ミノタウロス「嫁を紹介するむぉ」女騎士「嫁じゃないです。」 (176)


迷宮の奥深くで遭遇したうら若き女騎士と、雄牛の頭を持つ怪物ミノタウロス

一触即発の対決…とならず微妙な空気

衝突することなく迷宮最深部にいざなわれた女騎士の前にミノタウロスの母(人間)が立ちふさがる?


ミノタウロス「明るい家族計画しない?」女騎士「そんな予定はありません。」
ミノタウロス「明るい家族計画しない?」女騎士「そんな予定はありません。」 - SSまとめ速報
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(迷宮最深部・ボスの間)



ミノタ 「紹介するむぉ ボクの母上だむぉ」

女騎士 「こんにちは」

ミノタ 「母上、紹介するむぉ ボクの嫁だむぉ」

女騎士 「嫁じゃないです。」

母上  「はい、こんにちは。人間に会うのは久しぶり。」

ミノタ 「あ、まだ結婚届け提出してなかったむぉ」

母上  「式はともかく、届けだけはちゃんとしないといけないよ。
     女の最低限譲っちゃいけない一線だからね。」

ミノタ 「ちゃんと出しておくむぉ」

女騎士 「合意してないからね!? 勝手に出すの犯罪だからね!?」

ミノタ 「じゃ、出産届けが先になるかむぉ」

女騎士 「あたしは母親にはならないからね!?」

ミノタ 「育児放棄むぉ!?」

女騎士 「いやいやいや! 生まないから! このやり取り三度目だから!」


母上  「余計なお世話かも知れないが、出産をあまり後回しにするのは良くないよ?」

ミノタ 「そうだむぉ 忙しいとか、学費貯まったらとか、育児休暇取ったら席が無くなるとか、
     人それぞれ事情はあるけど、高齢になればなるほど母体が危険とか
     生まれる子に問題が生じるとか、良くない確率が上がるんだむぉ」

女騎士 「確率もなにも、あなたとの子なら確実に頭が牛じゃないですか!」

ミノタ 「お姉さん美人だから、きっとボクらの子は美形なイケメンタウロスだむぉ」

女騎士 「おだてたって産みませんからね? それにミノタウロスじゃイケメンもなにもないわ。」

母上  「おや、そうでもないよ? 私の主人はなかなかのオトコマエさ。」(/// カァァ

母上  「少なくともゴブリンみたいなオマエラよりはwww m9(^Д^)」

女騎士 「やめて!? 照れ隠しで読者に喧嘩売るのやめて!?」

ミノタ 「獣姦使用済みビッチ肉便器がふざけろよ!という声が聞こえてきそうだむぉ」

女騎士 「……。あなたもしかして本当は母親に敬意持ってないでしょ?」


母上  「どうもこの子は騎士どののような綺麗な子に弱いと言うかだらしないというか。」

母上  「それでも、この子が惚れたというのなら悪いようにはしないだろうから、仲良くしてやってね。」

女騎士 「赤ちゃん産めと迫られて、精神的苦痛を受けています! 訴訟も辞さないです!」

母上  「おや…、避妊を要求するのは妻の権利だよ? 無計画に子を作るのは良くないと言ったろう?」

ミノタ 「明るい家族計画しようと言ってるのに、お姉さんが要らないって、聞かないんだむぉ」

女騎士 「予定は無いって言ったからね!? 避妊要らないとは言ってないからね!?」


母上  「その、なんだ、男女の睦み事に口を出すつもりはないのだけれど…
     産みたくないけど生でヤれって要求は、男には難題だと聞く。長い目で見てやってくれまいか。」

女騎士 「生でヤれとか表現が直接過ぎです! もう少し慎みがほしいです、同じ女として!」

ミノタ 「ほら母上、ボクの見る目に間違いは無いむぉ。
     このお姉さんは"そこらの女騎士"より、慎み深いむぉ。」

女騎士 「"そこらの女騎士"って、いったいどんな人達の事言ってるのですか!?」

母上  「ミノタウロスの三児の母に成り下がったこのビッチに、
     "そこらの女騎士テンプレ"を演じてみせろと? 騎士どのは悪趣味だな、くっくっ…」

女騎士 「いきなり瞳のハイライト消して笑わないでください、怖いです。」

母上  「ああ、すまない。どうもこう…長い事主人とご無沙汰だと、満ち足りなくってね。
     思わずときめいてしまった。」

女騎士 「あたしときめくような事言いましたっけ?」

ミノタ 「すかさず母上の被虐趣味を見抜くとは、お姉さん抜け目ない嫁アピールむぉ」

女騎士 「そんなつもり全く無いですからね!?」


母上  「知らないと言うならご覧に入れよう、"そこらの女騎士"! アクション!」

ミノタ 「 『ぶひひひひ! さあ、オーク特製のくさい○ーメンをたーっぷり味わせてやるブヒー!』 」

母上  「 『あああああ"~~っっ! いいのっ!いいのおおおぉっっ! オークの極太チ○コがっっ!
       あひいいいいい~~っっ!!』 」

女騎士 「コントやって見せろなんて一言も言ってないです!」(///;;

母上  「おや騎士どの、頬染めちゃってかわいいw 私にもそんな頃がありましたw」

ミノタ 「どうしてそこでお姉さんが顔赤くするのむぉ?」

女騎士 「どうしてもこうしても無いです!」

ミノタ 「 伏字は、『ラ』と『ョ』だむぉ 」

女騎士 「 わけがわからないよ !? 」


ミノタ 「お姉さんも"女騎士"の一人、血は争えないむぉ。
     えっちな事想像してぱんつ濡らしてたりしても、ボクは軽蔑したりしないむぉ」

母上  「息子よ、年頃の女の子はいろいろ難しいのだ、イジめちゃいけないよ。」

女騎士 「は、謀ったな!?」

ミノタ 「ボクの母上がいけないのだよ」

母上  「着替えのパンツくらい出して差し上げますが?」

女騎士 「濡れてない!濡らしてない! 本当ですよ!?」


母上  「息子よ、騎士どのはこの程度では不満だそうだよ?」

ミノタ 「母上すみませぬ。この若輩、これを超える迫真の演技にはまだ到達できませぬぉ」

女騎士 「そんな演技、できなくていいからね!?」

ミノタ 「でも大丈夫、これからこのお姉さんとの実践を通じて、演技にさらなる磨きをかけて見せますむぉ」

女騎士 「そんな下品な台詞、氏んでも吐きませんからね!?」

母上  「不甲斐無い息子だねぇ。どう見ても、この騎士どのが"ツッコむ"側ですよ?」

ミノタ 「やさしくしてくださいネ?」クネクネ

女騎士 「キモいです。吐きたいです。」orz


ミノタ 「やっぱり男らしくボクがツッコまないと、子供できないむぉ」

女騎士 「ボケにツッコんでも子供できませんからね?」

ミノタ 「そうだむぉー、これから父親になるのに夢ばかり追っていてはいけないむぉ
     芸人きっぱり諦めるむぉ」

母上  「 あきらめたらそこで試合終了ですよ? 」

ミノタ 「 ツッコミがしたいです 」

女騎士 「…意味深すぎて反応に困ります。」


(迷宮最深部・ボスの間)



母上  「やっと前座のネタが尽きたのでそろそろ本題に入ろう、騎士どの。」

女騎士 「ここまで前座っておかしーですよ!? しかも一度お話終わってますからね!?」

母上  「意味も無く騎士が一人で迷宮に入って来るわけないし、それじゃ話が続かないわ。」

女騎士 「舞台裏の暴露話は自重してくだしあ。」

母上  「よもや自らミノタウロスの子を宿しに、こんな迷宮まで踏み込んで来たわけではあるまい?」

女騎士 「当然です!
     そんな淫乱で悪趣味で頭おかしー女が、この世に居て…たまり……いえ……その……」

母上  「なぜそこで私を見ながら気まずそうに言葉を濁すのです?」

女騎士 「いえ、言いすぎでしたごめんなさい。」


母上  「……。元々私は、好き好んでミノタウロスの嫁になった訳ではないですよ?」

女騎士 「え? てっきり、バブルで成り上がった成金タウロスの財産に釣られて
     ほいほい着いていっちゃって、子供まで作っちゃったビッチさんかと…」

母上  「どっからそういう発想が… あ~、あの子からそう聞いたのですね、はぁ…」

女騎士 「ええと…すみませんごめんなさい。」

母上  「これ、ミノタ、これから女同士の秘密の話をするから、
     お前は向こう行って夕食の支度でもしておいで。」

ミノタ 「保健体育むぉ」

母上  「…おまえはじつにばかだね」


母上  「迷宮"ラビュリントス"は、ミノタウロスが神代の時代より受け継いできた、家であり城なのです。」

母上  「確かに、金欲しさに迷宮を売り払い、ほんの一時期成り上がった、
     奇特なミノタウロスもいましたわ。でもそんなミノタウロスはもはやホームレスです。
     寒空の下、河川敷でテントか公園でダンボール暮らしです。」

女騎士 「ダンボール箱に猫ならよくありますけど…、ミノタウロスはちょっと……」

母上  「彼らは心を病んだ自称勇者(17)達の襲撃にあって、滅んだと聞きます。」

女騎士 「時々紙面を騒がせますね。追いやられた者をいたぶることでクズな自分を慰める基地外が。」

女騎士 「って、急にそっち系の話になっちゃったですよ、本当に本題ですか?」


母上  「私の主人はその手の成タウロスではないわ。」

母上  「お金なんか無かったし、欲しいものは武力で奪い取り、敵対者はぶっ殺す、邪魔な者もぶち殺す、
     逆らう奴はぶっ飛ばす、気に入らない奴もぶん殴る、お前の物は俺の物、俺の物も俺の物」

母上  「それはもう昔ながらの凶暴で残虐無慈悲、どこかの将軍様もびっくりの、
     まごうことなき肉食系ミノタウロスよ。」

女騎士 「ごくり…なんかすごく怖いです。伝説の暴君みたいです。」

母上  「神代の時代からの由緒正しき怪物ですから。」

女騎士 「その… ミノタさんに聞いたんです。えと…」

母上  「何です?」

女騎士 「『母上は父上を愛している』って…そう…」

母上  「……。そ、そんなこと、面と向かって訊かれると、は、恥ずかしいですぅ~」(///;

女騎士 「えー 心配して損した」orz


母上  「それでも、望んでこうなった訳ではないわ…」

女騎士 「え…?」

母上  「騎士どのがお望みなのは、これでしょう?」

     しゅるっ

     はらり…

女騎士 「 キマシタワー!! って、えーと、前フリも脈絡もなく脱がれても…すみませんあたしそっちは――」

女騎士 「……!! その…身体中の傷跡…!」

母上  「我が夫は、更におぞましきものを見ただろうw」

女騎士 「……。」

母上  「やはり、これが目当てだったようね?」

女騎士 「その、まさか、ミノタウロスに…?」

母上  「主人は傍若無人な怪物に違いないですが、弱者を嬲って喜ぶようなクズでは無かったわ。」


女騎士 「では、誰に…!?」

母上  「愚問です。騎士どのは "この傷跡の事" を聞いていたのでしょう?」

女騎士 「…まさか…団長… どうして……!?」

母上  「当たらずも遠からず、ね。私を拷問に掛けたのは、先王の妃。」

母上  「これはごく一部の者しか知らされていない王家の闇。騎士団長も一枚噛んでいるわ。」

女騎士 「いったい何が…!?」


母上  「騎士どの、こんな迷宮の奥まで足をお運びになったのは大方、
     この私を"始末せよ"との命でも受けたのでしょう?」

女騎士 「そんなことはっ! 違いますっっ、そんな命令ではないのです!」

女騎士 「貴女がもし生存していたら、保護し連れ帰れ、と…」

母上  「物は言いようですね。連行し幽閉して虜とするつもりか。」

女騎士 「あなたはいったい…? あたしは、"身体じゅうに傷跡のある女性"としか聞いてなくて…」

母上  「ずいぶん曖昧じゃないですか。他にも聞いた事があるはずですよ?」

女騎士 「死んで骨になってるかも知れないし、生きていても、その…、
     廃人のように、気がふれているだろう、と…」

母上  「…くっくっ… そうね、気がふれている…そうなのかも知れないですね……」

女騎士 「そ、そんなことないですよ? ハイライト消した目するのやめてくださいね…?」


母上  「私は、表向きは王室付きのメイドでした。そして、王位継承権第四位…」

女騎士 「…えと、その、つまりメイドだけど王族の方と? ええっ…」

母上  「先王が遊びで抱いた召使の隠し子というだけの事です。
     王家の人間だなどと思わないでほしい。吐き気がします。」

女騎士 「それがどうして、こんな仕打ちを!? いったい何が…」

母上  「先王の妃、あの女に呼び出され、毒を盛られて、拷問部屋に連れ込まれた…」
     棘のついた鞭で気を失うほど打たれて、裸のまま血まみれで
     ここミノタウロスの迷宮に吊るされたわ。」


女騎士 「ひどいです… それじゃミノタウロスの餌食になれと…」

母上  「ミノタウロスの餌なり慰み者なりに堕ちて、狂って死ねだと…くっくっ」

母上  「先王の子であることは隠していたし、こんな目に合わされるような覚えは無いのだけれど…
     あの女こそ、気がふれていたのでしょう、くっくっ…」

女騎士 「先王の妃は、死にました。王の杯に毒を盛らせた疑いで、牢獄で…」

母上  「ざまあwww このごろあの女が公に出ないからそんなことだろうとwww」


女騎士 「先々月、王は崩御なさいました。
     教会の枢機卿が実権を握りつつある今、騎士団は王室派と教会派に分かれ、真っ二つです」

母上  「騎士どの、あなたが王室派なら、私を捕え虜とし王政の拠り所とするだろう。
     教会派なら、旧王家の残党など邪魔だから始末するだろう。」

女騎士 「えっ? いやあたしは…、任務で…」

母上  「いずれにしても騎士どの…、あなたをこの迷宮から帰すわけにいかないですね。」


女騎士 「そそ、そんなことないですよ!? 無理やりに連れ帰れとは言われてませんからっっ」

母上  「私がこのミノタウロスの迷宮で今も生存していることを、知られたくないのですよ。」ガシャッ

女騎士 「ちょっ!? よしてください、そんな凶悪な斧なんか持ち出してっっ あたしそんなつもりじゃ、」

母上  「魔戦斧"ラビュリス"
     ミノタウロスの王アステリオスより受け継がれし呪いの戦斧…! どう?それっぽいでしょう?w」

女騎士 「じょ、冗談はよしてくださいな奥さん、中二病って歳じゃないですよぉ? あはは…w」ガクブル


母上  「主役のミノタそっちのけで、超展開にしてしまいました。てへ☆」

女騎士 「そそ、そうですよぉ~
     あたしとミノタさんであんなにのほほん進行してきたのに、これはないですよぉ~ あはは…」

母上  「あの調子では、騎士どのの濡れ場になる頃には、読者は勃たない歳という事にも成りかねません。
     巻いていきます!」

女騎士 「読者どうでもいいですから! あたし帰りますからっっ!」


女騎士 「も、もし、もしですよ?
     王室派が復権したら、たとえ利用される身でも、ここに居るよりマシな生活させてもらえると…」

母上  「私はミノタウロスの妻であり、母です。私の居場所はこの藁くさい迷宮です。」

母上  「こんな所でも、血の匂いの充満する王城と比べたら楽園です。」

女騎士 「待って下さい。王妃は死んだし、王家の方はもう貴女しかいません。もうそのような虐待は…」

母上  「信じていただけていないようですね。私はミノタウロスを主人とし、その子らを儲けました。
     …家族を愛しています。」

女騎士 「…!」


女騎士 「そうでしたね…ミノタさんが言ってました。貴女が、帰らない夫を待ってるって。」

女騎士 「王城に帰って、貴女は死んでいたと、そう報告します。それでいいでしょう?」

母上  「騎士どの、甘いですよ? 王家の騎士ならもう少ししたたかでないと長生きできません。」

女騎士 「え?」

母上  「私の死亡が確定なら、密かに替え玉が用意されるだけです。
     その秘密を知る騎士どの、あなたは消される…」


女騎士 「なっ!? そ、それはいくらなんでも、それはないですよっ」

母上  「私を見て、そう言い切れますか?」

女騎士 「そんな…ことは……」

母上  「騎士どのはミノタが惚れ込んだお人だ、むざむざと死なせたくない。
     大人しくここで捕らわれの身になるがいいわ。」

女騎士 「……。」

母上  「では選びなさい。
     この迷宮に留まりミノタの子を産み育てるか、この私と戦い騎士らしく散るか。」

女騎士 「あ、あたしは騎士です! 戦って貴女を下し、帰還します!」


母上  「…よろしい。私をただの哀れな女と踏んだのを、後悔していただきます。」ジャキッ!

