【東方SS】妹紅「骨の音」 (87)
*このSSは、岩明均さんの漫画『骨の音』のストーリーをほぼそのままなぞったものです。
*ストーリーの都合上、原作と異なる部分もありますが、
それでもいいという方は、お読みいただければ幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396361287
深夜、迷いの竹林
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
妹紅「今夜も静かね・・・・・・」
ザワザワザワ・・・ ザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
ガサッ!!
妹紅「!!」
ビュッ!!
「ギャン!!」
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
深夜、迷いの竹林
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
妹紅「今夜も静かね・・・・・・」
ザワザワザワ・・・ ザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
ガサッ!!
妹紅「!!」
ビュッ!!
「ギャン!!」
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
深夜、迷いの竹林
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
妹紅「今夜も静かね・・・・・・」
ザワザワザワ・・・ ザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
ガサッ!!
妹紅「!!」
ビュッ!!
「ギャン!!」
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
深夜、迷いの竹林
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
妹紅「今夜も静かね・・・・・・」
ザワザワザワ・・・ ザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
ガサッ!!
妹紅「!!」
ビュッ!!
「ギャン!!」
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
すみません、連続投稿してしまいました
ザワザワザワ・・・ ザワザワ・・・
妹紅「・・・・・・」
妹紅(・・・・・・思わず石を投げてしまったけれど・・・・・・)
妹紅(・・・・・・何だったのかしら)
ガサッ ガサッ ガサッ・・・・・・
妹紅「・・・・・・あ」
妹紅(・・・・・・子犬・・・・・・)
妹紅「・・・・・・」
妹紅「・・・・・・骨の音・・・・・・」
翌日、夕刻 上白沢慧音の寺子屋
チルノ「先生、聞いてる?」
慧音「ええ、聞いてますよ」
チルノ「あたい、絶対大ちゃんのこと、許さないんだから!!」
慧音「・・・・・・まあ、あなたの気持ちも分からないでもないが」
チルノ「あたい、大ちゃんのためならなんでもするって、本当に思ってたのに!」
チルノ「それこそ死んでもいいってくらいね!」
慧音「こら、そう軽々と死ぬなんて言葉を使うんじゃない」
チルノ「・・・・・・フン!先生はあたいの気持ちなんて分かんないんだね!」
チルノ「今日また会ったらスイカバーぶん回してリボン燃やしてやるんだから!!」
バターン!!
慧音「!!」
チルノ「!!」
チルノ(な、なんか凄い勢いで扉を開けたヤツがいる・・・・・・)
カツカツカツカツカツ・・・・・・
紅妹「・・・・・・」
慧音(あ・・・・・・あの娘は・・・・・・)
ドシン!
チルノ「あいたっ」
慧音「わっ」
妹紅「・・・・・・」
カツカツカツカツカツ・・・・・・ バタン!!
チルノ「・・・・・・危ないじゃないの!!あたいに思いっきりぶつかっていって謝りもしないなんて!!」
慧音「廊下の真ん中でぐるぐる飛びながら話してるからぶつかるんだろう・・・・・・」
慧音「それと」
慧音「大妖精のリボンを燃やすなんて物騒なことを言うのはやめなさい、2人とも本当は仲がいいんだから」
チルノ「・・・・・・・・・・・・」
チルノ「うるさーーーい!!バーカバーカ!!」
ダッ
慧音「あ・・・・・・」
慧音(まったく・・・・・・ま、2人のことだからすぐに仲直りするだろう)
慧音(さて・・・・・・)
同じく慧音の寺子屋、自由室
ソーッ
慧音(・・・・・・やはり、あの娘だ・・・・・・)
慧音(近頃、よく来るな・・・・・・)
・・・・・・この寺子屋では、私が生徒に勉強を教えている。
だが、もっと子供達には、知識を広めたり、想像力を育てて欲しい。
そう思い、最近、この自由室を設けた。
ここには私の書いた歴史の本、香霖堂の森近霖之助から仕入れた本を置いてあり、誰でも自由に読めるようになっている。・・・残念ながら私の本は不評のようだが・・・。
また、節度さえ守ってもらえれば、個人の自由に使ってもらってもかまわない。
そういうことで、利用者の少ない時間帯には、自主学習をしに来る者や、演劇の練習をしに来る者もいた。
そして、彼女もまたその1人で―――
・・・・・・
・・・・・・
数日前、自由室
慧音(・・・・・・おや?見慣れない者が利用しているな・・・・・・)
慧音(絵画を描いているのか)
慧音(白沢の頭蓋骨!?いや牛の頭蓋骨か)
慧音(・・・・・・)
妹紅「・・・・・・」クルッ
慧音「すまない、邪魔をするつもりはなかったのだが・・・・・・」
慧音「!?」
妹紅「・・・・・・」
妹紅「・・・・・・」クルッ
慧音「あ、す、すまない、邪魔をしたな・・・・・・」 タッタッタッタ・・・・・・
慧音(な、なんだあの娘の目は!!)
慧音(炎のように燃えて紅く)
慧音(しかし、死人のように冷たく生気のない・・・・・・)
慧音(一瞬、焼き殺されるかと思った・・・・・・)
・・・・・・
・・・・・・
慧音(・・・・・・さっきのチルノに対する態度もそうだし)
慧音(それにあの目・・・生徒達が見たら驚いて泣いてしまうかもしれない)
慧音(少し問題かもしれんな・・・・・・)
チルノ「せんせー!!」
大妖精「先生、すいません、教室に忘れ物をしちゃったんですけど・・・・・・」
慧音「おや大妖精。チルノからスイカバーは・・・・・・」
チルノ「あーーーー!!なんでもないなんでもないの!!」
大妖精「?」
チルノ「い、いいの!もう誤解は氷のようにとけたのよ!」
チルノ「じゃ、あたいたち教室に行って帰るわ!」
大妖精「先生、さようなら」
慧音「ああ、気をつけてな」
慧音「・・・・・・まったく・・・・・・」
慧音「・・・・・・さて・・・・・・」
慧音(今日の内に、あの娘のことを少し知っておくか・・・・・・)
ガチャッ
慧音「おや、画材はあるが本人がいないな」
慧音「・・・・・・」
慧音(穴の空いた、古びた牛の頭蓋骨か・・・)
慧音(こんなものを描いて、面白いのだろうか?)
