阿良々木暦「まみコーム」 (64)


・化物語×アイドルマスターのクロスです
・化物語の設定は終物語(下)まで
・そこそこネタバレ含まれます。気になる方はご注意を
・終物語(下)より約五年後、という設定です
・アイドルマスターは2基準。平常運転です

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397204958

ID変わりますが30分後くらいから書きます。

待ってました!!

期待

期待

期待!

真美キター

原作知らんから分からんだけなのかもだが
タイトルの由来って何なんだ?

きた!

きた!

どっちも大好きな作品だからめっちゃ楽しみ!
頑張ってください

凄くペース早いな
嬉しいけど無理はするなよな



001


まどろみの中で意識が覚醒する。
半ば霞んだ視界で時計を見ると、時刻は午前六時を少し過ぎたあたりだった。
出社にはまだだいぶ余裕がある。

僕は目覚まし時計というやつが大嫌いだ。
あれは決まった時間に大音量を出すことで睡眠から目を覚まさせる、という意図で作られた便利な道具だが、いざ起きる瞬間となってみるとそれは『目を覚ましてくれる道具』ではなく『騒音を発する邪悪な物質』に意義を書き換えられる。
ただの気分の問題なのだが、機械ごときに苛々させられると思うと負けた気がして嫌なのだ。
手塚先生も機械に支配された人類のなれの果ては滅亡、と描いていたから間違ってはいないだろう。
と、こんな良くわからない持論を語った僕だが、実際のところは人生において目 覚まし時計が必要なかった、という意味合いの方が遥かに強い。
何せ小学生の頃は母親が毎朝起こしてくれたし、中学に上がって自分の部屋を持ってからも、毎日火憐ちゃんと月火ちゃんに起こされて来たからだ。
なお、火憐ちゃんと月火ちゃんが僕を起こすのは、決してお兄ちゃんはねぼすけさんだなあ、しょうがないから起こしてあげようという妹なりの優しい気遣いなどではなく、ただ単に僕より先に起きて僕を叩き起こすことによって序列をつけた気になっているだけだ。
……火憐ちゃんと月火ちゃんは基本的に二人で行動するから結果的に僕の方が序列的に下になることも多いのだが、そこはまあお兄ちゃんとして寛大な精神で受け入れてやろう。
ともかく、その毎朝僕を起こすという行為は僕が大学を 卒業し、765プロに就職してからも中止されることはなく、彼女たちは律儀にも毎朝電話で僕を起こしにかかってくる。
火憐ちゃんが高校生になったあたりから二人に心機があったらしく二人同時に、ということは少なくなったが、それでも毎朝僕を起こすことに執念を燃やすとはある意味尊敬に値する。
いや、決していい意味ではなく。


前置きが長くなってしまったが、結論としては僕に目覚ましなどは必要ない、ということである。
放っておいても火憐ちゃん月火ちゃんが起こしてくれるから、電話が鳴らないうちはまだ眠れるのだ。
完全に他力本願な安心感に包まれ、二度寝という至福の瞬間に陥ろうとした瞬間、

「朝だぜ! 起きろ兄ちゃん!」

「朝だよ! 起きてお兄ちゃん!」

そう、こんな風にドアをぶち破るように開けて二人が起こし てくれるから――――って!

「何でこんなところにいるんだお前たち!?」

一瞬で眠気なんて吹き飛んだ。
実家にいる筈の二人がいきなりいるんだからそれも当然だろう。
ひょっとして夢なんじゃないか、という甘い期待のために頬をつねってみるも、残念ながら痛かった。
目の前には、意地の悪そうに笑う火憐ちゃんと月火ちゃんが、僕を逃がさないかのように入口に阿吽像のように立っていた。

「そりゃあ兄ちゃんが心配で夜行バスで来てあげたんだよ、優しくて可愛い妹だろ?」

「そりゃお兄ちゃんが心配で夜行バスで来てあげたんだよ、可愛くて優しい妹でしょ?」

「建前はいい、目的を簡潔に述べろ」

シャツ一枚にパンツという非常にセクシーな格好で寝ていた僕は、せんべい布団に胡坐をかい て二人と対峙する。
昔から行動的な二人だが、基本的に揃って同じ話をする時は何かしら企んでいる傾向にある。
火種は発火する前に消しておくに限る。


「東京観光したいからしばらく泊めてくれよ」

「私お買いものしたいなー」

「それが目的かよ」

二人は外見こそ変わったものの、中身は中学生あたりから全く成長していない気がする。
ひょっとしたらあれが阿良々木火憐と阿良々木月火、進化の最終形態だったのかも知れない。
だとしたら非常に悲しいことだ。

もっと悲しいことに、月火ちゃんの身長も伸びた。
どれ位伸びたかは僕の口からはとても言えないので想像にお任せする。

「でもダメだ、第一父さんと母さんの許可は取ったのか?」

「取ったよー」

「取ってないよ」

どっちなんだよ。

「父さんは別にいいんじゃないか、って言ってたぜ」

「母さんはお兄ちゃんの仕事の邪魔になるからダメ、って言ってたよ」

さすがは母さんだ。父さんは僕と一緒で身内に甘いから困る。


「母さんの言う通りだ、偉大なる兄の仕事の邪魔をせずこのまま帰れ」

「……居させてくれなかったら兄ちゃんの膝の皿を抜き取るぜ」

「……聞き入れてくれないなら私、来たついでに東京タワー倒してこようかな……」

「ひいっ!?」

何この子たち怖い!
火憐ちゃんは生々しいし月火ちゃんは逆に現実味なさすぎるのが怖い!
このままでは僕が重傷を負った上で身内からテロリストを輩出してしまう!

「……わかった、許可しよう」

「やったぜ!」

「お兄ちゃん大好き!」

「だが! きちんと期間を定めろ。お前たちだっていつまでもいる訳じゃないだろう」

「だな、どうする月火ちゃん?」

「一週間くらいでいいんじゃないかな」

「と言う訳だ、頼むぜ兄ちゃん!」

「はぁ……」

思わず肺の底から溜息が出た。
一週間。一週間もこいつらと同居なんて。
しかも実家のように部屋が別な訳でもなく、同じ部屋だ。
これを苦行と言わずなんと言う。
苦行で人間は悟れないんだよ。
シッダールタだってそう言ってたじゃないか。


「もう、可愛い妹が一週間添い寝してあげるんだから、もうちょっと嬉しそうな顔してよ」

「やめろ、睡眠くらいちゃんと取らせてくれ」

「でも兄ちゃんが気になって、ってのもちょっとはあるんだぜ?」

「そうかよ」

と、気付けばもう七時も近かった。
そろそろ朝食を摂って出勤の準備をしなければならない。

「さーて、じゃあ手始めにきちんと挨拶に行きますかー!」

「そうだね、お土産はぴよこ饅頭でいいよね?」

「でもそれって現地の銘菓じゃないのか?」

「いいでしょ、おいしければなんでも」

「……おい、挨拶ってなんのことだお前たち」

何だか勝手に僕の横を通り過ぎて行きそうだった重要語句を、妹と共にひっ捕まえて尋問する。

「挨拶は挨拶だろ。知らないのか兄ちゃん?」


「知ってる。馬鹿にするな。
おはよう、こんにちは、こんばんは。
お前たちが言っているのはそういう挨拶だよな?」

「そんな訳ないでしょ、お兄ちゃんの職場に挨拶に行くんだよ」

「ちょっと待て、いつの間にそんなフラグが立っていた?」

少なくとも章の冒頭から読み始めてもそんなフラグは立っていなかった筈だ。
現在は火憐ちゃんと月火ちゃんの顔見せシーンだ。
その中に二人が765プロに来るなんてセリフは微塵も存在していない。

