真・千早「お昼ごはんを作る」 (13)
真千早「お菓子を作る」の続きになります。
千早「真、少しいいかしら?」
真「うん、いいよ」
千早「最近、春香の元気がないの。何か心当たりある?」
真「うーん……ごめん、ボクには心当たりがないよ」
千早「そう……」
真「春香に元気が無いと事務所も少し暗くなっちゃうよね」
千早「春香の元気は私のエネルギー源よ」
真「やよいも調子を崩してるみたいだし……気温が上がったり下がったりしてるからかな?」
千早「だから春香を元気付けるために、今日は料理を作ってあげようと思うの」
真「今からやると……お昼ごはんには間に合いそうだね」
千早「材料はすでに買ってあるから早速取り掛かりましょう」
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ついに千早が真の力を取り戻したのかと思った
>>2だと思った
真「これはまた随分買ったんだね……あ、バニラエッセンスがある」
千早「失敗したときのためを考えて多めに買ったのよ」
真「それにしても……お米30kgも買ったんだね」
千早「単位あたりの計算をしたらこれが一番安かったわ」
真「でもこれ脱穀してないよ?」
千早「……」
真「もしかしてうっかり?」
千早「これは高槻さんにあげましょう。お米は美希から貰ってくるわね」
千早「美希から10kgほど貰ってきたわ」
真「そんなに使うの?」
千早「使わなければあとで春香にプレゼントするわ」
真「そこは美希に返そうよ」
千早「あとで余ったご飯をおにぎりにすれば満足してくれると思うわ」
真「いっぱい作ってあげなきゃ」
千早「お米は鍋を使って炊くわね」
真「炊飯器じゃなくて鍋?本格的だね」
千早「ええ。春香のために一生懸命練習したの」
真「そうなんだ」
千早「鍋で作るとおこげができるから、美味しく感じてもらえると思うわ」
真「その分、手間はかかっちゃうけど」
千早「鍋炊きの後半は難しいからガラス鍋で足りない技術をフォローするしかないわね」
真「千早からすごい熱意を感じる」
千早「これがお米を炊く用の鍋よ」
真「あ、もうお米を浸してるんだ」
千早「4合をすでに1時間程つけてあるから、今から炊き始めるわ」
真「どのくらいやるの?」
千早「沸騰するまでは強火で、あとは中火で行くわ。中が見えるから、適宜調整しましょう」
真「ご飯は千早に任せてもよさそうだね。その間にボクも何か作ろうかな?」
千早「サラダをお願いできないかしら?材料は好きなものを選んで」
真「そういえば、おかずはどれをメインにする?」
千早「お魚にしようと思ってるんだけど……どうかしら?」
真「買ってる魚ってこれだけ?」
千早「ええ」
真「サンマだね……随分と季節外れだけど」
千早「そう……」
真「そんな露骨に落ち込まないでよ」
真「旬じゃないけどサンマはサンマでやっぱりおいしいと思うから」
千早「分かったわ。じゃあそこの七輪で焼いてくれる?」
真「うん。じゃあちょっと切り込みを入れてと……七輪?」
千早「?」
真「わざわざこのために買ってきたの?」
千早「ここにあったものよ。昨日音無さんが一人でほたてを焼いてたわ」
真「じゃあ炭も大丈夫そうだね」
真「千早はどうするの?」塩ふりふり
千早「かぼちゃと大根で煮物を作ろうかと」
真「うーん……コンロが二つとも塞がっちゃうなぁ」着火
千早「サラダは作れそうかしら……?」
真「電子レンジがあるから、ポテトサラダなんてどうかな?」ぱたぱた
千早「お願いね」
千早「ここからは弱火で炊けば良いのね、確か」
千早「大根は乱切りにして……かぼちゃは大きさをそろえた後に面取りをしましょう」
千早「かぼちゃの種は……捨てるのは勿体無いわね」
真「もしかしたら響が欲しいって言うかも。ハム蔵のえさ用で」
千早「我那覇さんのために洗って乾かしておきましょう」
真「……千早ってこんなに料理上手だった?」ぱたぱた
千早「高槻さんに特訓してもらったの……すべては春香のためよ」
真「すごいなぁ……ボクも頑張らないと」ぱたぱた
千早「ああっ!!」
真「どうしたの!?」
千早「お米に愛情を入れてないわ……でも蓋を開けるわけには……くっ……!」
真「……そ、そとからでも大丈夫じゃないかな?」ぱたぱた
千早「そうね……春香、愛してるわーーーー!!!」
春香「ひぃぃ」
春香「プロデューサーさん」
P「……なんだ、春香?」
春香「私、今から凄く営業に行きたいです!」
P「あと1時間ちょっとで雑誌の取材があるんだぞ、ここで」
春香「……」
P「じゃあ俺はそろそろ外に……」
春香「今日はずっと事務所で事務作業しろって律子さんから言われてますよね?」
P「……」
春香「はぁ……」
P「はぁ……」
春香「あの日は大変でしたね……」
P「ああ……目眩はするわ吐くわでもう大変だった……春香の家には迷惑をかけたよ、ほんと」
春香「私も同じですよ……あれ以来、クッキーが食べられないんですよ!」
P「俺は手料理全般が厳しいな……もう火を通すだけの料理かインスタントばかりだよ」
P「最後にまともに食べたのは春香の手料理だったなぁ……懐かしいよ」
春香「あの、身体壊しますよ?」
P「今から壊れるかも知れないんだが?」
春香「……」
P「きっと二人は満面の笑顔でやってくるんだろうな」
春香「ち、千早ちゃんと真を信じましょうよ?」
P「春香も信じてないだろ……」
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