京太郎「タコスメトラーYU-KI」 (63)
和「ステルスクール 桃色サヴァンと嶺上遣い」の
番外編みたいなものでー
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どっかにあったな探偵の
秋・某日
14:00~風越女子高校体育館・学園祭臨時ライブ会場~
観客生徒「ワー!ワー!」
華菜「みんなー、ありがとー!あたしたち、最高に幸せだしー!!」
華菜「次で最後の曲になっちゃったけど、みんな聞いて欲しいし!それじゃ、ラストナンバー・・・」
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15:00~風越女子・麻雀部部室~
華菜「・・・・・・」
ガララッ
久保「誰か残ってるかと思ったら池田ァ、お前まだライブの時の服着てるのかよ」
華菜「なんだか、まだ余韻が残ってて。すぐに着替えちゃうのは勿体無い気がして・・・」
久保「ふん・・・」
華菜「コーチ・・・コーチにもお礼が言いたいし。最高のライブが出来たのはコーチの指導のおかげだから」
久保「完璧に演奏できたのは最初の曲だけだ。あとは観客もメンバーもノリで盛り上がっていた。不満だらけだ」
華菜「それでも、メチャクチャ楽しかったのは本当だし」
久保「・・・まあ、文化祭の部活出し物にしちゃ悪くなかったな」
華菜「にゃー、コーチはいつも厳しいし・・・・・・クシュンッ」
久保「いつまでも、そんな格好してるからだ。ったく、バカの方が風邪ひくんだぞ」
久保「コクマと、この文化祭が終わったらお前がキャプテンになるんだ。少しはビッとしてろ」
華菜「そっか・・・もうすぐ冬なんだなあ」
久保「ああ、ホワイトアルバムの季節だ・・・」
華菜「・・・・・・」
久保「・・・おい、池田?・・・・・・池田、寝たのか?」
華菜「・・・・・・・zzzz」
久保「まあ、昨日は徹夜で練習してたから無理ねーか。まったく無防備な寝顔さらしやがって・・・・」
華菜「うー・・・にゃー・・・zzzzz」
久保「・・・・・・・・・・」
久保「(キョロキョロ)・・・・・・・・・・」ソーッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
華菜「ムニャムニャ・・・いつの間にか寝ちゃったし。誰かと話してた気がするけど・・・何だったかな・・・」
華菜「・・・・・あれ?なんか髪の辺りが物足りないような・・・」サワサワサワ
ガタッ!
華菜「あーっ!!華菜ちゃんのチャームポイントが無いー!!!」
YU-NOを期待していいのん?
Prrrrrr
ガチャ
まこ「はいよー、こちら清澄探偵事務所じゃ」
まこ「おおアンタか、久しぶりじゃねえ」
まこ「・・・・ふーん、そりゃあちいと面倒なことになったのう」
まこ「任せときんさい、すぐに人を送っちゃるけえ」
まこ「・・・さて、と。優希ー、おるかー?」
優希「なんだじぇ?今テレビいいとこだったのにー」
片岡優希は女子高生探偵である。
点差計算はアレだが、ひと度タコスぢからをチャージすれば
その野性味溢れる五感を駆使して
どんな些細な証拠も逃さず見つけ、事件を解決に導くのだ。
まこ「事件の依頼じゃ。咲と和は、ちっくと遠い所に出張ってもうとるし・・・」
まこ「今回はあんたと、あそこでテレビ観とるもう1人に行ってもらうつもりじゃあ」
え? 普通にサイコメトラーじゃね
恒子『スーパーアナウンサー福与恒子プレゼンツ、秋の生放送ビッグ3対談!!』
恒子『野依プロが明太子の食べ過ぎでお腹を壊したため、休みの日は大体ヒマな
小鍛治プロを急遽お招きしてお送りしましたが、いかがだったでしょうか!?』
健夜『そこまでヒマじゃないよ!先週はちゃんと用事あったから!!』
咏『おねえさんたちの色んな武勇伝聞けたのは、面白かったねい』パタパタパタ
はやり『最近ずっとテレビのお仕事が多くて皆さんとあまり会う機会がないので★』
はやり『久しぶりに懐かしい方とお話出来て、とっても楽しかったです☆』
恒子『それでは名残惜しいですけども!いよいよ最後のお題です!!』
恒子『あなたは5年間付き合った恋人と結婚間近』
恒子『しかしそんな時に昔とても好きだった人が目の前に現れ、あろうことか愛の告白をしてきました』
恒子『しかもそれは、恋人のかつての親友でもあったのです!さてあなたならどうする!?』
健夜『なに、その質問!?』
サイコメトラーEIJIだったか…
勘違いした
まさかのホワイトアルバムクロスか?
