亜里沙「夢のなか」 (34)
モバマスSSですよー。
P「あっ、亜里沙さん」
亜里沙「はぁ~い、なんでしょう、Pくん」
P「スケジュールなんですけど、実は一日、どうしても埋まらなくって……」
亜里沙「あら、そうなの?」
P「で、で、ですね。俺も、その日、一日空いちゃってるんですよね」
亜里沙「えっ」
P「せっかくだから、ちょっと遊びに行くとか、どうかなぁ~……って」
亜里沙「行きます! 行く行く!」
亜里沙「(ウサー!)」
P「は、はい」
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――動物園。
P「こんなところでいいんですか」
亜里沙「いいんです!」
亜里沙「えへへ~、本物のウサギちゃんを見にいきますよぉ」テコテコ
P「は、はい」
亜里沙「でも、小動物コーナーまではちょっと距離があるわね」
P「じっくり見て行きましょうよ」
亜里沙「そうですね」
亜里沙「それじゃごーごー」
亜里沙「あ、ほらほら、パンダさんですよぉ」
P「おお、白いですね」
亜里沙「あそこは黒いですよ?」
P「白黒ですね」
亜里沙「黒白かもしれませんよぉ」
P「これは難問ですね」
亜里沙「ふふっ」
P「おお、アライグマ。あ、コアラ」
亜里沙「そういえば、みりあちゃんや仁奈ちゃんを思い出しますね」
P「そうですねー。動物モチーフの衣装はやっぱり鉄板ですよ」
P「動物ってだけでテンションあがりますからね」
亜里沙「Pくんは何が好きなの?」
P「やっぱりペンギンですかね」
亜里沙「……鳥?」
P「なんか表情が少ないほうが好きなんですよね」
P「表情豊かだと、逆に相手が嫌~ってのもすぐ分かるじゃないですか」
亜里沙「……Pくん、怖がり屋さんなのねぇ」
P「そうかなぁ」
亜里沙「ウサギさんもそうだけど、ちゃんと見てると、ペンギンさんも表情豊かだと思いますよ」
P「うーん、そうなのかな」
亜里沙「そうですよぉ、でも、そのためにはちゃんと、見ないとね」
P「なるほど、プロデュースと同じですね」
亜里沙「おなじ……なの?」
P「ええまあ。アイドルも、そのぉ、パッと見で何を考えているのかよう、分からない娘もいるじゃないですか」
P「あとはその、意外と見た目と違って怖かったり、逆に優しかったり……」
P「いろんな顔を持ってるのは、誰でもそうだから」
亜里沙「そっかぁ」
亜里沙「ちなみに、先生は怖い? 優しい?」
P「両方かなぁ」
亜里沙「両方……」
P「でも、どっちかって言うと、亜里沙さんも怖がり屋ですよね?」
亜里沙「うっ」
P「結構、これでいいの、とか、これで合ってるの、とか、聞いてきたり」
亜里沙「ううっ」
P「初めてやる仕事は結構おっかなびっくりで、いっぱい練習してから……」
亜里沙「むー!」ぼふぼふ
P「あ、イテテ」
亜里沙「あっ、ペンギンさんのお散歩」
P「おー、テチテチ歩いてる」
亜里沙「かわいいですねぇ」
P「子どもみたいな?」
亜里沙「ふふ、子どもはもっと表情豊かですよ?」
P「……意地悪言わんでください」
亜里沙「餌とか上げられるのかしら」
P「餌タイムは、飼育員さんがやるみたいですね」
亜里沙「じゃ、時間があったらまた来ましょう!」
P「そうですね」
P「亜里沙さん、アイス買ってきましょうか、アイス」
亜里沙「ええ、いいんですか?」
P「もちろんですよ、ちょっと疲れたんで、ベンチに座ってて」
亜里沙「だ~め」
P「え?」
亜里沙「一緒に買いに行きましょ♪」
P「あ、そ、そうですね」
亜里沙「Pくん、お膳立てするだけが、人が喜ぶことじゃないのよぉ?」
P「ん……そうですね」
P「俺、仕事がプロデュースだからか、自分で先に整えちゃうみたいで」
P「それって良くないことですかね」
亜里沙「ううん、そんなことないわ」
亜里沙「でも、おいしいものを一緒に食べたいって思ったら、そうしたくなるでしょ?」
P「そうですね」
亜里沙「それと同じに食べる前から、一緒にお店に並ぶのも嬉しい、って気持ちもあるのよ」
