P「チーム名は……765バスターズだ!」(971)

P「今日からこの公園は俺らみんなのものだ!お前らのものじゃない!」
「これに懲りたらもう公園を勝手に占拠するのはやめるんだね」

悪ガキ1「ううう!この女男!」
悪ガキ2「やーいやーい女男!」

「ボクは女の子だ!」

夢を見た


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「やったねP(本名)君!お祝いにお菓子作ってきたから食べよう?」
「あんたにしてはやるじゃない!褒めてつかわすわ!」
「うっうー!これで、みんな、あそべます!」
「無茶するわね……大丈夫?怪我してるわよ、P」
「あらあら~、もう終わっちゃってたのね~」
「迷子になんてなるからですよ……みんなのお姉ちゃんなんだからしっかりしてください」

懐かしい夢だ。
……子供の頃の話。
近所の悪ガキ共……あの頃は俺もガキだったんだけど。
そいつらが公園を勝手に公園を占拠してたんだ。
だから俺と【―――】で懲らしめてやった。
……あれ、誰だっけ?思い出せない。

「よーっし!じゃあ早速遊ぼうよ兄ちゃん!」
「で、でもPさん怪我してますぅ……」アタフタ
「あふぅ、眠いの……」
P「こんくらい大丈夫さ!じゃああの滑り台まで競争だ!」ダッ
「はいはい、怪我してるじゃない。無理しないの」ガシッ
P「は、はなせ!俺は遊ぶんだ!」
「消毒するからおとなしくするの」

その頃俺は……いや、俺らは近所の仲良しグループでいつも行動していた。
グループの中で俺は二番目に年が上だったかな……
そんでいつも一番年上の女の子に介抱してもらってたっけ。
名前は―――そう。

P「大丈夫だから!【ことり】!」

CVグリリバか

――― P宅 ―――

P「……あれ」チュンチュン

P「あ、朝か……それにしても、随分懐かしい夢みたなぁ」ムクリ

P「あいつらどうしてるかなぁ」

P「……って時間!ヤバイもう朝飯食ってる暇ねぇよ!!」

P「スーツスーツ!書類!」

P「い、行ってきます!!」ガチャンバタン!

――― 765プロ ―――

P「お、お、おはようございます!!」ガチャ!