咏『んー、それまで築き上げてきたもん全部捨てる覚悟があんなら、浮気相手に走るのもいいんじゃね?知らんけど』
はやり『はやりは、どちらの思いも受け止めて3人とも一緒に仲良くなる道を探すのが一番だと思います☆』
恒子『おー、お二人ともなかなか含蓄のある言葉ですねー。それじゃあ、小鍛治プロは?』
健夜『そ、そうですね。まず、それだけ真剣に悩んでお付き合い出来る相手がいるというのは素晴らしいと思います』
健夜『これはもしもの話ですけど、私にも近いうちにそのような人が・・・
恒子『中継を終わります!』
健夜『ええええー!!?』
京太郎「・・・まだしばらくは結婚無理だな、このプロ・・・」
須賀京太郎は雑用係である。机はまだない。
買出しに掃除に夜食づくりにと清澄探偵事務所を日々地味に支える彼だが
人手が足りないときにはアシスタント見習い兼荷物持ちとして現場にも赴くのだ。
まこ「京太郎、行ってくれるかのお。もちろん今月分の給料にはきっちり上乗せするけえ」
京太郎「おおー、現場は風越女子っすか!あそこの学園祭って関係者限定配布の入場券無いと入れないんだよなー」
京太郎「もうイベントはあらかた終わった時間帯とはいえ、その校舎に入れるとは何という僥倖!」
京太郎「風越の皆さん!男・京太郎、ただいま馳せ参じますよー!」
優希「フフン。来月の清澄祭で猫耳麻雀メイドカフェを開く、私たちの魅力には及ばないけどな!」
まこ「はいはい、気をつけて行ってきんさい。終わったらちゃんと連絡するんじゃぞー」
16:20~現場・風越女子高校正門前~
優希「うっし、ついたじぇーっ!」
京太郎「うーん、心なしか空気も甘い!ここが、男子禁制の園かあ」
京太郎「深呼吸してるうちに元気出てくるな。今なら波紋疾走の一つも打てそうな気がするぜ」
優希「そんなことよりタコス屋台を探すのだ!私の勘では校長室が怪しいじょ!」
京太郎「おうよ!その途中で更衣室の前を通りかかったとしても、それは事故だな!刻むぞ、血液のビート!」
華菜「・・・なんか頭のネジが飛んでる二人組が門の前に立ってるし」
優希「むむむ!何やらお前には言われたくない気配が!!」クルッ
吉留「わわっ。華菜ちゃん、あの人たちこっちに来るよ」
華菜「お前たち何者だ!そこで止まって所属とコードネームを答えるし!」
16:30~麻雀部・部室~
華菜「ただいま戻ったし!」バターン!