妹紅「さわらないでくれる?」
慧音「!! あ、ああ・・・すまない勝手に触って・・・・・・」
妹紅「・・・・・・」
慧音「少し、見学していてもかまわないか?」
妹紅「・・・・・・いいわよ」
紅妹「・・・・・・」
シャッ シャッ シャッ
慧音(・・・随分殺風景な絵だな)
慧音「・・・そんな骨の絵を描いて、面白いのか?」
紅妹「はぁ?」
慧音「い、いや・・・もっとホラ、林檎とか、花とか・・・そういうものは描かないのか?」
紅妹「・・・・・・」
紅妹「形の変わっていくものは嫌いなのよ・・・・・・」
紅妹「とくに、生き物なんか・・・」
慧音「ほう・・・やはり、絵を描くような芸術の才能のある者は、感性が違うのか・・・骨が好きなのか?」
紅妹「・・・骨は絵描きの練習でもよく使われているわね・・・」
紅妹「・・・あなた、ここの管理人よね?邪魔だったらもう帰るわ」
慧音「あ、いやすまない!ここはまだしばらく解放してあるから、好きなだけ描いていってくれ」
バタン
紅妹「・・・・・・」
シャッ シャッ シャッ
慧音(・・・随分冷たくて、生気のない少女だな・・・・・・)
慧音(まあ、もう少し様子を見るとしよう)
期待
翌日、昼、人里の料理屋
慧音「じゃあ、この甲定食をひとつ」
店員「かしこまりました」
慧音「・・・おや?」
紅妹「・・・・・・」モグモグ
慧音「やあ」
紅妹「あ・・・」
慧音「昨日は邪魔をしてすまなかったな」
紅妹「いいわよ。・・・別に昨日は邪魔されてなんかないわよ。それに、あなたの管理している場所なんだし・・・」
慧音「いや、あそこは基本的に自由に使ってもらってかまわないのだから、そう言うな」
慧音「・・・私は上白沢慧音と言う、申し遅れた」
紅妹「・・・・・・藤原妹紅よ・・・・・・」
慧音「・・・・・・」
紅妹「・・・・・・」
慧音「あ」
紅妹「?」
慧音「ここ、座ってもよかったか?」
紅妹「・・・もう座ってるじゃない、言うのが遅いわ」
慧音「フフフ」
紅妹「フフ・・・・・・」
紅妹「・・・・・・」
慧音「!!」
慧音(ま、またあの目だ・・・・・・!!)
慧音「君のその目つき・・・すごいな。ゾクっとしてしまったよ」
紅妹「!?」
紅妹「え・・・・・・!?」
紅妹「・・・・・・!!」
紅妹「め、目が・・・・・・?」
紅妹「だ、だからって・・・・・・何?」
紅妹「ほ、骨でもしゃぶってた方が、に、似合うのかしら」
慧音「え、ええ!?い、いやすまない、そんな馬鹿にしたつもりは・・・・・・」
チルノ「あっ、先生だーー!!」
大妖精「先生、こんにちは」
慧音「!! あ、ああ、お前達もここで昼食をとっていたのか」
紅妹「あ、わ、私先に行くわ・・・・・・」ガタガタッ
慧音「え!?あ、あの・・・!!」
タタタタタタ・・・
大妖精「行っちゃった・・・」
チルノ「何あいつ?あー!っていうか昨日あたいにぶつかってきた奴じゃないの!先生あいつと仲いいの?」
慧音「・・・・・・」
夕刻、慧音の寺子屋前
慧音(・・・・・・今日の授業は終わり、と・・・)
慧音(・・・自由室の利用者もいない・・・)
慧音(あの娘は・・・・・・紅妹、は来ないのだろうか?)
紅妹「あ、あの・・・・・・上白沢・・・さん?」
慧音「!!」
慧音「も・・・ふ、藤原・・・・・・さん。すまない、今日はもう閉めてしまって・・・」
紅妹「いえ、自由室はいいのよ。それより・・・」
慧音「え?」
紅妹「ねえさっき・・・」
紅妹「私の目つきが変だって言ったわよね?」
慧音「え?た、確かにゾクっとするとは言ったが、そこまでは・・・・・・」
慧音「その・・・ただ、君がちょっと怖い目で睨んだものだから・・・」
紅妹「・・・・・・怖い?」
紅妹「怖いって?」
慧音「あ、あの・・・その、すまなかった」
慧音「私の軽率な発言で、君を傷つけてしまったようで、本当にすまない・・・」
慧音「別に目つきが悪いとか、そんな事ではなくて・・・」
慧音「・・・き、綺麗だと思うぞ私は!真っ赤で凄く綺麗な目だ!」
紅妹「・・・・・・」
紅妹「違う・・・・・・」
紅妹「そんなこと聞いてない・・・・・・」
紅妹「ご、ごめんなさい!さようなら!!」ダッ
慧音「あ、ちょ、ちょっと!!」
慧音「あ・・・・・・」
慧音(しまった・・・これは本当に傷つけてしまったようだ・・・しっかりと詫びなければ・・・)
慧音(しかし・・・それにしても随分様子がおかしかったな・・・・・・)
翌日、夕刻、帰り道
慧音(・・・今日も紅妹は来なかったな・・・)
慧音(・・・あ!あのリボンは!)
慧音「も、紅妹!!」
紅妹「!!」
慧音(・・・ハッ!しまった!!大声を出したから皆がこちらを見ている)
慧音(しかもいきなり呼び捨てにしてしまうなんて・・・ああ、私はなんて失礼なヤツなんだ・・・)
紅妹「何か用?上白沢さん」
慧音「あ・・・いやその・・・・・・」
慧音「それより、私の事はよかったら、慧音と呼んでくれないか・・・どうも苗字で呼ばれるのは慣れていない」
慧音「それに、私も君の事を呼び捨てにしてしまったしな」
紅妹「そう、分かったわ慧音」
慧音「あ、ああ!宜しく頼む」
紅妹「・・・・・・」
慧音「・・・・・・」
慧音「そ、それでだ・・・昨日の事なんだが・・・」
慧音「その、本当にすまなかった・・・いや、何度詫びても詫びきれない・・・」
慧音「君の心の深い所まで傷つけてしまって、本当に申し訳ない」
紅妹「・・・・・・」
紅妹「いえ、いいのよ。こちらこそごめんなさい・・・」
紅妹「他人に確かめるようなことじゃなかったし・・・・・・気にしないで」
慧音(・・・そんな言い方をされると、ますます申し訳ないではないか・・・!)
