サンダイ (21)
下三つで書きます
投下は夜以降です
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マウンダー極小期
百貨店
遊戯王
きてたか安価できず無念 作品に期待
っていうかお前ら速すぎwwwwww
三題確認しました
今から書きますが寝てしまったら投下は明日です
ある日、僕はとても困っていた。
僕には2つ下の妹がいるんだけど、とってもかわいいやつで、僕は妹が大好きなんだ。
ときどきケンカしちゃうけどね。
それで、僕がどうして困っているかっていうと、今日は大好きな妹の誕生日だっていうのに、プレゼントが決まらないからなんだ。
夜の誕生日会までには決めなくちゃならないのに。
きれいな花で冠を作ってあげるのは?
まだ春じゃないし、いっぱいの花は咲いていないだろう。
カブトムシはどうだろうか。
まだ夏じゃないし、見つからないだろう。
何を贈ろうかって悩んだけど、決まらなくて、うーん、うーん、なんて唸っていたら、あることを思い出した。
僕は最近遊戯王のカードを集めるのが好きで、とは言っても僕のおこづかいだと毎月少ししか買えないんだけど。
それで集めたカードを広げては眺めて遊ぶんだけど、妹はそれをじっとうらやましそうに見てくるんだ。
僕はお兄ちゃんだけど、僕の大事なカードを妹に貸してあげるのは嫌で、絶対に触らせてやらなかった。
「そうだ。遊戯王のカードをプレゼントしてあげたらきっと喜ぶぞ」
それもとってもかっこいい、僕も持ってないような珍しいカードをあげたりしたら――。
喜ぶ妹の顔を想像すると僕もなんだか嬉しくなって、お年玉を貯めている貯金箱を開けてみた。
数えてみると、100円玉が20枚あった。
二千円だ。
これだけあればきっと良いカードが買えるって思って、早速買い物に出かけることにした。
「おかあさん、買い物に行ってきて良い?」
「一人で? 何を買うの?」
おかあさんは僕が一人で買い物に行くのが好きじゃないみたいで、ちょっと嫌そうな顔をしていた。
「妹にプレゼントを買いたいんだ。今日、誕生日会するでしょ?」
僕がそういうと、おかあさんはにっこりして、「そう。じゃあ良いわよ。車と変な人に気をつけていってらっしゃい」って言ってくれた。
おかあさんも妹が大好きだから、良いよって言ってくれたんだろうね。
「プレゼントは決まってるの?」
「うん。でも内緒だよ」
「あら、残念。どこまで買いに行くのかしら」
「裏の駄菓子屋さんに行こうと思うんだけど、売ってないかもしれないんだ」
遊戯王カードは人気だから、裏の駄菓子屋さんはすぐ売り切れちゃうんだよね。
「じゃあ百貨店に行ってみたら? あそこなら何でもあるわよ」
「うん、わかった。行ってみるね」
こうして僕は百貨店に向かうことにしたんだ。
百貨店は僕の家からまっすぐ行けば着けるから、迷ったりはしなかった。
自動扉の立派な入り口から中に入ると百貨店の店員さんがお客さんのおじさんと何か話しているのが見えた。
「こんにちは」
声をかけると店員さんは、「やあ、いらっしゃい」とにっこり笑った。
「今日は何が欲しいのかな」
「遊戯王のカードが欲しいんです。とっても珍しくてかっこいいやつです」
それを聞いて、にこにこしていた店員さんは途端に眉毛をハの字にした。
「ええと、普通のカードじゃ駄目かな?」
「普通のじゃダメです。珍しくて、かっこいいやつじゃなきゃ」
「……ごめんよ、坊や。ここにはそれは売ってないんだ」
「え? だって、百貨店には何でもあるっておかあさんが……」
プレゼントを渡して妹を喜ばせてあげられないって事が悲しくて、僕が泣きそうな声でそう呟くと、僕の前にいたおじさんも声を上げた。
「私も百貨店に行けば何でもあると伺ってここに参ったのですが……」
おじさんも欲しいものが売ってなかったみたいだ。
僕とおじさんにそう言われた店員さんは、困った顔で「実は」と話し出した。
「ここは、正確に言えば百貨店ではないのですよ」
えっ、と僕とおじさんが驚いていると、店員さんは「外の看板をようくご覧ください」と言った。
僕とおじさんは一度顔を見合わせ、それから外に出て看板を見た。
そこにはこう書いてあったんだ。
『白貨店』
「店員さん、これはどういうことなのですか?」
おじさんが聞くと、店員さんは困った顔のまま答えた。
「ご覧になったとおりです。ここは『百貨店』ではなく、『白貨店』。“何でも”はない、一つ足りないお店。別な言い方をすれば、『九十九貨店』とでも申しましょうか」
