真尋「学校サボってしまった…」 (73)
•改行できない(頼むから突っ込まないで
•つまらん
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真尋「幸いニャル子達は学校行ってくれてるし…」
真尋「ゲームでもするか…」
prrrrr
真尋「」
真尋「無視だ…よし…無視しよう!!」
ピ-と言う発信音の後に((ry
ニャル子「どうしたんですか!真尋さん!早く学校に来て愛を育みましょう!!」
真尋「…気づけばニャル子から63件もメールが…」
prrrrr
クー子「…少年…学校に来て…私…悲しい…」
真尋「……携帯の電源を切ろう…」
クー子「……くすん」
ハス太「真尋君!!」
真尋「は、ハス太!?なんで家に」
ハス太「学校に来ないから心配で帰ってきたんだ!」
つまらないって分かってるなら、書かない方がいいよ
開業しろ
読めたもんじゃない
つまらないものをなぜ書くのか?
暇(だから)でしょ!!
改行して続きはよう
つまらないものを面白いものにするための練習なんじゃねぇの?
わかったちょっと本気だす
真尋「……心配なんて必要ない」
嫌に冷たい声だった
自分でも竦んでしまいそうな怖さがある
ニャル子「まーひーろーさーん。そんなことーー」
ニャル子の優しい声だった
いつもふざけているけれど、いつも僕を気にしている
いや、違う。僕を気にしてくれている
けれど僕はベッドを強く叩き、言葉を止め
真尋「煩い! 一人にしてくれ!」
そして怒鳴った
3人の不安そうな瞳が僕を見る
ニャル子の怯え混じりの瞳が
僕をどうしようもなく蝕んでいく
ニャル子「……ご免なさい」
寂しそうで悲しそうなその声を部屋に残し、
3人は僕の部屋から出ていった
真尋「………………」
学校にいかなかったのは、学校が嫌いだからじゃない
学校にいくことであの3人に拘束されるからだ
朝も一緒、学校も一緒
そして夕も夜もずっと一緒なのだ
一日中3人といるのが当たり前だった
だから学校をサボって僕だけの時間を作ろうとしたのに、
あの3人はそれさえも許してはくれない
真尋「馬鹿野郎」
誰に言うわけでもなく呟く
そしてため息が漏れ、僕はベッドに横になった
静かになったことで、
部屋だけでなく家の中の生活音が聞こえる
ニャル子『真尋さんの好きなものを作るですよ!』
クー子『わかった』
ハスター『頑張るよ!』
そんなことしたって突き放してやる
そう決めた僕の意思に逆らって、
朝も昼も食べていないお腹はなってしまった
真尋「……僕って、ホント馬鹿だ」
今度は自分に言う
素直に言えばいいのに、
素直に言うことができない
素直に言うなんて嫌だった
いいじゃない
ひねくれているとは思うし、
もっと優しいやり方があるとは思う
でもこれは僕が僕であるためにしなければいけなかっーー
ニャル子『こぉらハスター君! 今回はすべて地球そして日本産だけですよ!』
ハスター『あ、うん。ごめんなさい!』
騒がしい3人だ。
部屋にいないのに、まるでそこに居るかのように声を響かせ、
僕にまで届けてくる
煩いと言ったのを聞いていなかったんだろうか
いや、言ったところで止まらないのは判っているはずだ
真尋「ニャル子……」
僕が思い悩み、
ニャル子達を遠ざけようと決めたきっかけは、
数日前の夜中、トイレに起きたときだった
あの夜はいつもと変わり無いものだった
けれども飽きることはない満足なものだった
しかし、そんな日常を壊したのは他でもないニャル子達だった
僕はトイレから戻る途中、
一階の電気がついてることに気づき、
初めは夜更かししてゲームかと思ったし、
電気の消し忘れだとも思った
新作ゲームを買ったからだろうし、
明日が休日となればそうしてしまう気持ちもわかる
僕はニャル子達が人間らしいことにはにかみつつ、
寝ていたらどうしようとか、起きていたらこうしようとか
そんなごく普通の考えで扉に手をかけた
ニャル子「……嫌だといったら?」
開いた隙間から光が漏れ、ニャル子の声が聞こえた
いつになく真面目な声に、
僕は思わずそのまま盗み聞きしてしまった
隙間から見えるハスターがニャル子の問に首を振ると、
ニャル子はハスターの胸ぐらをつかみあげた
ニャル子「ふ、ふざけんじゃねぇですよ!」
クー子「意味がわからない」
ハスター「僕も解らないよ……でも、駄目なんだって」
ニャル子「………良いですか、真尋さんには秘密ですよ」
僕は聞いてはいけなかった
でも偶然という名の運命がそうさせた
ニャル子「私達が真尋さんとは会えなくなる。なんて」
はっきりと……聞いてしまったんだ
ここまで
じゃあ何故最初からベストを尽くさなかったのか!?