母上  「ミノタウロスの母となったこの私に、
     呪いの戦斧"ラビュリス"はその力を惜しみなく与えるでしょう! フゥーッ…!」

女騎士 「目には目を、中二には中二よっ!
     王家より賜りし聖槍"ヴァルキリージャベリン"、戦乙女よ我に力を! はああああぁ…!」






   びし! げし! ごす!






女騎士 「あぐっ… くく… うっ…!」ドサッ

母上  「筋は悪くないですが、どうも今ひとつ…穂先に殺意が乗ってないですね。」

女騎士 「うっ…くっ…! 身体が…力が…」

母上  「傷から呪いが浸透し、あなたの身体を蝕んでいます。もう満足に立てませんわ。」

女騎士 「あ、ああ…っ!」

母上  「心配には及びません。まだ若いあなたなら、何日かで治るわ。」

女騎士 「こん…、こんな…魔物の巣窟で……これなんて罰ゲーム?」

母上  「では問おう?」ニコー

母上  「息子のお嫁になってこの迷宮で子を産み育てるか、ここでマミってオークどもの餌になるか。」

母上  「どっちにする? ん?」ニコニコ

女騎士 「あ…あたしは――」




(迷宮最深部・ボスの間)



女騎士 「あ…あたしは――」



ミノタ 「赤ちゃん産むむぉぉおーー!」ズザザザザ---

女騎士 「ミノタ!?」

母上  「おや、息子よ、向こうで夕飯の支度してなさいと言ったのに。」

ミノタ 「お姉さんはボクの子を産んで、お母さんになるむぉ!
     だからこれ以上、傷つけちゃダメだむぉ!」

母上  「そうかい? 騎士どのはさっきまでイヤイヤってそればかりじゃないかい。」

女騎士 「あたしは…ぐむぅ!?」ガバッ

ミノタ 「お姉さんは黙ってるむぉ!!」

母上  「…。ミノタや、切ったたまねぎを女の子の口に捻じ込むプレイでも流行ってるのかい?」


ミノタ 「じつはお姉さんは、ツンデレむぉ!
     口ではイヤイヤ言ってるけど、ホントはボクとヤりたくてうずうずしてる万年発情娘むぉ!」

女騎士 「むぅーー!? ぐむむむぅ!」

ミノタ 「慎み深い素振りして、怪物チ○コに身体中の穴という穴を徹底的に蹂躙されてみたいと思ってる
     K点超えの超変態なんだむぉ!」

女騎士 「むむむぅーーっっ!? うっ、うっ… うぐぅぅぅっ」フルフル

ミノタ 「ついでに怪物の赤ちゃん孕んだらアヘ顔ダブルピースでツイートしちゃおうかな♪
     とか考えてる世界遺産級のくるくるパーむぉ!」

女騎士 「むぉむぉむぉぅーーっっ!? ふぐうううぅぅぅっっ!!」プルプル

ミノタ 「だけどツンデレだから恥ずかしくてそんなこと言えないっていう設定厨むぉ!」

女騎士 「むぁぁあむぉぅ~っ ふううぅぅぅっっ~っ」プルプル

ミノタ 「だからこれ以上イビるのよくないむぉ!」

女騎士 「うっ、うっ、えぐっ むぁぁぁぁ~ん(泣)」ポタポタ

母上  「……。これはひどい」


母上  「こほん…。あ~母から言う事はもう何も無いわ。ミノタ、あとはまかせたわ。」

母上  「あたしゃちょっと疲れた…休ませてもらうよ…はぁ…」

ミノタ 「お姉さん、大丈夫かむぉ!? たまねぎ目に染みたかむぉ!?」

女騎士 「えぐっ、えぐっ、ぐしゅっ」

ミノタ 「傷は浅いぞ、しっかりしろー!」

女騎士 「 うあぁぁぁん 」

ミノタ 「ど、どこが痛むむぉ!?」

女騎士 「 心だよ、コ コ ロ ! 」

女騎士 「あなたの母上に、万年発情ツイートK点超え超変態くるくるパー女だと思われた……ふえええっ」


(迷宮最深部・ボスの間)



ミノタ 「そろそろ機嫌なおして、起き上がってほしいむぉ」

女騎士 「……。」

ミノタ 「どうしたむぉ? …もしかして重傷むぉ!?」

女騎士 「~~っ」

ミノタ 「何だむぉ?」

女騎士 「の、呪いで…」

ミノタ 「ノロウイルス?」

女騎士 「…動け…ない…」ボソッ

ミノタ 「どうしてむぉ?」

女騎士 「呪いで…全く身動き出来なくされちゃったのよっっ!(泣)」


ミノタ 「……。それはマズいむぉー?」

女騎士 「……くっ…!」

女騎士 「もう最悪!! この状況あたし詰んでる!終わってる!」

ミノタ 「どうして欲しいむぉ?」

女騎士 「…好きなようにすればいいです!」

ミノタ 「じゃ血が出てるし部屋で手当てするむぉ。ご飯もできてるから食事にするむぉ」ヒョイ

女騎士 「え? ちょっと…… どこ連れてくのっ!?」


(迷宮内居住区・医務室)



アらラ 「はい、それじゃ着てるもの脱がしますネー」

女騎士 「……。誰!?」

ミノタ 「アらラさんむぉ」

アらラ 「あららー? 騎士さま結構頑丈な甲冑を御召しですのネ? 外れませんわ」

女騎士 「……。植物系な女の子?女の子の植物? …それツタなの!?触手!?」

ミノタ 「以前はアルラウネ科の植物だったむぉ。エルフの女の子食べてからこんなのになったそうだむぉ」

女騎士 「食人植物っ!? あたしをどうする気なのぉっ!?」

アらラ 「怪我をしてなさいますから、お手当てを。あ、でもお手伝いですからネ? ほい、外れた。」


ミノタ 「お姉さん、服も脱がすむぉ」

女騎士 「やめて! ほっといてよ!」

アらラ 「あららー、そうはいきませんわ。破傷風を侮ってはいけませんネ。」

アらラ 「それに傷が残らないようにしてさしあげないと。ミノタさんのお嫁さんなんですからネ。」

女騎士 「違うってばっ」

ミノタ 「アらラさんのはただの口実むぉ。本当は脱がしたいだけむぉ」

女騎士 「馬脚を現したわねっ!?」

ミノタ 「ミノタウロスに馬脚言うなむぉ」

女騎士 「あっ、脱がさないでってばっ、やめて!」

アらラ 「あららー? お肌、綺麗ですネ? 妬けてしまいますぅ! うふ、すべすべ…うふふふ」

女騎士 「ひやぁぁあ! 撫でるのやめてっ!」


アらラ 「もー我慢なりませんですぅ! 全部脱がしてさしあげますぅ♪ うふふふふふ」

女騎士 「だめ! イヤだってば!」

アらラ 「あららー? 胸にサラシなんか巻いてるですか? 古風でいらっしゃる。」

ミノタ 「これは893式特攻兵装むぉ。今時流行らないむぉ」

女騎士 「うるさいです!」

アらラ 「血が滲んでしまってますわ、とっちゃいましょうネ♪」

女騎士 「やだ!? やめてよぉ!?」

アらラ 「男性はご主人しか見てませんわ♪ 良いではないか良いではないか、それそれ~~」

女騎士 「あーれーっ …ううっ これなんてプレイ?」

ミノタ 「後ろ向いてるむぉ」

ムダにスレ建ててんじゃねえよks


アらラ 「恥らうお顔もかわいいですのネ♪
     ミノタさんのお嫁さんでなければ、身体中ちゅっちゅしてさしあげますのに♪」

女騎士 「嫁違うってばっ」

アらラ 「あららー? 違うのですか? ならちゅっちゅしてもイイのですぅ! きゃー♪」

女騎士 「よくないよ!?」

ミノタ 「ここにキマシタワー建てることに成りかねないから、そのくらいにしてほしいむぉ」

アらラ 「ぱんつだけ残しておきましたですぅ。ミノタさんのお楽しみが無くなっちゃうのでw」

女騎士 「変態…」ポロポロ

ミノタ 「お姉さん泣いてるむぉ。治療してお薬出して終わって欲しいむぉ」

アらラ 「あららー? そうはいきませんわ!
     アらラちゃん無双ターンの総仕上げ、ハイ、焦らされてる読者諸君、長らくお待たせ!」

アらラ 「ミノタさん主演の女騎士ぺろぺろあはーん(はぁと)のお時間がやってまいり――」ボコッ

ミノタ 「バカ言ってると刻んでスキヤキの具にするむぉ」


アらラ 「いったーい。だってこのお話、いつまでたっても女騎士さんの濡れ場、来ないじゃないですか!?」

女騎士 「濡れ場来なくて問題ないからね!?」

ミノタ 「うるさいむぉ。ボクは犯りたい時に犯るむぉ。余計なお世話むぉ」

アらラ 「あららー? ミノタウロスらしい大胆豪放な発言、おみそれしましたわ。
     アらラちゃん空回り、てへぺろ♪」

女騎士 「誰でもいいです、動けないあたしの代わりに殴ってくれる?」

ミノタ 「アらラさん…。食べるエルフ間違えたむぉ。昔はもっと普通にアルラウネしてたむぉ」

アらラ 「じゃあね、お薬と処方箋お出ししますネ。
     一日三回、傷にぬちょぬちょと塗ってあげれば、跡は残らないと思うのネ。」

ミノタ 「これ本当に薬草むぉ? ごっついごわごわだむぉ どうやって使うむぉ?」

アらラ 「一時間ほどお口の中でもぐもぐと租借して、その舌で傷口をぺろぺろしてあげれば、ばっちぐー!」

女騎士 「…へ? それって、まさか…」


アらラ 「もちろんミノタさんがもぐもぐぺろぺろしてあげるんですよ? 
     人間じゃ、ぺろぺろの前に口の中ぼろぼろになっちゃいますからネ?」

女騎士 「うわあやっぱりだぁ! ぜったいおかしいよその変態設定!」

アらラ 「効果は抜群、保証付き! さらにお二人の仲も深まること受け合いっ♪」

女騎士 「ペロリストよっ!」

アらラ 「このお薬で、かつて全身に酷い傷を負わされていた母上さまも、
     ご主人さまに身体の隅々までぺろぺろしてもらって、九死に一生を得たのですぅ」

女騎士 「ええええっ…」(///;;



アらラ 「感染症を寄せ付けないばかりか、破れた皮膚の再生を促し、器官の損傷も癒えて、
     人としての尊厳も取り戻すことができたそうですネ。」

アらラ 「母上さまのお肌の傷はまだ残ってますが、
     愛の治療を続ければ女としての美しさも取り戻せるでしょう♪」

母上  「まあ、引き換えに、女としての大事な何かをどっかへ放ってしまったのだけれどw」

女騎士 「…エロいです…(泣)」

ミノタ 「母上がスキヤキの匂いにつられてやって来たむぉ。もう少しかかるむぉ。」

アらラ 「一日三回、驚きの効き目です!! ※効果は個人差があります」

ミノタ 「でも、お高いんでしょう?」

アらラ 「今なら先着1名様に特別価格でご奉仕します! スキヤキご馳走して!」><


(迷宮内居住区・ダイニングルーム)



ミノタ 「ふーっ ふーっ…」

女騎士 「はぁ、はぁ」

ミノタ 「入れるむぉ」

女騎士 「はい… うっ、くっ…」

ミノタ 「どうだむぉ? 大丈夫むぉ?」

女騎士 「うぅ、あっ だ、大丈夫…」

ミノタ 「じゃ、もっとだむぉ!」

女騎士 「あっ、そんなっ イヤっ ああっ! はぁん」

ミノタ 「たっぷり味わうといいむぉ!」

女騎士 「あっ、あっ! ああっ! はあぁん!」

女騎士 「イイ! イイのぉっ! もう! もう、らめぇええええぇぇぇ!!」


ミノタ 「ふぅーっ…」

女騎士 「あぁ、熱いのぉ… あああぁ…」

母上  「………」

アらラ 「………」

母上  「なんといいますか、こう…」

アらラ 「アツアツのスキヤキ、おいひいれふー♪ むらむらしちゃいまふー♪」

女騎士 「はふ、はふ、ネギ熱いの…、熱っ」

アらラ 「騎士さまのおいひぃ物食べるときの声かぁいいですー♪」

ミノタ 「その声でつい…ごめんむぉ 」

母上  「うん、私にもそんな頃がありました…w」


アらラ 「お肉大好きれふー♪ しゃーわせー♪ 」

ミノタ 「こら、植物のくせに肉ばっか食うなむぉ。
     お姉さんの分が無くなってしまうむぉ。ご飯食えご飯っ」

母上  「この子は、食べたエルフに身体乗っ取られてやしないかねえ…」

女騎士 「はふはふ、もうちょっと冷ましてほしいの… 」

母上  「騎士どの、猫舌かい? どれ、今度は私が食べさせて差し上げよう。」

女騎士 「えっ? あ、いえ…」

母上  「騎士どのにこんな恥辱を強いたのは私だ。少しくらい手かせさせてよ。」

女騎士 「恥辱とか言わないでください、惨めになりますっ」

母上  「裸に剥かれた程度では恥辱に値せんか、結構結構、女は度胸だ。ほれ、あーん」

女騎士 「あ、あーん…」

アらラ 「あららー? いやんかわいいっ♪ 幼女とお母さんみたいですぅ♪」

女騎士 「もぐもぐむぐ……。そ、そんな目でみないでよ…」(///;