小鳥「ど、どうしたんですかそんな息切らして……」

P「だ、だって遅刻ギリギリ……」

小鳥「え?……まだ出社時間まで1時間近くありますけど」

P「あるぇー?」

P「……うわマジだ。家の時計が狂ってたのか……」

小鳥「まぁせっかく早く来たんですし、ちょっと仕事手伝ってくれませんか?」

P「仕方ないですね……どれです?」

小鳥「さすがプロデューサーさん!話がわかりますね!お願いします!」サッ

P「よっと、じゃあこの書類チェックすればいいんですね?」

P「新しい時計買わなくちゃなぁ……」ガリガリガリ

小鳥「じゃあ一緒に買いに行きます?」カリカリ

P「なんかそのあとお酒おごらされそうなんでやめときます」ガリガリガリ

小鳥「そんなわけないじゃないですかー(棒)」カリカリ

P「ですよねー(棒)」ガリガリガリ

小鳥「あ、プロデューサーさん。コーヒー飲みます?」

P「あ、お願いします」ガリガリガリ

P「(そうそう。昔、無理してブラックコーヒー飲んで悶絶したなぁ)」

小鳥「はい、どうぞ」コトッ

P「ありがとうございます。……あ、クリームと砂糖はいりません」

小鳥「ブラックですか?でもプロデューサーさんっていつも角砂糖大量に入れる甘党だった気が……」

P「まぁ、今日は特別ですかね」ズズズ

P「……にっが」

小鳥「まぁ、軽く5個は角砂糖入れちゃうような人に急にブラックは無理ですよ。はい、砂糖です」

P「ですね……」カランコロン

小鳥「そういえばさっき言ってた、特別ってなんですか?」

P「いえ、子供時代の夢を見まして……それでその時もブラックに挑戦したなぁと」

小鳥「ぴよっ!プロデューサーさんの子供時代、私、気になります!」

P「えぇ……面白くないですよ」

小鳥「それでも興味あるんです!聞かせてくださいよ!」

P「そこまでですか?」

小鳥「もちろん!あ、じゃあ代わりに私の昔話も……」

P「そこまで言うなら……」

小鳥「ドキドキ」

P「えーっと。小学生時代の話なんですけれど―――」

P「ある日ですね、学校からの帰り道、急に雨が降ってきたんですよ」

小鳥「ほうほう、もしかして傘を持っていなかったとか?」

P「いえ、そんときは持ってましたよ。で、近所の仲良しグループのみんなで帰ってたんですよ」

小鳥「仲良しグループ?」

P「ええ、近所の親同士仲が良かったので、その子供もまた……って感じでしたね」

小鳥「なるほど」

P「そしたらですね。ある交差点で段ボールの近くで屈んでいる女の子がいたんですよ」

小鳥「王道展開ですね」

P「自分でもそう思いますよ。で、その子ずぶ濡れだったんですよ。段ボールが濡れないように傘を立てかけてて」

小鳥「これまた王道」

P「で、そんな女の子を見て、俺は当時正義感の強い子供だったのでその子に話しかけたんですよ」

小鳥「正義感の強い子供プロデューサーさん……ふむ、捗ります」

P「何が捗るのか知りませんけど、『何してるの?』聞いてみると『猫が濡れそうだったから』って返ってきまして」

小鳥「ここまでは読めてましたよ!」

P「で、正義感の強かった俺はその女の子に対して自分の傘を押し付けまして」

小鳥「ぴよっ。プロデューサーさんかっこいい!」

P「やめてくださいよ。で、仲良しグループに戻ったとき散々冷やかされましたけど」

小鳥「やーいやーい女たらしー」

P「……」

小鳥「で、結局どうなったんです?オチは?後日譚は?」

P「オチって……まぁ、傘を返すためだけにその女の子は俺に会いに来てくれまして」

小鳥「それ惚れてません?完全に」

P「ついでに仲良しグループに誘いまして。で、それから仲良く遊んでましたよ」

小鳥「ほほう、昔のプロデューサーさんの事がよくわかりましたよ」

小鳥「して、猫はどうなったんですか?」

P「猫は仲良しグループで世話することになりましたね」

小鳥「ほむほむ。で、猫ちゃんの名前は?」


P「えっとそうそう、『ゴンザレス』です」


小鳥「……え?」

P「いやぁ。仲間内の一人がものすごくネーミングセンス悪くて……」

P「最初はその女の子が『みぃちゃん』がいいって言ったんですけど結局、『ゴンザレス』になりましたね」

P「女の子なのに可愛そうですよね。『ゴンザレス』なんて」

小鳥「あ、あの……その猫って、シャム猫ですか?」

P「? ええ、よくわかりましたね!シャム猫です」

小鳥「その……貸した傘の柄って覚えてます?」

P「うーんと、藍色に白の水玉……かなぁ」

小鳥「もしかして、その女の子は仲良しグループの中で……最年長なんてこと」

P「そうなんですよ。俺が最年長だったんですけど、その女の子が入って……ってあれ?」

小鳥「最後の質問です。その女の子の名前は」

P「……」

―――【ことり】。

P「……そんな偶然って、あるんです?」

小鳥「あると思いますよ……久しぶり、P君」

P「やっぱり……【ことり】なんですよ、ね?」

小鳥「そう、みたいね」

P「ホントに?本当に、【ことり】?」

小鳥「うん……そうだよ」

P「……」

小鳥「……」

P「ええええええええええ?!」

P「いやいやいやいや!一体全体何年ぶり?!」

小鳥「P君こそ……急にいなくなってびっくりしたんだからね……?」

P「そ、それは……」

小鳥「みんなも心配してたんだよ……?あれから連絡もしてこなかったし!」

P「え、えっと、すみません?」

小鳥「過ぎちゃったことは仕方ない……けど、本当に心配したん、だから……」グスッ

P「……心配かけてごめん。【ことり】」

小鳥「うぐ、ぐす、う、うあああああ……」

P「ごめん……」ギュッ

小鳥「うぐ、ぐすっ……」

P「落ち着いた?」

小鳥「うん」

P「よかったです……なんかすみません」

小鳥「謝ってばっかり……む、あと敬語に戻っちゃった」

P「い、今は仕事中ですし」

小鳥「別にいいんだよ?タメ口でも」

P「今更感があるので……」

小鳥「むー……わかりました。私もやめますね」

P「助かります。なんだかむず痒くて……」

小鳥「それよりプロデューサーさんがP君だったとは思いませんでしたよ」

P「俺こそ音無さんが【ことり】だなんて思いませんでしたよ」

小鳥「……さ、さっきから呼ばれてますけど、改めて意識すると、呼び捨てって、ドキドキしますね///」

P「ああっ!すみません音無さん!」

小鳥「……小鳥」ムスッ

P「はい?」

小鳥「昔みたいに……小鳥って呼んでくれなきゃ、ヤです///」

P「」

P「わ、わかりましたよ……小鳥さん」

小鳥「ま、今はそれでもよろしい……(で、でも呼び捨てで来られると色々まずかったかも)」

P「それにしても、こんな身近にあの仲良しメンバーの一人がいるとは。美人になってて気づきませんでしたよ」

小鳥「び、美人ってそんな///」

小鳥「P君こそそんな……えっと、かっこよくなってて……」

P「んなっ!や、やめてくださいよ……///」

小鳥「///」

P「///」

春香「のヮの」

P&小鳥『!?』

P「は、ははは、春香?!」

小鳥「い、いいいいつからいたピヨッ?!」

春香「……お互いに下の名前を呼び合って、テレテレしてるところからですかね」

P「こ、これにはワケがあってだな」

小鳥「そ、そうなんだピヨ。ワケがあるんだピヨ」

春香「どんな? のヮの#」

P「落ち着け春香。アイドルがしちゃいけない顔してるぞ」

春香「……で、ワケってどんなワケですか?」

小鳥「こほん。いえ、別に。私とプロデューサー……いえ、P君が幼馴染だってことが今判明したのよ♪」ギュッ

P「ちょ、小鳥さん?!急に腕に抱きつくなんて……」

春香「……へぇ のヮの#」

小鳥「別に呼び捨てでもいいんですよ?///」

P「小鳥さん、冗談は……」

春香「……そうですか、幼馴染だったんですかぁ……」

P「……春香?」

春香「うー!!言っちゃおうかな、どうしようかなぁ?!」

P「ど、どうした?」

春香「でもでも、千早ちゃんにも真にも口止めされてるからなー……」

小鳥「ふふっ、どうやらあの約束が邪魔してるみたいですね」

春香「うー!うー!」

P「……?」

春香「あれ、でも小鳥さん言ったんですよね?」

小鳥「ギクッ」

小鳥「ち、違うピヨ。P君が気づいてくれたんだピヨ」

P「結構ヒント出してましたけど」

春香「のヮの#」

小鳥「」

春香「ならもういいです!約束なんて知りません!」

小鳥「は、春香ちゃん?!」

春香「……P君!」

P「はい?!」

春香「私、誰だかわかりませんか?!」

P「お、おま。今P君って……」

春香「誰だか……わかんないですか?」ウルウル

P「(涙目で上目遣い……あざとかわい……じゃなくて)」

P「(春香と俺が面識がある?いやでも結構年離れてるし……)」

―――「P君!お菓子作ってきたんだ、えへへ///」

P「あ……」

気づいてなかったのはPだけって事か

―――「P君って、クッキー好きだよね?」

P「うん、【―――】の作るクッキーは美味しいからね!」

―――「えへ、嬉しいな……じゃあ、はい、あーん///」

P「うぇ?え、えっと。あーん……」

―――「えへへ、えへへへへ……」

P「美味しいよ。ありがとう!」

―――【はる】。

P「……【はる】」

春香「!」

P「思い出したよ……そっか、春香が……【はる】だったのか」

春香「ぷ、プロデュー……P君っ!」ガバッ

P「うおわっ!?急に抱きついてくるなっ!」

春香「ううう……会いたかった……ずっと、会いたかった……」グスグス

P「(小鳥さんに春香……もしかしてだけど、ほかにも……?)」

春香「なんで、なんで急にいなくなっちゃったんですか?」

P「それは……家庭の事情で……」

P「(あれ、本当に家庭の事情だったっけ)」

春香「心配したんですからね!!連絡も何もなくって……」

春香「私達、寂しかったんですよ?もしかしたら死んじゃったのかもって」

春香「もう二度と会えないのかもって」

P「……」

春香「だからっ、最初、プロデューサーさんに、スカウトされた時っ」

春香「ホントに、本当に、懐かしくてっ……ぐすっ……」

P「うん、ごめん……」

春香「ずっと、ずっと落ち着くまで、抱きしめててください……」グスグス

P「うん……」ナデナデ


小鳥「(あれ、私空気?)」

小鳥「(一応撫でてない方の腕に抱きついてるんだけどなー……)」

P「落ち着いたか?」

春香「えへへっ、ご心配おかけしましたっ」

P「そっか、じゃあ「あの!P君っ!」なんだよ」

春香「え、えっとぉ。そのぉ……昔みたいに、【はる】って呼んでくれないかなーって」

P「……いいけど。だけどP君はちょっと……」

春香「ダメ……ですか……?」ウルウル

P「ああもう!わかったよ!好きに呼べばいいじゃないか!」

春香「わーい!P君っ♪」

P「ああもう……そろそろレッスンの時間だぞ。……【はる】」

春香「あっ……///」

P「ほら、行くぞ!」

春香「も、もういっかい!もういっかいお願いしますー!!」

書き溜めがないので、今日はここまで。
読んでくださった方ありがとうございました。

これは期待
リトバス2期楽しみだ。もちろんアイマスの映画も

おつー

―――765プロダクション―――

春香「プロデューサーさんっ♪」ギュッ

P「は、春香。あんまくっつくなって……」

小鳥「困ったものですね~」ギュッ

P「小鳥さんもっ!!」

P「(あの日から数日)」

P「(春香や小鳥さんはやけに俺にくっついて来るようになった)」

P「(嬉しいのはわかるんだが、正直持たない。俺の理性が主に)」

P「(しかも二人きりの時は俺の事【P君】って呼ぶし、俺も【ことり】とか【はる】って呼ぶよう催促されるし)」

P「(特に問題なのが―――)」

千早「……」ジロジロ

美希「……」ムスーッ

真「……」ジーッ

雪歩「……」チラッ

やよい「?」キョトン

P「(周りからの視線が痛い。凄い居心地が悪い)」

千早「……ねぇ、真」

真「そうだね。ボクも同じこと考えてた」

雪歩「さ、最近、春香さんと小鳥さんが猛アタックを仕掛けてますぅ……」

美希「むぅ~……あれは美希の特権なの!」

千早「……真、ちょっと来てくれる?」ガタッ

真「ん、お菓子の場所ね。ちょっと待ってて」ガタッ

やよい「真さん、お菓子ならここにありますよ~?」

真「ああいや、そうじゃなくて。千早の秘蔵のお菓子ってこと」

美希「なんなのそれ?」

千早「太ると分かっていてもつい食べたくなるのよね……だから真に隠してもらっているの」

真「だけどどうしてもって時は自己責任ってことで、ね」

やよい「うっうー!千早さんの秘蔵のお菓子ですか……食べてみたいです!」

千早「いくら高槻さんでも、ごめんなさい」

やよい「残念です……」

真「ボクからも言っておくよ。だからそんなしょげないで」

やよい「はいっ」

千早「じゃ、行きましょ真」

真「おっけー。こっちね」ガチャ

美希「……なーんか怪しいの……」

―――仮眠室―――

千早「それで、真はどう思う?」

真「うーん……ボクの可能性があってる、ってのが一番かなぁ」

千早「……本当にプロデューサーがPさんだったって事?」

真「でもそれだと、春香と音無さんは約束を破ったことになるんだよね」

千早「ええ、【例え私達4人が大好きだったPさんだったとしても、抜けがけは絶対しないこと】……」

真「【4人全員で一斉に打ち明けて、一斉にスタートラインを切ること】。だよね」

千早「……これは今日にでも問いただしておく必要があるわね」

真「その役目は千早に任せるよ。ボクはできるだけ、何も知らないメンバーを遠ざけとく」

千早「任せたわ。……過去話を持ち出すなんて、何も知らないメンバーには卑怯だものね」

真「そうだよねぇ。千早は何かの約束してたんだっけ」

千早「あ、あれは……その……勢いで」

真「でもプロ……Pのファーストキス奪ったよね。それは知ってる」

千早「~!///」

真「それじゃ、ボクはみんなの仕事とか確認してくるから」ガチャ

千早「……」

千早「……きっと、覚えてなんてないんだろうな」

―――仮眠室のドア越し―――

真「むしろ覚えてないのは……ボクの方、か」

―――数時間後 夕方の765プロダクション―――

千早「お疲れ様でした、プロデューサー」

P「おう、すまんな。コーヒー淹れてもらって」

千早「いえいえ」

P「あ、砂糖もらえるか?」

千早「はい、どうぞ……」

P「ありがとな」カランコロン

千早「(角砂糖を6個……大の甘党である……これもPさんと一致してる……)」

P「で、話ってなんだ?」

千早「少し待っていただけますか?真が人を呼びに行ってまして」

P「(俺と春香と小鳥さんと千早と真……?新曲についての意見か?)」

P「(……もしかして最近の春香と小鳥さんについてか?)」

千早「その前に一つ確認したいことがあるんです」

P「なんだ?」

千早「最近、音無さんのことを【小鳥さん】と呼ぶようになったのは何故ですか?」

P「え、えっとそれは……小鳥さんに催促されまして」

千早「……そうですか」

P「(や、やっぱりなんかバレてる……?)」

千早「(十中八九……いえ、もう確定かしら……)」

真「ただいま千早~」ガチャ

春香「な、なになに真?」

小鳥「ぴよ~っ、新刊が出てたのにぃ~……」

真「小鳥さんは動かなさそうだったから拉致ってきたよ」

千早「お疲れさま」

P「うぉう……(小鳥さんが真に抱えられてる)」

千早「さて、そろったかしら」

真「うん、これで全員だね」

春香「な、なんの集まりなのかなーって のヮの」

小鳥「新刊……新刊……」ブツブツ

P「のヮの」

春香「真似しないでください!」

千早「集まってもらった理由だけど……まずプロデューサーさんに、事実確認を」

P「事実確認?」

千早「はい。……プロデューサーさんは、昔、仲良しグループに入ってましたね?」

P「え、な、なんでそれを千早が」

真「で、その仲良しグループの中に、春香と音無さんも入っていた。そうですね?」

P「いやだからなんでそれを「そうですね?」……はい」

春香「え、えーっと千早ちゃん、真……これはね?」

千早「約束……破ったのね」

真「うーん……嬉しいのはわかるけどさ……」

春香「ご、ごめんなさい……でも小鳥さんが!」

小鳥「ぴよっ!?」

千早「……まぁ音無さんには後で事情をゆっくり聞きましょう」

P「……約束?」

千早「こちらの話です……Pさん」

真「うん、Pは気にしないでいいと思うな」

P「千早?真?その呼び方は?そしてなんでお前らがさっきの話を―――」

千早「まだ気づかないんですか?」

真「なんかここまで鈍いとちょっと失望するよね」

千早「【ちーちゃん】……聞き覚えありませんか?」

真「【まこ】……こっちも聞き覚え、あるよね?」

P「【ちーちゃん】……【まこ】……」

―――「~♪~♪」

P「【ちーちゃん】って歌うまいよね……すっごく」

―――「~♪……そうかな?」

P「うん、俺は好きだな。ちーちゃんの歌」

―――「……///」

―――「ボクは男じゃないのにぃ……」グスッ

P「大丈夫だよ【まこ】。【まこ】は可愛いよ」

―――「っ?!///な、なに言ってんだよこの馬鹿ぁ!///」

P「はははっ。赤くなった~……そういうとこも、可愛いぜ?」キリッ

―――「うにゃあああ!!」


P「……ちーちゃん……まこ……」

千早「思い出して……くれました?」

真「もうちょっと早く……ってか、スカウトした時に気づいて欲しかったな」

P「お前ら……本当にあの二人なのか?」

千早「そうですよ……Pさん」

真「P……ははっ。この年になると呼び捨てはやっぱ違和感があるね」

P「は、春香は知ってたのか?!」

春香「はい……出会った瞬間、気づきました」

小鳥「私も……ですね」

P「……気づいてなかったの、俺だけ?」

千早「そうですよ。本当に鈍感なんですから……」

真「鈍感じゃなかったらボクら、こんなに苦労してないよ」

P「」

P「いやもう待て。訳が分からん。奇跡ってレベルじゃねーぞ!」

千早「そうですよね。まさか同じ事務所内に5人も仲良しグループが集結してるなんて」

真「もしかしたら他にもいるかもしれないね?」

P「本当にありそうで困る……」

P「(もしかして俺は仲良しグループの面影を探してスカウトしていたのか?)」

千早「え、えっと。ごほんごほん」

P「なんだわざとらしい咳払いなんかして」

千早「き、気にしないでください。そ、それでここからが本番なんです」

春香「本番?音無さん、千早ちゃんが何言うか知ってる?」

小鳥「い、いや……知らないピヨ」

真「ちなみにボクも知らないよ」

千早「え、えっとですね。私とPさんは、昔、ある約束をしたんです」

P「約束?」

千早「は、はい。その内容が―――」


千早「私と将来、結婚してくれるっていう……///」


千早以外『?!』

真「ちょっと待って千早!?そんな約束してたの!?」

千早「え、ええ……///」

P「ま、待ってくれ。ちょっと待ってくれ」

春香「千早ちゃん!?一斉にスタートライン切る約束は?!今切ったのはいきなりジョーカーだよね?!」

小鳥「そ、そうピヨッ!そんな約束、P君がしてるわけないピヨッ!」

千早「で、でも事実ですし……///」

P「……もしかして、アレか?」

P&千早以外『?!』

小鳥「心当たりがあるのっ?!」

P「こ、小鳥さん!言葉使いっ!あと顔が近いですっ!」

小鳥「あ、ご、ごめん……つい興奮しちゃって」

P「……まぁ、確かにああは言ったがなぁ……」

―――とある日の夏祭り―――

P「みんなとはぐれたな……」

千早「そ、そうです……ね」

P「別に敬語なんて使わなくていいって……それよりどうする?」

千早「え、えっと……待ってたほうがいい……です」

P「敬語は……ってしつこく言っても仕方ないか。じゃあちょっとあのベンチで休んでこう」

千早「はい……」

P「ここで待ってりゃ誰か見つけてくれるかもな」

千早「う、うん……(二人きり……)」

P「あ、そうだ。ちーちゃん」

千早「な、なんです……あ、な、何?」

P「なんか夏を感じるような歌、聞かせてくれないかな?」

千早「え、えっと……なん、で?」

P「なんか急にちーちゃんの歌声聞きたくなったから」

千早「そ、そっか……で、でもここじゃ、人たくさんいて……恥ずかしい」

P「じゃあもうちょっと夏祭りから離れるか」

千早「いいの……?みんな、探してる、かも……」

P「いーの。俺は今、ちーちゃんの歌を聞きたいんだから」ダッ

千早「あっ、ま、待って……」

P「この辺なら大丈夫かな」

千早「ここなら……平気」

P「うん、じゃあお願い!」

千早「う、うん……(ちゃんと歌えるかな)」

千早「~♪~♪」

P「いつ聞いても、綺麗だよね。ちーちゃんの声」

千早「そう……?」


P「うん……一生聞いてたいかも」


千早「っ!」

千早「い、今の言葉、本当?」

P「え、う、うん。本当だけど」

千早「じゃ、じゃあ。約束して?い、一生私の歌を聞いてくれるって」

P「いいよ」スッ

千早「あ、ゆ、指切りじゃ……だめ」

P「え?じゃあどうす―――」

チュッ

P「……え?」

千早「ち、誓いの……キスっ……!///」

千早「~!!///」ダッ

P「お、おいちーちゃん!?ちーちゃん?!」

千早編終わり
続きはまた後日……長くなりそうだ。

追い付き支援
なにこれ最高なるべく早くに更新してほしいです

素晴らしい…期待する。

おつ

―――現代に戻る―――

春香「へ、へぇ……そ、そうなんだー のヮの」

真「……羨ましい」

小鳥「……千早ちゃんって、そんなに乙女だったっけ?」

千早「~!///あ、あれは自分でも大胆だったなって思いましたよ!///」

P「あれ……本気だったのか?」

千早「……はい」

P「約束……ずっと、信じてたのか?」

千早「はい……はい……」

千早「だからっ……Pさんが急にいなくなったとき……私っ……」

P「(あ、ヤバイ泣かれる)」

P「千早っ!」ギュッ

千早「ふあっ?!///」

P「大丈夫だ。俺はここにいる、ずっと心配かけさせてごめん。約束守れなくって……ごめん」ナデナデ

千早「う、うっ……ぐすっ……」

P「大丈夫だから……もういなくならないから」ナデナデ

千早「う、うあああ……」

千早「ぐす、ぐす」

P「(俺、たった二日でもう三人も泣かせてんだよな……)」

春香「えっと。それで、P君」

P「な、何?」

小鳥「千早ちゃん……ううん、ちーちゃんと、結婚……するの?」

P「う、うぇっ?!」

真「女の子泣かせたんですよ?」

春香「ど、どうするんですか?!はっきり答えてください!」ジリッジリッ

小鳥「男なら逃げたら駄目ピヨ……」ジリッジリッ

P「(ど、どうすんの俺?!子供の頃の俺の馬鹿野郎!!)」

P「えーっとだな。千早とは―――」

P「(覚悟決めるしかないのか?こ、子供時代の約束で……)」

千早「……待ってください」

P「え?」

千早「……あの約束は、一回破られたのでノーカウントです」

春香「千早ちゃん……いいの?」

真「いいの?千早」

千早「……うん。スタートラインは一斉に。私はPさんに思い出して欲しかっただけだから」

P「千早……」

千早「そ、それじゃ次は真の番―――」

真「あっ!もうこんな時間っ!」

千早「……真?」

真「ごめん!ボク、急いで帰らないと!」

春香「ちょ、ちょっと真?!」

真「それじゃプロデューサー!みんな!また明日!」ダッ

小鳥「ま、真ちゃん……」

P「……追ってきます!!」

春香「え?!P君まで?!」

千早「わ、私も……」

P「いいからお前らは事務所で待機!」

小鳥「……分かりました。春香ちゃん、千早ちゃん。お菓子でも食べて待ってましょう?」

春香「ちょ、ちょっと音無さん?!」

千早「……春香」

春香「うう……わ、分かりましたけど、絶対帰ってきてくださいね!?」

P「わかってるっ!」ガチャッ

小鳥「(……はぁ。P君ってばモテモテだなぁ)」

小鳥「(でも今は我慢……今は、真ちゃんのターンだもの)」

小鳥「さて、じゃあゆっくりP君を待ちましょう?」

春香「うー」ウズウズ

千早「そ、そうですね」ウズウズ

小鳥「(落ち着きがないわね……あ、そうだ)」

小鳥「あ、そういえばね。このアルバムに昔のP君の写真が……」

春香&千早「本当ですか?!」ガバッ

小鳥「(ちょろいわね……)」

―――駅前―――

P「待て!真!」ハァハァ

真「待ちませんよ!ボクは急ぎの用事があるんです!」

P「じゃ、じゃあ、言ってみろよ!急ぎの用事ってなんだよ!」ハァハァ

真「そ、それは……あ、アニメを」

P「お前がアニメなんか見るわけ無いだろ?!」ハァハァ

真「その一言は酷いと思いますよ?!」

P「じゃあなんで俺から逃げるんだよ!」ハァハァ

真「だって、だって……」

真「だって……」ピタッ

P「真……?」

真「ボク……プロデューサーさん……いや、Pとの思い出が……遊んでた事しか、ないんです」

P「そ、それが?」

真「千早にも、春香にも、小鳥さんにも……ちゃんと、女の子らしい、微笑ましいような思い出があるんです!」

真「それがボクにはないんです!鬼ごっこして、かくれんぼして、喧嘩して……そんなのしかないんです!」

真「どうしても!みんなみたいな事、思い出せないんです!」

真「だからっ、だからっ……何話していいのか、分かんなくてっ……」

P「……なんだよ。そんなことか」

真「そんなことって!」

P「真……いんや【まこ】。あるぞ、ひとつだけ、とっておきのが」

真「と、とっておき?」

P「ああ、そうだ。忘れもしないさ―――」

―――夏の日の公園―――

P「そういえばさ」

真「何?P」

P「まこって、女の子っぽくなりたいなりたい言うけど、スカート履かないよね」

真「あ、う。えっと……それは……」

春香「あ~。それ私も思った」

千早「そうね。いっつもジーンズで……」

P「女の子らしくなりたいっていうなら、スカート履いてみたらどうだよ」

真「う~……でもなぁ」

P「なんだよ?」

真「す、スカートってさ……そのぉ……スースーするじゃん」

P「なんだそれ」

真「し、しかもなんか気恥ずかしいし」

P「う~ん。俺は見たいんだけどなぁ。まこのスカート姿」

真「い、いくらPの頼みでもなぁ……」

春香「わ、私のスカート姿ならいくらでもどうぞ!P君!」

P「いや春香は見慣れてるし」

千早「……明日からスカート履いてこようかな」

P「いや俺がスカート好きってワケじゃないぞ?ワケじゃないんだが」

真「な、なんだよぅ……」

P「見てみたいな~」ジーッ

真「ううう~……///」

真「い」

P「い?」

真「そこまで言うなら……一回だけ、やってもいい」

P「本当?!」

真「だ、だけど絶対、絶対笑うなよっ!?」

P「笑わないよ。なぁ、はる?」

春香「うん!もちろん……ってか、まこってスカート持ってるの?」

真「もってない……」

千早「じゃあ、買いに行かない?今から、私とはるとまこで」

春香「ちーちゃんにさんせー!いこいこ!まこ!」ダッ

真「う、うわっ。ちょ、ちょっと待って……!」

P「楽しみだなぁ。まこのスカート姿」

―――翌日―――

P「おーい!はるー!ちーちゃーん!」

春香「待ってたよん、P君」

千早「そこの木の陰に隠れてる」

P「え?木の陰?なんで?」

春香「恥ずかしいんだって。今更になって」

千早「結局、スカートではないし……」

P「そうなのか……少し残念かな」

春香「で、でも女の子らしい服装だよ!」

千早「夏にぴったりな服装にしてみたの」

P「へぇ……じゃあ行ってくる」

春香「行ってらっしゃ~い」

千早「……きっとびっくりするわね、Pさん」

春香「ははは……そうだね。私達もあそこまで素質があるとは思わなかったもん」

P「まこ?」

真「うっ」ビクッ

P「何隠れてんだよ~」

真「だ、だだだ、だって。恥ずかしくて」

P「いいから見せろよ~」

真「うう……や、やっぱ無理っ」

P「……そっか、まこがそこまで言うなら……仕方ないな」

真「……P?」

P「ごめんな、無理言って。じゃあ俺、あっち行ってるから―――」

真「ま、待って!」ギュッ

P「ま、まこ?手……」

真「だ、大丈夫。大丈夫っ……///」

P「(言葉を失った)」

P「(麦わら帽子に真っ白のワンピース。ただそれだけなのに、まこはいつもと違って見えた)」

P「(しかもこちらを見つめて涙目での上目遣い)」

P「(元々可愛いとは思ってたけど、まともな格好すると、まこってこんな……)」

真「あ、あう……///」

P「」ショート

真「な、何か……言ってよ///」

P「す、すっごく、すっごく……に、似合ってる」

真「ほ、ホント?お、女の子みたい……かな?」

P「お、女の子みたい……じゃなくて、まこは女の子……だよ」

真「……ど、どうしたの?P?様子が変だよ?」

P「そ、そそそ、そうか?」

P「(目の前にいるのはまこのハズなのに、始めてあった女の子と話してる気分だ……)」

真「きょ、今日一日はこの格好でいる……つもりだから。み、みんなにも見せなくちゃなんだよね……うう」

P「だ、大丈夫さ。きっと、まこは可愛いか……らっ……」カァアアア

P「(いつもみたいにからかおうとして、顔が真っ赤になっていくのを感じる)」

P「(こ、これは本当にヤバイかもしれない……!)」

P「そ、それじゃみんなのとこ行こうぜ!」ダッ

真「え?P?!あ、あんま早く走らないで……す、スースーする、から」

P「(あああああもおおおおお!!まこが可愛いすぎるうううううう!!)」

―――現在―――

P「あの後も俺、まこの事直視できてなかったよな」

真「そ、そんな些細な事覚えてるなんて……」

P「だってあの頃は珍しかったまこの貴重なワンピース姿だぞ?俺が忘れるわけがない」

真「は、ははっ……ホント、Pは……」

P「それにな、覚えてなくてもいいんだぞ」

真「え?」

P「何の因果かわかんないけど……俺たちはまた集まれた」

P「昔のことも確かに重要かもしれない」

P「だけど、今から思い出を作っていくのは……ダメか?また、昔みたいにさ」

真「……それ、自分が忘れてたこと正当化しようとしてない?」

P「ぐっ、バレたか」

真「でも……ふふっ。そうだよね。今は今、昔は昔だ」

真「それでついでに思い出したよ。ボクもPと約束、してたんだ」

P「え?マジで?」

真「なんか素で忘れてるとかムカつくなぁ……」

P「ご、ごめん……」

真「いいよ。じゃあ教えてあげる」

真「【まこの王子様には、俺がなってやる】……だっけね」

P「そんなこと言ったなぁ」

真「あはは。だから、いいんだ」

真「この約束は、もう果たされてるようなもんだからさ」

P「そうか?俺は、ちゃんとお前の王子様になれてたか?」

真「うん。スカウトしてくれたとき、改めて感じたんだ。やっぱり、Pは王子様なのかなって」

P「そっか……なんか、ありがとな」

真「何そのお礼」クスクス

真「さっ、帰ろ。三人に心配かけちゃったね」

P「ああ、帰ってみんなで思い出話でもしよう」

真「うん、そうしよう……」

真「(ボクの、ボクだけの、素敵な王子様……)」

真「(じゃ、ないね。もうボクだけじゃない。みんなの、王子様かな)」

真「(ねぇ、でもいつかはさ)」

真「(ボクを、本当の君のお姫様に……してよね?P)」

第二章終わり。
ここからは安価で次の話を決めていきたいなと。

1 やよい&伊織
2 美希&律子
3 あずさ
4 響

第三章 >>134

あずさ3

ksk

2で
美希が「そこの人」呼ばわりしたのはなんでか知りたい

安価こなさそうなので、個人的に書きたいと思った2番で。
一日一章を目標にしていきたいと思っています。

乙、楽しみにしてるよ

子供の頃となると優はどうしてたんだ……

おつ

>>137 優はこのチームには参加していなかったという事でお願いします。

千早「プロデューサー。お茶どうぞ」

P「お、おう。ありがと」

春香「プロデューサーさん!お弁当作ってきましたよ!」

P「あ、ありがとう……」

真「プロデューサー!この荷物、どこに持っていきますか?」

P「え、えっと……窓際に置いておいてくれるかな」

小鳥「プロデューサーさん!お仕事手伝いますよ」

P「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

あずさ「あらあら~。プロデューサーさん、モテモテね~」

伊織「ふん。あんなのの何がいいのやら」

雪歩「そ、そんなこと言ったらダメだよ伊織ちゃん……」

美希「……」ムスーッ

律子「……美希。イライラしてるのはわかるけど、仕事はちゃんとお願いね?」

美希「わかってるの。ちゃんとやるの。ちゃんとやるけど……」

P「よし、これで一通り仕事が終わったから休み時間―――」

千早「プロデューサー。なら歌のレッスンに付き合って頂けませんか?」

真「千早ずるい!プロデューサー!ボクと一緒に運動しましょう!頭もスッキリするし、気持ちいいですよ!」

春香「だ、駄目です!私の新しいリボンを選んでもらうんです!」

小鳥「まぁまぁ……あ、プロデューサーさん。飲み会の件なんですけど―――」

P「ハハハ……はぁ」

美希「……」イライライライラ

律子「(髪の毛が逆だってる……猫?)」

美希「元々あーゆーのはミキの役目だったと思うの。それがいつの間にかみんな積極的に……」

律子「みんなも自覚したってことじゃないの?あの人への想いを」

律子「もっとも、あんたは自覚できてないみたいだけど」

美希「……」

美希「ねぇ。律子」

律子「さんをつけなさい」

美希「律子は……ハニーのこと、好き?」

律子「なっ。何を藪から棒に!」

美希「嫌い?」

律子「そ、そりゃあ……」

美希「どっち?答えてくれると嬉しいな」

律子「……好きよ」

律子「私もみんなみたいにプロデューサー殿に絡みたいわよ。でも、私はそういうキャラじゃないから」

美希「そういうキャラじゃないってだけで、諦めるの?」

律子「……諦めきれないから私もイライラしてんでしょーが!」

美希「あはっ、律子も一緒なの。一緒にイライラしてたの」

律子「当たり前でしょ。好きな人が目の前でイチャイチャしてたらイライラするわよ」

美希「そっか。イライラするのが普通……なんだ」

律子「……美希?」

美希「ミキもイライラしてるの。これって、ミキはハニーの事が好きってことかな?」

律子「まだ気にしてるの?」

美希「うん。ミキのにとって、あの人は【二人目のハニー】だから」

律子「……」

美希「ミキはあの時、自分に約束したの。もう、例え恋人ができたとしても、【ハニー】なんて言わないって」

美希「なのにね?なのにだよ?ミキ、また好きな人ができて、その人を【ハニー】って呼んでる」

美希「最初は【そこの人】だったのに……話すうちに、褒められるたびに、一緒に喜ぶたびに」

美希「好きにならないために、【そこの人】って呼んでたのに」

美希「だんだん、だんだん、好きになっちゃった」

美希「これってもしかして、裏切りなのかなって、ずっと悩んでたの……今も、そう」

美希「あの人は笑って許してくれるかな?急にいなくなっちゃったけど、美希にとっての【最初のハニー】は」

律子「……許してくれるんじゃない」

美希「なんでそう思うの?」

律子「……私の初恋も、きっとその人だし。あの人ならそんなの気にしないと思うし」

美希「あはっ……じゃあ、ライバルだったんだ」

律子「そうね。ライバル……なのよ。今も。あんたと私は」

美希「そっか……ねぇ、律子」

律子「何?」

美希「決心、ついたかも」

律子「そっか」

美希「今日、話してみる。ハニーに。【最初のハニー】のお話」

律子「変なとこで律儀よね。あんたって。普通昔惚れてた男の話を、今惚れてる男に話す?」

美希「でも、ハニーには知ってて欲しいの。知っててもらいたいの……」

律子「そっか……じゃあさ」

美希「何?」

律子「あんただけだと心配だから、私も一緒にいていい?」

美希「本音は?」

律子「あんたとプロデューサー殿を二人きりにしたら、あんた何をしでかすかわからないからね」

美希「心配性だなぁ。律子は」

律子「はいはい。どうせ私は好きな人と女の子が二人きりになるのが許せない、心のちっちゃい女ですよー」

美希「じゃあ、仕事終わったら連絡する」

律子「うん。じゃ、またね」

美希「うん。……またね」

―――夕刻 とあるスタジオ―――

P「……はい!ありがとうございました!」

P「いえいえ、こちらこそ!」

P「では、よろしくお願いします!」

P「ふぅ……つい打ち合わせなのに白熱してしまった」

P「相手方もノリの人で良かったよ……」

P「さーって。このまま直帰でもいいが……アイツ等が待ってるだろうしな」

P「……また、昔みたいになんかイベントとか立てるのも面白いな」

P「旅行でも行くか?全員で」

P「ふむ、それなら響が詳しいであろう沖縄とか……」

律子「プロデューサー殿」

P「ん?ああ、律子」

律子「お疲れ様です。打ち合わせの帰りですか?」

P「そんなとこだ。お前は?」

律子「私は……ちょっと野暮用で、プロデューサー殿を探しておりました」

P「え?俺を?」

律子「はい。仕事とはちょっと関係ないのですが……お話がありまして」

P「話……?それは急ぎのか?」

律子「はい。できるだけ早いほうが」

P「わかった……ちょっと待っててくれ」

P「ただいま」

律子「何かご用事が?」

P「いや、事務所にいるアイツ等に電話してたんだよ」

律子「アイツ等、とは?」

P「春香、千早、真……あと小鳥さんか」

律子「……最近、特に仲がいいメンバーですね」

P「そ、そんなことないぞ?」

律子「どーだか……」

P「そ、それより話があるんだろ?」

律子「はい。ここでは話しにくい事なので……少し歩きますがよろしいですか?」

P「あ、ああ……」

―――お洒落なカフェ―――

美希「あ、律子ー!」

律子「大きな声出さないの」

P「み、美希?」

美希「ハニーも来てくれたんだねっ」

P「話は美希と関係があるのか?」

律子「関係があるというか……」

美希「ミキがハニーに話があるの」

P「律子?」

律子「すみません。美希がどうしてもと」

美希「うん、ミキから律子……さんにお願いしたの」

P「どうしてまたそんなこと」

美希「ミキは仕事があって、仕事終わりのハニーとは会えなかったから」

P「なるほどな……それなら、逆に律子にも関係のある話なのか?」

美希「うん。律子にも関係のある話なの」

律子「美希の話だけだと、プロデューサー殿に分かりづらいところが出るかもしれませんので」

P「そっか。で、話の内容って……」

美希「ミキの……【最初のハニー】の話なの」

P「【最初のハニー】?」

美希「うん。ミキにとって、ハニーは【二人目のハニー】なの」

P「……すまん、どういうことだ?」

律子「美希にとっての、初恋の人について話したい、ということですね」

P「なるほどな……だが、それを俺に話す必要は……」

美希「あるの」

P「……美希?」

美希「ミキにとって、ハニーって呼んでる人は二人目なんだって」

美希「でも、ミキは【そこらの人】をハニー、なんて絶対呼ばないって」

美希「ミキがハニーを、ハニーって呼ぶ意味を、知ってほしいなって」

P「……美希にとって、【ハニー】という言葉は本当の本当に特別、ということか?」

美希「そういうことなの」

美希「だから、聞いて?」

美希「ミキが、初めて恋をして、初めて【ハニー】って呼んだ人の話―――」

―――とある小学校―――

美希「(……うるさいなぁ)」

美希「(授業中なのに、どこもかしこもギャアギャアうるさいの。ミキは眠いのに……)」

美希「あふぅ……」

A先生「おい、星井。授業中にアクビなんてするんじゃない」

美希「眠いのー……」

A先生「無視か……星井。P65の(1)の」

美希「72なの」

先生A「……正解だ」

美希「……zzz」

先生A「……チッ」

―――下校中―――

律子「み~き~!!」

美希「……なんなの?律子」

律子「あんた、また授業中寝てたらしいわね」

美希「だってつまんないの。あんなの」

律子「A先生怒ってたよ?」

美希「どうせ手なんて出せないの。テストで点取ってれば、あーゆー奴は何も言ってこないの」

律子「テストで点が取れればいいってモンじゃないでしょ?!全く……」クドクド

美希「(今日も面倒くさいの)」

美希「(律子は3学年上の幼馴染。説教好き。眼鏡)」

美希「(美希が自然発生の天才なら、律子は努力型の天才)」

美希「(二人合わせて天才幼馴染ズ、だっけ?語呂悪すぎなの)」

律子「聴いてるの?」

美希「聞いてないの」

律子「……怒るよ?」

美希「律子に怒られても、あんま怖くないの」

律子「っ、こんのぉ……」

美希「(でも、律子をからかうのは面白いな)」

美希「大体、あの先生のコト、ミキ大っ嫌いなの」

律子「なんでよ」

美希「問題答えさせるとき、ミキばっか選ぶし。かと思えば答えたら舌打ちするし」

美希「教師としてあるまじき態度なの」

美希「まぁ、暴力振るわれたらすぐに訴えてやるの」

律子「(こんな子がいると、先生も大変だなぁ……)」

律子「はぁ。しっかりしてるのはわかるけど、あんまクラスで孤立しちゃダメよ?」

美希「孤立しようが、友達をたくさん作ろうが、どうせ教室では寝てるし関係ないの」

律子「あんたね……」

美希「律子もあんまり、その説教グセ出すのやめたほうがいいと思うの」

律子「んなっ」

美希「じゃーね。律子」ダッ

律子「ま、待ちなさい!」ダッ

―――翌日―――

美希「(学校って、なんで毎日あるのかわからないの)」

美希「おはようなのー……ふわぁ……」

美希「うわぁ……一時間目からあの先生の授業なの」

美希「最悪……寝てよ」

美希「……zzz」

A先生「……また寝てやがるのか星井の野郎」

生徒1「せんせー。用って何?」

A先生「ん、ああ……お前ら、星井美希を知ってるな?」

生徒2「ああ。あのいつも寝てるやつ?」

A先生「ああそうだ。あいつをこの学校からやめさせたい」

生徒3「うっわ~www先生ひっどwww」

A先生「できるだけ深いトラウマを刻みつけて、だ」

生徒1「ふ~ん。それで?」

A先生「お前ら、この前この学校から一人やめさせただろ?」

生徒2「ああ、やったやった。面白かったよなぁ。気弱そうな女でさぁ」

生徒3「泣き顔www最高だったwww」

A先生「そのお前らの腕を見込んで頼みたい」

生徒1「あいつをやめさせるの?」

A先生「ああ。金なら払うぞ?」

生徒3「うっはwww本気www」

生徒2「僕らの安全は?」

A先生「当然保証する。まぁ、バレやしないさ」

生徒1「ほんと~?」

A先生「生徒一人のいじめを隠すのなんて簡単さ……あの女のを隠すのも、苦労したんだぞ?」

生徒2「え、あれ先生が隠してくれたの?」

生徒3「マジwww感謝www」

A先生「そういうわけでだ。やってくれるか?」

生徒1「とーぜん。やったね、欲しいゲームがあったんだぁ」

生徒2「あ、俺もそれ欲しくてさ~」

生徒3「みんなでwww対戦www」

A先生「(星井……仕事を辞めさせられた復讐はてめぇの子供にさせてもらうよ)」

―――翌日 玄関―――

美希「今日もまた学校なn」ガシャッ ジャララララ

美希「……画鋲?」

生徒4「いやー……いくらなんでも、普通あそこまでしないっしょ→」

美希「しかも靴だけじゃない……ロッカー一杯に……」

美希「これじゃ靴も取り出せないの。誰なの、こんな面倒なことしたの……」

美希「まぁいいや。先生呼べば」

―――教室―――

美希「(……)」

クラスメイト1「クスクス……」

クラスメイト2「ホシイッテサ―」

美希「(……居心地悪いの)」

美希「(こういう時は寝るに限るの)」

美希「……zzz」

生徒1「お、寝たか。じゃあ実行すっか」

生徒1「すまんな~。ちょっと通るぞ~」ガンッ バサバサ

美希「痛っ……」

生徒1「おっとwww机思いっきり蹴っちまった。大丈夫か?」

美希「……大丈夫」

生徒1「ごめんなwww教科書も机から出ちまったwww」

美希「自分で直すから平気なの」

生徒1「そういうわけにもいかねぇよ。俺が戻してやるよ」

生徒2「何やってんだよ。僕も戻すよ」

美希「(なんなのこいつら……)」

A先生「じゃあ……星井」

美希「zzz……」

A先生「おい星井。聞いてんのか」

美希「なんなの……」

A先生「P68の(3)だ。答えろ」

美希「んー……あれ」

美希「(……ミキの学年の教科書じゃない!?)」

美希「(おかしいの。ミキ、忘れ物は面倒だからしたことなかったのに……)」

美希「(教科書を間違えるなんて……)」

A先生「おいどうした星井。いつもみたいに答えてみろよ」

美希「っ」

美希「きょ、教科書忘れ、ました」

A先生「あん?なんだよ……はぁ。じゃあお前」

生徒1「は~い。30で~す」

美希「(! あ、あれはミキの教科書……)」

美希「(さっき……あの時に、すり替えられた?)」

A先生「正解だ。まぁ、星井も調子が悪かったのかなぁ」

美希「……」

―――授業終了―――

美希「ねぇ」

生徒1「ん?」

美希「それ、ミキの教科書なんだけど」

生徒1「え?……あっ、本当だwww」

美希「返してほしいな」

生徒1「すまんなwww俺も急いでたからあの時入れ替わっちまったのかもwww」

美希「そう。じゃあこれ返すね」

生徒1「うわwww学年まで間違えてるとか俺間抜け~www」

生徒3「マジwwwバロスwww」

美希「(……なんなのこいつら)」

―――放課後―――

美希「律子……遅いの」

生徒2「秋月ならこないよ」

美希「……誰?」

生徒1「忘れちゃったかなぁ~」

生徒3「記憶力www皆無www」

美希「何の用?」

生徒2「ん?いやぁ」

生徒1「この状況見てわかんないかなぁ?」

美希「……いじめたところで学校が黙っちゃいないの」

生徒2「ああ、俺たちの後ろ、先生がついてるから」

美希「……」

生徒1「だからお前が助けを求めても無駄だぜ?全部押しつぶすから」

生徒3「圧力www万歳www」

美希「……さいってー」

生徒2「言ってろよ」ガッ!

美希「っ」

生徒1「ストレス発散になるといいなぁ!」 ガゴッ

生徒3「天才とかwwwムカつくwww」 ガンッ

美希「……」

生徒1「……なんだよその目」

美希「……なんでもないの」 プイッ

生徒2「そういう優等生ぶってるとこがムカつくんだよぉ!!」 バキッ

ガッ ゴッ バキッ ガン! ゴン! ベキィ!

美希「……っ……」

生徒1「よーっし。今日はここまでにしとくかぁ?」

生徒2「そだねー」

生徒3「スッキリwww」

美希「……この程度でやめちゃうんだ」

生徒1「ああ、やめてやるよ。壊れたら困るしなぁ」

美希「別にミキが明日学校に来なければいいだけの話なの」

生徒2「ああ、来なかったら秋月律子?あの子壊すから

美希「っ!」

生徒3「即刻www反応www」

美希「あっ……」

生徒1「なんだかんだ言って、幼馴染はやっぱ大切だよなぁ?」

美希「……好きにすればいいの」

生徒2「好きにするさ。お前も学校来たくなければ来なくていいよ」 ツカツカ

生徒1「明日は何してやろっかなぁ~」 ツカツカ

生徒3「妄想www爆発www」 ツカツカ

美希「……最低」

美希「さいってー……なの……」

美希「痛っ……」

―――翌日―――

美希「……」

律子「美希っ!」

美希「っ!」

律子「昨日はどうしたの?急に一緒に帰れないなんて……美希?」

美希「な、なんでもないの」

律子「なんでもないわけないでしょ!?なによこの怪我!!」

美希「なんでも、なんでもないの。律子は関係ないの」

律子「ちょ、ちょっと見せなさいよ?ちゃんと消毒……」

美希「律子っ!!」

律子「」ビクッ

美希「……来ないで欲しいの」

律子「み、美希?」

美希「もう近づかないで欲しいの。ミキに話しかけないで欲しいの」

美希「……それじゃ」

律子「あ……」

―――更に翌日―――

美希「……っ」ボロッ

律子「み……」

美希「……」ギロッ

律子「っ」

美希「……」ダッ

律子「美希……」

―――その日の放課後―――

律子「(美希の様子……絶対おかしい)」

律子「(いじめ……よね)」

……!!

律子「?」

律子「(体育館……裏?)」

律子「(何やってるのかしら……)」

律子「っ!」

生徒1「おらっ!さっさと飲めよ!!」 バシャバシャ

美希「げほっ、ごほっ」

生徒2「あーあ。飲めなかった~。罰ゲ~ム」

生徒1「おらっ!!」 ガンッ

美希「っ!!」

律子「(や、野球ボールでお腹を……!)」

美希「か……はっ……」

生徒1「お?もう立てないか?」

生徒2「しょうがね~なぁ。それじゃあ律子ちゃん壊しに行こっか」

律子「(!!)」

美希「ま、待って……律子には……手を出さないで……」

生徒3「必死wwwバロスwww」

美希「……」 キッ

生徒1「おい、睨むんじゃねぇよ」 ドゴッ

美希「っ」

生徒2「はぁ。ってかお前、学校では傷隠せよな」 ガンッ

生徒1「バレたらどうすんだよ。まぁバレないけどさぁ」 グリッ

美希「あぐっ……」

律子「(美希っ……!!)」

生徒3「……ん?」

生徒1「どうした?」

生徒3「今、あそこに秋月がいたような……」

美希「っ!!」

律子「!!」

生徒2「ホントかぁ?ちょっと見てく」

美希「っ!!」ガブッ

生徒2「っ!ぐああああああ!!」

生徒1「こ、こいつっ。やりやがったなぁ!!」

生徒2「は、離せこの野郎っ!!」ゴシャッ

美希「……!……!」

律子「(に、逃げなきゃ。せ、せっかく美希がっ……!)」ダッ

美希「うぐっ」

生徒1「やっと離しやがったか。大丈夫か?」

生徒2「いってぇ……はぁ」

生徒3「調教www決定www」

生徒1「すぐ噛むような犬にはしっかり調教しないとなぁ。今日はもうやめようかと思ったんだが……」

美希「ふーっ、ふーっ」ギロッ

生徒2「……なぁ」

生徒1「ああ、壊すか」

美希「っ!」

生徒3「もうwww飽きたwww」

生徒1「よし、壊そう」

―――公園―――

律子「……っ!」

律子「(誰か!誰か呼ばないと!)」

律子「(誰かっ……!)」

―――「ホント、どこにあるんだよ……」

律子「!!」

―――「……ん?」

律子「あ、あの」

―――「おい、なんで泣いてんだ?」

律子「へ?」

―――「これは宝探しゲームなんてしてる場合じゃねぇな。全員集合だ」

律子「あ、あの」

―――「なんだよ」

律子「な、なんでそんなこと」

―――「女の子が泣いてんだぞ?非常事態だろうが」

律子「そ、それは」

―――「助けを、求めてんだろ?」

律子「!」

―――「やっぱそうか、一目見てわかったぜ」

律子「あ……あ……」

―――「俺たちに任せろ。なんとかしてやるよ」

律子「あ、あなたの名前は……」

―――「俺か?それとも俺らの名前か?」

律子「ど、どっちも……」

―――「そうだなぁ……強いて言うなら―――」

―――教室 3階―――

生徒1「よーっし。準備できたか?」

美希「っ!っ!」

生徒2「おっけー。ちゃんと縛ったし、口も塞いであるよ」

生徒1「まぁ、3階くらいからなら落としても平気だろ」

美希「……!!」

生徒3「自殺www未遂www」

生徒1「まぁ、自殺じゃないんだけどな」

生徒2「落としたあと、縄を解いて、口のガムテープはがすんだよね?」

生徒1「見つかったら大変だからなぁ。ま、この時間じゃ誰もいないよ」

美希「(嫌だ……嫌だ……)」

美希「(誰か……助けて……)」

生徒1「お?」

生徒2「こいつ泣いてるぞwww」

美希「っ」

生徒3「涙腺www崩壊www」

生徒1「やっと泣きやがったか。まぁ、やめないけどwww」

生徒2「なんだよwww泣き顔も可愛いじゃんwww」

美希「(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いっ!)」ゾワッ

美希「ふーっ」ギロッ

生徒2「なんだよその目」

生徒1「犬は犬らしくしてろよっ!」ガンッ

美希「……!」

生徒3「目標www沈黙www」

生徒1「やっとおとなしくなりやがったか」

生徒2「じゃー落とすぞー」

美希「(ヤダヤダヤダヤダ!!)」

美希「(助けてよぉ……誰か……)」

美希「(律子っ……!)」

生徒3「3www」

生徒2「2」

生徒1「1」

美希「っ!!」

生徒1「0っ!」

フワッ

美希「―――あ」


P「だらっしゃあああああああああ!!」ダッダッダッダッ


美希&生徒『?!』

P「間に合ええええええええええええええええ!!」ズザァァァァァ!!

ガシッ

P「とったああああああああ!でもいてええええええええ!!」ゴロゴロ

美希「?!?!」

生徒1「な、なんだよアレ」

生徒2「ちゅ、中学生か?」

生徒3「きょ、驚愕www至極www」

P「おいてめぇらこの野郎!!」

生徒1「な、なんだよ」

P「女の子を3階から両手縛って口塞いで窓から落とすとか、何考えてんだ!馬鹿か!!」

美希「(た、助かった……の?)」

P「てめぇら待ってろ!今からそっち行ってやる!!」

生徒1「や、やべぇんじゃね?」ダッ

生徒2「と、とりあえず逃げよう!」ダッ

生徒3「逃走www一番www」ダッ

P「あ、待てこの野郎!!」

美希「っ!っ!」

P「あ、この子が先だな」 ペリッ

美希「ぷはっ。え、えっと……?」

P「大丈夫か?怪我ないか?」

美希「だ、誰……?」

P「あ、ああ……確かにそっからか」

美希「そ、そうだ。アイツ等、追いかけないと……」

P「ん?ああ、心配しなくていいぞ」

P「俺、言い忘れててさ」

美希「え?」

P「今からそっちに行ってやる―――俺の仲間が、ってな」

生徒1「や、やべぇよ。どうしよう」

生徒2「大丈夫だって、逃げればあとは先生がどうにかしてくれるよ」

生徒3「権力www最高www」

ザッ

生徒1「な、なんだ?」

生徒2「お、女?」

真「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

生徒1「な、なぁ。気のせい?あの女、なんか後ろからスタンド出てね?」

生徒2「や、やっぱ男?」

生徒3「男www女www」

真「とりあえず―――、一辺頭冷やそっか」ゴゴゴゴゴゴゴ

ギャー!! ア・ダ・モ・ス・テーッ!! フタエノキワミアーッ!!

真強ぇwww

殺意の波動ww

P「あ、始まったか」

美希「な、なんなの……」

律子「美希っ!」ダキッ

美希「り、律子っ!」

律子「よかった……よかった……無事で……」グスグス

美希「律子……」

P「とりあえず落ち着くまでそうしてやんな。すっげぇ心配してたんだぞ?お前のこと」

美希「うん……」

生徒1「な、なんだよあれ……」ボロボロフラフラ

生徒2「ば、化物……」ボロボロフラフラ

生徒3「む、無駄無駄www」ボロボロフラフラ

千早「……」スッ

生徒1「ひっ」

生徒2「な、なんだよ。ただの女かよ……おどかすなっての」

生徒3「邪魔www」

千早「」スゥーッ

生徒1「な、なんだぁ?」

千早「――――――!!」キィーン!

生徒2「っがああああああああ!?み、耳がああああああああ!!」

生徒1「な、なんて声量してんだよ……!!」

ビリビリビリ ガシャン!!

生徒2「が、ガラスが割れ……」

生徒1「に、逃げるぞ!!」

生徒3「もう……嫌だぁ……」

P「相変わらずちーちゃんはすげぇな……」

美希「な、なんか凄い声がするの」

律子「っていうか、声なんですか……?これ」

P「声だ。それより、さっさと傷塞いだほうがいいな……ことりー」

小鳥「は~い……って凄い傷じゃない!こっち来て!」ガッ

美希「え、あ、う?」ズルズル

P「お前もついて行ってやんな」

律子「は、はい!」ダッ

P「さぁて。最後の仕上げ、かな」 プルルルル

P「あ、もしもし?」

千早すげえwww

生徒1「なんなんだよぉ、なんなんだよぉ……」ボロッ

生徒2「こんなはずじゃ……なかったのに……」ボロッ

生徒3「意気……消沈……」ボロッ

春香「ま、待ちなさい!」

生徒1「こ、今度はなんだよぉ」

生徒2「もうやだぁ……」

春香「えっ?えっ?な、なんで泣いてるんですか?」

生徒3「絶望……」

春香「よ、よくわかんないんですけど……えっと、あの……」スッ

生徒1「な。なにコレ」

春香「クッキーです。手作りの……とりあえず、これでも食べて落ち着いてください」

生徒2「え、えっと?」

春香「あの、私、闘うのとか得意じゃなくて……えっと、その……なんていうか」

春香「みんな、仲良く出来たらいいなって思うんです!」

生徒3「……天使」

生徒1「……天使だな」

生徒2「うめぇよぉ、うめぇよぉ……」ボロボロ

春香「ああ、こぼれちゃってますよ。おかわりならまだたくさんありますから……」

P「……これなら大丈夫そうだな」

P「さってと。で、A先生ってのはあんただよな」

A先生「な、なんだね君は。急に職員室に来たと思ったら私を呼び出して。私は君のことなど知らんぞ?」

P「いやぁ。だけど俺はあんたに用があんだよ」

A先生「……何なんだね、君は」

P「単刀直入に言う。もうやめろ」

         ∧_∧
        (・ω・ )   クッキーおいしい?
        (    ),,,,,

     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
    .∩∩     / /|
  /(    )__/ /  
 || ̄/  | ̄ ̄||/  
 ||, (___つ . ||  もうパッサパサ

A先生「何をだね」

P「これ以上、女の子を泣かせるなって言いたいの」

A先生「ほう、意味がわからないな」

P「残念ながら、あんたの部下なら、もううちの天使の使い魔になっちまったぜ」

A先生「天使……?」

P「まぁ、そこは置いといてだ。残念ながら部下はもう自供してるってことさ」

A先生「それが私にどう関係あると?」

P「まだしらばっくれるか。まぁ、いいけど」

P「すぐに分かんだぜ?状況証拠もあることだし」

A先生「状況証拠?」

P「ああ、ほらよ。聞けばいいじゃねぇか」ポイッ

A先生「ボイス……レコーダー?」

P「まぁ、聞いてみろって」

ザザーッ

『み、ミキに何をするの』

『べっつにぃ。ただ、A先生の命令でお前を辞めさせなくちゃいけなくてね』

『だぁかぁらぁ、ちょっと暴力でも振るおうと思ってね』

『暴力www賛成www』

A先生「なんだこれは」

P「まぁ、いいじゃねぇか」

A先生「……?」

『み、ミキは……ミキは……』

『やぁ、やってるかね』

A先生「!?」

P「それ、あんたの声だよな」

A先生「ちょ、ちょっと待て。私はこんな……」

P「こんな、なんだよ」

A先生「こんなミスを、犯すわけが」

P「ああ、ないよな」ピッ

A先生「!?」

P「二台目。少しは警戒したほうがいいぜ?」

A先生「な、な、な」

P「まぁ、今のは完全に自供だよなぁ。あ、ちなみにな」

P「それは確かに、あんたの声じゃねぇよ」

A先生「ど、ど、どういう」

P「いやぁ。この学校にさ、双海っていない?」

A先生「双海……あいつかっ?!」

P「俺、知り合いでね。あいつって、声真似得意だろ?」

P「ちょっと連絡して、即興でこれ作ってみた。いやぁ、ホントすげぇよなあいつ」

A先生「ふ。ふざけるなっ!!」

P「ふざけてねぇさ。で、これでお前も豚箱行きってことで」

A先生「ちゅ、中高生風情が調子に乗って……」

P「仮にも正義の味方名乗っててね」

A先生「正義の味方……だと」

P「そそ。これも活動の一環。【女の子を泣かしたやつを成敗する】っていうね」

A先生「ふざけるな、ふざけるなよ……」

A先生「私の……復讐劇がっ、ここで、終わるわけには……!」

P「あ、それもいただき」ピッ

A先生「は?」

P「これだけありゃ十分かなぁ。んー。もうちょっと必要か?」

A先生「おい、ちょっと待て。なんだ今のは」

P「え?二度あることは三度あるじゃん?」

A先生「」

P「ボイスレコーダーって、何個あっても便利だよなぁ」

A先生「くっそ、くっそおおおおおおお!!」

P「あ、何?逆ギレ?」

A先生「こ、このクソガキがああああああ!!」ブンッ

P「おー。こわ。大人の男の逆ギレほど怖いもんはないわぁ」ヒョイッ

A先生「うがああああああ」ブンッブンッ

P「あ、ちなみにここに小型カメラもあるんですよー」ヒョイッ ガサゴソ

A先生「なんで当たらねぇんだあああああああ!!」ブンッブンッ

P「いや、なんでってそりゃ」ヒョイッ

P「まこの相手してりゃ、嫌でも強くなるっての」ゴッ メシャッ!