乙でしょ!!
期待してるぜ
真尋「はぁ……」
あの日を思い出したせいでまた鬱になる
あの日からニャル子達といるのが楽しくなくなった
逆につまらなくなったし、苦しくなった
虚しさを感じるようになった
いずれ別れることになる
一生会うことも出来なくなるというのに
これ以上思い出を作っても辛いだけだったんだ
だから突き放すことにした
突き放してニャル子達に嫌われれば、
あいつらだって心置きなく帰ることができるはずだ
僕自身もそうすることで……そうすることで
真尋「……くそっ」
そうすることでもただ辛いだけだった
真尋「でも……必要なんだ」
僕が僕であるためには……
クー子『うん、美味しい』
ニャル子『私完璧!……完璧、なんですかね』
ニャル子の辛そうな声が届き、
そして聞こえなくなった
聞こえないほどに小さな声で会話する3人は
辛いだろうし苦しいだろうけれど、
このまま続けていればきっと嫌いになってくれる
そうすればすぐにでも帰ってくれるはずだ
そうすれば……僕だってすぐに忘れられるはずなんだ
真尋「……帰れよ」
ぎゅっと拳を握り、
挟まれた布団が悲鳴をあげて捻れていく
真尋「帰れよ……帰れ、帰れよ……」
本心とは裏腹の絶対に嫌な事を
僕は呪うように呟いた
僕をこれ以上……苦しめないでくれよ
コンコンッと扉が叩かれ、ニャル子の声が聞こえた
ニャル子「真尋さん、入りますよー」
いつもより調子の落ちた声
元気の欠けた声が少しだけ心を軋ませる
だからだろうか、僕はニャル子を拒絶した
真尋「入ってくるな!」
ニャル子「……だが断る」
なのにニャル子はまるで関係ないというかのように部屋に入ってきた
真尋「こういう時くらいーー」
僕の声をかき消すように
本音を代弁するようにお腹が鳴ってしまった
ニャル子「ほ~らぁまっひろさ~ん。お腹が鳴ってますよー?」
嬉しそうにニャル子は言うと
僕に料理を盛った皿を渡してきた
ニャル子「ちゃんと日本産だから安心していいですよ?」
暫く黙って料理をみていると、
ニャル子は心配そうにそう告げたが、
それは聞こえていたから知っている
真尋「……しないんだな」
僕の小さな呟きはニャル子に聞こえたらしい
首をかしげて訊ねてきた
真尋「なんでもない」
ニャル子「でも今ーーー」
なんでもないと言ったのにしつこく聞かれたからか、
さっきからずっと苛立っていたがゆえの八つ当たりか
真尋「なんでもないって言っただろ!」
僕はそう怒鳴り、拍子に料理を床に落としてしまった
ニャル子「あっ……」
ニャル子の悲しそうな声が漏れる
カラカラと皿が空しく揺れ、そして止まった
無惨にな姿になった料理を2人して見つめ、
ニャル子の元気のない声が響いた
ニャル子「……どうしてですか?」
手が汚れることもいとわず、
ニャル子は床に散らばった料理を集め始めた
ニャル子「どうしてこんな酷いことするんですか?」
真尋「………………」
ニャル子「どうして急に……」
お前らが帰っちゃうから。
そんな大事なことを黙ってようとしているから
いくつもの理由があって、でも一番はーー
でもそれを僕は言わない。言えない
真尋「嫌いだから……」
ニャル子「っ…………」
真尋「お前達が、ニャル子が……大嫌いだからだよ!」
いつもならふざけて流すニャル子は動きを止め、
