モバP「糾える縄の如し」 (73)

モバマスSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390133938

古典シリーズなのですが、前回少し話した通り、番外のような話です。

ショッピングモール

莉嘉「ふっふふーん♪」

美嘉「てか、いいの?私達に付き合ってていいの?久々のオフなのに」

P「まぁ、買い物だしな。俺も自分の家で必要なものとか買いにきてるし問題ないよ」

莉嘉「あ、見て見てー。これすごくない?」

P「おー、よく分からないけど凄いな」

美嘉「適当なコメントだね…」

期待

莉嘉「そう言えばさー、Pくん」

P「ん?どうした?」

莉嘉「この間国語の授業で、初夢で見ると縁起がいいっていうものを聞いたんだけど知ってる?」

P「だそうだ美嘉」

美嘉「あ、あたし!?え、えーと…」

莉嘉「お姉ちゃんは分かるに決まってるじゃんPくん」

美嘉「ま、まぁね。えーと…一富士、二鷹、三茄子かな…」

P「四は?」

美嘉「え、あるの?」

莉嘉「莉嘉も三個目までしか知らないよ?」

P「実は、四扇、五煙草、六座頭って続くんだ」

莉嘉「へー、座頭ってなに? 砂糖じゃないの?」

P「うーんと、昔の人の階級だよ。頭に毛がないから怪我無いってことらしい」

美嘉「へー。物知りー」

莉嘉「今度先生に自慢しようっと」

P「この間頼子たちと話してて同じ話題が出てきたんだよ」

美嘉「仲良いよね。鷺沢さんと古澤さんと話してるのたまに見るし」

莉嘉「なんだか難しそうな話してるよねー」

P「いや、単純に前に読んだ本の話してるだけなんだけどな」

莉嘉「ファッション誌とか雑誌は読むけど分からないなー。Pくんは本読んでる子の方がいいの?」

P「別にそういう訳じゃないさ」

美嘉「結構色々なこと知ってるみたいだし、Pさんクイズ番組でも出たら?」

P「いやいや、いきなりただのプロデューサーが出てもな」

美嘉「えー、受けると思うのに」

莉嘉「のにー」

P「と、とにかく俺は仕事があるから無理だって。代わりにちひろさんなら出してもいいけど」

莉嘉「ちひろさんって割とノリノリでやってくれそうだよねー」

P「『えぇ!? わ、私ですか? 無理無理ですって』て言いながらな」

美嘉「モノマネは上手くないんだ…」

P「まぁ、自覚はあるよ」

莉嘉「でも、さっき言ってたのを全部見る人なんているのかな?」

P「どうだろうな…。座頭が扇で仰ぎながら煙草を吹かしてると、富士山から鷹がやってきて茄子を取っていくとか?」

美嘉「す、凄い夢だね…」

美嘉「正直状況が想像出来ない…」

莉嘉「Pくんの言ってることがよくわからないよ…」

P「俺も言ってて訳が分からなくなってきたからな」

P「そう言えば、初夢じゃないにせよ莉嘉は何か覚えてる夢とかあるのか?」

莉嘉「んー、Pくんと遊びに行ってた気もするけど…よく覚えてないや」

美嘉(Pさんは私が話した夢の話覚えてるのかな…?)

P「そうか。美嘉はあの夢か?」

莉嘉「あの夢?」

美嘉「な、なに言ってんの?」

P「いや、なんでもない。悪いな」

美嘉「あ、えと、その、そういうわけじゃ…」

美嘉(もう…アタシの馬鹿)

カランカラン

P「ん?」

莉嘉「なんかくじ引きで当たったんじゃないのかな?」

美嘉「一等賞は海外旅行です。みたいな感じかな」

「あらら…」

P「なにか困ってないか?」

莉嘉「どうしたんだろうね? 重くて持てないとかかな?」

P「ちょっと見てくるな」

莉嘉「行ってらっしゃーい」

P「どうかしましたか?」

「あ、いえ、大したことではないんですけど…」

店員「この人が持ってる引換券で軒並みの景品当てちゃいまして…」

P「…どういうことですか?」

店員「にわかには信じがたいんですけど、四枚の引換券でABCD賞当てちゃって」

P「なるほど…」

P(十分大したことあったわけだけど…)

