凛「μ's内ニート…?」 (29)
凛「今日は練習が休みだにゃ!」???
凛「何して遊ぼうかにゃー…皆は―――」
穂乃果「今日店番だから帰るね!」バッ
海未「弓道部にいきますね」ダッ
ことり「バイト行ってくるねー」チュン
にこ「買い物して帰ろうかしら」テクテク
希「ウチはお手伝いの方に」ズルズル
絵里「生徒会、よね?希」ガシッ
真姫「帰って勉強するわね」バーイ
花陽「二人になっちゃったね、凛ちゃん」
凛「…これは……」
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凛「会議を始めます」バンッ
花陽「わー」パチパチ
凛「今日の議題はこちら、『μ'sで最も忙しいのは誰?』かにゃ」
花陽「なんだかだいたい予想がつく気がするけど」
凛「一人目、穂乃果ちゃんにゃ。ええと、趣味は水泳とシール集め、他に穂むらで店番もすると」
花陽「普段は忙しそうじゃないけど、高い交渉力はμ's結成に存分に活かされたね」
凛「次はにこちゃん。ええ……おしゃれ?料理上手?」
花陽「下の子の面倒見たり?」
凛「……次行こうかにゃ。希ちゃん」
花陽「……昼寝……占い……」
凛「スピリチュアルだねぇ」
花陽「あと生徒会副会長と巫女さんもだね」
凛「4人目は絵里ちゃん。……キルティングにアクセサリー製作?知らんにゃ捨て置け」
花陽「ええぇ……えっと、じゃあ生徒会会長だね」
凛「ダンス指導も担当してるにゃ」
花陽「ここからはμ'sの基盤だね」
凛「次はことりちゃん。衣装担当!」
花陽「しかも外国からお声がかかるレベル…お菓子もよく作ってきてくれるね」
凛「なお本人は『自分には何もない』などと供述し、瞬く間に秋葉原の生きる伝説となった模様」
花陽「うーん」
凛「えー6人目。作曲担当の真姫ちゃんにゃ」
花陽「趣味は…天体観測、写真?」
凛「勉強もピアノも出来るにゃ」
花陽「運動はかなり苦手(ダンス出来ないとは言ってない)」
凛「7人目……ついに来てしまいました海未ちゃん」
花陽「作詞担当だね」
凛「かよちん君……園田君の趣味特技を挙げたまえ」
花陽「日舞、箏、長唄、剣道、弓道、読書、書道、古武術、おそらく登山も」
凛「おかしい」
花陽「ちょっとよく分かりませんねぇ」
凛「ネタキャラの皮を被った最強スペックにゃ」
花陽「お稽古や弓道部にも精を出してるようです」
凛「おかしい。監禁して休ませよう」
花陽「一理ある」
凛「というわけでやはり担当持ちの三人が際立って忙しく、その中でも海未ちゃんは大忙しであると思われるという結論を以て本日の会議を終了するにゃ」
花陽「凛ちゃん。己に向き合うことが成長の第一歩だよ」ガシッ
凛「い、いやだ!働きたくないにゃ!」ニャーニャー
花陽「凛ちゃん。私たちは一年生なんだよ。皆が卒業していった後に、μ'sは音ノ木坂にあるんだって次の世代に胸を張れるようにならなきゃいけないの!」
凛「………」
花陽「留学を諦めた子もいる。倒れそうなくらいに頑張ってる子もいる。医学部志望なのにたくさん曲を書いてる子もいる!」
凛「………うん」
花陽「私は、皆の真剣な想いに少しでも応えたい。頼りっぱなしの後輩のままじゃ、皆の卒業を笑顔で見守れないよ」
凛「かよちん…!」
花陽「8人目、小泉花陽。絵を描くことと折り紙、あとお米とアイドルが好き!」
凛「……最後、星空凛。スポーツとラーメンが好きにゃ!」
花陽「では今回の会議から考えられる改善案を」
凛「カチコ……インタビューにゃ!」
―――
こうして思えば、μ'sとは本当に私たちの奇跡なのだ。
これだけの才能が溢れる9人。
穂乃果ちゃんと皆の想いが積み重なって、ようやく掴んだ一本の細い糸。
繋いでいきたい。一瞬の輝きなんかで終わらせたくない!
