――


石井「遂にこの時が来たぞっ!皆、用意はいいかっ!」

男子一同「おおっーーーー!」

石井「我々の悲願は今こそ達成される!行くぞ!我々の未来へ!」

男子一同「おおおっーーーーー!」

友「・・・なぁ、何で野郎共が俺らの部屋にいるんだ?」

男「それは俺が呼んだからだ」

男「いたいいたいいたい脛が削れる」

友「遺言なら聞いてやるぞ」ゲシゲシゲシ

男「最近俺転校生といるの多いじゃないか。それで俺は石井から疑われてるんだよ」

友「疑われるって?」

男「俺に彼女ができたんじゃないかってな」

友「いやない」

男「即答かよ!少しは俺にも夢見させてくれよ!」

男「それにやはりお前は先輩のみか。まったく尊敬するぜ・・・」

友「ななななな何を言うんだそんなわけないだろう」

男「動揺する必要ないだろう。俺知ってるし」

友「そうだった・・・」

石井「男・・・先ほどの演説見事だった」

石井「お前の覚悟は俺が確かに聞いた。征こう我らの目指す場所へ―――」








               石井「出陣だ!!」




男(石井の一言で、男達が威勢のいい声を上げて各々行動を始める。しかしそれは一瞬の出来ことで打ち消されてしまう)

男(それはこの場に似つかわない凛とした声によってだ)


■「―――お楽しみの所悪いが、そうはさせない」

男(その声の主は俺らの部屋の前に立っている黒髪だ)

黒髪「男共ゲスな企みが発覚したから少し調べてみたらこれだ」

男(黒髪の背後には何人かの影が見える。おそらく生徒会や風紀委員の類だろう)

石井「くっ・・・どこからこの事が」

黒髪「・・・交渉したらあっさり口を割ってくれたよ」

「す、すいません・・・元帥・・・」

石井「お前、そいつに何をした!」

黒髪「簡単だよ。脅したんだよ。こんな風にね」シュッ

男(その瞬間、間合いを瞬く間に詰めて石井に向けて鋭い蹴りが繰り出される)

男(しかし、その一撃は石井には届かなかった)

「っ!!・・・げ・・・ん、すい・・・」

石井「す・・・鈴木!」

男(石井の作戦を漏らした張本人が石井を庇ったのだ)

「・・・すみま、せん元帥・・・わたしのしたことを・・・どうかお許しください・・・」グッタリ

石井「鈴木ぃ!」

石井「貴様ぁ!絶対に許さんっ!」

黒髪「・・・何この三流芝居。くだらないからさっさと決着をつける」

黒髪「やるよ」

男(その一言と共に黒髪の背後の影が姿を表す。どれを見ても腕の立つ人物達だ)

石井「その気なら我々もだ・・・征くぞ!我々聖地へ!」

黒髪「・・・制圧しろ」

男(二人のこの言葉を皮切りに、争いが始まる)

男(こうなってはもう後は引けない。俺の選択は決まっていた)

男「俺は、征く。聖地へ!」

男(俺は走りだしていた、部屋の外へ。俺の望むモモ色の柔肌へと―――)


友「・・・何この茶番」


―――――

黒髪「・・・君までそんなに見たかったのか」

男「・・・はい」

男(結果、俺達は捕まった。結構あっさり)

黒髪「・・・ふん」


男(縄で縛られた俺達はその後学校へ強制送還され、停学5日間を言い渡された)

男(こうして、俺達の林間学校、聖戦は幕閉じたのだった―――)




転校生「・・・あれ、私は?」

【休日】


転校生「ねぇ、もっと早く歩けないの?」

男「俺はお前に合わせてたつもりなんだが」

転校生「・・・私が言いたいのは隣に並んで歩いて欲しいの!」

男「だったら早く言ってくれよ。お前だって休みの日に男と二人で並んで歩いていたら勘違いされるだろ?」

転校生「・・・むしろそう勘違いされた方がいいんだけど」ボソッ

男「ん?なんか言った?」

転校生「なんにもないわ!早く行きましょ」

男(そう今の俺達は休日に二人きりで街へ来ている。いわば、デート?)

男(いや違います、パシリです)

男(事の発端は3日前に遡る。いつも通りに授業を受けている最中、それは起きた―――)

―――――

~3日前~

転校生「ちょっといい?」

男「ん?どうした?」

転校生「あんたって今週の日曜暇よね。絶対暇なはずよ」

男「何を言う。俺は朝から全国の老若男女と一緒に○リキュアを見ると決まってるからな」

転校生「・・・」ジトー

男「おい何だその蔑んだ目は冗談に決まってるだろ。今週の日曜は生憎予定が入っていてな」

転校生「なによ、その用事って」

男「いずれ来る乙女とのデートとの為に日を開けておくんだよ。これだから恋多き男の俺は困ったもんだ」

転校生「なら決まりね。日曜、私の買い物を手伝って」

男「・・・少しはツッコめよ。それって別に俺じゃなくてもよくないか?」

転校生「女ちゃんや、女友ちゃん誘ったけどダメだったの。それであんたに頼んでるのよ」

男「一人は、っというのは・・・まだダメなんだな」

転校生「・・・うん。だからお願い」

男(これって俺は信用されてるってことなのかね・・・)

男「わかったよ。ただし俺の行きたい所にも行かせてもらうからな」

転校生「それぐらい構わないわ」

―――――


男(そして今に至るって訳だ。オーソドックスな回想だ)

男(そんでもってだ。今日に限って転校生はなぜかスーパーウルトラ上機嫌なのが俺から見ても伺える)

転校生「ほら、どんどん行くわよ!」

男「はいはい・・・」

男(既に今は何店か回っている。そのことで分かった事がある)

男(やはりこいつ、相当な金持ちだ。妬ましい!)

男(行く先々はすべてブランド物とか高価な物が売っている店が全てだ)

男(前に転校生の家を見て少しは思ってはいたが・・・やはり金持ちだった)

男(そして・・・転校生の家を見た時の既視感。それが俺の中でまだ少し心残りだった)

転校生「そろそろ、お昼よね・・・ どうする?」

男「そうだな。どこかで飯にするか」





女「ねぇ、これ本当にバレてないかな?・・・」

女友「大丈夫よ。二人共周りを気にしてないから」

女(女友ちゃんの作戦に賛成して、わざと二人きりで買い物させて私達がそれを追う)

女「悪いことしてるんじゃないかなぁ・・・」

女友「そんな事気にしなくていいの。ほら行くよ」

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