「女の子って良い匂いするよね」って僕が思った時の話(43)

「何それ、セクハラ?」

この一言でも、最近ではセクハラになるらしい
最近では話しかけただけでも事案、とか、大変だよね

「そうよね、今の貴方を犯罪者にする事だって出来るもの」

背中合わせの僕と彼女、後ろから漂ってくる匂いが心地よくて、ついあんな一言を行ってしまったんだ
熟熟女の子も性欲が強ければいいのに、と思う

「でも私、貴方の匂いも好きよ?」

まさか、何処にでもいる雄の匂いじゃないか
若いからまだマシだけれど

「私にはわかるもの、貴方の匂い……そこにいるんだって、安心できるから」

……安心、ねぇ

というか、君は自分の家に男を入れてもいい訳?
僕と君ってさ――

「そうね、まだそういう関係じゃないもの」

まだって所が気になるけど、まあそうだよね
それにしては無遠慮じゃない?

「じゃあ今婚姻届を出せば、承諾してくれるのかしら
……それとも、既成事実とか、作ってもいいの?」

やっぱり君は、少しおかしい
この年で結婚を考えるなんて思わないよ、普通

「そう……そうよね
貴方と私は高校生、結婚できる年齢じゃないもの」

……疲れてきたんだけど、帰っていいかな

「何もしないで帰るの? いい機会よ?
今は私と貴方しかいないから」

……やっぱり、ないほうがいいのかもね

「……? 胸の事?」

何でもないからそっちから離れて




そう、そんな彼女とのちょっと変なお話
僕が変に突っ張るのは、ちゃんとした理由があるんだ
意地とか、不安とか、そういう事を抜きにして

まず何処から話そうかなって思うんだけれど、やっぱり僕と彼女の馴れ初めからかな
あれは高校一年の時の事、まあつまりは今から三ヶ月前の事なんだけれど
入学式で僕と彼女はであったんだ、それが最初

「趣味は、読書と……人と話す事が好きです」

自己紹介、よくある入学式にやる奴だよ
自分の席から立って、名前を言って、趣味とかなんだとかを言う奴
整った顔立ちに、黒い髪をロングにしていた彼女への第一印象は〝綺麗な人〟だった
後は、頭が良さそう、ついでに後者はあたっていた、実際に頭がいい

「好きな言葉は、信用、です」

趣味、出身校、好きな言葉、好きなタイプ、全部事細かに喋った彼女は男子は勿論女子からも強い視線を浴びていた
僕も男だからある程度わかるんだけど、視線が品定めする感じなんだよね、下品ないい方をすると
まあ、そういう目をしない男子もいたけど、そっちの方が多かった

隣の席だった僕は、何気ない気持ち、僅かな下心で彼女と話した
仲良くなれたらいいな、くらいの考えの僕と、寄ってくるのはそういう目的の人達
勿論、会話は上手い、かっこいいし、凄い強引って訳でもない
でも彼女がちょっと迷惑そうにしているのが、僕にはなんとなくわかった
何処となーく、似ていたんだ、彼女
――この話は後で話す事にするから、今は頭の片隅にでもおいておいてよ

彼女と話したり、他のクラスの子達と遊んだり、僕はクラス内でもそれなりの場所にいたんだ
それから一ヶ月話を飛ばす事になる、何でかって特に話す事もないからで
もっというと、この一ヶ月後の話が凄い強烈

あの時、僕は偶然忘れ物をして
それが提出物だったんだ……期限は、勿論明日
出鼻を挫く事をしたくなかった僕は学校に戻る事にしたんだ
教室には誰も残っていないだろうって僕は思っていたんだけど、実は一人いたんだ
まあ、みんなわかるよね、彼女が残っていたんだ
――いや、僕は教室に入った訳じゃなかった
偶然聞こえてきたんだ、教室の前で
……言い忘れてたね、僕は耳がいいんだ、だから、彼女の――そうだね、プラトニックとは程遠い声が聞こえたんだ

疲れたんでまた後で
ゆっくりのんびり書きます

忘れてた
教室の中の彼女の姿
1エロい姿
2エロくない姿

ほんの少しお話が変わるんでどっちか選んでください

聞かずとも答えは分かっておろう...
1じゃっ!!

