男「何気ない日常が一番なのである」 (5)

「……いっち、にっ、アヘッ☆ イグッ!!」

朝だ。
寝起きで重い頭をふるふると振って意識を覚醒させる。
最近、朝の目覚まし時計代わりになっている妹のおまんこ体操の声を聞いて目を覚ますようになった。

男「起きるか……」

ベッドから身体を起こし一度欠伸をして抜け出る。
フローリングの床に足をつけるとひんやりとして妙な心地よさを感じた。
取り敢えず、飯を食おう。リビングでは母が朝飯を用意してる筈だ。

妹「 アヘ顔からの~~~イグッ!!!!」

男「おはよう」

妹「あ、お兄ちゃんおはよう!」

母「たかしおすーwwwwたかしめすーwwww」

男「母さん、ご飯は?」

母「なぞのくさ」

男「パンでいいか……」

母「しよwwwしよwwwwしよwwwwwww」

妹は相変わらず日課のおまんこ体操をしていた。
一年ぐらい前から朝にテレビでおまんこ体操の放送枠が取られるようになって以来、女子高生を中心にじわじわと人気が出てきているようだ。

「 女の子の定番☆おまんこイクイク体操なのだ☆o(^-^)oえいっ」

テレビで流れているおまんこ体操の映像の字幕にそんなことが書いてあった。

妹「やっぱりおまんこ体操すごいなあ」

よく判らないがすごいらしい。

母はここ一年ぐらいずっとこんな感じだった。
認知症なのか何なのかは知らんがあまり言葉が通じなくなってしまった。

そういえば今年の正月に出された雑巾を煮た物は雑煮のつもりだったんだろうとふと思った。

妹「愛されアクメキメたからそろそろいこっか!」

男「おう」

妹は高校一年生だった。対する俺は二年生。
あみだくじで決めた高校だったが運が良いことに妹も俺と一緒の高校に通うことになった。

スルー能力検定の会場はここですか

「オハヨーゴザイマス!!」

と校門の前で言っているのは我が校の体育教師である。
うちの学校の生徒は挨拶ができないやつらばかりだ! ということで熱血で有名な体育教師が自らをお手本にするように誰にともなく挨拶をするようになった。

「オハヨーゴザイマス! オハヨーゴザイマス!!」

今現在は校門の前で校舎のほうを向きながらひたすらに挨拶している。
挨拶運動を始めたばかりの頃は生徒たちにうざがられていたものだが今では良いマスコットである。

残念なことに挨拶運動を始めてからオハヨーゴザイマス以外の言葉を言えなくなったということはこの学校の誰しもが知ることである。

妹「あはは、オハヨーゴザイマス! だって」

男「そうだな」

妹のツボはよく判らない。
犬が棒に歩けば笑うし猿が木から落ちれば笑うような女である。

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