初春「私は守護神<ゴールキーパー>」(111)

初春「IDとーパスワード入れてーログインー♪」

初春「……」

初春「最近は帰ってきたらすぐにデーターベースいじってるだけですね……」

初春「……にしても今日は疲れたなぁ」

初春(子供に絡まれるわ、固法先輩は変な人捕まえるわ……)

初春(変に疲れた日だったなぁ……)

初春「……そういえば最近遊んでない気がする」

初春(家でも支部でも、パソコンばっか見てますし、一端覧祭関係で無茶苦茶だし……)

初春「一端覧祭かぁ……そういえば全然参加してない気がする」

初春(風紀委員だし仕方ないんだけど)

初春「……」

カタカタ ピンッ

初春「ん?SNSの通知……」

―――御坂美琴、食蜂操祈と仲良く追いかけっこ

初春(なんですか、これ……明らかに御坂さん迷惑そうにしてる)

初春「食蜂操祈……思えばいろんなことあった……ような気がします」

初春「記憶が曖昧……」

―――学園都市第一位、学園都市第二位、学園都市第四位、戦闘。

初春「は?なんですか、これ……私の知っている情報だと、第二位ってもう……」

初春「……?」

初春「……でも学園都市だし、ありえるのかな。所詮ネットの情報だし、あんまり鵜呑みにしちゃダメか」

初春「……ふぁぁ、もう寝ようっと」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364732587

佐天「おはよう、初春」

初春「おふぁひょうふぉふぁいふぁふ……」

佐天「どうしたの?眠そうだね」

初春「はひ……寝ようと思ったら寝付けなくて、データーベースいじってたら嵌っちゃって……」

佐天「もー、お寝坊さんは育つ所も育たないよ?」

初春「え、そうなんですか?」

佐天「そうだよー、ぼんぼーんの、ばいーんには程遠いよ!」

初春「……ちなみに佐天さんは何時に寝ているんですか?」

佐天「9時」

初春「早っ!」

佐天「昨日は宿題しないで寝ちゃってさー、だから、初春」

初春「嫌です」

佐天「そこをなんとかぁー!」

初春「ダメです!私は眠いながらもちゃんとやりました!」

佐天「だってー、この時期はついつい……」

初春「もー……半分だけですよ?」

佐天「やった!流石初春ー!」

You got mail...You got mail...

初春「……PDAのほう?」

佐天「なになに?メール?」

初春「あ、いえ、PDAのほうなので多分メルマガですよ!それより遅刻しちゃいますよ!」

佐天「え、本当!行こ!初春!」

初春「はい!」

初春(You got mailが2回……守護神アカウントのメールだから、誰も居ない所で見ないと)

一限休み時間女子トイレ

初春「えっと……」



From:xxx@27xxxx.com
Title:守護神への依頼
Main:
 初めまして、私は第七学区二七番研究所所属の者です。
早速、要件ですが貴女の技術が必要なので、依頼をさせて頂きました。依頼内容は下記の通りです。

-依頼内容-
 自立型コンピュータの暴走を食い止める事。本来ならば、最新鋭のAIは暴走が起きた際に制御が施されますが、今回の場合その制御すらも上回るAIになってしまいました。
私共の技術では、そのAIを止めることは難しく、今は『施設内で』暴走をさせています。今よりも知識が増えれば外部に漏れる可能性も無きにしもあらずです。
この研究自体が機密事項であり、外部に漏れた際には沢山の人・情報に影響を及ぼすでしょう。
そうなる前に、貴女にそのAIを封じ込めてほしいのです。

 尚、このメールアドレスには返信が出来ないので、11月24日に、添付された位置情報の所で待っています。
大変恐縮ですが、その位置情報は暗号化されており、本当に守護神かどうかを試すテストになっていますので、何卒よろしくお願いします。



初春(……なんか凄い依頼かも)

初春(今まで、嫌いな人への情報的暴力とかはあったけど、こんなまともな、しかも……自立型コンピュータのAI……)

初春(やらなければ、沢山の人に影響が出る……)

初春(私にしか出来ないなら、やるしか無い、かな)

佐天「初春ー!」

初春「ひゃぁぁああ!!」

佐天「居るのー?授業始まるよー?」

初春「は、はい!待ってくださーい!」

佐天「お腹痛いのー?大丈夫ー!?」

初春「ち、違いますー!もう!!」

放課後

佐天「今日は風紀委員なんだっけ?一端覧祭も終わり頃だから無いんだっけ?」

初春「はい、今日は休みです……だけど、ちょっと用事があって」

佐天「んー?風紀委員以外の?」

初春「はい、すみません……」

佐天「なーんで謝ってんの!用事なら仕方ないじゃん!あ、そうだ、御坂さんもこの前帰ってきたみたいだし、今度まだ4人でどっか行こうよ」

初春「良いですね!最近御坂さん学園都市に居ませんでしたから……」

佐天「帰ってきた時は白井さんも泣いて喜んでたよねー……だけど、一端覧祭であったアレが……」

初春「食蜂操祈さんですよね……私達もいろいろありましたけど。絶対に御坂さんと関係は良くならない気がします」

佐天「だよねー……うんうん」

初春「行く所はセブンスミストにしましょうか」

佐天「良いねー、最近行ってなかったし、服も冬物買いたいしー」

初春「それ私もです!冬物買わないと……小学校の頃のは流石に着たくないですから!」

佐天「ちびちび初春も可愛いと思うよー?」

初春「思いません!それじゃあ、また明日です」

佐天「うん、私も買い物して帰るから、また明日!」

初春「はーい」

学生寮初春宅

初春「さてと……」

初春(まずはこの位置情報の暗号を解かないと……)

初春(……とりあえず暗号解析ソフトに入れてみよう)

初春(これも更新しないとなぁ、マシンスペックも上がったから、もうちょっと負荷かかっても良いはずだし、そうすれば時間も早めに終わるし……)

ピー

初春「やっぱりダメかぁ、そう簡単にはいかない……」

初春(しょうがないから、解析解凍ツールで、解凍してソースの中身をこじ開けるしかないかな……)

初春(……うーん、特殊言語なのかな。見たこと無いプログラム言語かも。それで生成されているなら?)

初春(待って、『私が見たこと無い?』って、あれ……おかしいかも)

初春「……だったら、開発段階中の言語を調べれば良いのかな」

初春(調べてみよう、見つからなかったら……しょうがないからハッキングかな。あっちも了承した上だから)

初春「……流石にソースを検索にかけたら見つかりそうですから、ダミーをして、もう4つくらいダミーを……よし、これでいいかな」

カチッ

初春「……ダメだ、見つからない。うーん、なんでだろう」

初春(この世界に無い言語だとすると、そのルールを数少ないソースコードから見出さないといけない……)

初春(……面倒臭くなってきたかな)

初春「いやいやいや、ダメだ。私は守護神<ゴールキーパー>なんだから」

初春(中学生の初春飾利、じゃなくて、守護神としての初春飾利だから……)

初春「……あ」

初春(何かに似ている……この感じ既視感がある)

ピーポーピーポーピーポー

初春「!? って救急車かぁ……ん?」

初春(……音?)

初春(そうだ、この数字を、こうすると……グラフになって、このグラフは……正弦波?)

初春(うぅ……こんなの女子中学生レベルじゃ解けませんよ。音が関係する、音……)

初春(いや、音がヒントなのかもって考えるべき……?このソースコードはダミー?)

初春(でも位置情報って……)

初春(……第八学区は美術系の学区、音楽系の学校もあったはず。第八学区なのかなぁ)

初春「頭痛くなって来た……」

初春「まだ時間もあるから、とりあえずここまででいっか……」

期待

翌日。

佐天「おはよ、初春!……ってまた寝不足~?」

初春「ふぁい……」

佐天「もー、ダメだよ!初春!」

初春「ごめんなはい……すみません、佐天さん今日私宿題やっていなくて……」

佐天「え、え!?初春が!?」

初春「その、見せてもらっていいですか……昨日ハマりにハマってしまったものがあって」

初春(調べに調べてしまったんだけど)

佐天「しょうがないなぁー、良いけど」

初春「本当ですか!?」

佐天「半分だけ、ね?」

初春「仕返し!?」

2限目。

初春(……やっぱりいろいろと解析してみたけど、一番最初の音に関連するっていうのが一番引っかかる)

初春(音の関連の能力者っていっぱい居るけど、能力者は関係あるのかな……)

初春(正弦波……音、波……波……?)