悲しそうな目で僕を見つめてきた
真尋「もう帰れよ、いい加減うざいんだよ!」
ニャル子「………………」
もう遅かった、もう止められなかった
料理を拾い終え、ニャル子はドアへと向かう
さびしそうな、悲しそうな、苦しそうな背中
そしてそんな声でニャル子は呟いた
ニャル子「そーですね……うざくてごめんなさい」
ニャル子は振り返らない。まるで僕とニャル子の関係の溝のように、
ドアが開いていく
ニャル子「でももう……大丈夫ですから」
そしてニャル子は。3人は……いなくなった
ここまで
ID、改行、にょろ線、伸ばし棒はスマホなので悪しからず
乙
へ、へぇ
少しはやるじゃん
ニャル子に嫌いだと言い放った日
目を覚ました翌日
みんなにとってはなにも変わらないはずの一晩は
変わっても積み重ねの一部とか
そんな些細なものであるはずの一晩は
僕の周りを一変させた
正確に言えばなにも変わってはいない
でも確かに変わった、欠けてしまった
でも……その事に僕は気づかない
いやその変化を解らなかった
真尋「ふわぁ……」
大きなあくびと共に体を伸ばし、
起ききれていない体を引き起こした僕は、
いつものように一階へと向かった
真尋「今日の朝食はーーって母さんは出張だったっけ」
体は起きても頭は寝ているようだった
真尋「作らないとな……」
一人分の朝食プラス昼食の弁当用の量のはずなのに、
気づけば食卓一杯に取り皿と箸を並べ、
弁当箱は4つも出していた
真尋「いい加減起きろよ僕……なにしてんだよ」
そんな自分に渇を入れる為に、
冷水で顔を洗うことにした
いつものように学校へと向かい、
自分の席に座ると、親友の余市が声をかけてきた
余市「あれ、今日は一人かい?」
真尋「なに言ってるんだよ。僕はいつも一人だったろ」
すぐにそう返しはしたが、
僕は頭の片隅にその言葉が引っ掛かったのを感じた
余市「そういえばそうだね。まだ寝てるみたいだ」
僕らのその言葉にしがたい変な空気を吹き飛ばすように、
珠緒「おっはよー八坂くん、余市くん」
クラスメイトの暮井珠緒こと歩くスピーカーが
隣の誰かの席に座った
余市「おはよう暮井さん。今日も元気みたいだね」
珠緒「朝から元気に明るくじゃないと生きていけないよ!」
真尋「逆に疲れると思うけどな……」
けど、暮井の相手してるこっちが疲れそうだ。と、
ため息をついて窓の外を見上げた
晴天じゃなく、今にも雨が降りそうな
もっと言えば嵐でも来そうな静けさのある嫌な空だった
珠緒「八坂くんどうかした? 元気ないね」
真尋「嫌な天気だなって思ってさ」
珠緒「そーだね、台風近いらしいよ」
暮井の声が切れると同時にチャイムが鳴り、
席に戻るみんなの足音でクラスが慌ただしくなっていった
中断
乙
期待してます
普通に面白いじゃないか
なにかが変だと訴えるように頭が痛む
なにか物足りなくて授業内容を頭に詰め込む
けれどなにも埋めてはくれない
真尋「……なんなんだよ」
まるで大切なものを失って、
心に穴が開いてしまったような
夢心地の空疎な世界に思えてくる
なにもなくなってはいないのに
僕自身はなにも変わらず、周りも変わっていないはずなのに
真尋「何でこんなにも……違和感がある……」
ぎゅっと胸元を押さえ、小さく呻く
何でこんなにも辛いんだろう?