慧音「な、なあ紅妹。これから時間があったら、そこで団子でも食べて行かないか?」
紅妹「ありがとう。でも、夜にはもう行くところがあるの」
慧音「そ、そうだ。私が食べたいだけご馳走しよう。・・・今の私にはそれくらいしか詫びる方法が思いつかない」
紅妹「・・・・・・ありがとう、じゃあ待ち合わせがあるから、少しだけなら」
団子屋店内
慧音「・・・・・・」
紅妹「・・・・・・」
紅妹「・・・・・・ねえ慧音」
慧音「なんだ、紅妹?」
紅妹「慧音は・・・・・・」
紅妹「大切な人が死んだとき・・・・・・やっぱり泣くよね・・・?」
慧音「・・・・・・ああ、そうだな・・・」
慧音「私も何度か、見知った人や友人を見取ったことがある・・・」
慧音「その時は、胸が潰れる思いだったよ」
慧音「・・・紅妹はどうなんだ?」
紅妹「私・・・・・・?」
紅妹「私は・・・・・・・・・・・・」
紅妹「・・・・・・・・・泣かないわ・・・・・・」
慧音「!!」
慧音「そ、そうか・・・・・・」
紅妹「・・・・・・」
紅妹「そろそろ時間ね・・・・・・ごちそうさま、ありがとう慧音」
慧音「あ、もうそんな時間か?」
紅妹「少し早いけど、アイツが来る前に早く行かないとと思って」
慧音「・・・アイツ?ああ、待ち合わせしていたのか・・・」
慧音「その友人はそんなにせっかちな奴なのか?」
紅妹「そうね。人を攻撃するのが好きなのよ」
慧音「!?」
紅妹「今日に限ってめずらしく傷の治りが遅くて・・・・・・ほら、ココ」
慧音「・・・・・・!!」
慧音(額にこんなに大きな痣が・・・・・・!)
途中から紅妹になってる
慧音「お、おい紅妹。なんでそんな奴に会いに行くんだ?そんなことをする奴は友達なんかじゃないだろう!」
慧音「それとも・・・・・・好きだから会っているのか?・・・友達として」
紅妹「冗談じゃないわ。頑丈なヤツだからよ」
紅妹「お互い、相手を人間として見ていないわね」
慧音(・・・・・・わ、私はからかわれているのか!?こんなことがあっていいハズがない!)
慧音「紅妹!どうしてそんな奴と会うんだ!!友達に暴力を振るう奴なんて最低だ!今日はそいつに会わずに帰るんだ」
紅妹「・・・・・・」
紅妹「・・・・・・私、優しい人が嫌いなのよ」
慧音(ダメだ、全然分かってくれない!)
慧音(こうなったら私も付いて言って、その友達とやらに一発お見舞いしてやる!)
>>25
すみません、以降から訂正します。
夜、迷いの竹林
慧音(ここは・・・迷いの竹林じゃないか)
慧音(一体ここにどんな用があるんだ・・・・・・?)
妹紅「・・・・・・そろそろヤツが来るから離れてた方がいいわ」
慧音「えっ!?」
「スペルカード!『ブリリアントドラゴンバレッタ』!!」
ドドドドドォン!!
慧音「!?」
慧音(こ、これは!!スペルカードによる攻撃!?)
慧音「も、妹紅危ない!逃げろ・・・」
妹紅「・・・スペルカード、『火の鳥 -鳳翼天翔-』」
慧音「!?」
ゴ オ ッ !!
慧音「妹紅!!お、お前・・・・・・!!」
妹紅「分かったでしょう・・・早く帰った方がいいわよ」
妹紅「さよなら」
慧音「あ、あ・・・・・・」
ダッ!!
タッタッタッタ・・・・・・
慧音「ハァ・・・ハァ・・・」
慧音(妹紅があんな恐ろしいことをしていたなんて・・・・・・!!)
慧音(あんな大きな痣をつけられることを・・・)
慧音(1人の・・・女の子に・・・・・・)
慧音(・・・・・・)
ドオオオン!! ドゴオオオン!!
輝夜「妹紅、今日は随分動きが遅いんじゃない!?」
妹紅「・・・うるさいわね、無駄口叩いてると殺すわよ!!スペルカード『滅罪寺院傷』!!」
ダダダダダダダ・・・
輝夜「甘いわよ!『滅罪寺院傷』!!」
ド オ ン !!
妹紅(しま・・・っ・・・・・・)
「スペルカード『ファーストピラミッド』!!」
ドオン!ドオン!ドオン!
輝夜「・・・・・・ッ!!だ、誰っ!?」
妹紅「け、慧音!!どうして戻ってきたの!?」
慧音「・・・違う!違うんだよ妹紅!!」
妹紅「・・・えっ?」
慧音「自分の目つきが気になるんだろう!?・・・お前のせいじゃない、あの女のせいじゃないのか!?」
慧音「見たところ2人が戦っているのは昨日今日の話ではなさそうだ」
慧音「こんなことを続けて、お前の心は疲れてしまったんだよ!!」
妹紅「・・・・・・」
妹紅「ち、違う・・・・・・」
慧音「違うもんか!頼むから私の言う事を・・・・・・」
ドオオン!!
・・・・・・
妹紅「・・・ゲホッ、ゲホゲホッ・・・ちょっと輝夜!ちゃんと宣言してから攻撃しなさいよ!」
妹紅「って・・・あれ・・・?」
妹紅「・・・」
慧音「・・・・・・」 ドサッ
輝夜「全く、とんだ邪魔が入ったものね。この事を教えたのは妹紅、アンタなの?」
妹紅「・・・・・・違う・・・・・・」
輝夜「ふーん、じゃこいつが勝手に付いてきたって事でいいのね?」
妹紅「・・・・・・」
輝夜「妹紅、今日の殺し合いはもうお終いよ」
輝夜「その代わり・・・あなたには付き合ってもらうわよ」
慧音「う・・・うう」
輝夜「見たところ人間だけど、スペルカードを使えるあたり、ただの人間じゃなさそうだしね」
輝夜「こっちに来なさい。妹紅も来るのよ」
妹紅「・・・・・・」
・・・・・・
バキッ ガスッ ドガッ
輝夜「ホラ、なんとか言ってみなさいよ!!」
慧音「な、何を・・・・・・」
輝夜「アハハ!頭悪いのね!!」
バキッ!!