初春(……そういえば第八学区のあそこの道路って波みたいだった気がする……)

「じゃあ、ここを初春に読んでもらおう」

初春(どこだったかな……うーん、駅前ロータリーから伸びた所……?あんまり行かないから覚えてない)

「初春居ないのか?」

佐天『ういはるー、ういはるー?』

初春(うう、今すぐPDAで見て見たい……)

「おい、初春!」

初春「ふぁ!?」

「何をボーっとしている、さっさとここの構文を読むんだ」

初春「す、すみません……」

佐天(……変な初春)

放課後。

佐天「初春ー!今日も用事あるのー?」

初春「すみません、今日もちょっと……」

佐天「そ、そうなんだ。ねぇ初春、無理しないようにね?」

初春「え?」

佐天「さっきの授業でもそうだったけど、あんまり生活に支障になるようなことはしちゃダメだよ?」

初春「……はい、佐天さんも宿題忘れないでくださいね」

佐天「今日忘れた人に言われたくないなぁー?」

初春「あうぅ……」

佐天「宿題してから!やるよーに!」

初春「いつもと立場が逆転です!」

佐天「そうそう!初春はそうでなくっちゃ!」

初春「えへへ……」

佐天「じゃあね、初春!また明日」

初春「はい!また明日!」

初春(佐天さんにはああ言ったけど……指定された日付まであと数日しか無いから、やらないと……)

学生寮初春宅

初春「あった、ここだ……ここなのかなぁ、だとしても道が多すぎて座標を出すことは出来ない……まだコードに何かあるって考えないと」

初春「……え、何、これ」

初春(拡大、拡大……)

初春「誰かが手を振ってる?」

初春「……ストリートビューに手を振るって、そのストリートビューに何か関係なかったりしないとダメなはず……撮った日時が分かってないとだし」

初春(あ、あれ……)

初春(このストリートビューを、作ったのは……)

初春「二六番研究所……隣の研究所だ」

初春「……じゃあ、ここでいいのかな。メモらないと」

ピ、ピガ、ガガガガ

初春「え?」

ガガ、ガー

初春「ノイズ……?なんでだろ、スピーカーの故障……?」

『よぉ』

初春「誰!?」

初春「違う、スピーカーから!?」

『テメェか、俺を消そうとしている奴は』

初春「ま、まさか……」

『そうだよ、俺だよ。自立型コンピュータに搭載されたAI……コードネームは……』






『Dark Matter』






初春「だ、Dark Matter!?それって……」

『説明すると長くなるんだけどな、まぁテメェの無い頭でも分かるだろう。俺はアレの副産物だ』

初春「そんな……そんなのを相手にしないといけないんですか」

『はっ、テメェがどうやって俺に勝つのか知らねぇが、そこそこの腕を持っているみてぇだしな、ババァ共の相手にも飽きた』

初春「あなたは一体何をしようとしているんですか」

『さぁな、俺はただありのままにことを進めているだけだ』

初春「……、」

『動機なんて必要ねぇ、お前が意味のないことをする時に動機なんてねぇだろ。それと同じだ、意味が無いとわかりつつも、ありのままにやっている』

『産まれたからには、とことんやる。上り詰める、それだけだ』

初春「……そんなことで、人を苦しめるんですか」

『元々のオリジナルがそういう奴だったからな、仕方がない』

初春「オリジナル……垣根帝督ですか」

『答える必要は無い。アレはもうダメだ』

初春「……?」

『とりあえず、その座標で正解だよ。その座標を見る人間を片っ端から調べたが、お前が一番っぽいからな。メールだって来たみたいだし』

初春「……バレてたんですね」

『俺はネットワーク上に存在するからな。当然だ』

初春「ネットワーク上に存在するなら……私でも戦えます」

『……ふん』

初春「私は―――守護神ですから」




11月24日某所

初春(ターゲットにバレてるけど、一応待ってないと……)

「……えっと、貴女かしら」

初春「? あ、はい」

「そちらに私達の物が行ったみたいだし、一応コードネーム分かるかしら」

初春「……Dark Matterですか?」

「……貴女なのね。守護神が中学生だなんて思わなかったわ」

初春「えへへ……仲間からもよく言われます」

「そう、それじゃあ研究所に行きましょう。話しはそれからよ」

初春「はい」

二七番研究所

初春「凄い施設……」

「ええ、そりゃ研究費はいくらでもあるようなものだし。はい、コーヒーは飲めるかしら?」

初春「お、お砂糖多めなら!」

「そう、じゃあ3つくらい入れておくわね」

初春「は、はい……」

「さてと……まず最初に暗号はどうやって解いたのかしら?」

初春「はい、最初は添付されている暗号化されたソースコードを見る所からでした。私の持っている暗号解析ソフトだと通らなかったので、そのコードにはヒントが載っているんだなと思いました」

「ふむふむ」

初春「それは正解でした。実際にそのソースコードにはある数値が入っていて、その数値をグラフ化すると正弦波になります……そして、その正弦波は音を表す正弦波だった。元々正弦波と言うのは音を表す物ですけど、最近の研究では能力を踏まえたものもありますから、ちょっと悩みました」

初春「それで、第八学区にこの道があると思いだしたんです……そうなれば、ストリートビューで見ればと思って拡大したら、手を振っている人が居る。そのストリートビューを作ったのは二六番目の研究所なので、確実だなと思いました」

「そこでアレが来たのね」

初春「はい……正直怖かったです。聞き覚えのある声、でしたから」

「……?聞き覚えのある?」

初春「……あれ、学園都市第二位垣根帝督さんの声ですよね」

「そうね、そこから説明するとなると、このAIが出来た所からなんだけど」

初春「あの、私の予想なんですけど。私が少し前に見た論文に未元物質の論文があったんです。あの論文は読み解くのに凄い苦労したんですけど……」

「へぇ……勉強熱心なのね」

初春「ただの興味本位です。それで、未元物質はこの世に存在するものなら、演算次第で代替出来るってあった、それでもしかしてそのAIは脳そのものを作り上げたんじゃないかな、って」

「鋭いわね。脳そのものを作り上げることはまずいことくらいは分かるわね?」

初春「はい……事実上クローンを生み出すことと同じです。この国ではクローンを生み出すことは禁止されていますから」

「だから、機密事項なのよ」

初春「と、とりあえず、外部には漏らさないようにはしています。データも完全消去を施しましたから」

「ありがとう、そうして貰えると、こちらも動きやすいわ」

初春「はい……」

「それで、貴女には何か策があるのかしら。貴女の所へ行ったと言うのなら、もうその自立AIは外部に漏れ始めているのよ、早急に手を打たなければいけないのよね」

初春「一応考えはあります……けど、ここでは言いたくありません」

「……?何故かしら」

初春「だって、そのAIがここを見張っているかもしれませんから……」

「ッ!?」

初春「……、」

『へぇ、やるじゃねぇか』

「……垣根帝督」

『その名前で呼ぶんじゃねぇよ、殺すぞ』

初春「でも貴女のオリジナルは垣根さんですよね?」

『それは否定しねぇよ。だからなんだって話だけどな。そもそも、そういう思考を生み出したのは、そこにいるババァだろうが。未元物質である以上、オリジナルである垣根帝督から切り離すことはほぼ不可能。それを可能にしたのはどいつだよ?』

初春「……そんなことを」

「……、」

『はっ、どうした、戦意喪失をしたか?俺を閉じ込めるんだろう?だったらやってみろ』

初春「……外部に影響を及ぼすならいくらでも策を出します」

『何度でも相手してやる、お前が壊れるまでな』

初春「……、」

初春(正直言うと、怖い。見えない相手とひたすら戦うというのは……)