ミノタ 「じゃボクが食べさせてあげたら幼女とお父さんむぉ?」

アらラ 「怪しいオヤヂにいかがわしいことされてるJK?」

ミノタ 「ちょっとだけイジけていい?」



(迷宮内居住区・寝室)



女騎士 「ねえ… まだ起きてる?」

ミノタ 「なんだむぉ? 厠かむぉ?」

女騎士 「違いますっ」

ミノタ 「牛三つ時は血が騒いでいつも眠れないむぉ」

女騎士 「そう…。」

ミノタ 「ボケたんだからツッコんでくれないと調子狂うむぉ」

女騎士 「うん…」

ミノタ 「……。」

女騎士 「……。」

ミノタ 「……。」


女騎士 「…あの…さ…」

ミノタ 「むぉ?」

女騎士 「訊くの…怖いのだけど……」

女騎士 「あの… あたしのこと……襲ったりしないの?」

ミノタ 「むぉ?」

女騎士 「だって今のあたし、立てないくらい駄目よ?
     さっきまで箸も持てなかった。いいカモよ、詰んでるわ。」

ミノタ 「そうだむぉ、なぜ気がつかなかったむぉ、明日は鴨鍋だむぉ!」

女騎士 「え~と…」

ミノタ 「襲って来るの楽しみに待ってたむぉ? 言ってくれなきゃ分からんむぉ。」

女騎士 「そんなわけありません!」

ミノタ 「じゃなにむぉ」

女騎士 「…不安で眠れません。」


ミノタ 「お姉さんにボクの子を産んで欲しいのは山々だけど、今は駄目だむぉ」

女騎士 「…そうなの?」

ミノタ 「子供の頃、父上に、ミノタウロスの心得を叩きこまれたむぉ」

女騎士 「心得?」

ミノタ 「 『一つ、歯磨き水浴びを怠るべからず!不潔は恥と知れ!』 」

女騎士 「は?」

ミノタ 「…じゃなかった、えっと…」

ミノタ 「 『一つ、脅かせ!竦めろ! 戦闘の技能を生かせぬまま、死に追いやれ!』 …も違うむぉ」

女騎士 「なにそれ」

ミノタ 「これだ、思い出したむぉ」

ミノタ 「 『一つ、盗むな、奪え! 力を誇示せずして得るもの無しと知れ!』 」

女騎士 「…?」


ミノタ 「お姉さんが屈したのは、ボクにでは無く、魔戦斧"ラビュリス"に屈したむぉ」

ミノタ 「お姉さんの弱みに付け込んで襲うのは、そういう姑息なマネは下衆なオークどもに相応しいむぉ。」

ミノタ 「神代の時代からの誇り高き怪物ミノタウロスは、掠め取るのではなく力で奪うものだむぉ。」

女騎士 「そう…なんだ…」

ミノタ 「武力でも魅力でも何でもいいむぉ。お姉さんは、ボク自身の力で落としてみせるむぉ。」

女騎士 「…。武力で、は乱暴です。」

ミノタ 「凶暴かつ残虐無慈悲をアイデンティティとするミノタウロスはそれでもいいのだむぉ。」

女騎士 「武力なら…あたしは負けません。」

ミノタ 「じゃ魅力でいくむぉ」

女騎士 「それは難しい話です。」

ミノタ 「不可能って言わないんだむぉ?」

女騎士 「知りませんっ」


女騎士 「…ねえ」

ミノタ 「むぉ?」

女騎士 「あたしに…言わせないでくれて…ありがと…」

ミノタ 「なんだむぉ?」

女騎士 「母上さんに、あなたのお嫁になって子供生むか、あの場で殺されるか、選べと言われた時。」

ミノタ 「ケンカになるとは思って無かったむぉ。悪かったむぉ」

女騎士 「あたし怖かったの…死を選ぶ事が出来なかった。
     騎士にとって誇りは命よりも大事なものなのに…あたし弱い女。」

ミノタ 「お姉さんは母上の脅迫に屈しなかったむぉ。」

女騎士 「ううん、口に出してしまうところを、あなたが止めてくれたの。」

ミノタ 「……。」

女騎士 「もし口に出して、言葉にしてしまったなら、あたしもう騎士でなんていられない…」

ミノタ 「……。じゃ、お姉さんを嘘つきにしたくなかった、そういうことむぉ」

女騎士 「うん…。ありがとう…」


ミノタ 「そんな事より傷の治療の時間だむぉ。」

女騎士 「え"っ!?」

ミノタ 「アらラさんからもらった薬草、先刻からもぐもぐしてるむぉ。牛になった気分むぉ」

女騎士 「えっと、あの…っっ」

ミノタ 「服を脱がしてぺろぺろするむぉ! 読者お待たせエロシーンむぉ!」

女騎士 「ちょ、ちょっと待って! 待ってってばっ」

ミノタ 「無理強いはしないむぉ。だけど怪我を放っておくとロクなことがないむぉ。」

女騎士 「わかってるっ、ちょっと心の準備が…そうだっ、目つむってくれる?それならなんとか!」

ミノタ 「厄介な注文むぉ。わかったむぉ。脱がすむぉー」

女騎士 「お、おk、来なさい!」

ミノタ 「態度Lむぉ」


ミノタ 「…傷口はどこむぉ? 目瞑ったら何も判らないむぉ?」

女騎士 「も、もうちょっと上…上だってば…ひゃん!?」

ミノタ 「鼻先が軟らかいものに当たってるむぉ」

女騎士 「~っ 上だってのに! わざとやってない!?」

ミノタ 「…?? 上はもう鼻先が軟らかいものに埋まってるむぉ」

女騎士 「あ…ごめん、あなたから見れば右でした… きゃ!?」

ミノタ 「なんだかお姉さん、むにゅむにゅに軟らかいむぉ 贅肉も少し減らすむぉ 」

女騎士 「おっぱいです! えっちなことしないでくださいっ!この牛丼!」

ミノタ 「理不尽むぉ」


ミノタ 「ぺろぺろ」

女騎士 「う、くっ…」

ミノタ 「ぺろぺろ」

女騎士 「くく、くっ」

ミノタ 「気分はどうむぉ?」

女騎士 「傷、沁みますっっ ぅーっっ」

ミノタ 「ぺろぺろ」

女騎士 「ぐぬぬ…っ う"~っ く、ぐっっ」

ミノタ 「お姉さん、せっかくだからもう少し色っぽい声にならないむぉ? 期待した読者が気の毒むぉ」

女騎士 「はぁはぁ… 強烈に…傷に沁みます…何かに目覚めてしまいそう…あはは…」

ミノタ 「目が死んでるむぉ」



(迷宮内居住区・寝室)



ミノタ 「朝だむぉー 」

女騎士 「むにゃっ…」

アらラ 「おはようごじゃいます~っ♪」

ミノタ 「アらラさんおはよーだむぉ 何しに来たむぉ?」

アらラ 「ゆうべはおたのしみでしたね?」ニコニコ

ミノタ 「お姉さんの正気が戻らないんじゃないかと慌てたむぉ」


女騎士 「むにゃぁー」

アらラ 「あららー? もう手が動くじゃないですかあ。若いと呪いも回復早いですねー」

女騎士 「…。」

アらラ 「低血圧さんみたいですね。じゃ、いきましょ」ヒョイ

ミノタ 「お姉さんをどこ連れて行くむぉ?」

アらラ 「哺乳類全般が朝に済ませるコトです。来ちゃ駄目ですからネ?」

ミノタ 「保健体育むぉ?」

アらラ 「きみはじつにばかだな」


コボルト「ちゃーす。新聞と牛乳っすー。」

ミノタ 「ご苦労むぉ。あー、所帯が増えたむぉ 明日から牛乳二人分増やしてむぉ」

コボルト「わんわんお。今日は牛乳多めにあるんで、今朝からでもOKっすよ。」

ミノタ 「じゃ、母上がいるから炊事場へ頼むぉ」

コボルト「くんくん…人間の女っすね!? 監禁っすか!?」

ミノタ 「臭う?」

コボルト「それにしてもこの…毒薬みたいな… どんなプレイしたんで?」

ミノタ 「どんなもこんなも、怪我人むぉ」

コボルト「ちょと、ダンナ!こっち来てくだせえ! 男同士の話がありやす…!」

ミノタ 「保健体育むぉ?」

コボルト「ダンナはじつにばかで候。」


コボルト「股間もとい沽券に関わりやす! メンツってもんがありやす!」

コボルト「中ボスクラス筆頭たるミノタウロスが、人間の女捕まえて嬲るでもなく輪姦すでもなく、
     怪我の手当てしてやったなどと!」

ミノタ 「エロシーンNGってどうして分かるむぉ?」

コボルト「あっしの鼻は騙せませんぜ!
     やらかした現場ってぇのは、◎○△汁とチ▽△$#クが絡み合った、
     強烈な臭いが立ち込めているもんだ…。そらぁ朝の風を通したくらいじゃ、消えるモンぢゃねぇ…」

ミノタ 「さすが魔物界きっての変質者、推理が光るむぉ」

コボルド「現場、見せていただいていいっすか? どれどれ…くんかくんか!」

ミノタ 「どうして推理モノの主人公て奇人変人の類って決まってるのだむぉ?」


コボルト「夕べは…スキヤキですね。
     肉、出し汁、野菜、それらの残り香がスキヤキであったと主張しています。」

ミノタ 「さすが名探偵、その通りむぉ」

コボルト「豪華な晩餐だったようですね。デザートはエルフ娘のサラダ女体盛り!」

ミノタ 「迷探偵に訂正するむぉ どっからその発想に飛躍するむぉ?」

コボルト「違うんで? じゃこの若いエルフ娘と花と野菜と果物とが混ざったような匂いは…」

ミノタ 「それ、アらラさんだむぉ」


コボルト「まったく…、事実は小説より奇なりと申しますなあ。」

ミノタ 「何を言っとるんだねキミは。」

コボルト「もう一つ、判ることがあります。」

ミノタ 「ほう?」

コボルト「いいカモの匂いがします。
     私の灰色の脳細胞がこう告げています!今晩は鴨鍋のはずだ! と。」

ミノタ 「盗聴器でも仕掛けてやがったむぉ!?」


コボルト「ダンナ、その人間の女、手篭めにするんで?」

ミノタ 「それには及ばないむぉ 子供産みたいって言わせてみせるむぉ」

コボルト「孕ませるならチャンスですぜ。
     数日中に、子が出来やすくなる身体になる日が来ますぜ…匂いやす!」

ミノタ 「発情期むぉ? 何でお前に人間のそんなこと判るむぉ?
     近頃の変質者はそんなことまで判るむぉ?」

コボルト「昔、やんごとなきお方の"犬"だったことがありまして…それ以上はかんべんを。」

ミノタ 「人は見かけによらないむぉ」

コボルト「犬ですせ。」


コボルト「新聞見てくだせぇ。王城が騒がしいです。」

ミノタ 「ボクらに何か関係ありそうかむぉ?」

コボルト「人間どもの王が死んでから、枢機卿ってのが勢力を伸ばしていやす。」

ミノタ 「母上に聞いたむぉ」

コボルト「紙面にまだ載っとりやせんが、昨日、なんとかって貴族が秘密裏に逮捕されています。」

コボルト「あっしは頭良く無いんでわかりやせんが、枢機卿ってのに楯突く連中のお偉いだったそうで。」

コボルト「枢機卿ってのの手先の兵隊が、城下に集まってるようで…キナ臭くなってきやした。」

ミノタ 「あいつら、また殺し合いするのかむぉ? 同族同士で飽きもせずむぉ」

ミノタ 「こちらには関係ないと思うけど、迷宮内と周辺の守りを注意させるむぉ。
     トロルのバカを呼んで来るむぉ」

コボルト「あのバカデブは昨日1階の奥で死体になって転がってやした。何者かにぶっ殺されたんでさ…」

ミノタ 「何事むぉ!? …あ、心当たりあるむぉ、お姉さんの仕業だむぉ
     あのバカトロル、きっとまた下衆い挑発してお姉さんを怒らせたんだむぉ。
     死ななきゃ治らないバカだったむぉ」


コボルト「その人間の女が下手人ですと!? まさか一人であのバカデブをバラしたんで!?」

ミノタ 「他に侵入者は見てないし、お姉さん一人で踏み込んで来たむぉ。」

コボルト「ダンナ、用心してくだせえ!
     その女、刺客かテロリストか下手したらどっかの勇者って事も。かなりの手練れです!」

ミノタ 「騎士免持ってるって言ってたむぉ」

コボルト「きしめん屋だなんて嘘です!
     一緒に寝るなんてとんでもねえです、殺れるうちに始末したほうがいいですぜ!」

ミノタ 「慎み深くて恥ずかしがり屋で強い割りにどこかヌケててかわいくて、話してて愉しいむぉ♪
     始末なんてとんでもないむぉ!」

コボルト「騙されてはいけねえです! ダンナの腹の上でナニ咥え込んでひゃあひゃあ鳴きながら、
     隠し持ったアイスピックで心臓メッタ刺しですせ!」

ミノタ 「それキチガイすぐるむぉ」


女騎士 「アイスピックがどうしたんです?」

コボルト「きゃいん!?」

アらラ 「あららー? コボルトさん、わんわんおー♪」

コボルト「わわわ、わんわんお~~」

ミノタ 「お前、骨の髄まで犬むぉ」

母上  「おら貴様ら! 顔を洗ったら整列っっ! 各自速やかに席に着けーいっ!」ガンガン!