僕とおじさんはまた顔を見合わせた。
「『白貨店』?」
「ええ、ここは大体の物は売っているお店ですが、“何でも”売っている『百貨店』ではないのです」
ここが百貨店じゃないと言うのなら、何でも売っているという百貨店はどこにあるんだろう。
「じゃあ百貨店はどこにあるのですか?」
「お教えするのは構わないのですが、お客様はこの町の方ではございませんよね? 少し入り組んだところにありますので、地理に明るくない方は迷われるかもしれません」
「それでもお願いします。私はどうしてもそれが必要なのです」
うーん、と悩んだ様子の店員さんに、僕もお願いした。
「僕はこの町に住んでるから道はわかると思います。どうしても今日、買いたいんです」
それでようやく店員さんは、「そこまで言うのなら」と百貨店までの道を教えてくれた。
道を聞き終わって、安心した。
ちょっと難しいけど、なんとか行けそうだ。
僕は店員さんにお礼を言って店を出た。
一緒に出てきたおじさんは、すごく困った顔をしていた。
「坊や。今の説明で道はわかったかい?」
「うん、わかったよ」
「そうかぁ……」
どうやらおじさんは店員さんの説明じゃ道がわからなかったみたいだ。
「いっしょに行く?」
僕が聞くと、おじさんは目を丸くして、「良いのかい?」って言った。
「良いよ。おかあさんにいつも言われてるんだ。困った人がいたら助けてあげなさいって」
「そうか。ありがとう。お言葉に甘えて一緒に行かせてもらうよ」
にっこり笑うおじさんに、僕もにっこり笑ってあげた。
こうして僕とおじさんは一緒に百貨店まで行くことにした。
お店を出て、右に曲がる。
まっすぐ行って、2番目の十字路を左へ。
そこからカラスが一回鳴くまでまっすぐ進んで、黒い猫が寝ているところを左へ。
それから今度はあくびをしている犬の前まで行って、犬の尻尾が向いている方へ進む――。
迷わず進む僕に、おじさんが声をかけてきた。
「すごいな。私には全然わからなかったのに」
感心しているおじさんに、得意そうに言ってやる。
「僕、迷路とか得意だもん。おかあさんもゴールできない迷路だってゴールできるんだ」
「そいつはすごい」
ほめられてすっかり嬉しくなった僕は、おじさんとお話をしながら行くことにした。
「おじさんは何を買うの?」
「私かい? 私はね、簡単に言えばお休みする権利を買うんだよ」
「おやすみする権利?」
よくわからなかった。
「そう。いっぱい働いたからね。そろそろお休みしても良いかなって思ったんだ」
「働いて貯まったお金を払っておやすみするってこと?」
「うん、そうだよ」
「変なの。じゃあ最初から働かないでおやすみしてたら良いのに」
僕の言葉におじさんはきょとんとしたが、やがて笑い出した。
「まったくもってその通りだね。でもおじさんが働かないと大変なことになっちゃうんだ。だからずっとはお休みできないんだよ」
「坊やは何を買うんだい?」
「遊戯王のカードだよ。珍しくて、かっこいいやつ」
「かっこいいやつか。男の子はそういうの、好きそうだね」
「違うよ。妹にあげるんだ。今日誕生日だから」
へえ、とおじさん。
「本当はお花で作った冠とか、カブトムシとかにしようと思ったんだけど、まだ春じゃないし、夏じゃないから無理なんだ」
「そうか。それは残念だね」
笑顔で頷きながらそう言ったおじさんは、なにやら考えるような顔で聞いてきた。
「……君は春と夏が好きかい?」
「うん、好きだよ。妹も好きだよ。春になったら、一緒にスケッチブックを持ってお絵かきに行くんだ」
「……そうか。それはとても、楽しみだね」
そんな話をしていたら、やがてぶち模様のねずみが胡坐をかいている交差点に出て、ねずみの鼻が向いている方に進めば、百貨店はいよいよ目の前となった。
百貨店に入ると、そこは見たことあるものから見たことがないものまで、いろんな物が置いてあって、本当に“何でも”がありそうな有り様だった。
「いらっしゃいませ」
僕とおじさんが奥に進むと、店員さんが声をかけてきた。
「本日は何がご入用でしょうか?」
おじさんが答える。
「マウンダー極小期を一つ」
おじさんの言葉に店員さんは目を丸くした。
お待ちください、と店員さんはパソコンを少しいじると、「ああ、1つ在庫がございます」と言った。
おじさんが「おいくらですか」と尋ねると、店員さんは「そうですね……」と胸のポケットから紙の束を取り出した。