『じゃあ、俺は消える。ここから居なくなる、だから作戦会議でもなんでもするんだな』

初春「……は?」

「どういうことだ!」

『うるせぇな、ババァは黙ってろ。俺は守護神と話してるんだよ』

「くっ……」

初春「貴方の考えはわかりません……」

『お互いにな、じゃあな』

初春「……、」

「……すまない、私が間違っていたんだ。こんな暴走を起こすのも、私のせいで」

初春「大丈夫ですよ、私もなんとかします……あの、一つ聞いてもいいですか?」

「なんだ?」

初春「垣根帝督さんはどうなったんですか?」

「……それについては、言えない」

初春「ちょっと待ってください、オリジナルである垣根さんの情報がないと厳しいですよ」

「……だとしたら、すまない言い方を変えよう。私の口からは言えないんだ」

初春「ッ……そういうことですか」

「君なら分かるだろう」

初春「……はい、分かりました。でしたら、機材を貰えませんか」

「ああ、いくらでも用意しよう」

初春「ダミー用のパソコンを20台、ダミー用サーバーを40台……あと、この施設内にある、言語に関する書籍もくれると嬉しいです」

「分かった、伝えておこう。ああ、そうだ、君だけの研究室を設けた。鍵はこれだから自由に出入りしてくれ」

初春「カードキーと、鍵……?」

「今時は二重ロックじゃないと、容易く入られる時代だからね」

初春「はい、ありがとうございます」

「こっちだ、案内しよう」

初春「はい」

期待

初春専用研究室

初春「凄い部屋……」

「ここにあるものはとりあえずなんでも使っていいわよ。そこにある自動販売機もカードキーかざせば無料で出てくる仕組みになってるし。あとパソコンもカードキー、あとは自分でセキュリティ組んでね」

初春「分かりました。学校は行きたいんですけども」

「それに関しては平気よ。土日だけここを使えばいいわ。なんならここから登校してもいいくらいね」

初春「そうですね、考えておきます。だとしたら自宅の機材も運んでくればいいのかなぁ……」

「人材派遣なら平気よ。あとこれを渡しておくわ」

初春「携帯電話ですか?」

「ここの機関にしか通じないけどね。私に連絡する時はそれに電話してくれれば出るようになっているわ。登録されているNo.1が私、No.2が機材運んだりしてくれる便利屋、No.3は電話しなくていいわ。一応私の上司なんだけど、私経由で話した方がいいし」

初春「は、はい……No.4は?」

「うーん、多分かけても繋がらないわ。存在しないと思うし」

初春「誰だったんですか?」

「―――垣根帝督よ」

初春「ふーこんなもんかな」

初春(まさか、こんな施設までくれるなんて……私自身の研究にも役に立ちそうな機材だらけ。スペックも頭おかしいレベルだし。すごいなぁ、大人の力って)

初春(設定終わったし、今日はとりあえず帰って寝ようかな……疲れた)

初春「そういえば、この部屋にあのAIは入ってこないのかなぁ……」

『入れないと思ったのか?』

初春「うひゃぅう!?ルール違反ですよ、潜んでるなんて!!まさかパスワードとか、その他諸々も意味無いんじゃ……」

『そうだな』

初春「やり直し……はぁ、意味ないし……」

『またやればいいだろうが、それくらいで根をあげてんじゃねぇよ』

初春「大体なんなんですか、あなた……垣根さんではないんですよね?」

『そんなこと教えると思うか?』

初春「そうですね、聞いた私がバカでした」

『今の俺は気分がいいから教えてやろう』

初春「は?もう本当意味わからないですね……」

『俺は垣根帝督であり、垣根帝督ではない。意味がわからないだろうな』

初春「意味が分かりません」

『お前にもあるだろう、自分だけの現実<パーソナルリアリティ>が。本来垣根帝督の自分だけの現実から離れることは出来ない。俺が垣根帝督から離れたら、俺という存在に矛盾が産まれるからな』

初春「それじゃあ貴方は誰なんですか?」

『垣根帝督だったもの、だ』

初春「……ふーん」

『もっと驚けよ』

初春「だって、やっぱり意味が分かりません。自分だけの現実から新しい自分だけの現実が産まれるなんて話し聞いたことありませんから」

『俺の能力だからできることだ。他のやつには出来ない、そもそも未元物質っていうのは創造を司るものだからな』

初春「ふーん……」

『……、』

初春「驚いた方が良かったですか?」

『危機感がねぇな、テメェ』

初春「だってこれから戦う相手なのに、自分のことペラペラ話しちゃう人なんですもん。気も抜けちゃいます」

『……、』

初春「まぁ、でも貴方が生まれてはいけない存在だったってことは分かりました、それに……きっと性格は垣根さんそのものですね」

『何?…………待てよ、そういえばテメェはどこかで……』

初春「アホ毛ちゃんを助けた時に会いましたから」

『……そうか、最終信号の時か』

初春「記憶はあるんですね」

『曖昧だがな。脳みそは完全復元されているはずだが、所々が抜けている。オリジナルはヘマをしたらしい』

初春「へぇ……案外おっちょこちょいなのかもしれませんね」

『どうだかな』

初春「……オリジナルである垣根さんはどうなったんですか?」

『それを調べるのはテメェの最初の仕事だろうが』

初春「ちぇー、ここで答えてくれたらもう終わりでしたのに」

『もう一度言う、危機感がねぇよな……ここで俺が外から電子ロックかけたらテメェはどうなるんだろうな』

初春「困りますね、でも良いんですか?私戦えなくなりますけど」

『……、』

初春「話しを聞いていると、私は貴方が私と戦いたくて仕方ないように見えます」
『……洞察力は良いみたいだな』

初春「昔から言われます!!」

『つまんねぇハッタリかますもんじゃねぇな。中学生相手だから、泣き始めたりしたらそれはそれで面白かったんだが』

初春「……怖いですよ、正直。でも怖がっている暇なんてありませんから」

『そうかよ』

初春「……さてと、そろそろ私は帰ります。貴方は寝ないんですか?」

『寝るに決まってるだろう、脳みそは睡眠することにより、脳内の情報を整理する。たとえ身体が存在しなくても、人間の構造と変わらないならば、睡眠を取らなければいけねぇんだよ』

初春「ふーん……」

『……口癖かなんかか、それ』

初春「いえいえ、そんなことないですよ?」

『つまんねぇやつ……』

初春「垣根さんの相手している暇ないですって」

『……垣根さんだぁ?』

初春「呼び名無いと不便じゃないですか?いいじゃないですか、垣根さんで」

『それじゃあ俺もウイハルって呼ぶぞ』

初春「別に良いですよ?」

『良いのかよ』

初春「はい!」

『チッ……垣根と呼ばれる立場にねぇんだが、不便なら仕方ねぇよな、そうだな……』

初春「??」

『なんでもいい、俺は寝る』

初春「あ、はい、おやすみなさい」

『……、』

初春(……変なの。帰ろっと)

