T「私が”妹萌え”だって?」(91)

―単冠湾、とある鎮守府の艦娘待機室

…の第一艦隊の部屋。


ガヤガヤ…ガヤガヤ…

瑞鶴「…どう思う?」

榛名「そうですねえ。言われてみれば、確かにそうかもしれませんが…」

瑞鶴「でっしょ!? …ああ、このままじゃダメよ。きっとPCの前から離れられない時間が増えたりとか、箪笥の中身が海図や報告書から変なグッズへと変わっていくんだわ…」

榛名「そ、そうなんですか…? 私には、至って普通の男性に見えるのですが…」

瑞鶴「それは慢心よ」

榛名「ま、慢心、ですか…」

瑞鶴「いずれ、榛名にあーんな格好やこーんな格好を迫ってくるようになるわよ」

榛名「う~ん…」

ガチャッ

鈴谷「ちーっすぅ!! 鈴谷、只今お花摘みから帰還いたしましたぁ!!」

伊168(以下イムヤ)「…ああ、もう。うるさいわね」

瑞鶴「鈴谷、いちいちそんなこと大声で報告しなくていいわよ…」

鈴谷「え? ああ、ごめんごめんー」

榛名「…」

鈴谷「? 榛名さん? どうかしたの?」

榛名「え? あ、いや、まあ、どうかしたといえば、どうかしたのかも…」

鈴谷「はい?」

榛名「あ、いえ、こっちの話です!!」

瑞鶴「…一体何考えてたのよ」

榛名「き、聞かないでくださいよ?」

瑞鶴「う、うん、わかったけど…」

鈴谷「ねえねえ、なんの話?」

瑞鶴「それなんだけどね…」

鈴谷「え? ウチの提督が妹キャラ好きじゃないかって?」

瑞鶴「間違いなくそうじゃないか、あるいはその傾向があると思うのだけど、鈴谷はどう思う?」

鈴谷「どうって言われてもなー。ってゆーか、なんでそう思ったの?」

瑞鶴「簡単よ。ここ最近の第一艦隊の編成履歴を辿れば一目瞭然よ」

鈴谷「どれどれ…」ピラッ

鈴谷「『師走十日、南方海域沖ノ島作戦第一艦隊旗艦瑞鶴、僚艦榛名、比叡、山城、鈴谷、飛龍』『睦月三十日、北方海域陽動作戦旗艦電、僚艦瑞鶴、榛名、千代田、北上、大井』…」

瑞鶴「ね? どれもみんな妹ってキャラがあてはまる人たちでしょ?」

イムヤ「雷巡の二人は全く別枠な気がするのだけど…」

鈴谷「え? みんなって…、ちょっとお!! いちおー鈴谷、お姉さんなんだけど!?」

イムヤ「何言ってるの? 確かに鈴谷型ならお姉さんなんでしょうけど、正確には最上型の三番艦でしょ? 位置的に妹じゃない」

鈴谷「むぅぅ…。でもでも、熊野にはお姉さまって呼ばれてるし…」

イムヤ「鎮守府(ウチ)に熊野はいないわよ?」

鈴谷「ううぅ~…」

ガチャッ

鈴谷「う~…、あっ!! ねぇ~瑞鳳ちゃん~、浮き輪っ娘が鈴谷いじめるんだよ~。助けてぇ~」

瑞鳳「軽空母瑞鳳、ただ今参り…きゃっ!? わわっ、鈴谷さん!? どうしたんですかいきなり」ギューッ

イムヤ「ちょっと!! わたしはホントのこと言ってるだけじゃない!!」

鈴谷「わーっ怒った怒った!! ほらほら、瑞鳳ちゃん!!」

イムヤ「こらっ、待ちなさい!!」

瑞鳳「え? わたしも逃げなきゃダメですか!?」

榛名「…祥鳳型二番艦瑞鳳ちゃん。妹キャラのイメージ像としては完璧ですね」

瑞鶴「これで5人、か…」

榛名「うーん…。ほんとに、ほんとなんですかねえ?」

瑞鶴「まあ、間違いないんじゃない?」

榛名「うう。榛名は提督に何をさせられてしまうんでしょうか…」

瑞鶴「え? あ、いや、あれは冗談よ冗談!! もしかしたらの話よ!!」

イムヤ「ところで、ちょっといい? なんで私がさっきの妹キャラのカウントに入っているの?」

榛名「たしかに、そうですよね。潜水艦では一番艦のはずのイムヤさんが、何故?」

瑞鶴「ああ、それは、あれよ。先月秘書艦だった時、提督が言っていたのを聞いたのよ。『イムヤみたいな妹が欲しかったな』って」

イムヤ「…。…///」ゴソゴソ…

鈴谷「あ、こら。照れ隠しでも炬燵の中に急速潜行したら危ないぞ」

瑞鶴「はあ…。提督は妹萌えに目覚めるし、翔鶴姉には会えないままだし、最近ついてないわ…」

鈴谷「幸運の空母の名折れだねぇ」

瑞鶴「やかましいわよっ!!」

瑞鳳「ふふっ。なんだか、賑やかでいいですね」

イムヤ「瑞鳳は最近来たばかりだったっけ?」

瑞鳳「はい、そうです。提督にはとてもよくしてもらっていますよ。なんだか、私の艦載機の格納庫が珍しいらしくて、しょっちゅう弄られますけど」

瑞鶴「よくして、ねぇ…」

イムヤ「いよいよ真実味を帯びてきたわね」

榛名「あの、その、非常に申し上げにくいのですが…」

瑞鶴「なに、榛名?」

榛名「その、妹もえって、なんですか?」

鈴谷「ふぇ? 榛名さん、知らないの?」

瑞鳳「あ、それ、わたしも知りたいです」

瑞鶴「…」

鈴谷「ん~。どうするよ、瑞鶴姐?」

瑞鶴「なんで姉なのよ。そしてよりによってなんで姐の方なのよっ」

鈴谷「いや、なんとなく?」

瑞鶴「はあ、もういいわ…。いい? 世間の男性…、いや、男の中には、姉妹というものにものすごい執着を持っている人たちがいるの」
榛名「私達金剛姉妹のような?」

瑞鶴「そう。そして、その中でもとりわけ妹という肩書きをもつ女の子が好きで好きでたまらない男達がいるの。その人たちが持っているその感情を、俗に妹萌えと言うのよ」

イムヤ「…」

瑞鳳「へ、へぇ~…」

鈴谷「妹は姉と比べてちっちゃくて可愛いくて、甘えん坊だったり気弱だったりするイメージがあるじゃん? 男どもが持つ『守りたい』って欲望と合わせて、そそるものがあるんだろうねぇ」

榛名「ちっちゃくて、可愛い…」

瑞鳳「な、なんでわたしをみるんですか」

イムヤ「いや、だからって私を見られてもっ」

瑞鶴「それに、自分が兄と仮定したなら、妹は最も身近な歳の近い女の子ということになるでしょ。想像力豊かな人たちは、そこからありとあらゆる展開を考えられるらしいわよ」

榛名「一体、どんなことを考えているんですか…?」

瑞鶴「…聞きたい?」

イムヤ「なんだか、知らない方がいい気がしてきたわ…」

榛名「ええっ!? …じ、じゃあ榛名も、やめておきます…」

鈴谷「まあようするに、兄妹っていう禁断の絆があるからこそ現実にはまず起りえないことだから、余計に想像が掻き立てられるって寸法なのよ」

榛名「それで、私達の提督も、今その状態だと…」

瑞鶴「ええ。間違いないでしょうね」

鈴谷「んー、でもさ瑞鶴姐。提督がまだどのレベルに達してるかってのはわかってないんでしょ?」

瑞鶴「その呼び方は決定なのね…」

榛名「レベル? 妹萌えには段階があるんですか?」

鈴谷「まあ、これは鈴谷さん独自のものさしだから当てにはならないだろうけどね」

瑞鳳「どんな段階分けがあるんですか?」

鈴谷「そうだねえ。じゃあ、実際にやってみたほうがわかりやすいかな」

榛名「え?」

鈴谷「ねえ、イムヤ。榛名さんにさ、お姉ちゃんって、言ってみてよ」

イムヤ「なんでよっ」

鈴谷「いいからいいから」

イムヤ「もう。知らないからね」

榛名「…」

イムヤ「…」

鈴谷(できるだけ、上目遣いで、恥ずかしそうにね)

イムヤ(言われなくても十分恥ずかしいわよっ)

榛名「…」
イムヤ「…」
榛名「…」

イムヤ「お…、おねえ…、ちゃん」

榛名「…っ」

鈴谷(名前入れるともっと効果的だよ)

イムヤ「は、…はるな、おねえ…ちゃん」(なにが効果的だってのよ!!)