2希望
その後1

どっちやねん

1以外見えない

2→1で希望
つまりどっちもやれや

2

――僕の表せる限りの言葉では、その時の様子を鮮明に伝える事はできない
彼女は僕の机の角に自分の大事な場所をこすりつけていた
上下に、左右に、こすりつける度に彼女の顔は緩んで、頬を染めて、白い息が見えそうな程、熱い吐息を吐き出す
漏れ出た声を噛み殺すようにして、だけれど全部を消す事はできなかったみたいだ
それで漏れた声が僕に聞こえたんだと思う――いや、多分そうなんだ

僕はこの時、諦める決心をした
何をって……それは、明日の提出物だよ
でもさ、こういう時にどうも愚図で、僕は足を滑らせて音を出しちゃったんだ
静かな彼女の声しか聞こえないような空間で、そんな音がしたら聞こえちゃうよね
僕は慌てて逃げようとしたんだけれど、彼女の動きは早かった、僕が立ち上がった時には、扉をあけてたっていたんだ

僕は弁解の言葉を言おうと思った
こんな盗み見た、みたいな状況になってしまったからだ、そう思われたくなくて

「え、えっと、違うんです! 違うんだよだから――」

ただ、相当焦っていた僕の口からでた言葉はこれで、顔の前に手を出して、ぶんぶんと振り、目をつむる
ただ、彼女はそんな僕の腕をとって、僕を教室の中に連れ込んだ
今度はちゃんと、鍵までつけて……言い忘れていたけど、彼女は委員長なんだ

「こんな事してた意味、分かる?」

しかし、一番焦って可笑しくない筈の彼女は、頬を染めたまま、はにかむような顔を作って
小首を傾げて僕に問うんだ、正直、可愛かった

「……机、間違えてない?」

「君の机だよ
間違える筈ないじゃない、隣なんだから」

上ずった僕の声とは対照的に、透き通るほど落ち着いた声
自分だってボケた訳じゃない、自分の席の場所くらい分かる
それでも、彼女が僕の机でそういう事をしていたんだと思えないし、信じられなかった

「貴方の匂いが残ってるって思ったんだけど……机だものね、やっぱり駄目みたい」

僕の様子にお構いなし、彼女はそのまま僕の胸元に顔を入れる

「私、一人で慰めるの、嫌になっちゃった」

彼女の手が僕の体に触れる

「頭の中の想像の貴方より、本物のがいいもの」

その手は僕の体をなぞり、段々と下がり

「えっち、しよ?」

僕の股の辺りまできて――僕は、彼女の手を掴んだ

「……ごめん」

僕は多分辛そうな表情をしていて
申し訳ないとも思っていた
こんな機会を逃すなんて、どうかしてるって僕は思う
流されるまま流されて、爛れてしまえばよかったんだと思う
でも、僕にはできなかった、それが、どうしても