慧音「!! グ、フッ・・・」ゲホゲホッ
慧音(くそ・・・まいったな、スペルカード対決でもするかと思ったら)
慧音(まさか殴る蹴るの物理攻撃だなんて・・・)
慧音(いつもなら頭突きでもして反撃できるのに・・・)
慧音(さっきの攻撃をまともにくらったせいで、力が入らない・・・・・・)
慧音(妹紅、お前いつもこんなやつに・・・・・・)
妹紅「・・・・・・」
輝夜「あのね、この子は私の遊び相手なの。だから・・・・・・」
バシン!! バッシィン!!
慧音「ゲフッ」ガクッ ズル・・・ズル・・・
妹紅「・・・・・・」
輝夜「・・・最後にとっておきのスペルカードでも見せてあげようかしら?」
慧音「!!」
慧音「す」
慧音「すみ・・・ません・・・・・・」
輝夜「・・・・・・ハァ?」
慧音「す・・・・・・すみません・・・・・・でした・・・」
輝夜「・・・・・・」
輝夜「プッ」
輝夜「アハハハハ!!アーッハッハッハッハ!!」
輝夜「ハハハ・・・ま、これに懲りたら、竹林にはもう近づかないことね」
慧音「は、はい・・・」
輝夜「あーあ、なんだかつまんなくなっちゃった。私はもう帰るわ」
ザッザッザッザ・・・
妹紅「・・・・・・」
クルッ
ザッザッザッザ・・・
慧音(妹紅・・・・・・帰ってしまったのか・・・・・・)
慧音(・・・私も帰ろう・・・なんとか歩けるようだ)
翌日、朝、慧音の寺子屋
チルノ「・・・・・・」
大妖精「・・・・・・」
慧音「・・・・・・」
チルノ「せ、先生その顔・・・・・・」
大妖精「・・・・・・喧嘩、したんですか?」
慧音「・・・・・・黙って問題を解け」
チルノ「!!」
大妖精「こ、怖い・・・・・・」
慧音(随分と顔が腫れてしまった・・・)
慧音(しかも生徒に八つ当たりしてしまうとは・・・私とした事が、情けない)
慧音(しかし、この憤りは・・・どうにも治まらない)
夕方、帰り道
慧音「・・・・・・」
慧音「・・・・・・あ」
慧音(妹紅・・・)
妹紅「・・・」
慧音「・・・」
慧音(すれ違っても、詫びもなしか・・・・・・)
慧音(・・・もう、関係ない)
慧音(私の知った事ではない、もう関係ないことだ!)
慧音(勝手にしろ!)
慧音(・・・・・・)
今日はここまでです
重複レス、書き間違いなど失礼しました。
>>29の輝夜のスペカですが
×輝夜「甘いわよ!『滅罪寺院傷』!!」
○輝夜「甘いわよ!『ブディストダイアモンド』!!」
です、すみません
乙
乙
おはようございます。
続きを投下します。
"冗談じゃないわ。頑丈なヤツだからよ"
"お互い、相手を人間として見ていないわね"
慧音(・・・・・・そう、関係ない・・・・・・)
"慧音は・・・・・・"
"大切な人が死んだとき・・・・・・やっぱり泣くよね・・・?"
慧音(・・・・・・)
慧音(・・・・・・妹紅は、泣かないのか?)
慧音(・・・・・・泣けないのか?)
翌日
町人1「藤原妹紅?知ってるよ。ちょっとイカれた感じの子な・・・・・・」
慧音「何か、彼女について知っている事はないか?過去の事とか・・・」
町人1「あの娘の過去?さぁ・・・・・・」
町人2「・・・そう言えば、昔の大事な友達を・・・・・・殺しちゃった・・・・・・って話、彼女の事だったかな・・・」
慧音「!? こ、殺し・・・・・・!?」
町人2「ま、本当かどうかは分からないけどね」
町人3「多分本当よ。私、あの子がいつも1人でフラフラしてるから、いつも何してるの、って聞いたら・・・『今は何もしてない、でも昔は人殺しをした』って答えて・・・」
慧音「・・・・・・」
町人3「そのときの彼女の目つきったら・・・思い出すだけで殺されそうよ!・・・あまりそのことは彼女に聞かない方がいいと思うわよ・・・」
慧音(死んだ友達・・・・・・)
慧音(大事な友達・・・・・・)
慧音(殺してしまった友達・・・・・・)
慧音「・・・・・・」
夕刻、慧音の寺子屋、自由室
妹紅「・・・・・・」
シャッ シャッ シャッ・・・
慧音「かなり出来上がってきたな、骨の絵」
妹紅「!!」
慧音「・・・生き物は嫌い・・・形が変わるから、か・・・・・・」
慧音「私の顔のようにな・・・フフ」
妹紅「・・・ごめんなさい、あの子・・・輝夜についての説明が足りなかったわ」
慧音「実は・・・ここのところ、気になってしょうがないんだよ」
妹紅「?」
慧音「君の事がね・・・・・・」
慧音「君の過去を少し調べさせてもらったよ・・・・・・その・・・友人、の事とかな」
妹紅「!!」
慧音「それに、スペルカードが使えるあたり、ただの人間ではなさそうだ」
慧音「・・・・・・一体君は何者なんだ?」
妹紅「・・・・・・」
妹紅「・・・・・・ハァ・・・ねえ、あなたのいるこの寺子屋に来ているのは私だけど・・・・・・」
妹紅「お願いだから・・・ほっといてくれない?」
妹紅「次は、消し炭になるわよ?」 ギロッ!!
慧音「・・・まあ、今度都合のいい日にでも、食事に行こう」
妹紅「・・・・・・」
慧音「酒の美味い店があるんだ・・・あ、酒は大丈夫か?」
妹紅「・・・・・・本気なの?」
数日後、夜、人里の料亭
妹紅「・・・こんな豪勢な料理を食べるのは久々ね」
慧音「そうか、遠慮せず食べてくれ。・・・まあ、私も普段は定食とか安いものしか食べないのだが・・・」
妹紅「私も普段はたけのこがほとんどね」
慧音「た、たけのこ?・・・ま、まあ沢山食え。さあ、すき焼きが来たぞ、食べよう」
グツグツ グツグツ・・・・・・
慧音(・・・しかしあの、妹紅の友人にさんざん殴られた夜・・・・・・)
慧音(目の前で人が殴られているのに、あんなにも無表情でいられるものなのか?)
