黒井「月下の姫にその輝き見えずとも」 (28)
黒井「容態はどうなんだ」
医者「……絶望的です。むしろ、よく今まで活動できたと言えるほどです」
黒井「治る見込みは無いのか」
医者「……難しいでしょうな。彼女の場合、遺伝的なものが関わっている」
黒井「…………」
医者「アイドル活動は、諦めてもらうしかありません」
黒井「そうか……失礼した」
医者「……黒井殿」
黒井「なんだ」
医者「彼女には、もう会いましたか」
黒井「ああ、会ってきた」
黒井「全く、見るに耐えなかった」
医者「…………」
黒井「言っておくが、私は諦めんぞ。なんとしてでも、治してみせる」
黒井「四条貴音はここで終わって良いアイドルじゃあない……ッ!」
医者「…………」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391505605
※このSSは、SPのIFストーリーと2の設定が混在しています
※アイドルがP以外とくっつくのが嫌な人はUターン推奨です
黒井(四条貴音。ユニットグループ『フェアリー』の一人)
黒井(高い歌唱力と優れたビジュアル、そのミステリアスな言動で人気を博す)
黒井(『銀色の王女』と呼ばれる彼女は、今や星井美希、我那覇響と共にトップアイドルの座を手にする所まで来ていた)
黒井「だのに何故……!」
貴音「良いのです。悪いのは全て、この事を黙っていた私ですから」
黒井「ああ、それも悪い」
黒井「何がトップアイドルだ、笑わせる。自己管理もできないアイドルを育てた覚えはない」
貴音「…………」
黒井「だが私が何より許せないのは、こうなることが予測できていなかった私の未熟さだ!」
貴音「黒井殿、これは私の責任で……」
黒井「私は社長である前に一人のプロデューサーだ! アイドルの変化にも気づけずにプロデューサーを名乗る資格はない」
黒井「クソッ……!」
貴音「……泣いておられるのですか?」
黒井「君に分かるのか、今の私の表情が」
黒井「視力を失った君に、私の顔は見えるのか」
貴音「…………」
貴音「私は、生まれつき目が弱かったのです」
貴音「成長するとともに視力は次第に弱くなり、今に至ります」
貴音「これは、起こるべくして起きたのです。黙っていた私の責任、黒井殿に否はありません」
黒井「分かっていながら黙っていた、と。そういうことだな」
貴音「……はい」
黒井「事前に知らせてくれれば、対策も取った。それに合わせてスケジュールも組んだ。それに、」
黒井「あの二人があんなに悲しい顔をすることもなかった」
貴音「…………」
黒井「まったく、君に見せてやりたいものだ。あの二人の、君の診断結果を聞いた時の顔を」
黒井「……私も同じ顔をしていただろうがな」
貴音「申し訳ございません……」
黒井「兎に角、その目ではアイドルを続けるのは不可能だ。それだけは明確だ」
黒井「だが私は、ここで君を手放す気はない。貴音ちゃんの歌唱力なら歌手でも十分売っていけるだろう」
貴音「私は……」
黒井「返事は今でなくていい。十分考えたまえ。良い答えを期待している。アデュー」ギィ バタン
貴音「……黒井殿」
貴音「…………」グッ
貴音「私は……私は……!」
黒井「…………」
期待
冬馬「なあ、最近おっさんの様子おかしくねぇか」
北斗「貴音ちゃんが入院してから、だよな」
翔太「ジョバちゃん何か聞いてないの?」
三条馬「えっ……いや、私は何も」
三条馬(貴音ちゃんの件はフェアリーに近しいマネージャーとフェアリーにしか伝わってないのね)
北斗「美希ちゃんも響ちゃんも、ひどい落ち込みようで仕事も手についてないし」
冬馬「フェアリーやべぇんじゃねえのか? これ」
三条馬「……そう、かもね」
翔太「この間レッスン場で見かけたけど、響さん……なんか鬼気迫る感じだったよ」
北斗「体を動かしてないと駄目なほどに切羽詰まっている……と考えると、相当まずいんじゃない?」
冬馬「…………」
冬馬(ただの入院なら、入院の理由を隠したりするか? それに、あのおっさんの様子は尋常じゃねえ)
冬馬(大怪我だったりするならそれなりの対応になるはずだ。やっぱり、入院理由を隠していることに何かの理由がある)
冬馬(だとしたら、なんだ……? 四条の入院の理由は)
カモ「…………」
美希「……はぁ」
美希「ミキ、なんにもやる気が起きないの。この間までは、仕事をするのがあんなに楽しかったのに」
美希「響は毎日レッスンに行ってるみたいだけど……あんな悲しそうな顔で踊る響とレッスンなんて出来ないの」
美希「……ミキどうすればいいのかな、カモ先生。分かんないよ……」
冬馬「やっぱりここだったか」
美希「! 冬馬くん……?」
冬馬「聞きたいことがある」
美希「なに? 仕事に出ないのは別に……」
冬馬「四条の、四条貴音の入院理由は何だ?」
美希「ッ!」
冬馬「あいつが居なくなってから、お前らも黒井のおっさんも、ついでに言えば事務所に出入りしてるマネージャーの何人かの様子がおかしい」
冬馬「なにがあったんだ、一体」
美希「…………」
冬馬「!?」
冬馬(なんて暗い顔しやがるんだ、こいつ……もしかして、俺が考えている以上に深刻なのか?)