榛名「…っっっ」

鈴谷「まずこれが初期症状、『お兄ちゃん』と呼ばれて悦べるレベル。まあ、今はとりあえず『お姉ちゃん』だけどね。強者は勝手に脳内変換とかできるらしいし、まずはここからかな」

榛名「これで、初期症状…」

瑞鶴「はあ…、何してんのかしら、私達…」

鈴谷「ふふん、どうだった?」

榛名「なんだか、胸が、きゅんてなりました」

鈴谷「お姉さん。それが、萌えですよ。萌、え」

榛名「こ、これが…」

イムヤ「ああ恥ずかしい!! イムヤ、もう知ーらないっ!!」ダッ

瑞鳳「あ、イムヤさん!! …行っちゃった」

瑞鶴「なんか違う気もするけど、概ね、妹萌えの男たちにはそんな感じの感情が萌え出づってすくすくと育っているというわけよ」

榛名「はい。なんだか、わかったような気がします」

瑞鳳「うう、わからないよぉ」

瑞鶴「瑞鳳ちゃんは、みんなの妹のイメージそのものだから、本人には分かり辛いかもね」

鈴谷「案外、本格的に妹を演じれば、これが妹っ、っていう感覚がわかるんじゃない?」

瑞鳳「え?」

瑞鶴「そうかなあ…」

鈴谷「物は試し!! さあ、瑞鳳ちゃん、こっちこっち」

鈴谷(榛名さんに、イムヤと同じことやってみて)

瑞鳳(お、お姉ちゃんって、呼ぶんですか?)

鈴谷(そうそう。ついでに、一緒に温泉入ろって)

瑞鳳(え、ええっ!?)

鈴谷(いいからいいから)

瑞鳳(は…、はい…)テッテッテッ

榛名「?」

瑞鳳「はっ、はるなお姉ちゃん…。いっしょに、温泉、はいりたいな…」

榛名「!!??」

瑞鶴「えっ? ちょっ、榛名!? 鼻血、鼻血!!」

鈴谷「ありゃりゃ、こりゃやりすぎたかね」

瑞鳳「お、おねえちゃん!? 大丈夫!?」

瑞鶴「もうそれはいいから!!」

榛名「ず、ずびばぜん…」

瑞鶴「いや、むしろこっちが心配だわ…」

鈴谷「まあ、瑞鳳ちゃん、めちゃくちゃハマり役だしね。めっちゃ可愛かったよー」

瑞鳳「え…、あ、ありがとう、ございます…?」

ガチャツ

???「すいません…。第一艦隊の控え室はここですか」

瑞鶴「はーい。そうですよー…。あ」

不知火「不知火です。ご指導ご鞭撻、よろしくです」

瑞鳳「駆逐艦、ですね。私もいますし、今日は潜水艦隊が相手なんでしょうか」

瑞鶴(陽炎型二番艦不知火ちゃん…。これは、もう…)

不知火「!? 榛名先輩!? どこか怪我をされたんですか!?」

榛名「あ、ああ…。これはただの鼻血だから気にしないで。あはは…」

不知火「そうですか。しかし、腫れ上がってはいけませんので冷やしたほうが良いかと。不知火、直ぐに氷のうを持参いたします」タッ

榛名「あ、ちょっと…。ううん、もう止まってるのにな」

瑞鶴「いい子ね、不知火ちゃん」

榛名「…」

瑞鶴「榛名?」

榛名「はい?」

瑞鶴「もうやらないからね」

榛名「えっ」

瑞鶴「えっ」

イムヤ(いけないいけない、集合時間のことをすっかり忘れてたわ…)タッ

イムヤ(…。私みたいな妹なんて、居たってうっとおしいだけじゃないのかしら)タッ

イムヤ(提督は物好きね…)タッ

???「テイトクゥー? テイトクゥー!?」

イムヤ(この英語訛りは…)ピタッ

イムヤ「金剛、さん?」

金剛「Oh!! サブマリン、イムヤちゃんじゃありませんか!! 提督、見ませんデシタ?」

イムヤ「いえ、まだ…。これから第一艦隊の作戦会議があるので、執務室ではないかと思いますが?」

金剛「それが、見当たらないのデース。どうやら朝から姿を見かけないらしく、提督に用事がある娘たちはみんな困ってマス」

イムヤ「そんなことになってるんですか。わかりました。こちらでも探してみますね」

金剛「はい!! よろしくお願いしマース!!」

イムヤ(まったく、手のかかる提督なんだからっ)

イムヤ(毎日忙しそうにしてる割にはやたらとみんなに声かけてるし、節操無いわね)

イムヤ(そんなにたくさん用事があるなら言ってくれればいいのに…)

イムヤ(私は、別に、構ってもらえなくたっていいんだから…)

イムヤ(とにかく、第一艦隊の人たちにこのことを伝えなきゃ)

ガチャッ

イムヤ「みんなっ、聞いt…」

瑞鶴「」

榛名「瑞鶴ちゃん!! 瑞鶴ちゃん!! しっかり!!」

瑞鳳「し、不知火ちゃん、すごいね…」

不知火「不知火に、何か落ち度でも?」

鈴谷「ってゆーか、そんなところまで落ち度なくてもいい気がする…」

イムヤ「この人たちは…」

ちょっと急だけど、今日はここまでにしときます。眠い。
もし読んでくれてる人がいたらごめん…、そしてありがとう

書き溜めで完結してるものなので、今日の日付の夜にまた更新しに来ます。
もしよかったら読んでね~ノシ

だまされた!悪霊めぇ!破ぁ!!

ただいま。再開します。
よければおつきあいください~

>>18

だ、だましてなんてないしっ!! 夜って言ったら19:00くらいからだしたぶんっ

Skype つけてるとカキコできないって知らなくて遅くなった。ごめんね

榛名「え? 提督が不在?」

鈴谷「いやいや、作戦会議、もうそろそろ始まるんだよ? ありえないっしょ」

イムヤ「毎日提督のスケジュール勝手にコピーして追尾けまわしてる金剛さんが言ってたから、間違いないわよ」

榛名「姉さん…」

鈴谷「まあ、改二になって燃費悪くなっちゃったし、たまにしか構ってもらえなくて寂しいんだろうね」

榛名「うう…、榛名でよければお相手差し上げますのに…」

鈴谷「それはそれで問題でしょ」

イムヤ「とにかく、提督がいないと何も始まらないわ。みんなで手分けして探すわよ」

ガチャッ バァァァーーーン !!!!!!!!