慧音(スペルカードで戦っていたときは、少し感情的に見えたのだが)
妹紅「変だと思ったんでしょ?あの夜」
慧音「え、えっ?」
慧音「い、いやその」
妹紅「私、心が動かないっていうのか・・・・・・頭がボーっとしていて、そう・・・・・・」
妹紅「生きてる、って感じが全然しないのよ」
慧音「・・・それは、君の過去となにか関係があるのか?」
妹紅「・・・・・・そうね」
妹紅「あなたには、もう隠してもしょうがないわね。ここなら誰にも聞かれなさそうだし・・・・・・」
妹紅「教えてあげるわ、私の過去を」
妹紅「・・・・・・私は、不老不死の肉体をもっているの」
慧音「!!」
妹紅「・・・もともと私は、この幻想郷に住んでいなかった」
妹紅「外の世界からやってきたのよ・・・・・・」
・・・・・・
・・・・・・
そう、あれは・・・・・・
何千年も前のこと・・・・・・
私は望まれない子供として生まれてきたけれど、父は、私をとても大切に育ててくれた。
その父はある日、1人の少女に惚れてしまった。
父は自分の財産を、彼女の望みを叶えるために使い・・・
やがてそれが付きかけたころ、彼女の望みがかなうのと同時に、父は・・・破産して、落ちぶれてしまった・・・
私は、許せなかった・・・父を誑かし、破滅させた少女・・・輝夜のことが。
でも輝夜は、いつの間にかいなくなっていた。
・・・彼女は、月の世界のお姫様だったのよ。・・・フフッ、後に向こうの世界でその話が絵本になっていたときはたまげたわ。
だから私は、いつかあいつに会うまで・・・またあいつに会って・・・・・・
殺して、やろうと・・・・・・
そう思い、輝夜が残していった、不老不死の薬・・・蓬莱の薬を奪って、飲んだのよ・・・・・・
慧音「・・・・・・そ、そんな・・・・・・」
妹紅「・・・・・・最初の数10年は、ひたすら修行にはげんだわ」
妹紅「武術、妖術、ありとあらゆる術を・・・いつか、いつかアイツにまた会った時のために」
妹紅「覚えて、覚えて覚えて・・・・・・」
妹紅「・・・・・・でも・・・・・・」
・・・・・・
蓬莱の薬を飲んでから、40年ほどした時だったわ
ヒソヒソヒソ・・・・・・
「ねえ、またあの子来てるわよ」
「俺、子供のころからあの娘を知ってるが・・・」
「ああ、全く姿が変わらねえ」
「いつも厳しい修行をしているそうだが、ケガした所なんて一回も見た事ないわ」
妹紅「・・・・・・」
「・・・ねえ、もしかして人間じゃないんじゃない?」
妹紅「!!」
「・・・化け物」「化け物!!」
「化け物!俺達を殺す気だろう!!」
「出て行け!!この町から出て行けー!!」
ワーワーワー
妹紅「・・・・・・!!」
妹紅「・・・・・・」ダッ
タタタタタ・・・・・・
・・・分かっていたはずだった。蓬莱の薬を飲むという事が、どういう事になるか。
それでも、その言葉は、私をひどく傷つけた・・・。
どこに行ってもそうだったわ。
最初はあたたかい、でも、自分と違うと分かるだけで、すぐに睨んでくる。
鋭い目、白い目、嫌悪の目・・・・・・
時には、私の肉体の事を知っても、仲良くしてくれる人もいたわ。
でも私と一緒にいると、お前も化け物の仲間か、って、その人も迫害されてしまって・・・
そして、みんな私より先に逝ってしまって・・・・・・いつも私に残されるのは孤独だけだったわ。
それを何度か味わってから、もう私は人と関わる事をやめた。
最初の300年くらいはそうやって、ずっと1人で生きてきたわ。
慧音「さ、300年・・・・・・!」
妹紅「それから時は経って・・・・・・」
私は妖怪退治をしていたわ。
といっても、人の依頼を受けて退治するんじゃない。
自分で見つけた妖怪を、無差別に・・・・・・とにかく、殺せるだけ殺してきたわ。
この頃はまだスペルカードなんてなかったしね、
覚えた妖術や、格闘技を使って、当たり一面血まみれにしながら殺していたわ。
・・・・・・フフ、そのころにはもう、私・・・かなりおかしくなっていたのね。
・・・・・・・・・だって、そうでもしないと、自分が保てなかったのよ・・・。
・・・・・・でもね・・・・・・
慧音「?」
・・・・・・ある日、1人の人間に会ったのよ。
妹紅「その子は、人であって人でない・・・獣であって獣でない」
妹紅「そう、 半人半獣、ってやつだったの・・・」
慧音「!!」
「・・・あなたね、この辺の妖怪を殺しまくっているという人間は」
妹紅「・・・いいえ・・・・・・」
妹紅「私は生きてもなければ死んでもいない・・・そう、人間ではないの」
妹紅「それよりあなた、普通の人間にしか見えないのだけれど」
妹紅「・・・私もついに妖怪として退治される日が来たのかしら?」
妹紅「悪いけど、私は人を殺す趣味はないの。帰ってくれる?」
ド オ オ オ ン !!
・・・・・・
妹紅「・・・・・・ちょっと、痛いじゃない・・・・・・腕がもげちゃったわ・・・うっ・・・・・・」
「ごめんなさい。でも、いきなり攻撃しないと、あなたみたいな強い人には敵わないから」
妹紅「・・・・・・私を殺す気?だったら無理な話ね、私、どうせ死ねないから・・・」
ギュッ!!
