穂乃果「風邪引いた……」 (48)
穂乃果「鈍感な海未ちゃんにアプローチし続けること3、4年……」
穂乃果「先週ついに恋人同士になれました!」
穂乃果「今日は待ちに待った初デートの日! 楽しみすぎてパンが喉を通らないほどに緊張しております!」
穂乃果「昨日も一睡も出来なかったくらいだもん、きっと今日は素晴らしい一日になるはず!」
穂乃果「なんだけども……」
穂乃果「……」フラフラ
穂乃果「なんか…」ボーッ
穂乃果「……風邪引いた?」
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ほう
穂乃果「昨日全然眠れなかったもんなぁ……体調くずれちゃったかな」ケホッ
穂乃果「…あれ? 思えばデートの日にちが決まった三日前からまったく睡眠をとっていない気が……」
穂乃果「そ、そんなわけないか! 楽しみすぎて時間の感覚がおかしくなってるんだよね、多分」
穂乃果「……」フラッ
穂乃果「……なんの! これくらい海未ちゃんとのデートのためなら!」
穂乃果「よーし、早速着替えようっと」ゴソゴソ
穂乃果「嬉しい~愛しい~世界一ハッピーな恋♪」フンフ~ン
穂乃果「えへへ、この日のために新調したおにゅーの洋服…」クルッ
穂乃果「海未ちゃん、かわいいって言ってくれるかな…///」テレテレ
ことり『似合ってるよ、穂乃果ちゃん』
穂乃果「ありがとうことりちゃん。ことりちゃんと一緒に選んだ服だもんね、可愛いって言ってくれること間違いなしだよね!」
ことり『それを着ていけば堅物の海未ちゃんもいちころだよ、穂乃果ちゃん』
穂乃果「だよね! よーし、準備完了。待っててね海未ちゃん」フラフラ
穂乃果「いってきまーす」
雪穂「いってらっしゃ……ちょ、お姉ちゃん!?」
穂乃果「なにー?」
雪穂「う、海未さんとデートって言ってたよね? その服で行くの…?」
穂乃果「とーぜんだよー、今日のために用意した服だもーん」
雪穂(『ほ』Tシャツが…?)
穂乃果「じゃーね雪村ー、留守番よろしくー」フラフラ
雪穂「お、お姉ちゃん!? 雪村って誰ー!?」
雪穂「な、なんか絶対におかしい…ふらふらしてたし……海未さんに連絡しよう!」ピッピッ
グオングオン
穂乃果「うーん、何だか今日は外が騒がしいなぁ…お祭りでもあるのかな?」
穂乃果「あ、凛ちゃん。奇遇だねー」
猫「にゃ?」モグモグ
穂乃果「お魚克服したんだね、偉い偉い」ナデナデ
猫「にゃー」タタッ
穂乃果「おや、そこにいるのはにこちゃん。これまた奇遇だねー」
ペコちゃん人形「……」
穂乃果「髪短くしたんだね、似合ってるよ」ナデナデ
ナ、ナニアノコ…コワスギ…ヤベーヨアレ…
重症ですね
穂乃果ー!
しっかりしろー!
これはどう転ぶか…
穂乃果「さーて、そろそろ待ち合わせ場所だけど海未ちゃん来てるかな?」
穂乃果「時間に厳しい海未ちゃんならきっと来てると思うよ」
穂乃果「ふふ、そうだよねぇ……」
ヤベーヨ…コンドハヒトリデシャベリアッテルヨ…
穂乃果「おっ、やっぱり来てたー。海未ちゃーん!」ダキッ
穂乃果「んー、相変わらず海未ちゃんは体温低めだね。でもその分心があったかいんだよね」エヘヘ
穂乃果「こうして私のこと待っててくれたし…海未ちゃんだいすきー」スリスリ
ドラム缶「……」
ツギハドラムカンニダキツイタゾアノコ…キュ、キュウキュウシャヨンダホウガイイノカ?