???「その必要はないわ!!」

鈴谷「え、誰?」

雷「この雷様を忘れたとは言わせないわよ!!」デデーン

鈴谷「あ、お姉ちゃんの方か」

雷「あ、ひどーい!! もうっ、お姉ちゃんの方で悪かったわね!! 電は遠征に行ってて留守よ!!」

瑞鳳「…誰に向かって言ってるんです?」

雷「ほっといて!! まっ、しれーかんは私がとっ捕まえたから、あとは好きにしていいわよ!!」

榛名「え? 提督、見つかったんですか?」

雷「どうやら午前中用事があったみたいでどこかに行ってたみたい。こういう時は留守中の艦娘に通達を届けるように頼まれるはずなんだけど、どこを探してもその手紙が見当たらなかったの」

雷「それで、他の子の部屋を探してみたら、私のところじゃなくて電のところに手紙が入ってたのよ。でも、郵便屋さんは悪くないの。だって宛先が私じゃなくて電だったんだから!!」

鈴谷「あーあ…。字、きったないからな~、あの人」

雷「それで、どこへ行ったか書いてあったから急いで連れ戻しに行こうとしたら、鎮守府の入口のところで突っ立ってるしれーかんが居て、そのままとっ捕まえてきたってわけ!!」

榛名「ふふっ。お手柄ね、雷ちゃん」

雷「ふんっ。この雷様に敵うとでも思ってるのかしらね、あの人は!!」

不知火「それでは、会議室に向かいますか」

瑞鳳「そうですね」

榛名「お疲れ様、雷ちゃん。秘書艦頑張ってね」

雷「まっかせなさい!!」タッ

榛名「…」

イムヤ「さて、と」グイッ

瑞鶴「痛い痛い!! 甲板取れちゃうじゃない!!」

イムヤ「動かないと置いてっちゃうよ。…そんなに雷の下着見たかったの?」

瑞鶴「!? そんなわけないじゃない!! 変な想像しないでよっ!?」

イムヤ「それならもっとしゃきっとしないと。…あと、榛名さん。雷は秘書艦なのであまり暇な時間はないですからね」

榛名「はい…、わかって…って、一体何のことですか?」

鈴谷「早くもレベルあがってきたかな、こりゃ」

鈴谷「提督ぅ~、入るよ~!!」

T「お、おお、鈴谷か…」

鈴谷「なになに? 妙にテンション下がってるね~。雷にこっぴどく叱られでもしたの?」

T「え? いや、はは。あれが説教なら毎日でも聞きたいくらいだね」

鈴谷「…」

T「どうかしたのか?」

鈴谷「ううん、なんでもないよ、提督っ」(いつも通りじゃん…?)

T「ところで他のみんなは?」

鈴谷「先に会議室で待ってるよ。私は提督を呼びにきたのさ」

T「悪いね。あともう少ししたら行くから、みんなにはそう言っといてくれ」

鈴谷「ん? 何する気?」

T「特に言うほどのものでもないさ。大丈夫。すぐに行くから」

鈴谷「はいはーい。じゃ、あとは鈴谷にお任せ~」バタン

鈴谷(う~ん。別段変わり映えしてないけどなぁ。瑞鶴姐の思い込みかな?)

鈴谷(瑞鶴姐が言ってるのって、沖ノ島の後あたりからの編成だったなあ…)

鈴谷(がんばれー。鈴谷さんの脳ミソがんばれー)

鈴谷()

鈴谷(うん。わっかんね)

鈴谷(さて、今日の晩ご飯なっにかな~?)ガララ

鈴谷「鳳翔さ~ん、間宮さ~ん」

鳳翔「あら? 鈴谷ちゃん、どうしたの?」

鈴谷「えへへ。これから作戦なんで、晩ご飯何か聞いておこうと思って」

鳳翔「あらあら。そうね、まだ作り始めてはいないんだけど、煮込みハンバーグにしようと思ってるのよ」

鈴谷「煮込みハンバーグ? あれ? 今日ってその日だったっけ?」

鳳翔「そう。あなた秘書艦になった時に教えてもらったのね」

鈴谷「あっ、いっけね、バレちゃった。あはは、まあね~。でも、そっか~。今日だったか~」

鳳翔「いつも通りなら、今日じゃないんだけど。提督に頼まれてね」

鈴谷「提督に?」

鳳翔「ええ。ふふ、何かいいことでもあったのかしら」

鈴谷「ふ~ん? ま、いいや。ありがとね鳳翔さん!!」

鳳翔「作戦、がんばってね」

鈴谷「うん!!」

鈴谷「おっ待たせ~」

瑞鶴「遅かったじゃない。…あれ? 提督は?」

鈴谷「うん。まだ何か用事があるみたいだから、先に行ってろって言われて返されちゃった」

榛名「午前中の用事の件でしょうか?」

鈴谷「さあね~。なんか言いにくいことでもあるのかなぁ?」

瑞鶴「怪しいわね…」

瑞鳳「あはは…」

イムヤ「もうっ。ほんとにマイペースなんだから、あの人は…」

不知火「…先輩方、お茶が入りました」スッ

鈴谷「うおっ!? 作戦会議にお茶が!?」

榛名「ありがとうございます。いただきますね」

瑞鶴「…不知火ちゃん、恐るべし、ね」

不知火「フッ」キラン

ガララ…

島風「おっそ~いっ!!」

T「えっ」

島風「みんな待ちくたびれてるよっ」

T「待ち…」

瑞鶴「ふふん、かかったわね」

不知火「くっ、この不知火が…。いや、死なばもろとも…っ!!」

鈴谷「おおっ!? そこ行くのか!? 抜けないでしょそこはっ!!」

瑞鳳「あ…、ああっっ…、ぐらぐらが…、止まりません…っ」



不知火「ふんっ」シュッ

鈴谷「ぬ…、抜いた…、だと?」

榛名「お、お見事…です…が、これは…」

イムヤ「榛名さんが完全に詰んでますね」

榛名「そのようです。榛名、参りました…」

不知火「フッ」キラン

T「これは?」

島風「酸素魚雷ジェンガ(レプリカ)です。駆逐艦演習から一足先に帰ってきちゃって、遊び相手がいなかったもので。もちろん、いっちばん先に勝ちましたよ!!」グッ

T「そうか。没収だ」

榛名「島風ちゃんかわいそう…」

鈴谷「そうだよ~。あいつただでさえ友達いないんだから~」

T「本人がそう思っているだけで周りはそう思っちゃいない。これは本人の問題だ」

瑞鶴「まあまあ、それは作戦会議のあとにでもしましょ」

イムヤ「そうね。このまま延びると準備がままならなくなるわ」

瑞鳳「艦載機の整備が間に合わなくなるのは嫌だな…」

T「済まないな。では手短にいくぞ」

T「前回は雷を旗艦に西方海域の偵察を行ったが、深海棲艦の潜水艦が巡航していることがわかった。そこで、しばらくは鎮守府の守りを固めつつ対潜体勢を整えることになった。西方海域には深海棲艦を取りまとめるブレインがいるという報告が他の鎮守府から届いているように、この海域は敵本陣に肉迫する海域であると言える。しかしこの鎮守府に着任している艦娘達はまだ未熟な者ばかりだ。第一艦隊のお前たちには、これから各艦種の筆頭となり、全体で士気を高め、練度を上げるよう努力して欲しい」

