モバP「ネガティブ少女と歩む日々」 (51)




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乃々「……りぃ……」

P「そこをなんとかー」

乃々「出来ないです……むーりぃ……」

P「うーん、困ったなぁ……」


ちひろ(……まーたやってますね、あの2人)




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P「そうは言ってもさ、もう乃々が出るって上の人に言っちゃったんだ。出て貰わないと乃々も怒られちゃうぞ?」

乃々「うぅ、ひどい……もりくぼに人権は無いんですか……私は操り人形ですか……」

P「操り人形なら、もう既にスタジオ連れてかれちゃってるだろ?」

乃々「それでも、拒否権は殆ど無い……ううう、もう帰りたいんですけど……」

P「あああ、帰らないで帰らないで! な、ちょっとやってみるだけでいいから、一緒に仕事してくれないか?」


ちひろ(あのプロデューサーさんは、乃々ちゃん専属のプロデューサー。いつも乃々ちゃんの為に頑張っている方で……)




乃々「無理ですけど……もりくぼには到底及ばぬ事案なんですけど……」

P「そうかなぁ……乃々可愛いし、この仕事に合うと思うんだが……」

乃々「お、お世辞とか言われても……その手には乗らないです……」

P「ん、俺がお世辞言うような人間か? それは乃々が1番知ってるだろ?」

乃々「そ、そうですけど……や、やっぱり無理です。もりくぼのハートはそこまで頑丈じゃないです……ぶろーくんはーとなんですけど……」


ちひろ(乃々ちゃんに仕事のある日は、殆どこんな状況が見られます。けれども、こちらとしては寸劇にしか見えません)




P「頼むよ乃々。この仕事やってくれるなら、後でなんでもするからさー」

乃々「な、なんでも……ですか? それなら……」

P「ああ、アイドルを休む辞める自粛する以外でなら、なんでも良いぞー?」

乃々「あぅ……早速選択肢がなくなったんですけど……」

P「ほら、何かないか? 今日の仕事に行ってくれるなら、俺頑張るぞ?」


ちひろ(……どうして寸劇に見えるかって? それは……)




乃々「……プロデューサーさんは、私のために頑張りすぎなんですけど……」ボソボソ

P「ん、なんて? ごめん乃々、俺って声がでかいせいか知らんが耳遠いからさ。ほんの少しでいいから、大きめに言ってくれるか?」ズイッ

乃々「ひぁ、ち、近い、顔が近すぎるんですけど……!」

P「あっ、すまん! ごめんな、怖かったよな……ごめん」

乃々「そ、そこまで落ち込まなくても……ちょっと色んな意味で驚いた、だけですけど……」

P「いや、女の子怖がらせるとか最低だ。本当にごめんな……」

乃々「そ、そういうわけじゃ……うう、お、お仕事行くので、元気出してくれないと、もりくぼは困るんですけど……」

P「え……いいのか?」

乃々「ぷ、プロデューサーさんの落ち込む顔は見たくないので……がまん、します」

P「……乃々ぉ! ありがとうなぁ!」ムギュー

乃々「あっ……そ、そんなに強くされると……くるしいです、けど……ふふ……あったかい……」



ちひろ(……毎回こんな有様だから、です)




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乃々「むーりぃ……無理です、もりくぼには高すぎる壁です……」

P「いや、いける、乃々なら出来る! 応援してる!」

乃々「応援じゃどうにもならない事もあります……ラジオのパーソナリティとか、なんで企画が通るんですかぁ……」ジワァ

P「ああああ、泣かないで泣かないで! 乃々が泣いてると俺も泣きたくなるから……ほら、顔拭くぞ?」フキフキ

乃々「あふ……ぐすん。もう大丈夫ですけど……お仕事に関しては大丈夫じゃないです……」

P「スタッフみんなが認めてくれたんだ、乃々なら出来ると思ってくれてるんだ。な、頑張ってくれると嬉しいんだが……」


(かわいい)