P「とりあえず、ここにいてもしょうがないんで手伝いますね」

「いいんですか?」

P「ここから移動させる手伝いくらいなら」

「それじゃ…お願いします」

莉嘉「んー?何してるのかな?」ジー

美嘉「人助けでもしてるんじゃない?」

莉嘉「あ、こっちに来たよ?」

美嘉「終わったのかな…え?」

莉嘉「な、なんか一杯持ってるんだけど」

美嘉「いや、それもだけど、それより…」

美嘉(なんで隣に女の人が?)

P「お、悪いな二人共」

莉嘉「いいよー。ってか、これはどうしたの?」

P「なんでもな、この人が全部当てたんだって」

莉嘉「へぇー、凄いねぇ」

「運には自信がありますからっ!」

美嘉「ABCD賞を当てたんだ…」

「あ、お礼に欲しいもの持っていっていいですよー?」

P「え、いいんですか?」

「えぇ、たまたま持ってた券でやったものなので」

莉嘉「Pくんいいの?」

P「まぁ、ご厚意に甘えようか」

莉嘉「わーい!見て見てこれ可愛いよお姉ちゃん」

美嘉「可愛いね」

P「本当によろしいんですか?」

「はい。それにしても仲の良さそうな姉妹ですね。えーと、あなたを含めて三兄弟かなにかですか?」

P「あ、私は違いますね」

莉嘉「Pくんはもう家族みたいなもんだよー」

P「あはは…」

「結局どういう関係で…?」

P「二人はアイドルですよ。私はプロデューサーです」

莉嘉「ほらほら、あそこに莉嘉とお姉ちゃんが写ってるでしょ?」

美嘉「り、莉嘉! …もう」

「あー、本当ですねぇ。二人共綺麗です」

莉嘉「お姉ちゃんも綺麗だよー」

「私ですか?ありがとうございますねー♪」

美嘉「黒髪が綺麗ですね」

「そう言って貰えると嬉しいですー」

P「あ、そう言えばこの残ったものはどうしましょうか?」

「そうですね…。もう持ち運べそうなので持って帰ります。ありがとうございましたー」

莉嘉「ありがとねー!」

美嘉「ありがとうございました」

莉嘉「いい人だったねー。ふわふわしてる感じで」

P「そうだな」

美嘉「Pさんってああいう人好きそうだよね?」

P「いきなりどうした?」

美嘉「べっつにー。ただ、ああいうお淑やかで大和撫子みたいなのって男の人好きじゃん」ツーン

莉嘉「えぇ!?どうしようPくん。アタシ髪の毛黒くないよー」

P「そんなことないって」

莉嘉「そんなことないってよお姉ちゃん」

美嘉「…まぁ、今のはあたしがちょっと子供っぽかっただけだけど」

P「いや、こっちこそなんかごめんな。代わりって言ったらなんだが、皆でパフェでも食べないか?」

美嘉「いいの?」

P「あぁ、折角こうして買い物に来てるんだし、甘い物も食べたいだろ?」

莉嘉「やったー!Pくんたら太っ腹ー」ツンツン

P「くすぐったいから止めてくれ…」

カフェ

美嘉「莉嘉はどれにする?」

莉嘉「えーっとね。これかな」

美嘉「それじゃ、あたしはこれで。Pさんは?」

P「俺はそうだな、宇治金時パフェにでもしようかな」

美嘉「渋いね」

P「何となくそういう気分なんだよ」

莉嘉「おっとなー♪」

莉嘉「そう言えば、莉嘉たちってどう見られてるのかな?」

P「どうだろうな」

美嘉「さっき兄弟って言われたね」

P「俺が長男ってことか」

莉嘉「Pくんがお兄ちゃんだったら寝坊することはなさそうだねお姉ちゃん!」

美嘉「ま、まぁね…」

美嘉(逆に寝不足になりそうなんだけど…)

P「なんだ、今は寝坊でもしてるのか?」

美嘉「してないよ? ただ、偶に二度寝しそうになる時があるかも」

P「そうなのか。電話でもしようか?」

美嘉「…え?」

莉嘉「なにそれー? どういうこと?」

P「いや、朝早い時は、電話してくれると助かりますって幸子がな」

美嘉「ふ、ふーん。そうなんだ…」

美嘉(そんなことしてたんだ)

P「まぁ、何故か知らないが、いつも起きてるんだよな。朝得意じゃないって言ってたのに」

美嘉「理由は分かる気がするけどね…」

美嘉(絶対寝起きの声とか聞かせられないし…)

P「絶対にやめないで下さいって言われてるから辞める気はないけどさ」

莉嘉「それは、莉嘉もお願いしていいの?」

P「まぁ、朝の仕事ある時とかはな」

莉嘉「それじゃ、おねがいね。Pくん!」

P「そう言えば、これで買い物は終わりか?」

美嘉「あたしはね。莉嘉はー?」

莉嘉「莉嘉も終わったよー」

P「それじゃ、帰るか」

美嘉「なんだかごめんね」

P「いやいや、一人だろうが、三人だろうが変わらないしな」

莉嘉「さっすがPくん。カッコいいー」

P「それに、オフでもアイドルに何かあったら嫌だしな」

美嘉「流石だね」

P「まぁ、自己満足に近いし、嫌だったり、窮屈だったら言ってくれな」

美嘉「嫌とかそんなこと絶対ないって…」

車内

美嘉「……」スー

莉嘉「……」スー

P(二人共寝ちゃったか…)

P「まぁ、今日一日はしゃいでたしなぁ…」

P「二人共頑張ってるしな」

P「お疲れ様」

P「二人共起きてくれー」

莉嘉「……ん」

美嘉「…なに?」

美嘉(あ、もしかして寝顔見られた…?)

P「家着いたよ」

莉嘉「あれぇ…寝ちゃってた?」

美嘉「ありがとねPさん」

P「だから気にするなって」

P「あ、関係ないが、二人共今日の恰好可愛くて良かったよ。それじゃ」

美嘉「ちょ、えっ、今…」

美嘉「行っちゃった…」

莉嘉「Pくんに褒められちゃったねお姉ちゃん」

美嘉「…そうだね」

莉嘉「鏡の前で睨めっこした甲斐があったよねー」

美嘉「う、うるさいっ!」カァァ

美嘉(やっぱりそういうトコは気づくんだ。…えへへ)

美嘉「さっ、風邪引く前に家入ろ」

莉嘉「うんっ!」

車内

P「さて…俺のオフもあと少しか」

P「皆はちゃんとやってるかな…」

P「…事務所でも行くか」

P(結局事務所のことが気になる辺り職業病だな)

事務所

P「…ん?」

P「何か貼ってあるな」

『本日0:00-24:00はプロデューサーさんは立ち入り禁止です』

P「ちひろさんか?」

P「まぁ、女の人で積もる話もあるだろうしな」

P「あと、完全休養って言われてたっけな」

P「…帰るか」

P「家にいても案外暇なんだよな…」

P「俺から誰かアイドルをご飯とか誘うのは変な感じがするし」

P「散歩でもするか…」

P(しかし、我ながら、趣味が無さすぎる気がする)

P「心を亡くすと書いて忙しいか。言えてるな」

「あらら?」

P「…ん?」

「こんばんは」

P「あぁ、こんばんは。荷物は持って帰れました?」

「えぇ、おかげ様で」

P「しかし、一日二回会うなんて奇遇ですね」

「奇遇ですね。私はお礼をしたかったんで丁度良かったですけど」

P「お礼ですか? 大したことしてないですけど」

「いえいえ、あの場で誰も来なかったらあそこで立ち往生してましたし」

P「まぁ、そう言って頂けると嬉しいですけど」

「えーと、どこかに行く予定でもあるんですか?」

P「いえ、散歩を…とでも思いまして」

「なら、私も一緒に歩いていいですか?」

P「構いませんが…そちらのご予定は?」

「私も散歩がてら外を歩いてただけですからねー。それじゃ、しゅっぱーつ♪」

P「は、はい」

「あとで、お茶でもごちそうしますね」

P「すみませんね」

「いえいえー、あ、まだ自己紹介がまだでしたね」

「鷹に富士に茄子って『たかふじかこ』って読みます」

P「最後は『なす』じゃないんですね」

茄子「よく言われますー。ナスじゃなくてカコですよー」

P「しかし、縁起のいい名前ですね」

茄子「それもよく言われますよー。自分でも運は良いと思いますし」

P「扇子を持ってたり、煙草を吸ったりするんですか?」

茄子「えーと、四扇、五煙草ってやつですね。いえいえ、煙草は煙っぽくてダメなんですよー」

P「そうなんですね」

茄子「もし、そこまで行ったら縁起良すぎちゃいますって」

P「一種の福の神ですよね」

茄子「ですねー」

P「しかし、あれですね、鷹富士さんが夢出てくると縁起がいいもの全部出るようなものですね」

茄子「みたいですねー♪」

茄子「えーと、プロデューサーさん?でしたっけ」

P「えぇ、そうですよ」

茄子「プロデューサーさんは運が良い方ですか?」

P「運ですか?どうなんでしょう、意識したことないですね」

茄子「あ、そうなんですね」

P「えぇ、鷹富士さんみたいにくじ引きで当てたことないですし」

茄子「あー、あれは、私も初めての経験ですよー。なんででしょうね」

P「実は箱の中には四枚しか入ってなかったりして」

茄子「どうだったでしょうねーうふふ」

P「まぁ、そんなことはないですよね」

茄子「さぁ、どうでしょう」

P「しかし、鷹富士さんを見てると名は体を表すとはよく言ったものですね」

茄子「そうですか?」

P「えぇ、そうですよ」

茄子「まぁ、私も思う所がありますね」

P「言霊が宿っていそうですし」

茄子「全ての名前には意味がありますもんね」

茄子「そろそろお茶にしませんか?」

P「そうですね。えーとここはどこなんでしょう…?」

茄子「私もよく分からないですねー。まぁ、真っ直ぐ歩いてきたんでそのまま戻れば平気だと思いますよー」

P「そうですね」

茄子「あ、あそこにしませんか?」

P「はい。分かりました」

茶屋

P「本当に宜しいんですか?」

茄子「えぇ、お礼ですから」

P「それではお言葉に甘えて…」



店員「ごゆっくりどうぞ」

茄子「…ふぅ」

P「お茶は美味しいですよね」

茄子「心が落ち着きますねぇ」

ヴヴヴ

P「あ、すみません」

茄子「どうぞどうぞ」

P(メールだ。誰だろう…)

P(周子か。なんだ添付ファイルあるけど…)

P(あ、俺と鷹富士さんが歩いてる所だ)

周子『あとで説明してね♪』

P(見られてたのか…)

茄子「大丈夫ですか?」

P「え、あぁ、はい。友人からのメールでした」

茄子「ならいいんですけど」

P「そう言えば、普段は何をされているんですか?」

茄子「私ですか?そうですね。学生をしてます」

P「あ、そうなんですね」

茄子「はい。あとは年末年始は神社でアルバイトしてますよ」

P「引っ張りだこでしょうね」

茄子「いえいえ、ただ単純に近いからって理由ですけどねー」

P「あ、そうなんですか」

茄子「はい。そうなんです」

店員「失礼します」

P「あれ、俺は抹茶の…」

店員「少々お待ちください」

茄子「どうかしたんですかね?」

P「オーダーを届ける場所を間違えたんじゃないですかね」

店員「失礼します。大変申し訳ありません。こちらのミスでした。大変申し訳ありません。今から作りますので少々お待ち下さいませ」

P「あ、はい。分かりました」

店員「こちらはお代は結構ですので、どうぞお召し上がり下さい」

P「あ、はい。分かりました。ありがとうございます」

店員「いえいえ、申し訳ありませんでした」

P「なんだか得した気分ですね」

茄子「そうですね♪」

P「半分どうぞ」

茄子「あ、ありがとうございます。うん、美味しい♪」

P「意外と穴場かもしれませんね」

茄子「ですねー。ラッキーでした」

P「甘いのとお茶は合いますね」

茄子「ですねー」

P「そろそろ行きますか」

茄子「はい。そうですね」

P「それではごちそうさまです」

茄子「いえいえ。お粗末様です」

P「さてと…帰りますか」

茄子「そうですね」

P「送っていきますよ?」

茄子「いえいえ、そんな。そこまで遠い訳じゃないですし」

P「いえいえ。これくらいはしておかないと」

茄子「まぁ、そこまで言って頂いて断るのも悪いですね」

P「えぇ、どちらですか?」

茄子「えーっと。真っ直ぐですよ」

P「歩きだったんですね」

茄子「えぇ。ただ、外に出ようと思っただけですし」

P「なるほど」



茄子「あ、ここで平気です」

P「分かりました。それじゃ、今日は御馳走様でした」

茄子「いえいえー。こちらこそ」



P「悪い人じゃなさそうだったな。いい気分転換になったかな」

杏宅

杏「…で、なんで杏の部屋に人が集まってるの?」

凛「特に理由はないけど」

杏「うへぇ」

凛「ほら、飴あげるから」

杏「まぁ、うるさくしないならいいよ」

周子「ありがとねー」

P「いや、理由はあるって。杏ほら、飯食え」

杏「えー、今飴食べてるんだけど…」

P「まぁ、それ食べ終わってからでもいいんだが栄養摂らないと倒れるぞ」

杏「まぁ、そうかもだけど」

凛「と言うか料理するんだね」

P「そこまで自慢できるものじゃないと思うけどな。一人暮らしだから見た目とか気にしてないし」

周子「良い匂いしてきてるけどね」

杏「あ、スープの中に飴玉でも浮かせとこうよ」

P「いや、流石にそれは勘弁してくれ」

杏「…冗談だって。流石に杏もそれは嫌だよ」

少し中座します。

待ってる

凛「それじゃ、いただきます」

周子「いっただきまーす♪」

杏「…美味い」

P「思いっきりフライングして食べるな」

杏「はいはい。いただきます」

凛「意外になんでも出来るよね」

P「まぁ、一人暮らしだし出来なくはないぞ。時間はないけど」

周子「オフの日はこうして食べるのを日課にしよっと♪」

P「まぁ、別にいいけど」

周子「大丈夫。買い物は手伝うから」

P「いや、レッスンとか仕事があるだろ…」

凛「それじゃ、ない時は私もいい?」

P「まぁ、いいけど」

周子「そういやさ」

P「どうした?」

周子「メール見た?」

P「見たぞ。あれはたまたま会った知り合いだよ」

凛「なんの話?」

周子「今日、Pさんが二人っきりで女の人と歩いてたんだよね」

凛「…ふぅん」

P「だから何もないって。ちょっと困ってる所を助けただけだし」

周子「あ、そうなの?」

P「そうそう。くじ引きでABCD賞を当てて困ってる所をな」

凛「…そんなに当たるものだっけくじ引きって」

P「なんでも運が良いらしいぞ」

周子「あとに並んでた人は可哀想だねそれって」

P「まぁ、ドンマイとしか言えないよな」

杏「持ってるねぇ。その人」

P「まぁ、つまり疾しいことはなにもないってことだ」

周子「そっかそっか良かった良かった」

凛「ならいいけど」