「そりゃあ兄ちゃんがどんな所で働いているか、この目で見ないとな!」

「お母さんも行くのなら私たちの分も挨拶して来なさい、って言ってたしね」

血の気が引く音を人生で初めて聞いた気がした。さーっ、と言うか、しゅーっ、と言うか。

「……っ、ダメだダメだ!
 お前たちがここに泊まるのはまだ許す!
 だが僕の職場にまで来るのは――――」

「あぁ?」

「んんー?」



002


「火憐だぜ!」

「月火だよ!」

はい、ダメでした。
極限流空手並の超実戦派武道有段者と残酷で嗜虐的な暗器遣いを同時に相手取っちゃいけませんよね。
例えるなら柳龍光とジャックハンマーを同時に敵に回すようなものですからね。
と言う訳で765プロです。
妹に負ける無様な兄をしかとご覧ください。

「……アンタ、何で泣いてるのよ」

「プロデューサー? どこか痛いんですか?」

「……いや」

「全くもう、しっかりしなさいよね。仮にも私たちのプロデューサーなんだから」

「痛いの痛いのとんでけーってしますか?」

「ほら、オレンジジュース飲む?」

「うう……ありがとう、水瀬、高槻……」

中学生コンビに慰められる僕。
でもいいんだ。正直嬉しいし。
特に水瀬に慰められるなんて、ガハラさんに褒められるくらいのレアイベントだ。


「でも、プロデューサーさんにも妹さんがいたんですねー」

高槻はどこか嬉しそうだった。
高槻家は大家族で、高槻はその長女。
兄妹という点に共感するところがあるのだろう。

「ほう、二人とも阿良々木君にそっくりだね。さすがは兄妹だ」

「そうですねえ、アホ毛と言い雰囲気と言い」

社長や音無さんまでがそんな事を言う。
何度も繰り返すが僕は似ているとは思わないんだけど。

「でも妹さんの方が大きいのね」

「水瀬ェ!」

「ひっ!?」

水瀬の肩を掴み、メデューサばりの勢いで睨みつける。
今日もセクシーなおでこだ。触りたい。

「それ以上は言うな」

「……う、うん……」

ちょっと 涙ぐんでいた気もするが、現実は非情なのだ。
僕の身長については触れてはいけない。
これは鉄の掟なのだ。


「よしよし伊織ちゃん、もう怖くないからねー」

「何なのよ、もう……」

「どうだね二人とも、うちでアイドルやってみないかね?」

「いっ!?」

冗談じゃない。
こんな奴らがアイドルになったらそれこそ芸能界が破滅してしまう。

「あ、あの社長。さすがにそれは」

「アイドルねぇ。あたしはあんまり興味ないんだけどなぁ」

「でも火憐ちゃん、信者を集めれば世界征服できるよ」

月火ちゃんはなんか怖いこと言ってるし!
と言うかあの顔は『恥ずかしいけど兄が困るならやっちゃおうかな』って顔だ。
ちくしょう。権力を盾に僕をからかう気だこいつら。

「けど、私たちなんかにアイドルは務まりませんよ」

「ええ、お誘 いは嬉しいのですが 」

「そうかね……残念だ」

「不肖の兄ですがよろしくお願いします」

「うむ、阿良々木君は実によくやってくれているよ」

「あ、これお土産です」

ちなみに中身は先ほども述懐したようにぴよこ饅頭である。
音無さんは喜ぶだろうが、東京の人に東京銘菓ってどうなんだろう。


「これはこれはご丁寧にありがとう。ははは、実に礼儀正しくて素晴らしい妹さんじゃあないか、阿良々木君」

「エエ……自慢ノ妹デスカラ」

言いたくもない妹の世辞を言い繕う僕。
セリフがFC時代の陳腐な征服者のようになっているのはバグではなく仕様です。
妹たちで唯一評価できるのはこの外面のいい礼儀正しさだけだ。
無論、その意図するところは全て自分たちの為、という方向に向けられているため、知っている側としては可愛くもなんとも無いのだが。

「おっと、そろそろ時間だ。行こうか水瀬君、高槻君」

「はい!」

「じゃあね」

今日は本来ならば僕が水瀬と高槻を車で収録現場まで送って行く予定だったのだが、火憐ちゃん月火ちゃんの事を話すと私が行こう、と社長が言い出したのである。
別に放っておいても良かったのだが、折角だから一緒にいてあげなさい、と社長の心遣いだ。

「すみません社長、手を煩わせるような結果になってしまいまして」

「はっはっは、社長なんて椅子に座ってふんぞり返っているのが仕事だからね、たまには私もアイドルと交流したいのだよ」

と、本音なのか建前なのかわからないようなセリフを残し、水瀬と高槻を連れて行ってしまったのを確認してから妹×2に向き直る。


「よしお前ら、挨拶が済んだらとっとと帰れ」

「なんだよー、冷たいなぁ兄ちゃん」

「そうだよ、もうちょっと接待してよ」

「なんで僕がお前らを接待しなくちゃいけないんだ。兄は仕事なんだ。いいからタワーでもツリーでも行って来い。そして人の多さに辟易とするがいい」

「そうですよプロデューサーさん、せっかく実家から遊びに来たんですか、ら……」

「仕事終わってからでいいからさー、一緒にご飯でも食べよう……ぜ……」

「音無さんまで……まぁ、それくらいなら――――」

火憐ちゃんと月火ちゃん、そして音無さんの視線が僕の背後に移る。

何事かと思って振り返るとそこには、二人用ジェットストリームアタックの如く上下から迫る双子の姿。
認識した時にはもう、遅かった。
いや、明確に言えば避 けることだけは辛うじて出来ただろう。
だが、すぐ目の前にまで迫撃する亜美ちゃん真美ちゃんの身を思えば、紳士たる僕に避けるという選択肢は最初から存在しなかったということになる。
そして末恐ろしいことに、この双子はそこまで計算して僕にイタズラを仕掛けてくるのである。

「ど→ん!」

「ヒャッハ→!」


「ふぐぅっ!?」

案の定、顔面に亜美ちゃんのフランケンシュタイナーが、下半身に真美ちゃんのタックルが同時にヒットする。
慣性の法則に従いそのまま仰向けに倒れる僕。
寝ている僕の顔に亜美ちゃんがまたがり真美ちゃんが腰にしがみついている、とある意味美味しい絵格好になったが、実際は結構なダメージがある。
格闘ゲームで言えば半分くらい体力ゲージを持って行かれた気分だ。
二人はまるで火憐ちゃんと月火ちゃんのように、こうして毎日僕に襲いかかってくるのが日課となっているようだ。
僕は姉妹に襲うことを日課にされるような特異体質なのか、と疑いたい。

「にいちゃん をたおした!」

「あみ と まみ は 5ほ゜いんとのけいけんちをえた!」

「200えん をてにいれた!」

たったの5かよ。ドラキー並だ。
続けて僕の尻ポケットを勝手に探る双海姉妹。

「兄(C)、二百円ちょ→だい!」

「ちょっ、人の財布を漁るな!」

満面の笑みで僕の財布を取り出した二人だったが、中身を見た瞬間に表情が硬直する。

「あっ……二千円しかない……」

「大人なのに……」

「やめとこうよ……かわいそうだよ」

「うん……」

「そんな目で僕を見るなぁ!」

給料日前なんだよ!