UTX学園――
ツバサ「なるほどね…高坂さんたちはいい後輩を持ったものだわ」ウルウル
英玲奈「イイハナシダナー」グスッグスッ
あんじゅ「あ、ティッシュ切れちゃった…ごめんなさい、ちょっと二人で席外してくるわね」ズルズル
花陽「憧れのA-RISEの皆さんに相談に乗っていただけて本当に嬉しいです」
凛「突然押し掛けちゃってごめんなさいにゃ」
ツバサ「いいのよ。自分の足で進もうとするすべてのスクールアイドルを、私は心から応援するわ」
花陽「クゥーカックイー!」
ツバサ「で本題に入るけど、私たちは結構他の人に手伝ってもらってるの。音楽系や服飾系などの部や才能のある子に依頼したり、外部のレッスンなんかも受けてる。そういった応対や管理を担当するマネージャー役もいる。学校側も快く支援してくれるわ。だから3人でも活動が無理なく維持できるし練習にも多く時間を回せる。むしろ9人でほとんど完結させてるあなたたちの方が凄いわよ」
花陽「なるほど……皆の力を借りることでステージでより輝けるわけですね」フムフム
凛「……理事長とは仲良くして……やはり生徒会も手中に収めて……」ブツブツメモメモ
花陽「凛ちゃん?変なこと考えてない?」
凛「いや待て落ち着け星空凛…二年後の音ノ木坂と今年のUTXじゃ生徒数が違いすぎる……単純な模倣ではいけない、もっと環境に適したシステムを……」ブツブツ
ツバサ「ふふっ、熱心なのは感心よ。でも、先のことばかり考えすぎるのも良くないわ」
花陽「精一杯頑張って今をより良くしようってことですか?」
ツバサ「もちろんそれもあるし、今を存分に楽しもうって意味もある。だけどそれだけじゃないわ。時間を意識するなら、今出来ることを出来るうちにやる」
凛「……弟子入り?」
ツバサ「そういうこと。っと、私たちはダンスレッスンがあるし今日はこのくらいにしましょ。必要ならいつでも連絡してね♪」
花陽「偉大なる先駆者綺羅ツバサ氏に敬礼!」ビシッ
凛「敬礼!」ビシッ
二人の敬礼を背中に受け、ツバサは優雅に去っていく。
このわずかな時間でも、二人は確かにツバサから受け継いだのだ。
そしてそれをまた次の世代に伝えていく。二人には既にその覚悟があった。
ツバサ「……後輩っていいなぁ…」
翌日――
真姫「……うっ、ううっ……」ポロポロ
二人の志を聞いた真姫は涙した。
それが情熱の涙であったことは言うまでもない。
花陽「真姫ちゃん」ギュッ
凛「真姫ちゃん」ギュッ
真姫「……確かに作曲や勉強は大変よ。だけど私は、そこまで考えられなかった…!μ'sへかける想いで私は負けていた!」
二人は静かに真姫を抱き締める。
この日生まれた新たな想いと友情が、新しい未来を作るのだ。
真姫「…こうなりゃ最後まで付き合うわよ。穂乃果や希を見習って、もっと人との交流を大事にして生徒会長の座に就くわ」
凛「凛は絵里ちゃんと海未ちゃんに弟子入りするにゃ!二年後のダンスと作詞は凛が出来るように!」
花陽「花陽はことりちゃんとにこちゃんに衣装の勉強を教えてもらう!絵を描くのも好きだし!」
真姫「……これで作詞作曲衣装の部分は出来るわ。歌の指導は私が、ダンスは凛が担当する。そして!」
花陽「アイドルへの愛と情熱を!」
凛「みんなへの感謝を!」
真姫「……だって可能性感じたんだ」