海未「穂乃果ー!」
穂乃果「んー? おかしいなぁ、目の前にいるのに海未ちゃんの声が後ろから……」
海未「正気に戻ってください、穂乃果!」ユサユサ
穂乃果「……あれぇ? 私何やって……」
穂乃果「……」ガクッ
海未「穂乃果ーーー!!」
ダメみたいですね
穂乃果「…………んっ」
穂乃果「……あれぇ? 私の部屋?」
穂乃果「おかしいなぁ、私海未ちゃんとデートに行ったような気が……」ボーッ
穂乃果「……んー?」ズビッ
ガチャ
海未「失礼します」
穂乃果「あれー? 何で海未ちゃんがここに?」
海未「! 穂乃果、目を覚ましましたか」ホッ
穂乃果「目を覚ます?」
海未「倒れたんですよあなたは。まったく、路上でドラム缶に抱きついていた時は何事かと思いましたよ」
穂乃果「わ、私そんなことしてたの? 何だか記憶が曖昧だなぁ…」
海未「仕方ありませんよ、熱が39度もあったんですから」
穂乃果「う、嘘……?」
海未「本当です。雪穂から連絡を受けていなかったらどうなっていたことか……」
穂乃果「ご、ごめんね。海未ちゃんに迷惑かけちゃったね。デートもなしになっちゃったし…」ショボン
海未「……」パチン
穂乃果「あいたっ! な、何でデコピンしたの…?」
海未「穂乃果が馬鹿だからです」
穂乃果「ば、馬鹿って……そんなストレートに言われると傷つくよ…」
海未「事実です。…いえ、正確に言うと大馬鹿ですね」
穂乃果「……訂正要らないよぉ」
海未「自分の体調くらい自分で分かるでしょう。それなのに体に鞭を打ってまで待ち合わせ場所に向かうなんて……大馬鹿です」
穂乃果「…うぅ~、あんまり馬鹿馬鹿言わないでよ。自分でもよく分かってるもん……」ショボン
海未「それに……」ギュッ
穂乃果「う、海未ちゃん……?」
海未「心配、したんですからね…」
穂乃果「あ、あんまりくっつくと風邪移っちゃうよ海未ちゃん…///」
海未「私が怒っている原因のほとんどは穂乃果が自分の身より…私に迷惑をかけただとか、デートをふいにしてしまったことを案じていたからです。
ちゃんと反省するまでこのままです」ギュウッ
穂乃果「く、苦しいよぉ海未ちゃん…///」
海未「ダメです、離れません」
穂乃果「……あうぅ…ご、ごめんね。あんまりデートが楽しみだったから…少しくらい体調悪くたって行くんだー、って思っちゃって」
海未「もう、それで倒れていたら元も子もないじゃないですか」
穂乃果「め、面目ない……」アハハ
海未「……まぁ、穂乃果がそういう性格なのはよく知っています。今回はこれくらいで勘弁しておきます」パッ
穂乃果「ふぅ、やっと解放されたよ……」
海未「ただし!」ビシッ
穂乃果「ひゃい!?」
アカン奴かと思ったけどそんなこと無くて安心した
海未「もしもう一度同じようなことがあったら……」
穂乃果「な、なに…?」
海未「……」
海未「……その時のお楽しみです」ニコッ
穂乃果「こ、ここで言ってよー! 怖いよその笑顔ー!……ごほっ、ごほっ…」
海未「はいはい、あまり大きな声を出さないで下さい」スッ
穂乃果「海未ちゃんのせいだよぉ……けほっ」ポフッ
海未「穂乃果の看病は私が受け持ちましたから、何でも言ってくださいね」
穂乃果「えっ、ほんと!?」
海未「ですから大きな声を出さない」
穂乃果「あぅ…ごめん」
海未「とりあえず様子を見に来ただけですから、色々と持って来ますね」
穂乃果「色々?」
海未「体温計や水枕…あと台所を借りてお粥を作って持って来ますよ」
穂乃果「やったー!」
海未「ですから……はぁ、じっと横になっていてくださいね」スタスタ
穂乃果「はーい」
バタン
穂乃果「……そっかぁ、デートはなしになっちゃったのかぁ…」
穂乃果「私って何でこう走りすぎちゃうのかなぁ…」
穂乃果「はぁ……」
穂乃果「でも…海未ちゃんが看病してくれるのかぁ…えへへ、ちょっと得した気分♪」
穂乃果「海未ちゃんの手料理も食べられし、結果オーライ?なんちゃって」フフ
穂乃果(……ん? そういえば…)
穂乃果(風邪で頭がぼーっとしてたけど……さっき海未ちゃんと抱き合ったんだよね)
穂乃果「……」
穂乃果「……!///」ボンッ!
穂乃果(うわわわ…急に恥ずかしくなってきちゃったよ! しかもこの後看病してくれるってことは…部屋で海未ちゃんと二人きり!?///)
穂乃果(ど、どどど、どーしよー! 急に緊張してきたよー! も、もしかしするとこの後……き、キスとかしちゃったりー!?)
穂乃果(きゃー!///)バタバタ
海未キチ穂乃果ちゃんかわいい
支援
海未(穂乃果…倒れた時はどうなることかと思いましたが、大事なさそうで何よりです)ホッ
海未(しかし……やはりだいぶ無理をしたんですね。体がやけに熱かったです)
海未(……私から抱きつくなんて、今までを考えるとあり得ないことですね)
海未(恋愛沙汰には疎いですから……イマイチ穂乃果との距離の取り方が掴めません……)
海未(…と、とりあえず今は穂乃果を介抱するだけ考えねば)
海未(自分から看病を申し出た以上は、しっかりと役目を果たさねばなりませんからね)
海未(私と穂乃果は恋人同士。共に支え合っていかなければ)
海未(さて、まずはお粥から作ってしまいましょうか)スタスタ
穂乃果(……///)ドキドキドキ
ガチャ
穂乃果(き、来た…!)
海未「お待たせしました、穂乃果」
穂乃果「う、ううん大丈夫。 むしろ待ち時間が愛おしかったよ!」
海未「は?」
穂乃果「何でもない何でもない!」
海未「? とりあえず水枕を持ってきたので、まくらを替えましょうか」
穂乃果「う、うん」ムクッ
海未「少し失礼しますね」ヨッ
穂乃果(むむっ…!? ここでうまい具合に倒れ込めば海未ちゃんと抱き合うことができるのでは…!?)
穂乃果(そうと決まれば……!)グラッ…!
海未「これでよしと」ヒョイ
穂乃果「ふぐっ!」ガンッ!
海未「!? だ、大丈夫ですか穂乃果!?」
穂乃果「うぐぐ…へ、へーき……」
穂乃果(勢い余ってベッドのふちに頭をぶつけるとは……ふ、不覚!)
海未「もう、気をつけてくださいね? さ、次は体温を計りましょう」
穂乃果(よ、よし…! これは定番のアレだね。おデコにぴとってのがくるに違いないね!)
海未「さ、これを使って下さい」スッ
穂乃果「……これは?」
海未「? 体温計にしか見えないと思いますが……」
穂乃果「…分かってないよ海未ちゃん!!」
海未「きゃ、ほ、穂乃果!? ですからそんなに大声をだすと……」
穂乃果「恋人同士だよ!? 看病だよ!? こんかおいしいシチュエーション願ってもなかなかこな……うっ」グルン
ガクッ…
海未「穂乃果ーーー!」
海未「……」ゴゴゴゴゴゴゴ
穂乃果「……」セイザチュウ
海未「穂乃果…私は言いましたよね? 自分の身に気を遣えと。もし同じことがあったら……と」
穂乃果「……はい」
海未「まさか言ってから十分程度で同じことを説教するとは思いませんでしたよ」ニコォ…
穂乃果「ごめんなしゃい……」
海未「もし三度があった場合は……言うまでもありませんね?」
穂乃果「……サー」
海未「まったくもう……私も言いすぎました。さぁ、ベッドに戻りましょう」
穂乃果「う、うん。……っとと」フラッ
海未「まだふらつきますか?……仕方ありませんね」ヒョイ
穂乃果「!?」
海未「よいしょ…っと。結構重いですね穂乃果」
穂乃果「よ、余計なお世話だよ! て、ていうか何でお姫様抱っこなの!?///」
海未「立ち上がるのが辛そうでしたので…嫌でしたか?」
穂乃果「い、嫌じゃないけどさ……///」
穂乃果(肩を貸すとかでいいのに……)
海未(恋人ですからこれくらいは大丈夫だと思ったのですが…い、いきなりすぎたんでしょうか?)
海未「降ろしますね。……っと」トサッ
穂乃果「あ、ありがとう海未ちゃん」
海未「どういたしまして」
穂乃果(び、びっくりしたぁ…海未ちゃんの方からやられると恥ずかしくなっちゃうよ……///)
海未(穂乃果…顔がさっきより赤いですね。やはりお姫様抱っこは失敗だったんでしょうか…?)
穂乃果(表情があんまり変わらないけど…う、海未ちゃんは緊張とかしないのかな…?)
海未(穂乃果はやけに緊張しているようですが…何故でしょうか?)
海未「さ、それでは改めて体温を計りましょう」
穂乃果「あ…うん。じゃあ体温計を……」
海未「ええ。……おや、ずいぶん汗をかいているようですね穂乃果」
穂乃果「ん、言われてみれば…」
海未「これでは正確に計ることができませんね。それでは、脱いで下さい」
穂乃果「……え?」
海未「いや服を脱いでくれないと拭けないじゃないですか」
穂乃果「あっ……あはは、だよねー!」ヌギヌギ
穂乃果(は、恥ずかしい……!///)
海未「蒸しタオルも用意しておいて良かったです」スッ
穂乃果「じ、じゃあよろしく…」
海未「はい、任せて下さい」
フキフキ
穂乃果(海未ちゃん……ホントに全然私のこと意識してないんだな……舞い上がってるの私だけなのかな)
フキフキ
穂乃果(思えば……付き合うまでにも散々こんなことがあったような気が……海未ちゃんの何気無い行動に何度勘違いさせられたことか……)
フキフキ…プチン
穂乃果(……ん?)
穂乃果「何でブラのホック外したの!?///」
海未「いえ、前が拭きづらいので……」
穂乃果「前は自分で拭くよ!///」バッ
穂乃果(何なの!? ワザとやってるの海未ちゃん!?)フキフキ
海未ちゃんの天然ジゴロ
半角カナのモブがかよちんにしか見えない俺は立派なかよキチ
花陽「ドラムカンニハナシカケチャウノォ!?」
海未(お、おや? これも失敗だったんでしょうか?)
海未(うぅ……やっぱりどこまでが恋人としての距離なのやらさっぱりです)
海未(……次は少し距離を置いてみましょう)
穂乃果「よし、拭き終わったー。あー、すっきりした」フゥ
海未「それはよかったです。では食べられそうならお粥をどうぞ」
穂乃果「ありがとう海未ちゃん」
海未「……」コトッ
穂乃果「……ん?」
海未「どうぞ味わって食べてくださいね」
穂乃果「あ…うん」
穂乃果(た、食べさせてくれないのかな……さっきはあんなに積極的?だったのに…)
海未(あ、あれ? 穂乃果が落ち込んでしまったような……)
海未「……た、食べさせてあげましょうか?」
穂乃果「!」パアァ
海未(やはり難しいですね、恋人としての距離の取り方というものは……)
穂乃果ちゃんが尻尾を振っているのが目に浮かぶ
海未「……」フー…フー…
海未「はい、口を開けて下さい」
穂乃果「海未ちゃん…こういう時は『あーん』って言うんだよ」
海未「えぇ? は、恥ずかしいです……///」
穂乃果(ブラのホックとった人がなんか言ってるよ……)
穂乃果(……そうだ!)
穂乃果「うぅ…けほっ、けほっ……」
海未「ほ、穂乃果!?」
穂乃果「あぁ…海未ちゃんがあーんしてくれれば元気でそうなんだけど……」
海未「も、もう! わかりましたよ!」
穂乃果「えへへ♪」
穂乃果(さっきのお返しだよ!)
海未「で、では……あ、あーん」スッ
穂乃果「あーん♪」
パクッ
穂乃果「んん~、おいし~い」
海未「そ、そうですか。それはなによりです」
海未(け、結構恥ずかしいですねこれ…)
穂乃果「海未ちゃんも食べるー?」
海未「私が食べたら風邪が移ってしまうじゃありませんか」
穂乃果「あ、そっか」
穂乃果(間接キス、憧れてるんだけどなぁ…残念)
海未「お粥、まだ食べられますか?」
穂乃果「もちろん! 海未ちゃんが食べさせてくれるならいくらでも食べられるよ!」フンス
海未「ふふっ、そうですか。それではもう一口」スッ
穂乃果(むむ、海未ちゃんが全然動じない…)
穂乃果(思えば私ばっかり攻められている気が……)
穂乃果(よーし、海未ちゃんにも恥ずかしがってもらおう!)
続きはよ
穂乃果(でも……どうすれば恥ずかしがらせられるかな?)
海未「はい、あーん」
穂乃果(……あっ! そうだ!)
穂乃果(……わ、私も死ぬほど恥ずかしいけど…やるったらやる!)
穂乃果「……」パクッ
海未「どうですか? ほの…」
穂乃果(ええーい!)チュッ
海未「!?」
穂乃果「……」チュウゥゥゥゥ…
海未「ふぉ、ふぉのふぁ!?……んっ…///」
穂乃果「……ぷはっ。えへへへ、やったね! 海未ちゃんの顔が真っ赤にな……」
海未「……」ゴゴゴゴゴゴ
穂乃果「あ、あれぇ?」
海未「穂乃果、あなたは風邪を引いてますね?」
穂乃果「は、はい…」
海未「そんな人間と口移しなんてしたらどうなるか分かります?」
穂乃果「う、うーん……」エヘヘ…
海未「口の中の食べ物と一緒に風邪も移ります。まず間違いなく確実に」
穂乃果「そうだよねぇ……」
海未「そうだよねじゃありません! 何で急にあんなことしたんですか!」
穂乃果「うぅ…ごめんね。海未ちゃんがやけに余裕だったから何だか赤面してるところもみたくなっちゃって……」
海未「そんな理由で口移ししようなんて考えたんですか…呆れました」ハァ
穂乃果「だ、だってー……やっと海未ちゃんと恋人になれたんだもん。なんていうか…対等?でいたいというか……」
海未「…言ってる意味がよく分かりません」
穂乃果「で、ですよねー……」
海未「とにかく、もう余計なことはせずに早く寝て下さい」
穂乃果「海未ちゃん冷たーい!」
海未「……」ギロリ
穂乃果「おやすみなさい!」ガバッ
穂乃果「……」スー…スー…
海未(…余裕そうにしてるつもりなんてないんですけどね)
海未(ただ…穂乃果の前だとカッコつけていたいだけですよ)
海未(恋心だと気づいたのは本当に最近のことですが……私はこれからもあなたの前では、強がっていたいんです)
海未(でも……それが穂乃果に壁のようなものを感じさせているなら、私はどうすればいいんでしょうか?)
ガラッ
雪穂「すいません海未さん。お姉ちゃんの看病任せきりにしちゃ…」
海未「……」シーッ
穂乃果「むにゃ……あ、花陽ちゃん……今日はメガネかけてるんだ……あれ?……髪白くなった?……ぐぅ……」
雪穂「…っとと。もう寝ちゃったんですね」
海未「ええ。風邪の時もずっと同じ調子ですから看病してる方も疲れてしまいますね」
雪穂「あ、あはは。元気がお姉ちゃんの取り柄ですから」
海未「…そうですね。それにしても何の夢を見ているのやら……」
雪穂「何にせよ幸せそうな顔してますね、お姉ちゃん」
海未「ええ」
雪穂「海未さんと付き合いだしてから、お姉ちゃん本当に毎日が楽しそうなんですよ」
海未「元々そうではありませんでしたか?」
雪穂「前にも増して、です。家でも海未さんとのことばっかり話してて……聞いてる方が恥ずかしくなるくらい」
海未「そ、そうですか……」
雪穂「海未さんはかっこいいとか、海未さんは可愛いとか、海未さんはラブアローシュートとか……」
海未「今、なんと?」
雪穂「あっ!……さ、最後は忘れて下さい! それでですね。お姉ちゃん、よく言うんです。海未さんは全然弱いところを見せてくれなくて、少し寂しいって」