中学一年生にお金の面で同情された!


「おはよう!」

「おはよう、亜美ちゃん真美ちゃん」

「おはようピヨちゃん!」

「いやはや、兄(C)もピヨちゃんも揃って昨日と同じ服とは、ご破算ですにゃ→?」

「お盛ん、な」

「ゆうべはおたのしみでしたね?」

「ぴよっ!?」

「同じ服なのはスーツと事務服なんだから一緒で当たり前だ。それよりも早くどいてくれ」

双海姉妹。
姉の双海真美と妹の双海亜美、二人とも765プロ所属のアイドルであり、最年少にあたる。
亜美ちゃんは秋月の担当するユニット、竜宮小町の一員なので僕がプロデュースする機会は少ないのだが、機を見付けては二人で悪戯を仕掛けて来るので接点は意外と多い。
年齢は二人とも十三歳。
一卵双生児である二人は外見も性格もそっくりで髪留めと服装で区別を付けているのだが、慣れて来ると細かい違いが明確にわかるようになってきて、気付いた時はかなり嬉しかった。
それに何より僕がプロデューサーに就任して、最も早く僕に話しかけ、打ち解けてくれた二人だ。
当時の僕にとっては救世主に近い。


「あれ?」

「このお姉ちゃん達だれ?」

僕という日課の敵(恐らくスライム程度の認識)を倒してようやく気付いたのか、妹二人を指す双海姉妹。

「僕の妹だよ」

「兄(C)の妹!?」

「いたの!?」

愚妹どもは待ってましたと言わんばかりに、

「火憐だぜ! あたしが力の一千万!」

「月火だよ! 私が技の一千万!」

「「二人合わせて二千万ファイヤーシスターズ!!」」

「かっこいい→!」

何だかギニュー特選隊のようなクドいポーズを決める二人。
タッグ名も比喩じゃなく似合っているのが尚のこと恐ろしい。
そして目をキラキラさせている双海姉妹。
姉妹同士のシンクロニシティか何かだろうか。
僕には到底理解できないよ。


「亜美です!」

「真美だよ!」

「亜美たちも何か決めポーズとかほちいね→」

「そだNE→」

「将来有望な二人だな!
 よーし、今日はお姉さんが必殺技を教えてあげちゃうぞー!」

「わ→い!」

「門外不出の文字通り必殺技だから、兄ちゃん以外に使っちゃ駄目だぞ?」

日本においては格闘ゲームの影響で単なる技程度の認識でしかないが、本来の意味を取るとすれば必ず殺す技と書いて必殺技。
一般人が使うのならまだしも、超実戦主義の火憐ちゃんが言うと洒落になってない。
そもそも亜美ちゃん真美ちゃんが火憐ちゃんのビックリ格闘術を一朝一夕で習得出来るとは思わないが、万が一習得された日には毎日攻撃を受けている僕の命が危うい。

「僕は死んでいいのかよ」

「兄ちゃんが簡単に死ぬわけないだろ?」

「お前は兄を殺しても死なない何かだと思っていないか?」

火憐ちゃんは僕の吸血鬼体質を知らない筈なのに……。
一度火憐ちゃんとは本気でバトルしたから、その時に『これくらいの攻撃までなら死なない』と恐ろしい線引きされてしまったのかも知れない。
ちなみにバトルと言っても高校生の時に一方的にボコられただけだ。
妹如き相手に本気になる狭量な阿良々木くんではない。


「あっそうだ! 今日ね、家から面白そうなもの見付けて来たんだYO!」

「兄(C)に見てもらいたかったの」

「面白そうなもの?」

「うん、物置で遊んでたら見付けたんだ」

そう言いつつバッグを探る真美ちゃん。
そして大丈夫か双海家。

「じゃんじゃかじゃ→ん」

出てきたのは、千代紙に包まれた装飾も鮮やかな小箱だった。
確か双海父は医者だと記憶にある。
と言う事は結構な値打ちものかも知れない。

「キレーでしょ? でも開かないんだよ、これ」

「兄(C)、古いものが好きなんでしょ? 知らないかなーって思って」

「ひょっとしたらお宝が入ってるかもよ→?」

「アイドル王に俺はなるZE!」

古いものが好き、と言うか怪異を勉強する過程で日本の歴史とか昔の風習を触った程度だ。
古物だったら水瀬や四条の方が詳しいんじゃないか?


「開かないならピッキングツールあるけど?」

と、月火ちゃん。
なんで日常的にピッキングツールを持っているんだお前は。

真美ちゃんに掌に収まる程度の小箱を手渡される。

「ん?」

手に持った瞬間、ひやりとした感触と共に体温が下がるのを感じた。

まずい。
これは、よくわからないが何かがまずい――。
何の根拠もない不安に戸惑っていると、かちり、と小さな音を立てて僅かに箱の口が開いた。

「開いた! すごい兄(C)!」

「待て、真美ちゃん!」

言うが遅いか、真美ちゃんは箱を開ける。

次の瞬間、ぞぶん、という効果音が似合うエフェクトと共に、真美ちゃんは灰色の何者かに捕食された。



003


「真美ちゃん!」

「う……ん?」

――かのように、見えた。

真美ちゃんは先ほどと何ら変わりのない様子で、箱を手に佇んでいる。
箱の中には、これまた綺麗な立て櫛が入っていた。
作りからも結構な年代物だと言う事が見て取れる。

「だ、大丈夫なのか?」

「ん……なんか煙みたいのがモヤっと……あ」

真美ちゃんの視線がこちらに向く。
不気味にも彼女の眼球に映る僕の姿が、鏡のようにやけに明瞭に捉えられた。

「大丈夫か!? 何処か悪いところは――」

「兄(C)……」

ふわり、といい匂いに身体が包まれる、と思うのも束の間、真美ちゃんに抱きつかれていた。
僕の胸部に顔をうずめ、ぐりぐりと頬ずりしている。
その様子はどう見てもいつもの悪戯には見えなかった。

「 ちょっ、真美ちゃん!?」

真美ちゃんは顔を上げて上目遣いに僕を見る。
頬も林檎みたいに赤く染めちゃったりして。
うっわ、アイドルの上目遣いやべえ。超やばい。写メって保存したい。結婚してくれないかな。