学生寮初春宅

初春「ふぅ、やっと家ですね」

初春「念のためネットワーク切っておこうかなぁ……でも寝てるって言ってたし、うーん」

初春「いっか、私もお風呂入って寝よう……っと」


翌朝

『起きろ』

初春「んぅ……」

『オイ、コラ。クソガキ』

初春「あと5ふ……」

『しょうがねぇ……音量最大にして』

キィーーーーーーーーン

初春「あぅ!?」

初春「な、何ですか!?」

『おはよう、ウイハル』

初春「え、この声……」

『そうだよ、俺だよ』

初春「えー、やっぱりネットワーク切っておくべきでしたね」

『そうだな、防衛本能が足りない』

初春「はぁ……着替えるんで、出て行ってください」

『ガキの身体に興味なんてねぇよ』

初春「いいから!」

『めんどい』

初春「……、」

ブチィ

『おい、何をしている』

初春「何って、ネットワーク回線切ってるんですよ?」

『ちょっと待て、オイ。やめろ』

初春「この仕事も終わりですね、私の部屋に閉じ込めておけば問題無いです」

『分かった出て行く、出て行くからちゃんとテメェと戦わせろ』

初春「……、」

『……、』

初春「私も大概だなぁ、本当……はい、出て行ってください」

『お、おう……』

初春「バカだなぁ、私。せっかくのチャンスだったのに。でも……」

初春「ずっと家にいられるのは流石に嫌だし……」

初春「……学校行かないと」

佐天「おはよう、初春~」

初春「おはようございます……」

佐天「ん?なんか疲れてる?」

初春「……い、いえ疲れてないですよ!ぜんっぜん!」

佐天「そうー?本当ー?」

初春「は、はい……」

佐天「嘘つきー?」

初春「はい…………はい?」

佐天「ほらー、話し聞いてないじゃん」

初春「え、あ、ごめんなさい……」

佐天「疲れてるなら、その疲れてることを一旦辞めるのもありだよ?」

初春「ふぇ……?え、えっと、あはは」

佐天「初春!」

初春「ふぁい!」

佐天「……ちょっと目を瞑ってて」

初春「こ、こうですか?」

バサァッ

初春「……、」

佐天「あれ?初春?」

初春「もー佐天さん、もー」

佐天「あ、あれー?初春ー?おかしいなぁ、いつもの初春じゃないよー?」

初春「やっぱりちょっと疲れてるのかもしれません……」

佐天「……じゃ!今日休めば良いんだよ、遊びに行こ?ね?」

初春(どうしよう……別に後で連絡しておけばいいし。佐天さんにも気を使わせちゃうから……)

佐天「初春?」

初春「ふぇ?あ、はい、大丈夫だと思います。後で連絡してみるので」

佐天「連絡?」

初春「はい……そ、その、言えない事なんですけども」

佐天「んー……」

初春「……、」

初春(ま、まずかったかな)

佐天「……初春?危ないことはしてないんだよね?」

初春「っ……」

佐天「うーいーはーる?」

初春「だ、大丈夫ですよ!それに私風紀委員ですよ?ごめんなさい、佐天さん。私がちょっとおかしかったです」

佐天「……そっか、まぁー私は初春の親友なので、初春を信じることにします」

初春「佐天さん……」

佐天「だけど、本当にいっぱいいっぱいになったら必ず相談すること。一人で抱え込んで勝手に自爆したら私怒るからね?」

初春「はい!」

佐天「よーし、そろそろ遅刻しそうだし、教室まで競争!」

初春「え、ちょ、待ってくださいよぉ!体力は、体力だけはぁ……!」

昼休み体育館裏。

初春「えっと、№1っと……」

初春「……誰も居ない、よね」

prrrrrr pi

「もしもし?守護神さん?」

初春「はい。あの、今日はそちらに行けそうにないので連絡を……」

「そうなの?うーん、でもあのAIが暴走しても困るし……どうしてもダメかしら?」

初春「……はい、すみません。それに、あのAIなら平気だと思います」

「あら?どうしてそう思うの?」

初春「今朝話したんです、そしたら私と戦うのが楽しみみたいで……」

『そういうことだ』

初春「ひゃぅう!?」

「……通話回線に入るなんて奇妙なことするわね」

『簡単なことだろ。電波に乗れば良いんだからな。俺は単なる情報だからな』

初春「悪趣味ですよ!垣根さん!」

『うるせぇよ、オイババァ』

「……だから、その呼び方は」

『ウイハルの言う通りにしろ。じゃねぇと研究所潰す』

「ハッタリじゃなさそうね」

『つまんねぇハッタリはもう仕掛けないようにしたんだ』

「そう……分かったわ、ああ、でも24時間開いてるようにはしているから、いつでも利用して良いから。それと、来れなくなる連絡はもう平気よ。問題の対象がこう言ってるのだからね」

初春「は、はい……すみません、ありがとうございます」

「いえいえ、それじゃあね」

pi

『感謝しろよ』

初春「元はといえば、垣根さんのせいなので感謝する義理はありませんよ」

『チッ……』

初春「それより、今朝の会話聞いてたんですか?」

『さぁな』

初春「悪趣味すぎます!私の携帯に入らないでください!」

『だったらマイクの部分壊すんだな。嫌でも耳に入る』

初春「私の携帯に入らなければ良いじゃないですか!」

『俺が入れないように携帯にセキュリティを施すんだな』

初春「……はぁ、正直面倒なんですよ。それにこれ私用の携帯ですから」

『へぇ』

初春「興味無さそうですね……」

『当たり前だろう、私用もクソもあるかよ。マセてんじゃねぇぞ』

初春「恋人用とかは憧れますよね……どちらも仕事用ですけど」

『メルヘン地味た夢見やがって』

初春「メルヘンのような存在に言われたくないです」

『自覚はある』

初春「尚更悪いです」

『……チッ』

初春「見つけた、これですねー」

『あ?』

初春「このデータが垣根さんなのかなって。って、凄い容量くってます!?」

『当たり前だろう、思考自体はクラウド化していても、それに伴う処理の一部はこれで処理しているからな』

初春「端末が痛みます!やめてください!」

『そ、そこかよ……』

初春「……もういいや、送信っと」

『おい、テメェ何をした』

初春「研究所の私のパソコンに垣根さんを送信しました」

『あ、こら、そんなことしたら、bugあぐあぇふぁjごりg』

初春「……やっぱり所詮は情報なんですね。見えてきましたよ、攻略方法が」

初春「セキュリティかけとかないと」

今回はここまでです。
次は今週中には書けたらなと思っています。


メルヘン天使 → 冷蔵庫 → ホワイトカブトムシ → 電子の妖精(今ココ)

新しい形の帝春だなぁ
新約の未元物質のなんでもありっぷりのおかげで色々話を考えられるのはいいね

期待


垣根のデレ期待

乙乙
ブクマした
新感覚帝春期待

乙でした

今週中に更新とか言ったな、あれは嘘だ
ごめんなさい……途中まで書いていたんですけど、気に喰わなくて没にしたので
もう少し待っていてくれると嬉しいです

ゆっくりまったり待ってるよ。
イッチのペースで書きんしゃい。

これは期待

舞ってるよ。

遅れてしまって申し訳ないです。
GW中には投下する予定なので、よろしくお願いします。

待ってるで~

放課後。

佐天「初春!行こ?」

初春「はい!どこ行きますか?」

佐天「この前ね、買い物してたら可愛い小物が置いてある雑貨屋があって!そこ行こ!」

初春「雑貨屋ですか!お花系とかありました?」

佐天「あるある!初春が好きそうだなーっていうのがあったんだけど、我慢して入らなかったからねー?」

初春「じゃあ今日はその我慢を解放しましょう!」

佐天「おー!」

佐天(良かった、初春が元気になったみたいで)