女騎士 「母上さん?」

ミノタ 「朝は陸軍式むぉ。ぐずぐずしてると食後の腕立て伏せを命じられるむぉ」



(迷宮内居住区・ダイニングルーム)



アらラ 「あはごはん、おいひーれふぅ♪」ムシャムシャ

コボルト「あっしまですんません、ご馳走になりやす。」ハグハグ

母上  「小麦パンを焼いてみたのだけど、気に入ってもらえただろうかね?」

女騎士 「おいしいです。とっても。いい香りです。」

アらラ 「騎士さま、もう手が使えるようになったのですよ、よかったですネ♪」

女騎士 「は、はい。あの、…ありがとうです…いろいろ」(///

ミノタ 「すぐにアイスピックも握れるようになるむぉ」

コボルト「ぎゃふっ! けほんけほんっ!」

女騎士 「?」


母上  「おいしい牛乳届けてくれたからね、少し凝ってみようと隠し味を、ね。」

ミノタ 「やっぱり三つ葉製の牛乳が美味いむぉー。味の濃さが違うむぉ」ズズー

コボルト「仕入れを霜印から三つ葉に切り替えました。おかげさまで好評です。」ピチャピチャ

アらラ 「おいひーれふ♪ アらラちゃんお花が咲きそうですぅ♪」ガブガブ

女騎士 「隠し味ですか。どこか甘いような苦いような…」コクコク

母上  「 『 チ ○ コ ミ ル ク 』ですわ♪ 」


一 同 「 ブ ゥ っっ !? 」 (;゚з゚).:∵ 


母上  「どうかしましたか? あ、伏字は『ョ』です。」ニコッ

アらラ 「あららー 花から牛乳ぅー」(@x@

ミノタ 「だれうまw」

コボルト「ごほっごほっうほっ…やっぱ親子だわ、こいつら…」(--;

女騎士 「朝から大惨事ですっ!」(///;



(迷宮内居住区・居間)



女騎士 「むっ…ふんっ…むぅーーっ」

アらラ 「あららー♪ すごいです! 騎士さまもう立てるようになったですネ!」

母上  「生まれたての小鹿みたいね、うふふw」

女騎士 「はは…まだ…歩けません…」プルプル

母上  「傷のほうはどんな具合かな?」

アらラ 「ちゃんとミノタさんにprprしてもらいましたかぁ?」

女騎士 「うぇ!? ええ、まあ、そのっっ」(///;


母上  「ちょっと見せてみなさいな?」

女騎士 「え、ええ…」

母上  「ふーん、いい感じに傷が塞がってきてるようですね。」

アらラ 「清潔にしていればもう感染症の心配は無さそうですネ」

母上  「薬湯があるのだけれど、お風呂いかがです、騎士どの?」

アらラ 「お風呂回ですう♪ でもそろそろ読者は何も期待しなくなってるですぅwww」

女騎士 「期待はずれが通常運転ですから!」


(迷宮洞窟内・露天大浴場)



母上  「我が主人のラビュリントス一番の自慢はこの浴場です。」

女騎士 「洞窟に…これ温泉ですか? すごい…」

アらラ 「残念ながら鉱泉なのですが、そこがまた母上さまには良かったのですよ。」

母上  「苔だらけでしょう? 主人が持ってきて、繁茂させたのです。」

アらラ 「この苔の成分を含んだこの鉱泉は怪我した身体を優しく癒してくれますネ。
     染みたり、傷が開いたりしにくいんですよ。」

母上  「その丸太をくり抜いたのが浴槽の代わりです。」

アらラ 「釜に薪を放り込めば、鉱泉を暖めて引き込んでいい湯加減の薬湯の出来上がりという業物ですわ。」

アらラ 「母上さまのご主人さまが、母上さまのために作らせたものですネ。」

女騎士 「ご主人の…怖いミノタウロスさんが、これを?」

母上  「身体中ひどい裂傷で、血を流しながら歯を食い縛り、
     冷たい水で身体を拭うしかなかった私のために、これを…」


アらラ 「実際に作ったのはドワーフの職人さんですが、あの凶暴で尊大で傍若無人なご主人さまが、
     母上さまの為に、設計とか工事とか三日三晩の徹夜で職人達に檄を飛ばして、ネ。」

母上  「完成してすぐには植えた苔がまだ十分馴染まなくて効果が出なくてね、
     湯がかなり傷に堪えたのだけれど…そんなことどうでも良くなるほど、心が癒されたわ…」

母上  「ふふ、もう昔の話です…。
     さあ、いい湯加減だから騎士どの、服を脱いで……って、おや?どうかしたのです?」

女騎士 「ぐしゅっ、いえ、その、あたしそういう話に…弱くて…ぐしゅっ」ウルウル

母上  「ふふっ、騎士どのはかわいいのっwww
     そうだ、一緒に入りましょう! 少し窮屈だけど平気平気♪」


アらラ 「あららー? 火の強さは足りてますかネー? もっと薪くべます?」

母上  「ありがとう。火に弱いあなたに、こんなこと手伝わせてしまってすまないね。」

アらラ 「平気ですよぉ。エルフ娘ちゃんを食べてから、
     アらラちゃん元気いっぱい怖いもの無し毎日ご飯がおいしいですネ!」

アらラ 「騎士さま、お湯加減いかがですかネ? 傷に沁みたりしませんかネ?」

女騎士 「ちょっとだけヒリヒリしますが、平気です。ありがとう。」

アらラ 「それじゃ、お着替えの用意してきますネ。」ウネウネ

母上  「…。あの子ね、本人は植物のつもりらしいけど、
     あれは絶対、食べたのはエルフ娘の側だと思うの…。」

女騎士 「ツタとか何本も生えてて根っこで歩き回って、はじめは怖いと思ったけど、とても親切な子です。」

母上  「この迷宮に巣食うアルラウネって植物の魔物だったんだけど、今は見てのとおり分類不能よ。」


女騎士 「貴女の傷の薬も、あの子が?」

母上  「そうです。ああ、あの頃はまだエルフの子だったけど。
     とても博学でね、動植物の事何でも知ってるみたいで。」

女騎士 「傷の手当てはご主人が? その…あの子の薬草を、その…」

母上  「そう。身体中ぺろぺろwww つむじからつま先まで余すことなくwww」

女騎士 「 ~~っ ぶくぶく」(///;;

母上  「本当に…あの女と一味どもから受けた拷問は生きる希望が無くなる位の仕打ちだった…
     最後にこの迷宮に吊るされて、目の前に現れたあの人…いえ、主人に、
     どうかこれ以上嬲らないで、一思いに殺してと懇願してた。」

母上  「でも、生を許してくれたばかりか、生きる希望を取り戻させてくれたわ。」

女騎士 「……。」

母上  「主人は醜い怪物よ。でもその怪物が私に生き延びる力を与えてくれた。
     その私を怪物が必要としているなら、この身を捧げたっていいじゃない。」

母上  「そう思うことにしたの。ううん、そう思わせてくれた、というところかしら…」


女騎士 「…そんなの、怪物じゃないです。」

母上  「うん? どうして?」

女騎士 「怪物って、もっとこう…
     狂ってて、憎悪の塊で、常に餌食を狙ってて、殺戮や人を甚振るのが愉しくて…」

母上  「そんなのが王城に何人かいたわ。」

女騎士 「ご主人は、貴女を愛しているんだと思います。怪物なんかじゃ…」

母上  「私もこう見えて女です。自分はもしやこの怪物に愛されているのではないか…、
     それを確かめたくて、主人に問うたことがあります。」

母上  「なぜ、生かして、人として生きる力まで与えるのか、
     貴様は凶暴で残虐無慈悲な怪物のはずではないか、と。」

女騎士 「…なんだか挑発してるように聞こえます。大丈夫だったんですか?」


母上  「主人はミノタほど社交的でないので、控え目に訊いても明快な答えを返さないのです。
     なので、死ぬるも覚悟の斬り込みのつもりでw」

女騎士 「ご主人は何と?」

母上  「主人曰く――」

母上  「 『奪い、殺すことだけが力の誇示にあらず。
     与え、生かすことこそ、真の強者、真の支配者の力と知れ。』 」

母上  「だっておwww そんな大仰な台詞吐く奴、何かの英雄譚の中だけだと思ってたわwww」(>ワ<

女騎士 「どこかの大帝国か何かの偉人が似たような意味の言葉残してましたっけ。
     でもそんなに笑わなくても…w」(^^;;

母上  「しかも私、それ聞いてきゅんと来てしまったわっ 惚れてしまったの!
     怪物なのにwww 頭が牛なのにwww どうかしてるwww 」 (>ワ<

女騎士 「い、いいんじゃないでしょうか。その辺は人それぞれですっ、うんっ」(^^;;


母上  「さらにね、後から考えてみるとあの言いよう、どうも照れ隠しで言ってたのよっwww」(>ワ<

女騎士 「その…怖いミノタウロスさんが、照れ隠しですか?」(^^;;

母上  「だってそんな台詞が似合うくらいのデカブツなら、
     今頃牛魔王とでも名乗りを挙げて世界征服とか始めてるわwww」(>ワ<

女騎士 「それは困りますw」(^^;;

母上  「はぁー、今頃どこでどうしているやら…」

女騎士 「あの、ご主人は…?」

母上  「出稼ぎに行ってる、とミノタには言っていましたが、
     ふと迷宮から出たきり、長い事戻らないのです。」

母上  「私をこんなに放っておいて。帰ってきたら一発ぶん殴ってやるわ。」

女騎士 「ぶ、ぶん殴るんですか? 普通に夫婦みたい。あはは…」(^^;


母上  「時に騎士どの…」

女騎士 「はい?」

母上  「こんな魔物の巣窟に足止めして、悪いと思ってるわ。
     騎士どのは私を殺しに来た訳でも、無理やり連行しに来たわけでもなさそう…」

女騎士 「いえ…判っていただけたなら。」

母上  「でも…」ギュ

女騎士 「ひぁ!?」

母上  「……。騎士どのは初心よの。かわいい♪」

女騎士 「き、傷がちょっと痛んだだけですっ」

母上  「……だからこそ、王都に帰すわけにいかない。」

女騎士 「え…。」


母上  「あの王城は、権力闘争に明け暮れ正気を失った亡者が集う魔城です。陰謀渦巻く伏魔殿です。」

女騎士 「……。貴女を闇に追い落とした妃様は死に、王家も断絶しました。
     この上また貴女を利用しようという者が?」

母上  「分からない。我が身の血が疎ましいわ。」

女騎士 「騎士団長が誰の指示で動いているのか、何を考えて私に命を下したのか、知る由もないです。」

母上  「予感がするのです。あなたを城に帰せば、きっと後悔する…。」

女騎士 「あたしがいつまでも帰還しないと、捜索が来てしまいます。」

母上  「迷宮深くまで踏み込んで来るなら、ミノタと私で殺します。
     誰一人、この迷宮から生きて帰さないっっ」


女騎士 「そんなことやめてくださいっ 彼らにも家族が。」

母上  「騎士どのにも?」

女騎士 「あたしは…。物心つくころには両親とも亡くなっていて、家族などいません。
     天涯孤独の寄宿舎暮らしです。」

母上  「ならここに、この迷宮に、捕らわれの身で居なさい…」

女騎士 「ミノタさんと子供を作れ、ですか…」

母上  「分かってる。私がいくら愛し、情を注いで育てた子だとしても、やはりミノタは怪物の子。」

母上  「その花嫁になど、イヤに決まってる。」

母上  「だからそれとこれとは別です。居るだけでいいのです。ミノタには少々気の毒ですが…」

女騎士 「……。」


(迷宮内居住区・居間)



コボルト「ダンナ! ヘンタイです!もといタイヘンです!」

ミノタ 「なんだむぉ? 夕刊の時間には早すぎるむぉ?」

コボルト「見ました! 見たんです!」

ミノタ 「お風呂?」

コボルト「何で判るんで?」

ミノタ 「そりゃ、お前がそういう役周りだからむぉ」

コボルト「向こうの山できのこ掘っていたら、薬湯の香りに混ざって、女のいい匂いがするじゃねえっすか!」

ミノタ 「向こうの山って、遠いむぉ?」

コボルト「気になって遠眼鏡で探したら、洞窟の奥、湯煙の向こうに、裸の母上さまと女騎士!」

ミノタ 「やっぱりお前、変質者とか痴漢の役周り確定むぉ」


コボルト「あの曲線を描く裸体、たまらんでさぁ…へへへ」

ミノタ 「勿体つけないで聞かせろむぉ」

コボルト「つやつやの髪、それが数本、うなじを流れるように…」

ミノタ 「むぉ! それでそれで!?」

コボルト「大人のくせに小さくて幼児体型。歳に似合わぬ、まるで未発達の乳房…」

ミノタ 「まるで未…そんなこと無いはずむぉ。むにゅむにゅしたむぉ。お前の基準て巨乳むぉ?」

コボルト「乳首がさぁ、まるで処女かと思わせるような、慎ましやかな…うへ、うへへwww」

ミノタ 「まるでもなにも処女だと思うむぉ?」

コボルト「時々、古傷の残る肩を無意識に指でなぞる仕草がまた愛らしくて…」

ミノタ 「古傷って、怪我したの昨日だむぉ? それに肩に傷なんて無いむぉ?」

コボルト「ダンナ、あっしがせっかくいい感じで回想に耽ってるのに、ケチつけることねえでしょ?」

ミノタ 「お前、あちこちだいぶ間違ってるむぉ?」

コボルト「そんなことないハズですぜ?
     あっしは昔からずっと見守って来たんですから、たとえ服の上からでも大抵のことは――」

ミノタ 「それ母上むぉ!! ぶっ殺すむぉ!!」ボカッ!!


コボルト「ダンナ、何もそんなに怒り狂うこと無いじゃないっすか、誉めてるんですぜ? いてー」

ミノタ 「マジキモい。次に母上を覗いたらダンボールと一緒にすり潰して肉まんにするむぉ!」

コボルト「ああ、あんな小さくて幼児体型なのに、毎夜毎夜、野太いので突き上げられて…ふはぁ~っ」ハアハア!

ミノタ 「盛った中坊みたいなその脳みそぶちまけて、代わりに牛丼のタレ流し込んでやるむぉ」

ミノタ 「その前に、お姉さんのほうを聞かせろむぉ!」

コボルト「んなの、直接ダンナが裸んなって観せろって命令したほうがいいですぜ?」

ミノタ 「獣でも見るような目を向けられたらと思うと、悲しくなるむぉ」

コボルト「怪物がばか言ってんじゃねーすよ。
     子を孕めと言って迫っといて、いまさらそれ言いますかってんで。」

ミノタ 「お願いするのと強いるのじゃ、天と地ほども違うむぉ」

コボルト「じゃお願いしたらいいですぜ?
     "女騎士"なんてもんは、誉めてやりゃ羽のように舞い上がる、
     貶してやりゃ豚みたいに這いつくばる、ちょろいもんです。」


ミノタ 「あのお姉さんは絶滅危惧種むぉ。だからありのままを観察するのも醍醐味むぉ」

コボルト「めんどくせぇなぁ…。まあるいおっぱいが二つ。腹の真ん中あたりに小さな穴っ、股下にスジっ。」

ミノタ 「そんなことは何も見なくても判るむぉ!」

コボルト「毛はねぇ」

ミノタ 「なん… とっ……」

コボルト「ど、どうしたんで? ダンナ?」

ミノタ 「………。」プルプル

コボルト「…ダンナ!?」

ミノタ 「ボクもまだ見てないのをををっっ!! ぬっこぬこにしてヤンヨ!!」

コボルト「ダ、ダンナ!? も、もちつけもちつけ! たっ、タテガミの話さね! 無くても問題ねぇ!」

ミノタ 「ったりまえむぉぉ!!」ウモー!!