A先生「」ドサッ

P「一件落着、になるのかな」

―――翌日 玄関―――

美希「……」ガチャ

美希「画鋲、ない」

美希「……本当に、いじめがなくなってる」

美希「それどころか……」

生徒1「春香様って天使だよな」

生徒2「もうむしろ女神だよ、女神」

生徒3「心が洗われていく……」

美希「アイツ等が登校してきてるのが気になるけど、噂とかも消えてるし、なによりAがいなくなってる……」

律子「美希っ!」

美希「あ……律子」

律子「大丈夫なの?もう」

美希「うん。大丈夫なの」

律子「そっか……」

美希「ねぇ、それにしても……あの人達はなんだったの?」

律子「私にもわかんないわよ。公園に行ったら、あの人達がいて……」

律子「【俺たちに任せろ】って」

美希「そっか。また会えるかな」

律子「お礼を言いたくても、名前も聞いてないものね」

律子「あ、でも、チーム名は名乗ってたっけ」

P「じゃあ改めて―――」

春香「私たちはっ!」

小鳥「誰かの笑顔を守る!」

真「正義の味方っ!」

千早「え、えっと……その名は」

「ライダーズ!」「エンジェルズ!」「ウイングガールズ!」「キュート&ラッキーズ!」「チームゴンザレス!」

五人『……』

「ライダーズ!」「エンジェルズ!」「ウイングガールズ!」「キュート&ラッキーズ!」「チームゴンザレス!」

P「なんでだよ!決めたじゃん!俺、決めたじゃん!」

春香「て、天使ですよ、天使!」

小鳥「こ、ここは最年長の私の名前をもじったチーム名をですね」

真「か、可愛いのがいいんじゃないかなっ!」

千早「ゴンザレス……くっ」

美希「見事にバラバラだったね」

律子「そうね……」クスッ

美希「笑っちゃ駄目なの。あの人達からしたら、真面目に……」クスッ

律子「だ、だけど……」クスクス

美希「ま、真面目にやってアレだもんね……」クスクス

律子「ま、とにかく変な集団ってことで」

美希「今日の放課後にでも、探しに行くの?」

律子「当たり前でしょ。お礼を言わなきゃ」

美希「そうだよね。ねぇ、律子」

律子「何?」

美希「ミキ、初めて夢中になれるものに出会えたかも」

律子「そうね。私も、勉強より面白いものを見つけたような気がするわ」

美希「勉強より面白いモノなんていくらでもあると思うな」

律子「同感」

美希「……ミキ達も、仲間になれるかな」

律子「たぶん……いえ、きっと、なれるわよ」

美希「そうだといいな」

美希「あ、それとね、律子」

律子「何?」

美希「ミキ、好きな人ができたんだ」

律子「……そう」

美希「うん。律子も作ったほうがいいよ?好きな人」

律子「余計なお世話」

美希「じゃあ、放課後にね」

律子「うん、またね」

美希「また、ね」

―――公園―――

P「ん、おー。お前らか」

律子「……何してんですか」

P「見てわかんない?野球」

ホームラン! マコ、スコシハテカゲンシテヨー! ンアー

美希「五人で野球なんて無理なの……」

P「まぁな。でもさ、無理なのと、やんないってのは違うだろ?」

律子「それはそうですけど……」

P「あ、そうだよ!メンバー足りないんだ!お前らも入れ入れ!」ガッ

律子「え、ちょ、ちょっと?!」

P「おーい!二人メンバー追加なー!!」

美希「ちょ、ちょっと待ってなの。ミキ、野球のルールなんて知らないの」

P「いいんだよ楽しけりゃルールなんか」

律子「横暴すぎませんか?!」

美希「……あはっ」

P「ほら、コイツも楽しそうにしてんじゃねぇか」

律子「み、美希?」

美希「そうだよね。楽しければ、ルールなんていらないよね」

P「わかってんじゃねぇか」

美希「そういえば、チーム名は決まったの?【ハニー】」

P「は?ハニー?」

美希「うん、ハニーはハニーなの」

P「まぁ呼び方なんてどうでもいいか。チーム名は昨日、五人で話し合って決めた」

律子「あ、決まったんですか。あの支離滅裂なチーム名がどうなったのかは気になりますね」

P「支離滅裂って……」

美希「あはっ、ミキも気になるな」

P「よっし。全員集合!」

春香「な、なんですか?」

千早「……」ゼェハァ

真「あ、昨日の子達だ」

小鳥「なんですか?P君」

P「いやぁ。こいつらがチーム名を聞きたいって言ってな」

春香「チーム名……ああ、昨日のアレですね!」

千早「……」ゼェハァ

小鳥「ちーちゃん、無理しないでいいからね?」

真「まぁ、結局Pのゴリ押しに終わったようなもんだけどね」

P「うっせぇなぁ。お前らも納得したじゃんか」

真「それもそうか」

P「そんじゃ行くぞ!」

春香「私たちはっ!」

小鳥「誰かの笑顔を守る!」

真「正義の味方っ!」

千早「え、えっと……その名は!」

―――現代―――

美希&P『765バスターズ!』

美希「……え?」

律子「ぷ、プロデューサー殿?」

P「……」

美希「な、なんでハニーがチーム名を知ってるの?」

P「気づいてるやつばっか、ってワケじゃないんだな」

美希「どういうことなの?」

律子「……まさか」

P「律子は気づいたか……まぁいいや。なぁ、美希」

美希「な、何?」

P「お前、春香や千早、あと真と……小鳥さん、あと俺。どっかで会ったことないか?」

美希「あ、会ったこと……ないと思うの」

律子「やっぱり、そうなんですね?」

P「ああ、そういうこと」

美希「な、なんなの?律子と二人だけで納得されても……」

P「……【はる】、【ちー】ちゃん、【まこ】、【ことり】」

P「あと……【りつ】」

律子「……」

美希「あ……」

P「……俺が、Pだよ」

美希「は、ハニーが……本当のハニー、なの?」

P「本当のハニーってなんだよ。なんか偽物がいるみたいだぞ?」

美希「じゃ、じゃあミキはハニーをハニーって呼んでいいの?」

P「いや、意味がわからないんだが」

美希「は、ハニーは……ハニー……なの?」

P「……ああ」

美希「ハニー……ハニー!!」ガシッ

P「うおっ?!」

律子「ちょ、ちょっと美希?!」

P「美希……」

美希「うわああああん!うわあああああああ!!ハニー!!ハニー!!」

律子「美希、店内!ここ店内だから!」

美希「うわああああああああん!!」

P「(警察呼ばれるかもな……)」

―――事務所までの帰り道―――

美希「~♪」ギュッ

P「美希、歩きづらい」

美希「そうなの?」ギュムギュム

P「あと、当たってる」

美希「当ててるなの」

P「あと……り、律子?」

律子「……」グスッ

P「後ろでスーツの裾握りながら涙目で歩いてくるのやめてくれないかな、俺が捨てたみたいになってる」

律子「……同じことしたようなもんじゃない」グスッ

P「ま、まぁ、そうなんだが……」

美希「ハニー、ハニー」

P「ん、何」チュッ

P「」

美希「えへへ、ハニ~」ギュッ

P「み、美希!」

美希「なんなの?」

P「あ、あのな。やっていいことと悪いことが」

美希「ミキを置いてった罰なの」

律子「……いいなぁ」

P「え?」

律子「な、なんでもないっ///」

美希「ん~♪」スリスリ

P「(周りからの視線が凄い、ヤバイ)」

美希「律子」ボソボソ

律子「なによ」ボソボソ

美希「キスしないの?」ボソボソ

律子「んなっ///」ボソボソ

美希「今は気分がいいから、ミキが許してあげるの」ボソボソ

律子「だ、だってキャラじゃない」ボソボソ

美希「諦めきれないんでしょ?だったらアタックするの!」ボソボソ

P「えっと。終わった?」

美希「うんっ」パッ

P「え?美希?」

美希「ミキは少しの間待機なの」

律子「え、えっと、P!」

P「な、なんだよ律子」

律子「……だけは」

P「え?」

律子「今だけは……【りつ】って……呼んで///」

P「……わ、わかった。【りつ】」

律子「~!///」

美希「律子!ファイトなの!」

律子「そ、それでね。P」

P「な、なんだよ」

律子「置いていった罰、私も与えようと思うんです」

P「お、おう……(何させられんだろ、やっぱ仕事かな)」

律子「な、なので少し、目を閉じててください」

P「こ、こうか?」

チュッ

P「は?」

律子「~!///」ダッダッダッダッ

P「え、何?何が起きたの?」

美希「もう、律子ったらほっぺにちゅーくらいで真っ赤になって走り去るなんて、どんだけウブなの」ギュッ

P「あ、やっぱりキスされたの?俺」

美希「ハニーは鈍感というか、自分で自分を誤魔化してる感じがするな」

P「いや、まぁ……そうしないと勘違いしそうだし」

美希「勘違いしてもらっていいんだけどなぁ……」ボソッ

P「何か言ったか?」

美希「ん~ん。じゃあ律子を追いかけるの!」

P「お、おう……」

美希「(ハニー、ハニー、ハニー)」

美希「(呼ぶたびに、話すたび、触れ合うたびに)」

美希「(ミキは、幸せなんだ)」

美希「(だから、これからもっと、ミキを幸せにしてね?)」

美希「(マイ、ハニー……)」

最後なんか急ぎ足になってしまって、申し訳ない。
さて、第四章を誰にするか安価 >>301

1 雪歩&あずさ
2 やよい&伊織
3 響

安価来なかったら後日のお楽しみ

3

2

言い忘れた
乙したー


えっと、どうします?再安価ですかね

すしたほうが…

再安価 >>306

下も上も2だし2でいいんじゃね?

こんどこそ…2

ごめんなさい
2で

えっと。では2のやよいおりで。
では、今日も読んで下さりありがとうございました。

すまなかった・・・

おっつ

いえいえwww大丈夫ですよ。安価ではよくあることですので。


テンポもいいし読んでて楽しい

ヒュー素晴らしい乙

誰とは言わないが、一人だけ全く触れられてない人がいるのが気になるな。偶然かそれとも…
とにかく乙です!

こんばんは。
ちょっと書ききれてないので、本日は前半のみになるかと思います、申し訳ない。

―――765プロ―――

やよい「……」

伊織「……」

P「……」

P「(まぁ、なんだ。この状況は)」

P「(いつも仲良くお話してるような伊織とやよいが睨み合っている)」

P「(俺を間に挟んで)」

やよい「……ふんっ、も、もう伊織ちゃんなんて知りません!」

伊織「っ」

事務所内『?!』

「あ、あのやよいちゃんが……」「高槻さんにそこまで言わせるなんて……」「や、やよいちゃん……?」

伊織「私だってうんざりよ!あんたなんて嫌いっ!」

やよい「っ」

「で、でこちゃんが……」「あそこまで嫌いって感情をはっきり出す伊織も珍しいぞー……」「あ、あらあら~……」

P「(そんな二人の間で仕事してる俺。誰か助けてください)」

P「(そういや、前にも同じようなヤツがいたなぁ)」

P「(伊織とやよいじゃないが、最初は犬猿の仲だった二人が)」

P「(まぁ実際は片方が嫌ってただけなんだが)」

やよい「……」ジッ

伊織「……」ギロッ

P「(それよりホントこれどうにかしてください)」

―――駅前―――

伊織「全く、やよいのやつ……」ブツブツ

P「おい、伊織」

伊織「確かにそろそろかな、とは思ってたけど……」ブツブツ

P「えっと、伊織さん」

伊織「それでも、あの言い方はないんじゃないかしら。まぁ、やよいにも悪気があったわけじゃないんだろうけど」ブツブツ

P「あのー、水瀬さんや」

伊織「なによ!」

P「なんで俺を外に連れ出してるんでしょうか」

伊織「もう仕事終わったんでしょ?だったらいいじゃない」

P「いやー。まだデスクワークが残っ「いいじゃない」……はい」

伊織「とりあえずこの辺に喫茶店ないかしら」

P「あー。ならこの前、美希と律子といった―――」

伊織「待ちなさい。あんた、美希と律子と喫茶店行ったの?」

P「え、ああ、まぁな」

伊織「ふーん……」グリグリ

P「あの、なんで俺の足を踏んでるんでしょう」

伊織「べっつにぃ」グリグリ

P「……」

―――お洒落な喫茶店―――

伊織「あら、案外いいところじゃない」

P「まぁ、美希はその辺のセンスはいいから」

伊織「……最近、やけに美希を褒めるわね。贔屓?」

P「そういうワケじゃないんだが……」

伊織「まぁいいわ。で、オススメは?」

P「んー。あん時は美希泣かせちゃってそれどころじゃなかったからなぁ」

伊織「アレ泣かせたって……あんた、何したの?」グリグリゴリゴリ

P「痛いです伊織さん、別に何もしてないんです、はい」

伊織「ふーん」グリグリゴキゴキ

P「ホントやめて。歩けなくなるから」

伊織「ふんっ」ゴキッ

P「アーッ!」

伊織「で、本題に入ろうと思うけど……」

P「……」チーン

伊織「……あれ、死んだ?」

P「生きてるわっ!」

伊織「あらそう。で、喧嘩の原因なんだけど―――」

P「少しは謝るくらいしてくれませんかねぇ?!」

伊織「え?ああ、ごめん。ちょっとそこの店員さーん」

P「まぁいいけどさ……あ、コーヒーで」

伊織「ダージリン」

ウェイトレス「かしこまりました」

P「で、喧嘩の原因って?」

伊織「これの事なんだけど」ガサゴソ

P「ん?それ、伊織がいつも持ってるウサギのぬいぐるみじゃないか」

伊織「そ。これかなり長く使っちゃってるから、もう結構ボロボロなのよね」

P「まぁ、確かに……ところどころ糸がほつれてるな」

伊織「それで、修繕しようとやよいに裁縫を教えてもらう事になったのよ」

P「なるほど、で?」

伊織「そしたらやよいが【新しいの買わないんですかー?】って」

P「ありゃ」

伊織「それでちょっとね。私もヒートアップしすぎたかなって、今でも反省してる」

P「ふーん。そんなに大事なんだなこのぬいぐるみ」

伊織「当たり前よ。大切な人にもらったんだもの」

P「へぇ、その大切な人ってのはアレか。父上様や兄上様か」

伊織「は?何言ってんのアンタ。馬鹿なの?」

P「え?」

伊織「えっ?ってなによ、えっ?って」

P「え、いや、だからさ」


伊織「それ、あんたとやよいからもらったヤツなんだけど……」


P「……はい?」

伊織「何?もしかして覚えてないの?」

P「え、おい。まさか」

伊織「……ああ。まぁ、そうね。普通こんな偶然起こりえないもんね」

P「……【いお】?」

伊織「そうよ」

P「いつから俺がPだって気づいてた?」

伊織「最初から。アンタと働き始めた時に、家の者に調べさせたら一発よ」

P「じゃ、じゃあもしかして」

伊織「やよいが【やよ】よ。ってかこっちは語感とかですぐわかんないかしら」

P「……」

伊織「……何よ」

P「じゃあもしかして春香とか、千早とかのことも……」


伊織「ええ、そうね。ちなみに亜美や雪歩やあずさもあんたと幼馴染よ」


P「なんというネタバレ?!」

伊織「いいじゃない。ってかあんたが忘れてたのが悪いんでしょ?」

伊織「(一人だけ、知らない子が出てきたけどその子もきっとコイツの知り合いなんでしょう)」

P「いやだって、名前なんてありふれてるもんで……」

伊織「面影でわからないもんかしら」

P「いや、俺、記憶があやふやでさ……」

伊織「ふーん……じゃあこのぬいぐるみのこと、やっぱわかんない?」

P「いんや、これは覚えてるよ、ってか思い出した」

P「確かそう、あの日だったよな」

―――5月4日―――

P「……なぁ、いお」

伊織「何?」

P「どうしても、仲良くできないのか?」

伊織「貧乏人は嫌いよ」

P「いや、お前から見たらみんなだって貧乏人だろうが」

伊織「そうじゃないの。見るからにあの子は違うってわかるじゃない」

P「そうかもしれないけど、でも」

伊織「嫌いったら嫌い。だからしばらくは私、ここ来ないから」ツカツカ

P「うーむ、困ったものだ」

春香「どうしたの?」

P「いや……いおがさ、やよの事嫌いって」

千早「まこ、今すぐいおを」

真「いや、やらないからね?」

美希「なんで嫌いなの?やよ、いい子だよ?」

千早「そうね。この世に舞い降りた天使だと思うわ」

律子「流石に言いすぎじゃない……?」

小鳥「まぁでも確かに、すっごくいい子よね」

P「そうじゃないんだ。いおがやよを嫌っている理由が【貧乏だから】なんだ」

美希「何それ酷い!差別だと思うな、差別!」

千早「まこ」

真「いやだからさ」

千早「今すぐ力仕事のバイトを」

真「うん、年的に無理だって気づこうね?」

やよい「うっうー!皆さん、何を話してるんですか?」

律子「あ……やよ……」

小鳥「やよちゃんには、関係のない―――」

P「いや、これは話しておいたほうがいいかもな……場合によっては、いおを除名することも考えなくちゃいけない」

小鳥「でも、この子には残酷過ぎませんか?」

P「仕方ないさ……やよ、話があるんだ」

やよい「い、いおちゃんが……わたしを」

P「ああ、そうなんだ。やよ的にはどう思う?」

やよい「私は……いおちゃんと仲良く、したいです」

P「だよなぁ。でも、そのためにはどうすればいいかなぁ……」

美希「単純にお金を稼ぐ、ってのは何か違うと思うな」

律子「まずそのお金を稼ぐのを誰がやるのよ」

千早「」ダッ

春香「ちーちゃん待って、超待って」

千早「離してはる、私はやらなくちゃいけないことができたの」

春香「何事にも限界はあるよ?!」

P「まぁとにかくだ。いおは何が気に食わないんだろうなぁ」

小鳥「まぁ、大体」ジッ

美希「そうだよねぇ」ジッ

律子「そうよね」ジッ

P「ん?なんで一斉に俺を見るんだ?」

春香「いおちゃんはきっと、P君がやよちゃんばっかり構ってるのが気に食わないんだよ!」

P「そうか?でもちゃんと見てないと、やよは危なっかしいからなぁ」

春香「わ、私も「お前は怪我しないから」……」

P「でも、そうだったとしても、それだけじゃないんだよな。きっと」

真「なんだろうね。【貧乏だから】って、漠然とした理由じゃなぁ」

千早「……もしかして」

P「なんか分かったか?ちーちゃん」

千早「はい、この前の休日、いおとやよと三人でお弁当を食べてたんですけど……」

―――3日前―――

やよい「うっうー!お弁当ですー!」

千早「(喜んでるやよちゃん可愛い)」

やよい「今日はですね、自分でお弁当作ってきたんです!」

千早「そうなの?(やよちゃんの手料理!)」

伊織「……」

やよい「じゃじゃーん!どうですか?」

千早「うん、よくできてると思う!(定番のおかずみたいだけど、色んなとこに食材を無駄にしてない努力が施されてるわ)」

やよい「じゃ、じゃあ、ちーちゃんさん」

千早「ちーちゃんでいいわよ(さん付けしちゃうやよちゃん可愛いいいいいいいい!!)」

やよい「約束通り、どうぞ!」

千早「卵焼き……だけど、これは海苔かしら?(やよちゃんの手料理hshs)」

やよい「いえ、大根の葉を混ぜて焼いてみたんです!食感を楽しめればなーって」

千早「そうなの?じゃあいただきます……」

千早「うん!すっごく美味しい!(やよちゃんの料理が不味いはずないんだけどね!)」

やよい「本当ですか?!よかったです!」

伊織「……みすぼらしい」ボソッ

千早「……?」

―――5月4日―――

千早「って、いおが言ってたんです」

P「そ、そうか」

千早「ところでPさんやみんなは何故私から距離を置いてるんでしょう?」

P「自覚ないのか……」

春香「時々、ちーちゃんって残念だよね……」

千早「なっ、何言ってるのはる」

真「いや、時々じゃなくてやよが絡んだ途端に残念だと思うよ……」

やよ「うー?」

千早「そんなことないわ」ダラダラ

美希「鼻血流しながら言っても説得力ないの」

P「だが、そうか。弁当を見て【みすぼらしい】……か」

P「もしかしたら、いおはやよのそういうところが嫌いなのかもな」

やよい「どういう事ですかー?」

P「うまく言いにくいんだが……やよが普通の人が捨てちゃうような食材で弁当を作ってるのを、貧乏臭いと思ったんだろうな」

やよい「うー……そうですか……」シュン

やよい「でも、そうしないと家計が……」

P「わかってる。どうにかして、いおのそんな偏見を変えられないかなぁ」

やよい「なら……いおちゃんに、私が料理を作ってあげるのはどうでしょう!」

P「ふむ」

やよい「それでいおちゃんが納得してくれるような料理が作れれば、仲良くできるかなーって」

P「確かにアリかもしれんな。だが本当に大丈夫なのか?アイツを納得させるなんて……」

やよい「大丈夫です!」

P「随分自信有りげだな……」

やよい「お母さんから教えてもらった、秘伝のレシピがあるんです!」

P「そっか。よしじゃあお前ら聞け!」

やよい「わぁ、だ、駄目ですPさん!」

P「え?なんで?」

やよい「私が作らないと……みんなの手を借りたら、いおちゃんは納得してくれないと思うんです」

P「……そうかもしれないが」

やよい「だから……でも、一人じゃ心細いので……その、Pさん」

P「なんだ?」

やよい「お買い物には……ついて来てくれると、嬉しいかなーって……」

P「料理だけなら大丈夫かもしれないが、買い物となると、もし棚の上に商品があったら手が届かないかもだからな」

やよい「うー!私、そんなにちっちゃくないですよー!」

P「そうだな、ちっちゃくないな」ナデナデ

やよい「あぅー……///」

千早「Pさん、そこ代わってください」

P「断る」

P「じゃあ俺は買い物だけついていく、それでいいな?」

やよい「はい!お願いします!」

春香「今回は私たちの出番はないかな?」

美希「せっかく楽しそうだったのに、残念なの」

律子「これはやよといおの問題だから……」

小鳥「首を突っ込んだら、野暮ってコト」

千早「やよちゃんの手料理、やよちゃんの手料理……」

真「ちーちゃん落ち着いて。……でもやっぱりPも、手料理とかが出来る女の子のがいいのかなぁ」

律子「」ガタッ!

美希「」ガタッ!

真「……ミキが出来なそうなのはなんとなくわかるけど、りつも?」

律子「し、仕方ないでしょ……レシピ通りやっても、うまくできないのよ」

小鳥「まぁまぁ、今度教えてあげるから……」

美希「ミキだってやればできると思うの。きっと」

春香「じゃあ、二人がいない日、料理教室でも開く?私も人並みには出来ると思うし……」

千早「はるが料理教室なんて開いたら、まず転んで材料が全部なくなると思う」

春香「なっ!失礼だよちーちゃん!」

春香「私だって人並みに料理くらいできますっ!」

小鳥「少し不安……」

春香「みんなして!」

真「料理、できた方が……いいんだろうなぁ、きっと」トオイメ

真「よーっし!じゃあ師匠、指南お願いします!」

全員『師匠?!』

今日はここまで。
本当に書きあがっていなくて申し訳ない……一日一章のつもりだったのに。
では、また後日続きを投稿したいと思います。

乙にゃん

おつ!

おつ

こんばんは。
SS板自体が落ちてんですかね?とりあえず、今日も更新いたします。

―――5月5日 水瀬家―――

伊織「……何よこれ」

SP1「はっ、伊織様のご学友とおっしゃる方からです……」

伊織「パーティーの招待状?舐めてるのかしら……しかも主催は、あのやよとかいう……」

SP1「いかがなさいますか?」

伊織「ねぇ、今やよがどこにいるかわかる?」

SP1「少々お待ちください……はい、補足いたしました」

伊織「じゃあカメラ持って追いかけて。で、ここに中継」

SP1「かしこまりました」

伊織「ふん……気に食わない。邪魔してやる」

SP1「では、こちらのモニターに」

伊織「……なんでPまでいるのかしら」

SP1「さ、さぁ……そこまでは」

伊織「まぁいいわ……じゃあ、これから順次私が命令するから、それに従って?」

SP1「かしこまりました、お嬢様」

―――公園―――

やよい「では、行きましょうPさん!」

P「おう!……ところで、何を作るつもりなんだ?」

やよい「それは、完成するまでの秘密ですー!」

P「まぁ、材料見てればわかる話か」

やよい「あ、確かに材料見てたらわかっちゃいますね……」

P「ま、大丈夫大丈夫。で、今日はいくら持ってきたんだ?」

やよい「300円です!」

P「お、お前……それ、お前にとっては結構なお金じゃあ」

やよい「確かに、3ヶ月分のお小遣いですけど……でも、いおちゃんに納得してもらうために、このくらいなら喜んで払います!」

P「やよ……」

やよい「うっうー!それじゃ、行きましょうPさん!」ギュッ

P「お、おう。だが手をつなぐ必要はないんじゃないか?」

やよい「え?迷子になっちゃったら困るじゃないですか」

P「まぁ確かに。やよはちっちゃいからなぁ」ナデナデ

やよい「あう~、ちっちゃくないですよぉ!」ピョンピョン

P「さ、行こっか」

やよい「納得行きません……私はおねーさんなのに……」

―――駅前―――

P「まずはどこに行くんだ?」

やよい「えっとですね、まずはホットケーキミックスを買いたいのですが……」

P「ふーむ。なんとなくやよの作りたいものがわかった気がするぞ?」

やよい「早いですよぉ!」

P「それなら普通にスーパーに売ってそうだが……量はどれくらい必要かな」

やよい「200gくらい、ですね」

P「スーパーで200gってあったかなぁ。見たことあるの、600g~400gだからなぁ……」

やよい「そんなにはいらないんですー……」

P「とりあえず、行ってみるだけ行ってみるか」

やよい「はい!行きましょう!」

―――水瀬家―――

伊織「……ホットケーキミックス?」

伊織「名前からしてホットケーキの素かなにかかしら……私にホットケーキでも作るっていうの?」

伊織「冗談じゃないわ……ねぇ」

SP1「はっ、なんでしょう」

伊織「彼女たちの近くにあるスーパーから、200g以下のホットケーキミックス買い占めて。全部」

SP1「かしこまりました」

伊織「あとそれと、300円以内の物も全部」

SP1「はい、仰せのままに」

伊織「さーて、どうすんのかしらねぇ……」

―――スーパー―――

P「……ない」

やよい「ないですねぇ……」

P「200g以下のもの、それに300円以下の物が軒並み買い占められてる……」

やよい「う、うっうー!き、きっともの好きな人がいたんですよ!」

P「そうだよな。まぁ、別のスーパーにも行ってみよう」

やよい「はい!……っ」

P「?どうかした?」

やよい「なんでもないですー!」

P「そっか。じゃあ次の店へ……」

―――2店目―――

P「……ない」

やよい「ないですねぇ」

―――3店目―――

P「……二度あることは?」

やよい「三度ありますー!」

P「ちなみに、仏の顔は?」

やよい「三度まで、ですー!」

―――4店目―――

P「さすがにこれは……」

やよい「うー……どこ行ってもないのです……」

P「絶対おかしい……どうしようかこれ……」

やよい「お金、足りません……」

P「俺が出すか……」

やよい「そ、それはダメです!」

P「な、なんでだよ」

やよい「これは、私からいおちゃんへのプレゼントなんです!だから、だから、ダメです!」

P「……わかった。だがどうするんだ、この状況……」

美希「なんでミキが買い物係なのかなー……」

P「あ、ミキ」

美希「あ、ハニーとやよなの!」

やよい「ミキさん、こんにちは!」

美希「ハニー達どうしたの?」

P「いや、見ての通りホットケーキミックスが軒並み売り切れててな……200g欲しいんだが……」

美希「ホントだね、200g以下、しかも300円以下の物も全部売り切れてる……」

やよい「200gより多いのは、全部、300円じゃ足りないのです……」

美希「それなら簡単なことなの!」

P「え?」

美希「ちょっと待ってて~」ヒョイバサッ

やよい「み、ミキさん?」

美希「店の外で待ってて欲しいの~」ツカツカ

P「と、とりあえずミキの言うとおりにしよう」

やよい「そうしましょう……」

―――店の外―――

美希「お待たせなの~」

P「で、どういうことだミキ?」

美希「こういうことなの」ビリッ

やよい「え、それさっき買ったばっかりのホットケーキミックス……」

美希「200g×3の、600gで450円のやつなの。で、この中から1袋を……あげる!なの!」スッ

P「いいのか?!」

美希「うん。余分に買ってあるし、これくらいならみんなも許してくれると思うの。なにより、ハニーとやよのためなの!」

やよい「……でも、やっぱり、私の料理ですから……私が買った材料じゃないと」

美希「それなら、今からミキはお店屋さんなの!」

美希「それで、これ1袋を100円で売ってあげるの!大サービスなの!」

やよい「あ……」

美希「さぁ、買うなら今しかないの!どうするの、やよ?」

やよい「買いますっ!これ、100円です!」

美希「毎度あり~!なの」

P「なぁ、ミキ」ボソボソ

美希「わかってるの、何かしらの理由をつけて今度やよに返すの」ボソボソ

P「ありがとな、ミキ」

美希「どういたしまして、なの!」

P「それじゃあまたな!」

やよい「ありがとうございます、ミキさん!」

美希「ハニーもやよも頑張るなの~!」

ええなぁほんわかするわい…

―――水瀬家―――

伊織「この際全部買い占めとけばよかったわ……失敗した」

SP1「どうされますか?」

伊織「今は待機。またそのうち命令するから」

SP1「ハッ」

伊織「(何よ。ミキのやつ、なんでアイツらの味方につくのよ)」

伊織「(ミキだって少なからず、やよをライバル視してるくせに)」

―――公園―――

やよい「次は……バナナが欲しいです!」

P「バナナかぁ。何本必要だ?」

やよい「1本あれば大丈夫ですー!」

P「了解、じゃあこの近くに八百屋さんなんてあったかな」

やよい「スーパーじゃダメなんですか?」

P「八百屋さんの方が比較的安く済むんだよ。それに運がよければバラ売りだってしてもらえる」

やよい「そうなんですかー!」

P「ちょっと待ってろ、今調べるから……」プルルルル

やよい「誰に電話してるんですかー?」

P「ああ、ちょっとな。もしもしことり?」

小鳥『何かな、P君』

P「いや、いつもの公園の近くに八百屋さんってあったっけ?」

小鳥『それならうちのお母さんの行きつけのところがあるよ!えっと、場所はね~』

―――水瀬家―――

伊織「次はバナナを必要としているようね」

SP1「そのようですね」

伊織「今回は八百屋がどうのこうの言ってたけど……この近くに八百屋は?」

SP1「二件ほど」

伊織「そう、じゃあそこのバナナを全部買い占めなさい」

SP1「了解」

伊織「次こそは邪魔してやるわ……」

SP1「お嬢様」

伊織「何かしら」

SP1「なぜ、そこまで彼女達を?」

伊織「……嫌いだからよ。決まってるじゃない」

SP1「……そうですか。ご質問、失礼いたしました」

伊織「……」

―――公園―――

P「よし、場所がわかった!行くぞやよ!」

やよい「はい!で、どこら辺にあるのですか?」

P「ここから結構近いらしいな」

やよい「そうなのですかー?」

P「ああ、なんでも普通の八百屋さんじゃないらしい」

やよい「ど、どんな八百屋さんなんですか?」

P「それが、産地直送……というか、簡単に言えば自分の家で果物を作っているらしい」

やよい「そ、そんなことできるんですか?!」

P「野菜は聞いたことあるが、果物は聞いたことない。だが、そのおかげかすっごく果物が安いんだそうだ」

やよい「うっうー!私、是非お話聞いてみたいですー!」

P「そっか。あ、じゃあしっかりついてこいよ?なんでも見た目は完全に普通の家らしいから」

やよい「はいー!……っ」ブルブル

P「どうした?」

やよい「い、いえ。ちょっと寒いかなーって」

P「そうか?やよは寒がりだからなぁ」

やよい「そうでもないと思うのですが……」

―――水瀬家―――

伊織「……ねぇ」

SP1「見た目は完全に一般住宅だったので見逃しておりました……申し訳ありません」

やよい『うっうー!バナナ、ゲットですー!』

P『よかったな、優しい人で。バラ売りまでしてくれて』

やよい『しかも、お野菜を育てるコツとかまで聞いちゃいました!』

P『そういえばやよはちっちゃいけど家庭菜園もしてるもんな』

やよい『はいー!だから、とってもタメになりましたー!』

伊織「……なんなのよ」

伊織「なんで、うまくいかないのよ……!」

SP1「お嬢様……」

伊織「次、失敗しないでね」

SP1「はい!かしこまりました!」

伊織「(それにしても……何を作るつもりなのかしら)」

伊織「(ホットケーキミックスにバナナって……ホットケーキにバナナでも埋め込むの?)」

―――公園―――

やよい「最後に、牛乳が欲しいですー!」

P「牛乳だったらどこでも売ってるな。で、残金は?」

やよい「100円と50円、あと1円が3枚ですー!」

P「それだけあれば十分だな。よし、行くか」

やよい「はいー!……あ、あれ」フラッ

P「……やよ?」

やよい「ふぇ?あ、ご、ごめんなさい!ちょっと転びそうになっちゃいましたー……」

P「そっか、気をつけるんだぞ」

やよい「分かりましたー!」

―――水瀬家―――

伊織「もうわかってるわね?」

SP1「はい。総動員で牛乳を買い占めております」

伊織「そ。じゃあこれで諦めてくれるかしら」

SP1「……お嬢様」

伊織「何?」

SP1「そこまでして、やよ様と仲良くするのは嫌なのですか?」

伊織「もういいわ。……正直に言うけど、嫌とかそういうんじゃないのよ」

伊織「でも、あんなのと付き合ったら、私、なんて言われるかしら。お父様やお兄様はどう思われるかしら」

SP1「……それは」

伊織「本当なら同じ仲間だもの。仲良くしたいわ。うん。一緒に遊びたい」

伊織「本当は嫌いだなんて思ったことなんてない。お弁当だって、いつも美味しそうだった」

伊織「でも、それじゃダメなの。【水瀬】は許してくれない」

伊織「だから、嫌われるしかないじゃない。【水瀬】を守るために」

SP1「……そうですか」

伊織「お兄様やお父様の顔に泥を塗るわけにはいかないの、わかる?」

SP1「お言葉ですが、お嬢様」

伊織「何?」

SP1「お嬢様は、【水瀬】なのですか?それとも、【伊織】なのですか?」

伊織「……質問の意味がわからないわ」

SP1「私は、【お嬢様】は【お嬢様】、【お父上様】は【お父上様】であると思います」

伊織「そうね。それが?」

SP1「ですから、お嬢様はお嬢様の道を選んでよろしいかと思います」

伊織「……っ」

SP1「家柄に縛られず、自分の好きに生きること―――」

伊織「下がりなさい」

SP1「ですが、お嬢様」

伊織「下がりなさい!新堂!」

新堂「……かしこまりました」バタン

伊織「……」

伊織「わかってるわよ……そんなのっ……!」

伊織「でも私は【水瀬】だから……【水瀬】伊織だから……」

―――スーパー―――

P「……次は牛乳が軒並みなくなってやがる」

やよい「う、う~……」

P「どういうことだ?なんか俺らの欲しいものばっかりなくなってないか?」

やよい「し、仕方ないと思います。私たちが来るのがが遅かったんです」

P「そうじゃないと思うんだが……」

P「(誰かが意図的に買い占めてる?だが、何のために?)」

P「……とりあえず、別の店に行こう」

やよい「はいー……」

P「(明らかにやよも疲れてきてるのがわかる。やよは最年少だから体力がないのも当たり前か……)」

SP2「……」コソコソ

P「……?」クルッ

やよい「どうかしましたかー?」

P「いや、誰かに見られてるような気がしてな……」

やよい「うー?」

SP2「……」コソコソ

―――水瀬家―――

伊織「あとひと押し、ってところかしらね」

新堂「……」

伊織「……ねぇ」

新堂「なんでございましょうか」

伊織「なんで、私は【水瀬】なのかな」

新堂「これはまた難しいご質問ですな」

伊織「私は、【伊織】でいちゃいけないのかな」

新堂「そんなことはないと思いますぞ」

伊織「どうして?」

新堂「お嬢様は、お嬢様だからでございます」

伊織「私が私であることが、私が【伊織】でいていい証明になるの?」

新堂「そうでございますな。言い方が悪いですが、【水瀬】は沢山いらっしゃいますが、【お嬢様】【伊織】はこの世にたった一人しかございません」

伊織「沢山いる……か。後でお父様に何か言われても知らないわよ?」

新堂「承知の上でございます」

伊織「……家柄って、なんて面倒なんでしょうね」

伊織「でも、一番面倒だったのは……私の、このいつまでも決心せずにウジウジしてた心ってワケか」

新堂「私にはお嬢様のお気持ちなどわかりません。私は【新堂】ですから。ですが言えることが一つ」

伊織「何かしら」

新堂「後悔だけは、しないでください」

伊織「……」

新堂「いつでも前を向き、自分が思ったことに正直になってください」

伊織「わかってるわよ」

新堂「もう一度お聞きします。お嬢様」

新堂「お嬢様は、【水瀬】ですか?【伊織】ですか?」

伊織「……私は―――」

SP2『お嬢様』

伊織「……何よ?」

SP2『高槻やよいが……』

伊織「やよが?」

SP2『道端で……倒れて……』

P『やよ?!しっかりしろ!!やよ!!』

伊織「?!」

―――公園までの道―――

P「大丈夫かやよ?!」

やよい「だ、大丈夫です~」ニコッ

P「(明らかに無理してんじゃねぇか……!)」

P「やよ、ちょっと触るぞ」

やよい「うー……?」

P「熱っ!す、凄い熱じゃないか!!なんで黙ってたんだ!!」

やよい「朝は……調子、よかったんです。本当ですよ……?でも、でも……」ウルウル

P「わ、わかった。わかったから落ち着いてくれ……」

P「(どうすりゃいい?!どうすればいいんだ?!)」

P「だ、誰か呼ばないと。そ、その前に救急車?!」

やよい「だ、ダメ……です」ムクッ

P「やよ?!」

やよい「まだ……料理……作って、ないです、から」

P「なに言ってんだよ!無理に決まってんだろそんな体で!!」

やよい「大丈夫、ですってば―――」フラッ

P「言わんこっちゃない!!」ガシッ

やよい「おかしい、ですねー……私は、料理、作らないと……」

P「別の日でもいいだろ?!材料なんてまた集められる!」

やよい「……めなんです」

P「え?」

やよい「今日、じゃないと……ダメ、なんです」

やよい「何が何でも、今日がいいんです。今日じゃないと、ダメなんです……!」フラフラ

P「何がそこまでお前を……!」

やよい「誰にでも、今日は平等に来ます……」フラフラ

やよい「でも、私にとっても、いおちゃんにとっても」フラフラ

やよい「でも今日という日は……二度と来ないかもしれない、一回しかない大切な―――」グラッ

P「やよ!!」

P「(間に合わない―――!)」


伊織「……馬鹿」ダキッ


やよい「ふぇ……いおちゃん……?」

やよい「う、うー?い、いおちゃん……」

新堂「かしこまりました。全身全霊、命をかけて高槻様を病院までお連れいたします」

伊織「頼んだわよ」

やよい「え、えっと……」

新堂「失礼。少し、目をつぶっていただいてよろしいでしょうか」

やよい「??……えっと、こうですか?」

新堂「はい。ありがとうございます。では」シュンッ!