僕にはその理由が解らなかった
僕はなにも知らず、なにも解らなかった
そんなもどかしさに苛立ち、
それを代弁するかのように雷鳴轟き校庭の木々を引き裂いた
四限が終わって昼休み
激しい風雷雨が外の世界では煩く、
授業中から絶えなかったざわめきは最高潮に達した
珠緒「すっごいねー雨、風、雷」
真尋「今日はどうすんだろ。もう下校すんのかな」
とは言いつつ、それはないことは明白だった
こういう場合、親が迎えに来るのは難しく、
学校に泊まることになる。と、生徒手帳か何かに書いてあった
けど授業は頭に詰め込むたびに違和感を増大させるし、
作った弁当は喉を通りそうもなく、
家に帰るとまでは言わずとも
一人になりたかった
そんな僕に追い討ちをかけるように、
暮井は思い出したように呟いた
珠緒「そう言えばみんなは? 屋上は使えないしここで食べるんでしょ?」
真尋「みんな?」
引っ掛かった余市の言葉に重なるように、
暮井の言葉が止まってしまう
そして今朝の僕の異行がその足を引く
真尋「みんなって……誰だよ」
珠緒「え? それはーーあれ?」
暮井も解らないらしい
不思議そうに首をかしげると、
困ったように笑った
珠緒「おかしいなぁ、八坂くんと私と余市くんだけだったっけ?」
真尋「そうだよ……多分」
はっきりと言えなかった
それは僕自身がそうではないと気づいてしまったからだ
足りない。欠けている。
何かが。大切な何かが。
しかし、その何かが僕には解らない
暮井にも、余市にも解らない……
真尋「……くそっ」
椅子を蹴るように立ち上がり、
僕は教室を飛び出した
ここまで
期待しています!
気づけば屋上だった
教室を飛び出し、向かった先はうやむやな残像残す屋上
止まることを知らない自然のカーテンが
僕の瞳から這い出るくすんだ光を映し出す
晴れているのだろうか、曇っているんだろうか
モノクロの映像では解らない
いや、解る。晴れている。雲一つない快晴だ
曖昧な記憶の映像は僕の周りぼかしてしまう
一番知りたいものがまともに判別できない
目を凝らす、でも見えない
それは瞳の内側、映像が細くなっていく
そして黒い闇に閉ざされていく
真尋「ま、て……待てよ……まだ、まだーー」
終わりじゃないだろ……僕の記憶は……
最後まで口にする前に、
僕の体は前のめりに倒れこんだ
真尋「っ…………」
「あっ……やっと起きた。大丈夫? 八坂くん」
記憶にはある銀髪の少女の顔が視界を占拠する
真尋「ここは?」
「保健室だよ、八坂くん急に飛び出したと思ったら屋上で倒れてるなんて」
「私ほんとビックリしたんだよ?」
心配な瞳とややお怒りの表情のコラボレーションが
僕の心を深くつく
誰だっけ……こんな子を知っている
いつも僕を心配してくれる人がいた気がする
真尋「……ごめん」
でも思い出せはしない
濃く書いたがゆえに消しても残る筆跡のように
それは確かに存在していたと訴えてくるのに
「なにかあっーー!?」
だから僕は彼女をより強く感じるために、
抱き締めた。強く、強く……
「や、八坂くん! ほ、ほんとにどうしたの?」
僕は答えず、応えるようにさらに強く少女を抱いた
白い世界に映える銀髪の髪を優しく撫でる
彼女の吐息と僕の吐息
無機質な秒針の鼓動と僕らの鼓動が混交し、
隔離された白い世界に僕だけを置き去りにする
抱き締めている温もりを感じるのに、
空気を抱いているかのように姿はなかった
消えていく、大事なものが、失われてしまう
真尋「……ろ、やめろ、やめてくれよっ!」
「ーーくん!」
真尋「これ以上僕のーー」
「八坂くん!」
一際大きな彼女の声で、
抱き締めていた空気が姿を取り戻す
しかしそれは銀髪の少女ではなく、
クラスメイトの暮井だった
中断
珠緒「……大丈夫?」
真尋「大丈夫って言って信じてくれるか?」
皮肉の込められたそれに
暮井は黙って首を横に振った
真尋「だよね……」
冷ややかな笑みを浮かべ呟く
空気を震わせる力さえないのか
秒と言わずに消え去ってしまう
手に残る暮井を撫でた感触
胸元に残る暮井を抱き締めた温もり
それは今現実で体感したものだ
なら、この痛みはなんなのだろう
胸を打つこの痛みはなんなのだろう
あの銀髪の少女は誰なのだろう
僕はなにも解決せず、
ただ謎ばかりが増すこのスパイラルを抜け出せずにいた
珠緒「ねぇ八坂くん、何かあった?」
真尋「なにもないよ」
なにもない。
昨日まで平凡だったはずの僕の記憶
でも、それは改窮されたかのように何かを隠し
痛みを伴って邪魔をする
ピントのぶれたような思いでの中の写真
なぜそこに行ったのか解らないような場所
なぜ怒り、なぜ驚き、なぜ笑い、なぜ泣いたのか
それすら解らないような場面も沢山ある
ああ嫌だ、吐き気がする
虚無のどろりとした空気が体の中を巡り、
寒気がする、虫酸が走る、鳥肌がたつ
そんな僕の背中を暮井の手が優しく撫で下ろした
珠緒「早退する?」
早退してもしなくても、なにも変わらない
そうだ、変わらないのだ
僕が幻覚よろしく何かを意識しているだけで、
意識しなければなにも変わりはしない
そんな確証もないものにすがり、僕は暮井の提案を断った
ここまで
ミテイルゾ
(^ω^)ノ乙
乙
実際、自分の過去の主軸にいるものの記憶を消された場合ってこんな感じなんかね
そこになにかはあった。でもその何かが解らない……的な
そんなことより>>1とのレベル差凄いんだが……虚無のどろりとした空気とかナニソレ
なんか凄くいい
僕の思った通り、
無駄に意識しなければなにも違和感はない
今朝だって寝ぼけていただけだし、
余市はただの勘違い、暮井もの言葉なんかは別におかしくもない
真尋「そう、なにもおかしくはない」
言い聞かせるための言葉は役割を果たせずに霧散する
おかしくないなんて無茶なのだ
なにも変わっていないと思うなんて無理だった
HR終了の鐘が鳴る
それは始まりか終わりか
力増す台風はそれを僕に伝えようとしているようにも思えた
珠緒「結局学校宿泊だね」
真尋「仕方ないよ、この感じじゃ車さえ飛びそうだし」
雨が小石のように窓を叩き、
風がガラスを震えさせ校舎を軋ませる
幾度目かの落雷が地を裂く
冷静に考えてもファンタジー性を疑わずにはいられない
真尋「まるでゲームの中にいるみたいだよ」
僕はそう思った。それが当然の思考の気がしたから
しかし、暮井も余市も
困った笑みを浮かべると、それはないよ。と否定した
余市「確かに日本じゃ珍しいけど、世界で考えれば無いこともないかな」
珠緒「そうだよ。八坂くんゲームのやり過ぎかもしれないよー?」
茶化すような言葉
そうかもしれないなーと笑って済ませられるようなことなのに
僕は無性に腹立たしかった
真尋「なんだよ、馬鹿にしてるのか?」
珠緒「そ、そんなつもりはないよ! ただーー」
真尋「ただなんだよ!」
ダンッと机の叫びが教室の雑音を吹き飛ばし、
奇異の目が僕らに……僕に向く
暮井の心配そうな瞳の中にある
隠しきれない恐怖の色が僕を責め立てる
やめろ、やめてくれ
そんな目で僕を見るな、僕は悪くない
頼むからやめてくれ
やめろ、やめろ……心に念じるその声は
次第に心を冒し、体を支配し始める
珠緒「八坂くーー」
彼女の手が伸びてくる
それを最後に僕の意識はプツリと何かを解放し、
気づいた時には暮井は倒れた机と椅子に挟まれ