(迷宮内居住区・居間)



コボルト「ひでぇっすよダンナ、せっかく生え変わってきたタテガミ、毟っちまうことねーですよっっ(泣)」

ミノタ 「今度バリカン持ってくるむぉ」

コボルト「…二人、楽しそうに笑ってやした。母上さまのあんな楽しそうな顔、久しぶりでさ。」

ミノタ 「さすがボクが見込んだお姉さんむぉ。母上も気に入ったみたいむぉ。
     あの二人、昨日は武器持ってケンカしてたむぉ。仲直りできて良かったむぉ」

コボルト「武器? 尋常じゃねえっすよ、殺し合いじゃねーですかっ」

ミノタ 「お姉さん、母上に用があって来たむぉ。
     でも王城に帰ったら殺されるかも知れないって、母上が強引に引き止めたむぉ」

コボルト「なんですかいそりゃ。
     殺し合いするような事じゃあねえじゃないですかい。人間てのはわっかんねえ…」


ミノタ 「騎士というのは、言葉よりも武力が物をいう人種むぉ。ミノタウロスとあまり変わらんむぉ」

コボルト「じゃ、しばらくダンナが調教して、肉奴隷として服従する喜びってえのを教えてやるわけだ?」

ミノタ 「お前、調教とか肉奴隷とか、盛りのついた中坊的発想を卒業できてないのはビョーキむぉ。
     中二病のほうがマシむぉ?」

コボルト「何言ってるんですダンナ、気ぃばっか強ぇくせに男に依存したがるメスの本性捨て切れてない女
     にゃ、調教してそこんとこ自覚させて、男に服従させてやったほうが幸せってもんですせ?」

ミノタ 「腹の中ガチ怪物むぉ、どうかしてるむぉ?
     それツイートしたら、全国の女性に袋にされて逆さ吊りで個人情報バラされて公開処刑むぉ?」

コボルト「そんな田舎の政治家先生みたいなアホなマネしねぇですよ、同じ魔物みたいなもんですがね…。
     それに女全部がそんなんじゃねぇ。
     自分が家族を支えるってぇ男と同じ覚悟の一人前の女にゃ、調教なんぞクソくらえでサ。」

ミノタ 「お前、過去になんかあったむぉ?」

コボルト「いんや、ガキんとき犬みてぇに捨てられただけでさ…。
     あの女騎士ぁ一人前にゃほど遠い。孕ませるならしっかり調教して服従させてやるんですぜ?
     自分は誇り高い騎士だなんて寝言言わせてちゃ、生まれたガキが気の毒ってもんだ。」

ミノタ 「冗談じゃないむぉ。何かボケでも『ご主人さまのチョコミルク欲しいのぉぉ』としか
     返してくれないお姉さんなんて、牛肉入ってない牛丼のようだむぉ」

コボルト「そのネタもういいっすよ…」orz


コボルト「そうだ! 王城と言えば、動きが急展開ですぜ。昨晩、騎士団長が逮捕されたとか。
     それに合わせて、枢機卿の聖騎士団と、近衛騎士団が城下で戦争おっぱじめていやす。」

ミノタ 「むぉ? それってどういうことむぉ?」

コボルト「こないだ人間どもの王が死んで、その後のナワバリ争いでさ。
     伸してきた教会てのの手先の枢機卿てのと、旧王家の元子分どもの殺し合いって事です。」

ミノタ 「お姉さんも王城から来た騎士だと言ってるむぉ? お姉さんはどっちの騎士団ぬぉ?」

コボルト「枢機卿の聖騎士団てのは教会って奴から遣わされてきた外からの人間で、
     略奪のためなら女子供関係無く異端者として皆殺しって悪魔みたいな連中だとか。
     目つきからしておかしいってぇ話だ。」

ミノタ 「怪物むぉ。でも全然親近感沸かないむぉ。こっち来たらぶっ殺すむぉ。
     お姉さんがそんな連中なわけないむぉ」


コボルト「あの女騎士、母上さまに何の用で来たんで?
     王城に巣食う亡者ども、一度闇に突き落とした母上さまに何の用で?」

ミノタ 「お姉さんを今帰らせたらマズいむぉ…。夕刊に詳しい話、載るむぉ?」

コボルト「詳しい記事は載らねぇです。
     記者が現地から戻ってこねえと新聞屋のドワーフのじじいが嘆いてる。」

ミノタ 「戦争の話、お姉さんの耳に入れたくないむぉ。夕刊は内緒で母上だけに届けるむぉ」

コボルト「くれぐれもベッドの下のアイスピックにゃ気をつけてくだせぇ」

ミノタ 「それお前のトラウマか何かむぉ?」



(迷宮内居住区・ダイニングルーム)



アらラ 「あららー♪ 鴨鍋おいひいれふー♪」

母上  「おや、つまみ食いですか?w」

ミノタ 「本当に晩飯が鴨鍋だったむぉ。変質者の嗅覚恐るべし」

コボルト「カモがネギ背負ってやってきたんだ、当然鴨鍋ですぜ。」チラッ

女騎士 「? あたしの顔になにか…?」

母上  「鴨はアらラちゃんが捕って来てくれたの♪」

ミノタ 「近頃のアルラウネは飛ぶ鳥も落とすのかむぉ?」

アらラ 「はいーアらラちゃん絶好調ですぅ♪ 新開発カタバミホウセンカ散弾の威力ですネ」

ミノタ 「面制圧攻撃ぱねぇ」


母上  「そろそろ火が通ったかしら? いただきましょう!」

女騎士 「いただきます。」

コボルト「あっしまでたびたび申し訳ないです。いただきます。」

母上  「ううん、しめじやネギ、野菜なんかいっぱい頂いちゃったのですもの、たくさん食べて行ってね♪」

ミノタ 「こいつ、きのこ掘るの得意だむぉ」

アらラ 「あららー? 豚さんの仕事みたいですネ」

コボルト「オークどもなんぞに鼻で負けるわけにゃいかんです。」

女騎士 「高級食材のきのこですか?」

コボルト「ええ、配達業だけじゃ生活ならんので、全部王都に出入りする商人に卸してしやいやした。
     さすがに鍋に入れるほと採れないんで…さーせん。」

母上  「あんなの、王族やら貴族やらが虚栄心を満たす為の、大人の玩具みたいなもんだわ。」

一 同 「 けほん!けほん! 」

ミノタ 「きのこだけにwww」

女騎士 「もう少し慎みがほしいのです、同じ女として」(--;


ミノタ 「鴨肉が美味いむぉ。鶏より淡白だけど、たまにはいいむぉ」

コボルト「……。ほんとに種が入ってやがった。」ゴリッゴリッ

母上  「あら、種取りこぼしちゃったのね、ごめんなさい。」

コボルト「いえ、種などなんでもねぇです。あっしは母上さまの手料理を頂けるだけで幸せです。」

ミノタ 「でも種はアらラさんの種だむぉ。腹の中で芽生えるむぉw」

コボルト「……。たとえそれで果てたとて、我が人生に悔い無し。」

ミノタ 「犬生むぉ」

女騎士 「読めませんよ?」


(迷宮内居住区・客室)



アらラ 「おいひかったれすー♪」

母上  「でもアらラちゃんが猟なんて珍しいですね。」

アらラ 「それがですネ、久しぶりに日光浴なんかしてみようと思って外の森に出て散歩してたのですよ。」

アらラ 「そうしたら、人間達に襲われましてですネ」

女騎士 「え……?」

ミノタ 「聞き捨てならんむぉ」

アらラ 「あららー? 心配ないですネ!
     カタバミホウセンカ弾幕たっぷり食らわしてやったら、尻尾巻いて逃げていきましたのネ」

アらラ 「その時にカモさんの群れを巻き込んで、いっぱい死なせてしまいました。」

ミノタ 「面制圧攻撃怖えぇ」

母上  「何者だい?」

アらラ 「ハンターさんとは違いますネ。場違いな甲冑姿でしたから。」


女騎士 「まさか…。どんな甲冑でしたか? 紋章の柄とか…」

アらラ 「騎士さまの甲冑とは色も形も違ったと思いますネ。」

母上  「騎士どのの捜索にしては来るのが早いですね?」

女騎士 「早すぎます。甲冑の色は男女同じですので、近衛騎士団の者ではなさそうです。」

ミノタ 「お姉さん、近衛騎士だったむぉ?」

女騎士 「はい。入隊したばかりで、すぐに仕えるべき王家が無くなってしまいましたが。」

ミノタ 「じゃ、またアホな冒険者が探検隊気分で乗り込んで来ただけかむぉ?」

コボルト「臭うな…キナ臭え…」



(迷宮内居住区・寝室)



ミノタ 「ぺろぺろ」

女騎士 「あ…」

ミノタ 「ぺろぺろ」

女騎士 「…っ」

ミノタ 「prpr」

女騎士 「あのっ」

ミノタ 「prpr」

女騎士 「ミノタさん…?」

ミノタ 「むぉ? …傷がまだ沁みるかむぉ?」

女騎士 「いえ、そうではなくて、ですね…」

ミノタ 「どうしたむぉ」

女騎士 「その…、見ないで欲しいです。」(///


ミノタ 「むぉ!? 考え事してたむぉ! 目つむるむぉ!」><

女騎士 「…。もういいです…。」

ミノタ 「わざとじゃないむぉ!」

女騎士 「…。」

ミノタ 「悪かったむぉ」

女騎士 「ねえ」

ミノタ 「何むぉ?」

女騎士 「あたしの身体見て……どう思う?」

ミノタ 「…ここで"ウホッ!"ってボケかましていいものだろうか、悩むぉ」

女騎士 「ばか。」


ミノタ 「綺麗だとかいい身体だとかいやらしい身体してるとか言って欲しいのかむぉ?」

女騎士 「官能小説のテンプレも要らないわ。」

ミノタ 「おっぱいやわらかいむぉ。」

女騎士 「そう…。」

ミノタ 「舐めたらどんな声出してくれるのか気になるむぉ。」

女騎士 「…。」

ミノタ 「…何を答えたらいいのか分からないむぉっ?」

女騎士 「……。身体中をこんな感じに癒して、身も心も支配して…
     そんな怪物は何を思っていたのでしょう…」

ミノタ 「父上の話むぉ?」

女騎士 「はい…」

ミノタ 「"家族"むぉ」

女騎士 「……!」


ミノタ 「ミノタウロスは人に子供産ませるむぉ。
     王アステリオスは人間に生贄を差し出させて、産ませていたむぉ。
     用が済んだら生贄は飽きた順に殺したというむぉ。」

ミノタ 「でもそんなんじゃ、子孫は残せても家族は手に入らないむぉ」

女騎士 「……。家族が…必要ですか?」

ミノタ 「必要ないむぉ。居なくても困らないむぉ。でも父上は家族が欲しかったのだむぉ」

女騎士 「どうして?」

ミノタ 「そういう説明困難な錯乱や精神疾患を、人間は『愛』と名づけて片付けたむぉ」

女騎士 「………!」

女騎士 「 ぷっっ くくっ、くすくすくすwww」

ミノタ 「むぉ? ボケたつもりは無いむぉ!? ここ笑うとこじゃ無いむぉ」

女騎士 「そのっ なんていうか、ごめんなさいっwww 」

ミノタ 「お姉さん、困った顔もいいけど、笑うととてもかわいいむぉ」

女騎士 「誉められても何も出ませんからね?w」

ミノタ 「つれない返事も癖になりそうだむぉ」

ほっこりする。
願わくばハッピーエンドを。

おっつ



(迷宮内居住区・客室)



コボルト「ちゃーす! 新聞と牛乳っす!」

ミノタ 「何も無いむぉ。ゆうべもおたのしみでなかったむぉ」

コボルト「大変ですぜダンナ!バカ言ってる場合じゃねえです!」

ミノタ 「血相変えてどうしたむぉ?」

コボルト「王国領内に、枢機卿の命で近衛騎士全員の手配書が出ているらしい!」

ミノタ 「それはお姉さんも入ってるむぉ!? どうして全員てことになるむぉ!?」


コボルト「枢機卿は、旧王家の近衛騎士を悪魔の手先と貶めて皆殺しにするつもりですぜ!」

コボルト「昨夜、城下で異端審問てのがあって、騎士団長以下何名かに死罪が言い渡されたってぇ話だっ」

ミノタ 「騎士団長って、お姉さんをここに送り込んだ上司むぉ?」

コボルト「恐ろしい話を聞いたんでさ。
     なんでもその異端審問てのは、疑いをかけられたら最後、死を免れた者がいないって噂よ。」

ミノタ 「聞いたことあるむぉ。
     拷問されて有る事無い事吐かされて、悪魔と契ったとか言わされて火あぶりむぉ…」

コボルト「城下のあちこちで戦争やってた近衛騎士も、枢機卿の聖騎士団が制圧、
     片っ端から裁判無しで広場で括られてるんだとか。」

ミノタ 「まずいむぉ! お姉さんもう歩けるむぉ! 王都に戻ったら逮捕されて殺されるむぉ!」

コボルト「絶対逃がしちゃなんねえです! 鎖に繋ぐんでさ!」



(迷宮内居住区・寝室)



ミノタ 「お姉さん!」

アらラ 「あららー? おはようごじゃいますー♪」

ミノタ 「アらラさんっおは! お姉さんはっ!?」

女騎士 「にゃぁ…」ウトウト..

ミノタ 「そうだむぉ、お姉さんは朝ダメダメだったむぉ…よかったむぉ…」

アらラ 「あららー? 血相変えてどうしたのですネ?」

ミノタ 「鎖、鎖…手錠…あったむぉ。お姉さん、寝ている処をすまんむぉっ」ガチャガチャガチャ

アらラ 「ミノタさん、朝からどうしたんですネ? 夜中の続きならまた今夜にしたほうがいいですネ」

女騎士 「あー… うみゅー…?」ウトウト..


ミノタ 「お姉さん、許すむぉ」カチン

女騎士 「ふぁ~ ミノタさんおはようござい…って、あれ? ええ?」ガチャチャ

アらラ 「せめて身だしなみを整えて、朝食を終えてからにしてあげて下さらないですかネ?
     このように両手を手錠で吊るされては――」

ミノタ 「ダメむぉ! 全部ここで済ますむぉ!」ドタバタ

アらラ 「あらららららー? えー…全部ですか? それってまさか…!?」

ミノタ 「まさかもへちまも無いむぉ! 命令むぉ!」ドタバタ

アらラ 「……!!」

女騎士 「はれ? どしたの? 何これ」


(迷宮内居住区・ダイニング)



ミノタ 「母上っ!! かくかくしかじかでお姉さんが手配書むぉ!」

母上  「ばっかもーん!!」

母上  「ミノタ上等兵!貴様ぁっ! 食卓の上に唾飛ばすとは何事か! 限りある兵站を何と心得るっっ!」

ミノタ 「サー!イエッサー!」ザッ!