P「……そうか」
亜里沙「ふふ、先生、歌を聞いてもらうより、みんなと一緒に歌える方が好きなんですよぉ」
亜里沙「だから、ね」
P「あーなるほど」
亜里沙「おいしい!」
P「なんかサボテンの汁が入ってるみたいですよ」
亜里沙「サボテンの味はしませんけど」
P「おいしいですね」
亜里沙「でもちょっと甘すぎるかしら?」ペロペロ
P「うちは甘いもの好きなやつ多いですからね……」
亜里沙「なんでもほどほどにして上げる方がいいのよね、本当は」
亜里沙「あまり強いものばかりだとみんな、疲れちゃうから……」
P「そうかな」
P「でも亜里沙さんもキャラは強かったですよ」
亜里沙「え?」
P「いや、まさか急にウサコちゃんを取り出して『はーい、ウサコちゃんとおうたを歌いましょうねぇ♪』ってやりだすとは」
亜里沙「こ、子どもたちには受けてましたので」
P「いや、俺も好きですよ」
亜里沙「え」
P「ウサコちゃん」
亜里沙「……ふふっ、ウサコちゃんも喜んでます」
亜里沙「(Pちゃんはなかなか見る目があるウサ!)」
P「褒められた」
亜里沙「先生はでも、キャラが強いとかじゃなくって、みんなに喜んでもらえたらいいな」
亜里沙「ううん、みんなで楽しめたらいいなって思うわ」
P「みんなで……か」
亜里沙「夢みたいな話だと思う?」
P「いいや、夢なんかじゃなくって、そういうのはアリだと思います」
P「あー、その、プロデューサーとしてもって意味で」
亜里沙「そう?」
P「そうですよ、カッコイイだけじゃなくって、誰でも楽しいな、好きだなって言えるのは、本物のアイドルでしょう」
P「その人と一緒に歌える、か。うん、いいですね」
亜里沙「ふふふ」
P「あ、すみません、なんか仕事のことばっかり考えちゃって」
亜里沙「大丈夫よ、先生、仕事モードのPくんはかっこよくて素敵だから」
P「そ、そうですか。自分じゃ分かりませんけど」
P「ん? 仕事以外は?」
亜里沙「仕事以外だとちょ~っと頼りないかしら」
P「ど、どのへんがですか」
亜里沙「ちゃんとご飯たべなかったりとか、お洗濯ためちゃったりとか」
P「な、なんで知って……あ、いや、自分でぼやいてるからか」
亜里沙「おねえさんがお家に行ってあげましょうか」
P「それは駄目ですよ、アイドルなんだし、家政婦みたいな……」
亜里沙「じゃあ、ちゃんと一人でやらないとダメですよ♪」
P「う」
――ふれあいコーナー。
P「おー! ウサギちゃん」
亜里沙「あ、Pくん、ダメダメ」
P「なんですか?」
亜里沙「やっぱり、知らない人に追いかけられたらストレスになっちゃいますからね」
P「え、でも」
亜里沙「Pくんが急に話しかけてきたら、女の子もびっくりしちゃうでしょう?」
P(俺、そんなに怖いのかな……)
亜里沙「こうやってしゃがんで……」
P「はいはい」
亜里沙「近寄ってきたりした仔を、様子を見ながら、やさしくなでなで」なでなで
P「おお、なるほど」
亜里沙「無理やり抱きかかえたりも、良くないんですよ」
P「ふむ……なるほど」
亜里沙「分かりましたかぁ?」
子ども『はぁい』
亜里沙「みんな、自分がされたら怖いことはやっちゃめっ、ですよぉ」
子ども『はぁ~い』
P「いつの間にか飼育係さんのように」
亜里沙「かわいい~♪」
P「そうですねぇ」
P(亜里沙さんも)
――消毒後。
亜里沙「ほらほら、Pくん、世界のウサギ資料ファイルが」
P「こんなものもあるのか」
亜里沙「きゃー、毛がもっさもっさ」
P(イングリッシュアンゴラか……毛がもふぁっとしてるな)
P(毛糸の原料用に改良されたのか……兎は原料……)
亜里沙「あっ、目が大きい!」
P(ドワーフホトか……目の周りが黒で縁取りされているな……)
亜里沙「たれ耳ウサギちゃんだ」
P(フレンチロップイヤーか……大きな種で力も強い……)
亜里沙「うわぁ、すごい大きいですねぇ♪」
P(フレミッシュジャイアントか……さすがにでかいな……)
P(ウサギ界のきらりみたいな感じか……?)
