友「それじゃ第一回焼肉会議を始めるぜ!」(125)
男「それじゃ…って、どこがどうなってそれなんだよ?」
幼馴染「え?焼肉?今年は第8回鍋会議じゃないの?」
幼友「あんたホント何言ってんの?馬鹿なの?」
幼友「真面目に勉強しないと、マジで留年するよ?」
友「我ら試験戦争に向かう試験ソルジャーにも、休息は必要だと思う訳だ」
幼友「試験ソルジャーって何よ。いかにも頭が悪い人の発言ね」
男「何だ?今年は鍋じゃなくて、焼肉にするのか?」
幼「えー?お鍋やりたいよー」
幼友「男も幼も、乗らなくて良いから」
友「お前ら、俺が何も考えず勢いで喋ってると思ってるだろ?」
男・幼・幼友「うん」
友「…」
友「ち、違うぞ!今日はちゃんと考えて喋ってるぞ?」
幼友「だから……この4人の中であんたがずば抜けて成績ヤバいんだから」
幼友「必死で勉強しなよ。解らない事は私達に聞きなさいよ」
友「だから!息抜きも必要だって!」
幼「それがクリスマスの鍋会でしょ?」
友「そこ!そこが問題!幼ちゃん良い事言った!」
幼「んん?」
友「毎年、クリスマスイブに鍋パーティを開催しているモテない俺達だが!」
友「はたして、毎年鍋でいいのだろうか?」
幼友「いいでしょ、鍋で」
友「いいや、良くないね!」
友「俺は、安寧に胡座をかいて、肥える豚にはなりたくない!」
男「友、そう言うのもう良いから」
友「何を言うか!大事な事だぞ?」
友「大体よー」
男「なんだよ」
友「鍋する理由だって、皆で一つの鍋を囲んで、仲良くする為だろ?」
男「そうだな」
友「なら、一緒に囲むのは鍋じゃなくても良くね?」
幼友「それで焼肉な訳?」
友「イグザクトゥリー!」
男「でもなぁ…焼肉って難しくないか?」
友「それを4人で考えるから焼肉会議だろ?」
友「たまにはガッツリ肉食いたいぜ!」
男「鍋でもガッツリ肉食ってるだろうが」
友「茹でたお肉じゃなくて、焼いたお肉が食べたいぜ!」
幼友「あんた、本当に馬鹿なのね」
友「馬鹿ではない!俺は大器晩成型なだけだ!」
友「尊敬する人はカーネル・サンダースだ!」
幼友「…そう言う人って稀だからね?早めに大成しないと手遅れになるよ」
友「……」
友「と、とにかくだな!」
友「今年の議長は俺だし!」
友「決定権は俺にあるだろ?」
幼「あんまり酷いと多数決になるけどね」
友「それはそうだけど…焼肉、どうよ?」
幼友「今、する話しじゃないと思うけど……」
幼友「それだけ言うには、本当に何か考えがあるんでしょうね?」
友「あるともさ!」
友「なんと!俺の家には七輪が2つもあるんだぜ?」
友「炭火焼肉をご家庭で楽しめるスグレモノだぜ?」
友「どうよ?」
幼友「このクソ寒い時期に、外で焼肉?」
幼「正直それは無いかなー」
友「いやいや!そこは俺の部屋でやればいいだろ?」
友「何でこんな雪降るような季節に外で焼肉だよ」
友「罰ゲームかよ、ははは」
男「……本気で言ってるのか、友?」
続き明日…おやすみなさい
待ってた
途中で切るなんて珍しいな
待ってる
なんだよタンを後から焼くやつは死ねとかそういうのかと思ったら……
期待して待つ
続き投下します
友「何だよ…部屋で暖房効かせて、炭火焼肉で良いじゃねーか」
幼友「七輪で焼肉する時に、何を燃やすの?」
友「お前そんな事も知らねーの?」
幼友「言ってみなさいよ」
友「備長炭に決まってるだろ」
幼友「この部屋でやるの?」
友「そうだ!我が城でだ!」
幼友「こんな狭い部屋に七輪を2つも?」
友「そうだ!」
幼友「この話しはこれで終わりね」
幼「そうだね。期末試験に向けて勉強勉強!」
男「幼、ちょっとここ教えてくれ」
幼「うん、ここはね…」
友「ちょっと待てやぁぁぁぁぁぁ!」
幼友「おっきい声出さないでよ、近所迷惑だから」
友「俺の提案全否定か?」
幼友「100歩譲って、部屋で焼肉するならホットプレートで!」
友「炭火が良いんだろうが!」
幼友「じゃ、やっぱりこの件に関しては終了って事で」
幼「そこにxの値を代入すると…」
男「あぁ、そうするとこっちが…」
友「…」
幼友「真面目に勉強しなよ、友」
友「……オメーら覚えてろよ!」
幼友「チンピラの捨て台詞か!」
・
・
数日後
友「ちょっと3人とも、聞いてくれ!」
男「ん?」
友「今日の放課後、第1回焼肉会議の続きを行う!」
幼友「まだ言ってんの?」
友「締め切った部屋で……しかも狭い部屋で七輪を使うのは!」
友「大変危険な行為だと知った!」
幼友「それは良かったわね」
幼「それでも焼肉会議なの?」
友「おう!結果はどうあれ、テストも終わったし!」
友「やっぱり今年は焼肉にしたい!」
幼友「そこまで言うからには何か考えがあるのね?」
友「あるね!超ある!」
友「だから、今日帰りに俺んちで会議な!」
男「まぁ、どっちみち会議しなきゃだったしな?」
幼友「そうね」
幼「私は皆でワイワイ楽しめればそれで良い!」
・
・
友「それでは改めて!第1回焼肉会議を開催する!」
男・幼・幼友「やー!」
パチパチパチ
友「でだっ!」
友「いきなり本題なんだがっ!」