深堀「おかえりなさい」
文堂「あれ?隣にいる二人は、お知り合いですか?」
未春「キャプテンがさっき言っていた・・・依頼を受けて来てくれたそうです」
美穂子「あら、それではあなた方が清澄探偵事務所の?」
優希「おおう!私が清澄探偵事務所の特攻(ぶっこみ)隊長、片岡優希だじぇ!!」
京太郎「そして私が、アシスタント(見習い)の須賀京太郎です(キリッ)」
美穂子「は、はぁ・・・」
京太郎「お辛かったでしょうが、私が来たからにはもう大丈夫」
京太郎「必ずやあなたの涙を笑顔に変えて差し上げましょう(キリリッ)」
美穂子「い、いえ・・・助けていただきたいのは私ではなく、こちらの華菜なのですが・・・」
華菜「そーだし!こちらの華菜ちゃんの、聞くも涙・語るも涙のエピソードをご静聴するし!」
京太郎「あ、そうなんすか。じゃあ経緯をかいつまんで教えてくださいっす」
華菜「うちらの学園祭、ここ数年麻雀部としては不参加だったんで今年は頑張ったんだ」
華菜「伝統のハッシュドビーフ屋台の他に、有志でバンドを結成してライブにも参加した」
華菜「自分らで言うのもなんだけど、結構評判良かったんだぞ」
華菜「普段と違う格好で、雀卓以外の場所で注目浴びるのは不思議な感じだったけど、凄い楽しかったし」
華菜「それで完全燃焼して・・・ライブ終わったあとは、この部室でウトウト寝ちゃってたんだ」
華菜「だけど起きて気がついたら、いつも左の前髪に付けてる愛用のヘアピンが無くなってたし・・・」
平部員「ライブに出ない私達は準備・片付け・店番などで忙しく、その間部室に立ち寄ることは出来ませんでした」
華菜「あの髪留めは、あたしが初めてレギュラー入りしたときに妹たちがお祝いとしてくれたものなんだ」
華菜「まっ、その辺で売ってる200円くらいの安物なんだけどさ」
華菜「あたしが両親から預かったお小遣いをあげたのを、ちょっとずつ貯めて3人分」
華菜「あの食いしん坊なやつらが、お菓子買うのを我慢してまでプレゼントしてくれた髪留めなんだ」
華菜「だから、どうしても見つけたいんだよ・・・」
京太郎「・・・そうだったんすか。これは何としても見つけ出さなきゃ・・・な、優希」
優希「ふんふむ。それなら安心するがいい!謎は全部解けたじょ!!」
京太郎「はやっ!マジで!?」
優希「あったぼうだじぇ!この片岡優希にかかれば全ての事件は過去になる!」
優希「犯行が行われた時刻に部室に近づけたのは、ライブに出ていた関係者だけ!」
優希「そして犯人は髪留めをこっそり持ち去るぐらいに、イケダに執着してるということ!」
優希「つまり、普段からイケダのことを気にして度々名前を呼んでる人物だじぇ!!」
久保「・・・っということは、てめーか!吉留ェ!」
未春「ええっ!?」
久保「1年の大会後に呼び方が急に”池田さん”から”華菜ちゃん”に変わっておかしいと思ってたんだよ!」
久保「メガネ属性追加して露骨にアピールか、オラァ!」
未春「い、いえ・・・私は体育館でずっと後片付けを手伝っていましたよ。ライブで使った機材とか・・・」
未春「ですからライブの後は華菜ちゃんには会っていませんでしたし、部室にも行っていません」
未春「一緒に片付けていた人たちが証人です」
久保「・・・ふん、それならいいんだ。後片付けご苦労さまでした」
京太郎「・・・なんか、違ってるみたいだぞ」
優希「うー、いい線いってたとは思うんだけど。ちょっと勇み足だったみたいだじょ」
京太郎「ちょっと、ねえ・・・」
優希「むむむ、ここは決め手になる証拠が必要なようだな!」
優希「京太郎!アレの用意だじぇ!」
京太郎「はいよ。隣の調理室でオーブン借りて温めといたぞ。今日のは少し趣向を変えてみた」
優希「よくやった京太郎!さすが、使える犬だじぇ!」バシッ!
優希「ムシャムシャムシャ」
未春「なにか、急に食べはじめたね・・・」
深堀「タコス・・・」
深堀「トウモロコシの生地を薄く伸ばして焼き、それに具とサルサソースを包んで食べるメキシコの代表的な料理」
深堀「それもあれは本場メキシコ式ではなく、揚げたトルティーヤを生地にしたアメリカ式のハードタコ」
文堂「さすが、食べ物の事になると麻雀のときの5倍は喋ると言われる深堀先輩。ありがとうございます」
優希「うーしっ!タコスぢからフルチャージだじぇ!」ギラッ
優希「(キョロキョロキョロ)」
ティキーン!!
優希「むむっ!この棚の上にあるものは!?」ピョンッピョンッ!