P「……今の人、人間なのか?」

伊織「さぁ。詳しくは私も知らない」

P「それで、なんでお前がここにいるんだ?まぁ、もう多方予想がついてるけど」

伊織「……そう。ならその予想で当たりだと思うわ」

伊織「私が全部買い占めたの。そうすれば、諦めてくれると思ったから」

P「なぁ、なんでそこまでやよが嫌いなんだ?」

伊織「……アンタならわかるんじゃない?」

P「予想50%、希望50%でいいか?」

伊織「そうね。それくらいでちょうどいいと思うわ」

P「家柄、だろ。本当はやよと仲良くしたいけど、だけど無理して嫌ってる。貧乏なやよと仲良くしたら、それだけで家柄に傷がつくかもしれないから」

P「そして―――やよ自身にも、危害が加わるかもしれないから」

伊織「……ホント、アンタにはかなわないわね」

P「伊達にリーダーやってないさ」

伊織「【水瀬】っていう名の枷、ね」

伊織「家柄に傷をつけたくないのも本当。お父様やお兄様達を尊敬してるから、そんな人たちに迷惑をかけたくない」

伊織「でも、そんな人たちには、ちゃんと話せば納得してくれるでしょう」

伊織「だけど、【水瀬】の中には私が尊敬していない人もいる」

伊織「そういう人は、【やよ】という、いるだけで【水瀬】の名を、品を、汚していく存在自体が邪魔になる」

伊織「そうすると、やよ自体にその矛先が向きかねない」

伊織「例えアンタらが……ううん。私が一緒になって彼女を守ろうとしても、【水瀬】の力には勝てないでしょう」

伊織「だから、私は彼女と仲良くなるのをやめた……なーんて」

P「そうじゃないのか?」

伊織「そうじゃないわね。これは単なる逃げだもの」

P「逃げ?」

伊織「家柄だとか、そんなつまらないものに縛られた私の逃げ」

伊織「【水瀬】伊織としての言い訳ね」

伊織「私は水瀬【伊織】でありたいの」

伊織「だから、決めた。明日からはもう心配しないで」

P「心配なんかしないさ。そんな顔してる奴に」

伊織「にひひっ。どんな顔してるのかしら、私」

P「さぁな。でも一つだけ答えてやるよ。その顔は紛れもない―――」


P「お前自身の顔だからな」

―――水瀬家―――

伊織「失礼します」

伊織父「……」

伊織「本日はご報告に参りました」

伊織父「新堂から話は聞いている」

伊織「そうでしたか。では、単刀直入に申し上げますと「好きにしろ」……はい?」

伊織父「聞こえなかったのか?好きにしろ、と言ったんだ」

伊織「え、あ、その」

伊織父「なんだ、不服か?」

伊織「す、好きにしろと言われましても……」

伊織父「私は娘の友好関係にまで口を出そうとは思わないよ。自由にするといい」

伊織父「それに、私は彼女をみすぼらしいなんて思わない。立派で、輝かしいじゃないか。彼女は」

伊織「……見ていらしたのですか?」

伊織父「まぁ、な。お前が水瀬【伊織】として守りたい者に興味を持った」

伊織父「私も彼女を見るまで忘れていたよ。……伊織」

伊織「なん……ですか?」

伊織父「ここのところは全く言えてやってなかったな……改めて言うとなると少々恥ずかしいが」

伊織「?」


伊織父「……誕生日、おめでとう。伊織。私の自慢の娘よ」


伊織「あ……」

伊織父「本人が忘れていてどうするんだ……まぁ、いい。プレゼントも用意した。新堂」

新堂「はっ、ここに」

伊織父「例の物を伊織に」

新堂「かしこまりました。……こちらを」スッ

伊織「これは……遊園地のペアチケット?」

伊織父「……彼女と一緒に行ってきなさい」

伊織「……はいっ!」

伊織「それでは……失礼します」

伊織父「ああ、そうそう。伊織」

伊織「なんでしょうか」

伊織父「お前は【水瀬】じゃない。水瀬【伊織】だ」

伊織「……ありがとうございます!では、失礼します」

伊織父「……何に対しての礼なのやら」

新堂「お父上様は最初から、お嬢様を見てきましたからな」

伊織父「娘が成長してくれて、嬉しい限りだよ」

新堂「真に」

伊織父「それについて新堂……君にも礼を言おう」

新堂「はて、なんのことですかな」

伊織父「謙虚なのは美徳だがな、私も雇い主の【水瀬】ではない、一人の娘の父親として礼を言わせてくれ……ありがとう」

新堂「もったいないお言葉……それでお父上様。例の件ですが、調べ終わりました」

伊織父「そうか。何人くらいいた?」

新堂「ざっと見積もって20人程」

伊織父「多いなぁ。まぁ、野放しにしておいた私が悪いのだが」

伊織父「さて、私も父親としての仕事を始めようかね」

新堂「お供いたします」

伊織父「助かるよ。新堂」

伊織父「まずは娘とその友人に群がるハエを叩き落とさないと、な」

―――翌日―――

やよい「心配をおかけしましたー……」

P「いやいや、元気そうでなによりだよ」

やよい「うー……でも、5月6日になっちゃいました……」

P「別にいいじゃないか。一日遅れたくらい、友達なら許してくれるさ……なぁ、いお」

伊織「……いつから?」ガサガサ

P「最初。病院出た時から草陰に隠れて挙動不審にしてるヤツがいるかなーって」

やよい「あ、いおちゃん……」

伊織「やよ。……まずは謝らせて」

伊織「嫌いだなんて言ってごめんなさい。色々、酷い事言ってごめんなさい」

伊織「あなたの邪魔をしてごめんなさい。えっと、それからそれから―――」

P「長い」ピシッ

伊織「った……あにすんのよ!」

P「長いんだよ。いつからそんな回りくどいキャラになったんだお前は」

伊織「長いって……でも、全部謝らないと」

P「全部聞いてたら長すぎて途中で寝ちまうよ。なぁやよ?」

やよい「ふぇ?!そ、そんなことないですよっ!」

P「やよはこう言っているが俺は確実に飽きるな。ってか日が暮れる」

P「おら、さっさと言えよ。一言でいいじゃねぇか」ドン

伊織「うわっ、と。ちょっと押さないでよ!」

やよい「いお、ちゃん……」

伊織「うっ……え、えっと……その……」

やよい「私の方こそごめんなさい!」

伊織「え?」

やよい「私、結局間に合わなくて……一日遅れだけど、これ……」スッ

伊織「……ウサギの、ぬいぐるみ?」

やよい「私、お金全然持ってなくて……それで、寄せ集めの手作りになっちゃったんですけど……」

やよい「誕生日プレゼント、です。みすぼらしいかも、しれないですけど……」

伊織「そんなことないっ!」

やよい「い、いおちゃん?」

伊織「ありがと……大事にするっ!」ギュッ

P「(嬉しそうな顔しちゃってまぁ)」

伊織「え、えっとね。その代わりと言ってはなんだけど……」

やよい「?」

伊織「こ、ここに遊園地のペアチケットがあるの」

やよい「わぁー!すごいですね!」

伊織「よかったら、私と一緒に……行かない?」

やよい「……いいんですか?!」

伊織「うん。だって私たち……」


伊織「友達、でしょ?」

―――現在 喫茶店―――

P「で、なぜかあの後トリオチケットに変更になって俺も連れて行かれたんだよな」

伊織「いいじゃない。仲間は一人でも多い方が楽しいでしょ?」

P「ん?じゃあなんで春香とかは誘わなかったんだ?」

伊織「そ、それは……別にいいじゃない。察しなさいよ」

P「察しろって何をだよ」

伊織「……はぁ。ホント、アンタって変わってないわよね」

P「そうか?……最初からあんなに仲良かったのは、そのせいか」

伊織「ま、そうね」

伊織「やよいの方から気づいてくれたのよ。このぬいぐるみに。正直、すっごく嬉しかった」

P「……はぁ。なんでそういうことは素直に言えるのに、ごめんの一言が言えないかなぁ」

伊織「そ、それは……仕方ないでしょ。私だってぬいぐるみのこと貶されたみたいで頭にきちゃったんだもの……」

P「よし、謝りに行くぞ」ガタッ

伊織「え?!今から?!もう結構時間経ってるけど……」

P「あ、お金ここに置いときますねー」

伊織「聞きなさいよ!」

P「さ、行くぞ伊織。やよいならまだ事務所にいるよ」

伊織「アンタっていっつもそうよねぇ。走り出したら止まらないし」

P「まぁ、それが俺だからな」

伊織「(それがあんたのいいところでもあるんだろうけど……さ)」

―――765プロ―――

P「やよい!」バン!

やよい「ふ、ふぇ?どうかしました?プロデューサーさん……」

伊織「アンタ……足……速すぎ」ゼェハァ

やよい「と……伊織ちゃん」

伊織「や、やよい……」

P「他のみんなは?」

やよい「みんな先に帰ったり、仕事に行っちゃったりしました」

P「そっか……なぁ、伊織」

伊織「何よ」

P「似てるな。随分と」

伊織「そうね。すっごく、あの時と似てる」

やよい「伊織、ちゃん?」

P「ほら、行けよ」

伊織「わかってるから押さないでよ。もう」

伊織「……やよい」

やよい「……はい」

伊織「あの、その……ごめ「ごめんなさいっ!」……え?」

やよい「わ、私、その、ぬいぐるみのこと、悪く言っちゃったんですよね?だから伊織ちゃん、あんなに怒ったんですよね……」

伊織「え、えっと」

やよい「そうじゃなかったんです。そういうつもりじゃなかったんです!」

やよい「どうやって渡そうか、ずっと悩んでて……それで、つい、あんな言い方しちゃいました」

伊織「渡す?何を?」

やよい「これ、です」スッ

伊織「……ウサギの、ぬいぐるみ?」

やよい「はいー。アイドルを始めて、最近やっとお金も貯まってきたんです」

やよい「それで、改めて新しいのを作って……でも、どうやって渡そうかまでは、考えてなくて」

やよい「だ、だから、その、あんな言い方、を……とにかくごめんなさいっ!」ペコッ

伊織「……」

やよい「い、伊織ちゃん?」

P「……ほら、いお。お礼と、あと」

やよい「う、うー?な、なんでプロデューサーさんが、いおちゃんのあだ名……」

伊織「やよい……ううん、やよ」

伊織「私もごめんなさい。意地を貼りすぎたわ」

伊織「(あの時みたいに、ね)」

伊織「私も悪かったの。だから、こっちからもごめんなさい……」

やよい「いお、ちゃん……」

伊織「このぬいぐるみ、大事にする。凄い、嬉しい……でも、やよにもらったし、こっちも大事にしたいの」ガサゴソ

やよい「で、でも、もうそっちはボロボロで……」

伊織「だから、ね?やよ、改めて裁縫を、私に教えて?」

やよい「……うんっ!」

P「よかったな。やよ、いお」

やよい「はいっ!えへへ……」

伊織「アンタにはいっつも助けられてばっかりね」

P「俺もお前に助けてもらってるし、お互い様さ」

伊織「……助けた覚えなんてないけど」

P「そうじゃなくて、だな……」

P「まぁ、いいか」

伊織「ちょっと!気になるじゃない!」

やよい「うー!二人ばっかりお話しないでくださいー!」

P「やよいは可愛いなぁ」ナデナデ

やよい「あっ、ううぅ///」

P「(伊織を見るたびに、自信が湧いてくる)」

P「(やよいを見るたびに、心に元気が湧いてくる)」

P「(二人を見るたびに、まだまだ頑張ろうって気になれる)」

P「(なーんて。面と向かって言えるわけないだろうが)」

伊織「……いいなぁ」

P「ん?なんだ?お前も撫でて欲しいのか?」

伊織「……うん」

P「まぁ、そうだよな……って、え?」

伊織「撫でて、よ」

P「えっと、その……こうでいいか?」ナデナデ

伊織「にひひっ……///」

P「(でも、なんだろうな)」

P「(何かが、足りない気がするんだ)」

P「こんなに、満ち足りているのに)」

P「(まだ、何かが―――)」

ザザザーッ ザザザーッ ―――! ザザザーッ ザザザーッ

P「(……っ?)」

伊織「ね、一緒に帰りましょ、やよ」

やよい「うん!いおちゃん……あ、プロデューサーさんも一緒ですよ?」

P「(……今のは……)」

P「(まぁ、いいか。今は深く考えなくても)」

P「ああ、もちろん。今日はどうするんだ?」

伊織「私は歩いて帰りたいな」

やよい「私もですー!」

P「そっか。じゃあ歩いて帰るか」

ギュッ ギュッ

P「え、えっと?」

伊織「たまにはいいでしょ?にひひっ」

やよい「みんな手をつないで、仲良し、ですー!」

P「……そうだなっ」

P「(今は、ただ願おう)」

P「(この幸せな日々が、続きますように―――)」

お疲れ様でした。
さて、お次のおはなしです。

1.雪歩&あずさ
2.響

第五章安価 >>480

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ksk

2

では第五章は響、第六章は雪歩&あずささんで。
ではでは、また後日~


やよいはプロデューサーって呼ぶよ


名前が挙がっていない貴音が昔のPとどうからんでくるのか

追いつき支援
更新はよ

貴音、双子(名だけ出た)がいないな…まぁ期待

とりま乙
他に書いた作品あれば教えてほしいかなーって

こんばんは。
書き上げられてないので今日も途中までになります……すみませぬ。

―――765プロ―――

響「はいさーい!今帰ったぞー!」

P「おう、お帰り」

春香「響ちゃんおかえり~」

千早「お帰りなさい響」

美希「お帰りなの~!」

小鳥「お帰りなさい、響ちゃん」

響「ただいまだぞ!」

P「二日間の撮影お疲れ様」

響「自分の庭のようなものだし、全然平気だぞ!むしろ、楽しかったぞ!」

美希「ねぇねぇお土産はー?」

響「美希は真っ先にそれかー……まぁ、あるけどさ」ゴソゴソ

美希「さすが響なの!」

響「まぁな!自分、完璧だからな!」スッ

美希「こ、これは……!」

響「沖縄にしか売ってないおにぎり、【コンビーフハッシュ】【油みそ】【ジューシー】おにぎりのセットだぞ!」

美希「ジューシー?」

響「沖縄の炊き込みご飯のことだぞ」

美希「そうなの?まぁいいや、いただきますなの!」バリムシャー

P「美希、今日昼飯控えめだったのは……」

春香「たぶん、お土産期待してたんでしょうね……」

千早「ダイエットでも始めたのかと思ってびっくりしたわよ」

小鳥「(それでもおにぎりを5個平らげてたのは気のせいだったのかしら)」

響「プロデューサー達にもお土産あるぞ!」

P「さすが響、完璧だな」ナデナデ

響「えへへ……」

春香「(いいなぁ)」

千早「(私も完璧キャラで押してみようかしら)」

響「そういえば、みんなは?」

P「真はレッスン、竜宮小町は仕事、真美は……オフだから来てないみたいだな」

響「そっか。じゃあみんなにも後で渡しとかないとな」

春香「あ、そういえばPく……」

千早「春香っ」ボソボソ

春香「あっ」

響「……今、春香、プロデューサーのこと名前で呼ばなかったか?」

春香「気のせいじゃないかな のヮの」

響「……怪しい」

春香「のヮの;」

千早「それより響、今日はもうオフなの?」

響「え?あ、うん!そうだぞ!」

小鳥「だったら私たちもオフで暇してたところだから、一緒にお茶しない?」

P「小鳥さんと俺にオフなんてないようなもんだけどね」

響「んー。予定もないし、一緒するぞ!」

春香「あ、ありがと千早ちゃんに小鳥さん……」ボソボソ

千早「……高槻さんとPさんの写真で」ボソボソ

小鳥「私はPさんと律子さんのを」ボソボソ

春香「……わかりましたよ。後で送っておきますね」ボソボソ

響「何を話してるんだー?」

春香「なんでもないよ。あ、じゃあお菓子どうしよう……」

響「大丈夫!買ってきてあるぞ!……本当はみんな用だけど、まだあるし」ゴソゴソ

千早「【ちんすこう】に【紅芋タルト】、それに【サーターアンダギー】ね」

小鳥「定番どころね」

響「自分が今まで食べてきた中で、一番美味しいのを選んできたんだぞ!」

P「そうか。響のお墨付きなら、安心だな」

美希「むっ、お菓子の匂いがするの!」

響「もうアレ食べたのか……」

美希「響、とっても美味しかったの!特にあのジューシーってやつ!」

響「アレなら自分も作れるから、時どきなら作るぞ」

美希「ほんと?ありがとなの響~」ギュッ

響「す、少し苦しいぞ美希……」

春香「はいはい、美希ストップ」

美希「あ、ごめんなさいなの」

小鳥「とりあえず食べましょうか。お茶用意してきますけど、何がいいですか?」

イツモノ ワタシモデス コウチャガイイナ ワタシハフツウノデ ジブンモフツウノガイイゾ

小鳥「わかりました。じゃあ少し待っててくださいね」タッタッ

P「……」ジッ

響「どうしたの?プロデューサー」

P「いや。小鳥さんはいいお嫁さんになりそうだなって」

ガタタタッ!

美希「そ、それどういう意味なのハニー!」

春香「ちょ、ちょっと詳しく聞きたいです」

千早「やはり家庭的な女性の方がいいんですか?」

響「じ、自分だってお茶くらいいれられるぞ!」

P「な、なんだよ。急に」

P「そのまんまの意味だよ。小鳥さん、昔から面倒見よかったし、まぁ、趣味の事除けばかなり魅力的な女性だよなって」

美希「むむむ……予想外に褒めてるの」

春香「小鳥さんが一歩リードかぁ……」

千早「……料理を勉強してみようかしら」

響「……ねぇプロデューサー」

P「なんだ?」

響「昔って、いつごろだ?」

P「あ……」

春香「のヮの」

美希「自爆なの」

千早「もういいんじゃないかしら……でも、そうね。響に言わないでおきたい気持ちもわかるわ」

小鳥「お茶です~……ってなんですか?この空気」

響「ねぇ、ぴよ子。プロデューサーとは、昔から仲良かったのか?」

小鳥「え?ええ。仲がいいっていうか、幼馴染ね」

P「こ、小鳥さん」

小鳥「あ、もしかして響ちゃんには言ってなかったんですか?」

響「ふーん……幼馴染なのか」

小鳥「ちなみに、この事務所のほとんどの子がプロデューサーさんとは幼馴染よ?」

P「ちょっ、小鳥さん。それはまだみんなにも秘密の約束……」

春香「え?ほとんどって……まさか」

美希「とりあえずミキと律子は幼馴染なの」

千早「私と春香、あと真もそう……え、でもまだ結構残ってるわよ?」

小鳥「これも言ってなかったんですか?」

P「いや、余計にこんがらがるかと思ってな」

響「どういうこと?」

P「……やよいと伊織はほぼ確定、で伊織から聞いた話によると亜美と雪歩、あずささんも確定らしい」

春香「ほぼっていうか、全員じゃないですか……」

千早「……ん?真美が入ってない……」

P「たぶん亜美と一括りなんだろ。まぁ、そういう事なんだがな……」チラッ

響「なんだ?」

P「いや、これ言うと……響だけ、仲間はずれみたいでさ……」

美希「……そっか」

響「別に自分は気にしないぞー!……そんな事より、自分だけ出遅れてるぞ……」

小鳥「ま、まぁまぁ。湿っぽい話は終わりにして、みんなでお菓子でも食べましょう!」

響「そうだぞ!っていうか、プロデューサーの子供時代の話、聞いてみたいぞ!」

P「あんま恥ずかしいから言いたくないんだけどな……」

春香「じゃあ今日はいつも通りの呼び方でいいのかな……?P君」

響「ぶふっ」

小鳥「だ、大丈夫響ちゃん?!」

響「だ、大丈夫だぞ……そ、それより、いつも通りって……」

千早「私はPさんね」

美希「ハニーはハニーなの」

小鳥「一応私も、P君……かな」

響「そ、そうか、幼馴染属性ってこういうことなのか……なんかみんなずるいぞー!」

春香「ずるいって言われても……うーん」

P「……なぁ、俺もいつも通りの呼び方にしないとダメ?」

響&P以外「ダメ(ですね)」

P「……」

響「プロデューサーも何か特別な呼び方してるのか?」

P「……【はる】、【ちー】ちゃん、【ことり】、【ミキ】」

響「ち、ちーちゃん……」

千早「……な、何?」

響「【はる】……【ことり】……」

春香「私だよー」

小鳥「はい。何かしら?」

響「【ミキ】……はあんま変わってないか」

美希「違うの!イントネーションが違うの!」

響「うがー!やっぱずるいぞ!自分も何か特別な呼び方が欲しいぞー!」

P「うーん……とは言われても」

春香「これが幼馴染的特権……なんか、いい……」

千早「響が可哀想よ」

小鳥「いつになったら話が進むのかしら……」

―――数十分後―――

響「それでだな、そこの岬には伝説があって」

春香「へー!そうなんだ……私も行ってみたいなぁ」チラッ

千早「そうね。是非」チラッ

小鳥「わ、私も……」チラッ

美希「ハニー!一緒に行くの!」ガバッ

響「うがー!話を聞けー!」

P「(結局呼び方については保留、いつの間にか話題は沖縄の事になっていた)」

美希「他にはないの?響」

響「あるって言えばあるんだけど……他のみんなが来てからとか……それに、知ってる人も少ないし」

春香「他の人が知らないほどいいの!」ガタッ

千早「そうね。他の真とか雪歩とか律子さんとかあの辺に聞かれる前に早く」ガタッ

響「の、ノリノリだな二人共……まぁ、いいか」

響「これは、自分のお爺ちゃんから聞いた話なんだけど―――」

響「名前を、【恋島(くいじま)】っていう、離島があるんだ」

P「(……ん?)」

響「そこには、沖縄のアダムとイブ伝説、って言われる伝説があって」

響「物語はどこにでもありそうな話さー。けど、自分は気に入ってる」

P「(あれ、どこかで聞いたことある……)」

響「昔々、恋島に、一人の男の子と一人女の子がいました」

響「恋島にはその二人しかおらず、しかし、その二人はとても仲が悪かったそうだ」

響「そんなある日の事、その二人はいつもの通り離れて暮らしていた」

響「女の子は一人、釣り糸を垂らしていると……」

P「……鮫がかかった?」

響「そうだぞ。鮫が釣り糸の食いついたんだ」

響「……ってえ?」

美希「ハニー、知ってるの?」

P「いや、どこかで聞いたなって……どこだっけ」

響「この伝説は沖縄の、しかも結構特定の人しか知らない……はず」

P「……そっか。あの時か」

P「俺、沖縄行ったことあったんだ」

響「そ、そうなのか?」

春香「そういえば、昔、P君夏休み中一週間くらい沖縄に行ってたよね」

千早「そんな時もあったわね……」

美希「ミキ、そんな伝説よりもハニーの沖縄体験の方が気になるなっ」

響「そんなって……でも、自分も気になるぞ!」

春香「私も!」

千早「私はどちらでもいいけど……いえ、やっぱりPさんの方を」

小鳥「私もどちらかといえば、P君の方かな」

P「そんな面白い話じゃないと思うんだけど……じゃあ、話ぶった切っちまうが、いいか響?」

響「大丈夫だぞ!今度は自分が聞く側だな!」

P「じゃあまぁ……」

今日はここまで……響の話し方が安定しません。
ちなみに名前がまだ出てこない子達もちゃんと物語書きますよー。
では、今日もお疲れ様でした。

乙さー

乙だぞ!

おつー

スレタイでてっきりゴースト達をバスターする的なヤツと思い込んでた俺はいいおっさん

待ってる…

生存確認がてら、少しだけ更新しまする。
待っていてくださった方、申し訳ない。
名前はこれで行こうとこの前決めたので、この名前で。一応、>>1です。

お待たせしました。 では >>525 より続き。

―――沖縄―――

P父「夏だー!」

P母「海だー!」

P「……沖縄だー」

P父「どうしたP。テンションが低いぞ!沖縄だぞ沖縄!」

P母「一度来てみたいとは思ってたけど、まさかこんな形で叶うとはねぇ……」

P「なぁ、帰っていい?」

P父「お前、なんてことを」

P「だって俺的にはせっかくの夏休みだし、アイツらと遊びたいっていうか」

P母「一週間だけよ~。それに、もしかしたらこっちでも気の合う友達ができるかもしれないわよ~?」

P「……そうかなぁ」

P父「そうだとも。っていうか、せっかく一週間の宿泊券が当たったんだから、使わないと損だろう」

P「そりゃそうだけど。親子二人水入らずで過ごせば良かったじゃん」

P母「Pにも沖縄の自然を楽しんで欲しかったのよ~」

P「自然、ねぇ」

P父「見ろ!この青い海!青い空!」

P「青ばっかじゃねぇか」

P父「そして何より、この都会にはない静けさ!」

P「父さんが叫んでるせいで台無しだけどね」

P父「ほら、サーフィン行こうP!」

P「もう、引っ張るなよ。行く、行くから」

P母「パパってば子供みたいにはしゃいじゃって……」

P「あ、やっぱ止めてくれないのね。このバカップルめ」

P父「行くぞー!」

P「ああもう、どうにでもなーれ……」

P「ひどい目にあった……」

P「まさか、サーフィンをやってる最中にウミネコに突撃されるなんて……」

P「おかしいだろ。高度とか色々」

P「しかも両親は全く心配してくれないし。相変わらずのバカップルっぷりだし」

P「人がいないからって、息子の前でキスするのはやめてくれませんかねぇ」

P「思わず父さん達から離れちゃったけど……ここ、どこだろ」

P「あんま遠く行くとホテルに帰れなくなるから、どうにかして……」

???「……」

P「……ん?女の子?」

???「……」

P「何やってんだろ……何か探してる?」

???「……」フルフル

P「あ、なんか泣きそう」

???「……ぐすっ」

P「お、我慢した我慢した。えらいぞー!」

P「……うん、話しかけてみよう」

P「おーい。そこの女の子ー!」

???「!」ビクッ

P「怖くないよー。俺は可愛いのでー」ジリッジリッ

???「……」ビクビク

P「怖くないよー。一緒にはぴはぴしようよー」

???「……」ダッ!

P「あ、逃げた。一体なんだったんだ……ん?」

P「なんか砂浜に埋まってる……お。髪留め、かな」

P「もしかして、これ探してたのかな……だったら悪いことしたかも」

P「少し待ってれば戻ってくるかな?その時にまぁ、うん。謝ろう」

―――1時間後―――

P「……」

P「……暇だな」

―――3時間後―――

P「まーる書いて、フォイ」

P「砂浜に絵を描くのにも飽きたな……」

―――5時間後―――

P「……今日はもう来ないかな」

P「なんか無味な時間を過ごしたきがする。砂で五重の塔作っちまった」

P「……帰ろ、そうしよう」

P「五重の塔は……そのままでいいか」

期待していた皆様すみません。
今回はここまで。

ちょくちょく更新していくと思いますので、気長に付き合っていただけたらありがたいです。
あと、たまにモバマスのSSも書いてますので、見かけましたら暖かく見守ってください。