杏「…美味いねこのスープ」

翌日

P「さて、今日も頑張るか」

周子「杏は起こさなくていいの?」

P「あいつは今日は昼からだからな」

周子「そっか」

「おはようございまーす」

P「え?あ、どうも」

茄子「はい。奇遇ですね♪」

周子「あ」

P「そうですね。駅に行かれるんですか?」

茄子「はい。プロデューサーさんは?」

P「えーっと、この子と車で事務所に向かうところでして…」

周子「どうも」

茄子「おはようございます。鷹富士茄子です」

周子「縁起良さそうだねー。拝んでいい?」

P「おい、周子…」

茄子「面白い方ですね。それに白くて綺麗です」

周子「そ、そうかな…」ポリポリ

茄子「それじゃ、私はこの辺で失礼しまーす」

事務所

P「ちひろさーん」

ちひろ「なんですか?」

P「少しお聞きしたいことが」

ちひろ「はいはい。何でもどうぞ」

P「今年見た夢で記憶に残ってるものってありますか?」

ちひろ「なんかそれ、以前楓さん達に聞いてませんでしたっけ?」

P「えぇ、ちひろさんにも聞いてみようかと思いまして」

ちひろ「うーんそうですね。最近は熟睡出来るおかげで夢は特に見てないですね」

P「あ、そうなんですね」

ちひろ「どっちか忘れましたけど深い睡眠なのは確かです」

P「確かにちひろさんがダウンしてるのは見たことないですね」

ちひろ「まぁ、それは所々で力を抜いているからなんですけどね」

P「それでも流石ですよ」

ちひろ「ま、まぁ、どうも…」

ちひろ(なんでそんな話したんだろ…?)

P「話変わるんですけど」

ちひろ「口ばかり動いてないですか?」

P「今日の仕事は終わりましたからね」

ちひろ「早いですね…。と言うか、終わったら手伝ってくれてもいいじゃないですか」

P「あ、すみません。それじゃ、半分頂きます」

ちひろ「あ、ありがとうございます」

ちひろ「お仕事半分やって貰う代わりにお話に付き合いますよ」

P「どうもありがとうございます。ちひろさんは、幸福と不幸って同じ数だけあると思いますか?」

ちひろ「…はい?」

P「つまり、いいことあったら悪いことが起きるってことですよ」

ちひろ「これだけいいことあるとバチが当たりそうって奴ですか。そうですね。そんな気もしますよ」

ちひろ「勿論、数字は出せないですけど、ちょっと良かったことと、ちょっと残念なことをカウントしたら同じくらいになりそうですね」

P「ですよね」

ちひろ「何を聞きたかったんですか?」

P「いえ、最近出来た知り合いにずっと運が良いって人がいたので」

ちひろ「ずっと運が良いとなんだかお得な感じがしないですね」

P「さて、帰りますか」

ちひろ「結局話したせいでいつもと変わらない時間でしたね」

P「まぁ、息抜きということで」

ちひろ「そうですね。と言うか残業最近多いですね」

P「ですね」

ちひろ「ちょっと残念なことですね」

P「そう…ですね?」

ちひろ「ですよね。だからちょっぴりいいことがあってもいいと思うんですよ」

P「なるほど…。飲みにでも行きますか」

ちひろ「はい♪」

居酒屋

ちひろ「ふふふ」

P「どうかされましたか?」

ちひろ「いえ、嬉しくてですね」

P「そうですか?」

ちひろ「えぇ、残業も悪くないなって思えちゃいます」

P「いや、定時で帰れるのに越したことはないですけど」

ちひろ「分かってますよ」

ちひろ(そういうことじゃないんだけどなぁ…)

P「それじゃ、乾杯」

ちひろ「かんぱーい♪」

ちひろ「二人で飲むなんて久しぶりですね」

P「まぁ、そうですね」

ちひろ「今日はパーッといきましょ、パーッと」

P「ほどほどにしましょうね」

ちひろ「あ、店員さんグレープフルーツサワー下さい」

P(聞いてないな…)

ちひろ「あー、気持ちいい」

P「もう帰りますか」

ちひろ「そうですね。おっと」フラッ

P「掴まれますか?」

ちひろ「何だかこうしてると付き合ってるみたいですね。へへ」

P「はいはい。タクシー呼びますからね」

ちひろ「む。なんだか大人な対応をされた気分です」

P「録音しますよ?」

ちひろ「別にいいですよーだ」ツーン

P「とりあえず、送りますね」

車内

ちひろ「……」スー

P「よっぽど疲れたんだな…」

P「お疲れ様です」

ちひろ「……ん」

ちひろ(さっき、なんであんなこと言ったんだろ…)

ちひろ(ここから消えたい…)