彼女はそんな僕に対して、何一つ聞かずにわかったといってくれた
その時の彼女のお願い――せめて、恋人になって欲しい、と

結局、友達から始まった訳なんだけれど
それが、僕と彼女の、始まりだったんだ

夢を見た、久しぶりだった

夢の中の僕は、あの時の提案を受け入れていて

彼女相手に腰を振り、胸を貪り、愛情なんてない口づけをする

それでも彼女は喜んでいた

僕に求められるのを

うっとりとした顔で

汚して、汚されて、二人で泥を啜っているみたいで


夢から覚めた僕はぼうっとした頭の中で、その時の事を思い出した


鮮明に、匂いから、感触、声、情景まで事細かに思い出せて、その時密かに思っていた事を思い出す


……良い匂いだった


この時から、僕は何故か自分と彼女が似ている人物だと思い始めていた
そしてそれは、彼女もお同じだった

別にエロくなかったね、ごめん
またあとで

うっ

そうだ、言い忘れていた

僕には妹がいるんだ

いきなりこんな話をしたから重要なのかって思うかもしれないけど、重要だし、重要じゃない

まあまあだね、本筋には絡んでこない筈なんだ

読むのが面倒なら、妹がいる、可愛いし、頭がいい、自慢の妹だって事だけ覚えてくれればいい

とにかく、妹がいるんだ、その話をしよう

話を戻そう、何でいきなり妹の話をしたかっていうと、今目の前に妹がいるからなんだ

僕がねぼすけだったみたいで、起こしに来てくれたようだ

「兄貴、今日用事あるんじゃないの?」

少しお節介だったと感じているのか、妹は遠慮したように話す

黒いロングの髪、家の中だからか、動きやすいラフな格好

具体的にはジャージ、まだ幼さが見えるけれど、同年代に比べれば顔立ちはきりっとしている

そう、かわいい、自慢の妹だ

そうだ、用事があるんだよ、ありがとう、時計をみる

約束の時間まで少し時間がある、身だしなみを整えて、ご飯を食べて、着替えて、という時間を十分に取れそうなくらいの時間

「ご飯はないよ、兄貴遅いから」

……気が聞くのかきかないのか、まあ僕が悪いんだけど

――まあそんな妹なのだけれど、実は僕と血が繋がっていないんだ

それを知っているのは僕だけで、妹は知らない

僕だけ、というのは、まあ両親が両方ともいなくなったからという意味で

いなくなったっていうのは、本当にいなくなった

……あまり言いたくないから、言わないけど、いなくなったんだ

だから、どっちかが必然的にしっかりものになる必要があって、それが妹の役目だった

正直甘えっぱなしで、どうにかしたいとは思ってる

でも、妹も同じく、僕の世話を焼くのが好きな筈なんだ

兄弟だからね、なんとなくわかるんだ

それで、ここまでが妹の話、ここからが用事の話

妹に感謝の言葉を言って、着替えて、ご飯は適当に食パンでも焼いて食べて……ああそうだ
ありがとうっていったら、妹は少し嬉しそうだったかな、まあそれはいいか

用事の話なんだけれど、今日はデートなんだ、デート

といっても、何処かにいくとかそういう訳じゃなくて、自宅で、それもいきなり彼女の家に
以前にもデートとか、そういう事はなかった、そう、最初から家に呼ばれたんだ
決まり文句みたいに、私以外いないよ? なんて言葉までつけて
……まあ、それが冒頭の話なんだよ、決して僕がヘタレって事はないと思う、そう、慎重で、思いやりがあるだけ

そのまま冒頭に戻そう、そう、彼女がセクハラをしてくる所からだね
ちなみに彼女、胸は結構大きい、妹と同じ位だ

「冗談よ、冗談……私は冗談じゃなくてもいいのだけれど
貴方はそういうつもりじゃないんでしょう?」

口元から笑うような声が漏れたのを聞いて、楽しんでいるのがわかる
ただ会話してるだけ、それも本当に他愛のない話、それでも面白いのかな

「私は好きよ、こういう時間
貴方となら、どんなくだらない時間でも楽しくなるもの」

彼女はどうしてこんなにも僕を評価するのだろう
そう思って聞いても、はぐらかされたり、いまいち僕には分からない返答の仕方をするんだ
試しにもう一度聞いてみたけど

「……暗い所」

「真っ暗闇で、光なんて何処にもないのに、誰よりも真っ白で真っ黒な所」

……今日は二言目が追加されていた、全く意味がわからないけれど

「そのうちわかるわよ、そのうち」

「私と一緒にいれば、だけれど」

すくなくとも、二ヶ月たった今の所、なーんにもわかってないんだけどね

やる気はあるんです
なんか不思議な感覚になったら俺の勝ちです
それじゃまた

乙、面白い

この後は、同じような会話が続くんだ
同じようなっていうこと、本当にオウムみたいなことじゃなくて、からかわれて、みたいな
まあ僕はこれを嫌がっていないんだ、不思議と嫌な気分じゃないんだ
多分これが、彼女がいっていた僕と話すと面白い理由みたいな物なんだろうね

「それで、ご飯、食べていくでしょ?」

彼女の声の調子は、僕が家にきた時よりも上がっているように思えた
本当に機嫌がいいのだろう、ただこうやって、背中合わせに話してただけなのに
そして、気づけば夕方前、具体的な時間は18時
確かにいい時間帯だし、なんとなくお腹も空いてきた時間だ、でも、お世話になっていいのだろうか

「私が食べて欲しいの、食べさせて?」

そう聞いたら、彼女の返事はこれだ
ね? と首を傾げて、下から覗き込むように僕を見る
そこまで言われたら断れないし、断ることが悪い事な気がしてくる

ただ、こうやって迫れるんだから、女の子は卑怯だと思う

「これが女の子の特権だもの、それに、男の子だってあるじゃない、そういう特権」

何の事やら、僕にはさっぱりだよ

「そんな女の子を釘付けにできちゃう事……それで、食べてくれるの?」

わかった、食べる、食べるけれど…まだ親御さんは帰ってこないの?