美希「ミキの口からは言えないの。どうしても知りたかったら、黒井社長に聞いた方が良いって思うな」
冬馬「そうか……」
冬馬(こんな顔してる奴に、これ以上追求なんて、出来るわけがねぇ……)
冬馬「邪魔したな」
美希「うん、ばいばい」
美希「…………」
美希「そっか……ジュピターは知らないんだ……」
冬馬(最初は、フェアリーがこのまま駄目になるんじゃないかって心配だった)
冬馬(だがあの星井の様子からして、事はそんなレベルに収まらねえ)
冬馬(下手すれば、フェアリーだけじゃない、会社そのものが傾くかもしれねぇ)
冬馬(確かめないといけなさそうだ……黒いのおっさんに)
冬馬「おっさん、俺だ」コンコン ガチャ
黒井「……冬馬か。何の用だ」
冬馬(一週間前に見かけた時よりやつれてる……やっぱりこれはどうにかしないとヤバイ)
黒井「私は今忙しい、用があるならさっさとしろ」
冬馬「その用っていうのは、四条に関係することか」
黒井「……だったらなんだ?」
冬馬「なんで四条は入院してるんだ。フェアリー活動休止にすらなってるのに、なんでその理由が公表されてないんだ」
黒井「貴様が知る必要はない。お前は三条馬マネージャーに従って仕事をしていればいい」
冬馬「んだよ……やっぱり変だぜ、おっさん! アンタの今のセリフ、まるで昔のアンタだ」
冬馬「なにがあったんだよ、本当に」
黒井「そうか……お前は北斗や翔太より先にソロで活動していたから、昔の私を知っているのだったな」
黒井「冬馬、私が『変わった』のはいつか分かるか」
冬馬「変わった? 単純におっさんが丸くなったって意味なら、一年半くらい前のアイドルアルティメイト決勝からだろ」
冬馬「そういえば、アイドルアルティメイトに出場したのも四条だったな」
黒井「ああ、そして水瀬伊織に敗北した」
冬馬「おっさん、おっさんが何言いたいのかさっぱり分かんねぇぞ」
黒井「私は貴音ちゃんに救われた、だから私は貴音ちゃんを救う必要があるのだ」
冬馬「救われた……?」
黒井「さあ、これ以上私が話すことはない」
冬馬「……そうか。邪魔した」
冬馬(どういうことだ……? ますます分からねぇ)
冬馬(だがその後、俺は思いも寄らぬところで事の真相に触れた)
冬馬(社長室から、黒井のおっさんが怒鳴っているのを聞きつけた時だった)
黒井「見つからないだと? ふざけるんじゃない、死ぬ気で探せ!」
秘書「無茶です! 失明した目を治すなんて、今の技術では治せる対象が限定的すぎて……」
黒井「口答えするな!」
秘書「ですが……!」
黒井「……クソッ! 何故だ、何故なんだ! 金ならいくらでもある! 1000万でも1億でも払ってやる!」
黒井「何故……貴音ちゃんの目を治す事ができない……」
黒井「私には! 恩人一人救うことも出来ないというのか!」
秘書「社長! 落ち着いて下さい!」
冬馬(どういうことだ? 失明? それに、四条って……まさか、四条の入院している理由って……)
黒井「! 誰だ!」
冬馬(まずい!)バッ
黒井「……気のせいか? クソ、ついに私も幻覚を見るようになったか?」
秘書「一度休まれては……」
黒井「ああ……そうさせてもらおう。少し頭に血が上っていた」
黒井「その前に、一度貴音ちゃんの様子を見てくる」
秘書(社長……)
冬馬(おっさん……そういうことだったのか)
黒井「ウィ、邪魔するぞ」
貴音「黒井殿ですか」
黒井「ああ」
貴音「元気がありませんね」
黒井「分かるのか?」
貴音「声に覇気がありませんから」
黒井「そうか。そうだろうな」
貴音「……私のせいですか?」
貴音「やはり、私が黙っていたせいなのですか?」
黒井「いや、そうじゃあない。これは私がしたくてやっていることだ」
貴音「何故そこまでして、私の目を治そうとするのですか……?」
貴音「お医者様から聞きました。もう私の目は治らないと……」