妹紅「!? ちょ、ちょっとあなた、何私を抱きしめて・・・!?」
「嬉しい!噂は本当だったのね!!」
妹紅「え、え?」
「私も人間じゃないの・・・私は半人半獣、月に何度か獣の姿になってしまうの」
「だから村を追い出されて、いろんな森を転々として、ずっと1人で生活していたの」
「でも・・・・・・・・・でも・・・・・・・・・」ヒック ヒック
妹紅「ちょ、ちょっと、どうして泣き出すの!?」
「でも・・・・・・・・・1人は、1人は淋しくて・・・・・・怖くて・・・・・・つらくて・・・・・・」
妹紅「!!」
「そんな時、村にいるとき聞いた噂を思い出して・・・・・・」
「不老不死の少女が、夜な夜な妖怪を殺して回ってるって・・・・・・」
「だから、あなたなら、あなたなら私の事を分かってくれるかなって思って・・・・・・」
「それで、それで・・・・・・うう・・・・・・うわあ~~~~ん」
妹紅「・・・・・・・・・・・・」
見たところ、その少女は、私より随分若く見えたわ。
・・・・・・私ですら、最初のあの迫害はひどく堪えたのに・・・・・・
こんな小さな子が、こんなつらい目にあっていたなんて・・・・・・どんなに苦しかっただろう・・・・・・
そう思うと、私はその子を抱き締めていたのよ・・・
妹紅「でも・・・・・・」
慧音「でも?」
妹紅「・・・・・・私が、いまおかしくなっているのは・・・」
妹紅「そうね、あの子のせいね」
慧音「・・・え?」
妹紅「その子・・・・・・」
妹紅「私に殺してくれってお願いしてきたのよ」
慧音「!!」
妹紅「信じられる?」
妹紅「あの子ね・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・
それからしばらく私とその子は、森に小さな小屋を作って、一緒に生活していたわ。
最初は、ただ見捨てられないだけだった。
あんなに泣きつかれて放っておけないと思った・・・・・・。
それに・・・・・・
「ねえ妹紅、私が死んだら泣く?」
妹紅「そうね・・・」
妹紅「・・・きっと毎日泣いて泣いて、何もできなくなってしまうわ・・・・・・」
私にとって、久々の人のぬくもりだったの。
それはとても暖かくて、ここちよくて・・・・・・
私は、嬉しかった・・・・・・。
「妹紅、とても綺麗な目をしてるのね」
あの子はいつもそうやって、私の目を見つめては言ってたわ。
ずっと一緒にいようね、って・・・・・・
でも・・・・・・
あの子ね、獣人になると、性格も変わって、ものすごく凶暴になるの。
嬉々として妖怪を殺してして、全身血まみれになるくらいにね。
でも、人間に戻ると、そのことははっきり覚えていて・・・・・・
だから、自分に対する嫌悪に耐えられなかったのね。
・・・・・・今でも覚えてるわ。
一緒に生活して、2年がたったころ。
そう、満月の夜だったわ・・・・・・。
「お願い・・・・・・妹紅、お願い、もう私を殺して・・・・・・」
妹紅「!?な・・・何言ってるの!?」
「私もう耐えられない・・・こんな自分に」
「私やっぱり人間じゃないんだよ・・・・・・獣の姿に変わって、妖怪を殺して・・・」
「!?わ、私やっぱり化け物なの!?妖怪なの!?」
「こんなのもう嫌だぁ・・・嫌だよぉ!!苦しい、苦しい!!死にたいよぉおお!」
妹紅「大丈夫、大丈夫よ・・・!あなたは人間よ!」
妹紅「それにあなたが殺してきたのは妖怪、妖怪を殺すことに罪の意識を感じる事なんてないわ。大丈夫、落ち付いて・・・!」
「!!?」
「・・・・・・・・・フフ・・・」
「フフアハハハアーーーッハッハッハッハ!!ギャハハハハハ!!」
妹紅「!?」
「そうよ!!そうよね!!罪の意識なんて感じる事なんてないのよね!!」
「だって妹紅、あなたは人間じゃないから!!」
妹紅「!!」
「人間じゃないから、そんな罪を問われることもないのよねぇ!!アハハハハハハ!!」
「今まで何匹殺してきたのぉ?ねえ、何匹殺してきたのお!!?」
ゴキゴキゴキ バキバキバキ・・・・・・
妹紅(!! 獣に変身していく・・・!しかもこんな凶暴そうな・・・)
妹紅(こんな姿、今まで見たこともない・・・!!)
「ねえねえねえ妹紅ぉ!!私も殺すのぉ!?妖怪退治するのおお!?アハハハハハハハ!!」
ドオン!ドオン!!ドオオオン!
妹紅「や、やめなさい!!落ち着くのよ!!」
「嫌あああああ!!来ないで!!殺さないでええええ!!」
ドオン!ドオン!ドオオオン!!
妹紅(なんて攻撃力だ・・・!正気を失って力の加減が全くない!)
妹紅(まあどうせ私は死なないし、一発食らって・・・・・・)
「モ、モコウ・・・・・・」
「オネガイ・・・もうワタシ、だれも傷つけたくナイ・・・・・・」
「モコウも、傷、つけたく、ナイよ・・・・・・」
妹紅「!!」
「モウ、こんな自分・・・・・・イヤ・・・生きていたく・・・ナイ・・・」
妹紅「・・・・・・」
「妹紅、お願い・・・私を・・・・・・」
「う、うううっ・・・グオ・・・グオオオオオオ!!」
「ワダシヲ、ゴロシテぇえええええ!!」
ドオオオン!!ドガン!!ドオオオオン!!
ザ シ ュ ッ
妹紅「・・・・・・」
「・・・・・・」
「モコウ・・・・・・綺麗な目してるね・・・・・・」
紅妹「!!」
「その目・・・好きよ・・・・・」
「ソノ・・・目・・・・・・」
「・・・・・・」
妹紅「・・・死んだ・・・」
妹紅「・・・・・・」
慧音「そ、そんな!!」
妹紅「・・・私、あの時ちっとも泣かなかったわ・・・・・・」
妹紅「その時わかったのよ。やっぱり私は人間じゃないんだ、って・・・・・・」
慧音「違う!!そんなことはない!!」
妹紅「違う?何が?」
慧音「そっ、それは・・・・・・」
妹紅「・・・・・・その出来事から300年、私は何もしなかった。本当に何もしなかったわ」
妹紅「そして気づいたら幻想郷にいた・・・」
妹紅「そして、私の憎むべき敵・・・・・・輝夜と再開したのよ」
慧音「・・・そ、そんな・・・そんな奴と、なぜ殺しあいをしているんだ?」
妹紅「・・・輝夜と会うと、少しだけ生きてるって感じがするのよ」
慧音「な・・・・・・」
妹紅「私と輝夜は、本気の殺しあいをしているわ」
妹紅「あなた、私が死なないって言っても、私を殺せる?」
慧音「!!」
慧音「そ、そんなことできるわけないだろう!!」
妹紅「そうよね。普通はそう」
妹紅「絵を描いたり、食事をしたり、ここではそれなりに人並みの生活はおくれるわ」
妹紅「でも私にとって、生きている事は、死んでいる事と同じなの」
妹紅「永く生きた私にとって、生きる事をもっとも実感できる瞬間・・・」
妹紅「それは、死んでまた生き返る時なの」
慧音「・・・・・・」
紅妹「どうせ皆死んでしまうのよ・・・」
妹紅「そう、あの子のように・・・」
妹紅「砕けてしまう・・・・・・」
妹紅「・・・・・・!!」
バッ!!