鈴谷「え? つまり、わ、私が、重巡を取りまとめろって? そんな無茶な~」

T「鈴谷。私はお前を信頼している。できるはずだ」

鈴谷「う~ん。提督がそういうなら、やってみるけどさぁ」

イムヤ「それで、新編成の私達の最初の任務は?」

T「ああ、それなんだが…」

―再び第一艦隊控え室

瑞鶴「ずいぶんと大きな役割押し付けられた割には、ごく普通な任務よね~」

榛名「そうですね。でも、提督なりの考えがあってのことなのでしょう」

イムヤ「…」

鈴谷「そうだよな~。よりにもよって南西諸島海域の、ただの警備だもんなあ」

瑞鳳「南西諸島といえば沖ノ島作戦ですね。でももう、あの海域の深海棲艦は殲滅したのでは?」

榛名「ええ。去年の冬に、瑞鶴ちゃんを旗艦に奮戦しました」

瑞鶴「いやあ、てこずったよね~。バミューダトライアングルかよって突っ込みたくなったわよね」

瑞鳳「ばみゅ…、なんですか?」

瑞鶴「あ~…、いや、こっちの話よ…」

鈴谷「ま、命令されちゃったもんはしょうがないっしょ。さぁて、突撃いたしましょうかね~!!」

榛名「あ、金剛姉さんに挨拶しとかないと…。それでは、また出撃の時に」タッ

鈴谷「私ももどるね。まったね~」

瑞鶴「さて、瑞鳳ちゃん、私たちも行きましょうか」

瑞鳳「はい。イムヤさんはどうされますか?」

イムヤ「あ、わ、わたしはちょっと、提督のところに…」

瑞鶴「…」

瑞鳳「? 提督はこれから出撃のための準備で…」

瑞鶴「いいのよ。じゃ、またあとでね~」ガシッ

瑞鳳「え? ええ?」ズルズル…

バタン

イムヤ「ふぅ…」スッ

瑞鶴 ピタッ

瑞鳳「きゃうん!?」ボッフ

瑞鳳「あいたた…。どうして、急にとまるんですかぁ…」

瑞鶴「ごめんごめん。でも、シッ」

瑞鳳「…?」

瑞鶴「…」

瑞鳳「そんな、廊下の角から先をこっそり見たりして…。なにがあるんです?」

瑞鶴「…出てきたっ!!」

イムヤ「…」キョロキョロ

イムヤ「…」スタスタ

瑞鳳「あれって…、イムヤさんですよね?」

瑞鶴「そうね」

瑞鳳「提督のところに行かれるんですよね?」

瑞鶴「そう言ってたわね」

瑞鳳「まさか」

瑞鶴「…よし、階段を上ったわ。行くわよ、瑞鳳ちゃん」

瑞鳳「やっぱり。…分かりました。瑞鳳、推して参ります」

イムヤ(ここよね…)

イムヤ(スー…、フー…)

イムヤ(よしっ)

イムヤ「しっ、失礼しますっ」

T「…」

イムヤ「い、伊168、只今参りました」

T「…。そこに座ってくれ」

イムヤ「!? はっ…、はい…」

T「イムヤ。なんでここに呼ばれたのか、わかっているか?」

イムヤ「…。大体、予想はついています」

T「そうか…」

イムヤ「で、でも、ただの予想ですので、覚悟の方は、まだ…」

T「覚悟? ははは、そんなものは必要ない。大丈夫、肩の力を抜いてくれ」

イムヤ「は、はぁ…」

T「ひとつだけ、聞きたいことがあるんだ」

イムヤ「はい…」

T「君は、去年の暮れに着任してくれたね」

イムヤ「そうです。南西諸島沖で、燃料もなく、沈みかけていたところを提督の艦隊に助けられました」

T「…」

イムヤ「あの…、それが何か?」

T「君は、それまでの記憶というのは、本当に何もないのか?」

イムヤ「え…。…あ、はい。すいません。何分、本当に沈没寸前で、太陽の光がわからなくなるくらい、衰弱していましたから…」

T「いや、攻めているように聞こえたなら済まない。それだけ、確認したかっただけなんだ」

イムヤ「そう…、ですか」

T「…」

イムヤ「…、あの、それ、だけですか?」モジッ

T「?」

イムヤ「あ、いえっ、あのっ、別に深い意味は…っ」

T「…」スッ

イムヤ「!!」ビクン

T「…よく、ここに来てくれたね」ポンポン

イムヤ「あっ…」

T「これからも、よろしくな、イムヤ」

イムヤ「はっ…、はいっ…!! こちらこそ、よろしくお願いしますっ!!」

イムヤ「♪」

瑞鶴「おっ…」

瑞鳳「出てきましたね…。それに、どこか上機嫌? ですね」

瑞鶴「むむむ…。ますます怪しいわ…。これは榛名に報告しなくっちゃ…!!」ダッ

瑞鳳「あっ、待って、瑞k―」

イムヤ「瑞鳳ちゃん? こんなところで何してるの?」ヒョコッ

瑞鳳「わひゃああぁぁ!?」

イムヤ「なんて声出してるのよ…」

瑞鳳「べ、別に特に何も特にしてしませんけども…っ」

イムヤ「そう? ならいいけど…」(わかりやすっ)

イムヤ「ところで、艦載機の整備は終わったの?」

瑞鳳「あ」

イムヤ「…」

瑞鳳「たいへんたいへん、直ぐに準備しなきゃ!! あ、また後でね、イムヤちゃん!!」

イムヤ「う、うん…」(うーんでも、ほんと、何やってたんだろ?)

―数時間後

瑞鶴「ふぅ。艦隊が帰投しました。みんな無事?」

榛名「私は大丈夫です」

不知火「不知火も問題ありません」

瑞鳳「大丈夫だけど、艦載機の補充がしたいなぁ」

鈴谷「鈴谷、完全勝利ぃ!」

イムヤ「私も問題ない、わ…」フラッ…

榛名「イムヤちゃん!?」ガシ

イムヤ「ZZZ…」

瑞鶴「あらあら。ま、仕方ないわね。いつも以上に張り切って避けてたもんね」

鈴谷「なにがあったかしらないけど、妙に輝いて見えたしな、今日は」

瑞鳳「でも…、わたしも眠いなぁ…」ウトウト

榛名「そうですね。お夕飯はみなさん一休みしたあとにいただきましょうか。鳳翔さんにはそう伝えておきますね」

瑞鶴「わかったわ。じゃあこの子達は私に任せてくれる?」

榛名「はいっ!! お願いします!!」

鈴谷「じゃ、まった後でね~」

榛名「榛名です、失礼します」

鳳翔「あら榛名ちゃん。おかえりなさい」

榛名「ただいまです。…あの、お夕飯なんですけど、第一艦隊の分は少し遅めまでとっておいてもらえますか? 出撃でみんな疲れていて、ちょっと休んでからいただきたいのですが」