黒井「…………」
黒井「少し、昔話をしよう」
貴音「昔話、ですか?」
黒井「昔と言ってもそう遠い話じゃない。一年半ほど前の話だ」
貴音「アイドルアルティメイト……決勝戦ですか」
黒井「今の961プロがあるのは、貴音ちゃん、君が居てこそだと私は思っている」
黒井「あの時の話をしよう。水瀬伊織に敗北し、私が君にクビを宣告したときの話だ」
――――――――――――
――――――
―――
黒井「フン、約束通り君は今日限りでクビだ」
伊織「なっ……!? アンタ、どの面下げて……」
黒井「部外者は黙っていろ。これは約束だ、互いに理解しての結論だ。違うか?」
貴音「…………」
伊織「アンタも見てたでしょう!? こいつは最後まで真剣に勝負した! その結果私が勝ったってだけなのに、クビってどういうことよ!」
黒井「約束は約束だ。負け犬はうちの事務所に必要ない!」
伊織「なっ……この――」
P「待て伊織」
伊織「なんで止めるのよ!」
P「……黒井社長」
P「貴方は負け犬だ」
伊織「!?」
貴音「!?」
黒井「なっ……な!?」
P「プロデューサーの俺から見て、伊織と貴音の実力はほぼ互角だった」
P「やりようによっては、伊織がこの決勝で負けていたかもしれない」
P「なら何が違ったのか」
P「黒井社長、貴方のやり方が間違っていたからだ」
黒井「なんだと……? 弱小事務所のへっぽこプロデューサーが何を偉そうに……」
P「そのへっぽこプロデューサーに劣る負け犬の戯言なんか鵜呑みにする筋合いはない」
黒井「なんだと……?」
P「何故正々堂々勝負できないんですか、貴方は。自分のところのアイドルを苦しめて、」
P「その挙句自分の実力を棚に上げてクビにするだとか」
P「貴方は王者の器じゃない」
黒井「ぐぬぅ……!」
P「失礼します。行くぞ、伊織」
伊織「え、ええ……」
貴音「…………」
貴音「黒井社長」
黒井「……なんだ」
貴音「本当に、私のクビは免れないのですか」
黒井「何度も言わせるな」
貴音「私は、まだ頂に届いていません」
黒井「……?」
貴音「私はまだ諦めたわけではありません、まだこれからも、頂を目指していくつもりです」
黒井「何が言いたい」
貴音「私を、961プロに置いてください! 私は、黒井社長の力があれば必ず頂点に……」
黒井「何度も言わせるなと言っているんだ! 貴様はクビだ、それは変わらん!」
貴音「…………」
黒井「……何だその目は。まだ私に口答えをする気か」
黒井「約束を曲げるつもりはない! どこへなりとも消えてしまえ!」
貴音「……何故」
黒井「…………」
貴音「何故、黒井社長は今、そんなに寂しげな顔をしているのですか」
貴音「何故、声を震わせておられるのですか」
貴音「何故……」
黒井「……いい加減にしろ」
貴音「黒井社長はあの方が言う程程度の低い人間には思えません! 少なくとも私は、黒井社長を王者の風格の持ち主だと……」
黒井「いい加減にしろといったんだ! やめろ!」
黒井「それ以上……私の心を見透かしたような事を言うのは、やめてくれ……」
貴音「……黒井殿」
貴音「私を、961プロに置いてください。必ずや、黒井殿の力になります。トップアイドルとして。ですから……」
黒井「……好きにしろ。だが次はない。来年に控えたIA大賞で結果を出せ、それでその後の処遇を決める」
貴音「……! ありがとうございます……!」
――――――――――――
――――――
―――
貴音「あの後……響と美希に問い詰められたものです」
黒井「そうだろうな。今思い返しても、あの頃の私にわざわざ付いていこうなどという者は物好きのたぐいだ」
貴音「ええ、響には「どうしてそんなひどいことを言われて頭を下げるような真似を」と言われました」
貴音「ですがあの時……黒井殿は人としての道を踏み外しかねない雰囲気がありました」