乃々「心が折れますけど……もりくぼは森に帰ります……」

P「おわ、帰らないで帰らないで! というか乃々の家は森じゃないよな……?」

乃々「森でいいです……誰にも見つからない場所で、ひっそりと木彫りのお仕事して暮らします……」

P「駄目だ駄目だ、乃々を1人に出来るわけないだろ! 俺が心配でどうにかなりそうだから止めてくれ……」

乃々「そ、そんなに私が心配ですか……?」

P「当たり前だろ! 乃々のプロデューサーは俺だけなんだから」

乃々「……それなら、森に帰るのは諦めますが……ラジオのお仕事は無理です……むーりぃ……」




P「森に帰るのを諦めてくれたのは本当に嬉しいが……そんなにラジオは嫌か?」

乃々「わ、私1人でやりきれる気がしないです……途中で絶対言葉詰まって沈黙ラジオになりますけど……」

P「それは、やってみないと分からないだろ? それにもしも詰まったら、スタッフや俺が現場でサポートするからさ……」

乃々「そうして貰っても……もりくぼにはやる気が……」

P「ぬぅ、そうだな…………うーんと、このお仕事やってくれるなら、乃々のやりたいことを叶えるぞ?」

乃々「……アイドルを辞める以外で、ですか」

P「ああ、そうなっちゃうが……それ以外なら、ちょっとした休日でも、行きたいところでも、頑張ってスケジュール合わせるから!」

乃々「ちょっとした休日……」




P「うん、休日。流石に長期休暇はアイドル活動に支障きたしちゃうから……駄目だったか?」

乃々「……」

P「駄目、か……そうだよな、都合良すぎるよなぁ。うーむ、どうしたもんか……」

乃々「……あの、休日を作ってくださるのなら、お仕事頑張れる気がするんですけど……」

P「おおお、本当か!? 休日は何日欲しいんだ? 場合によっては直ぐには取れないからさ」

乃々「あっ、あの、2日で大丈夫ですけど……その、もう2つお願いが……」

P「2日か。それなら来週あたりにするとして……お願いって?」




乃々「えっと、その……もりくぼは、旅行に行ってみたいです。ゆっくりと休めるような……そんな場所で、少しでもあなぐら生活をしてみたいです……」

P「ふむふむ、旅行プランを考えて欲しいって事か。うん、それなら俺でも出来そうだな」

乃々「それと……1人では不安というか、何も出来そうにないので……」

P「他の子も欲しいってことか? それなら、インディビジュアルズの2人とかに話を通してみr」

乃々「いえ、その……ぷ、プロデューサーさんと一緒に行きたいんですけど……」




P「……俺?」

乃々「そう、ですけど……す、すみません、何個もお願いとか調子に乗り過ぎでした、わがままでした……。もりくぼは存在を薄くするので許して下さいぃ……!」マルマリッ

P「ああああ、怯えないで丸まらないでぇ! いや、ちょいと吃驚しただけだから! 顔上げてくれって、な?」

乃々「うぅ……もりくぼは悪い子です……贖罪を受けるべく無の心でお仕事行きます……」

P「待て待て! そんな悲しみを背負った状態で仕事なんかさせたくないぞ俺は! 旅行の件、全く問題ないから!」

乃々「えっ……? ほ、ほんとうですか、嘘じゃないですか……?」




P「俺は乃々だけのプロデューサーだから、休みを合わせるのは容易なんだ。ちょっとずれるけど、再来週くらいなら合わせられるぞ」

乃々「あ……色々と、う、嬉しいんですけど……良いんですか? もりくぼと旅行……めんどうでは……?」

P「よく分からんが、俺と行きたいんだろ? 乃々と居ると飽きないから、むしろこっちが嬉しいくらいだな」

乃々「あぅ……よ、良かったです……。喜びが頂点付近まで上り詰めていて、魂が昇華しそうですけど……悟りの境地なんですけど……」フラッ

P「っと、乃々? ちょ、乃々!? 凄く安らかな顔してるけどこれから仕事だから! 眠っちゃ駄目だぞ乃々!?」

乃々「私だけの…………そう言って貰えただけで…………実はもりくぼ、しあわせだったりしますけど…………ふふ」


ちひろ(……乃々ちゃんとプロデューサーさんの日程、確認しておきましょうかねぇ)パラパラ




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ダダダダダダダダ……


P「ち、ちひろさん! 乃々みませんでしたか!?」

ちひろ「え、乃々ちゃんですか? ……見てないですが、どうかなさったんですか?」

P「衣装を持ったまま、急にいなくなっちゃったんです! いつもの机の下とか、ソファの裏側とかも見たんですがどこにもいなくて……!」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん、落ち着いてください! プロデューサーさんが焦っても、乃々ちゃんが見つかる訳じゃないですから!」