「兄(C)……好き」

「えぇっ!?」

「だ、大胆だね真美……」

少し離れた場所では火憐ちゃん月火ちゃんが埴輪みたいな顔で固まっていた。
きっと年下のアイドルに慕われる兄の姿に心服したのだろう。

「えへへ……ね→兄(C)、真美ね、兄(C)になら何されてもいいよ」

「お、おい……」

と言うか明らかに様子がおかしい。
真美ちゃんはお姉さんだからか、亜美ちゃんと比べると年相応に落ち着いている方だ。
しかも思春期真っ盛り。
たまにちょっとセクハラをすると本気で怒るくらいなので、亜美ちゃんならまだしも、こんなアダルティな悪戯を仕掛けて来るとは考え難い。
阿良々木暦は年下の少女に対してのセクハラに生涯の一部位を捧げていると言っても過言ではない程のセクハリスト(阿良々木語。愛あるセクハラを理解しこよなく愛す真の紳士)ではあるが、愛のないセクハラはセクハラではない。
ただの犯罪だ。
いつもなら乗りに乗ってセクハラの向こう側を垣間見たいところだが、様子が尋常じゃない。
何せ目の中にハートが灯っている。
目にハートって。

「んふっ、兄(C)♪ おにーちゃん♪」

「真美がおかしくなっちゃったよ→!」

亜美ちゃんまで動揺するほどに、脇目も振らず僕の膝に乗ってラッコみたいに抱きついてくる真美ちゃん。
そしていくら僕がライトノベルの主人公並の朴念仁と言われていようと、ここまで積極的に迫られて何も感じないほど男として終わっていない。


「ね→兄(C)、チューちて……?」

「ちゅ、ちゅう!?」

ちゅうって確か……寝ている人間にハートを食べさせる妖怪だっけ?

いやいや、ボケている場合ではない。
僕を決して離すものかとしがみつく少女が、目を閉じて唇を近付けて来ている。

何なんだよこの状況!
って言うかさ!
相手が例え十歳近く離れていようが、ここまでされて何もしない男は男ではないよ!
十三歳と言えば昔の日本では適正年齢だよ!
真美は合法!
新卒が中学一年生を好きなのはロリコンなのに八十歳のおじいさんが七十歳のおばあさんを好きなのがロリコンとは言えないのは何故なんですか!?

「真美ちゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

僕が瞳孔も全開に真美ちゃんの肢体を掴もうとした瞬間、

「お兄ちゃん?」

首元――頸動脈の中心を正確に捉えた月火ちゃんの千枚通しと、

「それ以上やるんだったら、先に胴体にお別れのキスしといた方がいいぜ?」

うなじ――頸骨の中心部にそっと添えられた火憐ちゃんの拳の感触が、ひやりとした悪寒となって僕の背筋を這った。

「……助かった、ありがとう二人とも」

これは皮肉ではなく本音だ。
正気を失う前に冷静になれて良かった。
しかし躊躇もせずに二人して急所を狙う辺り、さすがファイヤーシスターズと言ったところか。


「兄ちゃんがモテモテなのはあたしらも嬉しいけどよ」

「犯罪はダメだよ、やるなら人目につかない所で――あれ?」

月火ちゃんがさり気なく怖い事を言う。
それでも警察官の娘かよ。
そして月火ちゃんの台詞を止めたのは、僕の膝に乗る真美ちゃんだった。

「ま、真美……?」

「――え?」

体重など、少しずつの変化はあった筈だ。
だが、そこに至るまで僕も気付かなかった。

ぱつん、という何かが弾ける音と共に僕の膝ではしゃいでいた筈の少女はいつの間にか姿を消しており、代わりにそこにいたのは、

「んっふっふ?、おしりもおっぱいも出てせくちーになったよ?」

「真美がぼいんぼいんになった→!?」

真美ちゃんの未来の姿と思われる、二十歳ほどの女性だった。

身長は伸び、髪は腰辺りまで伸び髪留めは解け、身体つきも出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる。
印象としては、少女のあどけなさを残した元気な女性、とでも表現しようか。
何よりも衣服が中学生の真美ちゃんのものなので、余計に各部位が強調されていて非常に素晴……目に毒だ。
先ほどの何かが弾ける音は、胸部の下着が千切れる音だったらしい。
どれだけ大きくなってんだ。
如月に謝れ!

「ね、兄(C)? 真美とケッコンしよ?」

僕は大人な真美ちゃんに求愛を受けていたその時、不謹慎ながらにも思ってしまった事があったのだった。

良かった、怪異の仕業で――。



004


数時間後。

僕と忍はアパートの風呂に浸かっていた。
僕が足を外に投げ出す形で伸ばし、忍がその上に乗っかる形。
端から見たらいい大人と金髪幼女が一緒に風呂に入っているという怪しいことこの上ない情景だが、生憎人の目を気にする必要はない。
間違って火憐ちゃんや月火ちゃんが誤って開けてしまってもいいように鍵もかけたし。

「さて忍……真美ちゃんの事だが」

「うむ、何とかせんとのう。いつお前様が手を出すかわかったものではないわ」

「僕って信用ないんだな」

「今までのお前様の行動を見て信用しろと言う方が無理な話じゃと思うがの」

うん……?
忍の言っている意味がよくわからないな。
僕は教科書に載せてもいいくらいの模範的な人間、モラルの塊と言ってもいい程じ ゃないか。
反論は出来たが今はとりあえず真美ちゃんのことを優先しよう。

結局あの後暴れる真美ちゃんを半ば無理やり引き離し、亜美ちゃんと一緒に事務所の一室に軟禁して来た。
一緒に、と言うのは一人にしておく方が怖いからである。
さっきまで亜美ちゃんの愚痴と言うか悲鳴を散々電話で聞いていたところだ。
何でも休むことなく僕のことを話しているらしい。
事の発端は亜美ちゃんにもあるのでそこは我慢してもらおう。

ちなみに風呂に入っているのは忍と会話をする為である。
リラックスしたいとか散々真美ちゃんに誘惑されたから身を清めたいとかそんな理由ではない。

「まさかあの怪異が宿っていたとはな……」

「知っておるのか主様」

……何だか何処かで見たようなやり取りだが、気にしないでおこう。


「色羽櫛。いろは櫛、単にいろ櫛とも呼ぶらしい。妖怪と言うよりは、霊の類だろうな。
 臥煙さんを通して調べてもらったんだけど、あの立て櫛には、何人もの女の子の怨念とも呼べる程の思念が備わっていた。
 結論から言えば、何人という女の子の念の集合体だけあって完全に祓うことは難しくて、完全に彼女たちが満足するまでは何度でも繰り返す。
 現時点での対処法は、真美ちゃんの身体から追い出すしかないそうだ」

追い出せば自然と母体である立て櫛に戻る、という話だ。
ちなみに臥煙さんへの報酬としては、中身を教えてもらうだけなら櫛を渡すだけでいいらしい。
何でも現代化の進んだ今では霊験あらたかな古物は価値がある、との事だ。
こちらとしては呪いのアイテムでしかない品を引き取ってくれるだけでもありがたいので二つ返事で了承したが、毒を以て毒を制す、ということなのだろう。
再利用すると言っていた。

けれど解決方法は教えてもらえなかった。
教えてもいいけど借り一つだよ、と言われて尻込んでしまった自分が情けない。
しかし臥煙さんに借り。恐ろしい響きだ。

「そも、立て櫛とは何じゃ」

「ああ……日本髪を結う時に使う櫛だよ」

箒のような形状をした櫛だ。
今でこそ馴染みのない櫛だが、日本髪を結髪する時には欠かせないらしい。
月火ちゃんなら持っていそうだ。

「その怨念とは?」

「まあ、簡単に言ってしまえば男性と付き合う事なく死んでしまった、思春期の女の子がいたとする。
 恋がしたくて、女性としての人生を歩みたくて、けれどそれは 叶わず未練を残し逝ってしまった。
 それ自体はそこまで珍しい話じゃない。けれど、事実は事実として残ってしまう。
 いつしかあの櫛には、『この櫛を使うと男性と添い遂げる事なく死ぬ』なんて噂が何処かで立ってしまった」


そして、次に使った女の子もまた運悪く命を落としてしまったとしたら?