貴音「遅かれ早かれ、あの時と同じことを繰り返し、破滅をするような、そんな風に思えたのです」
黒井「私も今となってはそう思っている。あの時プロジェクト・フェアリーを破棄し君たちを捨てていれば」
黒井「私は今、自分の事務所を持っているかどうかも怪しい」
貴音「私は、心の底から、黒井殿と組めばトップアイドルになれると信じていました」
貴音「例え、アイドルアルティメイトの時のように卑怯な手は使わずとも」
黒井「それはIA大賞で証明しただろう。君の言うとおり私は間違っていた」
黒井「フェアリーが優勝したのは、アイドルアルティメイトから成長したフェアリーの力と、私の本気のプロデュースの成果だと思っている」
貴音「ええ、あの時私も、黒井殿と組んだことが正しかったのだと思えました」
黒井「……君は、言ってみれば賭けに出たんだ。それも、私の更生などという不確実な、且つ君の得にもならないようなモノを賭けて」
黒井「だがその結果私は助けられた。人として捻れ曲がった私の軸を、君はいともたやすく直してしまった」
貴音「しかし私も、響も美希も、IA大賞を受賞できたのは、黒井殿が自分で自らの過ちに気づき、本気で私たちをプロデュースしてくれたお陰です」
貴音「直したのは私ではなく黒井殿自身。私は、その手助けをしたまでです」
黒井「……敵わんな、貴音ちゃんには。考えなしにしているようなことが全て私を底なしの沼から引き上げる」
黒井「アイドルアルティメイト決勝のあの日からの全てが計算ずくだとしたら、君は誰よりずる賢い女だろう」
貴音「…………」
黒井「だが、だからこそ解せない。何故アイドルの頂点を共に目指していた君が、こうも簡単にアイドルを諦めるような態度をしているのか」
黒井「まだ頂点には達していない! あともう少しというところだったのに、何故君はこんなにも諦めた素振りを見せる」
黒井「ここに来て私を裏切るのか? 私は君たちを、三人揃ってトップアイドルにするつもりでいたのに!」
貴音「諦めるなど……出来るわけがありません!」
貴音「だから! せめて踊れる最後の時までと、私のわがままで目のことを黙っていました!」
貴音「どの道私の目は治りようもない、トップアイドルになるまでの時間など無かったのです」
貴音「だから響と、美希と、共にステージに立てるギリギリまで……!」
貴音「しかし……無理でした、諦めることは。私はまだ、未練がましく二人とステージに立ちたいと願っている……」
貴音「もう、無理だと理解しているのに……」
黒井「……私は君に救われた」
黒井「だから次は私が君を救う番だ。どれだけの金を失おうと、どれだけの信用を失おうと」
黒井「君の目を治す、絶対にだ……!」
貴音「いえ、もう……目のことは良いのです。出来ないことをやろうとしても、それは霧を掴もうとするような虚しさしかありません」
貴音「ただせめて、せめて黒井殿が私のわがままを聞いてくれるのならば」
貴音「私は――――」
黒井「――――」
貴音「――――」
黒井「……成程、分かった。それが君の答えならそうしよう」
prrrrrrrr
冬馬「ん、誰だ? ……って、おっさん!?」pi
冬馬「もしもし、一体なんの……は!? 次のライブって、あと一週間しかねぇぞ!」
冬馬「マネージャーにはもう連絡した? 企画自体は俺が立てるのか、分かったけどよ……なんでこんな急に」
冬馬「……へえ、なるほど。面白そうじゃねえか。やってやるぜ」
冬馬「良いか、お前ら。リハ無しのぶっつけ本番の企画だからしくじるなよ」
冬馬「スタッフもごく一部を除いてこの企画の事は知らねぇ。完全なサプライズだ」
冬馬「それじゃあ、頼んだぞ」
???「」コク
冬馬「よし」
北斗「冬馬! 本番始まるぞ!」
冬馬「ああ、今行く」
冬馬(黒井のおっさんから連絡があってすぐに考えた企画だが……マネージャーも協力してくれた)
冬馬(失敗はしねえ!)