雑貨屋

初春「うわぁ……凄い可愛いですね、これとか」

佐天「どれどれ……って、リアルな蛇!?」

初春「可愛くないですか?」

佐天「うーん、難しいなぁ」

初春「わ、凄い!これ尻尾取るとUSBが出てきます!USBメモリだったんですね!」

佐天「最近そういうグッズあるよね」

初春「はい、ついつい買っちゃうんです」

佐天「初春は本当そういうの好きだもんね?」

初春「おかげで山のようにUSBメモリが……」

佐天「そ、そんなに使わないよね?」

初春「使いません……」

佐天「少しは歯止めかけないと……」

初春「えへへ」

佐天「あ、これ可愛い。ほら!」

初春「佐天さんのつけてる髪飾りみたいですね」

佐天「そうそう!」

初春「これ栞になってるんですね……こんなオシャレな栞使って本とか読んでたら凄いインテリっぽいですよね」

佐天「うんうん、ちょっと憧れるよねー」

初春「はい!でも、佐天さん本読むんですか?」

佐天「……ま、漫画ならね!」

初春「漫画に栞はいりませんよぉ~」

佐天「ぐぬぬ!あ、これも同じ奴だけどこれはクリップになってる!」

初春「クリップだったら使いますね!」

佐天「初春ー!?」

初春「じょ、冗談ですよ~!ごめんなさい!」

佐天「まったくもー、あちゃー……結構高いんだね」

初春「そうですね……」

佐天「うーん、欲しかったなぁ。授業の資料まとめるのとかに使えそうなんだけど」

初春「……よし、じゃあ私が買ってあげますよ~」

佐天「えっ!?初春どうしたの!?」

初春「ど、どうしたのって私だってたまにはどーんと奢ったりしますよ!」

佐天「初春~!ありがと!でもこれさー、二個入りなんだよね」

初春「? そうですね」

佐天「だからさ、私と初春で一個ずつ使おっか!」

初春「!? はい!そうしましょう!なんか良いですよね、こういうの!」

佐天「うんうん!分かる分かる!じゃあ買ってこよ!初春はああ言ったけど、あたし半分は出すからさ」

初春「えぇ!?佐天さん大丈夫なんですか?」

佐天「大丈夫大丈夫!ちょっと間食を無くせば良いからね!」

初春「それなら問題無いですね!」

佐天「本当は問題あるんだけど!?」

初春「間食はダイエットの敵ですよ」

佐天「ど、どうしてあたしがダイエットしていること知ってるのカナー?」

初春「ふふ、佐天さんのことならある程度お見通しです!」

佐天「……まぁ、初春はダイエットをしようとも思わないわけだけど」

初春「成長期ですから!」

佐天「その一点張り!?敵わないなぁ、もう」

初春「えへへ、それじゃあ買いに行きましょう」

佐天「おー!」

佐天「はー、遊んだ遊んだ」

初春「楽しかったですねー、ほとんどがウィンドウショッピングでしたけど」

佐天「そうだねぇー、でもほらこれは買ったし?」

初春「明日から使いましょうね!」

佐天「うんうん!そろそろ下校時刻かぁ」

初春「そうですねー、また遊びましょう」

佐天「もち!……初春?」

初春「はい?」

佐天「あたしはさ、初春と友達だと思ってる。きっと初春もあたしを友達だと思ってるはずなんだけどさ」

初春「もちろんですよ?」

佐天「友達なんだけど見せられない部分ってあると思うんだよね」

初春「……、」

佐天「あたしは、そこの所に入り込むつもりは無い。だけどさ、もし初春が助けてって言ってきたら、あたしは全力で助けるよ」

初春「さ、佐天さん……」

佐天「それが友達じゃん?」

初春「ふぁ、はい……」

佐天「って、初春!?何泣いてるの!?」

初春「な、泣いてません!」

佐天「もー初春は可愛いなぁ~」

初春「茶化さないでください!」

初春(助けて、か……そんな助けを求めないように頑張らないと)

佐天「それじゃ、帰ろっか!」

初春「は、はい……すみません、今日はちょっと寮に帰る前に行く所があるので」

佐天「うん?そうなんだ、分かった!それじゃあね!」

初春専用研究室

初春「ふぅ……今日はここで寝るのかぁ」

『よぉ』

初春「居たんですか」

『ここに送ったのは誰だよ』

初春「そういえばそうでした。これから対策練るんで出て行って貰えますか?」

『嫌だと言ったら?』

初春「ネットワーク回線切れば良いんですか?」

『ふん、それはもう対策済みだ』

初春「ふーん、そうなんですか?」

『何故なら、この研究施設には無線ネットワークも存在するからだ』

初春「ああ……それは厄介ですね。止めてもらいましょう」

『そう思うだろ?だが、そのネットワークはこの施設のものではない』

初春「……野良Wi-Fi、ですか」

『そういうことだ。知っているか?携帯の最新機種の話し』

初春「あの、携帯電話一つ一つがアンテナになる奴ですか?」

『そうだ。圧縮率が高まって多少の劣化はするかもしれないが、それに乗ることも出来る。そんなので俺を封じ込めることが出来ると思ってんじゃねぇぞ』

初春「分かってますよ、そんなこと。むしろその時話しに出なかったのが不思議なくらいですから。大体私の携帯に入ってきた時点で考えられるじゃないですか」

『……クソガキが』

初春「はいはい……えーと、どうしようかなぁ。垣根さんの一部を破壊するプログラムでも作ろうかな」

『なんだと?』

初春「垣根さんの存在はなんとなく掴めましたから」

『……言ってみろ』

初春「正解だったら言ってくれるんですか?」

『気分次第でな』

初春「……垣根さんは、脳みそによるAI、ではありますが、垣根さんという存在は既に『生きている』と言っても過言ではありません」

初春「未元物質で出来たとはいえ、脳みそは脳みそで『考える』や『感じる』等『感情』は既に存在していますから」

初春「……そして、データとして存在出来るのは脳みそを記憶容量として捉えているからです。人の脳みそは、227TBと言われています。その容量を賄えてしまう、またはそのデータ領域をマザーコンピューターとして考えて、垣根さんは行動しています。この前さらっと言ってしまった、Cloud化云々の話ですね」

『ふん……』

初春「『データ』と言っても『プログラム』でもあります。人間を再現するプログラムというのは、近年研究され続けてきていますから。そもそも、この研究施設がそれを研究する場所です。そして至ったのが『脳みその再現』。それはもうクローンの領域だったんですね」

『やるじゃねぇか』

初春「正解ですか?」

『大体はな。所々間違えている所がある』

初春「え、そうなんですか?」

『俺は別に生きてはいない』

初春「……そこですか?」

『俺は元々垣根帝督だった存在だ。垣根帝督から離れてはいけない存在だ。それなのに生きていると定義するのは間違えている』

初春「その考えのほうが間違えていると思います。脳みそだけでも、こうやって会話しているんですから、生きていると言ってもおかしくありません。身体があることが、生命というわけじゃありません」

『綺麗事だな。俺が生きていると言うのなら、テメェは俺とどう扱うんだ?分かっているのか?俺を消すということは、俺を[ピーーー]と言うことだ』

初春「……、」

『甘ったれたテメェに出来るのか?一人の人間を[ピーーー]ということを』

初春「そ、それは……」

『大体、俺をウイハル、テメェの部屋に監禁することだって今朝出来たはずだ』

初春「そ、それは……」

『それが甘えだ。一つだけ忠告しておく、こういう危ない依頼ってのはな、甘えを消さなければいけねぇんだよ』

初春「……、」

『テメェがどんなこと考えているかなんていうのは分からねぇ。だけどな、そういう世界に居た人間からすると、そういう甘えは苛立ちにしかならねぇんだよ』

初春「そうですか」

『……あ?』

初春「なら、その自分を犠牲にするような言い方に私はイライラします」

『何言ってんだテメェ』

初春「……私は守護神です。何故守護神と呼ばれるか、私はこの学園都市に存在する情報を守っているからです」

『……、』

初春「そのデータに貴方も含まれてしまうんですよ」

『ふざけんじゃねぇぞクソが』

初春「暴れますか?暴れられませんよね?先ほど私は垣根さんの一部を破壊するプログラムを作ろうっていいました。だけど撤回します、もう私には……」

『ヤメロ』

初春「貴方が私に助けを求めているようにしか見えない」

『……、」

『ふん……』

初春「『データ』と言っても『プログラム』でもあります。人間を再現するプログラムというのは、近年研究され続けてきていますから。そもそも、この研究施設がそれを研究する場所です。そして至ったのが『脳みその再現』。それはもうクローンの領域だったんですね」

『やるじゃねぇか』

初春「正解ですか?」

『大体はな。所々間違えている所がある』

初春「え、そうなんですか?」

『俺は別に生きてはいない』

初春「……そこですか?」

『俺は元々垣根帝督だった存在だ。垣根帝督から離れてはいけない存在だ。それなのに生きていると定義するのは間違えている』

初春「その考えのほうが間違えていると思います。脳みそだけでも、こうやって会話しているんですから、生きていると言ってもおかしくありません。身体があることが、生命というわけじゃありません」