では、お疲れ様でした。


Pヘッドの家族想像してワロタ



続き待ってるよ 

続き待ってるさー


締めにメインヒロインでお姫ちんが来ると期待してる俺は貴音P

お父さんの頭はNでお母さんはOか

>>549
N・P・Oってかww

>>550
sage忘れた・・・

>P「怖くないよー。一緒にはぴはぴしようよー」
こえーよww絶対変なことされると思うだろこれwwwwww

確かに両手をグーパーしながらP「怖くないよー。一緒にはぴはぴしようよー」とか言われてるの想像したら怖かった…誰であろうと絶対近づかないなwwww

ちょっとだけ更新

―――翌日―――

???「……わぁ」キラキラ

???「なんか凄いのが建ってるぞ……」

???「なんだろう、これ……触っても、大丈夫かな?」

P「お」

???「あ……」ビクッ

P「すまん。昨日は驚かせちまったな」

???「う……」ササッ

P「(やっぱり警戒されてるなぁ。さて、どうするか)」

P「そうだ」ゴソゴソ

???「?」

P「これ探してたんだろ?」サッ

???「あ、自分の髪留め!」

P「お前が逃げたあとに見つけたんだ。ほら、返すよ」

???「う、うー……」

P「(近づいて取ろうとするけど……こっちに来ようとはしないな)」

P「わかった。じゃあ投げるから受け取れよ?」

???「わ、わかったぞ」コクコク

P「ほい」ポーイ

???「わわっ」キャッチ

P「俺はそれが返したかっただけだから。そんじゃ」

???「あ……ま、待つんだぞ」

P「なんだ?」

???「そ、その……ありがとう」

P「お礼なんかいらないよ。たまたま見つけただけだから」

???「お、お前。名前はなんていうんだ?」

P「俺?俺はP。お前は?」

???「じ、自分は……【ガナハ】って言うんだぞ」

P「ガナハ、か。かっこいい名前じゃないか」

ガナハ「うー。自分、女の子だぞ」

P「そうかそうか、ごめんな」

P「それじゃあな。ガナハ」

ガナハ「だ、だから!待つんだぞ!」

P「?」

ガナハ「その……これも、お前が作ったのか?」ユビサシ

ガナハ「ゴジューノトウ……見たことない建物だけど、あっちにあるのか?」

P「あっち?……ああ、そうそう。法隆寺っていうところにあるんだ。実物はもっともっと大きいぞー」

ガナハ「ホーリュージ……そうなのか。一度、見てみたいな……」

P「(ちょっと待てよ。確か……)」

P「なぁ、ガナハ。ちょっとここで待っててくれないか?」

ガナハ「え?ど、どうして?」

P「写真、あるかもしれない。五重塔の」

ガナハ「本当か?!見たい、見たいぞ!」

P「よし、じゃあちょっと待ってろ!」

P「(父さんのカメラの中にあるはず)」

―――数分後―――

P「おーいガナハー!」

ガナハ「待ちくたびれたぞ!早く見せてくれっ!」

P「わかったわかった。少し待ってろって」ピピピ

P「(それにしても……)」

ガナハ「わくわく!」キラキラ

P「(目を輝かせてまぁ。さっきまで警戒してたのが嘘みたいだ)」

P「んーと。あった!これだよ」

ガナハ「おおー!すっごい!すごいぞ!」

P「(一気に距離が近づいたな……意外とチョロい?)」




P「他にも色々あるが、見るか?」

ガナハ「うん!って、あ……」

P「どうし「ち、ちちち、近いぞー!」……」

ガナハ「い、いつの間に近づいたんだ?!全く気づかなかったぞ!」

P「(まぁ、お前から近づいてきたんだからな……)」

P「(近づいて取ろうとするけど……こっちに来ようとはしないな)」
そりゃあんなことすりゃちかよれないなwwww


響はチョロ可愛い

今ごろ響は真っ赤なってるはず

まだー?(´∀`)/∪⌒☆

>>569
sageようか

お久しぶりです。
やっと更新できます……本当は昨日から更新しようと思ってたのですが。
それでは次レスから投下再開します。

>>565より続き

ガナハ「ぐるるる……」

P「女の子はそんな声出しません」

ガナハ「そうか?自分の友達は結構やってるぞ?」

P「(ガナハの友達って……)」

ガナハ「うう……でも、写真は見たいぞー……」

P「……仕方ねぇな。ほら」スッ

ガナハ「え?くれるのか?」

P「やらねぇよ。俺が近くにいるから見れないんなら、お前だけで自由に見てろ」

ガナハ「い、いいのか?!」

P「ちゃんと返せよ?」

ガナハ「もちろんだぞ!あ、でも操作は……」

P「ここ押せば次の写真、で、こっち押すと前の写真に戻るから」

ガナハ「わかったぞ!なんだお前、いい奴だな!」

P「(チョロい……)」

ガナハ「はぁぁ……」キラキラキラキラ

P「(凄いキラキラした目で東京タワーの写真見てるな……やっぱこっちでは珍しいのかな)」

ガナハ「……」チラッ

P「ん?」

ガナハ「な、なんでもないぞ!」

P「そうかい」

ガナハ「……」チラッチラッ

P「(なんだろうか)」

ガナハ「う、うー……」ナミダメ

P「(なぜ涙目。可愛いけど)」

ガナハ「そ、その!」

P「なんだ?」

ガナハ「こ、これ!なんていうんだ?!」

P「え?どれ?」スッ

ガナハ「う、うわっ!近づくなっ!こ、この赤い寺みたいなやつだ!」

P「遠くからでよーわからんけど……ああ、日光東照宮か」

ガナハ「に、にっこ……?」

P「日光東照宮、な。栃木県にあるんだ」

ガナハ「栃木県ってどこだぞ……自分、東京しかわからないぞ」

P「栃木は……東京の二個上、かな」

ガナハ「よくわかんないぞ……」

P「わかった。明日は日本地図持ってきて、それで説明してやるよ」

ガナハ「本当かっ!?……ハッ じゃなかった!か、勝手にしろ!」

P「勝手にするよ」

ガナハ「そ、そうか……えへへ」

P「(なんだかんだで可愛いよな……コイツ)」

―――数時間後―――

ガナハ「……うあ?!もうこんな時間だぞっ?!」

P「そういえば結構暗くなってきてるな」

ガナハ「ううー!夕飯に遅れるぞー!」

P「ははは、門限厳しいのか?」

ガナハ「み、みんなで一緒に食べることにしてるんだっ」

P「そうか。まぁ、明日もまたここに来るからさ」

ガナハ「ホントk……勝手にしろ!」

P「お前、それしか言ってないな」

ガナハ「う、うるさいぞー!」

P「じゃあ、またな。ガナハ」

ガナハ「う、うん……P」タッ

P「……ははは」

P「沖縄……楽しくないとか言ってた前の自分を殴りたいな」

P「面白いヤツがいるじゃねぇか……あいつらに負けないくらい」

―――次の日―――

P「よっ」

ガナハ「や、やっぱ来たのか」

P「お前こそ」

ガナハ「……?なんだそのポスターみたいなの」

P「日本地図。持ってきてやるって言っただろ?」

ガナハ「そんなことも……言ってたな」

P「約束は守る主義なんだ。じゃあ、ほらカメラ。別のメモリーもあるから、見終わったら言ってくれ」スッ

ガナハ「あ、ありがと……」

ガナハ「……その、さ」

P「ん?」

ガナハ「Pは、暇じゃないのか?」

P「いんや。結構楽しいぞ?」

ガナハ「説明してるだけなのに?」

P「そりゃ、ガナハを見てると飽きないからな」

ガナハ「ど、どういう意味だー!」

P「はははっ」

ガナハ「……いいぞ」

P「え?」

ガナハ「い、一緒に見てやっても……いいぞ。説明だけじゃつまらないだろ?」

P「……なんだよ。淋しいのか?」

ガナハ「そ、そういうわけじゃないぞー!じ、自分がせっかく……」

P「なら、遠慮しないでっと」ストッ

ガナハ「うがー!いきなり隣に座るなー!」ガスッ

P「いてっ!?隣に座らないと一緒に見れないだろ?!」

ガナハ「そ、それはそうだけど……けど……うー///」

P「ほら、じゃあ何から教えて欲しいんだよ」

ガナハ「ま、待つんだぞ。まだカメラの電源入れてもないぞ」

P「ったく。ほら、貸せって」

ガナハ「あ……」

P「これでよし、と」

ガナハ「……にぃに……」ボソッ

P「え?何か言った?」

ガナハ「な、何も言ってないぞー!」

P「そうか……」

P「(にぃに……?)」

ガナハ「そ、それよりこれ!こ、この道に山になってる白いのはなんだ?!」

P「お前、雪見たことないのか?」

ガナハ「ゆ、き?」

P「そうだ。沖縄では降ることはないかな……天気の一個だよ」

ガナハ「へぇ……って、こんなのが降ってくるのか?!潰されるぞ?!」

P「んな訳ねぇだろ。こう、白い粒みたいなのが沢山降ってくるんだよ」

ガナハ「……綺麗、なのか?」

P「綺麗だよ。お前も大人になったら見る事があるさ」

ガナハ「……にぃにも、見たことがあるのかな……」

P「(また、にぃに……多分、お兄さんのことだろうな)」

ガナハ「っ。んーじゃ、こっちはなんだ?」

P「ああ、これは―――」

P「(なんでだろう)」

P「(にぃに、と呟いた時のガナハの顔は)」

P「(とても、寂しそうだった)」

―――数分後―――

ガナハ「気になったんだけど」

P「なんだ?」

ガナハ「なんでこんなに写真を一杯撮ってるんだ?」

P「うーん。父さんの仕事がそういうのだからな」

ガナハ「何をやってんるんだ?」

P「アイドルのプロデューサー、だって」

ガナハ「あい、どる?」

P「おう。なんでも、キラキラしてて誰もを魅了できるような、そんな完璧なアイドルのプロデューサーをしたいんだそうだ」

ガナハ「キラキラ……完璧……」

P「で、その仕事先や出張先で色んな写真撮ってくるのが父さんの趣味らしい」

ガナハ「それでこんなに沢山色んなとこの写真を?」

P「そゆこと……そうだ。ガナハの事も教えてくれよ」

ガナハ「自分のこと?」

P「そそ。例えば……沖縄の言葉っていうの?使ってないじゃん?」

ガナハ「それは、Pが東京から来たって聞いたからだぞ」

P「そうなのか?でも、標準語なんてよく知ってたな」

ガナハ「そ、それは……」

ガナハ「……にぃにに、教えてもらったから」

P「(まただ。また、寂しそうな顔)」

ガナハ「にぃにと電話してると、自然に覚えちゃうんだぞ」

P「にぃにって、さっきも言ってた」

ガナハ「うがー!聞いてたのか!この!ヘンタイ!」

P「そういう言葉は女の子が使っちゃいけません!」

ガナハ「……にぃにはね、東京にいるんだ」

P「上京、ってやつか?」

ガナハ「よくわかんないけど……お仕事するために、東京に行くって」

ガナハ「それで時々電話するんだ。その時に、色んな言葉教えてもらって」

ガナハ「もうかれこれ……二~三年くらい、東京にいるのかな」

P「……そっか。変なこと聞いちゃったか?」


ガナハ「ははっ。大丈夫だぞ。自分、そういうこと気にしないから」

P「そっか」

P「(じゃあ、なんで)」

P「(そんな寂しそうな顔、してるんだ……?)」

ガナハ「さ!質問は終わりさー!ほら、次はこれを教えるんだぞ!」グイッ

P「わかったから引っ張るなって!」

P「(もうあまり、この事には触れないようにしよう)」

―――二時間後―――

ガナハ「お、これで終わりか?」

P「ん、メモリーが切れたか。大丈夫、まだあるから」

ガナハ「あー。えーっと……」

P「ん?どうした?」

ガナハ「その、もう、いい」

P「えっ……そ、そうか。つまんなかったか……」

ガナハ「ち。違うぞっ!」

P「え?」

ガナハ「そ、そうじゃなくて……今度は、自分が話をしてやるぞ」

P「話って……」

ガナハ「こ、この沖縄に伝わる……伝説、とか?」

P「なんで疑問形なんだよ」

ガナハ「うがー!うるさいぞ!聞くのか、聞かないのか!」

P「(これは……ガナハなりの気遣い、なのか?)

P「……よし、聞いてやろうじゃないか!」

ガナハ「なんだその大きな態度!」

P「ほらほら、俺を満足させてみろよ!」

ガナハ「な、なんかそんな事言われるとちょっと話しにくいぞ……」

P「ふふふ。並大抵の話で俺を満足させられると思うなよ?」

ガナハ「わかったぞ。じゃあ、ここよりもう少し先にある、【恋島】っていうとこの伝説なんだけど―――」

―――数分後―――

P「そ、それでっ?!続きはどうなったんだ?!」ズイッ

ガナハ「く、食いつきすぎだぞ!あと近い!」

P「お、おっとすまない。冷静になれ……俺……ふぅ」

ガナハ「何が、【並大抵の話で俺を満足させられると思うなよ?】なんだぞ……」

P「いやだって面白いじゃん。その話。めっちゃ」

ガナハ「そうなのか?」

P「ああ、東京には絶対にない話だし」

P「何よりロマンチックだ!」

ガナハ「ロマンチックって……女々しいぞ……」

P「別にいいだろ。ロマンチックに憧れる男がいたって」

ガナハ「全く……ふふっ」

P「なんだよ」

ガナハ「いや、Pってば自分より年上なのに、こういう時だけ子供っぽいというか……」

P「悪かったな。伝承とか、物語とか大好きなんだよ」

ガナハ「そうなのかー……変なヤツ」

P「お前に言われたくない」

ガナハ「どういう意味だー!」

P「ああもう!そんな事はどうでもいい!早く続きを!」

ガナハ「うーん、どうしようかなー」ニヤニヤ

P「なんだよその顔」

ガナハ「じゃあ続きは明日にしようかなー」

P「明日……わかった。じゃあ俺も明日は父さんのとっておきのメモリー持ってきてやるよ!」

ガナハ「約束だぞっ!」

P「おう!」

それから。

俺とガナハは毎日、あの海岸に集まって話をした。

俺からは東京の話。ガナハからは沖縄の伝説。

お互いにお互いが、次の日にこの場所に来たくなるように。

さながら、俺の大好きな千夜一夜物語のように―――

だけど、あの日。俺が帰る日の二日前。

ガナハは、海岸には来なかった。

―――その日の夜のホテル―――

P「……」

P父「どうしたそんなしょげた顔して」

P「……別に」

P父「反抗期かぁ?父さん、悲しいぞー」

P「……」

P父「あちゃー。こりゃ重症だぁ」

P母「まぁまぁ、放っておいてあげましょうよ」

すまん、ちょいと電話きたから少しの間だけ更新停止

再開 思いっきり急いで電話切ってきたから友達に不審がられている事だろう……

P「(せっかく)」

P「(お前が見たがってた、上野動物園の写真、やっと見つけたのに)」

P「(なんで、今日に限って……来てくれねぇんだよ……)」

P父「その、なんだ……」

P「何」

P父「……いや、なんでもない」

P「そっか」

P父「それじゃあ、父さんは風呂に入ってくるから」ガチャ

P「行ってらっしゃい」

P母「……いいんですか?」

P父「何がだい?」

P母「明日の事……言わなくって」

P父「大丈夫さ。なんてったって、あいつは僕の自慢の息子だぞ?」

P母「……ショック、受けなければいいんですけど。明日、台風が直撃するだなんて」

P父「……僕が心配してるのはそっちじゃないんだけどなぁ」

P母「はい?」

P父「いんや。なんでもないよ」

P母「むぅ、教えてくれたっていいじゃないですか」

P父「いやいや。きっと僕の気のせいだ」

P母「むー」

P父「そんな顔しないでくれ。可愛い顔が台無しだ」

P母「もう、パパったら……///」

P「あの、部屋の前でイチャつかないでもらえますかね……」

―――次の日―――

P「……なんだこれ」

P「大雨じゃないか……しかも、数メートル先も見えないほどの……」

P母「おはよう。P」

P「これ、どういうこと?」

P母「台風が直撃したらしいわよー……今日の夜には止むらしいけどー……」

P「……っ」

P「なんでだよ……」

P母「P?」

P「……なんでもない」ガチャ

P母「大丈夫かしら……あの子……」

―――ゲームセンター―――

P父「やぁ」

P「……父さん?」

P父「ちょうどいいところに来た。一緒に卓球でもしないかい?」

P「卓球なんて……そんな」

P父「そんな気分じゃないって?いいじゃないか。父さんも雨が降ってて暇なんだ」

P「……わかったよ。ちょっとだけだからな」

P父「そうこなくっちゃ。そーれ、いくぞー」カコッ

P「うおっ?!」

P父「ふふふ、父さん一点獲得だ」

P「……いい度胸じゃねぇか」

P父「Pもまだまd」カコン

P父「……は?」

P「一点入った。ほら、同点だ」

P父「……面白いじゃないか。さすが我が息子。父さんも本気を出さないとかな」

P「あんま無理すんなよ父さん」

P父「誰にモノを言っているんだい?父さんはアイドルのプロデューサーだぞ?」

P「それが?」

P父「世の中にはね」

P父「……180cmを軽く超えているアイドルも、元婦警のアイドルも、軽く人間辞めてるアイドルもいるんだよっ」ガコンッ!

P「っ」スカッ

P父「ちなみに今の発言は別の世界線にいるアイドルとは関係がないからね」

P「何を誰に説明してんだよ」

P父「言っておかないと色々勘違いされるかもじゃないか」

P「何をだよ」

P父「とにかく、父さんもまだまだ現役だってことだ」

P父「さぁ、お前の熱きパトスを俺にぶつけヘブゥ!」カーン

P「ほら、同点だ」

P父「いやいや!顔面に当てるのは無しだろう?!」

P「だって父さんだし」

P父「何その根拠?!」

P「大体、最初に不意打ちしてきたのh」カコーン

P父「……」

P「……」

P「いい度胸じゃねぇかクソオヤジぃいいいい!!!」

P父「ふははははははは!!父さんに勝てると思うなよぉおおおおおお!!!」

P「なんだって今日に限ってこんなこと誘ってきたんだよ!」ガコッ!

P父「当然、お前の元気がなかったからだ!」ガコッ!

P「なんでそんな事気にすんだよ!」ガコッ!

P父「息子の心配をするのは父さんの義務だからなっ!」ガコッ!

P「なーにが義務だお節介!!」ガコッ

P父「お節介結構!そしてお前」


P父「あの女の子に、昨日会えたのか?」

P「っ?!」カコーン

P父「ふふ、父さんの勝ちだな」

P「……なんで、父さんがそんな事知ってんだよ」

P父「そりゃ、可愛い女の子は逃さないさ」

P「言い方だけ聞くと犯罪的だな」

P父「いいのか?」

P「何が?」

P父「行かなくって」

P「……雨、降ってるし。どうせいないよ」

P父「決め付けていいのか?」

P「……」

P父「お前はそれでいいのか?」

P「……父さんに何がわかるんだよ」

P父「わかるさ。お前の父さんだからな」

P父「きっとお前も、俺の血を継いでるんだよ」

P父「可愛い女の子は放っておけないっていう、血がな」

P「それじゃただのナンパ野郎じゃねぇか」

P父「スカウトなんてナンパみたいなものさ」

P「……父さん、ごめん。出かけてくる」

P父「ほら、傘」

P「……最初からわかってたのか?」

P父「だから何度言わせるんだ。父さんはお前の父さんだぞ?」

P「……ありがと、父さん」

P父「お前の感謝なんていつぶりに聞いただろうなぁ」

P「るっせ」

P父「早く行ってやらないと、ずぶ濡れになってるかもだぞ?」

P「わかってるよ」ダッ

P父「……さて、止めないのかい?」

P母「もう諦めました。そもそも、あんだけ焚きつけたんなら私でも止められません」

P父「わかってるじゃないか」

P母「あなたの妻ですからね」

P父「じゃあ、見守ろうじゃないか」

P母「そうですね。私達にできることは……」

P父「体を拭くためのタオルでも、用意することさ」

P母「はい、わかりました」クスクス

P父「子供っていうのはいいねぇ」

P母「何を言ってるんですか。あなたも随分と楽しそうにしてましたよ?」

P父「僕もまだまだ子供ってことか。はっはっは!」

―――海岸―――

P「ハァ、ハァ」

P「(くっそ、何も見えない……)」

P「(いるわけねぇだろ……こんなところに、こんな時に)」

P「(なのになんでだよ……胸騒ぎがする)」

P「あ……」

ガナハ「……」

P「ガナハ!!」

ガナハ「……!」ビクッ

ガナハ「な、なんで、こ、こんなところに」

P「こっちの台詞だ。大丈夫か?」

ガナハ「自分は、大丈夫……クシッ」

P「ああもう。ほら、着てろ」ファサ

ガナハ「あ……あ、ありがと……」

P「それで、なんでこんなとこにいるんだ。台風が来てるんだってよ?」

ガナハ「……なんでもないぞ」

P「んなわけねぇだろ。まぁいいさ。隣、座るぞ」

ガナハ「……」

P「……」

ガナハ「……寒く、ないのか?」

P「寒いというか、変な感じがする。凄いジメジメするし」

ガナハ「自分は……寒いんだ」

ガナハ「寒くて寒くて、仕方ないんだ」

ガナハ「……怖くて、寒くて、苦しいんだ」

P「……」

ガナハ「昨日、電話があったんだ」

ガナハ「にぃにからかなって思って、元気よく電話に出たんだ」

ガナハ「でも、違かった」

ガナハ「東京の、よくわからないところから電話だった」

ガナハ「……にぃにが」

ガナハ「にぃにが、交通事故にあったって」

P「……っ」

ガナハ「最初は冗談かなって思った」

ガナハ「でも、冗談じゃなかった」

ガナハ「……怖い」ウルウル

ガナハ「怖いよぉ、P……にぃに……」ポロポロ

P「……」

P「(俺に、何ができる?)」

P「(できることなんて……俺には……)」

ガナハ「にぃに、いなくなっちゃやだぁ……嫌だぁ……」ポロポロ

P「(目の前に泣いている女の子がいる)」

P「(……何かしろ!男だろ!あのナンパ野郎の息子なんだろっ!)」

P「……ガナハ」ダキッ

ガナハ「ふぇ……」

P「……」

ガナハ「P……」

ガナハ「P……にぃに……P……にぃに……」

ガナハ「う、うぅううう」

ガナハ「う、うああああああああ!!やだぁ!やだよぉ!にぃに!P!うわあああああああああ!!!」

P「……」ナデナデ

それから。

ガナハは泣き続けて、泣き続けて。

彼女が泣き止んだ頃には、雨は止んでいた。

P「……」

ガナハ「……ごめん。取り乱したぞ」

P「別にいいよ。お前の泣き顔、可愛かったし」

ガナハ「……やっぱヘンタイだぞ」

P「ヘンタイでいいよ」

ガナハ「……P」

P「なんだ?」

ガナハ「その、あの……」

ガナハ「にぃに、って……呼んでもいい?///」

P「なんでまた」

P「……」

ガナハ「……ごめん。取り乱したぞ」

P「別にいいよ。お前の泣き顔、可愛かったし」

ガナハ「……やっぱヘンタイだぞ」

P「ヘンタイでいいよ」

ガナハ「……P」

P「なんだ?」

ガナハ「その、あの……」

ガナハ「にぃに、って……呼んでもいい?」

P「なんでまた」

うわ、連投ミスorz

ガナハ「……ずっと、思ってたんだ」

ガナハ「Pって、にぃににそっくりなんだ。雰囲気も、何もかも」

ガナハ「だから、重ねちゃうことが、何回かあったんだ」

ガナハ「そのたんびに、思うんだ」

ガナハ「Pみたいなにぃにも……欲しかったって」

P「……そうか」

ガナハ「……ダメか?」

P「俺は明日にも、帰ってしまうぞ?」

ガナハ「じゃあ、今日一日だけでも……」

P「……わかったよ」

ガナハ「えへへ、ありがと……にぃに」

P「(……ヤバイ、今、恋に落ちるかと思った)」ドキドキ

ガナハ「今日だけは、甘えさせて欲しいぞ……」

ガナハ「にぃに……」

ガナハ「……」スゥスゥ

P「……疲れてたんだな」ナデナデ

ガナハ「……ん」

P「お休み、ガナハ」

ガナハ「えへへ……にぃに……大好き」

―――最終日 空港―――

P「……お別れ、だな」

ガナハ「……うん」

P「結局、最後まで話聞けなかったなー」

ガナハ「あ、あれは……そう、こうすればまた会えるかと思って」

P「どういうことだ?」

ガナハ「話を聞きに、また、Pが来てくれるかなって」

P「……はははっ。わかった。また聞きに来るよ」

ガナハ「うん、また来て欲しいぞ」

P「……そろそろ、時間だ」

ガナハ「うん」

P「そういえば……お兄さんの様子は?」

ガナハ「にぃには……大丈夫。命に別状はないって言ってたぞ」

P「そっか、じゃあもう心配ないんだな」

ガナハ「あと、こっちに一時的に帰ってくるって」

P「兄妹なかよくな」

ガナハ「言われなくっても!」

P父「おーい。そろそろ時間だぞー!」

P母「急ぎなさいよー!」

P「それじゃ、またな」スタスタ

ガナハ「また、ね」

ガナハ「……っ!」

ガナハ「Pー!」

ガナハ「……ううん」

ガナハ「にぃに!でーじしちゅん!またやーさい!」

―――現在 765プロ―――

P&響以外『……』

美希「(ねぇ、これってさ……)」

春香「(うん、きっと……)」

千早「(口調とか、特徴とか、一人称とか、間違いなく……)」

小鳥「(響ちゃんよね……)」

響「~っ!?――――!!!」カァァァァ

P「お、おい。どうした響」

響「ど、どどどどどどど、どうしたもこうしたもないぞ!!」

P「落ち着け、落ち着けって」

響「も、ももも、もしかして、もしかして、にぃ……Pって……」

P「……この流れって……」

響「うがー!やっぱりプロデューサーなのかー?!」

P「……話してて俺も思ったけど、本当に響なのか……?」

響「……そうだぞー……うぅー///」

美希「ミキとハニーみたいな運命って、あるものなんだねっ」

春香「確かにこれは凄い確率だよね……」

千早「(……ライバルが一人増えたかしら……)」

小鳥「なんだかんだでおめでとう、響ちゃん」

響「うがー!なんか恥ずかしいぞー!!///」

P「……」

P「(いくらなんでも……おかしいだろう、これは)」

P「(何か、おかしな……運命じゃない、別な力が働いているようにしか……)」

響「と、とにかくプロデューサー!」

P「なんだ?」

響「あ、あの時の事は……その、忘れてくれると嬉しいぞ」

P「え?なんで?」

響「だ、だって。恥ずかしいぞ……」

P「いいじゃないか。お前も欲しがってただろ?特別な呼び方」

響「で、でも……苗字は嫌だぞ」

P「ならそうだな。じゃあほら……響の方から」

響「え……」

P「にぃにって、呼んでみてくれ」

響「い、嫌だぞ」

P「頼む、一回だけでいいから!先っぽだけでいいから!」ジリジリ

響「嫌だぞ!しかも何の先っぽだ?!」

小鳥「やめなさいP君」バコッ

P「ぐえっ」

P「何するんですか」

小鳥「もう。響ちゃんも嫌がってるじゃない」

P「でもなぁ……一回くらい、呼んで欲しいんだよ。一人っ子の性っていうか」

響「ぜ、絶対嫌だぞ!このヘンタイプロデューサー!」

美希「ならミキが呼んであげるの!にーにっ♪」

春香「あ!ずるい!え、えーっと……お、お兄さん!」

千早「え……こほん、えっと、お兄ちゃん……?」

小鳥「……私も読んだほうがいいんですか?え、えっと。お兄様っ♪」

P「……なーんか、違うんだよなぁ……いや、悪いって事じゃないけど……」

響&P以外『我が儘(なの)』

P「というわけで」

響「何がというわけなんだぞ」

P「頼む!一回だけ!!」

響「……にぃ……いや、やっぱり嫌だぞ!」

P「なんでだよー!おい響ー!」

響「じ、自分のにぃには一人なんだぞ!ヘンタイプロデューサーは違うんだぞ!」

P「一回だけだからあああああ!!」

響「しつこいぞー!!」

響「(……本当は)」

響「(にぃにって呼びたいぞ)」

響「(だけど、それじゃあね?)」

響「(プロデューサーと、本当の家族になることはできないから……)」

P「くっそ、なんで呼んでくれないんだよー……」ブツブツ

響「……にぃにっ♪」ボソッ

P「え、い、今!今!」ガタッ

響「ん~?自分は何も言ってないぞ~!」タタッ


響「プロデューサーのばーかっ♪でーじしちゅん♪」ベーッ

五章これにて御終いです。
次のおはなしは、雪歩&あずささんの予定です。
出来るだけ早く更新したいと思います……

では、ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました!


次の章も楽しみにしてる

響はやっぱ誰よりも妻力高いし可愛いが妹響の方がヤバいとあるSSで知った

P父「……180cmを軽く超えているアイドルも、元婦警のアイドルも、軽く人間辞めてるアイドルもいるんだよっ」
にょわー!と早苗さんと…杏?輝子?最後のが心当りが多くてわからん

>>638
そりゃ、あいつしかいないじゃん。悪魔ちひr(ここから先はドス黒い何かで読めなくなっている

>>638
どう考えても●7歳なのに脅威の若作りしてるウサミ……っと、来客か?
マジレスすると日高舞でいいや

>638 質問が来てましたので、お答えします。
   自分はきらりと早苗さんと、あと木場さんあたりを想像して書きました。
   この発言で不快な気持ちを持ってしまった方は申し訳ない。

おつー

木場さんかぁ…予想外だがなぜか納得しちゃう自分が悔しい(ビクンビクン)

まだ~?

まだかな

途中まで更新したいと思います。
やっと構想が練れてきたので……

途中で文章が切れたら、落ちたものと思ってください。
では、6章の始まりです。

ある少女の家は恐れられていた。

故に、孤独だった。

また、ある少女の家族は祟りを受けた。

故に、迷子であった。

そんな二人の少女を、一人の少年が繋ぎ合わせた。

人、これを運命と言う―――

???「なんて」

雪歩「か、かっこいいです……!」

???「そうでしょうか?真、運命というのは不思議なモノですね」

あずさ「そうよね~。運命って、憧れちゃうわね~」

???「……ふふ、あずにも、いつか運命と言っていい日が、人が、訪れますよ」

雪歩「私にも……来るのかな……」

???「はい。もちろん……」

雪歩「そ、そうだよね!―――さん!」

ザザーッ ザザーッ ザザザザザザザ プツン

―――765プロ―――

P「……ふむ」

雪歩「あ、あのぅ……」

P「……すまん。そんな詩は聞いたことないな」

雪歩「そ、そうですかぁ……」

P「(雪歩が、不思議な夢を見たらしい)」

P「(昔の話で、雪歩とあずささんとあともう一人の少女との夢)」

P「(そのもう一人少女の様相や名前がどうしても思い出せないそうだ)」

P「(だけども)」

P「(少なくとも俺はそんなヤツを―――知らない)」

雪歩「ぴ、Pさんなら何か……知ってるかと思ったんです」

P「ごめんな。昔のことだから、あんま覚えてないや」

P「(きっと雪歩とあずささんの、俺の知らない友達なんだろう)」

P「あずささんにも聞いたのか?」

雪歩「は、はいぃ……でも、ごめんなさいって……」

P「そうかぁ……でも、俺が知らないって事はみんなも知らないだろうし……」

P「(ちなみに雪歩とあずささんには、俺がPであることをこの前話した)」

P「(最初は驚いていたものの、でもやはりというか、二人とは距離が近くなった)」

P「(今も雪歩はチラチラ、事務所に二人きりなのを確認しては俺の名前を呼んでくれるし)」

P「(プロデューサーとしてはダメなのかもだけど、個人的には凄く距離が近づいたみたいで嬉しい)」

雪歩「あの……Pさん。大丈夫ですか?」

P「へ?何が?」

雪歩「いえ、あの、ぼーっとしていたので……」

P「ああ、ごめんな。ちょっと考え事してたんだ」

P「(でも、なんだろうか)」

P「(雪歩の言う少女には……会ったことが、ある気がする)」

P「気にしてくれてありがと。でも大丈夫だから」

雪歩「そ、そうですか……」


P「時間的にそろそろあずささんも仕事から帰ってきそうだし、三人で話してみよっか」

雪歩「そうですね!あ、えっとお茶淹れてきますぅ!」

P「(……気のせいかな)」

P「(もしかしたらスカウトしようとした子の中に、似たような子がいたのかもしれないし)」

あずさ「こんにちは~」

P「あずささん。お疲れ様です」

あずさ「はい、Pさん。お疲れ様です~」

P「いや、あの。あずささん。雪歩もいますので」

あずさ「別にいいじゃないですか~。もうほとんど、プロデューサーって読んでる子なんていませんよ?」

P「そうなんですけど……」

P「(最近じゃ律子と伊織だけだもんなぁ……律子と伊織は照れ隠しかなんかなんだろうけど)」

P「とりあえずこちらへどうぞ、今、雪歩がお茶を淹れてきてくれているんで」

あずさ「あらあら、嬉しいわ~」

雪歩「あ、あずささんこんにちは。Pさん、あずささん、お茶ですぅ」

あずさ「ありがと~」

P「俺もお茶菓子くらい用意しようかなぁ……」

雪歩「お、お気になさらずにっ!」

P「そうか?じゃあ頼むよ」

あずさ「あ、そうだ。Pさん、私や雪歩ちゃんの事は呼んでくれないんですか?」

P「え?」

あずさ「昔みたいに、【あず】とか【ゆき】って♪」

雪歩「っ!」ガシャン

P「お、おい大丈夫か雪歩!」

雪歩「だ、だだだ大丈夫ですぅ!」

あずさ「あらあら。大丈夫?一人で片付けられる?」

雪歩「は、はいぃ」

あずさ「……ふふ、ゆきちゃんったら可愛い♪」

P「あのですねあずささん。もし記者とかが狙ってたら……」

あずさ「でも、事務所の中だしいいじゃないですか~」

P「それもそうですけど……あの」

あずさ「Pさ~ん?甲斐性のない男の人は嫌いですよ~?」

P「……わかったよ。あず」

あずさ「それでいいんですよっ♪」

P「そういうわけで……いいか?ゆき」

雪歩「は、はいぃ……えへへ……」

P「それであず。雪歩の話、聞いたか?」

あずさ「はい……でも、私も思い当たる記憶がないんですよね~……」

P「やっぱり、か」

あずさ「やっぱり、ということはPさんも?」

P「そうなんだよな……でも、知ってるかもしれない……よくわからん」

あずさ「大丈夫。そのうち思い出しますよ~」

P「そうかなぁ」

雪歩「あのぅ、気にしないで大丈夫ですから……私の勘違いかもしれませんし」

P「もし思い出したら真っ先に雪歩に連絡するよ」

雪歩「あ、ありがとうございます」

あずさ「私も思い出せるように頑張るわ~」

雪歩「あずささんも、ありがとうございますぅ」

あずさ「あらあら、ゆきちゃんは私のこと、昔みたいに呼んでくれないの?」

雪歩「ふぇ?」

あずさ「ほーら、私はあず、ですよ~?」

雪歩「え、えっとぉ」

P「……ゆき、諦めよう」

雪歩「そ、それじゃあ……あず、ちゃん」

あずさ「ゆきちゃん可愛い~」ギュッ

雪歩「ぽぇぇ……///」

P「(羨ましい……)」

P「そういえば、昔からゆきとあずは仲が良かったよな」

あずさ「そうですね~」

雪歩「ぽぇ……はっ。は、はいっ」

P「今も仲良さそうでよかったよ」

あずさ「昔はお互いに色々ありましたから~」

雪歩「引っ張ってくれたのは……Pさん、です」

P「そう言ってくれると嬉しいな」

P「今でもあの時の事は覚えてるよ」

P「(そう、目を閉じれば思い出す)」

P「(二人と出会った日の事を)」

―――公園―――

P「……ん?」

春香「どうしたの?」

P「いや、こっち見てるヤツがいるなーって」

美希「本当なの。どうしたのかな?」

雪歩「……」ジーッ

P「声かけてみたほうがいいか?」

律子「やめたほうがいいと思うわ。あーゆー子は声かけると逃げるわよ」

美希「もしかしてりつ、話しかけたの?」

律子「……あんたは変なとこで鋭いわね」

真「へぇ、りつ話しかけたんだ。で、逃げられたと」

千早「……りつは、怖いです、から」

小鳥「りつちゃんは……子供には、好かれないかな」

律子「もう、やめてよ!」

やよい「うっうー!みんなで遊んだほうが楽しいですよー!」

伊織「やよいの言う通り、ね」

P「じゃあ話しかけてみるか」

P「おーい。そこのー!」

雪歩「!」ビクッ タッタッタ

P「あらら」

春香「逃げられちゃったね」

千早「でも、木の陰からまたこっちを覗いてるわ」

美希「面倒くさい子なの」

律子「そういう言い方しないの」

真「どうするの?P」

P「うーん……あっちから話しかけてくるまで待ったほうがいいよな」

やよい「そうですね!」

小鳥「私もその方がいいと思う」

伊織「放っておけば来るでしょ」

律子「それもそうね」

P「それと、もう一つ気になっている事があるんだ」

春香「何?」

P「あっちの子……さっきからずっと、この公園をぐるぐるしてないか?」

あずさ「~♪」

千早「……しかも多分、本人それに気づいてない、ですね」

美希「さっきから鼻歌歌いながら公園の周りをずっと回ってるの」

律子「大丈夫なのかしら……」

やよい「迷子さんですかー?」

伊織「いや、私達より年上よね……?」

雪歩「……」ジーッ

P「きのこまで見てるぞ」

真「きのこ?」

P「木の陰に隠れてる子だからきのこ」

伊織「そんな安直な……」

あずさ「~♪……あら?」

春香「あっ、こっちに気付いた」

あずさ「?」

律子「首をかしげてるわね」

美希「あ、こっちに来たの」

あずさ「あの~。何か御用ですか~?」

P「あ、いや……用ってワケじゃないんですけど」

小鳥「公園の回りをずっとぐるぐる回っているのが気になってしまって」

あずさ「……あらあら~……どうりでどこまで行っても、景色が変わらないわけだわ~」

美希「……馬鹿なの?」

律子「ごぉら」ゴン!