友「俺達には2つの選択肢があるっ!」
幼友「2つ?」
友「家で焼肉か、外で焼肉か…だ!」
幼「外って、庭でって事?やっぱり寒いと思うよ?」
友「はっはっは、違うんですなぁ、これが!」
幼友「今の言い方、イラっとする」
男「確かにイラっとするな」
幼「私もちょっとイラっとした」
友「…」
友「俺はテスト勉強そっちのけで、調べてまわったんだよ!」
男「…お前、点数は大丈夫なのか?」
友「ははは!来年はお前らの後輩になるかもな!」
幼友「悪くなるって解ってんなら、ちゃんと勉強しろっ!」
ビシッ
幼「後輩になっても…仲良くね?」
友「と、兎に角だ!」
友「俺の調査結果を聞け!」
男「何を調査したんだ?」
友「この近所にある焼肉店の調査さ!」
男「あぁ、外で焼肉って、外食って事か?」
友「その通り!」
友「ここから徒歩圏内に、焼肉屋は3つある」
友「まず駅ビルの中にある『和牛焼肉専門店 焼屋』」
男「あぁ、知ってる…けどあそこ高いだろ?」
友「価格の事は後で報告するからちょっと待て!」
男「お、おう」
友「次に、駅前商店街の真ん中にある『炭火焼肉 長十郎』」
幼「あ、長十郎なら、たまに家族で行くよー」
男「俺も行った事あるな」
幼「長十郎さんが優しいんだよねぇ」
幼友「私は今の2件とも行った事無いわね」
友「そして最後に…ここから徒歩40分程の所にある」
友「その名も『食べ放題の店 牛太郎』!!」
男・幼・幼友「…」
友「俺の本命としてはこの牛太郎なのだ!」
友「さっき言った価格の面でな!」
友「牛太郎は、90分食べ放題プラスドリンクバーで」
友「会計なんと1人1480円なのだ!」
友「どうよ!毎年の鍋代より安いんだぜ?」
友「しかも準備・後片付け、一切無し!」
友「好きな物を好きなだけ食べ放題!」
友「最高だろ?」
友「ちなみに焼屋はコースで5000円以上だった」
友「長十郎は1人大体2500円くらいが相場だってさ」
友「どうよ!このナイスプラン!」
男・幼・幼友「…」
友「あれ?意外と無反応?何で?」
男「今、幼友が何考えてるか当ててみようか?」
幼「あ、それ私も解る!」
幼友「じゃ、2人一緒に言ってみて?」
男・幼「今年は3人で鍋パーティしたいなぁ」
幼友「……そうしよっか?」
ニコッ
友「ちょっと待てやぁぁぁぁぁ!」
幼友「友、うるさいよ」
友「何で?良い考えじゃね?」
幼友「んじゃ、反対の理由をそれぞれ言ってみようか」
男「時間制限アリだと、ゆっくり出来ないだろ?」
幼「クリスマスにのんびり皆でってのが目的でしょ?」
幼友「どうせ料金分元取ってやるとか言って、バンバン食べるんでしょ?」
男・幼・幼友「風情が無い!」
友「……」
幼友「それじゃ、改めて鍋会議に……」
友「ちょ、ちょっと待って!」
幼友「まだ何かあるの?」
友「選択肢は2つあるって言っただろ?」
男「家で焼肉って話か?」
友「そう!家でやるなら、今、お前らが言ってた条件果たせるだろ?」
幼友「七輪は無しで?」
友「無しで!」
友「だから、誰かの家にデカいホットプレート無いか?」
友「ウチのはちょっと小さくてよ」
男・幼・幼友(そこはノープランなんだ…)
幼友「ウチには無いわね」
幼「ウチのもあまり大きくないかなー」
男「ウチで使ってるの見たこと無いな…ちょっと聞いてみるかな」
男「電話してみる。ベランダ借りるぞ、友」
友「おう」
友「なぁ、なんで皆、焼肉に否定的なんだ?」
幼友「アンタの魂胆なんて見え見えよ」
友「む?魂胆って何だよ」
幼友「どうせ焼肉で肉ばっか食べるつもりでしょ?」
幼友「3年前、あんたが当番の時、野菜の下準備面倒がってたもんね」
幼友「どうせ野菜は少しだけしか用意しないんでしょ?」
友「い、いや!ちゃんと野菜も用意するつもりだし!」
友「お、幼ちゃんはどうよ?皆でワイワイやれるなら焼肉でも良いよな?」
幼「うーん…私はねー」
幼「すき焼きの時はそうでも無かったんだけどさ」
幼「実はお鍋で食べる白菜が好きみたいなんだよね」
幼「焼肉じゃ白菜は焼かないでしょ?」
幼「だから焼肉よりお鍋が良いなー」
友「いやいや!やろうと思えば白菜だって焼けるさ!」
友「肉と一緒に焼けば…」
幼「それもう肉野菜炒めだよね?」
幼友「友、必死すぎでしょ」
友「こ、今年の議長は俺なんだから、ちょっとは俺の言う事聞けよー」
男「おーい、友。ウチにホットプレートあるってさ」
友「どれくらいの大きさだ?」
男「結構デカいんだけど、古い奴らしくてさ」
男「鉄製で、ちょっとサビがついてるらしい」
友「サビ…使えねぇじゃねぇか」
男「いや、サビを落とせば使えるらしいんだけどさ」
男「やっぱり今年も鍋にした方が良いんじゃないのか?」
友「いや!今年は焼肉だ!議長特権で決定!」
男・幼・幼友「えー?」
友「ホットプレートも材料も、全部俺が用意する!」
男・幼・幼友「えぇー?」
友「議長の決定は絶対だっ!」
友「全部俺に任せておけっ!」
男「不安だな」
幼「不安だね」
幼友「不安過ぎるんですけど」
友「…」
友「取り敢えず一人ずつ、焼いて食べたい物を言ってくれ」