鳳翔「そうなのね。わかった、あなたたちの分は取り置きしておくわ。安心してお休みなさい」

榛名「ありがとうございます…っ!! そして…この匂いは、煮込みハンバーグですね!! 榛名、大好きです!!」

鳳翔「そうね、みんな大好きな料理よね。大丈夫。誰にもとらせはしないから」

榛名「えへへ、ありがとうございますっ!! それでは、また後ほどっ」

鳳翔「はいはい。ゆっくりおやすみなさい」

榛名「よいしょ、ふぅ…。今なら、空いてるよね…?」ガラッ…

シーン…

榛名「やったぁ、お風呂ひとりじめっ♪」

キュッキュッ、ザーッッッ…

榛名「これだけのためにお風呂なんて、なんて贅沢なんだろう。でも、いいよね。大きな出撃がないってことは、しばらくは安全ってことだもんね」

シャァァァア……

榛名「…」

榛名「あれ…。ちょっと…、大きくなってる…?」

シャァァァア……

榛名「…気のせいかな。…でも、ちょっと、一周り輪郭が…」

シャァァァア……

榛名「…」

榛名「やっぱり、ちょっとだけ膨らんでる…。…湯船の水面が」

シャァァァア……  キュッキュッ
バッッッ

榛名「誰か、いるの?」

イムヤ「あ…」ザパッ

榛名「…なんだぁ、イムヤちゃんかぁ」ホッ

イムヤ「ご、ごめんなさい…、つい…」

榛名「もうっ、お風呂は潜行禁止っていっつも言ってるじゃないですか」

イムヤ「あうぅ、ごめんなさい…」

榛名「イムヤちゃん、やっぱりちょっと傷あったんですね」

イムヤ「普段なら気にならないんだけど、なんだか今日は、ね」

榛名「ふふっ。周りの目が気になっちゃう?」

イムヤ「えっ!? いやっ、そんなこと、ないけど…?」

榛名「? いつも水着だし、ちょっとでも傷作ると目立つから気にしてるんですよね?」

イムヤ「あっ…、ええ、まぁ、そうね」

榛名「しかも、常に体型に気を配らないとすぐにバレちゃいますし…」

イムヤ「なにが?」

榛名「なにって…。ほら、お腹とか、胸とか…」

イムヤ「そう? わたし気にしたことないけど」

榛名「うう…、その体質体型、うらやまけしからんです…」

榛名「ところで、出撃前のことなんですけど」

イムヤ「うん?」

榛名「提督と何のお話を?」

イムヤ「ふやぇっっ!?」バシャッ

榛名「ど、どうされました!? 給湯管とか触っちゃいましたか!?」

イムヤ「い、いや、心配しなくていいわっ!!」

榛名「? ならいいのですが?」

イムヤ(な、なんでバレたのかしら?)

イムヤ「そ、そうね…、作戦の内容のことでちょっと、ね…」

榛名「そうですか。もしや、午前中のことのお話かと思ったのですが」

イムヤ「ああ、成程。いや、そんな話じゃなかったわよ」

榛名「そうですか。それならいいんです」

榛名(ほ、ほんとに提督とお二人でお話をなさっていたんですね…)

榛名(執務室で二人っきりだなんて、私にはとても…)

榛名(一体どんな話をしてたんだろう…? ああ、気になるぅ…)

榛名(…た、例えば、あんな…、あっ、ダメ。ダメよ榛名。これ以上はダメ!!)

榛名(…。…。………///)