美希「痛いの!」

真「すみません、この子オブラートに包むことができなくて……」

あずさ「いいのよ~。うーん、また迷子になっちゃったわ~」

やよい「本当に迷子さんでしたー!」

あずさ「えーっと。ここがどこか聞いていいかしら~?」

千早「△△公園、です」

あずさ「あらあら。随分遠くまで来ちゃったわね~」

P「え?どこから来たんです?」

あずさ「□□町からなんだけど……」

小鳥「□□町って……隣町じゃないですか!」

真「そこから歩いてきたんですか?!」

あずさ「そうなのよー。どうも私、どこかに行こうと思うと必ず迷子になっちゃうみたいで~」

春香「もうそれ迷子ってレベルじゃないような……」

あずさ「この前なんて○○町まで行ってしまったし……」

やよい「○○町ってどこですかー?」

伊織「……少なくともこの県じゃないわね」

美希「大丈夫なの?この人」

律子「だからあんたは……」

美希「ごめんなの!だ、だから叩かないでなの!!」

小鳥「はいはい。喧嘩しないの」

あずさ「今日は××まで行こうと思ってたんだけど~……」

千早「××町は、反対方向、です……」

春香「もはや私みたいなドジって言葉じゃすまされないね……」

美希「はるのアレは故意的に見えるの」

春香「そ、そんなわけないじゃん!」

P「落ち着けお前ら……えーっと……」

あずさ「あ、私、三浦あずさって言います~」

P「じゃああずささん。よろしければ××までお送りしましょうか?」

小鳥「(さすが女たらし……)」

あずさ「いいんですか~?」

真「でもP。今日の遊びはどうするの?」

P「今日は××探検とかでいいじゃねぇか。それもまた面白いだろ?」

美希「ハニーが言うならそれでいいの」

やよい「××には行ったことがないので楽しみですー!」

伊織「私も行ったことないから楽しみね!」

千早「構い、ません」

あずさ「あらあら~。なんかごめんなさい~」

律子「この人は困ってる人は放っておけないタチみたいなので。大体予想がついてましたし」

P「そういうわけで、よろしければ」

あずさ「ありがとうございます~……あら?」

雪歩「……」ジーッ

あずさ「あそこの子は貴方のチームとは違うのかしら?」

P「ああ、きのこ……」

真「やめてあげようよそれ」

P「チームの仲間ではないですね。俺らが声をかけると逃げちゃうんですよ」

あずさ「うーん……ちょっと待ってて~」タッタッタ

P「あ、あずささん?」

美希「行っちゃったの」

律子「ああ、あの子また逃げようと……捕まえた?!」

春香「意外とアクティブだね、あずささん……」

小鳥「何か話してるわね」

千早「……戻って、きました」

あずさ「あの子も一緒に行きたいって言ってるわよ~」

雪歩「……」ジーッ

P「いやでも、木に隠れてるままなんすけど」

やよい「一緒に行くんじゃないんですかー?」

あずさ「どうもまだ怖いらしいから、遠くから観察してるって……」

伊織「そっちの方が怖いわよ……」

あずさ「そのうち、仲間になるわよ~」

P「まぁ、アイツがそれでいいならいいんですけど……」

雪歩「……」ジーッ

春香「お菓子とかあげてみる?」

美希「餌付けするの?」

律子「動物か何かじゃないんだから……」

P「とりあえず行きましょう」

あずさ「はい~。うふふ~」

真「なんでかなぁ。凄く嫌な予感がするんだ」

小鳥「私も……」

やよい「うっうー!みんなでお出かけですー!」

―――数分後―――

P「あずささーん!!どこいったんですかー?!」

春香「さ、さっきまでP君と楽しげに話してたのに……」

美希「もはや妖怪の域なの」

律子「それは賛同ね……」

伊織「ってかおかしいでしょ?!なんで目を数秒離したと思ったらもういないのよ?!」

やよい「迷子になっちゃったんですかー?」

小鳥「あずささんがね……」

真「まさか嫌な予感が当たるなんてね……」

雪歩「……」ジーッ

P「……ん?」フリムキ

雪歩「!」サッ

雪歩「……」ソーッ

春香「何か言いたげに電柱柱から顔を覗かせてるね……」

千早「……あの子に、聞いてみたらどう、ですか?」

P「ああ、そっか。でんこなら知ってるかもな」

真「でんこ……」

小鳥「ちーちゃんのネーミングセンスも独特だけど、P君も大概ですよね……」

P「何を」

真「とにかく聞いてみるね?」

美希「行ってらっしゃいなのー」

やよい「あれ?あの子、逃げませんよ?」

伊織「本当だ。しかもなんか気のせいか目がキラキラしてない?」

律子「なんかまこがどんどん凹んでいくわね」

春香「あ、戻ってきた」

真「……そこの角を右に行ったって」ドヨーン

P「お、おう」

小鳥「ど、どうしたのまこちゃん……?」

真「……男の子だと思われてた……」

全員『(ああ、やっぱり……)』

伊織「とにかく、早く追いかけたほうがいいんじゃない?」

P「おっとそうだな。まこ、後ででんこにお礼言っておいてくれよ」ダッ

真「うん……」

―――数分後―――

あずさ「ごめんなさいね~、つい~……」

P「やっと見つけた……」

春香「よかった……見つかって」ゼェゼェ

千早「数秒の間に……遠くに、行き過ぎだと、思います」ケホッ

伊織「新堂、お疲れ」

やよい「うっうー!新堂さんありがとうございますー!」

美希「ありがとなの!」

新堂「なんのなんの、でございます」シュン

律子「五人抱えてあの速度で移動って相変わらず人間離れしてるわね新堂さん……」

小鳥「そうですね……」

真「新堂さんに運んでもらうなんてずるいと思うな」

律子「その割にはあんたも一人運んだくせにケロっとしてるじゃない」

雪歩「ぽぇ……ハッ!」ササッ

真「あ。また隠れちゃった」

春香「ってかなんで私達は……走ってたの……?」ゼェゼェ

千早「じゃんけんで……負けたから」ケホケホ

P「とにかく、もう勝手に迷わないように手を繋ぎますね!失礼します!」ギュッ

あずさ「あ、あらあら~///」

美希「あー!ハニー!浮気なの!」

律子「さすが、女の子に手を出すのは早いわね」

P「お前らうっさい!俺だって恥ずかしいんだぞ!」

千早「手をつなぐのは、私とかでもいいと思うんですけど……」

P「……あ、そっか」テハナシ

あずさ「……少し、残念?」

P「からかわないでくださいよ……じゃあ、ちーちゃんお願いできる?」

千早「はい」ギュッ

P「さ、じゃあ××に向かうぞー!今度は迷わないようにお願いしますね?」

あずさ「わかりました~」

美希「ハニー!ハニーはミキと手をつなぐのー!」

P「なんでだよ!」

その日から。

あずさ「あらあら~」

P「あれ?あずささんじゃないですか。また迷ったんですか?」

あずさ「いえ~そうじゃなくて」

あずさ「私を、みんなの仲間に入れてくれないかな~って」

あずささん……いや、あずは。俺たちの仲間になった。

そして、もう一人も。

今日はここまでに。
次の更新では出来るだけ6章完結まで行けるといいなーっと。

ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。

おつ

おつー

続きはまだかいのぅ

今週はないのか

まだかぁ

皆様こんばんは。久しぶりの更新となります。
今回は6章終了まで書ききるつもりですが、途中で落ちてしまうかもしれません。
もし途中で文章が切れたら、落ちたものとお考え下さい。

では続きを

―――あずさが仲間になってから数日後―――

雪歩「……」ジーッ

P「ふぅ、こんなもんか」

雪歩「……」ジーッ

P「とりあえずこんだけ準備すりゃみんなで遊べるだろ」

雪歩「……」トテトテ

P「ん?」

雪歩「あ、あの……」

P「なんだ?」

雪歩「今日……皆さんは」

P「ああ、今日は俺だけ」

雪歩「何を……やっているん、ですか?」

P「水風船を膨らませてる」

雪歩「……なんで?」

P「明日、これ使ってみんなと遊ぼうと思って」


P「そそ。誰かがやらないとだからな。必然的に俺がやることになる」

雪歩「……いつも、やってるんですか?」

P「まぁな」

雪歩「どうしてそこまで……」

P「そりゃ、楽しみたいからだよ」

P「楽しいことが待ってるって思えば、こんな作業も苦じゃないからな」

雪歩「……その、あの」

雪歩「手伝っても、いいですか?」

P「手伝ってくれるのか?」

雪歩「私も……明日、参加、させてくれるなら……」

P「……ははっ。おう、一緒に遊ぼうぜ!」

雪歩「……うん!」

彼女も、仲間になってくれた。

雪歩「は、はじめまして……」

春香「よろしくねっ!ゆきちゃん!」

雪歩「!」ササッ

律子「あーあー。隠れちゃったじゃない」

美希「ハニーの後ろに隠れるなんてずるいの!そこはミキの特等席なの!」

P「まぁまぁ……」

真「大丈夫かい?」

雪歩「は、はいっ」キラキラキラキラ

千早「相変わらずの熱視線……ですね」

伊織「まこはやりづらそうにしてるけどね」

やよい「うっうー!仲間が二人増えて、もっとハッピーですー!」

小鳥「ふふ、そうね」ナデナデ

やよい「頭をなでないでくださいー!」

最初は逃げてばっかりだったけど……何回も遊ぶうち、ゆきもみんなに慣れてくれたみたいだ。

雪歩「は、はる……ちゃん」

春香「何?」

雪歩「ちー……ちゃん」

千早「……なん、ですか?」

雪歩「まこちゃん!」

真「う、うん」

雪歩「ことり……さん」

小鳥「なぁに?」

雪歩「やよ……ちゃん。いお……ちゃん」

やよい「うっうー!」

伊織「何かしら?」

雪歩「あず、ちゃん」

あずさ「あらあら、ちゃん付けなんて……」

雪歩「みき……ちゃん」

美希「ハニーとまこ君は渡さないの!」

雪歩「P……さん」

P「おう!」

雪歩「……そして、わたし……ゆき……」

P「そうだ。仲間だけの、秘密のあだ名だ」

雪歩「仲間……ふふっ」

春香「あ、ゆきちゃん笑った!可愛い~♪」ギュッ

雪歩「ぽぇ……///」

P「ははは。ゆきは愛されてるな」

美希「ミキはハニーの事、もっと愛してるの!」

律子「そんなに軽々しく愛してるとか言っちゃダメよ」

千早「……私は、結婚の約束、しましたし」ボソッ

小鳥「何か言った?ちーちゃん」

千早「……なんでも、ないです」

伊織「ほらほら、はる。ゆきが苦しんでるわよ」

春香「あっ、ごめんゆきちゃん!」

雪歩「ぽぇー……」

あずさ「あらあら、やっぱりゆきちゃんは可愛いわね~」

やよい「妹みたいですよねっ!」

あずさ「やよちゃんも可愛いわよ~」ナデナデ

やよい「うー。あずさんまで、なんで頭撫でるんですかー?」

小鳥「やよちゃんは可愛いからよ」

伊織「(私も撫でてみたいなぁ)」

P「はいはい。そのへんにして。今日は水鉄砲を人数分用意した!存分に打ち合ってくれたまえ!」

春香「水鉄砲……私、ノーコンだからなー……」

千早「……うん、大丈夫です」

美希「大きいのとかはないの?」

律子「あるわけないじゃ「あるぞ」ええっ?!」

P「まぁ、一台だけだがな。これはくじでも引いて決めるか」

小鳥「意外と大きい……」

やよい「私、あんなの持てませんよー?」

伊織「大丈夫。新堂が持ってくれるわ」

新堂「お任せください。お嬢様」シュン

小鳥「相変わらず異次元から飛んできてるんですか?新堂さんは」

新堂「ほっほっほ。ご冗談を」

小鳥「(冗談には見えないんだけどなぁ)」

雪歩「あのー……それより」

P「なんだゆき?」

雪歩「あずちゃんが……いなくなっちゃったんですけど……」

雪歩以外『……はい?』

春香「うわぁ本当だいない?!」

P「ちょっとでも目を離すとこれだよ!!」

千早「探しに、行きましょう」

美希「あ、公園の出口の方でウロウロしてるの!」

律子「は、早く確保ー!」

伊織「……大丈夫なのかしら。このチーム」

やよい「みんなでこうやって遊ぶのは、楽しいですー!」

伊織「そうなんだけどね……」

―――数分後―――

美希「りつ!後方支援お願いなの!」

律子「そ、そんなこと言われても!」

あずさ「えーっと。ここを引けばいいのかしら?」

春香「違うよあずちゃん、ここをこうやって……」

千早「……えいっ」ピュー

小鳥「きゃっ?!やったわねー!」

やよい「みんなで水鉄砲楽しいですー!」ピョンピョン

伊織「な、なかなか当たらないわね……」

真「なんとなく飛んでくる場所わかるからね」ヒョイッ

雪歩「あうう、ごめんなさい……」

P「あはは。いいよいいよ」

雪歩「私が不甲斐ないばかりに……」

P「仕方ないさ。あのでかいの、重さとか考えてなかったからね」

雪歩「で、でもでも、落とした時、Pさんも巻き込んで水浸しになってしまいましたし……」

P「まぁ、こうやってみんなが楽しんでくれてるのならそれでいいさ」

雪歩「……あの」

P「なんだ?」

雪歩「Pさんは……どうして、こんなチームを?」

P「うーん。あんまそういうのは考えてなかったかな」

P「いつの間にか、俺の周りに人が集まってきたって感じ」

雪歩「……みきちゃんから聞きました」

雪歩「Pさんは色んな人を、助けてるんだって」

P「そうじゃないさ。困った人がいたら、見過ごせないだけだ」

雪歩「それでも……凄い、と思います」

雪歩「……羨ましいです」

P「何が?」

雪歩「私……その、笑わないでくださいね?」

雪歩「正義のヒーロー、になりたいんです」

P「へぇ、立派な夢じゃないか!」

雪歩「そう、ですか?」

P「ああ。俺も憧れてるぞ。正義のヒーロー」

雪歩「でも、私、なれないんです」

P「……なんで?」

雪歩「私、一人ですから。一人じゃ、正義のヒーローにはなれないんです」

雪歩「なれるのは、悪の怪人さんだけ……」

P「そんなワケないだろ。誰だって正義のヒーローになれる資格を」

雪歩「ヒーローには、仲間がいないといけないんです」

雪歩「ヒーローを助けてくれる、あるいは、ヒーローに助けてもらえる。そんな仲間が」

P「それもそうだが。それがゆきがヒーローになれないことに、何の関係が―――」

雪歩「友達、いないんです」

P「……そりゃまたなんで」

雪歩「それは……ごめん、なさい。言えません」

P「うーん……じゃあ俺たちは違うのか?」

雪歩「え?」

P「俺たちは、友達じゃないのか?」

雪歩「……」

P「俺は少なくとも、友達だと思ってるよ」

P「いや、仲間と言っていいかもしれない」

雪歩「仲間……」

P「ああ、ヒーローになるのに必要な、仲間だ」

P「なぁ、ゆきは俺たちのこと、仲間だと思ってくれてないのか?」

雪歩「私は……仲間だと、思ってます」

P「そっか。それが聞ければ十分だよ」

雪歩「……Pさん」

P「なんだ?」

雪歩「私、ヒーローになれますか?」

P「当たり前だろ」

千早「……とど、め」

春香「きゃぁ!」

美希「試合終了なのー!優勝はちーちゃんなのー!」

千早「……ぶい。です」

P「お、あっちも決着ついたみたいだな」

雪歩「そうみたいですね」

P「ほら、行こうぜ。第二回戦だ」

雪歩「えっ、まだやるんですか?」

P「今度はちゃんとした水鉄砲使ってさ、遊ぼうぜ」

雪歩「……で、でも」

P「ゆきが打たれそうになったら、俺が守ってやるから」

P「だから、俺が打たれそうになったときは、ゆきが守ってくれ」

P「……頼りにしてるぜ、ヒーロー」

雪歩「……はいっ!」

新しい仲間の、ゆきやあずと過ごす、楽しい時間は

また、あっという間に過ぎていく―――

はずだった。

雪歩「あっ……」

黒服「お迎えにあがりました。お嬢。おやっさんが心配しています」

雪歩「……は、はい」

P「おいアンタ。何してんだよ?」

黒服「……貴方が、Pさんですね」

P「そうだけど」

黒服「今後一切、お嬢に近づかないでいただきたい」

P「んなっ?!」

雪歩「そ、そんな!」

黒服「すみませんお嬢。これもおやっさんの命令ですので」

P「どういうことだよ。おやっさんとか、お嬢、とか」

黒服「君は知らなくてもいい世界だ」

P「友達として知りたいと思うのは当然のことだろ?」

黒服「……友達、ですか」

黒服「でもどうせこれを聞けば、あなたは離れざるを得なくなる」

P「言ってみなくちゃわかんねぇよ」

雪歩「P、さん」

黒服「……お嬢の名前は、萩原雪歩」

P「……はぎ、わら?」

黒服「萩原建設、聞いたことあるだろう?」

P「……うちの、父さんの、スポンサーの会社……それに、他の色んなとこにも……」

黒服「そうだ。そしてお嬢は、その萩原建設の一人娘」

黒服「怪我でもさせた日には……わかるよな?」

P「……」

黒服「それにだ。こっちは裏社会にも繋がってる」

黒服「……下手に手を出せば、一家ごと消滅だ」

雪歩「P、さん……黙ってて、ごめん、なさい」

P「そんな……」

黒服「お嬢、行きましょう。君も、もうお嬢には近づかないことだ」

雪歩「Pさん、今まで、楽しかったです」

雪歩「ほんの少しでも、仲間でいてくれて、ありがとうございます」

雪歩「……さようなら」

P「……ゆき―――」ダッ

黒服「すまんな」ゴッ

雪歩「!!」

P「っ」ドサッ

雪歩「P、さん!!」

黒服「行きますよ、お嬢」

雪歩「嫌、嫌!離して!Pさん!」

P「ゆき……」

ゆきの家の事情を、知るまでは。

ピンポーン

P「……はい」ガチャ

あずさ「……あ、あらあら~。また間違えちゃったかしら~」

P「あず……?」

あずさ「ご、ごめんなさいね。また迷子になっちゃったみた、い……」フラッ

P「あず!?」

あずさ「あ、あらあら。もう足が動かないわ~……ごめんなさい、少し休ませてくれないかしら~……」バタッ

P「だ、大丈夫か?!おいあず!?」

ボロボロのあずが、俺の家に来るまでは。

―――P宅―――

P「……あずは?」

P父「ぐっすり眠ってるよ。よほど疲れてたんだろうね」

P母「まさか女の子がこんな深夜に、Pを訪ねてくるとはね~?」

P「……そんな冗談、言ってられる状況なの?」

P母「怪我はそこまでひどくはないわ。ただ……」

P父「足にかなり負担がかかっているように見える。しばらくは歩かせない方がいいだろう」

P父「だが私はお前の方が心配だね。その頭の怪我、どうしたんだい?」

P「……なんでもお見通しかよ」

P父「私はお前の父さんだからな」

P母「怪我って、どういうこと?」

P「なんでもない。電柱に頭をぶつけて、それでたんこぶができただけさ」

P父「残念ながらそういう傷のつき方じゃない。それは誰かに殴られた傷だ」

P「……」

P父「アイドルのプロデューサーとして、怪我には敏感なんだよ」

P母「だ、誰に殴られたの?」

P「……萩原建設の、黒服」

P父「……萩原さん、か……」

P母「萩原建設って、あの……」

P父「ああ、私のとこのスポンサーさんさ」

P母「じゃあどうしてそんな」

P「……ゆき、いや、雪歩と……一緒にいたから」

P父「萩原雪歩、社長さんの一人娘、か……」

P母「い、一緒にいたくらいでそんな」

P父「恐らく、危険だと判断されたのだろうね」

P「危険?何が?」

P父「いずれは彼女が社長になるかもしれないからね。子供時代からしっかり教育をしておきたいんだろう」

P「教育、って」

P父「お金の動かし方、株……まぁつまり、遊んでいる暇はなかったって事だ」

P母「雪歩ちゃんも大変ねぇ……」

P「じゃあ、あいつは」

P父「家から抜け出したりでもしてたんじゃないのか?それが今回バレたのかもな」

P「……」

P父「まぁいずれにせよ―――」

P父「彼女とは、もう関われないものと考えたほうがいいかもね」

P「……そんな」

P母「仕方ないわよ……子供が関われる事じゃないの」

P「……」

P父「それよりも今はあずさちゃんだ。起きたら何があったのか聞いてみないとね」

P「……わかった」

P父「聞き分けのいい子は父さん、好きだぞ」

P「うっせ……」

P父「ただな?」

P父「聞き分けのない子は―――父さんもっと好きだ」

P「は?」

P父「なんでもないよ。じゃああずさちゃんの様子を見てこようか」

―――P宅和室―――

あずさ「……」ポケーッ

P「あ……」

P父「起きたみたいだね。大丈夫かな?」

あずさ「……ここ、は」

P「俺の家、だ」

あずさ「P、さん……の家……?」

P「そう。覚えてないか?」

あずさ「……私、迷子になって……それで」

あずさ「気がついたら、誰かの家のドアを叩いてて……」

あずさ「……」

P「それで起きたところいきなり悪いんだけど……」

あずさ「……なんでそんなことをした……ですか?」

P「そう。理由を、聞かせてくれないかな?」

あずさ「……私、迷子になっちゃったんです」

あずさ「戻る場所のない、辿り着ける場所もない―――迷子、に」

―――翌日 公園―――

P「……」

春香「P君?」

P「……」

春香「P君、ねぇ聞いてる?」

P「……」

春香「……」

美希「えいなの」ピュッ

P「うおっ!?冷た?!な、なんだ?!」

美希「水鉄砲なの」

P「な、なんで」

律子「あなたがぼけーっとしてるからでしょうが」

P「……そんなにぼーっとしてた?」

真「はるが話しかけてもぼーっとしてるくらい」

P「そっか……」

小鳥「P君大丈夫?疲れてるみたいだけど」

P「大丈夫……じゃないかな」

伊織「あんたが弱音を吐くなんてね。らしくないわ」

やよい「Pさん、元気ないんですかー?」

P「はは、らしくない、か……」

伊織「……あんた本当に大丈夫?」

千早「熱、あるかも、しれません……」

P「そういうのじゃないよ。たださ」

P「自分じゃどうにもできない事に直面したとき、こんな気持ちになるんだなって」

春香「何、それ?」

美希「ハニーがどうにもできないことって……」

律子「そういえば今日はゆきちゃんも、あずもいないわね。何か関係が?」

P「……鋭いな」

千早「何か、あったんですか?」

P「……」

―――P宅 和室―――

P「……夜逃げ?」

P父「ふむ……」

あずさ「……はい」

P「夜逃げって、その、借金とか」

あずさ「その通りです」

P「なんでそんな」

あずさ「……お父さんが、失敗しちゃったんです」

P父「ただの失敗なら、まだなんとかなるはずだ。何があった?」

あずさ「人を、信頼しすぎたんです」

あずさ「……詐欺に、会ったんです」

P「詐欺……」

あずさ「お父さん、本当に信頼してた人に実印を貸したんだそうです」

あずさ「書類を作る際に、必要になるからって」

あずさ「次の日、その人はいなくなっていました」

あずさ「お父さんはショックを受けたけど……それだけじゃないんです」

あずさ「その実印が使われて……たくさんのお金を借りられてました」

P「……」

あずさ「ショックと借金の両バサミにあって、お父さんは倒れてしまって」

あずさ「仕事も、辞めなくてはいけなくなってしまいました」

あずさ「お父さんは言いました……『大丈夫だ。また、迷子になるだけだ』って」

P父「それで、夜逃げを?」

あずさ「はい」

P「それじゃあ、戻る場所も、たどり着く場所もって」

あずさ「私、帰る家も……親戚も、遠くにいて、頼れる家もないんです」

P「……」

あずさ「また、迷子になっちゃいました」

あずさ「だけど……【最後に】、Pさんに会えてよかったです」

P「最、後」

あずさ「はい」スッ

P父「もう、行くのかい?」

あずさ「ここに迷惑はかけられませんから……」

P「ま、まだダメだ!ここにいたほうが」

あずさ「Pさん、ありがとう、ございます」

あずさ「でも……私は、迷子ですから。迷ってたほうが性にあってるんです」

P「そん、な」

あずさ「ほんの少しでも」

あずさ「あなたと……みんなと、一緒にいて、楽しかったです」

あずさ「さよ、なら」

―――公園―――

美希「そんな……じゃあもう二人はここにはこれないの?!」

P「そういうことになる、な」

律子「……仕方ないわよ」

美希「りつ?」

律子「あの子達にも、あの子達の事情が―――」

美希「りつ!りつがそんな事言うとは思ってなかったの!」

美希「それって単純に、ゆきを家の事で嫌ってるに過ぎないじゃない!」

美希「そんなの、他の誰もがやってたことと一緒!!」

律子「……そう、ね」

美希「ハニー、ゆきを助けに行かないの?!」

美希「いつかのミキみたいに、助けに行ってあげないの?!」

P「……俺の父さんの会社のスポンサーなんだ。ゆきの所」

美希「……」

P「だから、俺も何もできない―――」

美希「っ!!」

バチーン!

P「……」

美希「ハニーまで、そんな事言うの?」

美希「大人だとか、親だとか、スポンサーとか、仕事とか」

美希「ハニーは、そういう事を言わない人だと思ってたの」

美希「ハニーなんて……だいっきらい!!」ダッ

春香「み、ミキ!」

P「……痛いなぁ」

千早「大丈夫、ですか?」

P「大丈夫じゃない……心も、頬も痛いよ……」

律子「気にしたらダメよ……あの子はまだ、子供だから……」

P「子供、か」

P「……俺たちは、子供なんだよ」

小鳥「P、君?」

真「P、本当に大丈夫?」

P「……だけど、子供だからって大人の言いなりになっていいのか……?」

伊織「……」

P「ごめん、俺もう帰るわ」

やよい「えっ、今日は遊ばないんですかー?」

P「悪い。そんな気分じゃない」

やよい「それなら……仕方ないですね……」

P「みんなも、ごめんな」

春香「ううん、仕方ないと……思う」

千早「はるの……言う通りだと、思います」

小鳥「しっかり、休んだほうがいいわ」

やよい「うっうー!また遊びましょうね!」

真「無理しちゃダメだよ?」

伊織「……」

P「……ああ、また」

P「―――さよなら」


伊織「……あのバカ……」

―――P宅―――

P「父さん」

P父「なんだ?」

P「雪歩の家、わかる?」

P父「……」

P「わかるはずだよな」

P父「……お前は、父さんの仕事を無くすつもりかい?」

P「知らない」

P父「そうしたら、この家もあずさちゃんの家みたいになっちゃうんだぞ?」

P「そうだね」

P父「……あの子達とも、会えなくなるかもしれないんだぞ?」

P「それくらい我慢するさ」

P父「……」

P「……」

P父「……うん、やっぱりお前はそうだよな」

P「聞き分けの悪い子のが、好きなんだろ?」

P父「その通りだ。ほら、持っていけ」カキカキ スッ

P「ありがと」

P父「父さんの事は心配しないでいい。こっちにも手はある」

P「手って……」

P父「気にしないで構わないさ」

P父「あまり、無茶はするなよ?」

P「うん……行ってきます」

P父「行ってこい」

P「父さん、ありがと」ガチャ バタン

P父「……さーてと。父さんは予防策を何個は張っておきましょうかね……アイツが失敗するとは思えないけどな」プルルル

P父「あーもしもし?そうそう、私だよ。で、うん、仕事の話なんだけど―――」

―――萩原家―――

P「……来てみたはいいものの……何すりゃいいんだよ」

P「何ができるってんだ……俺に」

P「なんかゴツイ見張りもいるし……ってか家か本当にこれ」

美希「あっ……」

P「……ミキ?」

美希「あはっ、やっぱりハニーなの。来てくれたの」

P「なんでここに」

美希「ハニーなら、来てくれるかなって思って」

P「……あのなぁ。来なかったらどうするつもりだったんだよ」

美希「でも、来てくれたの。ゆきを助けるんだよね?」

P「……おう」

美希「じゃあ、あそこの見張りは任せるの」

P「任せるって、お前」

美希「心配しないで大丈夫なの」

P「……わかった。任せる」

美希「あはっ、そうこなくっちゃ」

美希「じゃあ、ゆきは任せたの」スタスタ

P「ああ」

黒服「ん?」

美希「ねぇねぇおじさん」

黒服「おじ……ど、どうしたお嬢ちゃん?」

美希「私ね、ここに行きたいの」

黒服「ああ、ここなら―――」

美希「でも頭悪いから、口で言われてもわからないの」

黒服「そ、そうか」

美希「だから、おじさんが連れてってくれると嬉しいな!」

黒服「……だ、だが……」

美希「ダメ……?」ウルウル

黒服「うぐ……わ、わかった……ほらお嬢ちゃん」

美希「わーい!おじさん、大好きなの!」

黒服「(可愛いなぁ……)」

P「……」

P「あれでいいのか萩原家……」

P「まぁいいや……今のうちだ」

―――萩原家 敷地―――

P「っ!」ササッ

黒服A「お嬢、大丈夫ですかね」

黒服B「さぁな……ずっと塞ぎ込んでるらしい」

P「(雪歩……)」

黒服A「ああ、それとさ……ちょっといいですか?」

黒服B「何が―――」

黒服A「えいっ」ゴキッ

黒服B「ぶっ」

P「(は?仲間割れ?)」

黒服A「ちょーっとごめんね。こっちにも事情があるんだわ」

黒服A「で、そこに隠れてるの」

P「!」

黒服A「あー。大丈夫だよ。私は味方」

P「味方?」

黒服A「君のお父さんから連絡が来てね。バカ息子を助けてやってくれって」

黒服A「私の本業は交通課なんだけどなぁ……」

P「どういうこと、です?」

黒服A「まぁ、君のお父さんにはちょーっとだけ助けてもらったことがあってね。そのお礼って事で」

黒服A「ってかこの年で男装するなんて思わなかったわ。胸きついなぁ……」

P「あの……男装って」

黒服A「私、女だよ。もうわかると思うけど」

黒服A「そんなことより、早くこっちに来なよ」

P「き、来なよって。どこに行くんですか?」

黒服A「え?萩原雪歩ちゃんのとこ」

P「……」

黒服A「まぁ途中から私はいなくなるけどねー。バレたら大変だし」

P「……ありがとう、ございます」

黒服A「お礼なんていらないわよ」

―――雪歩の部屋―――

雪歩「(私は、最低だ)」

雪歩「(仲間を、友達を、裏切った)」

雪歩「(その上、怪我もさせた)」

雪歩「(私は、この家が嫌い)」

雪歩「(こんな、正義のヒーローとは程遠い家は―――)」

雪歩父「……」

雪歩「……」

雪歩父「ふむ……外が少々、騒がしいな」

雪歩「また喧嘩でもしているんじゃないですか」

雪歩父「そういうのとは違うな……誰かが、入ってきたか?」

雪歩「……!」

雪歩父「心当たり、あるみたいだな」

雪歩「……気のせい、です」

雪歩「(あの人が……来るはずない)」

雪歩「(私が怪我をさせて、私が突き放したあの人が)」

雪歩父「……ふぅ」スッ

雪歩「あ、お父様……」

雪歩父「ちょっと、掃除を、な」

雪歩「!! お、おやめください」

雪歩父「お前が気にする必要はない。それに―――」

雪歩父「もう、やって来たようだ」

P「ゆき!!」

雪歩「P、さん……」

雪歩父「……君が、Pか」

P「……あなたは?」

雪歩父「萩原家の家主、と言えばわかるかな?」

P「……ゆきの、お父様ですか」

雪歩父「左様。して、何の用かな」

P「ゆきに、手伝って欲しいことがあって来ました」

雪歩父「残念ながら無理だ。帰ってくれ」

P「本人の意見は無視するんですか?」

雪歩父「本人も拒否の意向を示している」

P「そんなの、あんたが勝手に決めたことでしょう。俺はゆきの声を聞いてない」

雪歩「……」

P「ゆき、手伝ってくれないか?」

雪歩「……ごめん、なさい」

P「ゆき?」

雪歩「ごめんなさい、帰ってください」

P「……ま、待てよゆき。お前―――」

雪歩父「本人の声は聞いたな?」

P「っ」

雪歩父「本人から帰れと言われているのだ。帰るのが道理じゃないのか?」

P「……ゆき、お前はそれでいいのかよ」

雪歩「……」

P「そんなとこで、塞ぎ込んで」

P「誰かが助けを欲しがってても、拒否して」

P「そんなの、お前が―――」

雪歩父「いい加減にしろ」ゴガッ

雪歩「!」

P「っ……」

雪歩父「雪歩は帰れと言っている。さっさと帰れ」

P「……帰ら、ない」

雪歩父「……何?」

P「友達が塞ぎ込んでたら……手を、差し伸べるのが友達だ」

雪歩父「何が友達だ。貴様と雪歩は今や何の関係もない」

P「関係ならあるさ、昔、遊んでたっていうな」

雪歩父「減らず口を叩くな!!」ガンッ!

P「うあっ……」

雪歩「Pさん!!」

雪歩父「だから子供は嫌いだ。聞き分けが悪い」ゴッ

P「は、はは。あいにく、俺は聞き分けが悪い子供でね」

雪歩父「そうか。ならその聞き分けの悪さを恨むがいい」ゴガッ ゴシャッ

P「う、恨むワケ……ねぇ、よ」

P「ヒーローってのは、聞き分けが悪いんだ」

雪歩「……!」

P「どんなに仲間に止められたって」

P「どんなに無理だって言われたって」

P「結局最後には、ヒーローは困っている人に、手を差し伸べるんだ」

雪歩父「勘違いするな。貴様はヒーローではない。夢物語を語る、ただのガキだ」グシャッ!

P「っ!!」

雪歩「もう、やめてくだ、さい」

雪歩「どうして、そこまで、するんですか」

雪歩「なんで、私なんかに、構うんですか!」

P「そんなの決まってる、だろ」

P「今回のヒーローは、お前だから……」

雪歩「!」

P「俺は、きっかけを作るに過ぎない、ただの仲間、さ」

雪歩父「……戯言を」

P「戯言結構……だけど、今回は俺は何もできない」

P「ゆきしか、助けられないんだ……」

雪歩父「もういい。聞き飽きた」シャキン

P「っ……」

雪歩「お父様!!」

雪歩父「何。指の一本をもらうだけだ」

P「……上等」

雪歩「Pさん!もう、やめ、て!!」

P「指一本で、仲間が助けられるなら安いもんだ……」

雪歩父「……そうか」スッ

雪歩「嫌、嫌」

雪歩「やめてええええええええええ!!!」

P「っ!」

ガシッ!