今よりかなりの昔だ。
現代よりも突然な死が珍しくない時代とは言え、二度続けばもう縁は結ばれたようなものとなる。
その後も何度か同じような事があったのかも知れないし、なかったのかも知れない。
最初はただの櫛でも、こうした謂れと繰り返しを何十年、何百年も続けるとそれはひとつの意志を持った怪異となる。

「付喪神、か。この国独特の神じゃったかの?」

道具でも百年、 大切に使われると命が宿る、という日本独特の考え方から派生するものだ。
かの斧乃木ちゃんもこれに似た手法を用いて作られたらしい。

ただ、この場合は百年使われて美しい命が灯った、と言うよりはマイナスの感情が重なりに重なって怪異と化した、と言った方が正しい。
しかも悪い噂に怨念つきというサラブレッドだ。
そりゃあたちの悪い怪異にもなる。

「標的となるのは同じ女の子。あの櫛に触れた女の子は、恋をするのに最も適した年齢まで成長させられた挙句に、はじめて見た異性に対し盲目になってしまう――というのが臥煙さんの言葉だった。それが例えどんなに嫌いな奴でも、ね。
 名前の由来にもなっていて、いろぐし、いろぐるし、色狂し、色狂い。少女に似つかわしくない形容詞だけれど、すなわち色情魔だ」

だからあの櫛は封印されていたようだけど、元々そんなに強い封印でもなかったようで、吸血鬼である僕が触っただけでショックで封印が解けてしまったようだ。


「恐るべきはおなごの執念じゃの」

ただひたすら異性とイチャイチャするだけの怪異。
文面だけ見れば可愛いかも知れないが、最も恐ろしいところは『本人の意識とは無関係に』実行に移すところにある。
つまり好きでも何でもない、ただ初めて見たというだけの相手を好きになり、結果的に嫁ぐところまで行ってしまう。
男の側としては突然、女の子が自分に惚れるんだから、是非もなしと言うべきか、恋人が既にいたり、他にどうしても好きな女性がいるなんて理由でも無ければ付き合うだろう。
怪異自体は十年もすれば一旦満足して櫛に戻るらしいが、適齢の男女が十年も一緒にいると仮定したら夫婦となっているのが自然だ。
結果的に残されるのは結婚し、子供も出来てもう人生の半分以上を消化した時点で夫への愛情に疑問を持つ妻だ。
そう言う意味では人の人生ひとつを台無しにする程度の影響力を持つ、たちの悪い怪異と言える。

このまま放っておけば真美ちゃんは際限なく僕にベタベタし続けるだろう。
僕は自他共に認める浮気する根性なんてないチキンな上、決して間違っても絶対に確実に魂を賭けて極めて真にこの上なく誓って天地神明に懸けてもロリコンではないので真美ちゃんの誘惑に靡く可能性は薄いとしても、異性と常にイチャつくなんてアイドルとしての活動生命は終わりだろう。
……昼間はちょっと危なかったけれど、火憐ちゃんと月火ちゃんにも釘は刺されたしね。
命と欲望を天秤にかけたらさすがに命に傾く。

ならば、僕が何とかしなければならない。

それに――本人の望まない結末なんて、例えそれが僕に最大限の利益を与するものだろうと、こっちから願い下げだ。


「兄ちゃん!」

と、急にとてつもない勢いで浴室の扉が開いた。
それはもう扉が壊れるんじゃないかと思うくらいの音と速さで。
実際、鍵は壊れた。

「なー兄ちゃん、久しぶりに一緒にお風呂入ろうぜ!」

「背中流してあげようか?」

下着だけを身に着けた、半裸の火憐ちゃん月火ちゃんだった。

「いらない! いらないから閉めてくれ! あと鍵を壊すな!」

「鍵? 鍵なんかあったか?」

「僕の敷金になんてことするんだ! いいから出て行け!」

「なんだよー、裸くらいいいじゃねーか。昔は裸の付き合いもしたんだし」

「何年前の話だよ!」

小学生低学年くらいの話だよ。念のため。

突如として入浴中の扉を開けた愚妹どもを追い払う。忍が気配を察して一瞬で影に潜ってくれて助かった。
そう言えば高校の頃にも似たようなことがあったな……。あの時は月火ちゃんに忍を見られて包丁を持って来られたのが懐かしくも恐ろしい。

「私たちも早く入りたいから、ここで待ってるね」

「……僕が出る時くらい出て行けよ」

さすがに妹たちに裸を見せつける趣味はない。
と言うかこいつら二人で入る気か。こんな狭い風呂に。
ここの風呂はお世辞にも広いとは言えない。
子供が足を伸ばせる程度の浴槽に同じ幅のシャワースペース。
人間が二人入ればそれでもう一杯一杯だ。
湯船に浸かれるだけマシと言えるくらいに狭い。
アニメの阿良々木家浴場のように体育館のごとく広くはないのだ。


「な、なあ火憐ちゃん月火ちゃん。ひとつ聞きたいんだけど」

風呂場の扉一枚越しに、二人に声を掛ける。

「んー? なんだ兄ちゃん、やっぱりあたし達とお風呂入りたいのか?」

「それは断固断る。あのさ、依存する女の子を引き剥がす方法ってなんか無いかな」

「それって、昼間の女の子のこと?」

「ん……まあ、そうなんだが、誤解しないで欲しい。あれは彼女の本意じゃないんだ」

「わかってるよ。あんな変なの見ちゃったし、戦場ヶ原さんのいるお兄ちゃんがあんなの許す訳ないもんね」

何か訳があるんでしょ、ちょっといらっとしたけどね、と素直にのたまう月火ちゃん。

「やっぱり兄ちゃんはスゲーな、あたしじゃ考えもつかないようなステージで戦ってるなんて」

ビルの屋上とか走行中の貨物列車とかでな、と火憐ちゃん。
どうやらこの年で兄を変身ヒーローか何かと思っているらしい。
いや火憐ちゃん、お前の兄は改造されてないしそんな世を忍んで活躍したりしていないよ?