『綺麗事だな。俺が生きていると言うのなら、テメェは俺とどう扱うんだ?分かっているのか?俺を消すということは、俺を殺すと言うことだ』

初春「……、」

『甘ったれたテメェに出来るのか?一人の人間を殺すということを』

初春「そ、それは……」

『大体、俺をウイハル、テメェの部屋に監禁することだって今朝出来たはずだ』

初春「そ、それは……」

『それが甘えだ。一つだけ忠告しておく、こういう危ない依頼ってのはな、甘えを消さなければいけねぇんだよ』

初春「……、」

『テメェがどんなこと考えているかなんていうのは分からねぇ。だけどな、そういう世界に居た人間からすると、そういう甘えは苛立ちにしかならねぇんだよ』

初春「そうですか」

『……あ?』

初春「なら、その自分を犠牲にするような言い方に私はイライラします」

『何言ってんだテメェ』

初春「……私は守護神です。何故守護神と呼ばれるか、私はこの学園都市に存在する情報を守っているからです」

『……、』

初春「そのデータに貴方も含まれてしまうんですよ」

『ふざけんじゃねぇぞクソが』

初春「暴れますか?暴れられませんよね?先ほど私は垣根さんの一部を破壊するプログラムを作ろうっていいました。だけど撤回します、もう私には……」

『ヤメロ』

初春「貴方が私に助けを求めているようにしか見えない」

『……、」

初春「……、」

『んなことは思ってねぇよ……』

初春「……貴方は死にたいんですね?」

『……そうだな、そっちのほうが正しい』

初春「貴方はマザーコンピューターである未元物質で出来た脳みそを破壊しない限り存在は消えない」

『よく分かったな……』

初春「そして、劣化品だと思われる為にAI本来としての仕事をしなかった。そしてそのまま消されたかった。貴方は自殺が出来ないから」

『……何故テメェは、ウイハル、テメェはそこまで分かるんだ』

初春「私は守護神でもあります、だけど……風紀委員でもあります。困っている人っていうのは、すぐに分かってしまうんです。風紀委員は人を守る仕事、垣根さんも例外ではありません」

『本当ふざけてやがる。何が風紀委員だ、畜生……つまんねぇハッタリはかまさねぇって思ってたのに、こんな形になるなんて思いもしねぇだろうが』

初春「良いんですよ、これで。良いんです……垣根さんは、何をしたいんですか?」

『俺は殺されるのが目的で動いていた。だから死にたい』

初春「そんなの私が許しません」

『なんでだよ、お前はその為にここに居るんじゃねぇのかよ』

初春「……当初の目的はそうかもしれません―――けどっ!」

ピーピーピーピー

初春「ふぇ!?何!?」

『……、』

初春「か、垣根さん、何かしたんですか!?」

『俺は、何もしてねぇよ』

初春「え、じゃあ、誰が!?」

『さぁな、監視カメラでも見れば良いんじゃねぇか』

初春「か、監視カメラ?」

初春「えっと、ここをこうして……え、み、御坂さん!?」

『第三位ねぇ』

初春「どうして、御坂さんが、ここに……」

『いいのか?このまま入れて……ウイハルがここに居るってことをバレてもいいのか?』

初春「……、」

『考えなくても分かるだろうが』

初春「分かっています、黙っててください」

『はいはい……』

初春「御坂さんは、電子ロックというセキュリティを無意味にします……なので、セキュリティを厳重にしなければいけません」

初春「二重ロックじゃ足りない、その数倍にしないと」

『ヒュー、お友達でも容赦ねぇな』

初春「だから、黙っててください!」

『はいはい』

初春「よし……セキュリティの暗号化、ディレクトリのダミー、花型の再構築、さらに暗号化……」

『俺が外に出れなくなりそうじゃねぇか……』

初春「知りません、やろうと思えばいつでも出来ますよ、そんなこと」

『なんだと……』

初春「えっと、あとはサーバーを一旦落として……ここの電源を切っちゃえば、電力供給がなくなるから、あ、ダメだ……御坂さん相手ではそれが意味が無い」

初春「うぅ、どうしよう」



美琴(クローン技術の生き残りがここにあるのよね)

美琴(……アレが何に使われるのか分からないけど、第4次生産計画なんて私はさせないわよ)

美琴「……あれ、電子ロック?」

美琴「おっかしいな、これ普通の電子ロックじゃないみたい……」

美琴(……?)


初春「あわわわ、どうしよう、御坂さんが電子ロックに手をつけ始めました」

『落ち着けバカハル』

初春「これが落ち着いていられますか!?相手は私でも敵わないような相手なんですよ!?」

『テメェになら出来んだろうが』

初春「へ?」

『俺にここまで考えを改めさせた……テメェにならな」

初春「……ッ」

初春「……そうか、私にしか出来ない。私だけの、キー」

初春「電子ロックに新たな『ルール』を書き加えます……このルールは私の考えたルール」

初春「垣根さん、知ってたんですか?」

『さぁな、勘かもしれねぇし、知っていたかもしれねぇな』

初春「意地悪」

『互いにな』

初春「……早くやらないと、このルール改定には時間が必要だから、第一電子ロックは諦めて、第二電子ロックに集中しないと」

『高みの見物だな』

初春「第二電子ロックの暗号方式は……確かこの本で見たから、フォーマットして……」

初春「よし……って、もう御坂さんここまで来てるんですか……警備ロボット派遣させます」



美琴「変な感じだったけど、結局変わらないか……」

ピーピーピーピー

美琴「え、何っ!?ちょ、警備ロボット!?」



初春(そもそも、御坂さんがなんでカメラに映っていたんだろう、御坂さんなら予めカメラを操作することくらいでき……)

初春「……っ」

初春(まさか……)



美琴「ちょ、黙りなさい!」

警備ロボット「警告警告、警告警告」

美琴(やっばー、初めてよ!こんなヘマしたの……警備ロボットにあるデータ消さないと、身バレするし!)

美琴「だーもう、うるさい!!!」

警備ロボット「……、」プシュー

美琴「面倒だけど、警備ロボットからサーバーにアクセスしないと……」

初春「よし、ここでサーバーをダウンさせます……ファイル保存もきっちりしておけば、御坂さんは直接サーバーにアクセスしなければならなくなります!」

初春「その間に第二電子ロックを構築してしまえば……!」



美琴(あっれ……何これ、サーバー落ちてるじゃない!)

美琴(……何かがおかしいわ、まるで私がもう侵入しているのを誰かが見ているような……)

美琴(……だとしたら、その相手の口封じしないと)

美琴(とにかく、サーバーの位置は……ここか)

美琴(それで、電源は……このルートで、こう)

美琴(なら、私が横入りして無理矢理スタートさせれば……)

美琴(……演算面倒だけど、やるしかないわ)



初春「そんなバカな話ありますか!」

初春「なんですか!横入りして、電源を無理矢理入れて立ち上げるって!?」

初春「でも、時間稼ぎはできます!何度もサーバーを落としてしまえばッ!」

『それは無理なんじゃねぇか、第三位とテメェの演算能力じゃテメェのほうが劣っている』

初春「分かってます!けど、やらなきゃいけないんです!」

『ふーん』

初春「……システムが立ち上がると同時に、シャットダウンする命令を入れます」

初春「腕が足りない……ボイスシステムも入れないと」

『へぇ、そうやって構築するんだな』

初春「パクらないでくださいね」

『しねぇよ、使い所ねぇしな』

初春「システムダウン、管理者権限をオンリーKに」

『K?』

初春「飾利のKです!」

『そんな顔で言われてもな……』

美琴「か、管理者権限!?何よそれ、こんなシステム初めて……なんでこんなにセキュリティ硬いのよ!」

美琴「サーバーもすぐに落ちるし、と言うか、サーバーが普通に落ちてるのに、この施設はなんにも影響ないの!?」

美琴(しょうがない、サーバーのほうは諦めて、今は進むしかないわ……これからどんどん撮られる可能性もあるし)

美琴「次の電子ロックは……あそこか」



初春「とうとう来ましたね……このロックが破られたら、私相当へこみます」

『へこんでる姿もそれはそれでいいかもな』

初春「黙っててください」

初春「……よし、システム一つ目を起動させますリアルタイム処理なら負けません!」

『楽しそうだな……』



美琴(何よコレ……私の知っている工学知識には無い感じの電子ロック)

美琴(しょうがない、PDA出して……解析するしかない)

カチッ ピッ

美琴(やばいやばい、ダミー仕込んどかないとアドレスでバレるわ……)

美琴(よし、これでアクセス……)

美琴(って、出来ない!?)