優希「京太郎!ちょっと!あれ取って欲しいじょ!!」
京太郎「ん?あー、奥になんかあるな」ヒョイッ
京太郎「なんだこりゃ、ビデオカメラ?」
未春「あ、それ多分ライブ映像を撮影するためのカメラです。でも、どうしてあんなところに・・・」
優希「フッフッフ、これで合点がいったじょ」
優希「ギリギリ撮影できる角度は保持しつつも、下からは死角になってカメラが見えないという絶妙な配置!」
優希「そして、この犯人は根っからのストーカー気質!」
優希「眠りこけてるイケダを、これで盗撮してたに違いないじぇ!」
優希「だがこれが置いてあった棚は結構な高さで、見たところ周りに足場になるようなものは無い!」
優希「つまり、犯人は身長170センチより高い人物だじぇ!」
久保「・・・てめェっ、自分が何したか分かってんのか!文堂ォ!」
文堂「いやいやいや」
久保「意外と声と名前が可愛いとか、咲日和で新たな魅力発見とか言われて調子に乗ってるんじゃねえぞ!」
久保「ここぞの場面で開眼とか福路と被ってるじゃねえか、オラァ!」
文堂「私は騒ぎが起きるまで、ラウンジで福与アナの麻雀プロ対談番組をずっと見ていました」
文堂「日本が世界に誇るトップランカー3人の揃い踏みって滅多にないことですし、勉強させてもらおうかと」
久保「ちっ、そいつはいい心がけだな・・・。秋季大会に期待してるぞ・・・」
コーチかわいい
京太郎「なあ、これも違うんじゃないのか・・・?」
優希「まだまだだじぇ!どんどんいくじょ!!」
優希「(キョロキョロキョロ)」
ティキーン!!
優希「おおっ!これはーっ!!」
京太郎「髪の毛・・・だな」
優希「そうだじょ!それも、長さからして明らかにイケダのものでは無い!!」
優希「犯人の髪型は、肩までかかるロングだじぇ!」
久保「・・・・・・・最初からてめーが怪しいと思ってたんだよ、深掘ィ!」
深堀「多分違うと思います」
深堀「いかにも関係無さそうな奴が犯人ってパターンの王道さを舐めてたようだなあ!」
久保「セリフの合計が30文字ってどういうことだ!鉄板人気の無口キャラ枠狙ってニヤリか、オラァ!」
深堀「私は図書室で自主研究を行っていました。県予選の副将戦前半では、私だけ焼き鳥でしたから」
深堀「そしてそこで恐るべき真実に遭遇しました」
深堀「長野では焼き鳥は、上田市を中心としてニンニクベースの美味だれをかけて食べるのが一般的です」
深堀「しかし実は、焼き鳥の食べ方には地域差がかなりあることが分かったのです」
深堀「大きめの鶏肉を2,3個塩をかけて食べるところ、串ではなく鉄板で焼いたものを提供するところ・・・」
深堀「あまつさえ、焼き鳥といっているのに使用している肉は豚という地域までありました」
深堀「私はこれを、焼き鳥スプロール化現象と・・・」
久保「完全に目的変わってるじゃねえか・・・。まあいい、来年の文化祭にでも活かせ」
一行めドムさん?
京太郎「・・・ひょっとして、どんどん関係ない方向に向かってないか」
優希「心配ご無用!次で決めるじょ!」
優希「(キョロキョロキョロ)」
ティキーン!!