貴音「黒井殿……ここはどこですか?」
黒井「ジュピターのライブ会場だ。ずっと病室にいるよりも良いだろう」
貴音「ええ……ですが」
黒井「心配するな。この間の約束を忘れたわけではない」
貴音「そうですか」
黒井「…………」
――――――――――――
冬馬『君を見失う……Alice』
――――――――――――
北斗『あなたを抱きしめるのは寒さのせい。決して…… なフュージョン』
――――――――――――
翔太『折角の休日はキミと遊びに行こう』
――――――――――――
キャー! ワー!
貴音「やはり、ジュピターの迫力には筆舌に尽くしがたいものがありますね」
黒井「そうだろうな。我が社でフェアリーと並ぶ人気ユニットだからな」
貴音「フェアリーと……」
黒井「……そろそろか」
貴音「え?」
冬馬『今日は来てくれてサンキュー! 実は、今日は同じ事務所からゲストが来てるぜ!』
北斗『え、俺聞いてないぜ?』
翔太『僕も』
冬馬『会場に来てる何人かは知ってるだろ? 多分、その何人かは俺達じゃなくて、そいつらを目当てに来てるだろうからな』
冬馬『フェアリーの『三人』だ!』
貴音「!? な、今、天ヶ瀬冬馬はなんと……」
美希『やっほー! ミキだよ!』
響『我那覇響だぞ!』
貴音「な、な……!」
黒井「男性アイドルのステージにフェアリーを呼ぶのは賭けだったがな、冬馬のコミュニティを信じて任せた甲斐が合った」
黒井「奴め、上手く情報をリークしてフェアリー目当ての客を集めたようだな」
響『さあ、貴音』
美希『こっちへ来るの!』
貴音「黒井殿……これは、どういう……」
黒井「そういうことだ。君のわがままだろう? 『もう一度フェアリーとしてステージに立ちたい』というのは」
黒井「私がエスコートしよう、さあ、ステージへ」
貴音「ですが、衣装などは」
黒井「何を言っている、病院で着替えたそれは今日の衣装だ。自分で着替えておいて気づかなかったか」
貴音「えっ」
黒井「さて、行こう」
響『貴音!』
美希『貴音!』
冬馬『四条!』
北斗『貴音ちゃん!』
翔太『貴音さん!』
タカネチャン! オヒメチン! シジョウサン! タカネ!
黒井「マイクだ、さあ」
冬馬『フェアリー最初の一曲は!』
美希『もちろん、『オーバーマスター』なの!』
響『行くぞ、貴音、美希!』
貴音「…………」
貴音『はい……!』
黒井(MCで、貴音ちゃんは目のことをファンに公表した)
黒井(ライブが終わったあと、「ファンを騙して期待をさせるだけさせて去るのは嫌だった」と説明してくれた)
黒井(それは実質、四条貴音のアイドル引退を意味した)
黒井(最後に共にステージに立ったお陰か、美希ちゃんと響ちゃんはあのライブ以降調子が戻った)
黒井(今では貴音ちゃんを外に連れ出して遊びに行ったりしているらしいが、私は詳しく知らん)
黒井(私も、このくらいのことはせんとな)
???「では、報酬は1千万ドル」
黒井「構わん。貴音ちゃんのためなら惜しくも無い」
???「その言葉が聞きたかった」
END
なんだこれ
乙
たまには奇跡が起こっても良いよね
この医者は結局報酬は取らない
乙!
ちょ、最後
おう、そんな奇跡が俺は好きだよ
あぁ、そう言うことか。
黒井社長かっこよすぎだし、あの人が奇跡を起こすのか。
ここで終わるのが話としては最高なんだろうけど、でもその後話がマジで読みたい・・・・!!
同姓どうしではなかったっけか?
>>22
むしろ完治したあとにライブチケット要求してくるはず
???「実は私も彼女のファンでしてね」
いいSSだった、かけ値なしに
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません