意地悪なメイド6 (70)

男「おーいメイドー、お茶入れてー」

メイド「今何て言ったかしら?」

男「ヤバッ…いててて!」

メイド「お茶を入れてください、でしょ?ご主人様」

男「ごめんなさーい」

メイド(うふふふ、ご主人様ったら可愛い…)

・荒らし禁止、来てもスルー
・またーり仲良く
・基本的にsage進行で。
・次スレは>>950辺りから考慮。
・新作者募集中。
・メイド好きな紳士はこぞって書いていけばいくと幸せになれるはず
・何故今更

参考
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1339785247

関連リンク先

初代(7xまとめ)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/ijiwaru_maid.html

意地悪なメイド
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/part4vip/kako/1196005488

意地悪なメイド2
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/part4vip/kako/1205413781

意地悪なメイド2.5
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/part4vip/kako/1217252495

意地悪なメイド3
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/part4vip/kako/1241662202

意地悪なメイド4

意地悪なメイド5
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/kako/1319819139

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388940965

メ「主様。主様。なんか始まったんですけど」

男「ははは、んなバカな。……え、マジで?」

メ「えらくマジです。っていうか何で今更!?」

男「さ、さぁ? 年明けだからか!?」

メ「年明けってそういうもんでしたっけ……」

男「と、とりあえず何だ。こういう場合どうすればいいんだ」

メ「多分、あけましてしめましょう、とかで」

男「しめるの早いな!?」

メ「だって永遠の休暇に入れたと思ったんですもん!」

男「いやそれはダメだから。働いてくれなきゃ君のアイデンティティに関わるから」

メ「え?」

男「不思議そうな顔してる場合か! お前の役職は何だよ!!」

メ「……自宅警備員?」

男「ああ、お前はそういう奴だった……」

男「問題。メイドって何する人だっけ?」

メ「エロいこと?」

男「お前させてくれねぇじゃん」

メ「させる訳ないじゃないっすか。何自分を大安売りさせようとしてんすか。正月バーゲンじゃないんすよ?」

男「っく。というかそもそも違うからね? 家事全般とかしてくれる人だからね?」

メ「何ですかそれ、お手伝いさんかハウスキーパーのやることでしょ」

男「もはやそれがわかっていて何故自分の立場に疑念が出ないんだこいつ……」

メ「そもそも主様、私を何だと思ってんすか」

男「主様呼ばわりする時点で俺ん家のメイドだと思ってるけど」

メ「ああ、これ愛称みたいなもんなんで。はい完全論破ー」

男「じゃあその格好は何だよ」

メ「コスプレです。はいダンガンロンパー」

男「俺は何故コスプレイヤーを自宅に置いてることになってんだ」

メ「かわいそうだから居てあげている存在。もはや座敷わらし的ポジションですんで」

男「そのくせお前は金ばっかりかかるじゃねーか!」

メ「主様。幸せと富と名声と自由と女と名声は自分で勝ち取るんですよ」

男「同じ単語二回入ってるよね? よね?」

メ「主様。細かいことを気にしてると大物になれないんすよ。ち○こも一緒で」

男「もはや三レス目にして下ネタぶっこんできたよこいつ!?」

男「ま、まぁ何だ。とりあえず何か始まったってことでしばらくのんびりやっていくか」

メ「いえすいえす。何か色々心残りいっぱいありましたしね。一個一個解決していきましょう」

男「……出来んのかなぁ」

メ「我々が考えることじゃないですけどねー」

男「だよなぁ。ま、思い残しをしっかり消化するのが目的だし、ゆっくりやるってことで」

メ「ういす。基本、目立たず騒がず迷惑にならないようにひっそりで」

男「おっけおっけ」

メ「ではそんな訳で早速打ち上げ花火的に何かエロいこと書いてage進行で」

男「お前、数秒前の記憶が飛ぶ病気か何かか」

なんだこのメイドおもすれぇ
支援

支援\(´∀`)/ワッショイ

復活おめ&乙

意地悪なメイド4.5

男「にしても寒いな」

メ「主様は基本寒がりですもんね。財布の中身」

男「否定はしないけど」

メ「そんな主様に一山あててもらおうと思いまして」

男「嫌な予感しかしないんだが」

メ「大丈夫ですって。意外と儲かるって言いますし。FXって」

男「お前とんでもないものに手を出させる気だな!?」

メ「いやいや」

男「し、シミュレーションレベルでってことか? それくらいなら……」

メ「仕事の出来る女なので既に主様名義で」

男「事後報告?!」

男「うげ」

メ「どしたんすか。どうかしてるのは知ってますけど」

男「お前はナチュラルに人を怒らせてくるよね。いやな、実はさ」

メ「聞きませんよ。どうせソシャゲのイベントで課金しなきゃとかでしょ」

男「それはお前の話だろ。違う違う。野菜がまた高くなってんだよ」

メ「肉を食べればいいじゃない! もしくはお菓子でも可」

男「人の財布事情を知りながらそういうブルジョワジー発言するかね」

メ「主様は根っからの小市民ですね。たまにはパーっといきましょうよ」

男「月末もやし生活でいいなら考えてもいいけど」

メ「鬼! 悪魔! 人でなし!」

男「なんとでも言うがいい。無い袖はふれないし」

メ「シスコン! 女装癖! ランフェチ!」

男「……」

メ「む、無言で吐血せんでも」

メ「そういや主様、のんびりやるのはいいんですけど。どういったペースでやるんす?」

男「んー、正直どうしたもんかってのがあってな」

メ「というと?」

男「正直、どういうペースでやってたか思い出すところからなんだと」

メ「……どういうペースも何も基本、全盛期の星野伸之並のスローカーブ状態じゃなかったっすか?」

男「たまにスポーツネタ入れてくるのはなんJの影響か何かか」

メ「いや、たまたまパワプロ10やったんで」

男「ああ。……とりあえず置いとくぞ」

メ「へいへいばっちびびってるー」

男「びびってねぇよ! 話すすまねぇんだよ!」

メ「じゃあ早く進行してくださいよ。ほらほら早くー。早いのはあっちだけってかー」

男「一々煽り方がおっさんくさいのは何なんだ……。とにかく、久々だから俺らのキャラ付けを思い出しつつ、キャラをアンロックしてく感じでいくってさ」

メ「お、ルート解禁されてく系ですね? リョウジーョクの宴ルートですね?」

男「さらっと発音無理なの入れるのやめない? あとそうだとすると君だからね、純潔散らすの」

メ「主様が純ケツ散らすってのは?」

男「断固死守するからな!?」

メ「主様、主様」

男「ん? どうした」

メ「初詣行かないんすか?」

男「……明日は嵐か」

メ「なんすか。藪から棒に。実際に藪でも設置しましょうか」

男「お、お前が外出したいとか言い出すのが珍しいのがいけないんだろ!」

メ「了解。ならどっかの家から門松パクってそれを設置しましょう」

男「分かった分かった悪かったから! そういう諸所に迷惑かけるのはなしで頼む!」

メ「仕方ないのでヤフオクで藪でも探してみます」

男「謝るから設置する方向で話を固めるのやめてくれ! ていうかそもそも出品なさそうだけどさ!!」




男「……で、何で初詣なんだよ」

メ「正月気分でフィーバータイムな今なら何かご利益ありそうじゃないっすか」

男「そんな俗にまみれた願望を振りかざして迎えるもんじゃなくないか」

メ「人間一皮向けばみんな欲望の塊じゃないっすか。主様は被ってるけど」

男「見たことないのにそういうのやめような」

メ「主様が短小ホッケーなのは今に始まったことじゃないからどうでもいいとしていきましょうよ、初詣」

男「ぐ、断じて認めねぇ! 仮にそうだったとしても絶対認めねぇ!!」

メ「仮だったんですね」

男「こういう揚げ足取りだけは……!! わかった、行くよ。行くからもうこの話題はおしまいで」

メ「なるほど。執刀が怖い主様の泣きつく先は神様なんですね。いいでしょう。私の分のお願いも少し主様が割礼されるように使うとします」

男「やめて!? 最初期にそういうネタで遊ばれると今後ずっとそれが公式っぽくなるから!?」

メ「マジ泣きしそうにならんでも……」

メ「主様。振袖って動きにくくないすか」

男「しゃあないだろ。せっかく行くならって用意できたんだし」

メ「むー。だってサラシきっつきつに巻いて凹凸なくすのしんどいんすもん」

男「……お前のその一言は結構な破壊力を秘めてるぞ」

メ「お。前かがみっすね」

男「そこまで初心でもねぇよ。ねぇんだけど」

メ「その視線の正直さよ」

男「っく、雄としての性か……!」

メ「それよりこのヘッドセットはずしていいすか? 着物なんだし」

男「それだとお前、メイドじゃなくてただの可愛い着物っ娘じゃん」

メ「何がまずいんすか」

男「……アイデンティティ?」

メ「普段特に働いてないのに?」

男「……!! ……っ!!」

メ「今セカイの真実に気づいたような顔になってますけど大丈夫っすか」

男「なぁメイド」

メ「はいな」

男「学校いこうと思うんだよ、俺、学生だしな?」

メ「ええ、行ってくればいいじゃないですか。今日は工作の日ですもんね」

男「いや、そんな授業ないけど」

メ「えー。せっかく必要かと思ってアロンアルファ用意したのに」

男「いらねぇよ! お前が好きに使っとけ!」

メ「ではそうします。いや、本当残念だ」

男「何がそんなに残念なんだ。まぁでも珍しく見送られてちょっといい気分だし許す」

メ「良かったじゃないっすか」

男「でもな。メイドよ」

メ「なんすか」

男「なんで俺の靴がないんだろう」

メ「主様、靴がないから学校行けませんでしたなんて今時小学生でも吐かない嘘を……」

男「誰が隠したんだろうなー。メイドさーん?」

メ「人を信じる心って大事だと思いません?」

男「そうだな。人と人とが信じあえば、この世から戦争なんて消えるんだろうな」

メ「ええ。まぁ、隠したの私ですけど」

男「戦争じゃああああああああああ!!」





メ「いやぁ、朝からエクストリーム家捜しになりましたね」

男「誰のせいだよ……。ほら見ろ! いいんちょや友から連絡がきてるじゃねぇか!」

メ「主様ってば友達いないからってそんなエアーフレンドをでっちあげて」

男「何をかわいそうなものを見る目になってんだよ?! お前も知らない奴じゃないだろ!」

メ「ほら、意外と記憶力には自信ないので」

男「意外とっていうか都合のいいとこだけな? っく、まぁいい。とにかく行ってくるから」

メ「へいへい。でも主様」

男「なんだよ、お前のどうでもいい話を一々聞いてやるほど俺も暇じゃ……」

ニチャ

男「……」

メ「これなーんだ」

男「……。あ、ああああ、アロンアルファーーーー!? お前何してくれてんだよおおおおおお?!」

メ「や、好きに使っていいって言われたんで」

男「お前こういうとこではやっぱ記憶してるんじゃねぇかあああああああ?!」




大 遅 刻 !!

男「はぁ、もう最悪……」

?「最悪なのはこっちも同じよ。何度目よ、あなたの遅刻を誤魔化すの」

男「そういうなよ、いいんちょ。級友との助け合いって大事だぜ?」

委員長「私、全然助けてもらってないんだけれど」

男「……か、貸しってことで」

委員長「だとしたら、あなた借りだらけよ」

男「一定ポイントがたまると素敵な豪華景品が!」

委員長「例えば?」

男「えーと。あー……オリジナルの食器?」

委員長「何であなたが疑問系で返すのよ。というかそれ、パンの景品よね」

男「う。あ、あたったんだもん」

委員長「それ、あなたのオリジナルじゃないでしょ」

男「ヤマ○キのオリジナルではあるぞ」

委員長「はぁ……。いいわ、それで手をうってあげる」

男「マジか!? いいのかそんなんで!?」

委員長「貸しっぱなしは癪なだけよ。何でもいいから返してもらいたいだけ」

男「な、なるほど。いや、すまん。本当に」

委員長「そう思うんなら遅刻しない努力することね」

男「らじゃ」

委員長「それじゃ、お皿楽しみにしておくわ」

男「おうよ!」





男「ってな訳で皿、もってくから」

メ「許さん」

男「なにゆえ?!」

メ「だって主様の貸しであって私関係ないですもん」

男「いやだとしたらお前とこの皿の関係もなくないか」

メ「私が食べたパンだもの!」

男「そのパン買ってきたのはどこの誰だよ」

メ「……トル○コの大冒険みたく道に落ちてたのでは」

男「だとしたらこの景品こそどっからきたんだよ!?」

メ「ともかくだめったらだめっす」

男「むー。また新しいの買っとくからさ」

メ「ぐぬぬ」

男「な? いいだろ?」

メ「わかりました……」

男「ん、サンキュ。んじゃ明日持ってくから適当に置いといてくれなー。さて、家事家事っと」

メ「……(あとでめちゃくちゃ落書きしとこ)」


当日委員長にすごい顔されました。

男「……ちなみに何の絵描いたんだよ」

メ「う○こっす」

男「食器なのにお前最低だな!!?」


委員長がアンロックされました。次回よりばりばり登場予定。

メ「ばりばりって擬音から察するに雷とか纏ってそうですよね」

男「発想が厨二病なのはいいけど他人様のイメージを勝手に作るのやめような」

メ「それもそうっすね。委員長さんはどっちかというとダークネスな感じですからね」

男「お前は俺の話を聞かない呪いか何かにかかってるのか」



男「というわけで、久しぶりだな。いいんちょ」

委員長「何が久しぶりなのかわからないのだけれど」

男「んー、いや何だ。この呼び方というか何というか」

委員長「昨日も呼ばれた気がするわ」

男「い、言われてみれば」

委員長「でもそうね。これからは普通に登場できるということらしいから。よろしくね、男」

男「お、おう。って、急にメタ入るのセコくないか」

委員長「あら、私も意地悪なの。知らなかった?」

男「さいで。はぁ、何で俺の周りはこう、女の子らしい乙女がいないかね」

委員長「へぇ、それは」

メ「私たちに喧嘩を売ってると捉えてよろしいですな」

男「……あ、あれ。何だこの空気。シングルスだと思ったらダブルスだったんだが」

委員長「基本的にこの子とは馬が合わないけれど」

メ「共通の敵がいるなら話は別っすね」

男「あ、あはは。冗談だよな? だよ、ね?」

二人「「(にっこり)」」

男「いやあああああああ?!」

男「うぅ、ひどい目にあった」

メ「全く主様はドMの鑑みたいな人ですね」

男「絶対違うからな!!」

メ「またまたぁ、好きなくせに」

男「そういう主を持つってどうなの、従者として」

メ「恥ずかしくて死にそうっす」

男「なのにか! なのになのか!?」

メ「でも主様の評価が落ちるならば、私はどんな恥だって恥だと思いませんよ!」

男「こいつのこういうとこだけは……!!」プルプル

メ「主様、主様。まさかとは思いますけど女の子に手をあげちゃいます? ますぅー?」

男「いっそ俺が女の子だったら!!!?」




?(お、男くんが女の子……!?)ピクン

委員長「そういえば」

男「んー?」

委員長「あなた、最近は成績落ちてるんじゃなかったかしら」

男「そうだっけ? 基本的に平均点はキープしてるつもりだけど」

委員長「平均点、ね。前はずっと上位だったでしょ」

男「それはいいんちょだろ? 俺はふつーなの」

委員長「……最近、宿題の忘れも多い気がするわ」

男「ぐっ」

委員長「今日も友くんにノート写させてもらってたでしょ?」

男「き、貴様ストーカーか! 何で全部知ってんだ!!」

委員長「……。違うわよ」

男「な、なんだ今の間は。ていうか成績とかいいんちょからしたらどうでもいいじゃん」

委員長「良くないわよ」

男「何がだよ」

委員長「それは……」

男「それは?」

委員長「私が、委員長だから」

男「なるほど、それじゃしょうがねぇな」

委員長「……」

男「何で不機嫌そうなの!?」

委員長「はぁ」

男「何だこの露骨なため息は……」

委員長「……ばか」



一緒の学校行きたいな、とか淡い想いがあったりなかったり。

男「メイドよ」

メ「珍しく主様スタートですな」

男「たまには主導権握りたいじゃん?」

メ「主様、主様。普通、主導権握ってない人は主って呼ばれないっすよ」

男「ぐ、いかに俺の立場がおかしいのかをまざまざと理解させられたじゃねぇか!!」

メ「で、ほら。早く話をすすめてくださいよ」

男「気づけばイニシアチブが……!!!」





メ「で、何なんすか」

男「いや。今更なんかぐだぐだーっときてるわ、昔からの顔なじみがほとんど居ないわでどういうことかな、と」

メ「多分ですけど思い出しつつなのが一つと」

男「うむうむ」

メ「今更ながらリニューアルを狙ってる可能性と」

男「な、なぬ!?」

メ「あとは単純に出し惜しんでる可能性かなぁと」

男「ど、どれもろくなもんじゃねぇ……」

メ「まぁのんびりやるスタンスなのでいいんじゃないすか。その内、いつもの面子も揃うでしょ」

男「……その内が本当にその内ならいいんだけど」

メ「いや、本当に」

お、久しぶり!

メ「お久しブリーフ」

男「懐かしいフレーズだな、おい」

メ「というか覚えてる人いたのですね。前にもちらっと反応してくれた方おられましたけど」

男「正直驚きが隠せないわけだが」

メ「さておき、いつもどおりやっていくとしましょう」

男「んだな。で、メイドよ」

メ「どうしたんすか、主様。随分と面白い顔で話しかけてこられましたけど」

男「普通の顔なんだけどこれ。もしかしなくてもバカにしてるよね、君」

メ「ははは。主様。ははは」

男「何がおかしい?!」

メ「顔?」

男「っぐ。まぁ顔のことはもはやいい。それより俺のミキサーどこやった」

メ「お、主様ってばDJやるんすね。さぁさどうぞ遠慮なく」

男「うん。そっちのミキサーじゃなくてさ。いや、台所のミキサー置いてたとこに違うミキサーが置いてたけどさ」

メ「YO! YO! ちぇけらー」

男「これで料理は作れない」

メ「えー。主様ノリ悪い。味海苔でも食べて海苔にのっていきましょうよ」

男「なんで晩飯がそんな貧相になるんだよ!」

メ「それにほら、皿もついててなんか料理器具っぽくもありますし」

男「その発想にお前の常識を危惧するよ!! っていうかこれ多分通販か何かだろ!? 誰が払うんだよ! どうせ俺だろ!!」

メ「……」

男「な、なんだよ。違うのか?」

メ「……正解っっ!!!」

男「無駄にためたな! 全盛期のみのさん並にためたな!?」

メ「でも主様。よく考えてくださいよ。意外と今後を考えればいい買い物だったかもしれない、って」

男「俺、全くDJしないじゃん」

メ「……。なんでこんなの買ったんですか主様」

男「今すぐ返品してきなさい」




中古品だったので返品不可でした。

メ「主様、主様。プラモ用にニッパー貸してください」

男「工具箱、その辺になかったか?」

メ「おやおや。誰がおもいっきり天井に穴をあけてそれを修理させたと思ってるんですか?」

男「ああ、思い出したくもない日曜大工のことを思い出させてくれてありがとう。そういやそん時使ったっきりか」

メ「いえすいえす。なのでいつもの場所にないってことはどっかに置いてきたんかなぁと」

男「それもそうだな。えーと、確かあのときはついでとばかりに天井にあがってたんだっけか」

メ「主様ってば子供心くすぐられるイベントあるとすごく童心に帰っちゃいますもんね」

男「……。誰だっけか、俺の腕時計を天井にあいた穴へ放り込んだ奴は」

メ「ふすー。ふすー」

男「びっくりするぐらい口笛ふけてねぇからな?」

メ「仕方ないじゃないっすか。穴があったらイれたいってのは生き物の性ですし」

男「お前いれられる側じゃん」

メ「主様、主様。セクハラって言葉から始まるんですね」

男「うん。今のは俺が悪い。悪いがお前も悪い」

メ「罪の擦り付け合いは醜いですよ、主様。さ、主様だけ謝って」

男「お前の性根は腐りきってるな」

メ「腐女子ですね!」

男「多分違う。とりあえず天井裏見てくるわ。工具だったな」

メ「ういー、たのんました」





男「暗いな、本当。えーと前回修理したのはどのへんだっけか」

ごそごそ……コツ

男「ん? なんじゃ、この硬いの」

男「えーと……あーと……」

男「マイク? ……盗聴器?!」

男「……な、訳ないよな。あーびっくりした。さて、工具工具と」



主様ん家は不思議がいっぱい。

メ「ふんふふーん♪」

男「本当に楽しそうにプラモ作るのな。女の子でプラモ好きとか二次元だけかと」

メ「いや、二次元ですけど」

男「急にメタ入れてくるのは何なの?!」



【take2】

メ「なんすか。今さら主様ってば私に乙女分を求めてくる感じでプラモをやめろと」

男「そこまでは言わねぇけど」

メ「ま、やめませんけどね」

男「だと思ったけど。にしても最近のは素組でもキレイなもんだな」

メ「む。主様も実は興味あるとか」


男「男の子だしな。やっぱ見てると楽しそうだわ」

メ「ふむ。良かったら一個作ります?」

男「いいのか?」

メ「構わんすよ。じゃあはいこれ」

男「でか?!」

メ「1/60スケールのダイナミックさよ。それは(面倒くさくて)手をつけてないやつなんでお好きにどーぞ」

男「ぐ、むぅ。もうちょいライトなのは……」

メ「そんな半端な覚悟でやるつもりだったんすか! そんなモデラーの魂のない人だったなんてあまりのショックに手が滑ってニッパーが家具を襲いますよ!」

男「もはや悪意があると公言しとるがな。というかモデラーじゃねぇし……とはいえ、やりたいって言ったのも事実だしな。了解、やってみるわ」

メ「おや。意外と殊勝な態度。主様ってばやっと立場を理解されたようで」

男「お前の中の俺のランクはどうなってんだよ」

メ「うあ」

男「んお。おはよ、ってか今から寝るのか?」

メ「え、ああはい。おはようございます、主様。……お察しのとおり日の出なので寝ますけど」

男「そかそか。んー……、っはぁ。寝る前に軽く腹に入れるか? 俺の分の朝飯作るから」

メ「えと、お願いします」

男「りょーかい、っと」

メ「あの、主様?」

男「ん? なんだよ、リクエストでもあんのか」

メ「いや、まさかと思いますけど、それ徹夜で?」

男「あー、うん、まぁその……やり始めたら止まんなくてな。あ、勝手にだけど筆ペンとかマーカー借りたぞ」

メ「……本当この完璧超人は」

男「なんだって?」

メ「なんでもないですよー、と」

男「ふぅん。んじゃ、とりあえず飯でも作ってくっかー」

パタパタ





メ「ひ、一晩で素組どころか塗装まで仕上げやがった……ば、化け物か」

メ「あの。主様。すごく言いにくいこと言っていいですか?」

男「いや、だめだ! やめとけ! やめとけよ!!」

メ「その……なんというか、昔より会話がつまんなくないですか?」

男「言いやがったよこのやろおおおおおおおおおお!!」

メ「あ、女郎ですんで、自分」

男「どっちでもいいよ!?」




男「いや、なんとなく気づいてはいたんだ。なんかこう、昔ほどのれてない自分に」

メ「主様、主様。私もです」

男「ブルータス、お前もか!」

メ「ステータス?」

男「偏ってそうだな、お前のは。って違う」

メ「ぶるんぶるん?」

男「胸を強調するな。見ちゃうだろ」

メ「ブラームス?」

男「VPは名作だけどな」

メ「もうでないす」

男「調子出てないにしては頑張ったな」

メ「褒美とか出していいんすよ」

男「んー。じゃあ新しい下着とか」

メ「なんでここに至って罰ゲームなんすか!」

男「え!? 罰ゲームじゃないぞ、プレゼントだぞ!?」

メ「ああ、素でいってるんだった、この人……」

メ「主様、主様」

男「何だよ」

メ「こんなの渡されました」

男「何なに? ……より抜き「いじメイ」集?」

メ「なんか明日からこれやるとか何とか」

男「……ああ、昔のやつを焼きなおすのな。いまどきの延命措置か」

メ「落ちぶれましたね」

男「落ちぶれたな」

メ「でも主様、昔みたいにソープにしずめられてた頃に比べれば」

男「お前とんでもない過去をひねり出してきたな?!」

委員長「今日は男とあまり話できなかったわね。まぁ、仕方ないわね、焦ったって」

カパ

委員長「……。古風ね、下駄箱になんて」

『放課後、校舎裏で待ってます』

委員長(どうしようかしら……誰、かしら……男? まさか、でも、もしそうだったら)



委員長(それで結局来てる私ってば。期待しすぎなのかしら)

ガサッ

?「待った?」

委員長「あ、いえ、今きたとこ……ろ……」

メ「あ、だったら良かった。セフセフ。いやー来てくれなかったらどうしようかと」

委員長「……何しにきたの」

メ「な、なんかすごい暗黒オーラが見えるような。まぁいいや。実は全然仲良くなかった我々なのでこれを機に……っておおい! 帰らないで?!」

委員長「もういい? 帰るわよ」

メ「っく、さすが。前世の記憶でヤンデレに仕上がった人だけありますね。おお怖い怖い。って違う、そうじゃなくて」

委員長「だったら何? ここで決着でもつけてくれるのかしら」

メ「相変わらずけんか腰だことで。ちゃうちゃう。あれチャウチャウとちゃうんちゃう?」

委員長「……」

メ「っく、主様のような返しに期待できないとは! 恐ろしい子!」

委員長「本当に帰るわよ」

メ「あーごめんなさいごめんなさい。とにかくこれからは仲良くしたいなぁって」

委員長「お断りするわ。あなたと仲良くするメリットなんてないもの」

メ「それはどうでしょうね。これ、何だかわかります?」

委員長「何その本? 一体なんだっていう……の……待ちなさい。それ、アルバムよね。誰のものかしら」

メ「急に食いついた!? いやまぁご想像通り主様のアルバムでしてよー! 今朝方発掘しまして。いります?」

委員長「べ、別にそんなもの……そんな、もの」

メ「やだなぁ、別に何か見返りが欲しいんじゃないってことですよ。ただ仲良くしたいなって」

委員長「ええ、そうね。争ってばかりでは非生産的だわ、これからはある程度仲良くしていく方向でいいわ」

メ「ある程度なんすね。でもま、敵対関係からの脱却ってのは大事ですしね。というわけでこれどーぞ」

委員長「あ、ありがとう」

メ「では私はこれにて」

委員長「え、ええ」

委員長(……ごくり)

委員長「せ。せっかくだから中を確認してみないといけないわね」

ペラ

委員長「まさか本当にちゃんとしたアルバムなんて」

ペラッ

委員長「……これは……」

ペラッ

委員長「……」

ザッ

男「あれ? いいんちょ?」

委員長「……」

男「おーい」

ペラッ

男「おい、いいんちょってば」

ポン

委員長「ひゃう!? ……って、お、男?!」

男「お、おう、そうだけど。いやさっき下駄箱に変な手紙はいっててさー……ん? いいんちょ、何読んでんの?」

委員長「ち、違うの。ええ、これは違うのよ」

男「へ? 違うって何が……」

委員長「べ、別にあなたのことがどうとかそういうのじゃないの。ええ、そうなの。わかる? わかったわね?」

男「え、あ、はぁ」

委員長「それじゃあ失礼するわ」

……ぺらっ

男「あ、おーい、委員長、何か落ち……ん?」

委員長「!!」

男「え、これ、俺のしゃ……ぶへぁ?」

バキィ!!!!

委員長「……はぁ、はぁ……! っく!」

男「……」ピクピク

委員長(な、何が仲良くなりたいよ。あの女、仕組んだわね。やっぱり油断ならないわ……!)



メ(おお、すげぇ。委員長さん、一撃で主様のしちゃうとか何者なんすか。やばいわー)

メ(でもからかうのおもしれー。これからも是非とも仲良くしなければ、くけけ)

委員長「……そこかしら」

メ(ひっ!? なんか寒気が……!?)

男「そういや昔のいいんちょはこんなだったなぁ」

メ「懐かしむほどに今は違うってことですもんね」

委員長「今もこうよ」

二人「「……」」

委員長「何? 言いたいことがあるならはっきり言っていいのよ」

男「い、いや別に。なぁ?」

メ「主様は何か言いたいことあるそうです」

男「おま!? 裏切ったな!!?」

メ「ふすー。ふすー」

男「誤魔化せてねぇし口笛ふけてねぇよ!」

委員長「男。それはほっといていいから。言いたいこと、聞いてあげるわよ」

メ「そ、それ扱い……」

男「いやその、な。いいんちょもこう、学生だったよなぁって」

委員長「今も学生よ」

男「う、うん。そうだな! 俺達色々あった気もするけど今はそうだよな!!」

メ「主様。現実から逃げちゃダメっすよ」

男「お願いだからお前は黙ってて?!」

委員長「ただいま」

妹「おかえりー」

委員長「あら。この匂い。もう夕飯の準備してくれたのね」

妹「へへ。お姉ちゃんの負担を少しでも、って思って」

委員長「ありがとう。今日はカレーね」

妹「さすがにすぐばれちゃうかー。色々想像してもらおうかと思ったんだけどね」

委員長「いい匂いよ。妹はいいお嫁になるわね」

妹「お姉ちゃんの教え方がいいからだよ。つまりお姉ちゃんは私よりもっといいお嫁さんになれるってことだね!」

委員長「……そうかしら」

妹「うんうん、絶対そうだよ!」

委員長「そう、かしら。……ねぇ、妹。本当にそう思う?」

ガシッ

妹「お、お姉ちゃん?」

委員長「私、いいお嫁さんになれるわよね」

妹「う、うん」

委員長「……」ゴゴゴゴ

妹「(……ごくり)」

委員長「そう。嬉しいわ。あなたにそう言ってもらえるとすごく自信になるわ」

妹「そ、そう。よかった。あはは」ヘナヘナ

委員長「さてと。私も着替えたらすぐ準備を手伝うわ。妹、火を扱ってるならそんなところで座ってる場合じゃないわよ」

妹「うん、ご、ごめんね。すぐ行くね」

妹(お姉ちゃん、なんか最近お嫁とか家事とかの話のとき、怖い……!!)

メ「といわけで妹さんがアンロックですね」

男「一応登場順な訳か」

メ「みたいっすね。まぁどこまで登場順かわかんないっすけど。具体的には一人抜けてるわけですし」

男「……あいつはいいやつだよ」

メ「主様、誰のことかわかっていってます?」

男「わ、わかってるに決まってるだろ!」

メ「じゃあ誰か言ってみてくださいよ」

男「あ、あいつだろ? その、あの……あいつだよ」

メ「ああ、かわいそうに。おいたわしや、あの人」

男「そういうお前は誰か言えるのかよ!」

メ「いえ、全く」

男「ぐ、ずるいぞ! 自分だけ開き直りやがって!」

メ「主様、主様。それ、自爆ですって」

男「……仕方ないだろ! 思い出せないんだから!」

メ「本当にかわいそうな人がいるんだ、これ」





友「あ、あはは。どうせ僕なんて……」

二人「「……あ」」

こいつも一応アンロック。

メ「ちわー。三河屋ですー」

男「間に合ってます」

メ「酷いわ! 私と言う女がありながら他の女と!」

男「いや、何だその返しは。っていうか何か用か?」

メ「夜食なぞお持ちしてみたり」

男「何を盛った?」

メ「人の好意を一言で無に帰すのってどうなんでしょ」

男「今までの行いを思い出して自分の胸に手を当ててみろよ」

メ「んー。でかい」

男「そうだな。って違う。ていうかそもそも頼んでないし歯磨いたから寝ようかと思ってたんだが」

メ「ふふふ、そう思ってわざわざこんな時間に持ってきたのです。けけけ」

男「明日食うから置いといて」

メ「今日中に食わないと溶けて無くなるっすよ。しかも賞味期限も今日まで。うははは」

男「色々良いたいことはあるけど、とりあえずそのキャラは何?」

メ「冷静にそこ突っ込まれるとちょっとこちらも困るんですが」

男「そもそもなんだよ。これまたぶっ細工な菓子を。寝る前にこれを食えってか」

メ「捨てたら主様のエロ本、全部やおい本に変えておきます」

男「そのほうが手間じゃねぇか?」

メ「……。食わないと部屋にこればら撒きます。いや、塗りたくってすりこみます」

男「いやな脅しを……。わかったわかった。食えば良いんだろう食えば!」

メ「物分りの良い主様で助かります。それ冷蔵庫の隅にあって邪魔だったんすよ。んじゃいい悪夢をー」

男「やれやれ、行ったか。ったく、……って、これ手作りじゃないか。む? なにやら紙が」

『誕生日おめでとうございますん。食べたらちゃんとお礼すること。具体的には来月の新作ソフトとか』

男「なんて現金な……ていうか、俺今日誕生日じゃないし! はぁ、とりあえず臨時で出費は覚悟すっか」

男「時にメイドよ。魔法とか使えない?」

メ「さようなら昨日までの現実、いらっしゃいませ妄想の世界」

男「いや、ごめん。今のは聞いた俺が悪かった」

メ「何で急にそんな厨二病発言を」

男「いやな、明日何か抜き打ちでテストらしいんだわ」

メ「抜き打ち出来てないですね、バレてる時点で」

男「それがさ、いいんちょが何か情報横流ししてくれて。その代わり今度パフェおごることになったけど」

メ「後半は聞かなかったことにするとして何で委員長さんが情報流してくれたんでしょうね。どこのお店いくんですか」

男「思いっきり聞いたことにしてるだろ、てめー。シークレットだっつぅの」

メ「まぁそれは追々催眠術か何かで聞くとして」

男「お前今何さらっと怖いこと言ったよ」

メ「それとどこが魔法につながるんで? メルヘンさん」

男「ごめん、もう二度とそういう発言しないからその呼び方は勘弁して。いやさ、時間とか止まらないかなぁと」

メ「それで必死こいて勉強すると?」

男「精神と時の部屋みたいな」

メ「あー、昔よく思いましたよ、私も。後時間よまきもどれ、とか」

男「あるあるある。んで、やり直しがきけば、とか探し物がすぐ見つかる、とかさ」

メ「あるあるあるある。……でもですね」

男「ん?」

メ「今の場合、勉強しなくてもテスト余裕になりますように、じゃない?」

男「ぐうの音も出ないほど正論だ」

メ「この会話自体が論じるに値しないものですので正論ともいいがたいですが」

男「改めて言うが正論だ」

メ「で、今晩は中華がいいです、シュウマイとか肉まんとか」

男「そりゃ蒸篭だ」

メ「という訳でお願いしますよ」

男「一連の会話の中でお前には俺に少しでも悪あがきをさせてやろうという慈悲は浮かばなかったのか」

メ「ミクロ単位で」

男「予想通りの解答をどうも。まぁいいや、息抜きがてら用意するか」

メ「あぁん、ご主人様のそういうところ大好きですぅ」

男「さっさと自分の部屋に戻りながら言う台詞じゃねぇから、それ」

男「ほい、どーぞ」

メ「いただきマンモス」

男「古いな。っかし、マジでどうすっかなぁ」

メ「テストすか?」

男「おう」

メ「ふぅん」

男「あーあ、マジで魔法とか使えたらなぁ」

メ「使えるけど?」

男「は?」

メ「いや、使えないって言った覚えないし。使えるすよ?」

男「……」

メ「……」

男「よし、明日は成績は捨ててやるから一緒に病院行こう、な?」

メ「この野郎。自分の従者も信用できないでやがんの。ひどい雇用主だわー」

男「よーし、じゃあそこまで言うなら使ってもらおうじゃねーか」

メ「ん、いいですよ。目を瞑ってください」

男「おし、どんとこい、どんと。嘘だったらお仕置きだからな。折檻だからな」

メ「そこはかとなくR18な響きですね。どっこいしょ、と」

ガタッ……スタスタ

男「どっこいしょ、ってお前、じじくさいぞ」

メ「ばばくさいの間違いでしょ。誰がばばあか」

男「自分で言っといて。……ん? もしかしてすっごい近くにいる?」

メ「……」

男「おーい、メイ……」

ぎゅっ

男「!?」

メ「目、あけちゃダメですよ?」

男「な、ちょ……っ」

メ「あ・る・じ・さ・ま」

ハムッ

男「!!!?」

男(こ、こいつ、俺の耳たぶを!!!? はうあああ!?)

メ「……」

なでなで

男(うぉぉおああおああ!!! な、なななな、ただ撫で回されてるだけなのにめちゃくちゃ恥ずかしい!!!)

メ「主様、おいしい……食べちゃおうかな」

男(お、おおああああああ!!!!!?)

男「メイドおおおおおおおおお!!」

ガバッ……スカッ

男「お、っと、っとととと!?」

ドシャッ

男「いっ痛つつつ……って、な、何したんだよ、おま……」

メ「続き、してほしかったら明日のテスト、全部満点とってくださいね」

男「え、あ……?」

メ「んじゃ、ごちそうさまっしたー」


スタスタ……バタンッ


男「……」

男「た、確かにこれは魔法だわ……冗談抜きで勉強したくなった」

男「よし、いっちょ本気出すか!」




メ(……うわぁぁぁあああ!!! ど、ドキドキしたあああああああ!!!)

ゴロゴロゴロゴロ

メ(な、何やってんだ私は、馬鹿か! 馬鹿か私はあああ!!!)

ゴロゴロゴロゴロ

メ(ほ、本当に満点なんて取らないよな……うぅぅ、恥ずかしい)

メ「主様、最近の流行に習って、私も百合作品に出演したいっす」

男「うおおおおおおい! さっきまでの甘酸っぱいやり取りは何だったんだ!!」

メ「昔は昔、今は今。流行に乗り遅れるわけにはいかんでしょ」

男「そもそも流行してるのか……」

メ「寧ろ主様も好きでしょ」

男「……」

メ「露骨に目ぇ逸らしましたね」

男「好きなもんは好きだからしょうがないだろ!」

メ「というわけで」

男「いやでもお前、相手がいないじゃん」

メ「それもそうっすね。いや、せっかくだし委員長さんとか」

男「あれがそういうのに乗るタマか?」

メ「一応、相手女子なんですからタマ扱いはどうなんでしょう」

男「それもそうか。いいんちょも立派な女子な訳だし。寧ろ可愛い子だからありなのか」

メ「めっちゃ攻めっ気強そうですけどね。攻撃力MAXなくらい」

男「お前もそういうステータスのあて方ってどうなんだよ」

メ「だって似合いそうなんだもん」

男「反論できねぇ……」






委員長「ふふ。好き勝手言ってるわね、あの二人」

妹「お、お姉ちゃん! なんだか変な黒いオーラ出てるから! 抑えて、お姉ちゃん!!」

メ「主様、主様。ばいんばいん」

男「……」

メ「ほほう。無視とはいけすかぬ手法で防御してくる。しかしいつまで保つかな」

男(くっそー。なんだよ急に胸なんて強調しやがって。ぜってー罠だ、反応しねぇ)

メ「むむむ。主様って実はこういうむちむちって苦手?」

男「苦手苦手。すっげー苦手だわ」

メ「ふむぅ。……ロリコンか」

男「なんでそうなる!?」

メ「だってばいんばいんのたゆんたゆんが苦手なら逆にロリロリのペドペドがええのんかなぁと」

男「だとしたらそっちのが人としてやばいだろ」

メ「主様ってそんなやばい奴だったんすか……!」

男「驚愕の表情をやめろ! あと何だその携帯は!! 誰に連絡してやがる!!!」





委員長「……」

妹「ふんふふ~ん。いい湯だったー。あれ? 何固まってるの、お姉ちゃん」

委員長「妹。何も言わずにお姉ちゃんと身体を入れ替えて」

妹「ふぇ!?」

男「くっそ、お前どれだけのやつにばらまいたんだよ、ロリコン情報とか!」

メ「とりあえず主様の携帯にある連絡帳の人には一通り」

男「お前は本当そういう意地悪だけには行動力を発揮するよな!!」

メ「えへへ」

男「ほめてねぇよ!! くそぉ、訂正すんのに時間かかりそうだな、これ」

メ「主様、そんな登録数多くなかったんですぐだと思いますけど」

男「……まぁ、そうなんだけど」

メ「さらっと友達少ないのを認めてら。おいたわしや」

男「薄ら笑い浮かべながら言う言葉じゃないよね。というか別にこれから作る予定だからいいんだよ」

メ「主様。無駄など力って言葉、知ってますか」

男「お前に躾するってことだな。……いやだめじゃん!! 俺がそれ認めたらだめじゃん!!!」

メ「一人で何愉快なテンションになってんすか、恥ずかしい」

男「誰のせいだよ、誰の!!」

メ「私以外であることは間違いないですね」

男「お前以外ありえないっての!! く、いっかいとっちめて……」

ぴんぽーん

男「ぬぉ? なんだ、こんな時間に来客か?」

メ「主様、何か版権に触れるような発言しませんでした? ○スラックとか千葉ネ○ミとか」

男「お前のほうがよっぽど危ないわ!?」

メ「まぁどっちでもいいんでとりあえず出てくださいよ。もしかしたら私宛への通販の何かかもしれないんで」

男「かもしれないって何だよ、把握してねぇのか」

メ「買いすぎて、はい」

男「……くそ、その金の出所が自分だと思うと無性に悲しい」

メ「ほら、きりきり働く」

男「せめてお前が出ろよ」

メ「私できないことはできないと言う勇気、持ち続けたいなと思ってまして」

男「お前のそういう正直さがもっとプラス方面ならなぁ」

ぴんぽーん

男「っと、さすがにこれ以上待たせられんな」

メ「いてらしゃいましー」

男「……後で覚えとけよ」




ガチャ

男「はーい、どちらさまで……ん? 誰もいない?」

ロリ「ここよ」

男「ん? って、うぉ! どしたの、お嬢ちゃん。ひとり?」

ロリ「一人は一人ね」

男「うん、で、うちに何か用? もしかしてどっかのお宅からお使いかな?」

ロリ「違うわ、あなたに用があったの」

男「俺に? うぅん、でも君みたいな可愛い子に知り合いはいないしなぁ」

ロリ「可愛い……やっぱり、男は小さい子のほうが」

男「ん? 何か言った?」

ロリ「いえ、何でも。それより私、今夜泊まるところがないの。泊めてくれない?」

男「は? 何で」

ロリ「……こんなちっちゃい子、こんな時間に外へ放り出すの?」

男「いや、それは……」

ロリ「……お願い」

きゅっ

男「う、ま、まぁいいけど」

ロリ「ありがと、おにいちゃん」

男「お、お兄……!? む、ぬぅ。まぁいいか。とりあえず入って」

ロリんちょ(やはり男はこの属性に弱いという情報は本当だったのね……これはいけるわ)




いいんちょご乱心

メ「主様、主様」

男「ん?」

メ「何で主様はタイツを一切買ってくれないんですか」

男「邪道だから」

メ「だからって支給されるのが全部ガーターベルトってのは嫌がらせですか」

男「いやいや、俺の趣味」

メ「このランフェチめが」

男「だってエロいじゃん」

メ「直接見れるわけじゃないのに」

男「想像するだけでご飯三杯はいける」

メ「こんな堂々と目の前でオカズにしてます宣言されるとは」

男「いや、そこは最低限の節度ってことで我慢してるぞ、うん」

メ「でもだからって既に三桁に到達せんばかりに買い込んでますやん?」

男「それこそ他の諸々を犠牲にしてな」

メ「それでいいんですか」

男「いいんです」

メ「ふぅん。こんなののどこがいいのか。つぅか機能性を考えたらやっぱタイツのが……」

男「よし、座れ」

メ「へ? 座ってますけど?」

男「正座」

メ「え、でもそんなの……」

男「せ い ざ」

メ「は、はい」

メ(何だこのプレッシャー……)

男「お前にはこれからガーターベルトのなんたるかを説いていこうと思う。覚悟しろよ」

メ「は、はぁ」






3時間後


男「ん? もうこんな時間か……とりあえず今日はこれくらいにしといてやる」

男「これからもガーターはけよ。んじゃ、おやすみー」

バタン

メ「……うぅ。いつもの主様じゃない」

男「お手」

メ「わん」

男「おまわり」

メ「きゃん」

男「ちんち……」

ばきぃ

男「ぐふぉ」

メ「調子乗りすぎっす。桃鉄の罰ゲームとはいえセクハラは訴えますよ」

男「ぼ、暴力はオッケーなのかよ」

メ「TPO的にOKなら」

男「それだと俺常時なぐられそうなんだけど」

メ「まぁとにかく約束どおり犬役はもう少しやってあげますから」

男「お、おう。あ、じゃあ、あれだ。甘えて」

メ「ふ ざ け ん な」

男「前言を二秒で破るのな、お前は」

メ「だって、何すか甘えろって、そんなのできてたまるか、お前ごときに」

男「すげぇ態度のでかい犬もいたもんだな、おい。っていうかお前って言ったな、こんにゃろ!?」

メ「胸もでっかいですよ」

たゆん

男「……っく、頷かざるを得ない」

メ「ま、いっか」

男「ん?」

すりすり

メ「くぅん」

男「!!!!?」

メ「これでいいんですか? って主様? 何を身悶えてるんですか」

男「こ、これほどまでに破壊力があるとは……想定外だったぜ」

メ「じゃ、これからは別料金でこのオプションつけますけど?」

男「もうそうなると風俗的なあれになるからやめとこうな」

男「おはよ」

委員長「おはよう」

男「あれ、いいんちょ、今日は少し髪型かえた?」

委員長「ん……少しね」

男「似合うよ。可愛い」

委員長「ば、ばか、何言って」

男「でも俺は……」

スッ

委員長「ぁ……」

男「ん。こんな感じが、いいかな」

委員長「ばか、近いわよ……こんなところをみんなに見られたら、勘違いされちゃうじゃない」

男「……ふぅ。そう思ってもらいたいのにな」

委員長「え?」

男「何でもない。それじゃ、お先に」

委員長「あ、待ちなさい! ……ばか。男がこういう髪型好きだって、言うから……」







委員長「『そう言う私に彼は微笑みかけ』……ん、違うわね。ここはもっとこう」

委員長「……。これはさすがにやりすぎかしら。でもこれくらい大胆でも」

委員長「……」

委員長「ふふ、ふふふ」

ガチャ

妹「おねーちゃん、これおしえ……」

ピタッ

委員長「……」

妹「……」

委員長「……」

妹「あ、あの、なんか、ごめんなさい」

委員長「い、妹。待ちなさい。出ていこうとしないで。いいわね、そこから動かないで。そして記憶を消して」

妹「ひっ、お姉ちゃんが何か怖いこと言ってる!?」

男「あーうぇー……」

メ「日本語でおk」

男「ぅー……」

メ「返す気力もない、と。重症だね、こりゃ」

男「……飯」

メ「なんですか? まさか病気程度で私にご飯を作ってもらえるとでも……」

男「作ってやれなくて……げほ、……ごめん」

メ「最初から期待してませんよ」

男「店屋物、好きなんとれな……あとで、げほごほ、経費、請きゅ……がふっ!」

メ「あ~はいはいはい! いいから黙る!」

男「でも、よ、あと……洗濯、とかは……」

メ「ええい、実力行使!」

むぎゅ

男「……~~!」

じたばたじたばた! ……がくり……

メ「全く、世話の焼ける……まぁ普段焼かせてるから仕方ないけど」

メ「でもこんな時くらい弱いとこ見せてもいいのに」

メ「全く、どっちが病人か分かりゃしない。……今日だけですからね?」



委員長(男、風邪っていってたけど大丈夫かしら。同居人もあれだもの……心配ね)

先生「お~い、誰か男んとこにプリ……」

委員長「先生、私が行きます」

先生「お、おぅ、頼んだ」

委員長「ええ、任せてください。クラスの委員長ですから」




ピンポーン

メ「はいはーい」

委員長「どうも。男、具合悪いんですって?」

メ「そうなんすよ、バカとなんとかは風邪ひかないっていうのにね~」

委員長「なんとかって何よ……これ、学校のプリント。後りんご持ってきたから良かったら剥いてあげて」

メ「む、なかなか高難易度なミッション……」

委員長「あら、だったら台所を貸してくれない? ついでに看病も代わるわよ?」

メ「いえいえ~委員長様のお手を煩わせる必要なんてござーませんでしてよー。オホホホ」

委員長「そう……」

メ「オホホホ」

委員長「……」

バチバチバチ

委員長「とりあえず上がらせてもらうわよ?」

メ「謹んでおことわりします」

委員長「いいから」

メ「いやいやいや、こっちこそいいから」

委員長「開けなさ……い!」

メ「や、な、こっ……た!」

委員長「む……」

メ「ぐぬぬ!」

委員長「……はぁ、いいわ」

メ「へ? ひゃわ?!」

バタン! ……ガチャ

メ「ちょ、いきなり離さないでよ!」

委員長「男の事、今日は任せるから。明日には学校、出させなさいよ」

メ「む……い、いわれなくとも!」

委員長「それじゃ」

メ「……ふん!」



男「……はぁ、はぁ」

ちゃぷ……ぺちゃ

メ「……早く元気になれよー。ほら、不格好だけどりんごとか剥いたんすよ~?」

男「ん……んん」

メ「見てよほら、うさぎのつもりがいきなりミューテーションしちゃって謎の物体に!」

男「けふっ……けふっ!」

メ「……本当、早く治してよ。主様」



チュンチュン……

男「ん……朝、か? あ……」

メ「……すぅすぅ」

男「ありがとうな、メイド……ってなんだこの不思議な物体は?! り、りんご……?」

メ「主様。ご飯用意しましたよ」

男「どうぞ、食ってくれ。一人で」

メ「何ゆえ!? こうも精一杯準備したご飯を要らないと申すか!」

男「だってこれ。食えねぇよ」

メ「何でっすか。ちゃんと普通の食材で普通に調理しましたよ」

男「うん。いや、寿司だからそうそうミスらないもんな。そうそうな。……でもこれはミスだろ」

メ「ちゃんと酢飯とか準備したのに!」

男「シャリはいいよ。具が、お前、これ」

メ「新鮮かつ素材を活かした逸品です」

男「……なんでわさびのみなんだよ」

メ「握りだけじゃなく、軍艦とかにもしてみましたよ」

男「こんな真緑の寿司みたことねぇよ」

メ「実はアボガドかも」

男「匂いで分かるよ!! というか既に目がいてぇよ!!」

メ「一体何がいけないのか……メイド、自分の役割を果たそうと必死に努力したのに」

男「お前の役割は何だよ」

メ「え? 主様を困らせることでしょ?」

男「だとしたら満点だがお前の役目は従者だよ!!」

男「……」

メ「……」ニコニコ

男「ちらし寿司か」

メ「ええ。昨日の反省を活かして見た目からして問題ないアピールです」

男「確かにこれならわさび仕込めねぇもんな」

メ「これなら安心でしょ」

男「まぁな。あー、ちらし寿司みてるとさぶちゃんが昔CMで歌ってたの思い出すなぁ」

メ「ちらぁしぃ~ずしぃなぁら~」

男「それそれ。つうわけでいただきまーす……ぶふぅ!!?」


サッ

メ「あらやだ、汚い。主様ったらもぅ」

男「げほ、ごほ!! ……っ、そのくせ俺が吐くのを予測してた動きだな、おい」

メ「ははは、何のことやら」

男「っく、しかし何だこの山葵っぷり、どこにしこんだんだよ」

メ「ええ、米粒ひとつひとつの中に極小の注射器で……」

男「なぜその手間隙を普通に料理する方向で使えない」

メ「さぁ」

男「その心底不思議そうな顔がむかつくわぁ、可愛いけど」

男「……」

メ「こらこらこら、せめて食卓につきなさいよ」

男「いやだって昨日の今日だぞ? 警戒するに越したことはない」

メ「でもさすがにおでんにはそう簡単には無理でしょ」

男「何でする前提でしかお前は料理をだせないんだろうな」

メ「んー、何ででしょうね。で、どれがいいですか? おすすめは餅入り巾着だったりします」

男「そんな明らかに仕込めますなやつ食うかよ」

メ「おいしいのに。はふはふ」

男「……こんにゃくで」

メ「こんにゃくですね? ……ファイナルアンサー?」

男「ファイナルアンサー」

メ「……」ゴゴゴゴ

男「……ごくり」

メ「正解! はい、どうぞ」

男「おし! いただきます。はむ……ぶふぅ!!?」

サッ

メ「んもぅ、だから汚いってば」

男「くそ!! 何がおし、だ!! つうかお前の手段のが穢い……こんにゃくのどこに仕込めたんだよ、おい!!」

メ「中に芥子たっぷりさんになってます。巾着とか分かりやすいの以外はそんな感じです」

男「……全部それ仕込んだのか」

メ「半日つぶれました」

男「まずその思考回路をつぶせよ」

メ「主様ー、お夜食ですよー」

男「ん、すまんな、テスト期間中はどうしても夜なべしちゃうから」

メ「ま、今回のテストは協力しますよ。最近迷惑かけた押しだったんで」

男「すまん、助かる。で、夜食とやらはどこに?」

メ「ああ、今レンジで温めてますからもうすぐ……」

パンっ

男「……」

メ「……」

男「な、なんかすごい音が聞こえたんだが。何を作ってんだ?」

メ「えぇと、ゆで卵を」

男「レンジでか」

メ「あっためれば一緒かなーって」

男「はぁ……とりあえず掃除してく……」

パン、パパン! パン!

男「……お前、何個入れたんだ」

メ「え、っと。1パックそのまんま」

男「買い替えた方が早いな、こりゃ」

委員長「男、これ、あげるわ。作ってみたの」

男「ん? 何これ。なんかいい匂いするけど」

委員長「石鹸。良かったらだけど」

男「お~、そんなのも出来るのか。すげぇないいんちょ。もらうもらう!」

委員長「大したことないわよ。じゃ、また感想聞かせてね」

男「おうよ! サンキューな!」




シャー……

男「ふんふふ~ん。あ、そだ、せっかくだしいいんちょの石鹸使ってみるか」

ゴシゴシ

男「お~、すげぇ泡立つな。匂いもいい感じだし」

男「……けどなんか、気のせいかな」

男「やたらむずがゆい感じがする」






妹「おねーちゃん、また石鹸作ってるの?」

委員長「違うわよ? なんでそう思ったの?」

妹「そうなんだ。でもこの前は石鹸作るから鋏貸してなんていうから何に使うのかと思ったよ」

委員長「枝毛を切りたかっただけよ……ええ、それだけ」

妹「そうなんだぁ」

委員長「ええ。それだけよ。それだけ……ふふ」ゴゴゴゴ

妹(な、なんだかお姉ちゃんから変なオーラが!)

メ「よんめん……そ? うた……?」

男「四面楚歌な」

メ「なんすかそれ」

男「周りにゃ敵だらけってこった。実家での俺の立場みたいなもんだ」

メ「ここもある意味そうですよね」

男「敵が単体か複数かの違いだけだしな」

メ「で、実家ではそんなに肩身狭かったんですか?」

男「んー、決してそういう訳でもなかったんだけどな。まず親父は基本的に敵対しかしてなかった」

メ「ふむ」

男「母親はなんていうか究極の放任主義者だったし」

メ「そうなんすか?」

男「とにかく仕事は出来ないわ、態度が悪いわ、子供の俺らより子供みたいな人だからな」

メ「つまり両親が全然かまってくれなかった、と」

男「ああ、そのせいか姉さんは変な癖ができて俺にべったりだったし、妹とは疎遠になるし」

メ「はぁ……主様って結構大変な人生送ってるんですね」

男「全くだ。今の生活のがどれだけマシか」

メ「これだけ色々毎日大変な生活ですら生ぬるかったと」

男「そう思うと今更だけど俺って不幸じゃない?」

メ「私みたいな可愛い子はべらせてんだから幸せだって」

男「全くはべってないけどな」

男「うし、いい感じにできたな」

メ「くんくん……この香りは……松茸?!」

男「おぅ。っても中国産の安いやつだけな。たまにはいいもん食わせてやらんと」

メ「なんというサービス精神……裏にある何かを感じながらも逆らえない食欲という名の本能が憎い!」

男「安心しろ、ただ安売りしてたから買ってきただけだし。ほら、もうすぐ炊き込みご飯も出来上がるぜ」

メ「いゃっほぅ! 主最高ー!」

男「様を付けろ、でこすけ野郎」

メ「まぁま、いいからいいから~」

男「ご機嫌だな。ちなみにかやくご飯って言うのを知ってるか?」

メ「炊き込みご飯みたいなものでしょ?」

男「うむ……で、いつかお前が言ってたゲームを俺もやりたくなってな」

メ「ゲーム?」

男「料理の名前の音から別の当て字をつけて、それに沿った料理にするってあれだ」

メ「あ~あ~……え、まさか」

男「“火薬”ご飯にしてみた。口にあうといいな」

カパッ

メ「ぎゃあああああ! マジで真っ黒じゃん!! ああああ、ま、松茸がぁぁあああ!!」

男「ハハハ、驚いたか。まぁこれは冗談で実は本物は……」

メ「ちくしょおおお!! こんなものおおおお!!」

男「え?」

ガラッ、ポイ!

男「ああああ、炊飯器を捨てるなぁぁ?!」

メ「消えてなくなれぇぇえ!!」

シュボ……ポイ

男「あ、バカ! あれはマジで火や……」




ボカァァァアアン!!