優希「髪の毛をもう数本見つけたじぇ!これを束ねてこうしてライトにかざせば・・・!」
優希「・・・見えた!髪色も犯人像も!!ホシは金髪またはそれに近い栗毛だじぇ!!」
久保「とうとうボロを出しやがったな、福路ィ!」
美穂子「はぁ、そうですね」
久保「どうりで、なんか微妙に私に当たりキツいなと思ってたんだよ!」
久保「青いサファイアと赤いルビーってなんだオラァ!」
美穂子「ライブ後、私はずっと日課の上埜さん米粒写経をしていました」
美穂子「上埜さんの名前を一粒一粒心を込めて書き込む、心安らぐひとときです」
美穂子「事件が起きたと思われる時間には、ここの2500粒から3000粒目にとりかかっていたところでした」ズラッ
美穂子「同じ純粋透明結晶体コランダムから、愛という名のチタンで色付けされた青いサファイアは私」
美穂子「凛々しさという名のクロムで飾られた赤いルビーは上埜さんです」
美穂子「つまり二人は、原子レベルで深く結びついているのです」
久保「お、おう・・・」
怖い
京太郎「色々な意味で、後戻り出来ない所に進んでる気がするぞ・・・」
優希「あっれー、おかしいじょ。犯人は近くにいるって私の小宇宙(タコス)は囁いてるんだけどな・・・」
京太郎「うーん、他に誰か候補・・というか関係者の人はいないんすかね?」
美穂子「そうですね、ライブに出ていたメンバーは他には・・・」
久保「ちっ、しょうがねえな。じゃあもうここは、迷宮入りってことで解散にするか」
久保「同じ部の仲間同士で疑い合っても、仕方ないしな」
京太郎「なんか、急に物分かり良くなったな」
優希「少し、事件解決の糸口が見えた気がするじょ・・・」
ピッ
ジーッ・・・・
京太郎「あれ?いつの間にか、ビデオのハンディモニター画面が再生されてるぞ」
京太郎「誰かスイッチ押しちまったのかな?」
優希「そうだ、ちょうどいいじぇ!この映像の中に何かヒントが隠されているかもしれないじょ!」
華菜『ギュウイイイイーーン!!』
京太郎「ああ、例のライブの映像だな。池田さんはリードギターか、高速のタッピングが疾走感あるな」
未春『キィインキュインキュインキュイン』
優希「リズムギターはメガネのおねえさんだじぇ。走り気味なイケダのギターを上手いことフォローしてるじょ」
文堂『ボボンボンボンボン』
優希「糸目のおねえさんのベースは、メトロノームみたいに淡々と弾いてて静かな迫力がちょっとこわこわ」
美穂子『パラポロポロ チャチャーン』
京太郎「キャプテン、きたー!」
京太郎「うーん、キーボードを弾くたびに揺れるオモチが、なかなかのなかなか」
京太郎「そしてドラムは・・・」
深堀『バッシャーン!シャンシャンシャン』
京太郎「ですよねー。このままカミナリ様のコントがやれそうなくらい、恐ろしくハマってるな・・・」
優希「あれ?でもこれ誰も歌ってないじょ・・・?それじゃボーカルは・・・・」
久保『すぎてゆーく きせつにー おいてきたー たーからもーのー♪』(白のミニスカ・ニーソックス)
優希・京太郎「」
人気なさそう
京太郎「・・・これって、あのコーチの人だよな」
優希「なんだか見てはいけないものを見てしまった気分だじぇ・・・」
美穂子「コーチはとっても歌が上手なんですよ」
美穂子「バンド演奏をやると決まった時に、華菜がぜひボーカルをと、お願いしたんです」
久保「別に池田に頼まれたから引き受けたわけじゃねえからな!」
久保「お前らだけのステージじゃ不安だから、ちょっと出てみようかと思っただけなんだからな!」
京太郎「つまりコーチも、このバンドのメンバーってことだよな・・・」
優希「大分真実に近づいている気がするじょ・・・」
京太郎「あのー、ちなみに久保コーチは、その時間どこにいたんですか?」
久保「いや、別に普通だけど?普通にその辺にいたけど?」
京太郎「その辺っていうのは、具体的にはどの辺りで何を・・・」
久保「んー、どうだったかなー。私も色々忙しくて細かいところあんまり覚えてないんだよなー」
文堂「あ、そういえば、私コーチが部室棟の方に歩いて行くの見ましたよ」
久保「思い出した!その時間は校舎の中を散歩してたんだった!」
久保「昼下がりの学校歩くのって楽しいからな!ほら、子供の頃思い出してなんか楽しいだろ!?」
未春「コーチ・・・・」
久保「ばっ、ちげーって!私はなんにもしてねーって!!おい、池田もなんか言ってやれ!」
華菜「言われてみれば、コーチっぽい人と夢で話してたような・・・」
華菜「あれってホントのことだったのかな・・・?」
久保「ああ、わかるわかる!そういうことってあるよな、池田ァ!!」
久保「凄いリアル感ある夢見て、目が覚めても現実と区別つかないってやつ!」
久保「ひょっとして今見てるのが夢じゃないの?みたいなアレ!いやー、人って不思議だよなあ!!」
優希「往生際が悪いじぇ、オラオラコーチ!どうやら年貢の納め時のようだな!」
優希「身長171センチで栗毛のロングヘアーなバンドのボーカル・・・」
優希「そして何より、ここまで池田の名を呼ぶこと多数なその執着心!!」
優希「情況証拠は揃ってるじょ!Q.E.D以上証明終了!」
優希「観念して、お縄につくがいいじぇ!!」
久保「ち、違うんだ!私はなんにもやってないんだ!」
優希「真犯人はみんなそういうんだじぇ!」
ビデオの観客『ワー♪ワー♪』
京太郎「ああ、まだビデオ止まってなかったのか。切っとかないと・・・」
京太郎「・・・・ん・・・?あれ・・?」
優希「なんだ、京太郎!今一番盛り上がってるとこだじょ!」
京太郎「いや、えっと・・・池田さん、左のヘアピンが無くなったって言ってましたよね?」
華菜「うん、それがどうかしたし?」
京太郎「このライブ映像だと、右の方にありますけど?」
華菜「・・・・・・・へ?」
文堂「そういえば池田先輩、いつも付けてるのって右の前髪ですよね・・・」
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未春「でも、華菜ちゃん”普段とは違う感じにしたい”って、反対の髪に付け変えてたよね?」
華菜「・・・・・えーっと、あのときは確か・・・・・」
13:30~本番直前・体育館ステージ裏~
華菜『うーん、せっかくの舞台だからって普段とは違う格好でスタイリングしてもらったけど・・・』
華菜『やっぱり、髪留めはいつもの位置にある方がしっくりくるし』
華菜『よいしょ(←付け替えた)』
華菜『あとはパンクな衣装のイメージ壊さないように、流した髪で覆って・・・と』
華菜『うん、これでバッチリ演奏に集中できる!』
華菜『さすがあたし、細かいところの調整もバッチリだし!』
美穂子『華菜ー、もうすぐ私たちの出番よー』
華菜『ハーイ、キャプテン!今行きまーす!』タタタッ
華菜「・・・・・・・(ソーッ)・・・・・・・あっ」キラッ
優希「下ろしてた右の前髪の奥から、髪留めらしきものが見えるじぇ・・・」
華菜「・・・華菜ちゃん、ちょっと早とちりしちゃってたし!」テヘ
久保「てっめェー!・・・池田ァ!!!覚悟は出来てんだろうなァ!!」
華菜「ヒィ~ッ!!」
京太郎「でも、だったらどうしてコーチはあんなに必死で否定してたんだろうな」
久保「・・・ ・・・」ピタッ
優希「そういえばそうだじぇ。あのテンパリようは、なんだったんだじょ?」
ピッ
ジーッ・・・
京太郎「あれ?止めたはずのビデオの続きがまた・・・」
京太郎「それになんか、このシルエット見覚えあるような・・・・」
久保「ちょまっ!いつの間にそんな映像っ!それはマズイ!ちょっとストップ!!」ダダッ
未春「純ちゃん」
深堀「はい」ガシッ
久保「おいっ離せ、深掘!コーチ命令だぞ!!」
美穂子「キャプテン命令です。深堀さん、離さなくていいわよ」
深堀「わかりました」
文堂「・・・・・フフッ」ジーッ
久保「てめェ、文堂!なんで同じカメラもう1台持ってんだ!」
久保「撮ってんじゃねえ!それを下ろせぇ!」
京太郎「おっ、始まるみたいだぞ」
優希「どれどれ・・・だじぇ」
15:05~麻雀部・部室~
久保『・・・・・・池田、寝たのか?』
華菜『うー・・・にゃー・・・zzzzz』
久保『(キョロキョロ)・・・・・・・・・・』ソーッ
久保(裏声)『コーチ、あたしのホントの気持ちにようやく気づいてくれたし・・・?』
久保『ああ、池田・・・待たせたな。やっとわかったんだ、一番大切なものが何なのか・・・』クルッ
久保(裏声)『コーチ・・・』クルッ
久保『貴子って呼べよ・・・。それが私だ』クルッ
久保(裏声)『貴子・・・』クルッ
久保『華菜・・・』←自分の腕を自分の背中に回して抱きしめている
久保『二人は幸せなキスをして終了・・・なーんてなー!!』バンバンバンッ!