男「焼くんなら…俺はキノコかな?」
幼「私…本当は白菜食べたかったかもだけど」
幼「焼いて食べるなら、ウィンナーとか?」
幼友「私は焼きナスかなー」
幼友「他には…」
友「うん!解った!全部俺が準備する!」
幼友「え?買い物当番とかも決めないの?」
友「大丈夫。俺が全部一人でやる!任せろ!」
友「みんなは当日、1000円分のプレゼントを用意!」
友「それだけで良いから!」
友「決定だからな?」
幼友「う…やっぱり反対!全部をあんたに任せるのは絶対反対!」
友「議長の決めた事は絶対!」
幼友「むむ……」
友「議長の決めた事は絶対だっ!」
幼友「男!幼!2人はどう思うのよ?こいつに全部任せちゃって良いの?」
男「不安は拭えないけど、ここまで言われるとなぁ」
幼「まぁ、議長は友君だし、自信あるみたいだし…」
友「へっへっへ…観念して、俺に全て任せろよ」
幼友「ぐぬぬ……本当は断固反対なんだけど…2人がそう言うなら…」
友「良し!決まり!今年も楽しもうぜーーー!」
男・幼・幼友「ぉー」
友「声が小さぁい!」
男・幼・幼友「おー!」
・
・
・
友「と、大見得切ったのは良いけど…」
友「どうすっかなぁ」
友「まず大型のホットプレート」
友「そして焼く食材」
友「あとついでに1000円分のプレゼント…か」
友「小遣い足りるかなぁ」
友「一番の問題はプレートだな…」
カチカチッ
友「価格ドットコムで見ても、やっぱ良い物は高いなぁ」
友「…やっぱり焼肉無理かな」
友「くっそー…牛太郎で食い放題が本命だったからなー」
友「勢いで任せろなんて言っちまったのは失敗だったかなー」
友「食材も…あいつらが言った物以外、何を焼くかなぁ」
友「メインは肉!肉マシマシにするとして…」
友「幼ちゃん、白菜食べたいって言ってたな…」
友「白菜って焼ける…よな?」
友「幼友は…何が好きかな」
友「んーーーーーーー!」
友「…そういや、あいつハイチュウのいちご味が好きだったな」
友「いやいや、ハイチュウ焼けないし!」
友「でもマシマロは焼いて食うって聞いた事あるし…」
友「…この際、何でもいいんじゃねぇか?」
友「取り敢えず食えそうな物リストアップしていくか」
カリカリ
その日の夜
友の父「うおーい、今帰ったぞー」
友「おー、父ちゃんお帰りー」
友父「うぉー、息子か!元気ですかっ!」
友「うわ、酒くっせえっな!」
友父「ははははー、今日は良い物を持って帰って来たぞ!」
友「何だそのでけー箱…プレゼント?」
友父「ふっふっふ…これはなぁ…」
ビリビリガサガサ
友父「どーだ、これ」
友「こ、これ…ホットプレートじゃねーか!」
友「しかも超デカい!」
友父「いやぁ、忘年会の福引で当たってなぁ」
友「父ちゃん、ナイスプレイ!」
友父「そうか?イーグルくらいか?」
友「いやいや!ホールインワン級だぜ!」
パチパチパチパチ
友父「マジかよ?それは言い過ぎだろー?」
友「そんな事ねーって!」
友父「そうか?ハハハハ」
友「いやったー!ハハハハハ」
友の母「2人とも、玄関でうるさいわよ」
・
・
友「さて、奇跡的にホットプレートの都合は付いた」
友「おー、これってたこ焼き焼いたりも出来るじゃん!すげー!」
友「はっ!?……この機能は……」
友「フフフ…俺は大事な事を忘れていたぜ…」
友「俺ってやつは、昔からそうなんだ…」
友「あいつらを驚かせる!それが俺の立ち位置だ!」
友「それに今年の議長は俺なんだから!」
友「ビビらせてやるぜ!あいつらを!」
友「焼肉止めて、やっぱ鍋にしよう!そうしよう!」
・
・
友「さて、焼肉と見せかけて、やっぱり鍋にする!」
友「と、そこまでは良いとして…」
友「何鍋にするかなー」
友「…美味しんぼを参考にするかな」
ぺらっぺらっ
友「でもそれは去年、幼友の奴がやってたしなー」
ぽいっ
友「違う切り口で攻めて行かないと、サプライズの意味がねーもんな」
友「んーーーーーーーーーーーどうする、俺!」
翌日の夕方
友の姉「友ー、晩御飯何が良いー?」
友「あ?今日の晩飯、姉ちゃんが作るの?」
友姉「仕方無いでしょ、お母さん体調悪いんだから」
友「何でも良いけど…姉ちゃん料理下手だからなぁ」
友姉「なんだとこんにゃろうが!」
友姉「カレーなら!カレーなら美味しく作れるだろうが!」
友「カレーなら俺でも美味しく作れるぜ」
友姉「ならアンタ作ってよ」
友「え?嫌だ、面倒」
友姉「なら最初から文句言うなっ」
ゴスッ
友「痛てぇな!」
友姉「そんじゃ晩御飯カレーにするから」
友「おう」
友「……カレーか」
友「そう言えば確か昨日見たサイトに…」
カチカチッ
友「…これだ!これこそ運命!」
友「今年の鍋はこれしかない!」
・
・
クリスマス会当日
友「おう、みんな来たな!」
男・幼・幼友「お邪魔しまーす」
友「今日、ウチ誰もいねーんだ、遠慮せずにどうぞどうぞ」
幼友「友姉さん、彼氏出来たの?」
友「は?冗談言うなよ」
友「あんなメスゴリラに彼氏なんか出来る訳ねーっつの。ははは」
幼友(あとで友姉さんに言いつけよう…)