「時価になってしまうのですが、このお値段でいかがでしょうか?」
店員さんがすらすらと数字を書いた紙を横から見ると、0がいっぱい並んでて、僕にはそれがいくらなのかさっぱりわからなかった。
でもおじさんはその値段に満足したようだ。
「それで結構です。包装はいりません」
「そちらのお客様は何をお探しでしょうか?」
店員さんは僕に向き直って言った。
「遊戯王のカードありますか? とっても珍しくて、とってもかっこいいやつです」
僕が訪ねると、店員さんは「もちろんございますとも」と僕をカードのところまで案内してくれた。
案内されたそこは僕にとってまさに宝の山だった。
すごくかっこいいカードがいっぱい並んでいて、どれにしようか目移りするほどだ。
「これをください」
僕はその中の1つを指差した。
それは金色の翼のはえた、かっこいい竜のカードだった。
「ラーの翼神竜のカードでございますね」
それから店員さんは、「このカードは純金を用いて装飾されており――」なんて説明し出したけど僕にはよくわからなかった。
僕がポケットから二千円を取り出して店員さんに見せると、店員さんはとても申し訳なさそうな顔をした。
「お客様、申し訳ございません。こちらにあるカードは珍しいものの中でも更に稀少な付加価値のあるものばかりでございまして……」
つまりは、僕のお金じゃ足りないってことらしかった。
僕ががっかりしてうなだれていると、おじさんが声をかけてきた。
「君は春と夏が好きだって言ったけど、それはどうしてだい?」
どうして今そんなことを聞くのだろうと不思議だったけど、僕は素直に、思った通りに答えた。
「だって、春は日差しがポカポカしてて好きだし、夏は太陽の光で元気になるみたいで好きなんだ」
それを聞いたおじさんは一つ頷き、さっき買った商品を店員さんに差し出して言った。
「すみません。こちらの購入は取り止めます」
「よろしいのですか? 次回入荷は200年から300年後になってしまいますが?」
「ええ、結構です」
商品を返したおじさんは、僕に向かってこう言った。
「妹さんへのプレゼントは、新しいスケッチブックと、色鉛筆はどうでしょう?」
僕が首をかしげていると、おじさんはにっこり笑った。
「今年の春は、ぽかぽか陽気の、素敵なスケッチ日和が続きますよ」
買い物が終わり、百貨店を出ると「では私はこれで」とおじさんが言った。
「おじさんは、おやすみしなくてよくなったの?」
「ええ。本当は私も迷っていたのですよ。私がお休みすると、色々と周りに迷惑をかけてしまうもので」
苦笑しながらそう言ったおじさんは、そうそう、と小さな袋を取り出した。
「結局、私の買い物はなくなったのでこれを買ったのですが、よろしければ受け取ってもらえますか?」
受け取って中を見ると、欲しかったあのカードがそこにあった。
「道案内のお礼です」
でも、と僕が断ろうとすると、おじさんはにこにことしながら「是非受け取ってください」と言った。
「そして、できれば妹さんとスケッチに行くとき、そのカードも持っていってくれませんか? そうしていただければ、一生懸命働きながらも君たちと一緒に春行楽に出かけているような、そんな気分を味わえる気がするのです」
そうしておじさんは、「それでは」と立ち去っていった。
家に帰ると、帰るのが遅くなったことをおかあさんに少し怒られた後、僕はさっそく妹に誕生日プレゼントを渡した。
新しいスケッチブックと色鉛筆を見た妹は、すっごくかわいい顔で、ありがとう、と笑ってくれて、僕はとっても嬉しくなった。
僕は「まだあるんだよ」と言って、ポケットにしまっていたカードを取り出して渡す。
妹は最初驚いていたけど、すぐに飛び上がるように喜んでくれた。
「春になったら、スケッチブックと色鉛筆を持ってお絵かきに行こう。そのカードも一緒にね」
僕の言葉に妹はとびっきりの笑顔で、うん! と頷いた。
ふと見ると、カードの中の黄金色の竜もにっこりと笑っているように思えた。
それが去り際のあのおじさんの笑顔に重なって、僕はなんだか嬉しくなったんだ。
終わり
乙 もしも太陽が無かったら地球はたちまち凍りつく♪
とりあえず自分がい着てる間にはマウンダーはかあないでいてほしいわ
なんというか絵のない絵本を読んだ気分
ほっこりした
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