母上  「で、どうしたって?」

ミノタ 「ハッ! 絶対ここから出さないよう、急ぎ女騎士を拘束いたしましたッ!」ザッ!

母上  「もういいから。今朝の軍事教練はここまでっっ」


(迷宮内居住区・廊下)



アらラ 「あの…ミノタさん? そのですネ…」

ミノタ 「アらラさん、それ何むぉ? …尿瓶?」

アらラ 「ご命令との事でしたので、ご用意はいたしました…。」

アらラ 「ですが、その… 騎士さまには…
     今の騎士さまには、敷居が高すぎと申しますか、早すぎと申しますか、いささか辛すぎです…。」

ミノタ 「いきなり鎖で繋いだのは悪かったむぉ。慌てていたむぉ」

アらラ 「騎士さまには、これからなされる事を…お話いたしました。
     でもその…大変ショックを受けられて、泣いておられます…。」

ミノタ 「これからなされるって、何の事むぉ?」


アらラ 「昨晩の夜伽がご不満でこのような仕打ちに及ぶということであれば、
     このアらラを身代わりにしてくださいませっ!
     アらラなら、どのような事をして下さっても、一生懸命に役目を果たさせていただきますっ!」

ミノタ 「昨晩の夜伽?
     ちょっとだけ脱がして怪我の手当てでprprしただけむぉ。不満ってなんだむぉ?」

アらラ 「このような羞恥プレイ、騎士さまのような乙女にはとても許容できない恥辱ですっっ
     アらラが代わりになります故、どうか騎士さまを、いじめないであげてくださいっっ!」ウルウル

ミノタ 「羞恥プレイって何!? なにか、ものすごくすさまじい世紀末的勘違いをしてるむぉ!?」


(迷宮内居住区・寝室)



ミノタ 「お姉さん!?」バタン!

女騎士 「ぐしゅっ…… な、なによっ…なにがっ……この変態っ… 」プルプル

ミノタ 「お姉さん、誤解むぉっ! 何もしないむぉ…」

女騎士 「何が誤解よっ!? こっ…こんな格好で鎖で吊るしたままっ、
     何もしないで…ずっと見てようだなんて…ひどいっ…」プルプル

ミノタ 「お、お姉さん、ごめんむぉ、許してほしいむぉ。今すぐ鎖を外すむぉ。
     そんなGを見るような目で見ないでくれむぉ~~っ(泣)」><

アらラ 「騎士さま、ごめんなさいいいいっっっ!
     本当に誤解なのですっっ!アらラが悪いのです!死んでお詫びするのです!
     ミノタさんはそんなつもりは無いのですっっ!! だから泣かないでください~っっ」><


(迷宮内居住区・ダイニング)



母上  「では… いただきます。」

一 同 「……いただきます……。」

ミノタ 「…。」

女騎士 「…。」

アらラ 「…。」

コボルト「…。あー…、焼き立てのトースト、とても、おいしいっす…。」

母上  「おかわりいかがです?」

コボルト「スミマセン、いただきます…。」

ミノタ 「……。」(--;

女騎士 「……。」(///;

アらラ 「……ぐすっ」(;x;

母上  「アらラちゃん、どうしたの?」


アらラ 「みなさん、今までアらラと楽しいお食事をご一緒させていただき、ありがとうございました…。
     身の処し方は心得ております。」

コボルト「どした?嬢ちゃん」

アらラ 「これまでのお食事のご恩をお返ししようと存じますので、昼食はぜひこのアらラの活き造りを、
     どうかみなさんでお楽しみ下さいませ…。」

ミノタ 「むぅ!? ぶほっがほっ」

女騎士 「え? アらラさん?」

母上  「藪から棒になんの話だい?」

アらラ 「だって!だって! アらラとんでもない事を騎士さまに言いましたぁ!
     騎士さまにとんでもない辱めをっっ…!」

女騎士 「は…辱めって、そんな大げさなっ…何もなかったし。」

アらラ 「死んでお詫びしても足りないですぅ!
     せめて、アらラのサラダでみなさんと楽しいお食事を… ああ、ああああーんっっ(泣)」

ミノタ 「泣かないむぉ! 勘違いとか思い込みは誰にもあるむぉ!」

アらラ 「ミノタさんにもとんでもない誤解を招く事をしてしまいましたっっ ああああーんっっ(泣)」


女騎士 「この牛丼が悪いのです! あたしをいきなり鎖で吊るしたりするからっ!」

ミノタ 「そうだむぉ! ボクが牛丼だむぉ! アらラさんは悪くないむぉ!」

女騎士 「あたし平気だからねっ!? 辱めならこの牛丼に散っ々、受けたから!
     それに比べればどうってことないから! あははは…(汗)」

ミノタ 「そ、そうだむぉ!?
     ボクがあーんなとこやこーんなとこまでprprして、散っ々、辱めたむぉ!
     だから今更だから! むははは…(汗)」

アらラ 「ごべんだざい"~~っ ああああーんっっ(泣)」

コボルト「……。若さってのはどうしてこうも迷走するかね……はぁ~」

母上  「私にも、そんな頃がありました…」


(迷宮内居住区・客室)



コボルト「あくまで噂話ってもんですが、あっしは全部本当だと思っていやす。」

ミノタ 「ソースはどこむぉ?」

コボルト「黒犬特急便の犬でさ。城下からここまで、この速さで噂話を運ぶやつは他にいないんで。」

女騎士 「近衛隊が…全滅…」

コボルト「枢機卿認印の入った手配書の現物を軍詰所まで運んだって奴まで居る。
     嬢ちゃん、王都に戻ったら捕まって、あらぬ事を自供させられて、火あぶりだぜ?」


母上  「王の崩御をいいことに枢機卿が実権を握ろうと暗躍していたのが、
     遂に牙を剥いたといったところか…」

ミノタ 「昨日、アらラさんを襲ってきた奴らは枢機卿の手先むぉ?」

女騎士 「わからない…。あたしがここに来ていることを知ってるのは、団長だけのはずだけれど…。」

コボルト「その団長さんとやらが、拷問で洗いざらいしゃべったって事も有り得るんでさ。
     もっとも、枢機卿がこんな辺境まで兵隊差し向けてくるほど、嬢ちゃんは偉いのかい?」

母上  「近衛騎士は王国ではエリートなのです。
     王族と直接会うこともできるし、騎兵団の指揮権まで与えられる。
     いわば王権の威光そのものです。」


女騎士 「あたしは技能検定に合格したばかりの新入りですから、指揮できる騎兵団なんてありませんが…」

ミノタ 「お姉さんは、たった一人でこの迷宮に何しに来たむぉ? 母上に何の用むぉ?」

女騎士 「それはですね、その…、個人情報に関わる事なので秘密…じゃダメでしょうか?」

コボルト「なんだよそりゃ」


母上  「私から話しましょう。簡単に言うと、
     『王家の最後の血筋がこのミノタウロスの迷宮で奇跡的にも生き残っていないか確かめに。』 」

一同  「 三行で 」

母上  「簡単すぎでしたか。」

母上  「近衛騎士と貴族どもには、既得権益を守るために王権という建前が必要。
     ところが王家は断絶。建前を失ったから権益を教皇の手先の枢機卿に奪われつつある。
     王権にしがみつく貴族と近衛騎士団は、王家血筋の生き残りである私を探している。←今ここ」

一同  「 ななな、なんだってー!? 母上が王族の生き残り!? 」

母上  「お約束な反応をありがとう。」


ミノタ 「そんなの絶対おかしいよ! ボクまで王族になっちゃうむぉ!? そんな設定いらないむぉ!?」

アらラ 「母上さまが王族の方なら、どうして魔物の巣窟のこの迷宮へ…?」

コボルト「まるで猛獣に与える餌のような無残なお姿で、この迷宮に打ち捨てられておいででした…。」

母上  「一口に言えば、王家の権力抗争に巻き込まれ闇に葬られた、ということです。」

ミノタ 「それをまた探し出して何するつもりだむぉ!? ぶっ殺してやるむぉ!!」

母上  「狂って死ねと捨てておいて、それなのにまた拾って利用しようというのだから呆れる…くっくっ」

女騎士 「ごめんなさいっっ…あたし、何も知らないまま…ごめんなさい…!」

アらラ 「騎士さまを責めてるわけじゃないのですネ。騎士さまがそんな悪い人だとは思ってないですぅ。」


母上  「今起きている事件が噂話の通りなら、いまさら私を引っ張り出してみたところで
     枢機卿の支配を止めらるとは思えないけれど。」

コボルト「聖騎士どもは教会に従わない者は皆殺しの殺人鬼ってぇことだが、
     王権の亡者どもがそいつらにブチ殺されるならざまあみろだ。けっ!」

女騎士 「あたし、帰れるところが無くなってしまいました…。」

ミノタ 「お姉さん、ずっとここにいるむぉ。」

女騎士 「……。こんなことなら、王都市場のクーポン券使い切ってから来ればよかった。」

コボルト「心残りがそれかよ。」


(手配書)



全国指名手配


『 おい、女騎士! そろそろだ! 』

悪魔と契約を交わしていた近衛騎士団長と結託し、
既に死亡の継承権四位の王族をかたり、王権の簒奪を企てる魔女。


[特徴]
現在16歳、身長158cm、髪はストレート、猫舌、泣き虫、ノーブラ、所持金120G
処女(但し尻穴で悪魔と交わった)
無毛(悪魔に剃られた)
股下すぐの太ももに黒子あり(悪魔との契約の印)
アヘ顔(悪魔と交わった顔)
スイーツ()、腐女子(オーク総受け派)、リア充(未爆発)、DQN、ニート、
ネトウヨ、バカッター、ボトラー、荒らし、自治厨、管理厨、
汚ギャル、韓流、麻薬常習者、テロリスト、シオニスト、売国奴
オウム信者(現アレフ)、指定暴力団組員、原子力安全()委員、東電元社長、
受信料滞納1ヶ月、絶滅危惧種(環境省レッドデータ登録)


捜査特別報奨金上限300万(生死問わず)

 動画と声は教会ホームページで公開中!   枢機卿







コボルト「これはひどい」

ちょいちょい真実も入ってるww



(迷宮最深部・作戦司令室)



母上  「ではこれより定例ブリーフィングを行う!」

ミノタ 「コボルトの奴、呼んだのに遅いむお。どこで油売ってるむぉ?」

アらラ 「あららー? 市場じゃないですかネ?」

ミノタ 「だれうま」

アらラ 「トロルさんも相変わらず消息不明ですネ」

ミノタ 「あのバカはお姉さんがぶち殺したむぉ」

女騎士 「え?」

母上  「ほう? 大した腕だ。」

アらラ 「あららー♪ さすが騎士さま! めちゃ強いですぅ! 素敵ですぅ!」>ワ<


ミノタ 「あのバカ、どうせ女の子を残忍に殺した話を、さも得意げに話して聞かせたむぉ?」

女騎士 「ちょ、あいつ!? え、ええ、生かしておけないと思って、つい殺って…」

ミノタ 「あのバカ、ああいう挑発がかっこいいと思ってたむぉ、とんだ中二病だったむぉ」

アらラ 「あららー? バカは死ななきゃ治らなかったですネ。」


女騎士 「ただの化物かと…。お仲間…だったんでしょうか、その…」

母上  「その通りただの化物。自業自得だ、片付いてさっぱり。」

ミノタ 「近頃中二が悪化していたから、お姉さんが片付けなければそのうちボクが処分してたむぉ」

女騎士 「殺したあたしが言うのもなんですが、容赦ないですね。」

ミノタ 「指導者が邪魔な奴を粛清する事は、革命実践の第一歩むぉ。ヨシフもそう言ったむぉ」

女騎士 「誰それ?」


母上  「始めよう。まず、迷宮"ラビュリントス"要塞内部の防衛能力について。」

ミノタ 「報告むぉ。主力のオーガー要塞警護兵団は兵員の数が六割から五割ほどに減ったむぉ。
     士気は変化なし、いつもどおりあいかわらず何も考えてないむぉ」

母上  「半減は痛いな…、原因は何か?」

ミノタ 「お姉さんが殺ったむぉ。」

女騎士 「またあたしですか!?」


ミノタ 「奴らは侵入者の迎撃が通常任務むぉ。
     お姉さんがボクの所までたどり着いた時点で、相当数を撃破したはずむぉ。」

アらラ 「あららー♪ さすが騎士さま! めちゃ素敵ですぅ! 無敵ですぅ!」>ワ<

女騎士 「ごめんなさい…その…殺意剥き出しで襲ってきたから怖くてつい…」

母上  「話して通じる相手ではない。止むを得ないだろう、気にするな。
     人間が番犬を飼うように、我らは連中を飼っている。所詮ただの怪物だ。」


ミノタ 「それより中核のバカトロルが死んだから、オーガーどもの指揮執る奴がいなくて苦慮してるむぉ」

母上  「あのバカは居ても居なくても変わらないと考えられるがどうか?」

ミノタ 「そうでもないむぉ。オーガーども輪を掛けてバカだから、
     ボスがいなくなった途端、誰が最強かとかしょうもないことで内ゲバ始めるむぉ」

母上  「うーん、伝説の魔王とやらがどうしてあんなバカの集団を統率できたのか不思議でならない。次っ」

アらラ 「あららー、報告ですネ。
     アらラ配下のアルラウネ要塞防御隊は、種を育む時期に入って各自の能力半減ですネ。
     枯れ始めている者もいますネ。新開発のカタバミホウセンカ地雷の配備は予定通り遅れてますネ」

母上  「アらラちゃん自身の調子はどうか?」

アらラ 「えへへ~♪
     先ほど騎士さまが優しくしてくれたので、いつもどおり元気いっぱいご飯が楽しみですぅ♪」


母上  「よろしい。では各階対人トラップの状況はどうか?」

アらラ 「その多くが騎士さまの侵攻時に稼動したと見られ、
     そのうち六割ほどが修理を要し、機能を満たしてないですネ」

女騎士 「その、ごめんなさい…いろいろ壊しました…」

母上  「またおまえか」


ミノタ 「そのわりにほとんど怪我もせずに迷宮最深部にまで侵攻してきたお姉さんぱねぇ」

アらラ 「あららー♪ さすが騎士さま! めちゃ頑丈ですぅ! 無双ですぅ!」>ワ<

母上  「現状を整理すると、要塞の防衛能力は著しく低下していると言わざるを得ない。」

ミノタ 「お姉さん一人にここまで蹂躙されるとは、神代よりの迷宮"ラビュリントス"の名が泣くむぉ」

アらラ 「あららー、母上さまの最終兵器"ラビュリス"が無かったら、ここ陥落してたかも知れませんネ」

ミノタ 「被害甚大むぉ。災害対策本部を設置するむぉ。」

女騎士 「あたしは竜巻か何かの類でしょうか…?」orz


母上  「次に、備蓄・兵站について。私から説明しよう。
     井戸は渇水期に入るが当面生活に支障はないだろう。鉱泉の水位に異常は認められない。
     ただし、近く風呂の薪が底をつく!」

