モバP「飛鳥と戯れるささやかなひととき」 (12)

1レス完結でさくさくと。書き溜め

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「秋」


モバP「なあ飛鳥、季節の中でいつが一番すき?」

飛鳥「ボクは冬、かな」

モバP「どうしてだ? あんなに寒いのに」

飛鳥「寒いから、だよ。体温と外気温の差が激しいからね。言い換えれば、寒さを通じて自分自身の存在を明確に感じる事が出来るのさ」

モバP「なるほど、哲学的だなあ。じゃあ、夏はお気に召さないのかな?」

飛鳥「気温が高くなればなるほど、自分自身の存在が不明瞭になってしまう気がするんだ。それにあまり暑いと、体が溶けてしまいそうになっちゃうからね。ところで、キミはどうだい? キミはどの季節が一番好き?」

モバP「俺は秋が好きだな、食欲の秋って言うし。お前風に言い換えれば、食べ物を通じて自分自身の存在を維持できるって訳」

飛鳥「なるほど、本能的だなあ」

「矛盾」


モバP「あるところに矛と盾を売る商人がいました。商人は矛について『この矛の軟弱さといったら、いかなる物をも突き通す事が出来ない程である』と説明し、盾について『この盾の脆さといったら、いかなる物をも防ぐことが出来ない程である』と説明しました」

飛鳥「斬新な設定だね」

モバP「そこで見物人はこう言いました。『その矛を使って、その盾を突いてみてもいいか?』と」

飛鳥「うん、それで?」

モバP「商人は言いました。『商品を壊すのはやめてください』」

飛鳥「あちゃあ」

「ゆがんだ世界」


飛鳥「世界はゆがんでいる」

モバP「どうした急に」

飛鳥「世界はゆがんでいるんだよ。いや、世界を見つめるボクらの眼がゆがんでいると言ったほうが適当かな」

モバP「同じものを見ても、同じものが見えてるとは限らないからなあ」

飛鳥「さすがPだね、そういう事。ボクらはボクらの体を通してしか、この世界を感じる事が出来ない」

モバP「目で見た映像が、同じように心に届くとは限らない」

飛鳥「例えば感情、信条、思い込み。そういう要素がノイズとなって、世界をゆがませているんだね」

モバP「教育や環境、経験。そういう要素が絡み合って、自分だけの世界を作り出しているんだな」

「夜空」


モバP「はあ……やっぱり夜空って綺麗だよなあ」

飛鳥「夜空が綺麗なのかな。それとも、星空が綺麗なのかな」

モバP「そりゃ……夜空だろ?」

飛鳥「じゃあキミ、曇天の夜空も綺麗だと思うかい? 星も月も、みんな雲に隠されたとしても。そんな夜空、ボクはちっとも楽しくなんかないけどね」

モバP「そういわれると……そうだな。結局俺は、見かけの美しさに心を奪われたのかもしれない」

飛鳥「見かけの美しさに惑わされる事、それ自体は悪いことじゃないけどね」

モバP「けれど、俺が今まで神秘的に感じていた魅力が、結局のところ見かけの美しさに起因していたのだとしたら、やっぱりそれは寂しい事だよ」

飛鳥「ボクたちが思っている以上に、人間は見かけの美醜に正直なんだと思うよ」

モバP「だとしたら、世界って結構、残酷だよな」

飛鳥「そうかもしれないね。見かけの美醜は先天的要因が大きいから。ただ……」

モバP「……ただ?」

飛鳥「見かけの美醜も、結局は個々人の主観で変わる要素だからね」

「トマト」


モバP「トマト、食べないのか? 皿に残ってるけど」

飛鳥「必要ないからね。トマトには抗酸化作用のあるリコピンが多く含まれている事で有名だけど、抗酸化作用なんてアンチエンジングを考えている大人が必要としている効果だよ。逆説的に、中学生であるボクには無用ともいえる。結論として、ボクにはトマトを食べる必要性がないという訳だ」

モバP「嫌いな物を無くさないと、立派な大人になれないぞ」

「最初のツンデレ」


モバP「ツンデレは最初、今とは異なった意味で使われていたんだ」

飛鳥「へえ……知らなかったよ。今の使われ方とどう違うんだい?」

モバP「今はツンデレって言ったら、ヒロインがツンツンした態度とデレデレした態度を忙しなく使いわける事を言うだろう? そのギャップが彼女の魅力となる訳だが」

飛鳥「そうだね。ツンデレといったらそういう印象だ。という事は、当初は違う意味で使われていたのかい?」

モバP「似て非なるって所かな。初めて会った時はツンツンしていたヒロインがやがてデレデレした態度に変わっていく、それが本来のツンデレの意味だったんだ」

飛鳥「昔のツンデレは不可逆的だったって事だね。一度デレたヒロインは、二度とツンには戻らない」

モバP「そういう事。今のツンデレは可逆的だ。環境や感情によって、ツンとデレが流れるように変化する」

飛鳥「いわば、ギャップ萌えの一種になるのかな。昔のツンデレが征服欲の延長線上にあったと考えると、両者の違いは結構大きいのかもしれないね」

「未来」


モバP「俺、未来から来たんだ」

飛鳥「本当かい? じゃあ未来のボクは何をしているか知っているかい?」

モバP「未来のお前は立派なアイドルになっているよ。大衆的とは言えないが、一部に熱狂的なファンを持つ、立派なアイドルさ」

飛鳥「嬉しいなあ。ボク、ちゃんとアイドルになれるか心配だったんだよ。そうかあ、ボクは将来立派なアイドルになるのかあ……」

モバP「いや、お前が将来ちゃんとアイドルになれるのかは、誰も知らないよ」

飛鳥「え? だってキミ、さっきは僕が立派なアイドルになるって……」

モバP「それは『俺のいた未来』での話だよ。未来は分岐するものだからね。お前が俺のいた未来と同じ未来に進むとは限らないのさ」

飛鳥「……何だあ。結局、未来の事はなんにも分からないって訳か」

モバP「そんな事はないさ。俺のいた未来での飛鳥は確かにアイドルだった。つまりお前には『立派なアイドルになる未来』もあるってことさ」

おわり

おつ

あと990レスは残ってるぞ
遠慮せず書いたらどうなんだい?

そのうち気が向いたらまたこんなスレ立てようかと思います

>>10
まあ待とうぜ

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