雪歩「……?」

P「……?」

新堂「残念ながら、させません」

雪歩父「……!?」

雪歩「新堂、さん……?」

伊織「何馬鹿な事やってんのよ。アンタ」

P「いお……」

雪歩父「……水瀬の犬か」

新堂「水瀬の犬、ではなく、今は伊織お嬢様の犬にございます」

雪歩父「それで、水瀬のお嬢様が何のようだ」

伊織「そこのバカを拾いに来たのよ」

雪歩父「……拾うなら、早くするがいい」

伊織「……でも気が変わったわ。ねぇ、萩原雪歩」

雪歩「……何、ですか」

伊織「アンタは、コイツがここまでしてるのに答えてあげないの?」

伊織「話を聞くことも、できないの?」

伊織「アンタ【も】家の言いなりになるだけの、ただの操り人形なの?」

雪歩「私、は……」

P「ゆき」

雪歩「P、さん」

P「……仲間が、ピンチなんだ」

雪歩「……はい」

P「助けて、くれないか?」

雪歩「……私で、いいんですか?」

P「ゆきじゃなきゃ、ダメなんだ」

雪歩「……私は、ヒーローになれるんですか?」

P「当たり前だろ」

P「誰でも、ヒーローになれるんだよ」

P「ほんの少しの勇気と、一歩を踏み出す足さえあれば」

雪歩「……」

雪歩「……わかり、ました」スタスタ

P「ゆき?」

雪歩父「……雪歩」

雪歩「なんですか。【元】組長……」

雪歩父「……それで、いいのだな」

雪歩「何がいいのか分かりません。それに私は、この家を継ぐつもりはありません……」

雪歩父「私の話を聞いていたのか?」

雪歩「聞いてません……聞いてても私、聞き分けが悪いですから」

雪歩父「……ははは……悪い子、だな……」

雪歩「……ごめん、なさい」

雪歩父「なぜ謝る?雪歩が私の意見を無視してまで、決めたことだろう?」

雪歩「……はい」

雪歩「すぅ、はぁ」

伊織「……放送機器、かしら?」

雪歩「ここから、この家全体に声を届かせることができます……」

雪歩「……」カチッ

雪歩「……萩原組全員に、次期組長候補として、告げます!」

雪歩「私に……私の仲間に、みんなの手を、貸してください!!」

―――どこかの路地裏―――

雪歩「い、いました!」

伊織「見つけたわよあず!」

あずさ「……お父、さん」

あずさ父「……あずさ、なんで」

あずさ「私の仲間が、助けてくれたんです」

あずさ父「仲間?」

あずさ「はい……ゆきちゃんと、いおちゃんと……あと、ここにはいませんけど、Pさんが」

雪歩「ほ、ほとんどいおちゃんやPさんのおかげです……」

伊織「何言ってるのよ。私一人の力じゃそう簡単には見つからなかったわよ」

あずさ父「……そう、か」

あずさ「……最近、ずっと迷子でも悪くないかなって思ったんです」

あずさ父「なんでだい?」

あずさ「だってこうして……仲間が、導いてくれますから」

あずさ「私の、進むべき、道を―――」

―――病室―――

P「……」

雪歩父「大丈夫かい?」

P「いや、まぁ、はい」

雪歩父「すまないね……私もあの時は頭に血が上ってね」

P「それはいいんですけど、あの」

黒服C「兄貴!体調はどうですか!」

黒服D「兄貴!体をお拭きしましょうか!」

黒服E「兄貴!お嬢との結婚はいつで?!」

P「……これ、どうにかなりません?」

雪歩父「君は言うなら英雄だからね」

P「そんな大層なもんじゃないですよ」

雪歩父「いや、まず私に逆らったっていうのがね」

P「自分で言いますか」

雪歩父「それに、指を切り落とそうとした時だって即答だったし」

P「……実際、滅茶苦茶怖かったですよ」

雪歩父「それでも、だ。君は雪歩を導いてくれた」

雪歩父「私では、導くことができなかったような場所にね」

P「……きっと、あなたでも導けますよ」

雪歩父「そうでもない。君だからこそ、だ」

P「……買いかぶりすぎ、ですってば」

雪歩父「はは、私は君を気に入っているからね」

P「ありがとうございます」

雪歩父「で、雪歩との結婚式はいつだい?」

P「いや、あの」

雪歩「お、おおおお、お父さん!!」

あずさ「あ、あらあら~……」

雪歩父「おや」

P「おう、ゆきにあず」

雪歩「お父さん何言ってるんですか?!私とPさんが、その、結婚、とか……///」

雪歩父「何。冗談だよ。それじゃあ私はこれで」

黒服C「さよならっす!兄貴!」

黒服D「またお世話しにきますからね!」

黒服E「お嬢との結婚式、楽しみにしてます!」

P「……さよならー……」

雪歩「も、もう、みんなは……」

P「ははは。結婚はさすがに冗談だって」

雪歩「別に……冗談じゃなくても……」ボソッ

あずさ「あの、Pさん」

P「ん?」

あずさ「ありがとうございました」

P「いやいや、お礼はゆきやいおに言ってやってくださいよ。俺は何もしてないです」

あずさ「でも……ゆきちゃんも、いおちゃんも、お礼はPさんにって」

P「……参ったな」

雪歩「だ、だって……私を導いてくれたのは、Pさんですし……」

P「最後に決めたのはゆきだよ」

雪歩「そ、それでも!一番頑張ったのは、Pさんですから!」

P「そうかなぁ……?」

あずさ「だから、お礼をさせてください」

P「うーん……あずやゆきがそこまで言うなら……」

あずさ「じゃ、じゃあ。目をつぶってください」

P「え?あ、はい」

あずさ「え~っと、その……」

あずさ「ありがとうございましたっ」チュッ

雪歩「!!あ、あああああ、あずちゃん!!」

P「え、あの、え?」

あずさ「そ、その~。お父さんが、男の子が一番喜ぶお礼はこれだって~……」

美希「あず!それはずるいと思うな!!」ガラッ!

春香「そ、そうだよ!」

千早「……私も、しましたし……」

小鳥「あずちゃん、大胆ね……」

律子「大胆とかいうレベルじゃないわよ……」

真「き、キス……はわわ……」

やよい「うー?男の子は、ちゅーすると喜ぶんですか?」

伊織「……やよい、その事は忘れなさい」

あずさ「あ、あらあら~……///」

P「……お前らいたのか」

美希「いたの!ちょうど入っていこうとしたら、あずがハニーにキスしたの!だからミキもハニーにキスするの!」

P「その理屈はおかしい」

春香「そ、そう!むしろみんなとキスするべきだよ!」

P「落ち着けはる」

千早「……」

P「ちーちゃん。なんで近づいてくるの?」

小鳥「みんな、ここ病室だから静かにね?」

P「そうだよホント……」

小鳥「そういうのは、退院してからね?」

P「いやいやいやいや」

美希&春香&千早『はーい!(なの)』

P「はーいじゃねぇよ!!」

ナース「あらあら、病院でうるさくするなんてみんな悪い子ね」キュッ

律子&P『本当にすみませんでした』

伊織「全く……」

P「ああ、いおもありがとな」

伊織「……なんのことかしら。私は何もしてないわよ」

伊織「アンタがいなくなったら、誰がこのチーム仕切るのよ」

真「素直じゃないなぁ」

伊織「素直よ」

やよい「いおちゃん、素直じゃないんですか?」

伊織「……素直よ」

P「とりあえず、さ」

P「ゆき、あず」

P「これからも二人は、変わらず……俺たちの仲間だからな?」

雪歩「……うんっ!」

あずさ「……はい!」

―――765事務所―――

P「退院後大変だったなぁ……」

あずさ「みんな、キスをねだってたものね~」

P「まぁ、誰ともしなかったけど。あず以外」

あずさ「あ、あらあら~……///」

P「いや照れるなよ……。子供のうちはノーカン……」

雪歩「……いいなぁ……」

P「は?」

雪歩「ぽぇ!!なんでもないですぅ!!」

P「ホント、懐かしいな」

あずさ「そうね~」

雪歩「あの時は怖かったですぅ……もし、Pさんが大怪我したらって……」

P「そのおかげでこうやって、あずとゆきと一緒にいれるんだけどな」

雪歩「はい……」

P「……よし!久しぶりに焼肉でも行くか!」

雪歩「え?!」

P「今日は俺のおごりでいいよ。あずも」

あずさ「あらあら~。太っ腹ですね?」

P「懐かしい話を思い出させてくれたお礼とでも思ってくれ」

雪歩「わ、悪いですよぉ……」

P「いいんだってば、ほら、じゃあ行こう―――」

美希「ずるいの!」バン!

P「うおっ!?」

春香「私も行きます!」

P「え、ちょ」

真「もちろん、全員分奢ってくれるよね?」

P「お前らどこに……」

小鳥「事務所の扉の前ですよ」

伊織「この私を置いていくなんてマネ、しないわよね?」

やよい「Pさん、おごりなんて、いいんですか?」

亜美「んっふっふ→。兄ちゃんの奢りとなれば、わかるよね真美?」

真美「当たり前じゃ→ん!高い肉ばっか頼むよ亜美!」

律子「……私も、監視役として行きますから」

千早「……私も行きます。頑張ってください、Pさん」

P「……」

あずさ「Pさんが真っ白になってるわ……」

雪歩「Pさん、し、しっかりしてください」

P「……ふふふ、ははははは」

P「わかったよ全員分奢ってやるよ存分に食えよこんちくしょう!!」

真「やーりぃ!」

美希「焼肉屋さんにおにぎりあるかなー?」

春香「流石にないと思うよ……」

P「……はぁ、今月はもやしパーティかな……」

やよい「もやしも美味しいですよー!」

P「そうだね……」

あずさ「あの……よかったら、料理作りに行きましょうか~?」

雪歩「わ、私も手伝います!」

P「……いいのか?」

あずさ「今日のお礼と」

雪歩「む、昔のお礼……です」

P「なら、ありがたくいただこうかな……」

あずさ「はい~。任せてください~」

雪歩「が、がんばりますぅ!」

小鳥「行こうP君。みんな待ってるよ?」

P「はいはい……」

真「ほら、ゆきも!」

律子「あずさ……あずも、早く」

あずさ「ねぇ、ゆきちゃん」

雪歩「えと、なんですか?」

あずさ「……あの時は助けられたけど……」

あずさ「それとこれは、話が別だから、ね?」

雪歩「……わかってますぅ。わ、私も負けませんから!」

あずさ「ふふっ、私も負けないわ!」

雪歩「でも……仲良く、してください」

あずさ「当たり前、よ?私達は仲間、だから」

雪歩「……ふふっ」

あずさ「ほら、私達も行きましょう?」

雪歩「……はいっ!」

一気に書き終えました……お疲れ様でした。

次は亜美・真美の予定です。
……もう最後も決まりましたね。

それでは、また少し経ってから。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました!

>>1、乙

>>1
相も変わらずハイクオリティーだ

相変わらず面白い乙

>P「……よし!久しぶりに焼肉でも行くか!」
確か雪歩って・・・・あ(察し)

おつ

ご苦労様です、相変わらず面白いです。

ただ今回の話は若干描写が分かりづらかったと思います。

雪歩は組の人員を使ってあずさ父を見つけた描写ですが、根本の借金はどうやって解決したのですか?
読みこぼしていたらすいません。

>>784 質問に答えします。

    こちらがこぼしていました。申し訳ありません。
   
    結果から言えば、組の人員で同じように犯人を見つけて警察に引き渡しました。
    その後は伊織が凄腕の弁護士(新堂さん)を雇って、あずささん側が見事勝訴したという事で。
   
    曖昧な回答で申し訳ありません。何分、法律にはあまり詳しくなくて……

続きはまだー?そろそろ1ヶ月になるよ

1ヶ月たったか・・・
かなり楽しみにしてるシリーズだから、続きに期待したい

皆様こんばんは。
一ヶ月と長い間、更新をしていなくて申し訳なく思います。

今、できている所だけでもと思い、今回は投稿させていただきます。
これからは出来るだけ早く更新して行きたいと思いますので、更新しているのを見たら、「更新したんだなぁ」とぐらいに思って頂ければ幸いです。