ミノタ 「干したのが乾いてるはずだから積んでおくむぉ。」

母上  「風呂がなければ、私と騎士どのの士気が維持できない。早急に済ませるように。」

ミノタ 「イエッサ!」

女騎士 「さっきから気になっていたのですが、このノリは一体?」

アらラ 「帝国陸軍式だそうですよ?」


母上  「そして問題の食料だが、オーガーどもの食料を納める肉の卸業者が産地偽装問題で廃業した!
     やむなく養豚業者と契約するべきか検討中だが、どうか?」

ミノタ 「むぉ!? 豚野郎をこの迷宮に出入りさせるなんてダメだむぉ!
     ますますあの豚野郎どもを調子づかせるむぉ!」

女騎士 「オーク嫌いなんだ、やっぱりw」

アらラ 「嫌いどころかオークは目の仇ですネ」


母上  「ではどうすればいい? 血に飢えた連中に各自調達などさせたら周辺住民から猛抗議だ。
     この間もレイプ事件やらかしてゴブリンの市民団体がデモで大騒ぎしたばかりだ。
     かといって迷宮内に押し込めたら共食いを始めかねんぞ?」

女騎士 「どこかの海兵隊みたいなケダモノぶりです。」

アらラ 「お姉さんみたいな誇り高い騎士団と違って、ここはゴロツキの溜り場ですネ」


ミノタ 「提案むぉ。オーガーどもに、交代で豚野郎どもの集落を襲撃させるむぉ。
     豚野郎も駆逐できて一石二鳥むぉ!」

アらラ 「あららー、オーガーにオークを狩らせて餌にするですか? めずらしくミノタさん、悪辣ですネ」

女騎士 「似たもの同士の共食いみたいな…」

母上  「よろしい、それでいこう。だが狩の指揮は誰が?」

ミノタ 「ゴブリンどもから志願者募って、その中からちっとは脳みそありそうな奴を採用するむぉ」


母上  「よろしい。肝心の我々の食料だが――」

コボルト「…ダンナ、母上さま、…大変ですぜ……」ポタ..ポタ..ポタ..

ミノタ 「どうしたむぉ!? 血まみれむぉ!!」

コボルト「すぐ近くに、聖騎士団が… 迷宮が…囲まれていやすぜ… うぐっっ」ドサッ.



(迷宮最深部・医務室)



アらラ 「お願い…止まって……血ぃ止まってっっ!」

コボルト「へへへ… 無理だ嬢ちゃん、…内臓までやられちまった…」

アらラ 「だいじょうぶ! 助けるから! きっと助けるから! アらラを信じてっ!」


コボルト「ちょっと…母上さまと大事な話があるんでさぁ…二人きりに…してもらえねえかな…頼まぁ…」

アらラ 「で、でも、でもでもっ!」

コボルト「できること…全部…してくれたんだろう…? 十分だ…ありがとよ嬢ちゃん…」

母上  「アらラちゃん、ありがとう。…二人にしてもらえる?」

アらラ 「コボルトさん…」

コボルト「ありがとよ嬢ちゃん…」


母上  「……。」

コボルト「くたばる前に、母上さまに、伝えたいことが…あるんでさ…」

母上  「しっかりなさい。まだお迎えは来てらっしゃらないですか。」

コボルト「…この迷宮を…離れてくだせぇ…」

母上  「なぜ?」

コボルト「この迷宮は、いずれ戦場になりやす… ここを離れて…生き延びてくだせえ…」


母上  「私はこの迷宮で主人の帰りを待っています。」

コボルト「王家に代わってこれからこの国を支配する教会は、魔物の巣食う領域を認めねぇ…
     何度でも、この迷宮に攻め入って来まさぁ…」

母上  「何度でも来るがいいわ。すべて血溜りに沈めてくれん。」

コボルト「あっしは…母上さまに…幸せになって欲しいんでさ…」

母上  「何を言ってるのですか、私は幸せですよ。」

コボルト「いつまでもここにいたら、幸せが逃げて行ってしまいまさぁ…」

母上  「ここには、主人を愛した日々の思い出が…。私の居場所なのです。」


コボルト「……。ひでぇ血の匂いがここまで漂ってきまサァ。人間のじゃねえ…」

母上  「ミノタがオーガーの兵団を差し向けたのでしょう。でも、聖騎士団相手に、どれだけ敵うか…」

コボルト「こりゃ、こっちは全滅か…。」

母上  「迷宮に篭って長期戦に持ち込めば、うんざりして撤退しないかしら。」

コボルト「包囲されているんだ、こっちの兵站が持たないですぜ…」

母上  「ですね。」


コボルト「…その、ご主人のこってす…。ちゃんと生きておいでですぜ。」

母上  「!」

コボルト「…東の帝国に、ご主人を…見たと言う奴が…国境の街のそこで…健在…という…ごほっ、うぐっ」

母上  「…。」

コボルト「…東です。東を目指してくだせぇ…ここを離れ、ご主人を…」

母上  「……。本当の話でしょうか?」

コボルト「…なぜ…で?」

母上  「私をここから離れさせるための口実…。違いますか?」


コボルト「へ…へへ…。あんた、やっぱいい女だ…身体もいいが勘もいい…」

母上  「……。」

コボルト「ちょっと違うんでさぁ。この迷宮を離れていただくため、今、手札を切ったんでさ…。
     ずっと手元で伏せておくつもりだった手札を…」

母上  「…?」


コボルト「あっしは、あんたを気に入ってるんでさ…
     そうよ、この迷宮に生贄みたいに吊るされてたあの日から。」

母上  「…」

コボルト「あんた、死人の目してた。
     それがどうだ… ご主人…いや、お頭が情けを掛けてやると、あんたは水を得た魚のように…」

コボルト「いや、そんなヌルいもんじゃなかった…、お頭の差し伸べた手を、もぎ取らんばかりに掴んでた。」

母上  「…。ええ、必死でした。」


コボルト「あんたは小さな身体で、めいっぱい生きてきた。
     生きるために怪物の手すら躊躇なく掴み、その身も、心までも捧げ、
     怪物相手にガキまで作っちまった。」

母上  「……。本能です。生き狂った女の本能。…くっくっ」

コボルト「へへへ…。それ、そうやって死んだ目ぇして自虐に笑うそれ、
     裂けちまった女の自尊心が上げる悲鳴を、耐えるために必要だった…。そうだろ?」

母上  「くっくっ、私の被虐嗜好、ただの変態なのだと思っていましたが、
     そんな理由でこうなったのかしら? くっくっ」


コボルト「へへ…へへへ… あんたいい女だ。まばゆい生命の力を、あんたに見るんだ…… マブい女だ…」

母上  「……。マブいって、死語通り越してゾンビ語です。そろそろ古典の教科書に載ります。」

コボルト「ツッコミがショッパイねぇ。あっしはお頭を羨んでたんでさ。同じ男として。」

コボルト「こんないい女にブチ込んで孕ませて、家族にして、少々バカだが良く出来た息子残して…」

母上  「ご家族は?」

コボルト「死んでまさぁ」

母上  「そう…」


コボルト「あっしもあんたを抱いてみたかった…。
     毎晩、あんたのその小さな肢体を組み伏せて、しこたま注ぎ込んでガキ何人も産ませて、
     銭のやりくりに四苦八苦しながらも大家族で毎日ワイワイとさぁ…」

母上  「もし私が見境無しの痴女だったとしても、貴方の望みは叶えられそうにないです。」

コボルト「そうさなぁ。生まれ変わってあんたを犯れるなら…ミノタウロスとか贅沢は言わねえ、
     せめてオークがいいなぁ…あんたを孕ませられりゃなんでも…へへへ」

母上  「オークなどお断り。三枚におろして犬の餌です。また出なおしですね。」

コボルト「ちげぇねぇwww」

母上  「どうして魔物なのです。人間だったなら歓迎しますよ? ※:ただしイケメンに限る 」

コボルト「その発想はなかったwww」


コボルト「お頭がどっか行っちまって、あっしはどこかで…喜んでいたんでさ。妬みなんかじゃあねぇ。
     不肖このあっしめが、お頭の代わりにあんたを見守ってやるんだってな…」

コボルト「お頭が健在ってぇ噂は少し前に耳にしたが、ずっと伏せとくつもりだった…
     あんたの平安な日常を守るのはこのあっしだ、あんたの本当の所有者はあっしだって、
     キメぇ妄想に耽っていたかったんでさ…。」

母上  「そうでしたか…キモいです。」

コボルト「へへへ…。もっとこう……腐った生ゴミ見るような目ぇ向けてくれて構わないんですぜ…?w」

母上  「生ゴミは劣情を語ったりなんかしませんよ。」


コボルト「あっしはもう…くたばる…。もう…見守ることは…できねぇ…。あんたを…お頭に…返しまさぁ…」

コボルト「あんた…こんな迷宮の暗闇で…死んじゃ…いけねえ女だ…。…ここを離れて…お頭の… ……。」

コボルト「 」

母上  「ありがとう。おやすみなさい…。」



(迷宮最深部・医務室)



アらラ 「母上さま? コボルトさんは…?」

母上  「眠りました… そっとしておいてあげましょう。」

アらラ 「そ、そんな…そんなあっ!! コボルトさんっっ!! わあああぁ~っっ!(泣)」

母上  「…そっとしてあげてください…」



(迷宮最深部・ボスの間)



ミノタ 「お姉さん、一人でどこへ行くむぉ」

女騎士 「殺りに」

ミノタ 「目が据わってるむぉ」

女騎士 「奴らの標的はあたしです。なら、これはあたしと聖騎士団の戦いです。」


ミノタ 「行かせないむぉ」

女騎士 「邪魔しないでください。あたしがここに居たらこの迷宮全部が戦場になります。」

ミノタ 「お姉さんが強いのは知ってるむぉ。でも、あの人数相手は多勢に無勢むぉ
     しかも中にはオーガーを一人で屠る手練れも居るむぉ」

女騎士 「あたしなら、ミノタウロスさえ沈めて見せるわっ」

ミノタ 「それ、一対一の決闘なら勝てるむぉ、でも戦争だむぉ?
     鬼神でもない限りいつか力尽きて倒れるむぉ」

女騎士 「果てるまでに、一人でも多く道連れにしてくれるっ!」


ミノタ 「 だめだむぉ 」ギュッ!!

女騎士 「きゃっ!? ちょっ、放して! どこ触ってるんですかっ!」ジタバタ

ミノタ 「 母上に脅されたとき、死を選ぶ事ができなかった、
      命ごいの言葉を言わせないでくれてありがとう 」

ミノタ 「そう言ってたお姉さんはどこ行ったむぉ?」

女騎士 「…。」


ミノタ 「自決しに行くみたいだむぉ。
     バンザイアタックなんてcool!な死に方、お姉さんには似合わないむぉ」

女騎士 「だって…」

女騎士 「ここにいたらあなたと母上さんを死なせる…。
     大人しく投降したら拷問されて火あぶり…。
     逃亡するにも行く当てもなくて犬に追われ獣みたいに狩り立てられる…。」

女騎士 「どうしたら生き延びられる? 教えてよっ! …ぐしゅっ(泣)」

ミノタ 「一人では、死なせないむぉ」

女騎士 「…!」


ミノタ 「どうしても行くなら一緒だむぉ 最期まで、お姉さんの傍に居るむぉ。」

女騎士 「…ダメです。あたし…あなたも、母上さんも、アらラさんだって、
     死なせたくありません…っっ」ポタポタ

ミノタ 「嬉しそうに泣きながらダメだって言っても説得力に欠けるむぉ。」

女騎士 「だってっっ」

ミノタ 「少し頭冷やすむぉ。」

女騎士 「うん。」

ミノタ 「きっと起死回生の方法が見つかるむぉ。命賭けるなら、その時でも遅くないむぉ」



(迷宮最深部・作戦司令室)



母上  「この迷宮を放棄して、脱出しようと思うのです。」

ミノタ 「脱出むぉ? 母上がそれでよければボクは構わないむぉ。でも、どこへ行くむぉ?」

母上  「東の帝国を目指します。」

女騎士 「帝国領ですか? 遠いです…」


母上  「枢機卿はもちろん教会の力も及ばない、私と騎士どのにとって安全な新天地であるばかりでなく、
     国境付近の街で主人を見たものが居るという情報があるのです。」

ミノタ 「父上むぉ!?」

女騎士 「今、この迷宮は包囲されています。どう…突破しますか?」

母上  「私が囮になり派手に暴れて、包囲している聖騎士団を一箇所に集めます。
     その隙に他全員が裏から脱出するのです。」

女騎士 「囮!? 母上さんが、ですか!?」

母上  「理屈は簡単ですが、実践は困難を極めます…。」


ミノタ 「無茶だむぉ… 母上は一人で逃げ切らなければならないむぉ…」

母上  「事実上、多数の騎士を相手にして大立ち回りできるのは、魔戦斧"ラビュリス"の力を
     扱える私だけなのです。」

ミノタ 「母上は、そんなに長い間"ラビュリス"を振り回す事できないむぉ!?
     十何人かそのくらいブッた斬って、その後に力尽きるむぉ!」

母上  「……。最悪、合流できないでしょう…。」


ミノタ 「ボクに"ラビュリス"を継承するむぉ! ボクならきっと、一個中隊を蹴散らして悠々と…」

母上  「そのあと、お前はどうなるんだい!」

ミノタ 「……」

女騎士 「…? ど、どうなるん…ですか?」

母上  「この子、一度、魔戦斧に心を乗っ取られたことがあるの。」

女騎士 「こわっ!」

母上  「でしょう? そのときは主人がぶん殴って何とか自分を取り戻すことができたのだけど、
     今はもう誰にも止められやしないわ。」


女騎士 「ミノタウロスが魔戦斧を手にすると、みんなそうなってしまうのでしょうか?」

母上  「そんなことはないわ。
     ご先祖に一人、魔戦斧に支配されたのがいたみたいだけど、千年も昔の話らしいの。」

ミノタ 「ボクは千年に一人の味噌っかすのミソタウロスむぉ…。」

母上  「逆じゃないかねえ。
     ミノタウロスの王アステリオスは、自らの再来を待ち望んでいると言われるわ。
     お前、きっと王に気に入られちゃったのよ。」

ミノタ 「はっ!? お姉さんが愛の言葉で呼びかけてくれれば、自我を取り戻すことができるはずむぉ!」

ミノタ 「そういう熱い愛の物語むぉ!」

女騎士 「キャラ的にそれはない」

母上  「愛の言葉より鉄の拳でしょうね。」



(迷宮内居住区・居間)