「兄ちゃんはいつもそうだ。あたしが詐欺師に騙された時もそうだったし」

「私たちに言えない秘密、あるんだよね。ずっと、ずっと」

「……それについては否定しないよ。けれど、肉親でも、いや肉親だからこそ言えない秘密はある」

「わかってるよ、あたしたちももうガキじゃねーしな。その辺は弁えてるつもり だよ。でもさ」

「私たちは基本的に、お兄ちゃんの味方だよ」

「……ありがとよ」

基本的に、という部分が引っ掛かったが、美しい兄妹愛ということにしておこう。


「で、本題なんだけど」

「そんなの簡単だよ。離れるまでぶん殴ればいいじゃねーか」

「僕に犯罪者になれって言うのか!?」

しかも十三歳の少女を殴って、なんてレベルが高すぎる。
ある意味痴漢や強盗以上の罪ではなかろうか。
ともかく僕に真美ちゃんを傷付ける選択肢がない以上は却下だ。

「月火ちゃんは何か無いか?」

「私? 私も火憐ちゃんの意見と同じだよ」

「お前らに聞いた僕が悪かったよ」

火憐ちゃんはともかく、正義の名の下にストレス解消をしていた妹はバイオレンスな方法でしか解決できない 妹に育ってしまったらしい。
火憐ちゃんの影響だろうか。
いや多分地なんだろうな。
ああ、それはそれで心苦しい。

「ああいや、違う違う。あんな可愛い女の子を殴るなんてとてもじゃないけど出来ないよ」

月火ちゃんは実益資本主義に見えて、神原に劣らない可愛いもの好きだ。
聞いたところによれば、何でも千石と仲良くなった理由が『可愛いから』という人として良識を疑うレベルだったらしい。
そう言えば先ほど亜美ちゃん真美ちゃんの連絡先も聞いてたしな……あれがアイドルの連絡先持ってれば役に立つかもしれない、という後ろ暗さ込みでないことを祈ろう。

「じゃあ、どう違うんだ?」

「うん、ただベクトルが一緒、ってだけでね?」



005


「兄(C)!」

「に、にーちゃ……待ってたYO……」

定時後。
事務所の一室、会議室という名称こそついているものの、普段使われていない物置同然の部屋の扉を開けると、数時間前と変わらない様子で双海姉妹がいた。
最も真美ちゃんはナイスバディな大人に変身してしまっているし、亜美ちゃんは心労からかぐったりしていたが。

僕はスーツを適当に部屋の隅に放ってネクタイを外すと、胸元のボタンを緩める。

「待たせたな、二人とも」

「うあ?……兄(C)が飯屋に見える……」

メシアと言いたいのだろうが、その発音だと飯屋にしか聞こえない。
飯屋系男子。恋のいらっしゃいませだ。
斜め上にも程がある。

「亜美ちゃんは部屋を出ていてくれ」

「兄(C)は……?」

「責任持って元に戻すよ」

亜美ちゃんは実姉に何か思う事があるのか、大人となった真美ちゃんを振り返る。

「亜美ちゃんもこんな事態になっちまったけど、大丈夫か?」

「大丈夫じゃないけど……まあ、はるるんも兄(C)となんかあったって聞いたし、人生長いし、こんなこともあるんじゃない?」

「うおお……」

中々に逞しいな現代の中学生……。

「亜美、手伝えることない?」

「大丈夫だよ。終わったら連絡するから」

そう、とそれでも心配そうに亜美ちゃんは部屋を出て行った。


僕は扉の鍵を閉め、グラマラスな真美ちゃんと対峙する。

「……」

そのスタイルに早くも心が折れそうだった。
ごめんなさいひたぎさん。
でもこれからやろうとしていることを思えば、それくらいは許してほしい 。

「なぁに兄(C)、こんな部屋に真美と二人きりなんて。やらし→んだ→」

「何とでも言え」

僕は真美ちゃんに向かって足を進めた。
距離を詰めながら、脅し文句を含めた会話を続ける。

「先に謝っておくぞ真美ちゃん。僕は一切手加減なんてしない」

と言うよりは、他に手段を思い付かなかった言うべきだろうが。

「え→、真美になにするつもり→?」

でも兄(C)ならいいよ? と、くすくすと年相応の小悪魔的な笑いをこぼす真美ちゃん。
真美ちゃんの記憶その他諸々も保存されたまま影響を受けているのだろう、女性に対して強気に出られない僕の性格を完全に手玉に取られている。

舐めるなよ、中学一年生。

ついこの間までランドセルを背負っていたガキが、大人に勝てると思うな!


「酷いことをするつもりだ」

「え……?」

カッターを脱ぐ。
ついでにアンダーシャツも脱ぎ、僕の上半身は露わになった。

そして乱暴に真美ちゃんの手を取り、組み敷いた。

「いたっ……!」

大人になったと言えど女性の力、対して僕は男でしかも仮にも吸血鬼だ。
力で勝てる道理は無い。

「いい格好だなぁ真美ちゃん、僕なんかに押し倒されてさ」

「ちょ、ちょっと兄(C)?」

「僕が今流行りの草食系男子とでも思ったか?
 残念だけどな真美ちゃん、僕だって男なんだよ!」

「ひゃああああぁぁ!?」

叫び、片手で両腕を拘束したまま、真美ちゃんの衣服を力尽くで剥ぎ取る。
元々露出の多かった外見が、文字通り下着だけになった。しかも黒だ。

ちなみにこの下着は音無さん提供だ。
亜美ちゃんが今後の参考にしたいから貸してと言ったら貸してくれたらしい。
何やってんだあの人……。
と言う事は音無さん、サイズを見るに結構着やせするタイプなんだな……。

しかし素晴らしい。
場違いに違いないが、大人になった真美ちゃんはかなりのモデル体型だ。

「くっくっく……いい身体してるじゃないか、真美ちゃん……」

「に、兄(C)、どうしたの!? やめてよ!!」

真美ちゃんの顎を掴み、無理やり引き寄せる。


ここで胸の一つでも揉んでしまえば効果は相乗されるのだろうが――。

僕にそんな度胸あるわけないだろうが!

月火ちゃんの聞き様によっては残酷極まりない言葉が蘇る。

『まだ恋も知らない女の子なんでしょ?』

我が妹ながら末恐ろしい――が、今だけはその策士っぷりに感謝しよう。

『だったら教えてあげればいいんだよ。「男の怖さ」をね』

月火ちゃんの腹黒さに感謝する日が来ようとは、まさか夢にも思わなかったけどな!

初期治療、大切!

「うるさい! つべこべ言わずに大人しくしろ! 口を塞いでやろうか!?」

「う……うああああああぁぁぁぁぁん!」

無理やりキスをしようと顔を近付けた刹那、真美ちゃんの泣き声が部屋に響きわたった。
真美ちゃんの瞳からぼろぼろと涙が流れるのと同時に、身体も戻って行く。
どうやら無事に解呪されたようだ。
成長ビデオを巻き戻しているようで少々奇怪だったが、ブラの隙間からちょっと胸が見えたのは役得として黙っておこう。

拘束していた真美ちゃんを離し、取り急ぎすぐ側にあったカッターシャツを上着として着せる。

「……冗談だよ真美ちゃん、もう終わったから」

「うえっ、うぁ……うああああぁぁぁぁぁん」

「ごめんな、怖い思いさせて」

真美ちゃんをなるべく優しく抱き寄せ、頭を撫でてやる。

「うっ、ううぅ?……! 兄(C)のばかぁ……!」

「ごめん」

「ほんと、に……こわかったんだからぁ……!」

よしよし、と赤子を寝かしつけるように真美ちゃんをあやす。
そのままの状態で数分、次第に落ち着いてきたらしい。

「ありがと……兄(C)……」

礼を言うのは僕の方だ。

真美ちゃんは嘔吐きも細かく、泣いて腫れた目で笑ってくれた。その笑顔だけで、十二分に救われる。


「えへへ……兄(C)だったら続きしても良かったかな……なんちゃって」

「馬鹿は休み休み言え。と言う訳だ、今はゆっくり休め」

「うん……ありが、と……」

突然の衝撃の出来事に加え泣き疲れたのだろう、真美ちゃんは糸が切れるように眠りに付いた。

スマホを上着から取り出し、亜美ちゃんにもう大丈夫、との旨のLINEを送る。
部屋の鍵を開けて一仕事終えた僕は、真美ちゃんの側の地面に直接腰かけた。

「ふう……うわ、べちゃべちゃだ」

泣いていた真美ちゃんを抱いていた為だろう、上半身の胸の辺りから下が、よだれやら鼻水やら涙やらでえらいことになっていた。
けど大事にならず本当に良かった。
現役アイドルを僕が原因なんて不名誉な理由で引退させてしまうところだった。