友「先に部屋に行っててくれ」
友「すぐ準備して行くんで!」
男・幼・幼友「アイアイサー」
友「フフ…あいつらビビるだろうなぁ」
友「今年は今までの鍋会の中でも最高の鍋会になるぞぅ!」
・
・
・
10分後
幼友「どうしてこうなった…」
男「焼肉じゃなかったのかよ…」
幼「薄暗くてよく見えない…」
友「イェス、幼ちゃん!そこ大事!」
幼「え?どこが大事?」
友「聖なる夜、照らすキャンドルの灯り」
友「親友同士の4人が、一つの美味しい鍋を囲む」
友「深まる親睦、満たされる胃袋」
友「みんな笑顔」
友「メリーーーークリスマーーーース!イェーーーーイ!」
男・幼・幼友「…」
友「あれ?何だよ?なんで静か?」
友「良い雰囲気だろ?」
男「それはそうだけどさ…」
幼友「なんでロウソクの灯り?」
幼「あと、この匂いが…」
友「あ、もうバレちゃった?」
友「それではここで今日のコンセプトを発表しますっ!」
友「今日のメニューは闇鍋です!」
男・幼・幼友「闇鍋!?そのホットプレートで?」
友「これは鍋も出来る超高級ホットプレートなんだぜ!」
男・幼・幼友「うわぁ…」
友「しかもベースはカレー鍋です!」
幼「うん、それはもう匂いで解るよ」
幼友「あんたがホットプレート持ってきた瞬間から解ってたけど」
男「カレーの匂いしかないな」
友「…」
友「と、取り敢えずさ!乾杯しようぜ!」
幼友「コップにお茶注ぎたいんだけど、電気付けていい?」
友「だ、駄目だ!」
幼友「なんでよ」
友「闇鍋の具材は俺以外見る事は許されないのだ!」
幼友「…どうなっても知らないわよ?」
友「俺が注ぐ!」
・
・
3分後
友「ふぃー、一時はどうなる事かと思ったぜい」
幼友「いや、ちゃんと惨事になったでしょ?」
幼友「ちゃんとお茶は絨毯にこぼれたよね?」
友「ははは、絨毯にお茶をこぼす事くらい想定済みよ!」
幼友「想定出来るなら、回避する努力をしなさいよ」
友「いいからいいから、今日はもうそういうのいいから」
友「でもまぁ、火傷したらヤバイもんな」
友「常夜灯だけは点けておくぜ」
幼友「最初からそうすればいいのに」
友「それじゃ、俺達の友情に、かんぱーーーーーい!」
カチンッ
ゴクッゴクッ
友「ぷはー!いや、めでたいね!めでたいね!」
友「ハッピーメリークリスマッスゥ!」
パチパチパチパチ
幼「クリスマスは明日だけどね?」
友「んじゃ、ハッピーメリークリスマスイーヴッ!」
パチパチパチパチ
男「飛ばしてんなー、酔ってんの?」
友「酔ってねーよ、シラフだよ!」
ビシッ
男「いてっ…テンション高いなー」
幼友「て言うか何でシャンパングラスに烏龍茶なのよ」
友「雰囲気、大事!な?」
幼友「…」
友「こういうのがクリスマスの風情だろ?」
幼友「クリスマスに闇鍋ってのは全然風情無いけどね」
友「はははっ、食えばわかるっつーの!」
幼友「あんたのその台詞がフラグにしか聞こえない」
友「それじゃ、今から闇鍋を食する訳だが、一応ルールを説明しておく!」
友「まず、食べる順番は、俺から時計回りに!」
友「んで俺が皆の取り皿に取り分ける!」
友「取り皿に盛られた食材は残さず食べる!」
友「そして、食べたら感想を一言!」
友「以上!」
男「一応確認するけど、全部食べられる物なんだよな?」
友「あったりめーよ!消しゴムとか長靴なんて入ってねーっつーの!」
幼友「それ、本当でしょうね?」
友「マジだって!もう煮なきゃいかん食材はばっちり煮てあるんで」
友「さぁ、運命の第一投!俺から行くぜっ!」
さっ
友「ん…ちょっと硬い…なんだっけか、これ」
男「自分で入れといて解んないのかよ」
友「箸で掴むだけじゃあな」
幼友「さっさと食べなさいよ」
友「いただきまーす」
ぱくっ
モグモグ
幼「友君、感想は?」
友「……ん、これは」
幼友「これは?」
友「想像してたのと違うかも…」
幼友「何を想像してたのよ」
男「ていうか、食べた物は何だったんだ?」
友「あー、人参だな」
幼「ちゃんと食べられる物が入ってるんだね」
友「へっへっへ、そう言ったじゃん?」
幼友「それじゃ、次は私ね…」
友「おう、幼友への第一投はとっておきの奴だぜ」
さっ
幼友「とっておき?」
友「ほらよ」
幼友「ありがと…ん?なんか小さい…」
友「ほらほら、取り敢えず食えよ」
幼友「それじゃいただきます」
ぱくっ
モグモグ
幼友「……」
幼「幼友?」
友「どうよ?どうなのよ?」
幼友「……ツッコミどころが2つあるわね」
友「ツッコミか?どーんと来ーい!」
幼友「まず、今私が食べた食材について」
男「なんだったんだ?」
幼友「ハイチュウ」
男・幼「は?」
幼友「溶けかけたハイチュウのいちご味だった」
幼「えー?」
男「マジか…お前、なんてもの入れてんの?」
友「美味しかったろ?幼友、ハイチュウ好きだもんな?な?」
幼友「普通に食べるハイチュウはね?」
幼友「でもこれは無いわー」
男「無いな」
幼「確かに無いね」
友「で、でも食べられただろ?」
幼友「食べ物だもんね、一応食べられたわよ、一応ね」
幼「あと一つのツッコミどころは?」