華菜『うーん・・・・』モゾモゾ
久保『ヤバッ!』ダダダダダッ
・・・・・・・・・プツッ・・・(再生終了)
優希「・・・・・・・!」
なにやってだ
見なかった事にするしかないしッ(ぐるぐる目)
京太郎「い、今のやりとりは・・・」
優希「やりとりっていうか、眠り込んだ相手だけが観客の一人芝居だじぇ・・・」
未春「それに・・・結局、指一本触ってなかったよ・・・」
美穂子「確かに何もしていなかったわね・・・」
深堀「ヘタレ・・・・」
久保「ハ、ハハハ。アッハハハハ!」
久保「ああ、そうさ。いつも偉そうなこと言ってるコーチはとんだチキンだよ・・・」
久保「好きな奴の前でカッコつけて強がって、後悔してるだけのバカなんだよ」
久保「笑いたきゃ笑えよ。なあ、池田ァ?」
華菜「あ、あたしは・・・・」
華菜「どんなことがあったって、コーチはコーチだって思うし!」
久保「・・・池田ァ・・・・」
華菜「それに・・・コーチの気持ちは、ちょっと嬉しかったし・・・」
華菜「いつも厳しく言われて、ひょっとしたら嫌われてるのかと思ってたから・・・」
久保「・・・!じゃ、じゃあ池田ァ・・・私と福路どっちが好きか言ってくr・・・
華菜「キャプテン」
久保「ウオオオム!」ダダダッ
深堀「ようこそ、来訪者!」
唐突なバオー来訪者ネタにワロタ
久保貴子
「孤独なふりをしてるの?なぜだろう 気になっていた
気づけば いつのまにか誰より惹かれていた
どうすれば この恋は鏡に映るの?
届かない恋をしていても 映しだす日がくるかな
ぼやけた答えが 見え始めるまでは
今もこの恋は 動きだせない
初めて声をかけたら 振り向いてくれたあの日
あなたは眩しすぎて まっすぐ見れなかった
どうすれば その心に私を写すの?
叶わない恋をしていても 写しだす日がくるかな
ぼやけた答えが 少しでも見えたら
きっとこの恋は 動き始める
どうすれば この心は鏡に映るの?
届かない恋をしていても 映し出す日がくるかな
ぼやけた答えが見え始めるまでは 今もこの恋は動きだせない」
届かない恋は名曲だよね(白目)
ホアルバ2のラジオ聴いてるで
京太郎「泣きながら熱唱しつつ全力で走り去る人を初めて見た・・・」
美穂子「多分お腹が空いたら戻ってくるでしょう。お二人とも色々ありがとうございました」
美穂子「さあ、みんな片付けの続きよ。屋台を撤収しに行きましょう」
未春「はい、キャプテン!」
美穂子「華菜、コーチの分のハッシュドビーフ取っておくから後でもっていってあげてね」
華菜「・・・!合点承知だし!」
深堀「私も最後にもう一杯食べたい・・・」
京太郎「色々あったけど、まあこれで一応一件落着・・かな」
京太郎「俺達も、そろそろ帰ろうぜ。・・・・・優希?」
優希「・・・その前に、ちょっと用事があるんだじぇ」
17:30~麻雀部・部室~
文堂「私だけ残ってくださいということでしたが。さて、要件はなんでしょうか?」
優希「糸目のおねーさん、単刀直入に聞くじぇ。色々と事件の鍵になる映像が映っていたビデオカメラ・・・」
優希「あのカメラを仕掛けたのは、おねーさんだな?」
文堂「・・・・・・フフッ。何かと思いましたが、急にそんなこと言われてもびっくりしちゃいますね」
京太郎「そうだ、失礼だぞ優希。何か根拠でもあるのかよ?」
優希「その笑い方」
文堂「・・・・・・」
優希「ビデオの録画映像が終わる直前、かすかに近づいてきた声だ」
優希「それに足音のリズムが、お姉さんと完全に一致しているんだじょ!」
京太郎「マジかよ、俺には特に何も聞こえなかったぞ」
優希「今の私の可聴域はウサギさん並!100メートル先に落ちたタコスの音も聞き分けることが出来る!!」
優希「忍空組四番隊隊長・卯忍の優希とは私のことだじぇ!!」
ほ?