ちひろ「ありがとうございました」

P「いえいえ。それでは」

ちひろ「はい。また明日」

P「さてと…タクシーもないし歩いて帰るか」

P「まだ12時前だし平気だろ」

P「明日は何時からだっけな…」

周子「お、Pさんだお帰り」

P「ただいま。どうかしたか?」

茄子「こんばんはー」

P「あ、どうも」

周子「いやー、夕方ばったり会っちゃってさ」

茄子「意外とお話が合ったんですよ」

周子「立ち話もなんだから家に呼んで話してたら今の時間になっちゃった」

茄子「なってしまいました」

P「二人で何話してたんですか?」

周子「それはほら、秘密だってば」

茄子「プロデューサーさんは、もしかしてお酒飲まれてましたか?」

P「えぇ、ちょっと同僚と」

周子「ちひろさん?」

P「そうそう」

周子「ふぅーん」

茄子「あ、それじゃ、私はそろそろ」

周子「あ、帰るの?」

茄子「えぇ、遅くなってもあれですし」

P「送りますよ」

周子「お酒飲んでるんでしょ?」

P「ま、まぁ確かにそうだな。すみません」

茄子「それでは失礼しますねー」

P「平気かな」

周子「平気でしょ」

P「ならいいけど…」

周子「心配症だねぇ」

P「そう言えばさ」

周子「うん?」

P「初めてじゃないかアイドル以外の友人って」

周子「あーうん。そうかも」

P「良かったな」

周子「何がいいのか分からないけどありがと」

翌日

P「さてと…」

茄子「おはようございまーす」

P「あぁ、どうも。今日も学校ですか?」

茄子「いえ、今日はあのお茶屋さんにまた行ってみようかなって」

P「あぁ、あそこですか。美味しかったですね」

茄子「はい。あ、そうだ。宜しければどうですか?」

P「そうですね…少しの間なら付き合えますよ」

P(今日はそこまで忙しくなかったはずだし)