P「んあっ、そ、そうですね。すぅ……はぁ…………ああ、何処行ったんだ乃々……」




ちひろ「……心配ですか?」

P「当然じゃないですか!!!」

ちひろ「おひゃっ!?」

ガタッ

P「あっ!? す、すみませんちひろさん! 大きな声出しても意味ないってのに…………本当に、失礼しました……」

ちひろ「い、いえ。プロデューサーさんが乃々ちゃんをとても思ってくれているのは良く分かりました」

カタカタ




ちひろ「プロデューサーさん、乃々ちゃんのお仕事までの時間は?」

P「あ、あと2時間ほど……です。先に衣装合わせをしようと思った矢先だったので、まだ時間はあるんですが……」

ちひろ「随分と早く隠……逃亡したのね乃々ちゃん……」

P「とりあえず、俺は外行って探して来ようと思います。もし事故にあってたらと思うと、俺、どうすればいいか……!」ダバァ

ちひろ「ちょ、プロデューサーさん泣かないで下さい!」

P「ぐ、すみません、乃々に何かあったらと思うと、心配で、しんぱいで……」

ちひろ「……ああもう見てられないです! 乃々ちゃん、いい加減出てきてくださいっ」

P「……へ?」ボロボロ


ガタン ガタッ ガコッ


乃々「……ぷ、プロデューサーさん……」




P「の、乃々ぉ!? ろ、ロッカーからって……一体どうやって……」

ちひろ「乃々ちゃんにひたすら頼まれたので、私が閉めたんです……ご、ごめんなさいプロデューサーさんっ!」

乃々「あ、あの、まさかこんなことになるなんて、思って無かったんですけど……その……」

P「乃々ぉ!」ダキッ

乃々「あうっ……ぷ、プロデューサーさん、そ、その、く、苦しいんですけど……」

P「あぁ、無事で良かった! 乃々に何にもなくて良かった、本当に良かった……」ギュウウウウウウウ

乃々「あっ…………私、とても困らせて…………ご、ごめんなさい……」

P「……あー、乃々が無事だったからもうなんでも良いよ。ただ、もう勝手にいなくなるのは止めてくれ。まじで、な?」




乃々「そ、そしたら……メールでお知らせすれば、いいですか……?」

P「ああ、そしたら直ぐに見つけて、抱えてでも一緒に仕事に行くからさ」

乃々「うぅ、お仕事連行はやぁぁ…………でも、強引なのは……」

P「乃々、隠れてたって事は、やっぱり今日の仕事も行きたくないのか?」

乃々「あ……その……そうだったんですけど……」

P「……けど?」

乃々「今日は……もりくぼ、後先考えてませんでした……。なので今日は、反省して……プロデューサーさんがついて来てくれるなら……やれ、る、かも……?」

P「そっか……ありがとな、乃々」ナデナデ

乃々「……うぅ、もりくぼは感謝されてはいけないんですけど……本当にごめんなさい、プロデューサーさん……」




ちひろ「プロデューサーさん、私からも本当に申し訳ありませんでした。まさか、プロデューサーさんがここまで慌ててしまうとは……」

P「ああいえ、いいですよ。乃々の頼みに付き合って貰って、こちらが迷惑を掛けてしまったというか……」

ちひろ「そ、そんな! プロデューサーさんは良い人過ぎるんです! 乃々ちゃんも、プロデューサーさんを頼りすぎないようにして下さいよ?」

乃々「えっ……その、プロデューサーさんがいないと……私、アイドルする意味も価値も必要性もないんですけど……」ギュッ

ちひろ(完全にプロデューサーさんに依存してますね乃々ちゃん……)




