ハンジの話(10)
ハンジにあったのはあいつが15の時だった。
俺は地下街を" 仲間 "と共に屯していた。
その日は手に入れた金品、賞金首をとっとと売っ払う為、単独行動をとっていた。
地下でなく、陽のあたるローゼまで来ていた。
珍しいものを見た。
毎年、数回しか見る事のないシーナからの馬車だった。
無意味な飾りを塗りたくった三流のケーキのような馬車から禿げ上がった、油親父が出てきた。
汚ねえ。見た目が汚ねえ。老い耄れの身体にこっちも馬車と同じく塗りたくった様なそうしょくそうしょく装飾。何がしたいんだあいつは。
後ろの定期便の馬車から女、というよりは少女が出てきた。白い、膝丈の長いドレス。金で縁どられた透き通る上着に、水色のヒール。高そうだった。
なんだこれは。出てくる馬車違うだろ、油親父はどこからも出て来なくていいが。
少女は不思議そうに周りを見渡している。
人売か?
「おっじょーさま、この度はお暑い中大変だったでしょう!!今この爺めが貴方様の道を作りますからね!他にも何かあればなんなりと」
「いらないわ」
蝉の声が響き渡る、
日差しが肌に突き刺さる夏の日だった。
リヴァハン過去?
期待
少女はサイドから艶やかな黒髪を編み込んだ、アップスタイル。
手には薄水色の日傘を持ち人混の中へと、喚く爺と共に紛れていった。
「まあ、関係ねえ」
ローゼでは良識のある兵が多い。シーナへ向かうべく、換金材料と共にリヴァイもまた人混みに紛れた。
リヴァイは堂々と門を叩き、受け入れられた。
疚しい事をしていない訳ではない。いや、自分の思いに反する事はしてこなかったが。
ここ数年巨人は壁の中に姿を見せていない。
だが、いる、らしい。確実に。
そんな事も目に入らないのか、呑気に壁の中で啀み合い、時に暴力を手段として使い目的を達する。
主に治安の悪い、とされる地域でそれはよく起こる。
それを収めるために王の奴隷はせっせとお金をかけて暴力の元を集めて、閉じ込める。
その手伝いをよくしている俺は、簡単に中に入れる。
とっ捕まえる際、自体収束の礼だったり、捕まえたやつの所持品だったり少しの金品も頂いているが、余裕のある金か、牢屋の中では使わん金だ。
だが、そういう事をローゼの兵は嫌う。だから毎回点数稼ぎに明け暮れるシーナの兵まで届けに行ってやる。
そんな事をしている間に仲間が集まった。
仕事をしたらいなくなったり、またふらっと現れたりの 仲間 だが。
「ほら、受け取れ」
完璧に落ちている換金材料を兵士に受け渡し、ソファーに腰掛
ける。
「…では、確認致しますので、少々お待ちを。」
「ああ。」
パラパラと紙をめくる作業を見ていると、暇人共の噂話が聞こえた。
「聞いたかよ、ゾエ家のお嬢様」
「は?また何かやらかしたのか、あのおじょーさまは」
「おい、声がでかいって!いや実はな、今度はローゼの視察を買って出たらしい。民が皆、幸せになれるようにとかなんとか」
「おいおい、本気かよ」
「まあ俺らに被害はなさそうだけどさ」
「「笑えるよな!民を食物にしてる貴族のお嬢様が」」
「ちがいね!俺らのほうが民をわかってますよー」
「ってか民じゃん俺ら」
消えていく足音と共に、兵の笑いは消えて行った。
「あいつか」
思い出す。
定期便から出てきたものの、あいつのナリは確かに民のそれじゃねえ。
油ぎったあの爺の着ていたものとなんら変わらない、高級品だ。
あのヒールでは街の様子もどれだけ見れたものか。
「すいません、認証確認できました。お待たせ致しました。」
「ああ。」
腰をあげ、目的を達するとすぐに離れた。ここは融通の効くのもいれば、面倒くさい難癖をつけてくるやつもいる。
つまりは、自分の事しか考えてないやつが多い。
「まだ間に合うな」
昼過ぎ。夕方に差し掛かる時刻、そのままローゼ行きの最終馬車に乗り込んだ。
×ここ数年〇数十年
ありがとう。ハンジとくっつくかはわからないけど、ハンジとリヴァイの話。
新しい感じ。続きに期待!
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