と、部屋のノブが回される。きっと
亜美ちゃんだろう。

「ここにいるの? まったく、出迎えくらいしなさいよね」

「うっうー! ただいま帰りましたー!」

テレビ収録の仕事を終えて部屋に入って来たのは、水瀬と高槻のコンビだった。
どうやら事務所に誰もいないので探し回った挙句にここ会議室まで来た――という運びらしい。


二人の目にはきっと、下着姿な上に泣きまくった挙句眠っている真美ちゃんの傍で、まるで事後のように半裸で座る僕――そう見えたに違いない。

その証拠に、二人とも部屋に入って来た状態で完全にフリーズしてしまっている。

ただ一点救いがあるとすれば、社長がいなかった事くらいだろうか。

「待て、言いたい事はわかる。だがその前に、僕の話を聞いてくれないか」

極めて冷静を努め、波風を立てぬよう二人に対し話しかける。
敵意はない、と両手を挙げるのも忘れない。

「…………」

水瀬と高槻は退きつつも一応、話を聞いてくれるようだった。
視点を僕に定め、僕の二の句を待っている。

さて、落ち着け。
落ち着くんだ僕。
ここで失言をしてしまった日には、765プロにいることすら難しくなってしまうかも知れない。
落ち着いて説明するんだ。

まずは――状況説明。
これはどう好意的に解釈しても僕に反論の余地はない。
何せ、半裸の成人男性がこれまた半裸の、しかも大泣きした跡のある女子中学一年生とひとつの部屋にいたのだ。
この状況にいくら僕が理論を並べ立て弁明したところで、十対零で僕が負ける。
これに関しては後ほど真美ちゃんに直接誤解を解いてもらうしかないだろう。

後は 、僕の態度だ。
盗人猛々しいとの言葉があるように、僕が悪い事をした訳ではないが誤解という壁に阻害されている以上、二人に警戒心や猜疑心を植え付けるような発言をしてはいけない。
となると、あくまで簡潔に、嘘偽りのない事実を二人に伝えることが重要なのではないだろうか。

古来よりも正直者は救われる、と言われている。
なに、僕も決して後ろめたいことがある訳ではない以上、下手に嘘をつくよりは素直に話した方がいいだろう。

……よし。心中は整った。
さあ、聞いてくれ水瀬、高槻。

「――――僕は、真美ちゃんを押し倒して服を脱がしてキスをしようとしただけだ。他意はない」

その日、とても気持ちのいい、乾いた音がふたつ、765プロダクションに響いたのであった。



006


後日談というか、今回のオチ。

昨日に続き、かつての学生時代を懐古させる、妹たちに起こされるという経験を経て僕は出社した。
裸にひんむいた女性を押し倒していた、という現場を水瀬と高槻に見られた僕は、辛くも今日もプロデューサーとして仕事をしている。

この場を借りてプロデューサーの仕事について少し説明しよう。
僕は皆からプロデューサーと呼ばれてはいるものの、プロデューサー業、すなわちアイドルの仕事を厳選し、営業を掛け仕事をもぎ取りアイドルをアイドルとして育てる、という業務以外にもこうして事務仕事もこなしている。
内容的には基本的に音無さんの領分なのだが、765プロダクションが人手不足、という点もあって僕や秋月も兼任しているという訳だ。
そして今僕はその事務仕事しか出来ない。
何が言いたいのかと言うと、顔の両頬に手型をつけたプロデューサーがまともに営業をこなせる筈もないのである。

「ぷっ、プロデューサー……これ、お願い、します」

「……おう」

秋月が震えながら僕に書類を渡して来る。
どうやら僕の顔が秋月のツボにはまってしまったらしく、出社してきてからずっとこんな感じで笑いを堪えている。
音無さんも僕の顔を見るなり吹き出し、しばらく爆笑した後に仕事になりませんから、と別室で仕事をしているし、今日は誰とも真面目な話は出来そうにもない。

「とっとと営業に行って来いよ」

「でっ、でも……ぷくく……その顔、痴話喧嘩したみたいですよ?」

「……」

いいから行けよ、と手を振るジェスチャ ーで秋月を追い出す。
モテる男は辛いですね、なんて言い残して行きやがった。


結局、あの後は警察を呼ばれる寸前まで行ったものの、亜美ちゃんと後に目覚めた真美ちゃんの文言によって免罪となった。
元々ない罪なので冤罪もいいところなのだが、冤罪でも状況証拠だけで大罪すら万人に認められてしまうのが現代社会だ。
全くもって清廉潔白な僕の身からしてみたらやる瀬の無いことだ。
真美ちゃんの為に必死でやりたくもない非道を行なった結果、僕の身に刻まれたのは水瀬と高槻の手型。

「…………!」

その時、阿良々木に電流走る……っ!

いや待てよ、良く考えたら水瀬と高槻の手型なんて超レアじゃないか。
それが僕の身体に刻まれたとなれば、それはもうイエスキリストの脇腹に匹敵する聖痕と言っても差し支えないのではないか?
手型なんて一日で消えてしまう。
どうしよう、なんとかしてこの手型を石膏か何かで永久保存する方法はないだろうか。
手型って言ってしまえば内出血の軽いバージョンみたいなものだから、皮膚を剥ぎ取ってなめした所で意味はないし……。
考えろ、考えるんだ僕!

「おっは→!」

「お、おはよう」

僕がとてつもなく真面目な顔でとてつもなく不毛な内容に思考に費やしていると、双海姉妹がやって来た。
今日は珍しく、攻撃がないようだった。

「おはよう亜美ちゃん、真美ちゃん。今日は戦わないのか?」

ようやく僕の恐ろしさに気付いたか、とふざけてみるも、亜美ちゃんは首を横に振る。


「ん→ん、真美が兄(C)に触るのイヤだって言うから」

「……」

「何だって!?」

何それ!
そんな悲しい事ってないよ!
ひょっとして昨日のあれか!?
でもあれは真美ちゃんの身を想ってやったことであって……!
人を想ってやったことがその人にとって良い結果になるとは限らない、なんてのは日常茶飯事だけども!

けどさ!!