P「っと。おいおい乃々、俺がいないと仕事出来ないなんて、そうだったら今日大変だぞ?」ナデナデ

乃々「……え?」

P「その衣装、ソロLIVE用の衣装だろ? 後でLIVEの練習するから、乃々1人でステージに立たないと」

乃々「えっ、ソロLIVE……!? き、聞いてないんですけど……もりくぼ、驚きを隠せないんですけど……!?」オロオロ

P「あれ、言ってなかったっけ……? だから乃々が居なくなっちゃったのかと思ったんだけど……」

乃々「ぷ、プロデューサーさん……ソロLIVEはもりくぼの魂に悪いのでやめましょ……ね、ね? ほ、他なら今日は、頑張ります、頑張りますから……!」




P「うわ、乃々が凄いやる気を出してくれてる……! けど、今日はLIVEの練習だから、だーめ」

乃々「そ、そんな……プロデューサーさん……おに、あくまです……」

P「ほら、乃々も俺がついて来れば頑張るって言ってたし、さすがに今回は連れて行くぞ? こらこら、机にしがみつかないしがみつかない」

乃々「んぐぐぐぐ……ソロは、ソロだけは…………プロデューサーさんがいないと、いーやぁ……」ググググ

P「ぬぅ、これだけ引いてもダメなら……こうかっ」ヒョイ

乃々「はぅっ!?」

ちひろ(お……お姫様だっこだー!?)

乃々「……足下掬うとか、巧妙なんですけど……あぅ」

P「抱えてでもって、さっき言ったばかりだからな。……それじゃあちひろさん、今日はもう早めに会場行くことにしますので、事務所の方はお願いします」

ちひろ「あ、はい、わかりました。お2人とも、階段とか気を付けて下さいね」




乃々「あぁ、ちひろさん、へるぷみぃ……」モゾモゾ

ちひろ「乃々ちゃん、今回は私も重罪です。事務の仕事はみっちりとやるので、乃々ちゃんはしっかりとお仕事してきて下さいね?」

乃々「そ、そんなぁ……」

ちひろ「それに……」コソッ

乃々「?」

ちひろ(実は、悪くないんでしょう?)ボソッ

乃々「っ!?」

乃々「……………………っ」コクコク

ちひろ「ふふ、良かったですね。それじゃあ、いってらっしゃいませー♪」

P「ええ、行って来ます。乃々、しっかりと支えるけど、一応落ちないようにしがみついててくれなー」ノッシノッシ

乃々「ああ……もりくぼ、感情の波に呑まれてもう訳が分からなく……あぅ、誰か、この感情の説明を……ぷりーずぅ……」


ちひろ(もうおふさげで乃々ちゃんを匿うのは止めにしないと……ちっひー反省……)




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数週間後


P「あ、おはようございますちひろさん」

ちひろ「おはようございます。えーと今日は……3時間後には乃々ちゃんとスタジオ入りですね」

P「ええ、乃々が来るまで事務こなして待機ってところです。書類関係なら、お手伝いしますよ?」

ちひろ「わ、本当ですか? ありがとうございます、ではこれをまとめてダンボールに入れて頂きたいんですが……」

P「これですね、分かりました。ではそちらへ失礼しますね――」




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ゴソゴソ バサッ

P「ふぅ、こんな感じですかね」

ちひろ「いやぁ助かりました。ありがとうございます、プロデューサーさん」

P「いえいえ、乃々の仕事まで時間有り余ってますからね。今日も早く来過ぎちゃいましたし……」

ちひろ「お仕事……ああ、そういえば乃々ちゃん、お仕事に対してそこまで拒否しなくなりましたよね?」

P「あ、そうなんですよ。乃々、頑張ってくれているみたいで……良かったなぁと思うばかりです」

ちひろ「そんなこと言って……プロデューサーさんが、また乃々ちゃんにご褒美あげているとかそういうものじゃないんですか?」

P「いえ、ちょっと前まではそれだったんですけど……1週間前くらいから、結構仕事に対して向き合ってくれてるんですよ」

ちひろ「1週間前……ああ、乃々ちゃんと旅行から帰ってきた辺りですね。……何かあったんですか?」




P「何かって、ただ乃々と旅行してきただけだったんですが……?」

ちひろ「ふむ……その旅行で切っ掛けになった出来事があったんじゃないかなーと思いまして」

P「切っ掛け、ですか……何かあったかなぁ。本当に普通の旅行だったと思いますよ」

ちひろ(アイドルと2人きりで旅行の時点で普通じゃないんですけど、黙っておきましょう……)