イムヤ「…。榛名、さん?」

榛名「は、はいっ!?」

イムヤ「大丈夫? 顔、赤いけど」

榛名「は、はいっ!! 榛名はだいじょうぶです!!」

イムヤ「…ほんとに?」

榛名「は、榛名にはちょっと重い話かと思いますが、でも、頑張って応援しますね!!」

イムヤ「なんの話よ」

イムヤ「はう…。気持ちよかった」

榛名「いつもならヘトヘトのズタボロですし、他にもたくさんの人がいますからね」

イムヤ「うん。今日はとってもゆっくり浸かれたわ。お陰で疲れもふっとんじゃった」

榛名「ふふ。それは何よりです。…さて、お夕飯に行きましょうか」

イムヤ「あ、それなんだけど、みんな誘ってから行かない?」

榛名「それもそうですね。折角ですし、寄り道しつつ行きましょうか」

イムヤ「そうだ。ついでに間宮さんのアイスも食べて行かない? 新作、あるみたいなの」

榛名「うっ…。この、タイミングは、少し、卑怯じゃありませんか…?」

イムヤ「え? 私いつもお風呂上がりに食べてるけど」

榛名「う、ううぅ…。私も潜水艦になりたかったなぁ…」ハァ・・・

イムヤ「…」

イムヤ(は、榛名さんの、スク水姿…)ゴクリ

榛名「鈴谷ちゃん~? います~?」コンコン

イムヤ「…返事、ないわね」

榛名「お部屋にいないんでしょうか?」

イムヤ「…。入るわよ~?」ガチャッ

榛名「だ、大胆…」

イムヤ「えーっと、妙高…利根…、あった、最上。鈴谷? いる?」ガチャッ

鈴谷「ほぇ…? あっ、ちょぉっ!!」

イムヤ「おお」

鈴谷「『おお』、じゃないって!! 着替えてんだから突っ立ってないで出る、出る!!」

イムヤ「へぇ~、意外。鈴谷って縞p…」

鈴谷「ダァァーーッッッ!!?? あっ、後で鈴谷の甲板ニーソ触らせてあげるから、それ以上言うなぁ!!」

イムヤ「いや、遠慮しておくわ。それよりなんで縞p」

鈴谷「うりゃぁぁ!!!!」ズガンズガン

イムヤ「おっと」ヒョイ

鈴谷「うう…、鈴谷のトップシークレットが…」

榛名「え? なんですか?」

鈴谷「鈴谷の純心がぁ~…」

イムヤ「いいじゃない、別に。減るもんじゃないし。そもそも女同士だし」

鈴谷「そぉだけどさぁ~」

榛名「?」

イムヤ「ここね…。瑞鳳ちゃん? いる?」

瑞鳳「はーい…」ガチャ

榛名「あ、まだおねむでしたか? それならまた後で…、あ」

瑞鳳「あ、いえ、大丈夫です。みなさんと一緒に行きます…」

鈴谷「…」

イムヤ「おお」

瑞鳳「…?」

榛名「ず、瑞鳳ちゃん瑞鳳ちゃん、胸当てずれてるずれてるっ」

鈴谷「…可愛いおムネがこんにちは状態だよ」

瑞鳳「え? あっ、わわっ///」サッ

鈴谷「…そぉいや、私らってブラつけてる娘、ほとんどいないよね」

イムヤ「男の目が無さすぎるってのもあるけど、流石に油断しすぎだわ…」

榛名「瑞鶴ちゃん、入るよ~」ガチャ

鈴谷「ねぇ、イムヤ」

イムヤ「なに?」

鈴谷「瑞鶴姐がどんな乱れた姿で休憩してるか、当てっこしよっか」

イムヤ「はぁ…?」

鈴谷「私はねぇ、炬燵から頭だけ出してこたつむり状態になってるとみたよ」

イムヤ「なによ、こたつむりって…」

鈴谷「イムヤはどお思う?」

イムヤ「知らないわよ。…大方、床に寝そべって片肘ついてテレビでも見てるんじゃない?」

鈴谷「あはは。典型的な休日のオヤジスタイルだなっ」

榛名「きゃぁぁぁああああ!!!!」

鈴谷「!?」

瑞鳳「どっ、どうしました!?」

榛名「ず、瑞鶴ちゃんが…、ほぼ全裸状態で床に…」

鈴谷「ぜっ…、全裸…」

イムヤ「予想の遥か上を行ったわね」

瑞鶴「…」

榛名「…タンスの角に小指ぶつけて悶えてたらドレッサーに引っかかって、そのまま下敷きになって中破しちゃったんだそうです」

瑞鳳「壮絶な休憩タイムだったんですね…」

鈴谷「そんなことよりも姐さんもちゃんと下着つけなよ。弓で隠してなきゃ丸見えだよ?」

瑞鶴「あ…、あんたに言われたくないわ…」

イムヤ「それよりどうするの? 夕飯、できてるんでしょ?」

榛名「そうですよね…

鈴谷「いっそのことバケツ使っちゃえば? そんな格好で歩き回りたいのなら別だけど」

瑞鶴「沖ノ島の後の1週間じゃないんだから、そんなことしないわよ」

榛名「あの時の1週間は今になって思えばかなり恥ずかしいですよね…」

瑞鶴「第一艦隊が占拠してて、ドックを使わせてもらえない中破、大破の艦娘がそのままの格好で鎮守府中を闊歩してたからね…」

鈴谷「ま、提督には最高の1週間だったんだろうけどね」

瑞鶴「いいえ。秘書艦の私が執務室から出ないようしっかり見張ってたから大丈夫よ」

鈴谷「鬼だな、姐さん」

瑞鶴「大量に余ってるんだろうし、ひとつやふたつくすねたって問題ないわよね」ヒョイ

鈴谷「おお、ここがバケツの保管場所なのか~」キョロキョロ

榛名「鈴谷ちゃんは来たことなかったんですか?」

鈴谷「鈴谷さんはエリートだから、中破はまだしも、大破はしたことないのです!」ドヤァ

イムヤ「提督ってビンボー症だから、小一時間のドック入りじゃバケツ禁止にしてるってだけでしょ」

鈴谷「そうとも言う」

榛名「そうですか…。榛名ももっと気を付けないとなぁ…」

瑞鳳「ところで、あのバケツにはなにが入ってるの?」

イムヤ「さぁね。私は知らないわ」

鈴谷「あ、それね、足柄から聞いたんだけど、なんかヌルヌルしたのが入ってるらしいよ」

瑞鳳「ヌルヌル?」

鈴谷「そう。ヌルヌル」

イムヤ「なんで連呼するのよ…」

瑞鶴「すぐ上がるから待っててね!!」タッ

瑞鳳「はーい」

鈴谷「ねぇ、榛名さん。バケツ使った時って、どうなるの?」

榛名「へっっ!?」

鈴谷「やっぱこう、普通にお風呂入った時よりも気持ちよかったりするの?」

榛名「えっと、あの…、どう言ったらいいのでしょうか…。なんというか、こう、最初は少し痛いのですが、慣れてくると気持ちいいというか…」

鈴谷「えっ!? 痛いの!?」

榛名「そう考えると、普通の消毒液と似てるかもしれませんね。最初はズキッとしますが、徐々に効いてるのがわかってくるというか…」
瑞鳳「ああ、なるほど」

鈴谷「そういうことかぁ。…いいなあ。私も使ってみたーい」

イムヤ「だからってワザと魚雷に当たりに行こうものなら、提督に大目玉もらうわよ」

鈴谷「そりゃ勘弁だー」

瑞鶴「お待たせっ。さっ、行くわよ!!」

瑞鳳「あっ、不知火ちゃんがまだですよ?」

榛名「ふふっ。瑞鶴ちゃんはせっかちさんですね」

鈴谷「いや、腹減ってるだけっしょ」

瑞鶴「言ってなさいよ!! ほら、さっさと呼びに行くわよっ」

瑞鳳「なんだかものすごく元気になってますね」

イムヤ「…あのバケツ、ほんとに何が入ってるのかしら」

鈴谷「…」

榛名「ほらほら、行きますよ?」

瑞鳳「はーい」

イムヤ「何してるの? 置いてくわよ?」

鈴谷「お、おうっ!!」

鈴谷(まっ、寝る前にでも来てみましょうかね…)

瑞鶴「しーらぬいちゃーん!!」

不知火「あ、先輩…」

瑞鶴「ご飯!! 食べに行きましょ!!」

不知火「そうですね。そろそろ行きましょうか。…他の先輩方は?」

瑞鶴「いいからいいから。ほら、行きましょ」

不知火「…と言いますか、先輩、何か匂いますよ?」

瑞鶴「へ?」

不知火「何か、花のような…。…そうでないような」

瑞鶴「ええっ!?」クンクン

瑞鶴「…わからない」

不知火「そういうものは得てして、自分ではわからないものです。ですが…っ」

瑞鶴「不知火ちゃん…? どうしたの、そんな頭を抱えて…」

不知火「絵が浮かんできてても名前が思い出せない…。くっ、ああっ、もどかしいっ!!」ガバッ

瑞鶴(不知火ちゃんて、こんな娘だったっけ…?)

鈴谷「鳳翔さん!! ただいま~!!」

瑞鳳「こんばんわ、鳳翔さん」

鳳翔「あらおかえりなさい。待ってたわよ」

瑞鶴「流石にここまで遅くなると人少ないわね」

イムヤ「あれ? あの端っこにいるのって…」

鈴谷「おぉぅ~、提督じゃ~ん!! ち~っすぅ!!」

T「あれ、なんだ、お前たち。まだ飯食べてなかったのか?」

榛名「こんばんわ。提督こそ、今お夕飯ですか?」

T「ああ。というより、私はいつも、大体この時間に食べてるよ」

雷「私は、身体に障るから、あんまり夜遅くに食べない方がいいわよって言ってるのよ?」ヒョコ

瑞鳳「あっ、雷ちゃん」

T「ははは。だが、仕事が終わらないんだからしょうがないじゃないか」

雷「もうっ!! いっつもそればっかり!! ダメよ、もっと身体のこと考えないと!!」

T「あ~…、そうだな。気をつけるよ」

イムヤ「…」

瑞鳳「デレデレですね」

瑞鶴「あんな顔の提督、初めて見るわ…」

鈴谷「こりゃもしかしたら、瑞鶴姐の予想、もしかするかもね」

瑞鳳「わぁ…、おいしそ~」

榛名「煮込みハンバーグは月に一度しか食べられないから、みんな楽しみにしてるんですよ?」

瑞鶴「うふふ。これが出る日はなんか、特別って感じ、するわよね」

鈴谷「てっいとく!! お隣、失礼しま~す!!」ポスン

イムヤ「あっ…」

鈴谷「えへへ~、提督のお側にはいつだって、鈴谷がいるのです!!」

雷「ああっ!! そこは私の席なのに!!」

鈴谷「ええ~? でも別にいいでしょ? 提督?」

T「わかったわかった。私がひとつずれるから、雷、君はここに来なさい」ポンポン

雷「むぅ…。提督がそう言うなら仕方ないわね」

鈴谷「ふふん。提督は雷みたいなお子様より、鈴谷さんみたいな大人びた美少女の方が好きだよね~?」

雷「なっ!? 誰がお子様なのよぉ!!」

鈴谷「ほらほら~、こうやってすぐ怒るしぃ~」

T「鈴谷、その辺にしておけ。それに、私は雷をお子様だなんて思わないぞ」

鈴谷「お? ってことは妹萌えってのは、けっこーマジなの?」

T「私が妹萌え? そんなわけないじゃないか」

鈴谷「ふ~ん、そう。じゃ、提督はウチと雷、どっちが好きなのさ?」

T「それは…」

イムヤ「…」

瑞鶴(なによ、この雰囲気…。ご飯食べたいのに食べれないじゃない…)

榛名(でもでも、これは提督の好みの女の子を探るいいチャンスですよ?)

瑞鶴(…あんたがいつもみたいに止めて入らないのは、そういうことね)

榛名(だって、瑞鶴ちゃんが朝にあんなこと言うから…)

瑞鶴(気になっちゃったのね)

榛名(うん…)

鈴谷「で? どっちが好きなのさ?」

T「そんなの、決まってるじゃないか」

鈴谷「ほぉ~。で、どっちなの?」

T「私は、鈴谷が好きだよ」

鈴谷「…、ほぇ?」

他娘達「ええっ!?」

鈴谷「ちょ、…ええ?」

T「だが、君に感じている想いは、君の考える好きとはまた違った次元のものだ。そしてそれは鈴谷だけじゃない、雷にも、君たちにも…。そう、鎮守府のみんなに平等に感じているものだ」

雷「提督…」

T「…私は、君たちみんなを愛している。君たちを危険な海域に送り出すたび、毎度毎度胸が締め付けられる思いがする。そして、無事に帰ってきてくれる度に、暖かく迎えてやらねばと思う。自ら海域に出ることなどほとんど無い私に代わり、奮って戦ってくれる君たちを、私はひとりとして特別に扱ったりなどしたくない。みんな、私の大切な家族だ」