P「ん、し、食用!?」
亜里沙「元々は食用なんですって」
P「いろんなウサギがいますね」
亜里沙「ウサコちゃんも、たまには垂れ耳にしてみようかしら?」
P「ウサコちゃんは何種なんですか?」
亜里沙「えーっと、ウサコ種……かな?」
P「固有種?」
亜里沙「ウサコちゃんはお洋服も着れるんですよぉ」
P「そういえばそうですね」
亜里沙「でも、新しくお友達を作って二刀流で……いや、二兎流で……」
P「二兎流!?」
亜里沙「お昼ごはんはサンドイッチですよぉ」
亜里沙「無添加ハムと手作りマヨネーズの」
P(ウサギミートとか言い出さなくて良かった……)
P「わざわざ作ってきてくださったんですか」
P「別に買ってきても良かったのに」
亜里沙「一緒に遊ぶなら、やっぱりバスケットにサンドイッチを持って、って夢じゃない」
P「そういうものなのかな。あ、いただきます」
亜里沙「いただきま~す♪」
P「……ん、うまい!」
亜里沙「えへへ」
P「亜里沙さんは何でも出来るなぁ」
亜里沙「そうですか?」
P「いいお嫁さんになれますよ」
亜里沙「アイドルには?」
P「全部なれます」
亜里沙「適当に言ってぇ」ギュー
P「あいててて」
亜里沙「……でも本当は」
P「はい?」
亜里沙「お料理もお洗濯も、歌もダンスも、人一倍練習しなくっちゃうまく出来なかったから」
P「……」
亜里沙「Pくんの言ったみたいに、やっぱり、いっぱい練習しなくちゃ、ダメね」
亜里沙「これだって、自分で食べる分にはいいけど、Pくんが喜んでくれるかなって」
亜里沙「ちょっと不安だったかな」
P「……」
亜里沙「ふふー、先生、ほんとに怖がり屋ね」
P「いいじゃないですか」
P「これほんとおいしいですよ!」むぐむぐ
P「これくらいになるまで練習出来るのは、やっぱり亜里沙さんのちからですよ」
亜里沙「そうかしら?」
P「そうそう」
亜里沙「Pくんが褒めてくれるから、頑張っちゃうってところも、あると思うんだけどなあ~」
P「俺? 俺は、その、別に……」
P「他の娘のプロデュースもあって、その……」ムニャムニャ
亜里沙「いいの」
P「でも、それこそ、レッスンでも楽しみたいですよね」
P「杏とか、仕事もそうだけどレッスンも嫌がるし……」
亜里沙「でも、杏ちゃんは出来てるからいいんじゃないかしら?」
亜里沙「プロデューサーさん的には」
P「いやいや! やっぱりね、自分が成長した! とか達成した! とかが必要なんですよ、人間」
P「杏の場合はあのスタイルでいろいろやらせてできちゃうから、余計につまらないんじゃないかなって」
P「もっと、いろんなことを面白くしてあげられたらなぁ……」
亜里沙「……」ジーッ
P「ど、どうしました」
亜里沙「やっぱり、Pくん、かっこいいな」
P「ほ、褒めても何もでませんよ」
――夕方。
亜里沙「んーっ、これで大体見回りましたねっ」のびー
P「帰りますか、そうしたら」
亜里沙「あ、えーっと」
P「一応明日の予定をチェックして」