ちひろ「あー、普段しないようなこととか、そういうのが乃々ちゃんにとって切っ掛けだったと思うんですけど……」

P「うーん? 特に思いつかないなぁ……すみません、乃々に直接聞いた方が早い気がしますね、ははは」

ちひろ「ふふ、乃々ちゃんが話してくれれば良いんですけどねー」




ガチャッ


乃々「……あの、お、おはようございます」

ちひろ「あら。おはようございます、乃々ちゃん」

P「お、噂をすれば……」

乃々「な、なんですか……? 私の噂……わるぐちですか……?」

スタスタ

P「そんなわけないだろ。おはよう乃々、今日もお仕事、一緒に頑張ろうな」ナデナデ

乃々「あ、一緒に……もりくぼ、やる気はないですが……頑張りはします……」

P「はは、やる気も出してくれって。乃々を待っている人は沢山いるんだからな?」

乃々「……そ、それは、Pさんも……ですか……?」

ちひろ(……あれ?)

P「当然だ。今日も乃々が来るの楽しみで、1時間くらい早く事務所来てるからなー」

乃々「そう……ですか。……嬉しいん、ですけど……」

ちひろ(……気のせいですかね?)




ちひろ「乃々ちゃん、今日はやけに来るの早いですね? 準備と移動を含めても、お仕事まで1時間くらいありますけど」

乃々「あ……その……その1時間は、あっという間に過ぎてしまうので……もりくぼ的には、ちょっと遅いくらいですけど……」

ちひろ「? どういう……」

P「ん、なんだ乃々、今日もするのか?」

乃々「……してくれないと、もりくぼは今日来た意味が……ないので……」

P「ははっ、なんだそれ。お仕事がついでみたいな言い方だなぁ」

乃々「あながち間違いではないんですけど……いいです、か?」

P「ん、今日は時間あるからな。のんびりやりますかー」




ちひろ「? え、ちょっとお2人とも、なにを?」

P「いえ、ちょっとした時間つぶしです。ちひろさん、ちょっと1時間くらいこっちのテレビと、この来客用の大きいソファ使いますねー」ガタン

ちひろ「え、いいですけど……本当に何を……?」

乃々「あの、Pさん……はーりぃ……」

P「おう、ごめんな。それじゃあ……よっと」




ちひろ(あ、プロデューサーさんが椅子に座って……)

P「ほい乃々、いいぞー」

乃々「あ、では……」テテテテ

ちひろ(乃々ちゃんが駆け寄って……)

乃々「し、失礼しますけど……」

P「おお、今日もそれ言うのか。毎回言わなくても良いんだぞ?」

乃々「言わないと……もりくぼの心身に悪いので……んしょ……」

ストンッ

乃々「……♪」ポフン

ちひろ(プロデューサーさんと同じ椅子に座って、プロデューサーさんに背中から寄りかかっ……)