鈴谷「て、ていとくぅ~!!」ガバッ

T「お、おいっ!?」

鈴谷「すずやめっちゃカンドーしたぁ~!! 変なこと言ってごめん~」

T「わかったから泣くな!! そして離れなさい!!」

瑞鶴(…なんか、拍子抜けだわ)ハァ…

榛名(ず、瑞鶴ちゃん…)

イムヤ「…」

雷「ふ…、ふんっ!! しれーかん、そーいうとこだけは大人なのねっ」

T「なんだよ、その『そーいうとこだけ』というのは…」

雷「そのままの意味よ?」

T「むぅ…」

瑞鳳「それより、ハンバーグ、冷めちゃうよ?」

鈴谷「ああっ、鈴谷の煮込みハンバーグが!!」ポイッ

榛名「あ」

瑞鶴「…提督、投げ飛ばされたわね」

不知火「鈴谷先輩にとっては、提督はハンバーグ以下の様ですね」

T「そりゃないよ…」

鈴谷「あ~…、口福、口福~♪」

瑞鶴「ずいぶん大げさね、鈴谷」

鈴谷「いや、こうやっておいしいもの食べてる時が、やっぱ一番幸せだよね~と思って」

瑞鳳「はい、とってもおいしかったです」

榛名「私も鳳翔さんみたいにお料理うまくなりたいなぁ」

鈴谷「お、じゃあ今度一緒にレクチャー頼みに行っちゃいます?」

瑞鶴「あんたはカレー作れるだけで十分でしょ」

鈴谷「え~。鈴谷だって女の子なんだから、作れる料理増やしたいと思うのは普通でしょ~」

瑞鶴「そ、そうね…」

鈴谷「あ、まさか、姐さん料r―」

瑞鶴「目標、重巡鈴谷!! やっちゃって!!」バシュッ ブーン

鈴谷「ちょっ、ちょぉぉぉ!!?? 食堂で艦爆飛ばすなってぇぇぇ~!!??」ダーッ

榛名「じゃあ、私はこっちなので…」

瑞鶴「うん、また明日ね」

瑞鳳「おやすみなさい」

不知火「では、私は先輩を部屋に持っていくので…」

鈴谷「」

瑞鶴「うん。別に廊下に捨ててもいいわよ」

瑞鳳「お、おやすみなさい…」

不知火「さっ、行きますよ」ズルズル…

瑞鳳「すごい怪力ですよね、不知火ちゃん…」

瑞鶴「最近、あの娘がわからないわ…」

イムヤ「し、司令官…っ」

T「ん? なんだ、みんなと帰らなかったのか」

イムヤ「う、うん…」

T「どうした? そろそろ就寝時間だぞ」

イムヤ「そ、その…。今、ゴーヤ(伊58)が夜間の遠征に行ってていないから、一人なの…」

T「そういえばそうだったな」

イムヤ「それで、その…、夜、部屋で一人は暗くて怖いから…、よかったら…」

T「…。そうか」

イムヤ「い、…嫌、かしら?」

T「…」
イムヤ「…」
T「…」

イムヤ「司令官…」

T「…」

イムヤ「司令官…、イムヤの事、嫌いになったの?」

T「!?」

イムヤ「最初は…、すごく…、優しくしてくれてたのに…」

T「…っ」

イムヤ「最近は、ほとんど構ってくれなくなった。…ねぇ、どうして私を使ってくれないの?」

T「それは…」

イムヤ「確かに、伊号潜水艦は他の娘たちよりも扱いづらいかもしれない…。でも、私たちだってちゃんと武器を持った艦船…、艦娘なの。司令官のために、戦いたいの。役に、立ちたいのよ…」

T「…」

イムヤ「…。もしかして、さっきの、私たちを送り出すのが辛いっていうのが、関係してるの…?」

T「…ああ」

イムヤ「司令官…」

T「…。そうだな。ここで話すのも難だ。イムヤ、今から私の私室に来ないか」

イムヤ「へっっ!?」

T「お茶でも飲んで少し話そう。上着をとっておいで。私は先に帰ってお湯を沸かしておくから…」

イムヤ「ひゃっ…、は、はいぃぃ!!」ダッ

T「? そんな走って行かなくても…」

イムヤ(司令官と二人でお話…♪)テッテッテッ

鈴谷「げっ」

イムヤ「あれ、鈴谷。何してるの?」

鈴谷「い、いや~、ははは」

イムヤ「…怪しいわね。どこ行くのよ」

鈴谷「えっ!? あ~、ちょっと、お花を摘みに…」

イムヤ「お手洗いならあっちでしょ」

鈴谷「おっと、この鈴谷さんが何たる失態!! …って言うか、イムヤこそどこ行くの? 潜水艦って、この棟だったっけ?」

イムヤ「えっっ!? …あ、いや、そうね、私はこれから戻るところよ!!」

鈴谷「ふ~ん?」

イムヤ「じ、じゃあねっ、おやすみっ」ピュ~

鈴谷「ふぅ…。あぶないあぶない…」

イムヤ「はぁ…はぁ…。なんか、すごく疲れたわ…」

イムヤ「…」ゴクリ

イムヤ「し、失礼します…」ガチャ

T「おお、待ってたよ」

イムヤ「司令官…」

T「まあ掛けてくれ。もうちょっとで沸くから」

イムヤ「は…、はい…」

T「今日は金剛が持ってきてくれた紅茶を飲もうかと思ってたんだ。イムヤは何がいい?」

イムヤ「あ、…私も、同じのでいいです…」

T「そうか。じゃ…」カチャ

イムヤ(ああ…、なんかものすごく緊張する…!! 大丈夫かしら、私…)

T「はい」

イムヤ「あ、どうも…」カチャ

T「…」

イムヤ「…」

T「…」

イムヤ「…」

イムヤ(ど…、どうしよう…? …とりあえず、お茶、頂こうかしら)

イムヤ(…。…おいしい)

T「美味いかい?」

イムヤ「…はい、とても」

T「そうか、ならよかった」ニコッ

イムヤ「!?」

イムヤ「…~///」(うぅ…、ダメ、もう、何が何やらわかんなくなっちゃう…!!)

T「…ところで、イムヤ」

イムヤ「は、はいっ!?」

T「今日の出撃前、君に昔のことを覚えているかどうか、聞いたね」

イムヤ「あ、はい。そうでしたね」

T「…。実はこの鎮守府には、君が来る前、伊168という、君と全く同じ名前の潜水艦がいたんだ」

イムヤ「え…」

T「彼女も、とても気さくで、元気な娘だった。…しかし、彼女はとある任務の途中、深海棲艦の手に掛かり海に沈んでいった」

イムヤ「…」

T「…。あれは、私の慢心と、ほんの些細な不注意が原因だった。艦隊の受けたダメージを軽視し、熟練の娘達ばかりだからと夜戦を決行し、個々の被害に注意を払っていなかった…」

T「その日から、私は臆病になり、大きな任務が本島から発令されるまで、領内から先の出撃が怖くて仕方がなかった。来る日も来る日も警備任務ばかりを艦隊に任せ、演習も訓練も十分にできない日々が続いた」

T「しかし、もうすぐ年がひとつ明けようかとしているある日、帰還した艦隊の中心に、君がいた」

イムヤ「私…」

T「そうだ。聞けば、南西諸島沖で沈没寸前の潜水艦を見つけ、第一艦隊の補給隊として出向いていた水雷戦隊が救助したと。私は目を疑ったよ。…送り出して、もう一生帰ってこないと思っていたあの娘が帰ってきたんだと思った」

T「しかし、それは甘えに過ぎなかった。容姿こそ瓜二つで、刻まれた艦名も同じだが、装備している魚雷管、ソナー…、記憶している作戦等々がこちらの記録とは全く違ったものだったのだ」