深夜、慧音の自宅
慧音「・・・・・・ふう」
慧音「妹紅がまともじゃない、というのは分かっていたが・・・・・・」
慧音「・・・・・・」
"どうしたんだ妹紅、大丈夫なのか!?"
"・・・・・・まだ、頭の中に残ってるのよ・・・・・・"
"え?"
"あの子を殺した夜・・・・・・"
"ものすごい風で、風に葉が揺れる音が森じゅうに響いていたわ・・・"
"でも、それとは別に・・・・・・"
"そう・・・・・・"
慧音(あ・・・・・・)
慧音(ま、またあの目だ・・・・・・!)
"あの子の骨・・・・・・"
紅妹「骨が、砕ける音」
慧音「・・・・・・妹紅・・・・・・」
慧音「・・・・・・」
次の満月、深夜
輝夜「紅妹から呼ばれて、わざわざ来てみたら」
輝夜「今夜は殺されたい、ってことなのかしら?」
慧音「・・・・・・」
輝夜「・・・今日は随分雰囲気が違うのね・・・フフ、ものすごい殺気」
慧音「そうだな。今夜の私は、お前を殺す気でいるからな」
輝夜「・・・・・・は?」
輝夜「アーッハッハッハッハッハ!!アハハハハハ!」
輝夜「アナタ、この間殴られておかしくなっちゃったの!?あれでも手加減してあげてたんだけど・・・」
ドドドドオン!!
慧音「スペルカード『オールドヒストリー』・・・・・・」
輝夜「な、な・・・」
慧音「妹紅、見ていろ。いくら不死とはいえこいつも限界があるだろう。私が殺してやる」
輝夜「冗談もほどほどにしなさいよ!!そっちがその態度ならこっちも本気でやるわよ!!」
慧音「ああ、かまわない」
慧音「だが、私は死なないがな・・・今日の私は少し頑丈だぞ」
妹紅「・・・・・・」
慧音「さあ行くぞ、もう一度だ!!スペルカード『オールドヒストリー』!!」
ドシュンドシュンドシュン ババババババ・・・
輝夜「・・・私を甘く見たら承知しないわよ!!」
ドオン! ドオン!
ドガアアアアアン ドオオオン!!
輝夜「な、なによこいつ・・・ただの半人半獣のくせにこんなに強いなんて・・・・・・」
輝夜「・・・ここまで私を追い込んだ事を後悔することね!」
輝夜「見せてあげるわ、『蓬莱の樹海』!!」
カ ッ !!
慧音「!!こ、これは!!」
慧音(なんてすさまじい攻撃なんだ・・・クッ、よけきれるか・・・・・・)
慧音「・・・ならば私も!!『無何有浄化』!!」
ド オ ン !! バババババ・・・
輝夜(ッ!?後ろから来る!?)
バアン!! バアン!!
慧音「ッ!!」
輝夜「キャッ!」ドサッ!
輝夜(・・・・・・そんな!!破られた!!)
慧音(・・・もうお互いスペルは残ってないようだな・・・・・・)
慧音「う・・・」フラッ・・・ドサッ
慧音「っ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
輝夜「はぁ・・・はぁ・・・フフ、ここまで私に本気を出させるなんて、アナタ、強いのね」
慧音「・・・・・・」
輝夜「でも、アナタの方が疲れているようだけど?」
輝夜「・・・この間殴られて分かったと思うけど・・・
輝夜「私、意外と力があるのよ・・・」
輝夜「もうスペルカードのルールなんてどうてもいいわ」
輝夜「・・・・・・殺してやるわ」
慧音「・・・・・・」
バキッ ドカッ バキッ
輝夜「ホラ、何とか言ったらどうなの!?」
慧年「う、ウグッ」
輝夜「大して強くもないくせに・・・・・・」
バン ドカッドカッ バキイッ!
慧音「!! ぐ、グフッ!!ガフッ!!」ガクッ
輝夜「粋がってるんじゃないわよ!!」
慧音「・・・・・・」
輝夜「ほら、まだ生きてたらなんとか言ってみなさいよ・・・・・・」
慧音(・・・・・・)
慧音(こ、殺す・・・・・・)
ガッ!!
輝夜「ちょ!?なにいきなり頭つかんで・・・・・・」
ガ ヅ ン !!
輝夜「痛ッッッ!!!」
輝夜「ず、頭突きなんて卑怯よ!!」
輝夜「このッ!!」
バシン!!
慧音「ブッ」
輝夜「顔真っ赤になるまで平手打ちしてあげるわ!!」
バシン!バシンバシン!!バシン!!
慧音「う、ウグッ」
妹紅「・・・・・・」
輝夜「もう腹の虫がおさまらないわ!全身ぼろぼろにしてあげる!!」
ガスッ ボグッ ドガッドスッ
ガキッ ガキッ バキッ!!!
妹紅「・・・・・・」
妹紅「・・・・・・!」
バキッ!!
輝夜「・・・っはぁーー・・・はぁーー・・・はぁ・・・・・・」
輝夜「も、もう動かないみたいね・・・・・・」
輝夜「・・・全く、て、こんなに手間取らせるだなんて」
輝夜「!!」
慧音「・・・・・・こ・・・・・・」
慧音「こ、殺す・・・・・・」
輝夜「・・・・・・あ、アンタ・・・・・・」
慧音「・・・こ、殺・・・・・・」
輝夜「・・・・・・そ、そう!!」
輝夜「なら本当に殺してあげる!!」
ザワザワザワ・・・ ザワ・・・
妹紅(・・・・・・あ・・・)
妹紅(竹林が、風でざわめいてる・・・・・・)
ザワザワザワ・・・ ザワザワザワ・・・
輝夜「コレで終わりよ!!」
バ ギ イ ッ !!
ゴキッ・・・
ゴキッ・・・・・・
慧音(う、腕の、骨も折れたか・・・・・・!)