―――公園―――

P「お前、誰だ?亜美じゃないな」

真美「!?」

P「うーん。それじゃあ亜美はどこに行ってるんだろうか……」

真美「ま、待ってよ兄ちゃん。亜美はここにいるよん?」

P「だーかーら。何を言ってるんだ。俺は亜美に用があるの」

真美「だ、だから亜美はここに」

P「いんや。絶対違う。お前は亜美じゃない」

真美「……なんで」

P「なんでって。見りゃわかるよ」

真美「誰にも、気づかれたことなかったのに」

P「逆に気づかない方がおかしいと思うんだけどなぁ。俺は」

真美「はるるんにだって、ちーちゃんにだって、まこちんにだって……」

P「そういやアイツら気づいてなかったな。りつもミキもことりも、ゆきもあずも」

真美「そうだよ!真美と亜美の入れ替わりは完璧なんだよ!?なのに、なんで」

P「だから、見てりゃわかるっての」

真美「どこをどう見たらわかるのさ!」

P「わかるよ。だってお前は亜美じゃないから」

真美「言ってる意味がわかんないよ……」

P「俺はお前が誰かは知らんけど……まぁ、なんだ」

P「お前は亜美とは違う。亜美もお前とは違うんだ」

P「例えばそうだな―――靴紐の結び方?」

真美「靴紐の結び方?」

P「亜美は靴紐を蝶々結びするとき、左側を絶対に長く結ぶんだよ。だけど、今日は右側を長く結んでる」

真美「あ、あう。そんなところまで見てるの?」

P「偶然だよ。足元見たら、いつもと違うのがなんとなく気になって」

真美「そっかぁ。亜美はいいな、兄ちゃんみたいな仲間がいてさ」

P「何言ってんだ?」

真美「え?」

P「お前も今日から、仲間だよ」

真美「……ダメなんだ。それは」

P「そっか。そりゃ残念」

真美「ねぇ、また亜美……ううん、真美がここに来たら、一緒に遊んでくれる?」

P「当たり前だろ」

P「お前は否定したけど―――俺たちはもう、仲間だからな」

真美「……ありがと、兄ちゃん」

―――数日後―――

P「なぁ」

真美「なに?」

P「今日も入れ替わってんだな。どうした?」

真美「……靴紐、直したはずなのになぁ」

P「今日は亜美とヘアゴムの色が違う」

真美「あう、初歩的なミス……」

P「で、どうした?」

真美「別に。また兄ちゃんと遊びたくなって」

P「嘘をつくな、すぐわかるよ」

真美「……どうして」

P「亜美も嘘をつくとき、耳が少し動くんだよ。そういうところはそっくりだな」

真美「そうなんだ。真美、そんな事知らなかったよ」

P「改めて、何かあったか?」

真美「……ねぇ、兄ちゃん」

P「なんだ?」

真美「大人になる、ってどういうことかな」

P「大人になる、ねぇ」

真美「最近、わからないんだ」

真美「全然友達がいない学校に通って、全然楽しくもない授業を受けて、真美はそうやってツマンナイ大人になっていくのかなって」

P「……俺には難しいことはわかんねぇよ」

P「ただ、そう思うんなら、変えればいいんだ」

真美「……変える?何を?」

P「全部を、だよ。そんなにツマラナイなら、転校でもしたらどうだ」

真美「転校って……そんな勝手な事、できないよ」

P「どうして」

真美「父ちゃんや母ちゃんに迷惑かけちゃう」

P「じゃあお前はどうしてここに来てるんだ?」

真美「え?」

P「何かを変えたいから、ここに来れば何かが変わるから」

P「そう思っているから、バレたら親に迷惑かかるだろうだろうに、学校を抜け出してここまで来てる」

真美「……なんで真美が学校を抜け出してること、知ってるの」

P「亜美から聞いた。お前、医者になるために、専門の学校に通ってるんだってな」

P「そんでもって、たまにこうやって亜美と替え玉してる」

真美「……真美は、立派な大人にならなくちゃいけないから。父ちゃんの跡を継いで」

P「とは言うけどな、世の中に立派な大人なんて言える奴はそうそういないよ」

真美「じゃあ聞くけどさ。兄ちゃんはどんな人を大人だって思うの?」

P「俺か?俺はだな―――」

―――双海家―――

真美「……」

真美「寝ちゃってた……今何時だろ」

真美「ちょうど十二時……」

真美「今日ってオフだったよね。だけど、事務所に行けば兄ちゃんいるかな」

真美「……亜美は仕事か」

真美「それじゃ、行くと決めたんなら準備しないと!」

真美「さ!今日も元気に頑張ろ→!」

真美「……ん?」

双海母「……!……!」

双海父「……!!」

真美「隣の部屋から、なにか聞こえる……?」

真美「も、ももも、もしかして喧嘩!?」

真美「ば、バレないように、そっと外に……」

双海母「……本気なんですね」

双海父「……ああ」

双海母「真美は絶対に納得しませんよ」

双海父「わかっている。だけど、仕方ないんだ」

真美「(あれ?真美の話?)」

双海母「……亜美も、納得しないと思います」

双海父「承知の上だ……」

真美「(亜美?)」

双海母「――――!」

真美「……えっ……?」

―――事務所―――

真美「……」

P「真美ー」

真美「……あ、兄ちゃん」

P「どうした。事務所に来た時から様子が変だぞ」

真美「そ、そうかな?」

P「ずーっと椅子に座ってぼーっとしてるし。何かあったのか?」

真美「お、女の子には女の子の事情があるんだYO!」

P「女の子の、事情……ああ」

P「すまない。デリカシーがなかったな……」

真美「ち、ちちち違うから!兄ちゃんが想像してるのとは絶対違うから!!」

P「違うのか?」

真美「違うよ!」

P「じゃあどうしてそんな元気ないんだ?」

真美「それ、は……」

P「……分かった。無理に言わないでもいい」

真美「うん、ごめんね兄ちゃん」

P「女の子には必ずトップシークレットがある、らしいからな」

真美「……ふふふ、何それ」

P「……なんだっけ。なんか漫画かなんかのセリフだったかな」

真美「タイトルとか覚えてないの?」

P「残念ながら」

真美「おいおい、そんなんじゃ真美君のプロデューサーは務まらないよP君~」

P「社長の真似か?」

真美「うん!自信作」

P「うーん。60点」

真美「ちぇっ、兄ちゃんはきびしいなー」

P「流石に女の子に社長の物真似は無理があるだろう……特に真美には」

真美「そ→かな→?」

P「律子辺りがやったら、結構似てるかもな」

真美「あ、分かるかも!」

律子「……ごほん、P君。アイドルと遊んでいて仕事は終わったのかね?」

P&真美『うわあああ?!』

律子「全く。何をやっているんですか貴方達は」

真美「暇を持て余した」

P「アイドルの」

P&真美『遊び』

律子「仲がいいのは結構ですが、仕事、終わったんですか?」

P「……まだ少しだけ残ってるかなーって」

律子「さっさと終わらせてきなさい!!」

P「はいただいまー!」

真美「兄ちゃん大変だね~」

律子「はい真美。これ明日のスケジュール。確認しておいてね」スッ

真美「うげー……」

P「真美」

真美「んー?」

P「あまり悩み事、溜め込むなよ」

真美「……うん」

―――夜 双海家―――

亜美「たっだいま~!」

真美「おかえり」

亜美「お、真美~聞いてよ~今日、いおりんが―――」

真美「ごめん、亜美。大事な話があるの」

亜美「……?真美、もしかして真剣な話?」

真美「うん……」

亜美「そっか……あまりシリウスなムードは好きじゃないんだけどな~」

真美「……」

亜美「え、っと……ごめん」

真美「ううん、こっちこそごめん……」

亜美「それで、真美がそんなに沈み込むなんてどんな話?」

真美「……あのね亜美。驚かないで聞いて欲しいんだ」

亜美「う、うん?」

真美「それと、これは絶対内緒の話。亜美だから信用して話すんだからね?」

亜美「……わかった」

真美「あのね、父ちゃんが―――」

―――翌日 事務所―――

亜美「うーん、うーん……」

P「ん、珍しいな。悩み事か?」

亜美「うん……すっごくすっごくむつかしい悩み事」

P「そっか……昨日、真美が元気なかったのと何か関係があったりするか?」

亜美「……ノーコメントで」

小鳥「そんな事はどうでもいいんです!決まりました!」

P「えっと、何が?」

小鳥「聞いて驚かないでくださいよ~?」


小鳥「765プロオールスターズライブです!!」

ミス、>>811の前

P「もう答え言ってるようなもんだぞ」

亜美「うあうあー!亜美に隠し事なんてやっぱり無理だってー!」

P「なんだ隠し事だったのか。すまないな」

亜美「うーん、でも、兄ちゃんなら、うーん……」

P「真美に口止めされてるんだったら別に言わなくても―――」

小鳥「大変ですP君!」

P「小鳥さん!?ってか、呼び方」

―――レッスン場―――

P「というわけで、今日みんなに集まってもらった」

春香「本当ですかプロデューサーさん!」

千早「久しぶりね……全員でのライブだなんて」

美希「でこちゃんと一緒のライブなのー♪」

伊織「でこちゃん言うなっ!……ま、私も楽しみよ。美希とライブするの」

律子「はいはーい。静かに。まだ重大な発表があるらしいからしっかり聞いてねー」

いきなりそんな事よりとかぴよちゃん言いだすからひでー思ったらwwww

真「それって、律子は知ってるの?」

律子「私もまだ知らないわ」

P「えー、ということで重大発表なんだが」


P「律子にも、ライブに参加してもらうことになった」


律子「……はい?」

亜美「またりっちゃんと一緒にライブができるのー!?」

あずさ「あらあら~」

律子「ちょ、ちょ、ちょ!?」

P「ちなみに拒否権はなかったりする。社長命令だ」

律子「そ、そんな!私、最近はただでさえ忙しいのに……」

P「ああ、そのへんは問題ない。小鳥さんと俺で律子の分の負担を減らすことになったから」

小鳥「ぴよっ!?聞いてませんよプロデューサーさん!!」

P「言ってないですからね。確実に定時には帰れなくなると思います」

小鳥「ぴよおおおお……」

やよい「じゃあじゃあ、本当のオールスターライブって事ですかー?」

P「そういう事になる。欲を言えば、小鳥さんも出て欲しかったんだけど……」

小鳥「無理です無理無理!!」ブンブン

P「まぁ本人がこう言うだろうと社長も諦めたそうだ」

雪歩「あの、じゃあ今日の特別レッスンっていうのは……」

P「ああ、ライブの説明等も兼ねた合同レッスンだ」

美希「なんだかミキ、ワクワクしてきたの!!」

響「なら自分、今回はダンスで美希に負けないさー!」

真「ボクだってダンスで美希や響に負けないよ!」

春香「千早ちゃん!デュエットとかあるかな?!」

千早「あるといいわね。ふふっ」

雪歩「し、心配ですぅ……」

亜美「大丈夫だってゆきぴょん!リラックスリラックス」

やよい「うっうー!楽しみですー!」

律子「大丈夫かしら……私……」

あずさ「あらあら、一緒に頑張りましょう~」

伊織「前のライブも大丈夫だったじゃない。平気よ平気、にししっ」

P「小鳥さん、早速なんですがこのスケジュールを……」

小鳥「ぴよぴよ……」


真美「……」

亜美「真美……」

―――夕方 事務所―――

亜美「うあーちかれたー腕痛いー足痛いー」ボスッ

P「お疲れ様」カタカタカタカタ

真美「……」

P「真美もお疲れ様」カタカタカタカタ

真美「あ、うん……」

亜美「……」

P「とりあえず何か食べるか?冷蔵庫にケーキが入ってたはずだ」カタカタカタカタ

亜美「ホント!?兄ちゃんやるね~♪」

小鳥「ケーキッ!?」ガタッ

P「小鳥さんの分もありますよ」カタカタカタ

小鳥「あ、でもプロデューサーさんは……」

P「俺は一通り仕事終わってから食べますので、先にどうぞ」カタカタカタカタ

小鳥「じゃあ……お言葉に甘えて」

亜美「真美も食べるっしょー?」

真美「真美は……いらない」

亜美「えっ?」

真美「ご、ごめん。お腹すいてなくて……」

亜美「……そっか」

小鳥「それならしょうがないわよ。休憩室で一緒に食べましょ、亜美ちゃん」

亜美「うん!」

真美「……」

P「……」カタカタカタカタ

真美「ねぇ、兄ちゃん」

P「なんだ?」カタカタカタカタ

真美「もしも、765プロの誰かがアイドル辞めたらどう思う?」

P「……」ピタッ

真美「たとえばの話だよ。みんなに聞いてるの。アンケートみたいな」

P「……そうだな」

P「俺はきっと……後悔すると思う」

真美「どうして?」

P「どうにかして理由を聞けなかったのか、俺では力不足だったのか、そんなに信頼されてなかったのか」

P「そんな事を考えて、数日は仕事にならないだろうな」

真美「……それじゃダメだよ。兄ちゃんはプロデューサーなんだからさ」

P「表面上は取り繕うよ。ただ、部屋で泣いたりするだろうなって」

真美「兄ちゃんって、意外と泣き虫なんだね」

P「うるせ」

真美「……真美が辞めても、泣いてくれる?」

P「……お前、どういう意味d」

真美「っ!変なこと聞いてごめんっ!真美、帰るねっ!」ガチャッ

P「お、おい真美?!」

P「行っちまった……しかし、真美が辞めても泣いてくれる?って……」

P「……心配になってきたな」ガチャ プルルルル

P「もしもし、双海さんのご自宅ですか―――?」

―――翌日 双海家―――

双海母「どうぞ……」

P「ああ、お構いなく」

P「お忙しい中すみません」

双海父「いえいえ、そちらこそライブの準備でお忙しい中ようこそいらっしゃいました」

P「ライブのことをご存じで?」

双海父「ええ、亜美が楽しそうに話していましたので」

P「そうですか……」

双海父「私も、仕事がかぶらなかったら行くつもりですよ」

双海母「っ」

P「ありがとうございます。二人も喜ぶと思います」

P「それで……聞きたいことなんですが、最近、真美の家での様子が如何でしょうか?」

双海父「真美……ですか?」

P「はい。事務所で、元気がないように見受けられましたので」

双海父「そうですね……亜美と一緒に部屋にこもることが多くなりましたね」

P「と、申しますと?」

双海父「最近、夕食の後すぐにテレビも見ずに二人で部屋に入ってしまうのです」

双海父「何かまた悪巧みでもしていなければいいのですが……」

P「ふーむ……」

双海父「娘の事ながら、力になれず申し訳ありません」

P「いえいえ!これも立派な収穫です……あの二人が話し合い、ですか」

P「できればこういう事は本人たちに聞いてみたいのですが……」

双海父「私達の方からも、色々と話を聞いてみます」

P「ご協力ありがとうございます。では、短い間でしたが、お手数をおかけしました」

双海父「いえいえ、こちらこそ……」

P「それでは私はこれで。失礼したします」

双海父「何かわかれば、すぐご連絡いたします」

P「よろしくお願いします。では」

双海父「……げほっ、ごほっ!」

双海母「あ、あなた。大丈夫ですか?」

双海父「……ふぅ、もしかしたら、この事が二人にバレたのかもな」

双海母「ええ……」

双海父「二人には知られたくなかったのだがな……」

双海母「しょうがないですよ……」

双海父「亜美……真美……」

―――レッスン場―――

トレーナー「ワン、ツー、スリー、フォー!」

律子「ワン、ツー、スリーッ!?」ガクン

伊織「律子?!」

律子「あいたたた……やっぱブランクがあるわね……」

トレーナー「すみません律子さん。間に合わせるためにはこのペースで行かないと……」

律子「大丈夫です、続けてください」

伊織「にししっ、それでこそ律子よ」

雪歩「で、でも無理だけはしないようにしてくださいね?」

トレーナー「それじゃもう一回、ワン、ツー、スリー、フォー!」

真美「……」

トレーナー「真美さん?笑顔を忘れずに!」

真美「……」

トレーナー「真美さん?」

真美「あっ、えーっと。なにか間違えてた?」

トレーナー「いえ、間違えてはいないのだけど……表情が暗いわ」

真美「ご、ごめんなさい……」

トレーナー「練習とは言え、気を抜かないように。それじゃあまた初めから!」

真美「……」

亜美「ま、真美!笑顔、笑顔」

真美「あ、う、うん」ニコォ

亜美「変な笑顔になってるYO!」

雪歩「真美ちゃん、具合悪いの?」

真美「そうじゃないんだけど……ちょっと悩み事が」

春香「そういう時は無理しないで、ね?周りの人に相談してみるのも手だよ!」

真美「ありがとはるるん……」

春香「私でよかったら、いつでも相談に乗るから!」

千早「でも春香はあまり頼りにならなそうね」

春香「千早ちゃん何をー!」ウガー

真美「……ふふっ」

亜美「その笑顔だよ真美!」

真美「え?」

亜美「今みたいに、自然な笑顔でやっていこうよ!みんなと一緒なら大丈夫だって!」

真美「……うん、そうだね」

P「おっす、やってるかー?」ガチャッ

真「P!?」

P「真、その呼び方は……」

真「あ、す、すいませんプロデューサー……」

春香「まぁまぁ、いいじゃないですか。ねー、ちーちゃん?」

千早「わ、私もその呼び方は……」

亜美「んっふっふ~、聞きましたかね真美隊員?」

真美「ええ、ええ、聞きましたよ亜美隊員」

伊織「あんたちーちゃんなんて呼ばれてたの……?」

千早「や、やめて伊織」

亜美「ちーおねえちゃん、ここの部分なんだけどー」

真美「ちーちゃん、この記号ってー」

千早「亜美!真美!」

>>833 ちょっとした修正
   ×伊織「あんたちーちゃんなんて呼ばれてたの……?」
   ○伊織「あんたちーちゃんなんて呼ばれてたっけ……?」

亜美「わ~逃げろー!」

真美「きゃー!」

やよい「ちーちゃんって呼び方、可愛いですよねー!」

美希「ミキも何かあだ名欲しかったのー……」

千早「そ、そうかしら……」

キャイキャイ ヤイノヤイノ

P「なんか練習中断させてしまったみたいで、すみません……」

トレーナー「いえいえ、ちょうど休憩にしようと思っていたところですから」

律子「して、プロデューサー殿。なんのご用ですか?」

P「みんなに差し入れ……それと」チラッ

真美「ほうほう、兄ちゃんからはいおちゃんと呼ばれていたと」

伊織「あ、あのね……」

亜美「んっふっふ~、あずおねえちゃん!」ギュッ

あずさ「あらあら~」

真美「ひびきんはひびきんかな?やっぱ」

響「……自分、苗字で呼ばれてたぞー」

P「……うん、あの様子なら大丈夫そうかな」

律子「……?」

P「律子……もしもの時は、真美を頼む」

律子「え?あ、あの、プロデューサー殿?」

P「最近、元気がないんだ。出来るだけサポートしてやってくれ」

律子「……わかりました」

P「そんじゃ俺はこれで」

美希「えーっ?!ハニー、もう行っちゃうのー?」

P「俺も忙しいんだよ。それに小鳥さん一人を置いておくわけにはいかないしな」

真「それもそっかぁ」

P「じゃあな!練習頑張れよ!」ガチャッ

春香「はいっ!天海春香、頑張ります!」

真美「あ……兄ちゃん!」

P「ん?」

真美「え、えっと……その……」

P「どうかしたか?」

真美「な、なんでもないっ!引き止めてごめん!」

P「あ、ああ……」

律子「……ふむ」

トレーナー「それじゃあ、練習再開しますよー!」

―――夜 双海家―――

真美「……」

亜美「真美、兄ちゃんに何を言おうとしたの?」

真美「……あのこと」

亜美「やっぱり。じゃあなんでやめたの?」

真美「もしかしたら、真美の勘違いかもしれないから」

亜美「だから今、父ちゃんの部屋の前にいるの?」

真美「うん」

亜美「……聞くの?」

真美「うん、これ以上みんなに迷惑をかけないために、真美も覚悟を決めなくちゃ」

亜美「覚悟……」

真美「亜美も来る?」

亜美「……うん、亜美も覚悟、決めなくちゃね」

真美「わかった。それじゃ、入るよ」コンコン

―――双海父の部屋―――

真美「……」

亜美「……」

双海父「……そう、か」

真美「結局、どうなの?」

双海父「その通りだ。私の体は今、病魔に蝕まれている」

双海父「医者が病気にかかるなど、笑える話だがね」

亜美「笑い話じゃないよ!」バンッ

亜美「どうして亜美達に黙ってたの!?亜美達の事、信用してないの!?」

双海父「そうじゃない。今のお前たちに余計な心配はかけたくなかったんだ」

双海父「お前たちは今、精一杯、楽しそうにアイドルをやっている」

双海父「そんな時に、私の病気ごときで、今を全力で生きているお前たちを立ち止まらせるわけにはいかない」

双海父「だが結果的にそれすらもお前たちを困らせていたんだな……すまない」

亜美「謝って済む話じゃないよ!」

真美「亜美、落ち着いて」

亜美「……っ!」

真美「その病気、治るの?」

双海父「手術をして、五分五分、かな」

真美「……そっか」

亜美「じゃあ半分は死んじゃうってこと!?そんなの嫌だよ!!嫌だよ……っ!!」ポロポロ

双海父「……すまない」

亜美「うぐっ、ひぐっ」

真美「亜美、そろそろ出よう」

亜美「で、でも」

真美「父ちゃんも……きっと辛いだろうから」

亜美「あ……」

双海父「……」

真美「ごめんね父ちゃん、こんな遅くに。ほら、行こう、亜美」ガチャッ

亜美「ま、真美……」バタン

―――真美の部屋―――

亜美「……真美は」

真美「何?」

亜美「真美は、悲しくないの?父ちゃん、死んじゃうかもなんだよ?」

真美「……それは」

亜美「わかってたから?それとも……覚悟、してたから?」

真美「覚悟……してたから、かな」

亜美「そっか……」

真美「真美はね、泣いちゃいけないんだ」

真美「どんなに悲しいことがあっても」

真美「どんなに辛いことがあっても」

真美「真美は泣いちゃいけないし、自分で自分の進む道を見つけなくちゃいけない」

真美「だって真美はもう―――大人、なんだから」

真美「……そうだよね?兄ちゃん……」

書きあがっているのはここまでです。
前述のとおり、今日からはある程度時間ができるので、出来るだけ早く更新していきたいと思います。

途中ですが、ここまで読んでくださってありがとうございました。

相変わらず面白い乙

おっつおっつ
暫くはこっちの更新がメインになるのかしらん。

おっつおっつばっちし☆

まだかな

6s5xschjbuf86ati

最近面白いSSが減ってきたからがんばってほしい

i4hg03hebnいお3び39wb

mverojth89hnlm5othm35o-5

もう一週間たったよ

いんwwq9hんs、g3-h0-

こんばんは。荒れてますがひっそり更新しときます。
真美の口調がちょっとおかしいかもしれませんがすみませぬ……

―――レッスン場―――

トレーナー「ワン、ツー、スリー!」

真美「ワン、ツー、スリー!」

トレーナー「真美さん、動きも表情もぐっと良くなったわね。何かあった?」

真美「ううん、特になにもないよ」

亜美「……」

トレーナー「そう……それと、亜美さん」

亜美「は、はい」

トレーナー「動きに少しブレが出てきたので、注意して踊るように……亜美さん?」

亜美「わ、わかった」

トレーナー「そして目が赤くなっています。夜ふかしは出来るだけ避けるように」

亜美「あ……う、うん」

トレーナー「それじゃあ次は新しい振り付けに移ります。なのでその前に休憩としましょう」

美希「んーっ!新しいダンスなの!」

真「ふふふ、誰が一番最初にきちんと覚えるか勝負しようよ美希!響!」

響「自分、完璧だからなー!負けないぞ!」

美希「ミキだって負けないの!」

真美「亜美」

亜美「……何?」

真美「あの、大丈夫?」

亜美「うん、亜美はへーきだよ。大丈夫」

真美「……そっか」

千早「ちょっといいかしら」

真美「千早お姉ちゃん」

千早「ねぇ、亜美、ちょっと顔見せて」グイッ

亜美「うぇ!?きゅ、急に何千早お姉ちゃん!?」

千早「やっぱり……これ、夜ふかしじゃないわね」

亜美「えっ、ち、違うよ。これは昨日、夜、ゲームのし過ぎで」

千早「ただの夜ふかしならこんな風に目が赤くなることはないわ」

千早「ある程度誤魔化してはいるみたいだけど……何時間も泣いていないと、こんな風にはならない」

亜美「なん、で……」

千早「……私も昔、こんな風になった事があるから」

亜美「あ……ご、ごめん」

千早「別にもういいのよ。それよりも亜美、聞いて頂戴」

亜美「何?」

千早「あの時、春香が真美に言っていたように、誰かに頼ることも必要よ。亜美」

亜美「……うん」

千早「私でよければ、力になるから。だから、遠慮なく私やみんなを頼って」

亜美「……ありがと、千早お姉ちゃん」

千早「お礼はみんなに言いなさい。みんなも、亜美や真美を心配してたのよ?」

真美「真美も?」

千早「当たり前でしょう。この前まで、元気なかったみたいだから」

真美「……そっか。でも、もう大丈夫だよ」

千早「今日の様子を見ている限りでは、確かに大丈夫そうね」

千早「でも真美も、何かあったらみんなを頼りなさい」

真美「うん、わかってるよ。千早お姉ちゃんは優しいね!」

千早「べ、別にそんなんじゃ」

春香「あー。千早ちゃん照れてるー」

千早「春香!」

美希「あはっ、照れたちーちゃんレアなのー」

千早「その呼び方はやめてって言ったじゃない……」

トレーナー「そろそろ再開しますよ。集まってくださーい」

響「えっ、もう?!」

雪歩「へ、ヘロヘロですぅ……」

真「ゆ、雪歩、頑張って」

真美「ね、亜美」

亜美「何?」

真美「みんな、優しいね」

亜美「うん……すっごく、優しい」

真美「……たく……な」ボソッ

亜美「え?」

真美「なんでもない!さ、行こ!亜美!」

亜美「……うん!」

―――事務所―――

真美「兄ちゃん兄ちゃん、ぎゅー♪」ギュゥッ

全員『?!』

P「……真美、その、仕事がしにくいんだが……」カタカタカタ

真美「しにくいだけなら、大丈夫だよね?」ギュゥッ

P「いや……その」カタカタカタ

美希「真美ずるいの!ミキもハニー分補充するのー!」ギュゥッ

P「……なぁ、二人共」カタカタカタ

真美「何ー?」

美希「なの?」

P「あれを見ようか」

小鳥「……ふふふふふ、いーねぇ、P君は……そんなに女の子にもてて……ふふふふふふ」

美希「あ、あれは……」

真美「ま、間違いない……妖怪『売れ残り鳥』……?!」

小鳥「誰が売れ残りよ!!」ガーッ

真美「うわー!売れ残り鳥が怒ったー!!」

美希「捕まると行き遅れるのー!」

小鳥「ふしゅー!ふしゅー!」

P「落ち着いて小鳥さん。ストレスが溜まってるのはわかりますから」

小鳥「こー……ほー……」

P「……はぁ、全く……」スタッ

真美「ん?」

P「小鳥」ボソッ

小鳥「ひゃ、ひゃいっ!?」ビクッ

全員『!?(耳元で名前を囁く……だと!?)』

P「まだ仕事が残ってるよ。もう少し、頑張ろうか」ボソボソ

小鳥「は、はいぃ……」

P「終わったら……ご褒美、あげるからさ」ボソボソ

小鳥「ぴよーっ!!仕事、仕事しますー!!」カキカキカキ

P「ふぅ、こんなもんか」

春香「あ、あのー、P君」

P「どうした春香?その呼び方は……ってもういいか。どうせ無駄だし」

春香「そのー、さっきのはなんなのかなーって」

P「小鳥さんからのお願いだって。もし、小鳥さんが仕事のしすぎとかであんなんになったらやって欲しいって言われてさ」

P「そうすれば自分はやる気出るからって……俺にはよくわからない」

春香「そ、そーなんだー」チラッ

小鳥「……」ニヤニヤ

春香「(……小鳥さん、恐ろしい人……!)」

P「もう聞きたいことはないか?それだったら俺はそろそろ仕事に戻る……」

真美「あのさ、兄ちゃん」

P「今度は真美か。どうした?」

真美「真美にも、さっきのやってほしいなー!」

全員『えっ……?!』

亜美「ま、真美……?」

P「え?いや、なんで真美に」

真美「ま、真美もあーゆー事してもらったらやる気出るんだYO!」

P「そう……なのか?」

真美「うんうん、そうなんだYO!いやー、こういうの、憧れてt」

P「じゃあ、真美」ボソッ

真美「ひゃうっ!い、いきなりはくすぐったいよぉ……」

P「ごめんな、でも、真美にどうしても言いたいことがあって」ボソボソ

真美「そ、そうなの……?」

P「ああ。俺は真美が好きだ」ボソボソッ

真美「あうっ……こ、これはなかなかっ……///」

P「いつもの真美も、頑張ってる真美も、笑ってる真美も……」

P「全部、大好きだ」ボソッ

真美「あ、あうあうあ~……///」ボシュッ バタリ

亜美「真美ー?!」

P「っと、だ、大丈夫か?」

真美「だいじょぶだいじょぶ……えへへへへ」

亜美「真美、大丈夫じゃない。顔すっごくにやけてる」

真美「そーおー……?えへへ」

P「お前、本当に大丈夫かよ」

真美「思ったよりも……凄いね、コレ……うん、疲れとか一気に吹っ飛んじゃうよ……」

春香「あ、あの!!」

P「うわっ!?お、大きな声を出してどうした春香」

春香「その、私にもやって欲しいです!さっきの!」

美希「あー!春香ずるいの!美希もやってもらうの!!」

真「ぼ、ボクもやって欲しいです!」

あずさ「わ、私も……いいかしら~」

P「うぇっ!?で、でも俺、本で読んだようなセリフしか言えないぞ!?」

小鳥「むしろそれがイイっ!!」

P「えええ?!」

真美「いいじゃんいいじゃん、みんなにもやってあげなよー」

P「お前らがいいんなら……いいけど」

春香「やったー!言ってみるもんですね、ほ、ほら、まず一番手は私に!」

真「ボクが先だよ春香!」

千早「わ、私は……さ、最後でいいわ」

伊織「ちゃっかり参加はするのね、ちーちゃん」

千早「う、五月蝿いわよ……」

亜美「……ね、真美?」

真美「何?」

亜美「……なんでもない」

真美「そっか」

真美「あのね亜美」

亜美「何?」

真美「真美……もう、これから遠慮とかしないから」

亜美「……そっか」

真美「【覚悟】、決めたから……」

ちょっと飯落ち すまぬ

待ってる
真美きゃわわ

帰還 再投下 亜美真美編レス足りるかな……

―――翌日―――

真美「兄ちゃん兄ちゃん」

P「ん?」

真美「今度の日曜日、お休みなんでしょ?」

P「まぁ、そうだな……久々の休日だけど」

真美「その……よかったらさ、一緒にお出かけしない?」

P「……え?」

真美「あ、ご、ごめん。休んでたいよね……」

P「いや、俺は構わないが……真美はいいのか?貴重な休日を俺となんか」

真美「貴重な休日だからだよっ!兄ちゃんと少しでも一緒に過ごしたいの!」

P「お、おう……?」

真美「じゃあ、約束だかんね!」

P「わかった」

真美「あ、あとね……二人きり、だから!他の人とか呼んだら、承知しないかんね!」

P「え?亜美も、か?」

真美「うん……亜美も、ダメ」

P「そうか……わかった。約束する」

真美「ありがと兄ちゃん!それじゃ日曜日、楽しみにしてるね!」

P「おう」

P「(多方、亜美と喧嘩でもしたんだろ……たぶん)」

伊織「ねぇ、ちょっといい?」

P「伊織か。どうした?」

伊織「あんた、今度の日曜日空いてたわよね?」

P「ああ、それがどうした?」

伊織「にひひっ、この伊織ちゃんと一緒に買い物に行きなさい!」

P「あー、ごめんな。さっき真美と一緒に出かける約束しちゃったんだ」

伊織「え……?真美と?」

P「うん、なんでも二人きりで話したいことがあるんだと」

伊織「ふ、二人きり……まさか」

P「まぁ、だからごめんな伊織―――伊織?」

伊織「……告白……恋人……」ブツブツ

伊織「こうしちゃいられないわ!至急、新堂に連絡しなくちゃ!!」タタタタタ

P「え?あ、おーい……なんだったんだ一体」

春香「P君!」

P「……春香か。今週の日曜日は空いてないぞ」

春香「先を読まれた?!」

小鳥「P」

P「空いてないです」

小鳥「……」

―――日曜日―――

真美「兄ちゃ~ん!待ったー?」

P「いや、全然」

真美「嘘つけ~。30分前からいたくせに~」

P「うっ……ってなんでお前はそれを知ってるんだ?」

真美「ま、真美は……その……一時間前から、いたから」

P「そっか……待たせちゃったのは俺の方だったか、ごめん」

真美「い、いいよ別に!この時間に約束したのは真美なんだし!」

真美「それより早く行こ、兄ちゃん♪」ギュゥッ

P「えーっと、真美。この前から一体どうしたんだ?」

真美「兄ちゃんの腕がお気に入りなの!」

P「そ、そうなのか……」

真美「ほらほら、時間は待ってくれないよ!まずは買い物から!」

P「……おう!」

真美「んっふっふ~、今日は奢らせてもらうかんね!」

P「お手柔らかに頼むよ……」

真美「ど~しよっかな~♪」

P「やれやれ……」

真「(……ねぇ、伊織)」

伊織「(なによ)」

真「(本当にこんな事しちゃっていいのかな……?)」

伊織「(あんた達も気になるでしょ?真美が急に積極的になった理由)」

春香「(うん!)」

千早「(わ、私は春香に連れられただけで……)」

亜美「(ちーちゃんも気になってるくせに~)」

雪歩「(あれ、あずささんは……)」

律子「(また迷子になったの?!あの人は!!)」

小鳥「(り、律子さん静かにするぴよ)」

響「(じ、自分はたまたま、たまたまここにいたんだぞ!)」

伊織「(はいはい、たまたま、一人で、こんなデートスポットにいたのね)」

響「(ううう……)」

美希「(……)」ギリギリギリギリ

伊織「(美希、みんなが怖がってるから歯ぎしりやめて)」

真「(っていうかよくバレないね……)」

伊織「(ま、あんたにくっついてれば自然にあんたのハーレムに見えるでしょ)」

真「(複雑だなぁ……)」

やよい「(みんなで買い物楽しいですー!)」

千早「(高槻さんは天使ね……)」

雪歩「(も、目標、デパートに入りましたぁ)」

伊織「(よし、行くわよ真)」

真「(はいはい……)」

―――デパート 2階―――

真美「うーん……どれが似合うかなぁ……」

P「どうした?」

真美「あんね、黄色と緑の髪飾りがあるんだけど……どっちが真美に似合うかなーって」

P「やっぱり真美には黄色じゃないか?」

真美「ほうほう、その心は?」

P「そりゃ、真美と亜美のイメージカラーみたいなもんだからな」

真美「イメージカラー、かぁ……」

P「ちなみに春香は赤、千早は青な」

真美「あ、うんうんなんとなくわかる気がするー……じゃあ黄色買っちゃおうかなぁ」

P「なら俺が買うよ」

真美「えっ、いいの?だって今日、昼ごはんも奢ってくれるんでしょ?」

P「こんくらいなら平気だ。ほら、レジ行くぞ」

真美「兄ちゃん大好き~♪」ギュゥッ

P「調子いいなぁ……」

真美「えへへ、本当のことだもん」

P「そっか、嬉しいよ」

真美「むぅ、絶対兄ちゃんわかってない」

P「何が?」

真美「……なんでもないっ」

春香「(私って赤なんだって千早ちゃん)」

千早「(私は青みたいね……この青の髪留め、買っておこうかしら)」

伊織「(それよりも今の会話、完全に恋人のそれよね……?)」

雪歩「(えぇっ!?Pさんと真美ちゃん、付き合ってるんですか!?)」

亜美「(ええええええ?!ま、ままま、真美が、兄ちゃん、と!?)」

真「(落ち着いて亜美。まだ決まったわけじゃないから)」

美希「(……ま、まだ決まってないの、そうなの、そうなの……)」

やよい「(私にはお兄ちゃんと妹に見えましたー!)」

伊織「(まぁ、そうよね。兄妹にしか見えないわよね)」

響「(伊織、さっきと言ってることが違くなってるぞー)」

小鳥「(ぴよぴよ……P君はロリコンだったんだぁ……)」

律子「(しっかりしてください小鳥さん!……ん?あれって……)」

あずさ「あらあら~プロデューサーさん、奇遇ですね。こんなところで~」

伊織達『(あずささーん!?)』

P「あずささんじゃないですか。本当に偶然ですね」

あずさ「はい~。もしかして運命なのかもしれませんね~♪」

真美「……むぅ」

伊織「(も、もしかして……)」

律子「(迷子になったのはわざとで、これを狙っていた……?!)」

小鳥「(あずささん……恐ろしい子っ!)」

あずさ「真美ちゃんも一緒だったんですね~」

P「ええ、まぁ」

あずさ「その、よかったら一緒にお買い物しませんか~?私、迷子になっちゃいそうで~」

P「ああ、それなら―――」

真美「……ダメっ!」

あずさ「え?」

P「ま、真美?」

真美「ま、真美達は今、二人きりで大人のデート中なの!」

あずさ「あ、あらあら~」

P「え」

伊織達『(ええええええええ?!)』

真美「だ、だから、あずさお姉ちゃんでも流石にダメ!行こう、兄ちゃん!」グイグイ

P「えっ、あっ、ちょ、す、すみませんあずささん!!」

あずさ「はい~……」

美希「(大人のデート中ってどういう事なの!?ねぇでこちゃん!!)」グイッ

伊織「(お、落ち着きなさい美希……)」グググ

春香「(……そっかぁ……P君、真美と……)」

千早「(……)」

雪歩「(あ、あの……Pさんと真美ちゃんが行っちゃいますけど、いいんですか?)」

真「(み、みんな追っかけるよ!!ほら、抜け殻になってる場合じゃないって!!)」

―――デパート 屋上―――

真美「もー!言ったじゃん!二人きりって!」

P「す、すまん……」

真美「……んーん、真美こそごめん。真美から誘ったのに」

真「(や、やっと追いついた……)」

春香「(はぁ、真早いよー……)」

千早「(けほっ、けほっ)」

亜美「(あうー、ちかれたー……)」

真「(他のみんなは?)」

春香「(雪歩とか比較的無事なメンバーが介抱してる……)」

千早「(無事だとか介抱だなんて、おかしいとは思うけどね……)」

真「(そっか……少し安心した)」

真美「後であずさお姉ちゃんに謝んないと……」

P「俺からも説明しておくから。一緒に謝ろう」

真美「そだね……あ!お昼の時間だね!」

P「そうだな。じゃあどっかで食うか」

真美「うん!真美ね、美味しいお店知ってるんだ~♪」

P「本当か?真美がそういうのに詳しいって、聞いたことないんだが」

真美「ま、真美だって女の子だよ!お洒落なお店くらい知ってるよ!」

P「それもそうか」

真美「そんじゃ、行こ、兄ちゃん♪」ギュゥッ

P「……このまま行くのか?」

真美「ん→?ついさっきまでだって、腕に抱きついてたじゃん♪」

P「それもそうか……で、どっちだ?」

真美「んーとね、このデパートを出て―――」

真「(……楽しそうだね、真美)」

春香「(……うん)」

亜美「(あんなに楽しそうな真美、久しぶりに見るよ)」

千早「(プロデューサーも……心なしか、楽しそうに見えるわ)」

真「(やっぱり……そう、なのかな……)」

春香「(そうなんじゃないかな……)」

亜美「(兄ちゃんと真美が……恋人……なんか……)」

千早「(……私は跡を追いかけるわ)」

真「(千早?)」

千早「(だって……まだ、諦めたくないから……)」

春香「(千早ちゃん……)」

真「(……わかった、ボクも行くよ)」

春香「(私も、最後まで付き合うよ)」

亜美「(……亜美も!真美の事、気になるし)」

千早「(ありがとう三人共……下手したら、きっと辛いモノを見ることになるわよ?)」

真「(わかってるよ)」

春香「(……行こ、千早ちゃん)」

亜美「(真美……)」

―――数時間後 ライブ会場ドーム前―――

P「……もうこんな時間か」

真美「あれ、もうそんな時間?意外とまだ明るいのに」

P「なぁ、真美。今更だけど、本当にここでよかったのか?」

真美「んー?何が?」

P「いや、せっかくのお出かけなのに……オールスターライブの会場なんかに来てさ」

真美「うん、一度見ておきたかったんだ」

P「真美がいいんならいいんだが……」

真美「あのね、兄ちゃん」

春香「(い、いたよ皆!)」

千早「(や、やっと追いついたわね)」

真「(……ここって、ライブの会場だよね?)」

亜美「(こんな大きなところでライブ、やるんだ……)」

真美「真美、言いたいことがあるんだ」

P「言いたいこと?」

真美「うん、今じゃないと言えない気がするからさ」

P「……なんだ?」

春香「(な、なんかいい感じの雰囲気になってるんだけど……)」

千早「(……今、帰りたい人は帰っていいわよ)」

真「(……帰らないよ。ここまで来て)」

亜美「(真美……)」

真美「兄ちゃん、真美ね」

真美「兄ちゃんの事、大好き【でした】」

真美「今日、一緒に入れて、凄く楽しかったし、凄く嬉しかった」

真美「今まで一緒にいてくれてありがとう……P、さん」

P「っ!?」

真美「……えへへ、なーんて!やっぱ似合わないな!」

P「真美、お前……」

真美「兄ちゃん、もしかしたら、遠くない未来にこんな風に兄ちゃんに告白してくる子がいるかもしれないから」

真美「だからね、その時は、ちゃんと考えて答えてあげて」

真美「真美は……これでいいから」

P「何が、いいんだ……?」

真美「真美ね、大人だから考えたんだ」

真美「このまま、もしもお父さんが死んじゃったらどうしようって」

真美「お母さん一人で、病院をなんとかできるのかなって」

真美「……それでね、真美、覚悟を決めたんだ」

P「さっきから真美、お前は一体何を―――」

真美「真美の覚悟、それはね」


真美「アイドルを辞めること……だよ。兄ちゃん」


これにて八章終了
次の更新で完結になる予定……です。
それではまた会えましたら。

おつ!

おっつー☆

次は誰だ…もつ

他のメンバーの年齢考えたら
P

4d96.8d00556い7k、、

1n11mm1m,1q7nqjmqnq87ぬんq

くだらない理由で辞めるとは…なら真美はいらないとっとと失せろ

>>909
屋上

>>909
校舎裏

>>909
伝説の樹の下

7m95hn867m8

時系列がおかしい
まあタイトル通りリトバスオチかな
支援

56ie5iew56k57l,6yk56

まだかな

mprkへ0い5kj0sjk45い6.じゃ。い

>>917
日本語で頼む

1ヶ月たったがマダー?

まだ

こりゃ自動html化するな

更新来るらしいけど……なんか作者自身もよくは思わない終わり方しちゃうらしいね

皆様こんばんは。お久しぶりです。

俺からここまで更新できなかった事に対しての言い訳はありません。ただ、内容が思いつきませんでした。

期待してくださっていた皆様には大変申し訳ありませんでした。

それでは、最終章の始まりです。

亜美「聞いてないよそんなのっ!!」ダッ

春香「ちょ、亜美!!」

千早「待ちなさい二人共!」

真「……真美」

P「お前ら?!」

真美「……やっぱり、ついてきてたんだ」

亜美「真美、どういう事?!なんでアイドルを辞めるの!?」

真美「さっきも言ったじゃん。真美、考えたんだ」

真美「もし父ちゃんが死んじゃった時、病院はどうなるのかなって」

真美「母ちゃん一人で病院を経営するっていうのも考えたけど……無理だよそんなの」

真美「それこそ、母ちゃんも倒れちゃう」

真美「だから、真美はアイドルを辞めて病院をお手伝いすることにしたんだ」

亜美「そんなの……だったら亜美がやるよ!亜美が病院を手伝う!!」

真美「亜美、じゃあ患者さんが風邪を訴えたときにまずどうするか分かる?」

亜美「えっ、そ、それは……その、喉の調子とか見て……」

真美「喉の調子を見てその後は?どんな症状の患者さんに対してどんな薬を出せばいい?」

亜美「あ、う……」

真美「……真美は昔、お医者さんの学校に通ってたからわかるんだ」

亜美「で、でも!亜美も勉強すればそれぐらい!」

真美「それに、亜美には夢があるでしょ」

亜美「夢……?」

真美「トップアイドルになるっていう、夢」

亜美「……そんなの」

亜美「そんなの、真美と一緒じゃなきゃ夢なんかじゃないよ!!」グイッ

亜美「真美と一緒じゃなきゃやだよ!!二人でトップアイドルになるって約束したじゃん!!」

春香「亜美、落ち着いて」グッ

亜美「離してはるるん!!」

真美「ワガママを言っちゃダメだよ。だから亜美はまだ子供だって言われるの」

真美「大人っていうのはね」

真美「自分の中の欲望を押さえ込んでまで、他人に尽くせる人」

真美「自分の行動に、責任を持てる人」

真美「……自分なりの【覚悟】を持ってる人」

真美「そういう人のことを、大人っていうんだよ。……そうだよね?兄ちゃん」

P「……よく俺が昔に言ったこと、覚えてたな」

真美「当たり前だよ。だって、今の兄ちゃんにピッタリな言葉だし」

真美「自分の中の休みたい欲望さえも押さえ込んで、真美達に尽くしてくれる」

真美「自分の行動に責任を持っていて、真美達が仕事で失敗した時、真美達と一緒になって必死に謝ってくれる」

真美「それにアイドルを一番にするって本気の【覚悟】を持ってるから……誰からも信頼される」

P「……プロデューサーってのは、そういうもんだからな」

真美「普通のプロデューサーさんはそんな事してくれないよ。兄ちゃんだからだよ」

P「ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいよ……でも、聞きたいことがある」

真美「何?兄ちゃん」

P「後悔、してないか?」

真美「……」

P「何よりも……真美はそれでいいと思っているのか?」

真美「……嫌だよ、真美、アイドル、辞めたくないよ」ポロポロ

真美「みんな優しいし」

真美「みんなといると楽しいし」

真美「大好きな、兄ちゃんもいるし」

真美「アイドル辞めたいわけ、ないじゃん!!」

P「じゃあ、なんで」

真美「……真美はもう、大人で、亜美のお姉ちゃん、だから」

真美「アイドルをやりたいって自分の中の欲望は押さえて、それは亜美に譲って」

真美「病院の手伝いをする事に責任を持つために、今一生懸命、医療の勉強もしてる」

真美「……そんで、ここにはもう戻らないって、【覚悟】も決めた、から」

亜美「真美……」

千早「……だから、プロデューサーに気持ちを?」

真美「もう戻れないんなら、最後くらい、いいかなって」

真「……本当に辞めるの?」

真美「今度のオールスターライブで、最後にするつもり」

春香「どうしても、辞めるの?」

真美「うん、父ちゃんが生きてたとしても、ここには戻らない……ううん、戻れない」

P「……そうか」

真美「兄ちゃんは、引き止めたりしないの?」

P「それが、真美の意思なら俺からは何も言えないし、何もできないよ……」

亜美「兄ちゃん!!」

真「亜美……ダメだよ」

亜美「でも、でも!!」

真美「ごめんね、兄ちゃん」

P「だけど、俺個人の意見としては真美にここに残って欲しい」

真美「……兄ちゃん、やめてよ。真美、残りたくなっちゃう」

P「ごめん」

真美「んーん、謝らないでいいよ。そう思ってくれてて嬉しいし」

真美「それとね、お願いがあるんだ。文字通り、みんなへの最後のお願い」

春香「……何?」

真美「この事は、まだみんなには秘密にして欲しいの」

真「なんで、そんな」

真美「父ちゃんが病気を隠してたのと同じ理由。ライブが近いし、みんなを混乱させたくないから」

千早「……そう、わかったわ」

春香「千早ちゃん!?」

千早「春香。今の真美に何を言っても無駄よ」

春香「そうかもしれないけど!」

千早「今の真美は……あの時の私に似ているから」

春香「あの、時……?」

千早「今は……真美の言うとおりにしてあげましょう」

真美「それじゃあ、真美、帰るね。今日は楽しかったよ、兄ちゃん」

P「……俺も、楽しかったぞ」

真美「そっか……うん、嬉しいな」

亜美「待ってよ!亜美も一緒に帰る!ちゃんと話をしようよ!」

真美「ごめん、亜美。暫く一人にさせて……」

亜美「ま、真美……」

真美「今のうちに気持ちの整理、しちゃうからっ……!」タッ

亜美「待って!真美!!」タッ

P「……なんでだよ……」

真「P……」

P「なんで、何も相談してくれなかったんだよ!!」

春香「P君……」

P「……くそっ」スタスタ

千早「どこ行くんですか?!」

P「……帰るだけだ。お前らも早く帰れよ」スタスタ

春香「あ……行っちゃった……」

千早「……心配ね」

真「真美の事?」

千早「真美の事もだけど……プロデューサーが」

春香「P君が?」

千早「……何か、悪い事が起きなければいいけど」

―――翌日 事務所―――

小鳥「……」ガリガリガリガリ

律子「えーっと、小鳥さん?」

小鳥「い、今は話しかけないでください。数字忘れちゃう……!!」ガリガリガリガリ

律子「は、はい……」

伊織「ったく、昨日デートみたいな事しておいて、今日病気で休むなんてアイツいい度胸してるわね」

あずさ「伊織ちゃん落ち着いて~。疲れが出ちゃったのよ、きっと」

響「ある意味、プロデューサーが休めてなかったのは私達のせいかもなー……」

美希「は、ハニーは真美とは付き合ってないんだよね?!そうなんだよね?!」

真「み、美希。落ち着いて」

雪歩「でも……心配です。もしかしたら、昨日は無理に振舞っていたのかも……」

やよい「レッスンが終わったら、みんなでプロデューサーのお見舞いに行きましょー!」

真美「……」

亜美「……」

春香「(千早ちゃん)」ボソッ

千早「(何?)」

春香「(P君が休んだのって……もしかして……)」

千早「(多分……真美に会いたくないからでしょうね)」

春香「(このままだと、P君、ライブまで来なくなっちゃうかも……)」

千早「(……そうね、なんとかしないと。春香、手伝ってくれるかしら)」

春香「(うん!)」

―――Pの部屋―――

P「……何やってんだよ、俺は」

P「仮病使って、大事なライブ前に休むとか……」

P「……」

P「真美……」

P「どうして、相談してくれなかったんだよ……」

P「なんで、俺を頼ってくれなかったんだよ……」

P「なぁ、真美……」

ピンポーン

P「……」

千早「プロデューサー、いますよね?」

P「……千早か」

千早「単刀直入に聞きます。仮病ですよね?」

P「……バレバレだったか」

千早「やっぱり」

P「それで、何のようだ」

千早「明日、事務所に来ていただけますか?」

P「明日?」

千早「はい。夜の9時に、できる限り誰もいない時間帯に」

P「……」

千早「誰にも聞かれたくない大事な話があるんです。来ていただけますか?」

P「それは、本当に大事な話なんだな?」

千早「はい」

P「わかった。明日、夜の9時だな」

千早「ありがとうございます。私から伝えたいのはこれだけです」

P「……仮病の事、責めないのか?」

千早「責めたところで時間が戻ってくるわけではないですから。謝るなら小鳥さんに謝ってください」

千早「それに……プロデューサーの気持ちも、わからなくはないですから」

P「……ありがとな」

千早「お礼を言われるような事は何も。それでは私はこれで」

P「明日、か……」

プルルルル

千早「もしもし、春香?」

千早「ええ。こっちは上手く言ったわ。そっちは?」

千早「……そう。わかった」

千早「なら、明日なんとかして引き止めて」

千早「お願い。頼んだわよ」ピッ

千早「これで、なんとかなればいいのだけれど……」

―――翌日 夜 事務所前―――

P「……」キキーッ

P「事務所に明かりは……ついてる。ちゃんと待っててくれたみたいだな」

P「大事な話か。一体何なんだろうな」

P「千早の事だし、ボーカルレッスンとかについてだろうか?」

P「それとも、真美の……」

P「……悩んでも仕方ない。行くか」

―――事務所―――

P「千早ー?」ガチャッ

真美「え?」

P「っ!」

真美「兄、ちゃん?」

P「真美……?!な、なんでここに」

真美「は、はるるんが聞きたいことがあるからって……ここで待っててって」

P「そ、そうか」

真美「そういう兄ちゃんはどうしてここに?」

P「俺は千早から呼ばれて……」

真美「っていうか兄ちゃん、元気そうだね。仮病?」

P「……」

真美「図星みたいだね~」

P「……はぁ」

真美「いーけないんだ。いーけないんだー。りーっちゃんに言っちゃおー」

P「勘弁してくれ。それで、千早を見なかったか?」

真美「んーん見てない。はるるん見た?」

P「見てないな」

真美「そっか……じゃあこれって……」

P「……やられた」

真美「はるるんと千早お姉ちゃん、策士だねー」

P「全くだ」

真美「昔はこういうの、兄ちゃんの十八番だったのにね」

P「そうだったか?」

真美「そうそう。喧嘩した二人をこうやってそれぞれ他の人が呼び出して、偶然バッタリ!みたいな解決法」

P「……あまり覚えてないな」

真美「真美や亜美はよく協力してあげたんだけどなー。覚えてないなんて、真美ショック!」

P「……ごめん。昔の事はあんまり覚えてないんだ」

真美「あ……そんな真面目モードになられても、真美が困るんだけど……」

P「ごめん」

真美「もー。そういうのはいいからさ。……でさ、兄ちゃん」

P「なんだ?」

真美「真美、言ったよ」

P「……」

真美「昨日、父ちゃんに言ったんだ。アイドル辞めるって」

P「なんて言ってた?」

真美「別に何も言わなかったよ。ただ『そうか』って」

真美「真美としては、何か言われるかと思ったんだけどねー」

P「お前のお父さんもある程度は分かってくれてるって事だろ」

真美「そういう事……なのかな」

P「納得してないのか?」

真美「まぁね。父ちゃん、中途半端な事は嫌いなはずだから」

真美「これで真美がやるべき事は全部終わったのかな?」

P「……そう、かもな」

真美「もうこの事務所ともお別れかー。私物とか、持ち帰らないとね」

P「いつも律子が言ってたぞ。ゲームはちゃんと片付けろって」

真美「あー。それも謝っとかないとなぁ……亜美にもちゃんと言っておこ」

P「ところどころに仕掛けてあるトラップもちゃんと回収しとけよ」

真美「あ、バレてた?それはほら、亜美が受け継ぐし」

P「受け継がないで結構」

真美「うへー……」

真美「……兄ちゃん」

P「苦情は受け付けないぞ」

真美「そうじゃなくてさ」

真美「最後まで、真美の面倒見てくれてありがとね」

P「っ」

真美「真美ね、あの時ずっと好き【でした】なんて言ったけど……」

真美「本当は今でも、大好きだよ。兄ちゃん」

P「……俺は」

真美「返事は言わなくっていいよ。知ってるから……」

真美「じゃあね。真美、もう行くよ」

P「……そうか」

真美「バイバイ、兄ちゃん。ちゃんと事務所には来ないとダメだよ?」ガチャッ

P「……」

P「(本当に、いいのか?)」

P「(ここで俺は―――真美を引き止めないで)」

P「(……いや、いいんだ)」

P「(これは真美が決めたことなんだ。昔みたいに、無責任な事を言ったり、無責任な事をする訳にもいかない)」

P「(俺も真美も……もう、大人なんだから)」

P「ああ……さよなら」

―――バタン

P「……これで、いいんだ」

P「これで……」

―――事務所前―――

真美「……本当は」

真美「本当は、なんでもいいから、引き止めて欲しかったな……兄ちゃん」ポロポロ

真美「引き止めてくれたら……真美だって……」

真美「……ううん。でも、それはもう叶わないから……」グシグシ

真美「真美は真美のやるべき事を……しっかり、やらなくちゃ」

そして

彼の夢はここで終わって

彼女の夢も、ここで終わる

二つの夢はもう二度と、交わる事はない。

【彼女】がいないこの夢も―――また、一つの終わり。




THIS DREAM IS END

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―――夢を見た

それはとても悲しい夢。

「本当は……なんでもいいから、引き止めて、欲しかったな……」

一人の少女が泣いている、そんな夢。

「でも、それはもう叶わないから……」

誰だったか。その少女には不思議と見覚えがあった。

確か名前は……

―――「まみ」

P「……あれ」チュンチュン

P「あ、朝か……」ムクリ

P「……あれ、なんでだ?」

P「なんで俺……泣いてるんだ?」

P「それに、『まみ』って……真美とは関係ないよな……」

P「……って時間!ヤバイもう朝飯食ってる暇ねぇよ!!」

P「スーツスーツ!書類!」

P「い、行ってきます!!」ガチャンバタン!


      おわり

これにて一週目の世界は終わりとなります。

……と、いいますか。レス数が足りないので次スレへと参ります。

何ヶ月にも渡って更新してきましたが、このシリーズはまだ少しだけ続きます。
まだ書いていない子もいますしね。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。

では、次スレで会いましょう。

次スレです。

なるほどなるほど安心したぜ
ひとまずは乙だぜ

長い間、お疲れ様でしたー!

乙ついでにこういっちゃなんやけど「俺からここまで更新できなかった事に対しての言い訳はありません。ただ、内容が思いつきませんでした。」
この内容が思いつきませんでしたって言い訳じゃ…

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