ちひろ「って、何してるんですか2人ともぉ!?」




乃々「ひぅっ!? な、なんですかちひろさん……も、もりくぼいぢめですか? いぢめ、よくないですよ……?」フルフル

P「ど、どうしたんですか? 珍しく声を荒げて……」

ちひろ「どうしたもこうしたも声を荒げたくもなりますって! な、何してるんですかそれ! 何してるんですかそれぇ!」

P「えーっと……なぁ乃々、これってなんなんだ?」

ちひろ「プロデューサーさんも知らないんですか!?」




乃々「えっと……これは、その……もりくぼ式りらっくす、です」

ちひろ「り、リラックス……?」

乃々「こうすると……不思議と落ち着いて……心が無になって……そうすると、お仕事もなんだか平気になるんですけど……」

ちひろ「それって乃々ちゃん、悟りの境地に入ってません……?」


りらっくすなら仕方ない



P「なんだ乃々、これリラックスしてたのか? というか、こんなのでリラックス出来てるのか?」

乃々「そ、そうですけど……前、旅館の部屋でPさんがこうしてくれた時……心身共にとても癒されたので……」

P「おお、そうなのか、そりゃあ良かった。乃々が癒されていたのなら、この上ない幸せだなー」

ちひろ「ちょ、ちょっとプロデューサーさん!? 旅行の時、乃々ちゃんと同じ部屋だったんですか!?」

P「え? そりゃそうですよ、乃々をひとりになんて出来るわけないじゃないですか。どうしたんですか?」

ちひろ「えっ……わ、私がおかしいんですかこれ? さも当然かのように返されて困惑するしかないんですけど……!?」




P「?」

乃々「……?」

ちひろ「あー……いえ、なんでもないです。……では私は、そろそろ業務に戻るとしますね?」

P「あ、はい。また何か問題があったら言って下さいね」

ちひろ「ええ、ありがとうございます。乃々ちゃん、しっかりとリラックスして下さいね」スタスタ

乃々「あっ、ありがとうございます……りらっくすします……」スリスリ


ちひろ(……)スタスタ

ちひろ(……でも少し、気になるのよね。ちょっと、仕事しながら見守ってみようかしら?)チラッ




P「――さてと。流石にこのままじゃ暇だから……乃々、テレビのリモコンとれるか?」

乃々「ん、んー……と、とれな……あ、届きました……」スッ

P「どうしてもここからは動く気無いんだな……」

乃々「折角のりらっくす中に動くのは、むーりぃ……あ、この時間は朝の動物コーナーが○チャンネルであって……」

P「お、じゃあそれ見るか。乃々、可愛い動物好きだもんなー」ピッ ピッ


ちひろ(最近、2人のことを見る機会があまりありませんでしたが……こんなことしてたとは。……微笑ましいわね)




\キョウノワンチャンハコノコデス!/ \ワフン/

乃々「あ、可愛い……ほのぼのします、落ち着きます……」

P「おー、すっごいもっふもふな犬だなぁ。……なんだか、乃々の髪に似てるかも」

乃々「もりくぼ、犬みたいですか……でも、Pさんにもふもふされるのなら……」

P「乃々の髪、くるくるっと巻かれてて可愛いよなぁ。これ、いつも1人でやってるのか?」

乃々「あ、ちょっと前は親にして貰ってましたけど……今は、1人で出来るようになりました。くるくる、やってみると面白くて……」

P「ほぉー、1人で出来るとか偉いなぁ乃々。よし、ご褒美に髪の毛もふもふするぞ、もふもふー」モフモフフン

乃々「あぅ……く、くすぐったいんですけど……。あ、でも、なんだか……Pさんに触れられてると思うと……悪くは……」ポワーン


ちひろ(そしていつの間にか、こんなに距離が近く……なりすぎてませんか?)




ちひろ(むむむ……これってどうみてもアイドルとプロデューサーのあるべき姿じゃないような……?)

ちひろ(しかも、気のせいじゃなかった。乃々ちゃん、いつの間にかプロデューサーさんを名前だけで呼んでる……)

ちひろ(うーん、ちょっとこれは、早めに注意という形をとった方がいい気がするわね。何かあってからじゃ遅いわけだし……)

ちひろ(……仕方ない事よね。あの2人には申し訳ないけれど……よし、決めるのよ私っ)


ちひろ「……コホンッ! あ、あのー、お2人とも……」コソッ


素晴らしい



乃々「あ、あの、Pさん。もふもふもいいんですけど……頭を……その……」

P「ん、ああ、撫でればいいんだっけか? ほいほい、任せとけー」ナデナデ

乃々「ん……それと、もっと……ぎゅっと……」

P「おう、空いた手で引き寄せるんだったな。えーと、こうか?」ギュー

乃々「あ……ふぅ……気持ちいぃ……ですけど……」


ちひろ「ひゃっ……!」

ちひろ(わ、わわ……ほぼあすなろ抱きじゃないですかあれ! 女の子が憧れていると有名な!)

ちひろ(というか、うわぁ……乃々ちゃん、これまで見たこと無いくらいに幸せそうな顔してる……蕩けてる……!)