亜里沙「Pくん、夜のお食事は」
P「あ、ああ、うち帰って適当に……」
亜里沙「もう~、一日お休みなんだから、まだ一日残ってるじゃない」
P「い、いや、それはその」
亜里沙「……仕事が気になるなら、事務所に戻る?」
P「……すみません」
亜里沙「疲れちゃったら電車の途中で寝ちゃってもいいですからねっ」
ガタンゴトン、ガタン……
亜里沙「Pくん、今度のお仕事なんだけど……」
P「ああ、いよいよですね。全国版の歌のおねえさん」
亜里沙「ええ。でも、先生、やっぱり歌のおにいさんも必要だと思うんですよぉ」
P「……体操のおにいさんでは?」
亜里沙「歌のおにいさんもいますよ」
P「うーん、そうか」
亜里沙「だから……Pくんと一緒にやりたいなぁって」
P「ぶほっ」
亜里沙「ダメ?」
P「だ、ダメも何も、俺はプロデューサーですよ!」
亜里沙「一緒に楽しみたいなぁ、面白くしたいなぁって」
P「そ、それはその、間違ってないですけど……」
亜里沙「Pくん、声はいいんだから、いけますよぉ」
P「うーん、でも、歌がうまいわけじゃないし」
亜里沙「いっぱい、練習すればいいんですっ」
P「うっ、そうか」
亜里沙「Pくんだって、小さい頃に聞いた歌、たくさんあるでしょう?」
P「ああ、はいはい」
P「アイアイとか」
亜里沙「あなたとこいするために?」
P「それ違うやつでしょ」
P「あとは……虫歯建設株式会社とか」
亜里沙「ああ、面白いですねぇ」
P「そうか、歌のおにいさんで俺もデビューか」
亜里沙「やる気になりました?」
P「いやいや、今からオーディション受けるの無理ですから……」
P「ん、ふぁ」
亜里沙「ん、はい。肩寄せて、いいですよっ」
P「す、すみません」
亜里沙「……たーりーら、らーりーら、たらーららら~♪」
P「あ、聞いたことある……」
亜里沙「ふふふふ~ん」
P「……」
亜里沙「……Pくん、寝ちゃいました?」
P「……」すー、すー
亜里沙「……」
亜里沙「ふふ、寝てる」
亜里沙「……Pくん、ありがとうね」
亜里沙「私をここまで、連れてきてくれて」
亜里沙(私は、ただの歌が好きなおねえさん)
亜里沙(ウサコちゃんと一緒に、子どもたちと好きな歌をうたって)
亜里沙(それから、踊りも踊って、一緒に遊ぶのが好きなだけの先生だったのに)
亜里沙(Pくんにスカウトされてから大忙しで……)
亜里沙(あっ、うそうそ、暇な時もあったわ)
亜里沙「えへへ……」
亜里沙「まるで、夢のなかにいるみたいなのよ」
亜里沙「でもきっと、これは、明日につながる夢」
亜里沙「そうでしょう?」
おしまい
亜里沙Pならガチャ来たら書かなきゃ
あ、ちゃんと爆死しました
乙
てんて―好きにはこれはドストライクだわ
亜里沙さんにCVついてジュエリーズ出たらこれとお針子の唄リクエストするんだ…
書いてから回せば出るというに……
早く言っておくれよ(ヽ'ω`)
乙
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