茄子「そうですか。それじゃ行きましょ。私一人で入る自信はなかったんですよー」

P「どうするつもりだったんですか」

茄子「そこはほら…誰か知り合いに遭えたらなーって♪」

P「なるほど…」

茄子「ささ、そんなにお時間取らせちゃマズイですし行きましょ」

茶屋

P「朝は朝で違うメニューみたいですね」

茄子「そうですねー」

P「そう言えば昨日は周子がお世話になったみたいで」

茄子「いえいえーこちらこそ」

P「そう言えば、なんの話をして意気投合したんですか?」

茄子「そこは秘密ですよー」

P「そうですか」

茄子「そう言えば、塩見さんって京都の出身なんですね」

P「そうですね」

茄子「もしかしてお茶が好きなのは塩見さんの影響だったりして」

P「それは…ないですね。前から好きなんです」

P「そう言えば少し気になったんですけど」

茄子「はい。なんでしょう?」

P「運が良いってのはどういうことなんでしょうかね?」

茄子「そうですねぇ…私の場合は、思った通りにことが進むって感じですかね」

P「それはまた凄いですね」

茄子「勿論たまたま運が良いだけですけどねー」

P「なんかコツとかあるんですかね」

茄子「コツですか…?ないですね。私もそういうのはよく分からないです」

P「福の神でも憑いてるんですかね」

茄子「そういうのっていいですねー」

P「生憎霊感がないんでそういうのは見えないんですけどね」

茄子「私も見えないですねー」

茄子「でも、この幸運で皆も幸せにしたいです」

P「徳の高いお坊さんみたいですね」

茄子「そうですか?」

P「えぇ」

茄子「プロデューサーさんはどうなんですか?」

P「どうなんでしょうね。幸せ者だとは思いますけど」

茄子「あ、そうなんですね」

P「えぇ。俺がスカウトした子が有名になっていってますから」

茄子「敏腕なんですね、凄いです」

P「そんな訳じゃないですけどね」

P「でも、そうですね。個人的な意見だと仕事の方が上手く行ってるからあとはどうなってもいいですね」

茄子「と、謂いますと?」

P「あくまで幸運と不幸は同じだと思ってるんです」

P「常に運が良いと後ろを振り返るきっかけがありませんから」

茄子「なるほどそうですね」

P「えぇ、自分が運良かった分アイドルが不運になるなら逆の方がいいですしね」

茄子「どっちも幸運ってのはないんですかね?」

P「どうなんでしょうね。ただ、誰かが幸福であるってことは誰かは不幸っていう可能性もありますし」

茄子「あ、そう言う考え方もありますね」

P「禍福は糾える縄の如しって言葉知ってますか?」

茄子「なんですそれ?」

P「幸運と不幸は表裏一体ってことですね」

P「感じ方でどうにでもなるってことですよ」

茄子「そうなんですね」

P「だから、鷹富士さんが常に運がいいのはきっと名前だけじゃなくて、気の持ちようが素晴らしいからだと思いますよ」

茄子「そ、そんなことないと思いますけど…」カァァ

P「いえ、そうですね。それに笑顔も素敵です」

茄子「笑う門にはって奴ですね。それは知ってますよ」

P「えぇ、きっと皆に幸せを分けることが出来ると思いますよ」

茄子「名前を聞いて運が良いんですね。と言われることは今まで数えきれないほどありましたけど、そういう風に言われたことは初めてです。…とっても嬉しいです」

P「一富士ニ鷹三茄子とは言いますが、それとあなたは同じものじゃないですからね」

茄子「ふふ。面白い人ですね」

P「そうですか?」

茄子「そうですよ。だって、塩見さんが言ってた通りの人ですもの」

P「あいつは何を言ったんだ…」

P(まぁ酷いことは言われてないと思うけど)

茄子「人たらしですって」

P「そ、そうですか…」

茄子「女たらしじゃないからここ重要。って言ってましたよ」

P「これからどうするんですか?」

茄子「そうですね。今日は学校もお休みなんですよー」

P「そうなんですね」

茄子「それでですね、お邪魔じゃなければ…」

P「事務所見学でもしますか?」

茄子「よく分かりましたね」

P「えぇ、たった今偶然そんなことを考えてまして」

茄子「あら、私はラッキーですね♪」

P「いえいえ、こっちこそ、そう思える人がいてラッキーでしたよ」

茄子「ふふふ♪」

茄子「プロデューサーさんは、あぁ言いましたけどやっぱり私は運は良いみたいですよ?」

P「そりゃ、いいとは思いますけど」

P(ABCD賞全部当てるのは凄いし…)

茄子「そういう意味じゃないんですけど。それでいいです」

茄子(プロデューサーさんに声を掛けられたってことが一番の幸運ですから…)

茄子「禍福は糾える縄の如しでしたっけ。プロデューサーさんも、私も、そして周りの人も幸せにしちゃいますよ♪」

終わりです。
解説などは少ししたら書きます。


茄子さんは可愛いな

禍福は糾える縄の如し。

引用ですが以下のような由来から来ています。
「漢書 賈誼伝」の以下の文といわれる。

(白文)夫禍之與福、何異糾?
(訓読)それ禍(わざわい)と福、何ぞ糾える?(なわ、すみなわ)に異ならん。

「史記 南越伝」に以下の文がある。

(白文)因禍為福、成敗之転、譬若糾?
(訓読)禍によりて福となす、成敗の転ずること、譬れば糾える?のごとし。

意味としては、文中で出てきた事柄と変わりません。

ついでに、一富士、ニ鷹、三茄子、四扇、五煙草、六座頭について。

諸説ありますが、一説には、富士は無事。鷹は高い。茄子はことを成す。から来ているそうです。

扇は末広がりを表し、煙草は煙が高く上がるので運気が上がり、座頭は文中にも出てきました通り怪我ない。

という意味です。

[たぬき]の道具であったよね

書いている内に数個話が思いついたのでもう少し書いてみようかと思います。

まだ、誰書くか未定ですが、視える子でも…。

なにかあれば。

久しぶりにリアルタイムで遭遇した

これ以上所属アイドルは増えないって言ってたけど、今後茄子さんはPの友人として出てきたりはするのか気になる

とりあえず、おつでした

>>67
一応番外って感じなんで、本編の時は出てこないと思います。

流石にこれ以上増やしたら際限がなくなりそうですし…。

乙こら太

古典シリーズのまとめない?

ggrks

>>(null)q

そういやそのスレHTML化の判断保留されてたぞ
落とすなら改めて返答したほうがいいような

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