「真美ちゃああああぁぁぁぁん!!」

泣いた。
マジ泣きだった。
悲し過ぎる。
忍が家出した時だってこんなに悲しくはなかった。
例えるのなら八九寺が逝ってしまった時くらいの悲しさだ。

「ちょ、ちょっと兄(C)落ち着いてよ!」

「うっぐ、ひぐっ、えぐっ」

僕は泣いた。
マンガ的に表現するのなら、涙が眼から滝のように流れ、まるで噴水のように周囲に飛び散っているような男泣きっぷりだ。
女子中学生に嫌われた、と言う理由で恥も外聞もなく本気で泣いてい る大人は間違いなく僕なのだが、それ以上に悲しかった。

「どうしろと……」

「ほらも→、泣くのやめてよ」

マジ泣きする僕の頭を撫でてくれる真美ちゃん。

「別に兄(C)が嫌いになったから、とかじゃないからさ」

「ほ、本当に……?」

真美ちゃんがお釈迦様のように見えた。
なら僕はカンダタでいい。
今なら蜘蛛の糸についてくる人たちも許せる。

「うん、兄(C)のことはちゃんと好きだよ!」

「良かった……本当に……」

一転、立ち直り涙を拭く僕。
悲しみを乗り越えてまた僕は強くなったと信じよう。

「やれやれ、恥ずかしいところを見せてしまったぜ」

「ガン泣きする大人ってちょっとどころじゃないレベルで引いたYO……」

亜美ちゃんが一人、置いて行かれたように文字通り一歩引いていた。
ちょっぴりシニカルさを見せたつもりだったが、効果はなかったようだ。


「で、なんでいきなりそんな事を?」

「それがね→、亜美にも教えてくれないんだYO!」

双子の絆にシレツが→!と嘆く亜美ちゃん。
多分亀裂と言いたいのだろう。

と、その時事務所に来客を告げる音が鳴った。
音無さんが別室から出て来る。

「プロデューサーさん、お客様ですよー!」

お客?
僕に?
仕事上で直接会いに来るなんて心当たりはないから顔のことは気にせずともいいけれど、誰だ?

首を傾げつつ向かうとそこには、

「やあやあこよみん、久し振りだねえ。元気してた?」

今回のことも含め何度か連絡を取り合うことはあったものの、直接会うのは実に五年振りなお姉さんがいた。

「そちらのお嬢さん方ははじめまして。私は臥煙伊豆湖、何でも知ってるおねーさんさ」

って言うか、もうおねーさんって年齢じゃないだろうに。

「おいおい、失礼なこと考えちゃ駄目だよこよみーん?」

「いててててて!」

遠慮なく全力で足を踏んで来る臥煙さん。


「で、何の用ですか臥煙さん」

「……こよみん、何その顔。エピソード風に言うと超ウケる」

「勝者の証です」

僕の顔の事はどうでもいい。
それよりも滅多に人前に姿を現さないこの人がここまで足を運んで来たことこそ問題だ。

「今日はね、まあ色羽櫛の件も含めて、久し振りにこよみんに会いたくなってね」

「櫛? 櫛の件ならちゃんと収拾つけましたよ?」

「あらそうなの? じゃあちょうだい」

はいどうぞ、と小箱ごと櫛を手渡す。

「……んん?」

手に取った臥煙さんはおっかしいなー、と櫛をあらゆる方向から見るが、ひとしきり検分した後に一言、

「中身、なくなっちゃってるんだけど」

「え!?」

でも、臥煙さんの話によれば櫛そのものに憑いている怪異だから無くなることはないって――。

「こよみん、ひとつ聞くけどどうやって祓ったの?」

「え、それは――」

真美ちゃんに行なった方法を具に口頭で伝える。
後ろで真美ちゃんがちょっと赤面していたけど勘弁してもらおう。

説明が終わる頃になると、臥煙さんは僕と真美ちゃんを見比べ、何故だか意地の悪い笑顔を浮かべていた。

「……なるほどね。なるほどだよ」

「あの、臥煙さん?」


「全くもって君はいつも私の予 定を狂わせてくれるね。
 要するにねこよみん、君は『正しい祓い方』をしてしまったんだよ」

「正しい祓い方と言うのは?」

「『憑いている女の子に本気で惚れさせること』。やっぱり憑かれているとは言え、偽物の恋だからねえ。憑かれた女の子が本気でその相手を好きになった時点で色羽櫛に宿った怨念は祓われてしまうのさ」

だから本来、祓う場合は両想いのバカップルを使うんだけれどね、と臥煙さん。
え?

って事は……?

「……あの、真美、さん?」

「真美、知→らない。昨日のこと覚えてないし→」

……うむ。
真美ちゃんが言うのなら気のせいに違いないな。
偶然祓われてしまった、今回が満足する期間、いわゆる消費期限だったという可能性も無きにしも非ずなんだから。

「 ばいばーい、この櫛もかなりの骨董品だからいいけど、足りない分はツケとくから」

そう言ってそれ以上は触れず、臥煙さんはあっという間に去って行った。
本当に櫛を取りに来ただけだったようだ。


「ね、兄(C)?」

ハリケーンのように去って行った臥煙さんに溜息をつきつつも戻ると、真美ちゃんが通路を阻むように待ち構えていた。
何だか落ち着かない様子でそわそわしている。
ひょっとしてトイレだろうか。

「なんだい真美ちゃん」

「あ、あのね!」

意を決したのか、握りこぶしを作り、

「兄(C)が真美にピッタリなくらい凄い人になったらお婿さんにしてあげるね!」

と、とても嬉しい事を言ってくれたのだった。

「ほう、このダンディズム溢れる阿良々木に更なる進化をご所望か。吾輩も罪な男よ」

変なキャラを作ってみたが 、当然の如く決まらなかった。

しかしまあ、子供に将来お嫁さんになる!と言われて嬉しくない男は居まい。

真美ちゃんの頭を少々乱暴にぐりぐりと撫でる。

「そうだな、それじゃあ真美ちゃんが世界一のトップアイドルになったら玉の輿に乗らせてもらおうかな」

「うわ→、さいって→」

この日を境に亜美ちゃんと真美ちゃんの襲撃は減ったが、それも寂しいと思う僕はやはり水瀬の言う通り変態なのだろうか――。
そんな事を想起させた一連の出来事を、ここに締め括ろうと思う。

なお、やはり年の近い姉妹というものは共感するらしく、一週間の滞在を約束した火憐ちゃんと月火ちゃんは亜美ちゃんにも悪影響を与える結果となるが、それは現時点では未来の物語。

ちなみに音無さんの下着が亜美ちゃんの手によって後日アイドル内を出回る事になったが、それに関しては物語の埒の外なのだろう。



まみコーム END


拙文失礼しました。
ありがとうごぜーました。

一応全員分書く気はありますが、次回以降は時間がかかるかと思います。

支援してくれた方々に改めて感謝を。

おつん!

乙!

次回も楽しみww

乙ですぅ

ビンタエンドが予想通りすぎるww

乙でした

ぴよこ饅頭の元ネタはひよこ饅頭だろうけど、あれって勘違いしてる人多いけど博多銘菓よ
福岡に東京のお土産でひよこ饅頭を買ってこられた時の悲しみ
というのをどうしてもツッコミたくなった福岡県民です

話は今回も面白かったよ
>>1のペースでいいから頑張って

全員ということは音無君の分も頼むよ、君ィ

乙したー

>>58
やはりそこは気になるよな・・・

>>58
豚バラは東京発祥だってしってるか?

乙乙
相変わらず素晴らしいな
今一番続きが楽しみなSSだわ

阿良々木暦「あみスパイダー」 - SSまとめ速報
(ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397552552/)

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