花陽「そうだ進め……」
凛「後悔したくない目の前に――」
まきりんぱな「僕らの道がある――」
希(ええ話やなぁ)グスッ
絵里「……ハラショー」
希「ウチの占いも良い未来を示してるで」
にこ「アイドルの真髄、しっかり叩き込んであげるわ!」
ことり「頑張ろうね、かよちゃん!」
海未「その覚悟、しかと受け取りました」
穂乃果「卒業かぁ……皆!離ればなれになっても穂むらのお饅頭は通販で買えるんだよ!」
一年生の示した未来の構想に、6人は快く同意した。
この出来事はμ'sの結束をいっそう深め、9人の歌の女神はラブライブのステージを目指すのであった。
園田家――
海未「私が教えるのは作詞ですが…指導するのもなんだか気恥ずかしいですね」
凛「その恥ずかしい気持ちも作詞に活かされてるなら教えてくれなきゃだにゃ」
海未「んん……そうですね。では読書をしましょう」
凛「にゃ?凛よく分かんないけど、お稽古とかはしなくていいのかにゃ?」
海未「確かにそういうものが私の歌詞に影響していないわけでは無いですが、大部分は本や普段の思考の中にあるものです」
凛「へぇー……誰かのことを思って書いたり?」
海未「もちろんそれもありますね。それに……私は習い事まで私の真似をする必要があるとは思いません。私には私の、凛には凛の世界がある。それを素直に書けば良い。無理に私になろうとする必要はありません」
凛「……やっぱり海未ちゃんカッコいいにゃ!」
海未「ありがとうございます。もちろんやりたくなったらいつでも言ってくださいね?凛は運動神経がいいですから剣道から始めるのがいいでしょう」
凛「うんっ!海未ちゃんありがとー!」ギュッ
海未「ふふっ……ですがもう一つ。歌詞を書く以上、国語と英語を中心に普段の勉強も頑張ってもらわねばなりません」ナデナデ
凛「凛は英語苦手だにゃぁ……」
海未「私がサポートしますよ。それに真姫や絵里もいるじゃないですか。頑張りましょう、凛?」
凛「……うん!皆が教えてくれるなら凛、頑張るよ!」
海未「……強くなりましたね、凛」ナデナデ
凛「にゃぁ……海未ちゃん、お母さんみたいにゃ……///」ニャー
この日から凛は読書に勉強、休日には絵里のダンスレッスンも受け始める。
苦手なことにも臆さず取り組む凛の瞳に、海未はあの日の空席の講堂の穂乃果と同じものを感じていた。
大丈夫。この子たちならきっと私たちのμ'sを繋いでくれる。瞳の強さに海未はそう確信した。
しばらくして―――
海未「……凛。これ、何回目の歌詞でしたっけ?」
凛「えー?うーん……ごめん、忘れちゃったにゃ」ニャハハ
海未(凛……小さいけれど、あれはペンだこ…?)
海未「……凄いですよ、これ!真姫に見せて曲にしてもらいたいぐらい素敵な歌詞です」
凛「えー!?ちょ、ちょっと皆に見せるのはまだ恥ずかしいかにゃ…///」
海未「ダメですよ、特に真姫には早めに見せる必要があるんですから」ナデナデ
凛「うぅ……はぁい」
海未「……ところでまるで私のによく似た雰囲気の歌詞ですが、誰かをイメージして書いたのですか?」
凛「え?……えっと、かよちんと絵里ちゃんと……海未ちゃん!///」テレッ
海未(こ、これは……!教えたはずのないラブアローシュート……!無意識のうちに会得していたというのか!?)
