アスカ「…そうだ!バカシンジに本気でイタズラしてやるわ!」 (11)


ミサトのマンション。
日曜日。


アスカ「…ヒマねー」ゴロゴロ

シンジ『ごめん、今日は綾波の家に料理を教えに行く約束なんだ』

アスカ「買い物に行くつもりだったのに…荷物持ちがいないと…くるっちゃうわねー」

アスカ「だいたい…エコヒイキのどこがいいってのよ…あんな人形…」

アスカ「…そこがいいのかな…バカシンジは臆病だから…」

シンジ『綾波は不器用だけど一所懸命だから応援したくなるんだよね』

アスカ「…なーんかムカツクわね…」

アスカ「…そうだ!バカシンジに本気でイタズラしてやるわ!」

アスカ「天才美少女アスカ様の本気、みせてやるわ! 」

アスカ「とりあえずホームセンターね…」タタタッ




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同日夕方。
ミサトのマンション 玄関前。


シンジ「…綾波、想像以上に不器用だったな…料理の知識が全くないんだ…」

シンジ「でも、楽しかったな…今度はもっと簡単なの教えてあげよう」


プシュン


シンジ「ただいまー アス——」ネチャ

シンジ「うわっ!なんだこれ靴が」

アスカ(ククッ、どお!バカシンジ!最新ビーズ型瞬間接着剤の威力は!)

アスカ(ここからだと音しか聞こえないのが残念だけど、私にはすべてが手に取るようにわかるわ!)

シンジ「いったいどうして…」ヌギヌギ

アスカ(靴がくっついてしまったバカシンジは足で無理やりひっぱたりせず、いったん靴を脱いで手で引っ張るはず…)

シンジ「うわっ!」ネチャ、ドテッ

アスカ(玄関一面が接着剤なのよ!この音…尻餅までついたわね…)

アスカ(これで靴下にプラスしてズボンを脱がすことに成功ね!)


シンジ「ア、アスカーこれアス——」ヌルッ、ドテッ

アスカ(かかった!慌てれば慌てるほどヌルヌルの餌食よ!)

シンジ「な、なん——」ヌルッ、ドテッ

アスカ(ククッ正体は純度100%ローションよ!)

アスカ(廊下からリビングまで一面ヌルヌルよ!)