サッサッ……

男「おい、そっちどうだ?」

ふきふき

メ「あらかた終わりました」

男「ならこっち、手伝ってくれ」

メ「はいはい」

男「……しかし、あれだよな」

メ「ええ、ここまで木端微塵になると気持ちいいくらいですね」

男「近所の人に通報されないように説得大変だったな」

メ「完全にアウトでしたもんね、あれ。事件性しか感じなかったでしょうね」

男「本当にな。とりあえずなんだ。炊飯器、新しいの買おうな」

メ「はい」

男「庭の掃除、頑張って終わらそうな」

メ「はい」

男「壊れた備品代はお前の給料から出すな」

メ「それには頷きかねる!」

男「ちっ。いやまぁ俺も悪いんだけど」

男「所詮この世は弱肉強食」

メ「そして今夜は焼肉定食」

男「いただきます」

メ「いただいてます」

男「はやっ?! もうちょっと我慢しろよ」

メ「そんなこと言ってる間にとられますよ、早いもの勝ちなんすから」

男「いやまぁ二人分以上は用意してるし大丈夫だけど」

メ「だったら遠慮なく……んぐんぐ」

男「いい食いっぷりだな。食われた側も本望だろうよ」

メ「ふふ、食物連鎖の頂点に立つ自信ありますから」

男「そうかぁ、でも多分無理だな」

メ「んい? 何ゆえに? マジレスはいりませんよ」

男「いやさ、うちの姉さん以上にその頂点が似合う人いないだろうなぁって」

メ「そんなに食いっぷりがいいんですか?」

男「そうなんだよ。結構おっとりのんびりしてるんだけどさ」

メ「それなのにフードファイターなんすね」

男「そうなんだよ。それに姉さん、変な癖があってな、よくこんな事言うんだよ」


姉『弟(おと)ちゃん、可愛いね! 大好きだよ! 食べちゃいたいくらい!』


男「本当、毎日のように言われてたぜ。何回か腕とか噛まれたりしたしなぁ」

メ「ほほう」

男「いい人なんだけど、もういい年なんだから甘噛とかする癖はなんとかしてほしいよ、本当」

メ「……あぁと」

男「今頃何してるかなぁ。あ、でもこの前電話きたな。確かカップ割った時だっけか、こっち来るとか」

メ「来るんすか」

男「うむ、そんな訳で人を食べたいなんて言い出す姉さん以上に食物連鎖の頂点が似合う人はいないって話。どうした? 手止まってるぞ」

メ「そうすかね。いやでもまさか。そんな漫画じゃあるまいし。ねぇ?」

男「いや聞かれても。とにかく食えよ、まだまだあるんだし」

メ「ういす。にしても主様ってものすごい大物かもしれないですね」

男「は?」

メ「なんでもないっす」ハグハグ

モブ子「つ、付き合ってください!」

友「ん……ごめん、気持ちはすごく嬉しいけど、今はサッカーが一番だから」

モブ子「そう……ですか。あの、練習のお邪魔してすみませんでした!」

友「うぅん、ありがとう。すごく嬉しいよ。今は自分でいっぱいいっぱいだけど、いつかこんな自分でも成長できたら……余裕できると思うから」

女友「はい……そうなるとき、待ってます……」








男「まぁた告白されてんすか」

友「あはは……今帰り?」

男「おぅ、なんかいいんちょに手伝いさせられてさ」

友「ふぅん」

男「それより今学期だけで四人目だろ? 一人くらい分けてくれよ」

友「あはは、自分だってモテてるくせに」

男「んなことねぇよ。だったら一人くらい告白しにこいっての」

友「あはは」


?(あ、男くんだ! ……よ、よし、今日こそ!)

?「あ、あの! 男く……」

ゾクッ

?「ひゃう?! な、何? 今すごい殺気が……」

?「……ああ、いっちゃった……ぐす」


委員長「……ふ。100年早いわ」




男「んじゃな~」

友「ばいば~い」

男(はぁ……なんであんな年中ニコニコ野郎がモテるのに俺は……ったく、なんなんだろうなぁ、この恋愛格差は)

男「なんか将軍ってつくと強そうなイメージあるよな」

メ「冬将軍とか?」

男「……たぶんそれは違う」

メ「鍋将軍」

男「そりゃ鍋奉行だ」

メ「無敵将軍」

男「そりゃうちの妹だ」

メ「ありゃ、なんか版権モノが出るかと思ったら……よくバカ妹呼ばわりされるのに」

男「俺からすりゃバカって事。中身は絶対無敵可憐将軍」

メ「なんすかその電気式華憐音楽集団みたいな」

男「それこそなんだよ。いやな、あいつは昔から天才だったんだよ」

妹「主様がこんなんなのに?」

男「こんなんなのに。つぅか小さい頃から比較対象として苦い思い出しかない」

メ「ふぅん。どれくらいすごいんですか?」

男「んー……世界経済の一翼を担ってるとか言ってたかな」

メ「は?」

男「んで、本人曰わく人間の可能な範囲なら何でも出来るとか」

メ「……え、冗談ですよね?」

男「多分な。ったく、バカな話だろ? いくら頭がいいからってそんな事あるわけねぇよなぁ」

メ「で、ですよねー」

男「まぁ、母さん曰わくうちの仕送りしてくれてんの、あいつらしいけど」

メ「……」

男「確かに昔はいろいろあったし、何のかんのとうるさい奴だ」

メ「そ、そうなんですか」

男「うん。だから会うたびバカ妹って呼ぶんだけどなぁ……」



?『全く兄さんは仕方のない人ですね……私を馬鹿呼ばわりするのは兄さんくらいなものですよ?』


男「なんて、口ではそう言いつつ笑ってるようなやつだからな。兄として心配だっての」

メ「……」

男「しまいにゃ、『極論、人間は二種類います。兄さんと、そうでないものです』だってよ。将来が心配で心配で……ん? どした?」

メ「……私は主様が心配です」

男「なぬ?」

男「だいたい出たのか。これで」

メ「主様って結構メタな発言を時々さらっとぶっこみますよね」

男「自分でもそう思う。なんだかんだで昔のやつを掘り起こしつつ自分がどんなだったか思い出してきたかもしれん」

メ「何この記憶喪失から回復していく系RPGみたいな感じ。主様のくせに主人公面とは生意気な」

男「名前に主って入ってる時点で俺もそれらしい立場と思えないのか」

メ「主様、主様。身分不相応って言葉がありましてね?」

男「ああ、お前のことだわ」

メ「何ですと! この従者にして自宅警備員まで兼ね、なおかつ超絶ぷりちーな私に向かって何て言い草!」

男「どれも否定できない要素なだけになぁ……」

メ「素直に認められると照れるぜ」

男「マジ照れしてる場合か。まぁともかくだ。じわじわ会話をさかのぼりながら、実は中途半端になってた中篇やらを片付けるんだとよ」

メ「マジっすか。それ多分、無理な気がしてならないんですけど」

男「やる前から否定かよ。もう少し信用ってもんをだな」

メ「あると思います?」

男「……」

メ「信用話題のときに露骨に目をそらすのってどうかと思うんですよ、主様」

男「最近の寒さは異常だよな」

メ「全くです。どうにかしてますよね」

男「君、外でないけどね」

メ「主様の気持ちを大便してさしあげてるのに。ね、う○こマンな主様」

男「そっちの大便はしなくていい。誰がスカトロマンか」

メ「主様ってば女の子に向かって何てはしたない」

男「言い出したのどっちだろうね」

メ「でもさすがにこう寒いと野○ソもかりんとうと見間違うくらいにかっちかちになりそうっすね」

男「久々に喋った話題がずっとそれってどうなんだよこれ!?」

メ「ほら、最近は美少女が下ネタ言うのが流行りらしいですし」

男「そっちの下ネタ!?」

役員共のことかー!