ミノタ 「くやしいむぉっ どうして本家本流ミノタウロスのボクがダメむぉ?
     人間の母上を認めるくせに、ケチな魔戦斧むぉ」

女騎士 「母上さんの…魔戦斧"ラビュリス"、すごい力だった。
     手も足も出ないで易々と制圧されてしまいました。」

ミノタ 「魔戦斧の伝説には大魔王と巨神兵とデススターをまとめて一刀両断って話まであるむぉ。
     そんなの食らって生きてるお姉さんおかしいむぉ」

女騎士 「そんなに頑丈じゃないですからね!?
     女の子を連邦の白い機動戦士みたいに言わないでね!?」


ミノタ 「でも身体の小さな母上には体力の負担が大きすぎるむぉ…
     元々が体力バカのミノタウロスの武器だから仕方ないむぉ」

女騎士 「"ラビュリス"に認められると、誰でも魔戦斧の力を使えるの?」

ミノタ 「使えるむぉ。ミノタウロスと眷属が、認められるむぉ。認められないとタダの戦斧むぉ」

女騎士 「母上さんは人間なのになぜ認められるのでしょう…?」

ミノタ 「ボクを産んだからだむぉ。ミノタウロスの母は眷属むぉ」

女騎士 「………!!」




女騎士 「…ねぇ…」

ミノタ 「夜伽のお誘いの時みたいな声出してどしたむぉ?」

女騎士 「出してませんよ!? 夜伽のお誘いしたこともありませんからね!?」

ミノタ 「そーだっけむぉ」

女騎士 「…。」

ミノタ 「…。」

女騎士 「さっき言った事……ほんと?」

ミノタ 「なんむぉ?」

女騎士 「最期まであたしの傍に居てくれるって…」

ミノタ 「本当むぉ。」

ミノタ 「お姉さんより先には死なないむぉ。お姉さんが死ぬ所は、ボクの腕の中むぉ。」

女騎士 「…うん、ありがとう…」



(迷宮最深部・王の間)



女騎士 「母上さん、お願いがあります。」

女騎士 「あたしに魔戦斧"ラビュリス"を与えては頂けませんか?
     囮の役目、あたしとミノタさんで引き受けます!」

母上  「騎士どのが魔戦斧を?
     はて…、騎士どのが"ラビュリス"に認められれば、振るうことも叶うでしょう。
     ですが"ラビュリス"はミノタウロス一族とその眷属にのみ、その力を与えると伝えられます。」

女騎士 「一族とその眷属…ですね。
     母上さんは人でありながら、その力を存分に振るっておいででした。」

母上  「私はミノタウロスの子を儲けた母。故に"ラビュリス"は存分に力を与えたもう。」

女騎士 「産むに到らずとも、未だ母にあらずとも、胎内に精を受けて子を孕むことだけでは、
     魔戦斧"ラビュリス"を振るうことは叶わないものでしょうか?」


母上  「?」

女騎士 「いずれミノタウロスの母となる身であれば、もしかしたら眷属とみなされるかな、と…」

母上  「どうでしょう。でもその覚悟があれば、あるいは叶うかと。」

女騎士 「なら…あたしは、"ラビュリス"を振るう資格を、得るつもりです。」

母上  「資格…ですか?」

女騎士 「今夜、抱いていただいて…ミノタウロスの精を受けるつもりです…。」


母上  「騎士どの…?」

女騎士 「頼める仲間も一騎当千の武力も持たないあたしの、今できる最大限がこれです…」

女騎士 「あたし、ミノタさんも母上さんもアらラさんも死なせたくありません。
     だけど今のあたしは、何も、誰一人、守り抜く力を持ってはいません。」

女騎士 「これはあたしと枢機卿の争いのはず。
     あたし一人がここから去れば、母上さんもミノタさんも巻き込まない。
     だけどミノタさんはあたしを一人で死なせないと、そう言ってくれました。」


女騎士 「あたしには守るべき家族も仕えるべき主も居ません。
     ちっぽけな騎士の誇りだけを頼りに、生きていました。」

女騎士 「でも今は違います。
     全身全霊を以って、みんなで生き延びる道をミノタさんと二人で切り開いてみせます!」

母上  「…そう…ありがとう、騎士どの。」

母上  「あなたはたった今から…私たちの『家族』です…!」ギュッ…

女騎士 「母上さん…」

母上  「神代の古、ミノタウロスの王アステリオスより受け継ぎし戦斧"ラビュリス"、あなたに託します。」

母上  「今やあなたは、騎士にして、怪物ミノタウロスの眷属が一人。」

母上  「"ラビュリス"は余すことなくその力を与えてくれるでしょう。受け取りなさい。」



女騎士 「ありがとう、母上さま!」

女騎士 「夜明けまでには必ず、これを振るう資格を…。きっとミノタさんの子を…宿してみせます。」

母上  「そのことですが…」

女騎士 「いいんです。ミノタさんは喜んでくれそうですから。
     観念して、あたしもミノタウロスの母になります。」

女騎士 「せめて…姿は怪物でも、人の心を持ったやさしい子に育ててあげたいので…
     子育てのご指導、よろしくお願いしますねっ」


母上  「…これは、告げていいことなのかどうなのか…
     いや、告げるべきですね。"家族"ですから。ふふw」

女騎士 「?」

母上  「"ラビュリス"が、その力を与えるに相応しい者と認めるのは、肉体の如何に拠らないのです。」

女騎士 「??」

母上  「"ラビュリス"が問うは、その魂の在りよう。」

母上  「雄々しき闘争心、大気を揺るがす覇気、勝利への渇望…
     ミノタウロス一族の力を誇示するに相応しい魂に、魔戦斧"ラビュリス"は応えるという。」

母上  「つまり、胎内にミノタウロスの精を受ける行為は、必要ではないのですよ?」(^^)b"


女騎士 「……。ちょ、ええええっっ!?」

母上  「騎士どのは"家族"です。ミノタがかわいくても、この事を黙っているわけにいかないのでしたw」

女騎士 「でも、でも、では母上さんは!?」

母上  「子の親になれば分かります。
     家族や家庭を守る為に武器を取る母の覚悟は、怪物の王ですら一目置くのですよ?」

母上  「よく言うじゃないですか、"母は強し!"ってね☆ 」

女騎士 「なん…ですとっ……」

母上  「せっかくミノタの赤ちゃん生んでくれる覚悟まで決めてくれたのに、ごめんなさいね。
     でも、ありがとうw」

女騎士 「はわわわわ…」(///;;;


母上  「あ…、でもこれを機会にミノタとしたいのなら、この事はあの子には黙ってますよ?
     騎士どのは恥ずかしがり屋さんですから、こんな口実でもないとミノタに赤ちゃん欲しいなんて、
     一生言えなさそうw」

女騎士 「い、いえいえ、それならしませんっ!しませんてばっ!
     か、からから、からかわないでくださいっっ!」(///;;

母上  「"ラビュリス"はガチな兵器。
     乙女じゃなきゃ使えないとか勇者なんとかの血筋専用とか、
     その類のイミフ仕様な胡散臭い武具とは一線を画す殺戮兵器です。」

女騎士 「ですよねー ミノタウロスとヤれば使えるようになる伝説の武器とか
     そんなエロゲ設定、ありえないですよねー」orz

母上  「勘違いは誰にもありますからw 
     騎士どのは目的の為なら手段を問わない、大胆な決断をする娘ですね。惚れそうですわw」

女騎士 「あたしバカみたいっっ 穴があれば入って蓋閉めたいっっ」 o(///;;





(迷宮最深部・ボスの間)



ミノタ 「むぉ? お姉さん、にやにやしてどうしたむぉ?」

女騎士 「うん。えへへ…」

ミノタ 「なんかえっちな事でも考えてるむぉ?」

女騎士 「違います!」

ミノタ 「じゃ、おいしい物でも食べてきたむぉ?」

女騎士 「母上さんに、"家族"って言ってもらっちゃったっ てへへ…」

ミノタ 「もちろんむぉ。お姉さんはボクの嫁むぉ。」

女騎士 「え? あれ? そういう意味? ええっ!?」


ミノタ 「違うむぉ?」

女騎士 「違います! …いや、違わないけど…でも違うのっ!」

ミノタ 「じゃ、母上の嫁だむぉ」

女騎士 「え"っ」

ミノタ 「違うむぉ?」

女騎士 「違っ… え、ええと…違うはず…だけど…違わなかった…り…!?」

ミノタ 「誰の嫁むぉ?」

女騎士 「はわわ…」

ミノタ 「じゃみんなの嫁むぉ」

女騎士 「ぜったい違います!」



(迷宮最深部・ボスの間)



ミノタ 「魔戦斧をどうするむぉ?」

女騎士 「母上さんより託されました!」

ミノタ 「さっき言ってた、"大事な儀式がある"って、何するむぉ? 魔戦斧と何か関係あるむぉ?」

女騎士 「え!? あ、いや…な、なんでもないの、なんでもっっ! うん!」(///;;

ミノタ 「むぉ?」


女騎士 「今やあたしもミノタウロスの眷属が一人…家族なんだから!
     さぁーこの魔戦斧っ、応えなさいっ!」ジャキン!

ミノタ 「まさかお姉さんまで"ラビュリス"に認められたむぉ!? 」

女騎士 「うーん?? どうすれば魔戦斧の力を引き出せるのかしらっ?」ゴゴゴゴゴ!!

ミノタ 「むおぉっ!? もう十分引き出してるむぉ!
     背景にゴゴゴゴって出てるし全身からオーラ噴き出て髪が金色に逆立ってるむぉ!
     戦闘力五十三万むぉ!」


女騎士 「ちょっ!? これどうやって止めればいいのよぉ!?」

ミノタ 「ほい。」ナデナデ

女騎士 「きゃっ!?」

ミノタ 「…おしり撫でたら戻ったむぉ。集中力乱すと戻るのは王道むぉ」

女騎士 「セクハラって言います!もうっ!」

ミノタ 「鬼神のような闘気むぉ! 並の騎士ならちびって泣いて帰るむぉ! これで勝つる!」

女騎士 「闘いに興じるあまり修羅の道から戻れなくなった、とかありがちな展開が怖いです。」

ミノタ 「大丈夫、その時はまたおしり撫でてあげるむぉ」ナデナデ

女騎士 「本当に必要になった時だけにしてくださいね!?」(///;



(迷宮最深部・作戦司令部)



母上  「夜明けまであと少し。では脱出作戦を敢行します!」

アらラ 「計画通り、二手にわかれて脱出になるですネ。
     ミノタさん夫婦は、敵を引き付ける為に正面で大暴れですぅ!
     母上さまとアらラは、敵の包囲が手薄になったところで、裏からこっそり抜け出しますネ。」

アらラ 「長旅に必要な荷物は全部この怪力アらラちゃんにお任せですネ!
     怪我で歩けないコボルトさんも一緒ですぅ♪」

女騎士 「コボルトさん!?」

ミノタ 「助かったむぉ!?」

母上  「ええ♪
     アらラちゃんの必死の手当てのおかげで、なんとか一命を取りとめることができたそうよ♪」

コボルト「………。」


女騎士 「よ、よかった…!」ウルッ

ミノタ 「お前てっきりくたばったと思ったむぉー! さすが変質者しぶといむぉ!
     こんちくしょー、今度みんなに超高級きのこ鍋おごれむぉ!」>ワ<

アらラ 「あららー♪ みんな泣いて喜んでくれてますぅ! 生きててよかったですネ、コボルトさん♪」

コボルト「お、おう……」

母上  「うふ♪ 個人的にいろいろお話聞かせていただいちゃったから、
     このままお別れにならなくて良かったですわ♪」

コボルト「ごふっ!げふっ!がふっ!」

アらラ 「あららー? コボルトさん、冷や汗すごいですネ? お身体拭きましょうか?」


コボルト「どうしてあのまま、あっしを逝かせてくれなかったんで…」

母上  「放っておけるわけありませんわ。どうして?」

コボルト「腹ん中ぁ全部ぶちまけて、きれいさっぱり未練なくこの世からおさらばできたと思ってみりゃ…。
     …こりゃ生き恥もいいこった、どうしてこうなった……orz」

母上  「アらラちゃんの鎮痛薬が効いてきて、お迎えが来たものと勘違いされたようですね。
     ふふ、少々早まりましたねw」


コボルト「あっしのようなキメぇ生ゴミ、埋めてしまうに限りますぜ…」

母上  「どうやら貴方は、私を良く理解して下さってる一人です。
     いろいろ語って下さいましたが、悪い気はしませんよ?」

母上  「貴方の胸にしまっていた願望にお応えすることはできませんが、
     これからもよろしくお願いしますねw」 ニコニコ

コボルト「母上…さま……?」

アらラ 「あららー? お二人には何か難しい大人の事情があるのですネ?w」

母上  「ええ、大人同士の秘め事ですw」

コボルト「ごふっ!げふっ!」

アらラ 「それでは、また会う時まで、アらラちゃんお別れですぅ♪」

母上  「ミノタ、騎士どの、武運を祈ってますよ。大丈夫、あなたたち夫婦はウマが合いますw」

女騎士 「この期に及んでからかわないでくださいねっ!?」










ミノタ 「フシューーッ……!」

女騎士 「ミノタさん、背後はお任せしますね!」 ニコ

ミノタ 「ボクの…本気を見せる時が来たむぉ。任せろむぉ。」 ムンッ!

ミノタ 「さぁ…神代からの怪物・ミノタウロス一族の恐ろしさ…
     今こそ思い知らせてやる時むぉ! ムゥォオオオオオオ…!!」 ムキムキムキビキキッ!!

女騎士 「…征きましょう! あたしたち"家族"の未来を切り開くためにっっ」ジャキン! …ゴゴゴゴゴ!!

ミノタ 「お願いがあるむぉ!」

女騎士 「なにかしら?」

ミノタ 「ボクたち二人とも生き残れたら――」

ミノタ 「 明るい家族計画しない? 」

女騎士 「 考えておきます♪ 」







fin.


面白かった
乙!

打ち切りは許しません!!

嫁と姑が仲良しでほっこり。乙でした。

過去作訊いてもいいむぉ?

乙~
面白かった、できれば続きを読みたいわ

続けてむぉ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月10日 (月) 22:01:22   ID: UvMZZTlz

これは続きが読みたいな

2 :  SS好きの774さん   2014年06月01日 (日) 13:48:27   ID: lTsN0I4A

泣ける(T-T)

3 :  SS好きの774さん   2016年07月31日 (日) 21:37:05   ID: H453AiM3

不覚にもおもしろかった。

人間性というか心のようなものがあるなら
ミノタウロスと女騎士の特盛エロ濡れ場もありだな。

種の存続を純粋に目的にするからイヤらしさがないな。

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