紅妹「あ・・・・・・」
ザワザワザワ・・・ ザワザワザワ・・・
バキボキッ!! ゴキン!!
慧音「!! ゔッ!!ぐは・・・っ」
慧音「っはあー、はぁーっ・・・・・・」
輝夜「アハハハ!あばらが折れたんじゃない?随分苦しそうね!!」
輝夜「し、死んじゃえ!死になさいよ!」
輝夜「・・・・・・!!」
慧音「・・・・・・妹紅・・・・・・」ズル・・・ズル
輝夜「そ、そんな・・・まだ、立ち上がるなんて・・・・・・!」
輝夜「う、うわあああああ!!」
ガギッ!! ボキッ!!
ゴキッ!!
ゴキッ・・・
ザワザワザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワ・・・
妹紅「も、こう・・・・・・」
ザワザワザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワ・・・
妹紅「あ、あ・・・・・・」
"妹紅・・・・・・"
"妹紅・・・・・・"
妹紅「!!」
ワザワザワザワザワザワ
" その目・・・好きよ・・・・・ "
ワザワザワザワザワザワ
" そ の 目 ・・・ 好 き よ ・・・・・ "
ザワザワザワザワザワザワ
妹紅!!
妹紅「!!」
妹紅「け、慧音・・・・・・」
慧音・・・・・・!!
妹紅「・・・ける、な・・・・・・」
砕けるな!!
妹紅「お前誰だァ!!お前誰だァ!!」
ゴーーーーーーーーーーーーーーッ
ゴオ・・・ ザワザワ・・・ ザワ・・・
慧音「・・・・・・」
妹紅「・・・・・・」
輝夜「・・・な、も、もこう・・・アンタ・・・どうしたの・・・?」
輝夜「突然叫びだして、ソイツに抱き付いて・・・・・・」
妹紅「・・・・・・」
輝夜「・・・な、何よ、アンタもソイツもおかしいんじゃないの!?」
輝夜「何なのよもう!!か、帰るわ!!」
ザッザッザッザ・・・
慧音「・・・・・・も、妹紅・・・・・・」
妹紅「・・・・・・」
"・・・・・・・・・・・・"
"・・・・・・"
"・・・"
妹紅「・・・・・・」
数週間後、昼間、迷いの竹林
妹紅「・・・ケガ、まだ治らないのね」
慧音「・・・お前のように丈夫ではないからな」
慧音「・・・しかし、迷いの竹林にこんな綺麗な場所があったのか」
妹紅「いつも1人でここにいたわ」
慧音「何か用があったのか?」
妹紅「うん・・・探し物・・・犬の死体」
慧音「え!?あ、そ、そうか・・・・・・」
慧音「いくらなんでも、もうないんじゃないのか?」
妹紅「・・・・・・」
妹紅(・・・・・・今さら・・・・・・)
妹紅「ねえ、悪いけど・・・しばらく向こうむいててくれない?」
慧音「ん?ああ、かまわない」
・・・・・・
慧音「しかし、今日はいい天気だな・・・・・・」
ピチャッツ ピタピタ
慧音(・・・何か滴る音・・・・・・?)
慧音「お、おい妹紅!?」
慧音「!!!!」
慧音「な、なっ!?」
慧音「お、お前・・・!!」
慧音「何いきなり手首切ってるんだ!!」
慧音「何をやってるんだお前は!!馬鹿!!」
妹紅「違うのよ・・・ただ、なんとなく・・・」
慧音「あああもう、いいかげんにしてくれ!!」
慧音「はっきり言ってまともじゃないんだよ!私も人の事言えないけどな!」
慧音「・・・ったく、少しは痛そうな顔をしたらどうなんだ!?」
慧音「ほら、私の包帯をかしてやるから、これで止血しろ!」
妹紅「・・・・・・」
妹紅「・・・・・・フフッ」
妹紅「ありがとう、慧音・・・・・・」
慧音「・・・・・・フン!」
慧音「ホラ!おんぶしてやるから早く乗れ!」
慧音「ホラ妹紅、早く!!」
慧音「・・・・・・妹紅?」
妹紅「・・・・・・子犬・・・・・・」
紅妹(少し前まで、この血だまりに・・・・・・)
紅妹(子犬の死体があった・・・・・・)
妹紅(誰も知らないけど、私だけ覚えてる・・・・・・・・・・・・)
妹紅「!!」
妹紅「・・・・・・・・・・・・そうか・・・・・・・・・・・・」
妹紅「そうか、生きることとは・・・・・・」
妹紅(生きることとは・・・・・・)
妹紅(覚えていること・・・・・・・・・・・・)
妹紅(死んだものも皆、誰かの思い出になる・・・・・・)
妹紅(だったらそうだ、みんなずっと生きているのと同じじゃないか)
妹紅(私と、同じじゃないか・・・・・・!!)
妹紅(そうか・・・・・・・・・・・・そうだったんだ・・・・・・・・・・・・)
慧音「妹紅、お前・・・・・・・・・・・・泣いて・・・・・・」
妹紅「・・・・・・・・・・・・慧音・・・・・・・・・・・・」
妹紅「・・・・・・あったかいね、涙って・・・・・・・・・・・・」
慧音「妹紅・・・・・・」
妹紅「あったかい・・・・・・」
妹紅「あったかいあったかい!!」
ゴツン!
慧音「いたっ!コラ!抱きつくついでに頭突きをするな!」
妹紅「あったかい!!」
・・・・・・
私はあれから、自分の絵に子犬を描き加えた。
・・・・・・もう私は死んでなんかいない。
これからは、慧音と共に、思い出を作っていく。
いつか慧音が死んでも、私は死なない。
そして、慧音も死なない。
だって、私の中できっと生き続けるから。
そう、これからも、遠い未来も、きっとずっと・・・・・・
あったかいから・・・・・・・・・・・・
完
すみません、>> 71の
妹紅「も、こう・・・・・・」
だけ、
慧音「も、こう・・・・・・」
と読み変えてください。
慣れないため、連投、誤字脱字、知識不足による描写の不足など多々有りました。
申し訳ございません。
読んでいただいてありがとうございました。
また東方×漫画ネタでSSを書きたいです。
本来そうであるはずなのに
余りにもイメージが先行した結果むしろ少なくなった女性的な話し方をする妹紅のssは珍しい
だが俺はその方が良い
乙
乙
乙
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