幼友「幼と男が食べたら解ると思うから今は言わない」
男・幼「……」
幼「それじゃあ次、私の番ね。お願いします」
友「おうよ」
さっ
友「どうぞ召し上がれー」
幼「それじゃ、いっただっきまーす」
ぱくっ
モグモグ
幼「……」
友「はい、幼ちゃん、ここで感想を一言!」
幼「……」
男「幼、どうした?」
幼「幼友が言ってたツッコミどころ、解った」
幼友「そうでしょう、そうでしょう」
男「幼が食べたのは何だったんだ?」
幼「白菜だね、これは」
友「正解!アタリじゃん?幼ちゃん、白菜食べたかったんだろ?」
幼・幼友「……」
男「何だよ、幼も幼友も…気になるだろ」
幼「男も食べれば解るよ」
男「おう、そんじゃ次俺な」
友「何を食べるか解らない!闇鍋の醍醐味!」
友「男、ちょっとワクワクしてるだろ?」
男「いや…2人の態度見てたら不安になってきた」
友「取り敢えず食え食え!」
さっ
男「おう…そんじゃいただきます」
ぱくっ
モグモグ
友「どうよ?」
男「……」
幼「解ったでしょ?」
男「…うん、解った」
幼友「男から友に言ってやって」
男「なぁ友…このカレー鍋はちゃんとカレー鍋つゆを使ったのか?」
友「む、どう言う意味だよ」
男・幼・幼友「味が薄い!」
友「なんだよ、3人でハモりやがって…そんなに薄いか?」
幼友「あんた一番最初に食べてなんにも思わなかったの?」
友「う…まぁちょっとだけなんか違うかなとは思ったけど」
幼「これはちょっとじゃないよ、友君」
男「お前ひょっとして、これ普通のカレールーを溶いただけじゃないのか?」
友「え?カレー鍋ってそう言うもんだろ?」
男・幼・幼友「……」
幼友「それでカレー鍋になるなら、どうしてスーパーでカレー鍋つゆが売ってんのよ」
幼「そうだよ!これじゃ只のカレー水だよ!」
男「カレー作った後の鍋に水足して煮立たせたのと一緒だな」
友「う…確かに少し味が薄いからカレールー足してみるか?」
男・幼・幼友「このままじゃ絶対食べられない!」
友「わ、わかったよ!ちょっと待ってろ!!」
友「鍋の中、見るなよ!蓋を開けるなよ?」
タタッ
男「…どう思う?」
幼「これは失敗だと思う」
幼友「完全に失敗だわね」
男「でも食材無駄にする訳にもいかんしなぁ」
幼友「もうちょっとだけ、友に付き合ってみましょ」
幼「うん、味が変われば食べられる様になるかもだしね!」
友「待たせたな!これが俺の最終兵器だ!」
男「薄暗くて見えねー」
友「ハウスのこくまろカレー辛口だっ!」
男・幼・幼友「……」
友「このカレー鍋は確かに味が薄かった……」
友「原因は解っている!」
幼友「何よ、言ってみなさいよ」
友「それは一昨日の晩飯の残りのカレールー1/4を入れたからだ」
友「つまりルーが足りなかったのだ!」
友「だから!さらにカレールーを足す!」
男「お前それは……」
友「良いから任せろ!何なら1箱全部入れる覚悟だ!」
幼「それじゃまるで…」
友「大丈夫!舌には自信がある!」
男「まぁ都合良く新しいカレールーがあって良かったな」
友「ふっふっふ…ウチにはこのこくまろの在庫が沢山あるのだ!」
幼「へぇー、なんで?」
友「家族の誰が料理当番になっても、カレーだけは裏切らないからだ!」
友「困った時にはカレー!間違いない!」
幼友「その単純思考が今回の惨事を引き起こしたって訳ね」
友「まだ挽回出来るっつーの!」
幼友「…いいからさっさと入れなさいよ」
友「しばし待たれよ」
パカッ
さっさっ
ドボッドボッ
トポトポトポ
カタッ
友「さぁ、準備は整ったぜ…」
友「後はこのホットプレートの出力を最大にすればっ」
友「最高のカレー鍋になるぜ!」
男「いいからさっさと火力を上げろよ」
友「カチっとな!」
カチカチカチッ
友「これで良し…誰も蓋開けるなよ?」
幼「これってしばらくかかるよね?」
幼友「ルーが解けるまでだからそんなにかからないかも?」
男「でも食材に味染み込ませる為に、ちょっと煮込んだ方が良いかもな」
友「俺が様子を見るから大丈夫だ!」
幼友「それが一番不安なんだけど」
幼「時間空くなら、ちょっと早いけどプレゼント交換しない?」
幼友「あ、良いね」
友「おう、そんじゃちょっと明るくするぜ」
ピッピッ
男「ん、それじゃやるか!」
友「今回は超自信あるぜ」
幼「えへへっ、私のが一番だと思うよー」
幼友「2人とも、言うねぇ~」
友「それじゃこの箱の中からクジを引いてくれ」
友「紙に名前書いてあるから、そいつのプレゼントをゲットって事で」
幼友「わざわざ作ったの?この箱……」
友「用意周到だろ?そして中々の出来だろ?」
幼友「その情熱をもう少し鍋に向けて欲しかったわよ」
友「まぁまぁ…そんじゃ幼友から」
幼友「はいはいっと」
ゴソゴソ
幼友「…友って書いてある」
友「おー!いきなり当たりが来たな!」
友「ほらよ」
スッ
幼友「ありがと…結構デカいけど……何か見た目より軽いわね」
友「中身は皆で一斉に確認しようぜ」
幼友「はいはい」
友「じゃ次、幼ちゃん」
幼「はーい」
幼(男のプレゼント来い!男のプレゼント来いっ!)