「言ったじゃない、私しかいないって、出かけましょう?」

一日中帰ってこない親とか、そういうのも気になるけど、出かけるって何さ

「貴方の食べたい物を作りたいのよ、だから買い物をするの
流石に無理難題を押し付けられたら、困っちゃうけれどね」

ころころと変わる表情、絶えない柔らかい表情、時折みせる笑顔
僕は、彼女を知っている気がする、彼女みたいな人を

そうやって、たまに見せる表情にドキドキしたり

何処かで僕は期待していたり

眩しかった、眩しくて惹かれたんだ

似ているのに、僕と全然違って、眩しいから、気づけば惹かれていった

そう、やっぱり、僕は彼女みたいな人を、知っている

ごめん眠いからまたあとで書きますおやすみ


とっても良い

「……はっはーん、とうとうお前らもそういう仲か」

僕は彼女と買い物にきた事を後悔している

なんでかっていうと、それは同じクラスの男に見つかったからで

彼の名前は……あだ名の方がわかりやすいかな、通称「ジミー」

彼は地獄耳なんだ、というより何処から持ってきたのやら、クラスの事とか、クラス外の事とか色々知っている

地獄耳、略してジミー、すごい簡単

保守

「それでさ、どんな殺し文句を使ったんだよ、あの難攻不落が落ちるなんて相当だぞ?」

難攻不落っていうのは、彼女の事

こいつは人の事を変な名前で呼びたがる、本人を目の前にしても変わらない、余計変人

「難攻不落? 私の事?」

隣できょとんとした顔で首をかしげる彼女、普通そういう反応するよね、僕もそうする

「とぼけるなって、確かに直接誰かを振ったとかはないけど、あのオーラは誰も近寄らせません、って風だったぞ?
かなり鈍い奴でもわかる位なんだからな」

「こいつは月が綺麗ですね、に匹敵する殺し文句だ、教えてくれよ、なぁ?」

大体……そんな事言うわけないじゃないか、と彼女を方を見る

「……もしかして、知ってて話しかけてきてるの?」

なーんて、相手を探る言い方するんだもの、その表情は何処か楽しそう、口元に手を当てて、クスクスと

妖しい色気っていうのは、多分こういう事なんだろうね


「いーや、全然、アレとお前の事は本当にわからん、一切情報が入ってこない」

ジミーはそれを見ても顔色一つ変えず、はぁとため息を吐く

むしろ、入ってきていたら困る、誰にも見られていなかった訳だし

……いや、そう思ってるだけで、もし誰かがいてもあの時の僕にはわからなかったけれど

「だからさ、その情報をくれたらいいもんだすぜ? 気になるあの子や、そうだな、難攻不落さんのこっそりな情報とか」

いらないよ、話さないって言ってるだろ

確かに、そのこっそりな情報とかは気になるけど

「あとな、別に俺はお前の情報でもいいんだぜ? 黒助」

……一応言うからね、黒助は僕の名前なんかじゃない

これもジミーのつけた名前、なんだよ黒助って、犬かよ

「なーんにもわかんないからだよ、その癖何処か怪しい、真っ黒だよ真っ黒」

だから黒助、だとさ、納得いかない

……僕は今、二人の人に真っ黒だとかなんだとかいわれてる訳だけれど
僕はそんなに怪しい人間だろうか

「いいんじゃない? 女の子って、怪しくて、何が起こるかわからないほうがドキドキするもの」

「面白みが無いやつよりは、探りがいがあるだろ」

……否定してほしかったんだけれど、どうもダメみたい

何がダメだっていうんだろう、困ったな

「ごめんなさいね、私、彼とお買い物中なの」

そのまま僕は腕を引っ張られて、向こう側へと連れ去られる

僕としてもこのままこの場を流せるなら嬉しい事はないので、そのまま抵抗せず

ジミーも仕方ないな、という様子で諦めて、自分の用事を済ませにいったようだ

「黒助、黒助ね……」

面白そうに笑う彼女、何が面白いっていうんだろうか」

実に面白い

彼女の家に帰ってきた僕と彼女、彼女は厨房で料理を作っている

一度、何か手伝おうかと頼んだのだけれど、男はどっしりと構えていて? なんて言われて手伝えない

どっしりってなんだろう、よくわからない

とりあえずリビングでぼぅっとしながら待っている……最初はテレビをつけていたのだけれど、面白くなくて消してしまった

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