海未「……なんだか照れますね///」キュン
絢瀬家――
休日に行われる絵里のダンスレッスンには、意外なメンバーが揃う。
絵里「ファイブ、シックス、セブン、エイッ!……うん、ハラショー!いい感じよ、みんな上達してるわ!」
凛「えへへー。コーチがいいからだにゃ!」
穂乃果「雪穂もお家で頑張ってるもんねー!」
雪穂「……ちょっと待ってお姉ちゃん……」ハァハァ
亜里沙「皆さん凄いです……!」ハァハァ
凛が絵里の家に居合わせた亜里沙を誘うと、亜里沙が雪穂を誘い、すると暇そうな穂乃果が面白がってついてきてこのメンツに至る。
絵里「ん、そろそろ時間ね。じゃあ少し休憩したらストレッチして二人は上がっていいわ、お疲れ様」
雪穂「……お疲れ様でしたぁー」ハァハァ
亜里沙「雪穂……シャワー浴びてから勉強しようね……」ハァハァ
絵里と穂乃果と凛の瞳が、中学生二人の姿を優しく見守る。
μ'sを一年の奇跡では終わらせない。この熱は受け継がれていくものなのだ。
凛「凛はまだまだ行けるにゃー!」
穂乃果「穂乃果も負けないよー!」
絵里「よし、じゃあもうワンセット行くわよ!(後輩っていいものね……ハラショー)」ホロリ
凛「にゃーんにゃーんにゃーん!」
花陽「おはよう凛ちゃん」
真姫「おはよう、凛」
凛「おはようにゃー!」
花陽「今ね、真姫ちゃんの修行のことについて話してたの」
真姫「修行って……まあ確かに修行かもね」フフッ
花陽「穂乃果ちゃん家でバイトしたり、わしわしの練習したり……」
真姫「にこちゃんに妹さんたちを任せられたときはもう大変だったわ」ハァ
凛「でも真姫ちゃん、効果出てるよ?」
真姫「えっ、ホントに?」
凛「うん!最近笑顔が増えたし前より素直になったにゃー!」
花陽「それに友達も少しずつ増えてきてるでしょ?」
真姫「……良かった」フフッ
凛「えへへー」ニコッ
花陽「ふふ」ニコッ
花陽「私の方もね、やっと衣装が一つ完成したんだ!」
凛「凄いにゃー!」
真姫「あの二人、結構本格的にやってるみたいね」フフッ
花陽「ほら、これ……どうかな?」
凛「わぁ……可愛い!アイドルみたい!」キラキラ
真姫「なかなかいいじゃない!」
花陽「えへへ……ありがと。これね、凛ちゃんに合わせて作ったんだ!」
凛「ぇ……り、凛に?///」
花陽「うん……初めて作った衣装は、凛ちゃんに着て欲しかったから……///」テレテレ
凛「か、かよちん……嬉しいけど、こんな可愛いの、凛に似合うかな……?」ドキドキ
花陽「もちろん似合うよ!絶対似合う!」
真姫「自信持ちなさい、あなたなら似合うわ」クルクル
凛「じゃあ……放課後、凛に貸して?///」
花陽「!うんっ!」
―――
放課後 部室――
凛「みんな褒めすぎだにゃー……///」
海未「皆さんその辺にしておきまきょう。凛が倒れてしまいます」フフッ
穂乃果「3人とも頑張ってるんだねー」バリバリ
にこ「煎餅落ちてるわよ、穂乃果」
新しいわたし。
今までより広い世界。
逃げてきたたくさんのこと。
ことり「大丈夫?大変じゃない?」
凛「大変だけど……でも大丈夫!」
支えてくれる仲間がいる。
ついてきてくれる人たちがいる。
みんなのため、自分のために、凛は頑張る!
凛「たくさん動いてたくさん勉強してると、疲れるけどお風呂が気持ちいいしよく眠れるし、何よりラーメンがもっと美味しくなるにゃ!」
希「結局そこなんやね」フフフ
花陽「花陽もご飯がもっと美味しく!」
真姫「まあ曲作りのいい刺激にもなるわね」
暖かく見守ってくれる先輩たちは、いつか卒業してしまう。
それでも繋いでいこう。この部屋にある温もりを、μ'sの輝きを。
一瞬の奇跡にこだわらないそれは、きっともっと尊いものだと思うから。
凛「さぁ、今日も練習、いっくにゃー!」
どんなときもずっと―――。
完
最初の一行目に謎のハテナが……すみません
イイハナシダナー りんぱな最高 乙
勢いやべえな
おつ!
面白かったよ乙!
なんか魅入ってしまった
イイハナシダナーに尽きるな!本当にいい話でした
おつ
おつよかった
乙でした
最初のハテナは環境依存文字?とかなんかを使ったからではないかと
このSSまとめへのコメント
面白かった 乙(≧∇≦)