メ「主様、出展抑えられると困る気がしません?」

男「いや、俺は困らんけど」

メ「なんていうか、得意げに見せたパクりネタマジックのタネあかしされてるみたいな」

男「だとしたらパクったやつが悪くないか?」

メ「まぁひどい! 主様ってば私の味方ではなかったんですか! ちなみに私は味方しませんが」

男「だとしたら俺はどれだけ聖人君子なんだよ。あとお前に味方する道理はないぞ」

メ「そこはほら、雇用者としてね?」

男「雇用者と被雇用者の間柄でプライベートにまで世話する義務はねぇよ」

メ「そんなこと言ってると賢い諸兄が何か難しい法律やら持ち出してきっと主様を諌めてくれるはず」

男「そこも他力本願なのな」

メ「他力本願時ですね」

男「謀反の象徴!?」

メ「主様、そういや急にペース落ちましたね」

男「おい。今回というかこれからはなるべく楽屋ネタはやめていこうって謎のポリシーはどこいったよ」

メ「いいじゃないっすか。どうせネタなくて困るのは目に見えてるんすから」

男「……反論しづらいことを」

メ「にしてもやっぱあれっすか。わずかなプライベート時間をゲームに割くようなダメ人間のせいっすか」

男「言うなよ、あれで結構ストレスたまってんだから。せっかくゲーセンいけない憂さを晴らせるんだから」

メ「よく鯖落ちしてて悲しみにくれてるのに?」

男「おのれバ○ナム……!! っても一人でも色々練習できるから! できるから!!」

メ「家事もしながらね」

男「ちくしょおおおおおおおお!!」



男「っていうか俺、関係ないのになんか代弁させられてねぇか」

メ「主様、今日はバリ3な感度ですね。マカビンビンですね」

男「下ネタを放り込むのはさっきのあれからか」

メ「待ってください主様、私の下ネタは前からです。アイデンティティです」

男「もう少し恥らおうぜ……」

メ「ところで主様」

男「どうしたよ」

メ「なんか来客が」

妹嬢「お久しぶりです、兄さん」

男「ああ、俺の妹にして完璧超人で世界経済の一翼を担ってておまけに美人でちょっと強がりだけど本当はいい奴なおれの妹じゃないか」

妹嬢「あの、兄さん。頭は大丈夫ですか?」

メ「主様、主様。ふた○りとブラコンと貧乳属性とあと寝取り女が抜けてますよ」

妹嬢「あ、あなたって人は……! 生えてません! というか何でそういうありもしない話を!!」

メ「おんやぁ? 主様のこと別に好きでもないと? んん?」

男「こいつ悪い顔してんなぁ」

妹嬢「そういうことを言っているのではなくてですね! そもそも来客なんですよ、もう少し来賓らしく扱えないのですか」

男「ま、お前がそれだけ家族になってるってことだろ」

妹嬢「か、家族……兄さんと家族……」

メ「楽しそうな幸せ家族計画を想像してるとこ悪いんですけど、意味合いが違うよーな」

妹嬢「く、わ、わかってます」

男「それよりお前、何飲むよ。珈琲でいいか?」

妹嬢「ええ、兄さんが淹れていただけるのでしたら何でも」

メ「主様、多分こういうお嬢様には珈琲もインスタントじゃまずいような。ここはひとつ秘伝のタレで」

男「タレ!? い、いや、とっておきのお茶くらいならあるけど」

メイド長「ほう、お嬢様相手に出し渋りですか。結構なご身分でいらっしゃる」

男「ひっ!? いつの間に背後に!? あと何かあたってる、首筋に何か!!」

メ「いきり立ったナニかとかですか?」

男「それはそれで恐怖だけど!?」

妹嬢「構いませんよ、兄さん。私は普通の家族として扱っていただけるほうが嬉しいんですから」

男「だ、そうですよ?」

メ「冷や汗かきまぐりながら従者の機嫌を伺う雇用者の鑑ですね」

男「し、しにたくないもの!」

メイド長「……致し方ありませんね。しかし、坊ちゃんの手を煩わせるのもどうかと思いますので私が淹れます」

男「そっすか、お、お願いします」

メ「おお、絶対普段飲めない紅茶とか出てきそう」

妹嬢「むぅ。兄さんの淹れた飲み物……」

男「次の機会に、な。さてと、お茶請けは何があったかなぁ」

メイド長「……坊ちゃん?」

男「ひ!?」

メ「この人、意外と怖いもの知らずだ」

メ「主様、主様。たまにはメイド服以外を着ようと思うんですが」

男「お前って時々自分のアイデンティティを全力で投げ捨てにいくよな」

メ「いやぁ」

男「ほめてねぇしよく考えたらそもそも働いてない時点でメイドってのもどうなんだろうな」


【衣装係】


メ「さて、私の立ち位置を改めて把握したところで」

男「待て待て待て。俺としてはお前の立ち位置をそこで確定させる気はないぞ」

メ「カワイイ衣装を着たいんですよ、主様」

男「お前の強引さが時々怖いよ。つぅかどういう風の吹き回しだ」

メ「私だって女子っすからね。時にはそういう願望も」

男「へぇ、コスプレ衣装写真一枚につき5000円ね」

メ「……せ、生活苦で」

男「だとしてももう少しまともな方法があるよな!? なんで身売りなんだよ!」

メ「安心してください、主様でやりますから!!」

男「やりませんから?!」

メ「そんな主様。私にそんなはしたない商売をしろと?」

男「お前は俺がそんなはしたない目にあっていいのか」

メ「はい」

男「綺麗に即答しやがって!! というか、そもそも衣装もねぇし、俺は着ないし!」

メ「ええ、もう衣装係をお呼びしたのに」

女「あ、あはは……ど、どうも」

男「女さん!? 俺のクラスメイトにして結構引っ込み思案だけど裁縫とか得意で将来の夢はデザイナーの女さんだね!!」

女「なんで説明口調なのかな……」

メ「ガイアの意思です。ちょっとくらい強引にいくことになったんです。というわけで女装(させるのが)好きの女さん」

女「ち、違うよ! 別に誰だっていい訳じゃないんだよ!」

男「少なくとも嫌がる相手にはしないでね」

女「うん! だから男くんはいいんだよね」

男「なんでそうなる!?」

メ「ささ、主様。こっちに化粧台も用意してますんで」

男「待て待て待て待て、そもそもはお前が衣装着たいって話から始まったんだろ!」

メ「私も着ますよ? 主様も着るだけで。撮影するだけで」

男「お断りだ!!!」

女「あう……一生懸命準備したのに……」シュン

男「う、ぐ。そ、そんな顔したって……」

女「……」ウルウル

男「……」

女「……」ジワ

男「ああああああもう!!! わかった、わかったから! 百歩譲って着るまでだからね!?」

女「やたっ」

男「……。女の子ってこわい」

男「というか最近のキャラ紹介みたいな流れなんだよ」

メ「1stシーズンのが大体解禁された記念だとか」

男「もはやメタ思考甚だしいな!」

メ「でも主様。この流れであと出てない人が一人いて、私ものっそい危惧してるんすけど」

男「ん? あとって誰が……あ」

┣¨┣¨┣¨┣¨

男「うん、残ってたね」

メ「はい、物理的にすごい人が」


【いつの時代も姉はつよし】


姉「おとちゃああああああああああん!!」

ドゴォ

男「ふご!!!?!?」

姉「えへぇ」

メ「楽しそうなとこ悪いんですが、ロケットダイブが文字通りの威力をもって主様のお腹に突き刺さってるんですけど」

姉「あ、メイドちゃん! やっほー!」

メ「はい、やっほー。ううむ、相変わらず人の話を聞かない人だ」

男「ね、えさ……」ピクピク

姉「なぁに、おとちゃん。頭なでてほしいの? いいよ、よしよし」ナデナデ

男「う、ぐ、むぅ」

メ「おうおう。顔を赤くしたり青くしたり忙しいですな。っけ」

男「めい、ど」

メ「なんすか?」

男「たぶ、……げふ、折れた……」

メ「……」

姉「よしよし」ニコニコ

メ「マジ?」

男「……」コクリ

メ「……救急車あああああああああああああ!!!!!!!」


あねはつよし(物理)

委員長「全く、どういう理由よ。いきなり入院で、しかも原因が身内の犯行なんて」

ショリショリ

男「いや、犯行ではないから。えっと、その……若気の至り?」

委員長「それ、子供が間違って出来たときのやつよね」

男「な! ば、ばか! 姉弟でそういうなのはな、えっとその」

委員長「何を赤くなりながら当たり前のこと言ってるの?」

男「委員長の容赦のなさって今に始まったこっちゃないとはいえ、きついのな」

委員長「馬鹿言ってるのは貴方でしょ。それより、はい」

男「お。うさぎカット。あんがとな」

委員長「どういたしまして」シュ パチン

男(……なんだろ、今ものすごい手捌きで刃物を懐にしまったような。ていうか、よくよく見たら随分肉厚なナイフだったような)

委員長「何?」

男「んや、なんでも。……はぐはぐ。んむ、うまい」

委員長「それは重畳。一応、果物屋さんの見立てに任せたけれどいいものを見繕ってくれたようね」

男「へぇ。なんだ、委員長はいいお嫁さんになれそうだな」

委員長「……思ってもないこと、言わないほうがいいわよ」

男「本当だって。はぁ、それに比べて」

メ「んごご、ぐごぉ……」zzz

男「こいつは何しにきたんだろ、マジで」

委員長「少なくとも看病ではないわね」

男「委員長が来るまでこいつずっとゲームするわ、人のお見舞い品食い漁るわで傍若無人ぶりを発揮してたんだぜ」

委員長「本当に何しにきたのかしら」

男「ま、とりあえず面会時間が終われば帰るだろうけど」

委員長「そうなの? 貴方の家、今誰かいるの?」

男「いないな」

委員長「この人、一人で生活できるの?」

男「……。絶対無理だな」

委員長「どうするのよ」

男「……」

委員長「……。だめよ、私は」

男「そ、そこを何とか」

委員長「いきなり連れて帰れるわけないじゃない。家族にだって何て説明するのよ」

男「拾ったとか?」

委員長「捨て猫じゃないんだから……。本当に誰も当てはないの?」

男「一応、身内とかに相談してみる」

委員長「それでダメなら連絡して。何とかしてみるから」

男「すまん。恩に着る」

委員長「貸しにするわ。期待しないで待ってる」

男「了解。……さて、うちの馬鹿妹に何とか頼み込むか」

女「そ、なんだ。昨日はいいんちょさんが」

男「そそ。で、こいつは結局カプセルホテルだった」

メ「主様がふがいないせいで。妹嬢さんには断られ、委員長さんにも遠慮してで。私にどうしろってんだ!!」

男「普通に自炊とかしてくれよ……」

女「あはは……それにしても災難だったね」

男「災難っていうか、まぁ、うん」

メ「暴走機関車に撥ねられたみたいなもんすからね。災難以外の何もんでもないでしょう。人災ですが」

男「一度ちゃんというべきなんだろうなぁ」

女「大変、だね。あ、そだ。りんご剥こうか?」

男「お。女さんもそういうのできるんだ」

女「えへへ、一応女の子、ですから」

男「だそうだぞ」

メ「私、性別:メイドなんで」

男「職業とか属性ではなく!?」

メ「さておき、昨日は委員長さんがしっかり腕前披露してましたからね。女さんのポイントアップ作戦やいかに」

女「あう。緊張すること言わないでぇ」

男「気楽にでいいよ。っていうかあれだ、やってもらう側なんだから何だって嬉しいし」

女(うぅ、でもそういう家庭的なところで差が出たら女の子としては自信なくしちゃうんだよぉ)ショリショリ

男「おー。綺麗だ」

メ「ふっ、やはり美しさは罪ですね」

男「なんかポーズとってっとこ悪いけどお前じゃねぇから」

メ「じゃあ女さん?」

女「ふぇええ!?」ザクッ

男「ちょ、ば!? あぶな!!!? めちゃくちゃ食い込んでる、食い込んでる!!」

女「わわわわ!?」

男「あと数ミリで指までいってたよ……とにかく無事でよかった」

女「はううう、心配かけてごめんね、ごめんね」

メ「全く、主様は」

男「黙っててくれるかな、諸悪の根源!?」

女「ど、どうしよ。一応おもっきり形悪くなっちゃうけど、いい?」

メ「大丈夫です。この後スタッフがおいしくいただきましすので」

男「うん、まぁいただくけど」

女「じゃ、とりあえず続きを……」

メ「ところで女さん、主様の尿瓶を交換してもらおうかと思うんですが」

女「わひゃあ!?」

ザクッ

男「もうお前本当黙ってて!!?」

おつ

メ「主様、主様。早速ダメな展開になってますが大丈夫ですか」

男「多分大丈夫じゃない。大丈夫じゃないな」

メ「大事なことだけど二回言うようなことではないような」

男「い、言うなよ。気にしてるのに」

メ「さておき、いいんですか。既にイベント一個逃しましたよ」

男「お前どうせチョコくれないじゃん!!」

メ「そら、あげたらアイデンティティに関わるので」

男「そういう保ち方ってどうなんだろう」

メ「それよりほら、主様から渡すものあるでしょ」

男「あれ!? そういうイベントだっけこれ!?」

メ「いいから渡す。ほら、さっさと渡す!!」

男「ぐ……なんか納得いかねぇけど」

メ「おお、……おお? 市販じゃないっすか」

男「仕方ないだろ! 作る暇なんてなかったんだから」

メ「主様、こういうのって気持ちが大事なんだと思いまふ」モキュモキュ

男「既に口にしながら言うことかよ。高かったんだぞ、それ」

メ「ゴリラでしたっけ」

男「ゴディバな。うまいか?」

メ「はい。あー、でも」

男「ん?」

メ「主様の手作りのがうまいっすね」

男「な、ちょ、ば……!」

メ(おーおー、赤くなって。なんでこの人本当こう、ヒロイン気質なのか)

乙乙。

ほしゅ

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