優希「もっと早く気づくべきだったじぇ。さっきトップランカー3人の対談番組を見ていたと言っていたな!」
文堂「・・・ええ、それが何か?」
優希「ピンチヒッターで出演したアラサーのランクは973位」
優希「5年前の全盛期ならいざ知らず、今はトップランカーとは程遠いローカルプレイヤーだじょ!」
京太郎「ああ、そっか。野依プロから急遽出演者が変わってたんだもんな。ってことは・・・」
優希「そう!本当はテレビを見てなんかいなかったんだじぇ!」ビシッ
優希「違うと言うなら、番組の内容を今ここで詳しく説明してもらおうか!」
文堂「・・・クスクスクス。そうですか、小鍛治プロが出ていたんですか。録画しておけば良かったなあ」
京太郎「・・・やけにあっさり認めるんだな」
文堂「別にどちらでも良かったんですよ。私の役割は観測なんですから」
優希「観測・・・?」
文堂「そう、風越女子の有志が紡ぎだす極上の物語の観測者です」
文堂「久保コーチと吉留先輩は池田先輩に好意を持っている」
文堂「池田先輩はキャプテンに、キャプテンはおたくの所長さんに好意を持っている」
文堂「そして私は皆さんが大好きなんです」
文堂「深堀先輩も誰かいませんかねえ、池田先輩の妹さんたちはどうでしょうか」
文堂「全く、うちの麻雀部はどうも奥手の人たちばかりで困ります」
文堂「それでは、ちっとも面白くありません」
文堂「好意なんて伝わらなければ意味が無い。秘めた想いなんて、クソ食らえですよ」
文堂「誰も彼も思いの丈をさらけ出してしまえばいい。例えそれがどんな結末になってもね」
文堂「誰かが幸せになる向こう側で、誰かが泣いている」
文堂「それでいいじゃありませんか。それでこそ美しい物語ですよ」
優希「笑わせるな!押し付けられた恋愛なんてまっぴらゴメンだじぇ!!」
文堂「ええ、仰るとおりです。私はあくまでも、事実を皆さんの前に提示するだけ」
文堂「そこからどうなるかは、登場人物次第です」
文堂「あなた達の役回りは終わりました。なかなか素敵でしたよ」
文堂「でもこれから先の物語に出る幕はありません。どうぞ気をつけてお帰り下さい・・・」
18:00~風越女子高校正門前~
優希「・・・・・・・・・・・・・・・・・」テクテクテク
優希「なーんか、釈然としないじぇー」
京太郎「まあ、しょうがねーよ」
京太郎「あのヒトの言ってること認めるのもシャクだけどさ、確かにこの先は風越の人たちの問題だ」
京太郎「優希は、やれることをやったよ」
優希「うー・・・」
京太郎「女は街では天使、教会ではマリア、家では悪魔」
優希「じぇ?」
京太郎「子供の頃好きだった探偵ドラマの主人公のセリフだよ。ヨーロッパの格言だったかな?」
京太郎「まあ、深い意味はねーよ。ただ、俺は当分雑用係のままでいいかなと思ってさ」
優希「タコス調理係もな!晩ご飯にはチリソースを所望だじぇ!」
京太郎「はいはい、みんなの分も一緒に事務所に帰ったらな」
優希「よーし!そうと決まったら駅までダッシュだじぇ!」
京太郎「いや、1時間一本の電車の来る時間は変わらないから、って・・・」
優希「目指せタコスマイスター!!」タッタカター
京太郎「ったく、しゃあねーなあ。おーい待てよ、優希ー!」ダッ
まこ「・・・・どうやら、心配はいらんかったみたいじゃのう」
久「うーん、青春やってるわねー」
久「それじゃ、あとは私がアフターケアに颯爽と登場って展開で、どうかしら?」
まこ「余計こんがらがるけえ、やめときんさい・・・」
積(カン)!
この迷惑な文Dも元ネタあんのかな
乙だし 普通に面白かったし
ホワイトアルバムいいよねだし
>>59
元ネタっていうかイメージとしては
ホワイトアルバムの千晶っぽい感
ホワイトアルバム知ってる人結構いてくれて嬉しい
読んでくれた人ありがとうございました!
乙
また咲と和のも書いてね
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