P「しかし、乃々がお仕事に前向きになってくれて嬉しいよ。前は何か条件無いとやってくれなかったしさ」

乃々「……ご褒美は、絶賛前借り中なんですけど」ボソボソ

P「ん? あ、ごめんな、耳遠いからまた聞こえなかった……何て?」

乃々「い、いえ、独り言なので……大丈夫です。お仕事は……Pさんが頑張ってくれているので、もりくぼもがんばらないと申し訳ないって……思って……」

P「……!!」

乃々「……?」

P「……の、乃々ぉ!」ガバツ

乃々「ひゃぅん!? ぴ、Pさん、な、なにを……?」

P「俺のために苦手な仕事を頑張ってくれるとか、幸せ以外の何物でもないぞ……! ありがとな、ありがとな乃々……俺、お前のプロデューサーで良かった……!」ギュー

乃々「お、大袈裟なんですけど……! あ、でも、もりくぼも……Pさんの、アイドルで……良かったと、思います……あぅぅ」

P「乃"々"ォォォォ……」ダバァ

乃々「Pさん、涙で凄いことに……あの、もりくぼが拭くので、動かないで欲しいんですけど……」フキフキ

P「あ"、ごめんな、直ぐに泣き止むから……ああ、もう平気だ。ありがとな、乃々」グシグシ

乃々「それは、もりくぼも同じですけど……あっ、は、恥ずかしくなってきたので、やっぱり今までのな、無かったことに……!」アタフタ


ちひろ(…………あー、これは……)




P「ズビ……そういやこのソファ、俺が奥までどっしり座れば丁度乃々が前にすっぽり収まるなぁ。旅館の椅子だと狭かったから、なんだか新鮮だよ」

乃々「このソファ、もりくぼ専用に欲しいんですけど……。これがあれば、いつでもこうできますし……」

P「おいおい、これするのはお仕事の時間までって決めただろ?」

乃々「お、お仕事の後も、こうしたいんですけど……だめ、ですか?」

P「……そうしたら、1人でお仕事頑張ってくれるか?」

乃々「ぴ、Pさんが一緒なら……やれる、かも……?」

P「…………」

乃々「…………」

P「もー、しょうがないなぁ乃々は。それじゃあ、今日からやるとするかー」

乃々「あっ……完全勝利……なんですけど……!」ガッツポーズ


ちひろ(……害無し、問題無し、ですかね? 完全に2人の世界だわこれ……)




\ソレデハマタアシタ-/

P「……番組終わっちゃったか。乃々、他になにかテレビ見るのか?」ズビー

乃々「いえ……この後は、もりくぼが好む番組無いので……」

P「そっか、それじゃあどうするかな。乃々も、このまま時間を過ごすのはつまらないだろ?」

乃々「あ、その……私は、このままプロデューサーさんと居られるなら、それで満足なんですけど……」

P「ん、そうなのか? ならいいんだけどもさ」

乃々「プロデューサーさんは、暇じゃないですか……? もりくぼとこうするだけですし、つまらないと思うんですけど……」

P「俺か? 俺は全然暇じゃないよ。乃々と事務所でこうしているだけで、何かもう既に幸せでなー。あー、りらっくすしてるのは俺の方かもしれないな」

乃々「あ、それは、この上なく嬉しいんですけど……ふふ……私も、しあわせかも……」


ちひろ(……お2人とも幸せそうだから、もう放っておきましょうか。まぁ、あの様子なら、問題はきっと無いでしょうし)スタスタ

ちひろ「……さてと、それじゃあ」チラッ




P「あ、もう結構時間経ってるのか。相変わらず早いなぁ」

乃々「時間早すぎます……あーりぃ……」

P「んー、楽しかったし仕方ないか。まぁその分、残りの時間を有意義に過ごせば良いんだからな。そうだ、何かして欲しい事ってあるか?」

乃々「……で、では、もっともりくぼを強く……その、もっと密着する感じに……ぎゅっと、ぷりーずぅ……」

P「おう、お安いご用だ。痛かったら言ってくれよー」ギュー

乃々「はぅ……へぶんりぃ……」

イチャイチャ イチャコラ…





ちひろ「……コーヒーを煎れるとしましょうか。あの2人と正反対の……とびっきり、苦ーいやつを」





お わ る



アイプロの乃々が可愛かったので、つい
乃々の台詞は、アイプロなどから参考にさせて頂いております。私も乃々とあなぐら生活してみたい

乃々は懐くと犬みたいになりそうな気がします。Coは動物っぽい人が多くて素晴らしいですね
ここまで見て頂き、本当にありがとうございました。また投稿する際にはよろしくお願いします


前作:モバP「夢見る魔法をあなたと」 次:Coの子?


おつ

森久保乃々(14)
http://i.imgur.com/hkcyNGx.jpg
http://i.imgur.com/iqpGor4.jpg

素晴らしい
乙でした

これで少女漫画好きってんだから堪らん

乃々に依存されたい。

素晴らしい

いいssだった、かけ値なしに

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