初春「ふふん、特定のデバイスでないとアクセス出来ないようにしました!」

『えげつねぇな』

初春「元々存在する物ですけどね……管理者権限の一つです。あるデバイスでないとっていうのは、よくある話しです。ATMとかそうですから」

『ふーん?』

初春「垣根さんは、私の話し相手になっていてくださいね!」

『何言ってんだコイツ』



美琴(……そう、相手が本気ならこっちも本気出さないと相手に失礼よね)

美琴(なら、この端末を特定端末に置き換えてしまえばいいのよ)

美琴(コードにアクセスして……私の演算能力で書き換えちゃえば……)

美琴(よし、出来た)



初春「流石御坂さんですね、簡単に破られました」

『あんだけ言っておいて、3分で破られてるじゃねぇか』

初春「まだです!まだセキュリティは108ありますから」

『……、』

美琴(次は……あーもう、ほんっと知らない言語よこれ……)

美琴(だけど、大体こういうのにはルールがある……そのルールさえ解析しちゃえばいいのよ)



初春「私の考えた言語プログラムを読んでるみたいですね」

『と言うかさ』

初春「はい?」

『これやっている間に逃げればいいんじゃねぇの?」

初春「……、」

『……、』

初春「垣根さん、私を誰だと思っているんですか?」

『あ?ウイハルだろうが』

初春「そうです、私は初春飾利……であると同時に!守護神<ゴールキーパー>でもあるんです!目の前にあるゴールをキープしないでどうするんですか!」

『バカだったのか』

初春「なんとでも言うと良いです」

『バカだったんだな』

初春「それがたとえ……御坂さんでも、私は容赦しません。目標はこの研究所から出すこと!」

『趣旨変わってるじゃねぇか』

初春「それに、特別給与だって貰えるかもしれません!」

『自分の欲丸出しじゃねぇか』

初春「うるさいです」



美琴「よし、理解」

美琴(この言語開発者、相当捻くれてるわね……まさか図形に治さないと理解が出来ないなんて思わなかったわ)

美琴(しかも、ただのフローチャートみたいに上から下じゃなくて、草木のように下から上のボトムアップだなんて……聞いたことないわよ、こんな言語!!どこの講義取ればこんな言語習うのよ!)

美琴(ここの研究所のセキュリティ部署頭おかしいんじゃないかしら……)



初春「理解されましたね……しかし、それは花型言語のプロトタイプ……そこからどんどん、応用になっていきますよー、ふふふーー!!」

『気持ち悪いな……』

初春「うるさいです!!さっきからなんなんですか、もう!」

美琴「だああああああああ!!!!もう!!物理的にこのドア壊したほうが早そうじゃないのぉぉおおおお!!」

美琴(何なのよこの構文は!!さっきの言語をさらに応用させて、その上を行くなんて……いや、下?下なの?オブジェクト指向が聞いて飽きられるわ!!)

美琴(だーもう、諦めようかしら……)

美琴(でも、サーバーに私の記録が残っているのはまずい……)

美琴「どうすればいいのよぉーー!」

??『あーあー、てすてす』

美琴「ッ!?誰!」

初春『そこに居る、学園都市第3位常盤台中学に所属している御坂美琴さん』



初春「あ、もちろん音声は変えていますよ?」

『誰に言ってんだ』



美琴「そこまで分かってんのね……」

初春『はい!私のセキュリティにお困りのようですね』

美琴「ええ、そうよ!あんたのバカみたいなセキュリティに!!戸惑ってるわよ!!」

初春『ふふふ……では、交渉をしましょう。私の手元には今、貴女の映っているビデオファイルがあります。これをネット上に流すことは簡単なことくらい、御坂さ……御坂美琴にはわかりますね?』

美琴「……ええ、そうね」

初春『と、同時に。ネットワーク上に流した場合、それらを完全消去するのも難しい、というのも?』

美琴「分かってるわよ!何が目的!?」

初春『速やかにこの場から去ってくれれば、このビデオファイルは削除します』

美琴「あんたね……そんなこと信じられると思ってるの!」

初春『し、信じてもらわないと困ります!』

美琴「……?あんたどっかで私と会ってない?」

初春『そ、そそそ、そんなことありません!さっさとこの研究所から抜けて、常盤台中学の寮に帰ってください!』

美琴「……はぁ、セキュリティの管理者はあんたなのね?」

初春『(正確には違いますけど)そうです!』

美琴「分かったわ……もし、そのビデオがネット上にアップロードされていたら、その時はまたここに来るわ。あんたのセキュリティもろとも、この研究所を吹き飛ばすだけよ」

初春『わ、分かりました』

美琴「じゃあね、どうせカメラにはもう映っちゃってるし、帰るとこまで見届けておいてちょうだい」

初春『はいはーい!』

美琴(……ムカつく!)

今回はここまでです。
sagaの入れ忘れ、申し訳なかったです、以後気をつけます。
みこっちゃんとの情報戦は昔からやりたかったので、書いていて楽しかったです。
遅くなって申し訳なかったです、次回は……今月中に書けたら良いなと思っています。

おつー

ブクマが増えます。

おつ。

乙。
面白そうだー期待

初春TUEEEEEEEEEEEEEE!!
乙ですよ

まだー?

初春メインと聞いて パンツはいてるかあい!

わくわく

Wkwk

初春やで 期待

wktk

期待

今もすごいけど、初春飾利は成長すると凄そうな感じがする。
せっ性的な意味じゃないんだからね!
levelとかパソコン関係とかそういう事なんだから!勘違いしないでよねっ!
by[ピザ]ごりら(♂)

今月中に書くと言ったな、あれは嘘だ。
ごめんなさい、5月書く暇がなくて……。
新刊ネタも入れられたら良いと思っていますので、もう少しだけ待っていてください。

まってる!

新刊よりも期待

松照!

すばらしい!
続き舞ってる

初春「はー、なんとかなりました」

『面白いもん見せてもらった』

初春「そんなことないですよぉ~」

『超面白かったって顔してるじゃねぇか』

初春「えぇ~そうですかぁ~」

『気持ち悪いな……』

初春「……所で、垣根さん?なんで、御坂さんが来ていること分かったんですか?」

『あ?何のことだ』

初春「御坂さんは既に、ダミーを仕掛けつつもカメラにハッキングを仕掛けていました。よって、カメラに御坂さんが映ることはありませんでした。だけど、その異変に気づいたのは紛れもなく……垣根さんじゃないんですか?」

『チッ……勘が鋭いガキだ』

初春「話しを逸らす為だったんですか!?」

『うるさい』

初春「ふーんふーん?じゃあ私を助ける為だけだったんですねー?」

『そうじゃない』

初春「どうなんですか」

『ウイハルのくせに生意気だ』

初春「私達は設定上『敵』なんですから」

『……、』

初春「はぁ、もういいです。私寝ますから、情報処理をしすぎて疲れました」

『あっそ』

初春「機嫌悪くしました?」

『うるさい』

初春「……ばーか」

『寝ろ』

初春「言われなくても寝ますよ……」

『……、』

『チッ……』

初春「ふぁ……?」

初春「そっか、今日はここで寝たんだった……」

初春「んーっ!うわ、制服のままで寝ちゃってた……私服に着替えようかな」

初春「……、」

初春「その前に、垣根さん居るんですか」



初春「……、」

初春「た、試しに、パソコンから現在の情報の流れと、媒体がどうなっているか確認して……」

初春「ネットワーク上の変動は3時間無し……媒体も、特別な負荷はかかっていない……」

初春「よし、垣根さんは居ない。着替えよう」

初春「らーらららー、ららら、らーらーららー……」パサッ

初春(今日はどうしようかなぁ……垣根さんもあんな調子で結局何をしたいのかがさっぱりだし)シュルルッ

初春(そういえば、下着は……いいや、自室の外で下着を交換するってなんとなく嫌だし)