散らばる教材の上で仰向けに倒れていた
珠緒「や、坂くん……」
真尋「僕じゃない、僕じゃない……僕はおかしくなんかない!」
僕の叫びはどよめきを呼び、
悲しそうな、苦しそうな、辛そうな、そして怯えた暮井の瞳を引き付けた
余市「暮井さん、大丈夫?」
珠緒「うん……平気だよ」
茫然自失の僕を一瞥し、余市が暮井を助け起こす
明らかに平気じゃなかった
痛むのか、頭を押さえている
怯えているのか、体が震えている
それなのに暮井は微笑んだ
珠緒「ごめんね、八坂くん」
真尋「違う、悪いのは……悪いのは……」
悪いのは僕だ。
悪いのはすべて僕なんだ
泣きそうな僕の心ごと暮井の温かさが包む
真尋「ごめん……暮井」
珠緒「ううん、大丈夫だよ八坂くん」
恨むべきで、憎むべきで怒るべき相手であるはずなのに
暮井はそう囁くと頭を撫でてきた
中断
気を取り直しみんなに謝ったあと、
僕は暮井と一緒に空き教室に来ていた
珠緒「それで、どういうことなのかな?」
真尋「……僕にもよく解らないんだ」
今朝のこと、余市の発言、暮井の発言
名前の解らないぼやけた姿の銀髪の少女
どれも頭の中の何かを引き出そうとしているが、
扉は重く硬く開く気配は全くない
珠緒「なるほどね……その何かが解らなくて不機嫌なんだ」
真尋「一概に全てがそのせいって訳じゃないよ」
僕の胸を締め付け、深く突き刺して串刺しにする痛みは
病気とかでもなく、何かに対しての罪悪感であると
真尋は気づいていた
珠緒「やっぱり、その銀髪の子じゃないかな。原因は」
真尋「それは僕も考えたんだけど………」
記憶上にはそんな少女はいない
勿論モザイクのかかった部分や、
明らかに誰かがいた空白に彼女が当てはまる可能性はある
けれど、思い出せないから解らない
珠緒「八坂くんのお母さんなら解るんじゃないかな?」
真尋「あ、確かに」
珠緒「八坂くんが小さい時で忘れちゃったのなら、お母さんなら解ると思う」
今は出張中で電話に出てくれるか怪しいけれど、
僕は一か八か母さんに電話することにした
中断
期待はいつも裏切られる
希望はいつも絶望という二重人格の影に隠れてしまう
《ごめんねひろくん、知らないわ》
受話器から声が漏れ、
手から携帯が滑り落ちてカシャンッと寂しい音をたてる
《ひろくん?》
珠緒「ぁ、ご、ごめんなさい! 八坂くん!」
誤ってぶつかったかのような演技の声
僕は体に鞭を打ち、心配ないことを告げて電話を終えた
真尋「……駄目だった。か」
何となく外を見る
窓を流れる川のような雨に遮られ
なにも見えなかった
なぜここまで落ち込むにかさえ解らない
違う……落ち込むのは求めているからだ
求めて、得られなかったから落ち込む
ならなぜここまで求めているのか
時の経過で忘れるような存在を
なぜ今さらになって思いだし、気にしているのか
真尋「暮井……ごめん!」
おもむろに学校を飛び出す
雨風に打たれながら、雷鳴に脳を揺さぶられながら
全力で家へと向かった
僕らの記憶は忘れ去り、
彼女の記録はどこにもない
けれど家のアルバムになら。
僕だけしか知らない、
素直になれないために秘密になっているアルバムになら
欠片ほどの情報くらいはあるかもしれないと思った
とんだご都合展開だとは思う
自分のコンプレックスが自分を救うなんていうことは。
けれどそれにすら期待してしまうほど
僕は彼女に会いたかった
真尋「……あった」
大切で、大事で、無くしたくない、失いたくない記憶
だからこそマットレスの下に隠していたアルバム
そこにはしっかりと銀髪の女の子が写っていた
それだけじゃなく、赤い髪の女の子、金髪の女の子……女の子?