ゴソゴソ
幼「あ、幼友ちゃんだ」
幼友「ふっふっふ、これこそが本当の当たりよ。幼、おめでとう!」
スッ
幼「わー…って友君の用意したプレゼントと同じ位の大きさだね」
幼友「大きさは同じでも中身が違うわよ」
幼「ありがとー」
友「そんじゃ、次、男」
男「おう」
ゴソゴソ
男「お、幼のプレゼントだ」
幼「!そ、そうなんだ、えへへ」
男「くださいな」
幼「良い物だよ、これ」
スッ
男「おっと…これまた先の2人と同じ位の大きさだな、ありがとう」
友「って事は俺が男の用意した奴だな」
男「あいよ、これ」
スッ
友「何だよ、小せぇな」
男「でも愛がこもってるぜ?」
友「いや、俺その気持ちには応えられないが」
男「俺もその気は無いがな」
幼(男のプレゼント、欲しかったなー)
友「そんじゃ一斉に確認してみっか!」
男・幼・幼友「おー!」
ペリペリ
ガサガサ
友「お、これマフラーか」
男「誰に当たっても使える様に、無難な色にしてみた」
幼「あったかそうー」
友「マフラーってんならここは手編みだろ?」
男「そんな事するかよ。俺にどんなキャラを求めてるんだ」
友「ま、男が編んだマフラーなんてちょっと気持ち悪いけどな」
幼(いいなー。マフラー羨ましいなー)
友「おっと、お前らのは何だったんだ?」
幼友「うまい棒納豆味1000円分?」
幼「うまい棒コーンポタージュ味1000円分…」
男「うまい棒サラダ味1000円分…だな」
全員「……」
男「お前らさぁ…もっとこう…プレゼント感をだなぁ…」
幼・幼友・友「……」
男「…まぁ、味が被らなくて良かったよな」
幼友「そ、そうよね!これ、みんなで分けよう!」
友「俺のは分けられねーが?」
男「それは分けなくて良いだろ」
幼「そうだよね、こんなにたくさんあるんだから、4人で分けようよ!」
男・幼友・友「やー!」
・
・
3分後
友「そろそろ鍋を確認したいから、ちょっと照明落としまーす」
ピッ
友「さてどうかな…」
パカッ
幼友「おぉう…匂いはもう完全にカレーね」
幼「お腹空いたよー」
男「俺もだ。早く食べたいが?」
友「うーん…どうだろう、具は煮えてるのは間違いないがー」
ペロッ
友「まだ少し薄い様な気がする…」
友「もう少し待っててくれ、ルーをもうちょっと入れてみる」
タタッ
男「…いよいよ大失敗の香りがするな」
幼「匂いはカレーなのにね」
幼友「…うまい棒でも食べて待つ?」
男「いやいや、空腹がスパイスになってだな…」
・
・
・
・
5分後
友「そろそろ…」
パカッ
グツグツ
友「ふーむ…これは……」
男・幼・幼友「これは?」
友「大丈夫だ!今度こそ!」
幼友「ホントでしょうね?」
友「カレーは裏切らない!決して!」
友「さ、順番に取り皿出しなー」
男・幼・幼友「あー」
友「大丈夫だって!兎に角食ってみろって!」
・
・
友「全員行き渡ったな?それじゃ改めて…」
友「いただきます!」
男・幼・幼友「いただきます」
モグモグ
男「ん…これは…」
モグモグ
幼「これって…」
モグモグ
幼友「カレーだわね」
友「ん!美味しくなった!」
男「普通の具もちゃんと入ってたんだな」
幼「これなら食べられるね!」
幼友「やっと味がついた物が食べられるー」
友「おう、どんどんおかわりしてくれ!」
・
・
5分後
男「…なぁ」
幼「…うん」
幼友「…そうね」
友「なんだよ、この味に何か不満でも?」
男「いや、味に不満は無いんだけどさ」
幼「これ、白米無いと食べにくくない?」
幼友「ご飯、用意してるんでしょ?」
友「おう!雑炊用と思ってたけど…確かに白米が合うな!取ってくる!」
タタッ
男「これもうただのカレーだよな」
幼「だねー」
幼友「たまに変な具材が入ってるカレーだね」
男・幼・幼友「鍋じゃない」
幼友「で、でもまぁ、みんなで仲良くってのは大丈夫だよね?」
男「大丈夫って…まぁ、料理はともかく趣旨から外れてはいないな」
幼「そうだよ、みんなで仲良く鍋を囲んでるじゃん?」
友「鍋っていうかホットプレートだし」
幼友「その中身もお鍋じゃなくてカレーだけどね」
男「ぷっ…」
幼「あははっ」
幼友「はぁっ…まぁ楽しいからいっか!ふふふっ」
友「お?なんだ?何笑ってるんだ?」
幼友「何でも無い。さっさとご飯ちょうだい」
友「おー!炊飯器2回分も炊いたからな!」
友「おかわりし放題だぞ!」
幼友「はいはい」
男・幼「ふふっ」
・
・
・
・
・
男「そんじゃ、ご馳走様」
幼「後片付け、ホントに手伝わなくて大丈夫?」
友「大丈夫だって」
男「そんじゃ、年明け学校で会おう」
幼「メリークリスマスアンド良いお年をー」
ペコッ
友「おう!じゃあな」
幼友「じゃあね、2人とも」
・
・
男「はーっ…寒いなー」
幼「そうだね。また雪でも降りそうだよね」
男「幼、マフラー欲しくないか?」
幼「えっ?なに?突然」
男「どうよ?」
幼「まぁ、男が出した今日のプレゼントのマフラーはちょっと欲しかったけど」
男「ほぅほぅ…それは好都合」
幼「何?」
男「これさ」
ガサガサ
幼「?」
男「クリスマスプレゼント。幼にあげる」
幼「え?ホントに?」
男「気に入らなければ返品も可」
幼「こ、ここで開けても良い?」