イムヤ「…」

T「しかし、それで私は落ち込むどころか、これを機に再び熱心に指揮を執れるようになった。今度こそ守ってみせる…。絶対に、もう、海の底で寂しい思いはさせまいと、胸に刻むことができたんだ」

イムヤ「司令官…」

T「だから、君…、いや、イムヤには心から感謝しているんだ。君が来てくれたからこそ、過去の過ちを乗り越え、また立ち上がることができたのだから。…なのに、君にそんなに寂しい想いをさせていたとは。すまなかった」

イムヤ「えっ、や、そんな、謝らないでよ。…だって、これは単なる私の―」

T「えっ?」

イムヤ「あっ、な、何でもないわっ!!」

T「そうだ、イムヤ。今日の夕飯はどうだった?」

イムヤ「煮込みハンバーグ? ええ、すごく美味しかったわ」

T「そうか、それはよかった」

イムヤ「どうして?」

T「…。実は、さっき話した、伊168が大好きな食べ物が、煮込みハンバーグだったんだ」

イムヤ「え…」

T「彼女が沈んだ日に、私は毎月、鳳翔さんに頼んで作ってもらうことにしていたんだ。多忙で線香さえ手向けられない私の、せめてもの弔いの気持ちとしてね。幸い、鎮守府のみんながこのメニューを好きになってくれて、この料理が出る日は食堂が一段と明るく賑やかになる。その光景を見ることで、きっと彼女もどこかで楽しそうにしているだろうと思うことができた」

イムヤ「…」

T「だが、それではダメなんだ。一度沈めてしまった艦は、二度と還ることはない。だから私は、きちんと彼女を弔えるよう、東京に行って彼女の墓を作ってきた」

イムヤ「あ…、それで今日…」

T「…まぁ、手違いというか、私のせいでどうやら今日は大変だったようだがな。ははは」

イムヤ「…もぅ」

T「まあ、そう呆れないでくれ。…そして、今日から、煮込みハンバーグの在り方を変えることにしたんだよ。イムヤ、今日が何の日か、わかるかい?」

イムヤ「え? …節句でも祭事があるわけでもないし、わからないわ」

T「君がここに来て丁度ひと月。つまり、これから毎月、この日は君がここに来てくれたことを感謝する日にすることにしたのさ」
イムヤ「司令官…」

T「君はまだ着任したばかりで色々と危なっかしい。それもあって少し出撃させるのが怖かったというのもある。だからここで今一度言おう。君をこの鎮守府の潜水艦隊の一員として、心から歓迎している。私達の力になってくれるかい?」

イムヤ「…っ。もちろんよ、司令官!!」

おわり

            おまけ

鈴谷「こんばんわ~…」ガララ…

シーン…

鈴谷「よしよし、敵影なし、っと…」

鈴谷「まったく、艦攻なら落としちまえば済むけど、よりによって艦爆なんだもんなぁ…」

鈴谷「改になったら晴嵐ぶん投げてやるんだからっ」

鈴谷「…え~っと? お、あったあった」

鈴谷「へへん。無傷じゃ効果わからないけど、今は小破してるもんね~。…誰かさんの所為で」

鈴谷「へぇ~、バケツのくせにしっかりと蓋なんてついてるよ。どれどれ…っ」

鈴谷「んぎ…。…よっ!!」

鈴谷「―――っっっ!!!」

鈴谷「…」

鈴谷「うりゃぁぁぁ!!!!」ボコッ

鈴谷「うおっしっ」グッ

鈴谷「早速中身を拝見~…。うわぁ~、なんかヌメヌメするぅ~…」

鈴谷「うっわ、ほんとネッチョネチョだ…。…でも、ちょっとイイ感じにひんやり?」

鈴谷「これを…、傷口にぬればいいの、かな?」クチュ…

鈴谷「あっ…、…っっ!! 痛っ…、んんっ…あ、…くぅ~っ…、あぅ…」

鈴谷「ひぅっ…、あ…あぁん…、あぅ、ん…、はぁ、はぁ…」

鈴谷「はぁ…、はぁ…、な、なんなの…、あっ……あん…、これッ…」

鈴谷「すごく…、ん…んん…あぅ…、き、気持ち…、いい…」

鈴谷「ず…、ずるいな……、あぁん…、戦艦…とか、空、母はぁっ……!!」

鈴谷「はぁ…、はぁ…、はぁ…。あ、ありゃ。もう、無いのか…」

鈴谷「う~…。もっかい、したいな…」

鈴谷「よっ…って、ありゃ、すごく簡単に開いた…。こ、これもバケツの力なの?」

鈴谷「まあいいか。へへ~、じゃあいっただき~…」

鈴谷「…。ありゃ? …こないなぁ。一回やったら完治するから、やっぱダメなの?」

鈴谷「う~ん…。しゃあない、帰るとしますか」

鈴谷「…」

鈴谷「…いっこ、もらっとこ」ヒョイ

その次の日あたりから、この鎮守府ではバケツが日に日に減っていくという現象に悩まされることになったそうな…

おわりんぐ

おまけ②

榛名「ただいま~…」

金剛「あ、おかえりハルナ~♪ 寝る前の紅茶、一緒に飲みマショ~!!」

比叡「姉様、私おかわり頂いてもいいですか?」

霧島「あらおかえりなさい。今日は一段と遅いのね」

榛名「ええ。お夕飯を食べるのが遅かったですからね。姉さま達も寝てなかったんですね?」

霧島「まあね。最近オーバーワーク気味のあなたより先に寝るのが心苦しくて、ね」

榛名「霧島…」

金剛「そういうわけだから、今日最後のティータイムといきまショウ~♪」

榛名「最後?」

比叡「回数で言えば5回目ですよね、姉様♪」

榛名「ごっ…」

霧島「戦艦枠があなたと伊勢さん達、それに陸奥さんになってから、私たち、恥ずかしながら暇でね…。金剛姉さんの提督LOVE話を聞きながら、終日ティーパーティ状態なのよ」

榛名「姉さん…」

金剛「あ、ねえねえハルナ? そういえば、提督に不純な噂があるって聞いたけど、ほんとなの?」

榛名「えっ?」

比叡「ああ、あれですか。提督が妹萌えってやつ」

霧島「ああ、それ。たしか五航戦の子が金剛姉さんに聞いてたわね」

金剛「ねえねえハルナ~? いもーともえって、なんデスカ~?」

比叡「それはですねー、妹っぽい女の子が好きで好きでたまらなくなっちゃう病気なんですよ、姉さま」

榛名「…」

金剛「What!? 病気!? 提督は病に冒されているのデスカ!?」

榛名「えーと…」

霧島「でも、提督が妹萌えというか、妹ばかり相手するのは、必然なんじゃないの?」

榛名「え? どういう意味ですか?」

霧島「だって、姉って言われてるのはネームシップ…、つまり一番艦。私達で言えば金剛姉さまだけで、他の三人は妹扱いになるわけじゃない?」

榛名「あ」

霧島「同様に、例えば駆逐艦の睦月型なんて、姉の睦月ちゃんを除けば他数十人みーんな妹よ? 鎮守府内の妹の割合が高くなるのは必然じゃない。それって要するに、提督が相手する艦娘も妹として扱われている娘ばかりになるのではなくて?」

榛名「た、たしかに…」

金剛「ねぇ~? 提督は病気なの~? ちがうの~?」

榛名「はぁ…、なんだかもう、眠いです…」

おしり

最後の おしり でクスっときたw

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月19日 (水) 19:53:07   ID: muxYumMS

ぬいぬい、それはクリの花の匂いだよ

2 :  SS好きの774さん   2014年11月26日 (水) 20:19:09   ID: -CijoYGO

栗の花だなんてバケツにはナニがはいってるんですかねぇ?(ゲス顔

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