ヌルッ、ドテッ 
ヌルッ、ドテッ 
ヌルッ、ドテッ


シンジ「っ!アスカ!!」

アスカ「はぁ…やっとここまで来たわね」

シンジ「なんでこんな——」

アスカ「ここからが本番よ!」ポチッ

ブオォォォ
ブオォォォ
ブオォォォ

シンジ「ッッ!!」



アスカ「どうよ!最新プロペラ型扇風機3台の威力は!」

シンジ 「クッ!」ズルズル

アスカ「向こうの壁には接着剤が塗りたくってあるわ!このままだとアンタはあの壁と一生を共にすることなるわ!」

シンジ「うっ!」ヌルッ、ドテッ

アスカ「なっさけないわねー…周りをよく見なさい、洗面所からロープが伸びてるでしょ。それを使うのよ」

シンジ「!」ギュ

シンジ「うわっ!」ヌルッ、ドテッ

アスカ「はん!引っかかったわね!!」

アスカ「そのロープにはヌルヌルをたっぷり染み込ませてるわ!強くにぎればにぎるほどヌルヌルがしみでてくんのよ」

シンジ「くそっ!」クルッ、ギュ

アスカ「! か、考えたわね、ロープを結んでコブを作るとはね…」

アスカ「しかーしそのロープは洗面所までしか伸びてないわ!そこからどうするってぇのよ!」


シンジ「アッ、アスカッ!なんでこんなことするんだよ!」

アスカ「あんたバカァ、私の誘いを断ったからに決まってんでしょ!」

シンジ「な、綾波とは何日も前から約束してたんだよ!アスカが言い出したのは今朝じゃないか!」

アスカ「はぁ…私といたほうが楽しいんだから私を選ぶのは当然でしょ…」

アスカ「でも…すこしかわいそうな気がしてきたわ…」ポチッ


ブオンオンンン……


シンジ「…」ホッ

アスカ「ほら、つかまりなさい」スッ

シンジ「アスカ」ニギ

シンジ「ッ!!」ヌルッ、ドテッ

アスカ「くふふ、私の手もヌルヌルだったのよー!」


アスカ「あ〜スッキリした。久しぶりに楽しませてもらったわ。」

シンジ「………」

アスカ「引っかかったアンタが悪いんだから後片付けはアンタがしなさいよね」

シンジ「………んだよ…」

アスカ「あ、あとお金はアン———」

シンジ「なんなんだよ!!」バンッ

アスカ「」ビクッ

シンジ「くそ!!くそ!!くそ!!」ガシャーン、パリン

アスカ「そんなに怒ることな———」

シンジ「うるさい!!」バンッ

アスカ「」ビクッ

シンジ「僕が僕のしたいことして何が悪いんだよ!!」

シンジ「これじゃ僕はアスカの奴隷じゃないか!!」バンッ

アスカ「ひっ」ビクッ

シンジ「“私といたほうが楽しい”だって!僕はアスカといて楽しかったことなんて一度もないよ!!」

アスカ「」

シンジ「アスカなんて大嫌いだ!!顔も見たくない!!」

アスカ「」

シンジ「……出てってやる…こんな家出てってやる!!」

アスカ「ちょ…」

シンジ「」スタスタ

シンジ「」ガサゴソ

アスカ「…あの、シン———」

シンジ「うるさい!!」バンッ

アスカ「」ビクッ

シンジ「」スタスタ

シンジ「…さよなら、ミサトさん…」プシュン、ピシャ

アスカ「………」


しんじwwwwww



街。


シンジ「」テゥルルル

ミサト「シンちゃ〜ん、どうしたの〜」

シンジ「僕、出て行きますから。」

ミサト「え…シンジくん、いきなりどうしたの?」

シンジ「…全部、アスカが悪いんだ」ピッ
ミサト「ちょっ」プツン

ツーツー

シンジ「…はぁ…どこへ行こうかな…」

シンジ「! あ、綾波!」タッタッタッ

レイ「碇くん…」

シンジ「どこに行くの?」

レイ「碇くんに教えてもらった料理、練習しようと思って…」

シンジ「え、また同じのを作るの!」

レイ「ええ」

シンジ「…ふふ、なんか綾波らしいや…でもお腹いっぱいじゃないの?」

レイ「碇司令が食べてもいいって…」

シンジ「父さんが…」


シンジ「…」

レイ「…」

シンジ「…」

レイ「…」

シンジ「…」

レイ「…碇くんの料理、おいしかった…」

シンジ「…綾波は優しいね…」

シンジ「…」

シンジ「…あ…綾波…綾波の家に行っていいかな…」

レイ「どうして?」

シンジ「…」

シンジ「」ポロポロ

レイ「碇くん、泣いてるの?」オロオロ

シンジ「うう、うっく、ううっ」シクシク

レイ「どうして、泣いてるの?」アタフタ




ミサトのマンション前。


ミサト(シンジくん、どうしちゃったのよ)タッタッタッ

プシュン

ミサト「アスカーいる———」ネチャ

ミサト「な、なんなのよ、コレ!」フンッ

メギメギ、ビリッ

ミサト「ギャー!靴が、靴の底がー!」

ミサト「なんなのよ!もう!」ガンッ

ミサト「ちょっと!アスカあっあっあああああ」ヌルッ、ドテッ

ミサト「…」

ミサト「フフ、フフフフ、なるほどね、だいたいわかったわ。」ピクピク

ミサト「とりあえずアスカに話つけなくちゃね・・・部屋かしら…」

ミサト「」シュー、サー、シュー、サー、シュー、サー

スタ

ミサト「看破。…さて…」



…シクシク、ウゥ、シクシク、ウック


ミサト「…」


ガラッ


ミサト「アスカ」

アスカ「っな!ミサト!勝手に入んないでよ!」


ゴツン!!


アスカ「ッ痛〜〜!なにすんのよ!」

ミサト「これで私の気は晴れたわ…」

アスカ「…」

ミサト「シンジくん、出て行くって」

アスカ「! …うぅ、うっく、くぅ、」ポロポロ

ミサト「アスカ…」ダキ、ギュ

アスカ「あ、あんなに、怒ると思わなく、て、」

ミサト「…」

アスカ「バカシンジが、私といても、楽しくない、って」

ミサト「…」

アスカ「私のことが、大嫌いだって、」

ミサト「!」

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