男「どうぞどうぞ」
ガサガサ
幼「これって…マフラー?」
男「そ。幼のマフラー、くたってきてるだろ?」
幼「うん、もう5年も使ってるからねー」
男「もうそんなに経つかー」
幼「えへへ、男からもらった大事なマフラーだからさー」
男「ありがたいけど、さすがに…さ」
幼「そうかな?」
男「だから代わりに準備したんさ」
幼「あ、ありがとう!大事にするね!」
男「喜んでくれて良かった」
幼「へへ、さっそく巻いちゃおう」
ぐるぐるさっ
幼「あったかいー、えへへ」
男「似合ってるぞ」
幼「…ホントにありがと、超大切にするねっ!」
男「おう、そんじゃ帰るか」
さっ
幼「ん」
ぎゅっ
幼(男からのプレゼント…えへへ、嬉しいなぁ)
幼(今年も良いクリスマスだなっ)
幼(…お鍋は散々だったけど)
幼(幸せだなぁ)
幼(来年も、再来年も、ずっとこうしていられたらなぁ)
男(…クリスマスイブの夜、異性と手を繋いで歩く…)
男(俺達は昔から自然に手を繋いで歩いて来たけど…)
男(若い男女が手を繋いでるのって付き合ってる様に見えるよなぁ)
男(特に今夜は……)
男(これ、指摘したら、幼は顔を真っ赤にして怒るかもなぁ…)
男(脈アリって事で良いんすかね…)
男(さて、来年の今頃はどうなってるのかなぁ)
・
・
幼友「さて…と」
友「ん?なんだよ?」
幼友「あんた、あのホットプレートさ…」
友「なんだよ…ちゃんと片付けるっつーの」
幼友「水に浸けて朝まで放置しよう…とか考えてるんじゃないでしょうね?」
友「う…」
幼友「ま、そんな事だろうと思ったわよ」
友「だって面倒じゃん」
幼友「折角の新しいプレートなんだから、ちゃんと手入れしないと」
友「…ぅー、今日はもうめんどい」
幼友「ほら、さっさと片付け始めるわよ。手伝ってあげるから」
友「お、おう。マジで!?」
幼友「な、何?そんなに感謝してくれる訳?」
幼友「だったら終わったらケーキの一つもおごって欲しいわね」
友「……!!」
幼友「兎に角さ、中に入りましょ」
友「おう!」
・
・
友「ふー、終わった終わったー」
幼友「料理しながら片付けてれば、こんなに時間かからなかったと思うわよ?」
友「流し台の片付けって面倒だろ?野菜くずの処理とかよー」
幼友「それを上手にやるのが料理上手な人よ」
友「じゃあ俺は一生料理下手で良い!」
幼友「ふふ、そうね…って、ありゃ、日付かわっちゃったわね」
友「んぁ?そうだな」
友「!!」
幼友「な、何よ、ビックリした顔して」
友「め、メリークリスマス、幼友」
幼友「メリークリスマス、友」
友「あのよ」
幼友「ん?」
友「け、ケーキがあるんだけど、食うか?」
幼友「良いわね…ってケーキあるなら、何でさっき幼達が居る時に出さなかったの?」
友「2つしかねぇんだよ」
幼友「そこは4つ買っておきなさいよ」
友「へへ、実は2つしか買えなかったんだよ」
さっ
幼友「あ!これ、駅前のあの店の!?」
友「おう!並んで買ったんだけど、最後の2つでさ」
幼友「食べてみたかったのよね、これ」
友「時間、まだ大丈夫だろ?」
幼友「このケーキ食べられるなら時間なんていくらでも作るわよ」
友「そんじゃ食おうぜ…てか食えるか?」
幼友「ま、甘い物は別腹ってね」
友「そんじゃま、改めて、メリークリスマス、幼友」
幼友「メリークリスマス、友」
幼友「それじゃ早速、頂きます!」
友「おう」
ぱくっ
モグモグ
幼友「ん~~~~~っ!」
友「おぉ…さすが限定100個が即完売するだけの事はあるぜ…」
幼友「美味しいっ!友、ありがとね!」
パクパク
モグモグ
友「へへっ…そんなに喜ばれると、並んだ甲斐もあったってもんだ」
ぱくっ
モグモグ
友「マジで美味いなー」
幼友「今日食べた物の中で一番美味しい」
友「はぁ?一番はカレー鍋だろ?」
幼友「……」
友「なんだよ」
幼友「まぁ、日付変わったから、アレは昨日食べた物として」
幼友「それにしても、今までの鍋の中で一番ダメだったわね」
友「そ、そんなにダメだったか?」
幼友「うん、超ダメだった」
友「そうか……」
幼友「…でもまぁね」
友「ん?」
幼友「アンタが頑張り屋って事は昔っから知ってるから」
友「お、おう?」
幼友「だから残念カレーだって、皆ちゃんと食べたでしょ?」
友「うん…」
幼友「あんたがあの鍋を一生懸命美味しくしようと努力したのは伝わったからよ」
友「そうか…ホントありがたいな、俺は良い親友を持ったぜ」
幼友「うん、だから勉強も頑張れ!」
友「はぁ!?なんで急にそんな事言うんだよ」
幼友「あんたの通知表見ちゃったらさ…」
友「う…」
幼友「大事な親友の後輩にはなりたくないでしょ?」
友「まぁ、そうだな」
幼友「頑張りなよ、頑張り屋さん」
友「今、頑張りが売り切れ中なんだよ…」
幼友「大丈夫、友なら出来る!」
友「そうか?そうかな?大学行けるくらい?」
幼友「目指せ、東大!なんてね、ふふっ」
友「お、おう…あんがとよ。頑張ってみるぜ」
幼友「ん、頑張って!んふふっ」
モグモグ
友(くっそ…可愛いなぁ、こいつ)
幼友「ところで、これって買うのにどれくらい並んだの?」
友「朝6時に店に着いたんだけど、もう並んでてなー」