女の子で間違い無さそうなのに、なぜか首をかしげてしまった
名前は解らないけれど、確かにいた
しかも、つい最近まで
……写真の日付は5日前が最後だったのだ
ここまで
アルバムはアニメで真尋が投げたもの
おつ
ならなぜ覚えていないのか
頭でも打って局所的な記憶喪失?
僕一人ならそれで説明出来ないこともない
……かなり厳しいけど。
でも今回は僕だけじゃく回りの人達もだ
その場合、某エイリアン映画みたいな機械でも使わない限り不可能だと思う
しかしながらこの現実世界にはそんなものはないはず
けれど、もしも。
アルバムの中の一枚に写る、
まさにその映画じみたテーマパークがリアルなら
その記憶消去の機械だってあってもおかしくない
真尋「ははっ……なに舞い上がってんだよ、僕は」
その僅かながら不確かで確かな希望に、
僕は心なしか喜んでいた
しかし、解決した訳じゃない
その機械があったとして、誰がなんの目的で使ったのか
なぜこの写真の女の子達が消えなければ行けなかったのか
真尋「なんで……」
誰に向けたわけでもない言葉は
意外にもすぐにかき消された
「それは地球人が惑星保護機構の定めた条約に反したため」
真尋「く、暮井……?」
中断、そろそろ終わる予定
追いついた、乙
珠緒「私は……まぁ良いですョ。ともかく」
珠緒「惑星保護機構の定めた条約に、
邪神と惑星内住人の関係(精神的、肉体的距離)があるですョ」
暮井のはずなのに自己否定して、
それだけで少し混乱しているのに、
暮井は間髪いれずに話を続けた
珠緒「要点を述べると、地球人が邪神を好きになってしまったからですョ」
珠緒「定期的に現れる観測霊にそれが知られてしまったが故に
ニャル子さん達は強制送還となったのですョ」
真尋「ニャル子……」
邪神? 惑星保護機構? 観測霊?
良く解らない言葉が並ぶ中、
ニャル子という言葉だけは解るような気がした
珠緒「珠緒達の様子をみた限りだけど、
邪神存在は八坂真尋を中心として殆ど消えてるみたいですョ」
真尋「なぁ、この人達には会えないのか?」
僕は全員が写る写真を暮井? に手渡した
どうやって僕の部屋に来たかとかそんな細かいことは、
今はどうでもいい。とにかく銀髪の少女について知りたかったし
可能ならば会いたかった
そんな僕の気持ちに気付いたのか、
それとも始めから知っていたのか、
暮井は小さく笑うと、頷いた
珠緒「でも」
しかし暮井はそのまま告げず
険しい表情で僕を見つめて繋げた
ごくっと生唾をのみ、
外の激しい雨音さえも消え、
まるで空間が別次元へと飛んだような感覚に陥り、
暮井の口の動きがスローに感じた
珠緒「相応の覚悟が必要だョ」
真尋「……覚悟?」
このSSまとめへのコメント
つ、続きを・・・