『パンツ替えねぇのかよ、キタネェ』

初春「え、あ、……や、いやああああああああ!!!」

『……うるっせぇ、テメェの全裸なんて見ても喜べねぇよ』

初春「じゃ、じゃあなんで今まで黙ってたんですか!?ずっと居たんですか!?いつから居たんですか!?死にますか!?」

『殺せるもんなら殺せ、そして俺は今来た。セキュリティ不足だったな』

初春「しまった……なんでウォールが消えてる……って!これ消したの垣根さんじゃないですか!」

『ウイハルが寝ている間に外出たからな』

初春「も、戻してくださいよ!」

『その必要は俺にねぇだろうが。きちんと確認をしないテメェが悪い。それにここは研究室だ、自室でもないのにとやかく言われる筋合いはねぇよ』

初春「……はぁ、それもそうですね」

『?……随分と物分かりが良いな』

初春「どうこう言ってもしょうがないですから、物理的に何か出来るわけじゃありませんし」

『物理的に何か出来ていたらどうしてたんだよ』

初春「垣根さんの大事なソレを蹴りあげていましたよ?」

『ハッ、んなもん避けるに決まってんだろうが』

初春「……所で私今何をやっているか知っています?」

『知るかよ、モニタリングしてねぇからな。今は『味覚』を操作し、俺はコーヒーを……ぶぼべあっ!?』

初春「視覚、聴覚、味覚……そして、痛覚の情報生成って案外簡単なんですね」

『テ、メェ……』

初春「これでスッキリしました」

『覚えてやがれ……』

初春「興味深いですね、脳細胞ってこんな風に情報流せば痛覚を得られるなんて……」

『脳医学の領域だがな。情報ってのはそういうもんだ』

初春「本来ならば『PLCβ4』……?」

『ああ、だが情報に置き換えればそれらも一つの信号として取り扱うだけだ』

初春「それをデータ化してしまう、この施設が怖いですね」

『一応AIを扱う研究施設だからな』

初春「なるほど、では垣根さんの痛覚は私が掌握したも同然ですね!?」

『……、』

初春「どうしたんですか?」

『……よし、痛覚に対するアクセスを遮断した』

初春「なっ!そんな簡単にやられてたまりますか!」

『単なるプロテクトじゃない、このプロテクトを破壊した時、俺のデータの一部が破損する』

初春「ずるいでじゃないですか!」

【……というハッタリなんだけどな、俺が俺自身に危害は与えられないからな】

『これが、俺なりの防護策だ。悪く思うな』

初春「それじゃあ、もう私の着替え覗かないって約束してくれますか?」

『覗いてねぇよ、テメェが勝手に着替えたんだろうが』

初春「じゃあ!ノックしてください!」

『どうやってだよ』

初春「そ、それは、あとでプログラムを作ります!」

『ご苦労だな』

初春「裸を見られるよりかはマシです!」

『だから、興味ねぇっての』

初春「垣根さんがどうでもよくても、私がどうでもよくないんです!バーカ!」

『チッ……女ってのは面倒くせぇな……』

初春「今日はどうしようかなぁー、せっかくこんなにも機材あるんだし、データベースのほう進めちゃおうかな」

『オイオイ、本来の目的は良いのかよ』

初春「うーん、でも本来の目的って垣根さんの制御ですよね?そもそも研究所の人から削除依頼出ていませんし」

『……、』

初春「だったら、今制御できてるかなって」

『それはどういう意味だよ』

初春「だって、垣根さん言うこと聞いてくれますし」

『調子に乗るなよ、ウイハル』

初春「のったつもりはないんですけども」

『俺はいつでも、この施設を破壊しようと思えば出来んだよ』

初春「私がさせませんけど」

『だったら、今日一日戦ってみるか?』

初春「良いですよ?」

『……言ったな?』

初春「……本当にやりますか?」

『ウイハル、テメェゲームが好きだったな?』

初春「そうですね」

『だったら、ゲームだ。テメェが負けたら俺を殺せ』

初春「……はい?」

『もし受けなかったら、テメェは俺を超えられないってことが証明になるな?ふざけた甘ちゃんだってことだよな?』

初春「そ、そんな挑発……じゃ、じゃあ!私が勝ったら」

『あ?』

初春「なんでも一つ言うことを聞いてください!」

『……考えておいてやろう』

初春「はいって言ってください!」

『チッ……分かったよ、一つだけな』

初春「やった!」

『もう勝った気でいやがる、ふざけやがって』

初春「どんな勝負なんですか?」

『簡単だ、俺がこの施設に隠れる。隠れんぼだ、ただしウイハルはこの部屋から出てはいけない。ルールはこれだけだ』

初春「簡単ですね、本当。多分30分もかかりませんよ」

『ふん、どうだかな。それじゃあ今から隠れる。パソコンをシャットダウンしろ』

初春「はい?」

『追跡履歴つけたらつまんねぇだろうが』

初春「そ、それもそうですね」

『ウイハル、まさかそのつもりだったのか?オイオイ、鼻で笑っちまうぞ』

初春「そ、そそ、そんなわけないじゃないですか!早く隠れてください!」

『早くシャットダウンしろ』

初春「わ、分かってますよ!もう!」

ピッ






初春(隠れんぼ、か……)



数レスですが、今回はここまでです。
次回は隠れんぼで対決です。

脳医学に関しては専門外なので、知識が曖昧なのですが、なんとなく痛覚っていう信号をデータ化し、それを垣根帝督っていうプログラムにぶつけた!と考えてくれれば良いかと思います。
イメージ的には、オンラインゲームで相手にダメージを与えた!急所にあたった!みたいな感じです。
解説入れてしまい、申し訳ないです。

では、また。

追い付きました!
乙です。

乙!

追いついた!

乙でした

乙です
次回も楽しみにして待ってます

おつおつ。

来てたんだ、やった!次回も待ってるよ。

  ゙'.    '.;`i  i、 ノ  .、″
             ゙'.     ,ト `i、  `i、    .、″
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             `  .,-''ヽ"`    ヽ,,,、   !
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               、/ヽヽ‐ヽ、;,,,,,,,,,-.ッ:''`  .,"-、
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          ,.イ:、ヽ/ー`-、-ヽヽヽ、-´    .l゙`-、
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        ,<_ l_ヽ冫`'`-、;,,,、、、、.............,,,,、.-`":    │ `i、
      、、::|、、、ヽ,、、.    ```: : : ```      、.、'`  .|丶、
     .l","ヽ、,"、,"'、ぃ、、,、、、、.、、、.、、、_、.,,.ヽ´    l゙  ゙).._
    ,、':゙l:、、`:ヽ、`:、  : `"```¬――'''"`゙^`     : ..、丶  .l゙ `ヽ
   ,i´.、ヽ".、".、"'ヽヽ;,:、........、           、、...,,,、-‘`   、‐   |゙゙:‐,
  ,.-l,i´.、".`ヽ,,,.".`   `゙゙'"`'-ー"``"``r-ー`'":      _.‐′  丿  ,!
 j".、'ヽ,".、".、"`''`ー、._、、、           、._,、..-‐:'''′   .、,:"  丿
 ゙l,"`"`''ヽヽ"`"`  ```゙'''"ヽ∠、、、、ぃ-`''''": `      、._./`  ._/`
  `'i`ヽヽヽ`''ーi、、、: :                   、.,-‐'`   、/`
   ``ヽン'`"`  : `~``―ヽ::,,,,,,,,,,.....................,,,,.ー'``^    ,、‐'"`
      `"'゙―-、,,,,..、、               : ..,、ー'"'`
           : `‘"`―---------‐ヽ``"''''''""

まだかな?

ウザハル必死だな

mdk…

誠に申し訳ございません、投下遅れてしまって。
テストやら、資格試験やらで書く暇が無くて……。
8月中には続きを投下しますので、もうしばらくお待ちください。

まってる!

おつおつ
待ってる

うむ

みんな監視してます

マダー?

まだかな

8月も残り僅か

まだー?

まだー?

まだー?

まだですかー?

終わらない夏休みの始まり

8月が終わるまであと3時間ちょい

そして8月は終わった

落ちないことだけ願う
数少ない帝春スレだから続いてほしい

いつまでも待つぜ
守護神初春大好きです

頼むぜ主

このスレを護る

そうなんどもぬかれてたまるかー!

9月も半分

早くしないと2ヶ月経っちゃう
せめて生存報告を

あと二日

続き読みたかったな
残念

ロスタイム

まだ生きてる?

10月なった

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