幼友「6時!?」
友「9時開店だったから、言っても3時間くらいだぜ」
幼友「寝坊大王のあんたが6時前に起きられた事にびっくりだわ」
友「ま、まあな!俺って奴はやる時はやるんだぜ!」
友(徹夜して、6時前に出掛けたとか言えねーな)
・
・
幼友「ふぅ…美味しかったー。ご馳走様」
友「おう、これあんまり甘くないココア」
コトッ
幼友「へ?用意してたの?」
友「へっへっへ、実は皆が来る前にだな」
友「電気ポットの中にココアを入れておいたのだ!」
幼友「え?じゃあそのポットの中身全部ココアなんだ?」
友「そのとおりさ!」
幼友「作りすぎじゃない?」
友「まぁ、俺ココア好きだし」
友「親は法事でじいちゃんちに行ってるし」
友「姉ちゃんは出がけに『今夜は帰らない!』って言ってたし」
友「つまり明日までこのポットのお湯、俺が独占だし?」
幼友「だからってそんなに沢山作ってもねぇ?」
友「でも今こうして幼友と一緒に飲めただろ?」
幼友「!!」
友「その顔、びっくりしたな?へっへっへ、大成功だぜ」
幼友「ふふっ…アンタと居ると、いつも驚かされるわね」
友「嫌か?」
幼友「そんな事無いよ、ホントにありがとね」
友「そ、そうか。なら良かった」
友(…今か?今がチャンスなのか?)
友(今、ちょっと良い雰囲気だよな?告白しても…良いよな?)
友「ええぃ!ままよ!」
幼友「っ!?何?急に大声出して…」
友「幼友!俺はお前に言いたい事がある!」
幼友「な、何よ?」
友「俺、お前とこうして一緒に居られて…」
幼友「!?」
友「い、居られてしあわ…」
ガチャガチャ
バタン
友・幼友「!?」
友姉「うぃー、帰りましたよーっと」
友「お、お帰り…なんだよ、今日は帰らないんじゃなかったのかよ」
友姉「あー?うるさいわねー。良いでしょーべっつにー」
友姉「んー?あれー?幼友ちゃんじゃないのー」
幼友「お、お帰りなさい、友姉さん」
友姉「なになにー?2人してケーキ食べてんのー?」
幼友「え?あ、そうですね。もう食べ終わっちゃったんですけど」
友姉「私にもちょーだーい」
友「もうねーよ」
友姉「なによー。クリスマスなんだから、私にもケーキ食わせろー!」
友「うるっさい!酔っ払いめ!」
幼友「友姉さん、大丈夫ですか?」
友姉「ぜーんぜん問題無い、ない、ナーイ」
ふらふらバタッ
友姉「あいてて、幽霊に足掴まれたー」
幼友「ちょ、全然大丈夫じゃないですよ」
友姉「あー。久々に沢山お酒飲んだのよー」
友「おいおい、そんなフラフラでよく無事に帰ってこられたなー」
友姉「お隣りさんに送ってもらったのだー」
友「え?何?お隣りさんと付き合ってんの?」
幼友「え?ウチの兄貴ですか?」
友姉「いやいや、付き合ってないよー」
友姉「まー、一緒には居たんだけどね」
友姉「実はサークルの皆とカラオケだったのだよ」
友「ま、そんな所だろうぜ」
友姉「あ?どう言う意味?」
幼友「さっき『メスゴリラに彼氏なんて出来ない』って言ってましたよ」
友「お、おい!そんな事言って…」
幼友「言ってたじゃない」
友「あ、あれは、その…」
友姉「ほほう…言ったんだな?」
友「……」
友姉「へー、おい、弟よ…覚悟出来てんだろうな!オラァ!」
ガッ
友「あいでででで、やめろよゴリラ!」
友姉「あぁん?誰がゴリラなんだよ、オイ!」
ギリギリギリ
友「この握力が…って、や、やめて!とめて!いたたたたた!」
友(今日はもう告白とか無理だ…このクソゴリラ!)
友(次、こんな機会はいつ作れるか…)
友(だが俺は諦めないぜ!)
友「それが俺って奴だからな!」
友姉「な・に・が・だ!!!」
ギリギリギリギリ
友「いででででで!」
おわり
これで終わりです
途中レスくれた方ありがとうございます
このSSは
幼馴染「それでは第8回鍋会議を始めます!」
幼馴染「それでは第8回鍋会議を始めます!」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1354881809.html)
の前の年の話でした
次スレは
男「胸無いな」 幼馴染「なんだとこの野郎!」
ってタイトルで立てると思います
では。
おつ
さいごのくだりは友姉・幼友兄編フラグですかね
なぜかレスしづらくて不思議だったが、いつもよりオチが弱いせいだと気づいた
なまじ未来が決まってるから伏線回収やらのために
自由に書けなかったのかな
みかん
さいごはやっぱり男と幼がくっついて終わるような
いつもの話が(例え誰がマンネリと言おうとも)俺は好きだな
こんかいみたいなのもたまにはいいと思うけどね
うどん(鍋の〆)
>>121
レスありがとうございます
前作で思いっきりカレー鍋を否定した事の理由を書きましたが
幼馴染成分少な過ぎですよね
次回から平常運転になります
おつ
次スレ乙
1ヶ月落ちずに残ったな
誰にも気づかれなくて悲しいから落ちる前に言っておくと>>121は縦読みな
>>121
気付かなかった……
ありがとうございます
このSSまとめへのコメント
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