海未「……」
雪穂「恋人同士なんだからもっと頼って欲しいって言うんです。……私は二人の仲を昔から知ってますから、一つアドバイスさせて下さい」
海未「アドバイス?」
雪穂「はい。自分のダメな所も見せ合うことが出来るのが恋人だと思います。だから海未さんも強がる必要なんてないと思いますよ」
海未「…まさか雪穂に気づかれているとら思いませんでした」
雪穂「海未さんはけっこうわかりやすいですから」
海未「……ありがとうございます」
雪穂「どういたしまして。それじゃあ邪魔者は退散しますね」
ガチャ…パタン
いいよいいよー
海未「……」チラッ
穂乃果「すぅ…すぅ……えへへ……海未ちゃーん……」
海未「もう……涎が垂れていますよ」フキフキ
海未(自分の弱いところを見せる……ですか)
海未「……穂乃果、私はまだあなたに自分の全部を知って欲しいとは思えません」
海未「私のダメな所を知られて、あなたに嫌われることが…怖いんです」
海未「ですが…いつか……いつかあなたに私の心の内を話せるようになりたいと思います」
海未「恋人としてあなたに甘えたり、あなたに構ってもらえなくて寂しかった時の気持ちも全てお話ししたいです」
海未「……その時はどうか、私のことを嫌わずに受け入れてほしいです」
穂乃果「……」
海未「はぁ……寝てる時に言っても意味はないですよね」
海未「でも……今はこれが私の精一杯です。受け取って下さい」
海未「……」スッ
穂乃果「……」ゴロン
海未「!?」
チュッ
海未「な…ななな……///」
海未(頬にするはずが……唇になってしまいました…///)
海未「穂乃果? もしかして起きてます?」
穂乃果「ぐぅ……ぐぅ……」
海未「寝返りを打っただけでしたか……」
海未「……はぁ、これ以上騒ぐと起きてしまいますよね」
キュッ
海未「安心して眠って下さい、穂乃果。私がそばにいますから」
海未(そしていつか…辛い時、私もこうしてあなたに手を握って欲しいです)
海未(そのためにも、素直に弱音を吐けるようにならないといけませんね)
海未(待ってて下さいね、穂乃果……いつか…必ず……)
海未「……」スゥ…スゥ…
海未「すぅ……すぅ……」
穂乃果「……」ムクッ
穂乃果「ふふ、ごめんね海未ちゃん。さっきのはこれまでの私のアプローチに一切気づかなかったお返しってことで♪」
穂乃果「……えへへ、風邪引いちゃってデート行けなかったけど…それで良かった気がするなぁ」
穂乃果「普段めったに見れない海未ちゃんの本心が見れたし、これはこれで結果オーライだよね!」
穂乃果「ずっと待ってるからね、海未ちゃん」
穂乃果「海未ちゃんが私を頼ってくれるまで、ずーっと!」
穂乃果「海未ちゃんの強い所も、弱い所もぜーんぶ! 私は大好きだから!」
海未「むにゃ……」
穂乃果「あっ、海未ちゃんが涎垂らしてる!……ふふふ、今日はラッキーな日だなぁ」
穂乃果「…いつかは自分からこんな風に弱い部分を見せてよね、海未ちゃん!」
穂乃果「とりあえず今日は…おやすみなさい」チュッ
━━後日
絵里「あら? 今日は海未と穂乃果はお休みなの?」
希「あの二人が休みなんて珍しいね」
にこ「ことり、何か聞いてる?」
ことり「海未ちゃんが風邪引いちゃったみたいで…穂乃果ちゃんはお見舞いに行くって」
真姫「海未が風邪ねぇ……これまた珍しいわね」
花陽「心配だな……」
凛「今日は皆でお見舞いに行く?」
ことり「あっ、だめだめ。穂乃果ちゃん、お見舞いに行くのすっごく楽しみにしてたから」
絵里「? お見舞いに行くのを楽しみに?」
ことり「うん♪」
「「「??」」」
ことり(ふふっ、ファイトだよ、穂乃果ちゃん!)
終わり
乙!
面白かった
乙
やはりほのうみは素晴らしいな
よかった
乙
ほのうみ最高だわ
おつつ
またいつかほのうみ書いてくれたら全俺が幸せ
乙
ほのうみ最高
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