照「また来ちゃった……」 (80)
このお話は
玄「私を使って練習してもいいのですよ?」
と、
照「来ちゃった……」
の続きみたいなものになります。
少し設定がおかしく、判り辛い事になっておりますので、
御面倒であると思いますが、未読の方は読んで頂きたいとは思いますが
玄「私を使って―――――
は少し長いので、最期の方(207レスめ位)から
読んで頂ければだいたいの設定が御理解頂けると思います。
それでは宜しくお願い申し上げます。
つまんね
はよしろや
照英じゃねーのかよ
>>1
の補足として、
このSSにはオリキャラが名前付き、しかも結構な頻度で出て来ますので、
その点の御了承を願います。
松実館玄関。
仲居「御予約の亦野様と御連れ様で御座いますね。お部屋の準備は出来ておりますのでどうぞこちらに」
誠子・尭深・照「「「お世話になります」」」ぺこり×3
仲居「お荷物はこちらにどうぞ。お運びいたします」
誠子「有り難うございます」ぺこり
照<……思ったよりも立派なトコ……ここに菫は居るんだ…………>じ…
照<私はここで―――――>ぼー
誠子「何してるんですか先輩?早くいきますよー」
照「!!う…うんわかった……今行くから」すたすたっ
……………。
松の間。
誠子「じゃあ私達は浴場に行ってきますけど、先輩はホント行かなくてもいいんですか?」
照「うん……後で入るから」
誠子「そうですか……それじゃあお先に行ってきます。尭深行こう」
尭深「うん……それでは……」ぺこり
……。
照「……はぁ」
照<原村先生に唆されて松実館(ここ)に来ようか迷っている時に……>
照<亦野さんから余りにもタイムリーな電話があって、ノリと勢いでここまで来たものの――――>
照<いざ来てみたら、どうしていいか判らなくなっちゃった……>
照<私はもしかしたら……ありえないけど…菫以上のヘタレかもしれない……>はぁ
照「まぁ……取り敢えず…お着きのお菓子でも食べよう……」すっ…
ぱくり…
照「…………」もぐもぐ
照「おいしい……」もぐもぐ
照「お着きのお菓子で出されているなら、多分…お土産物コーナーにもあるから、後でお土産に買っておこう」うむ
照「ええっと……なになに高鴨堂の…『吉野深山』か……」
照「うん覚えた……って私は一体なのをやっているのか……」ずーん
照<……だからと言ってどうしたものか……>テーブルにつっぷし
…………。
がら……。
誠子「ただ今戻りましたー…って、何テーブルに突っ伏しているんですか先輩?」
照「ああ……お帰り。亦野さん。渋谷さん」
亦野「久し振りに入りましたけど、やっぱりいいお湯でしたよ。なぁ尭深?」
尭深「うん……いいお湯だった……」ほぅ…
亦野「ですから。先輩も絶対に入った方が良いですよ」
照「うん……」
…………。
誠子「――――それにしても、誘っておいて何ですけど……」
誠子「まさか第一線で活躍しているトッププロの先輩が、一緒に来てくれるなんて思いも寄りませんでしたよ……」
照「……たまたまスケジュールが空いてたから……」
尭深「…………」ずず…
誠子「本当にそうですよね。前に……三年前だったかな?」
尭深「うん」ずず…
誠子「先輩と同じ様にプロのなった大星も、その三年前にここに来た時は一緒でしたけど……」
誠子「今回は大星の方が仕事で都合が付かなかったですし、先輩も今回もダメかなって思ったんですけど……」
誠子「ホント上手い具合にタイミングが合いましたね」
照「……うん」
尭深「…………」ずず…
照<ホントはあの時も来ようと思えば来れたけど…どうしても来る勇気が無かっただけ……>
誠子「でもs―――――」
コンコン…
?『旅館の者ですが。お客様にご挨拶をさせて頂きたいのですが、宜しいでしょうか?』
照<この声は――――――!!!>びくっ!!
ドキドキドキ…
尭深「…………」ずず…
誠子「この声は……はぁーい。今開けますねー」すくっ
ガチャ…
?「失礼します」ぺこり
すっ…
?「本日は当館をご利用頂きまして、誠に…………ってやっぱりお前らか!!」
誠子「お久し振りです。弘世先輩」ぺこり
尭深「お久しぶりです」ぺこり
照「…………」ぺこり
菫「ああ。久し振り……亦野という名前の予約客がいたから、『もしや』と思っていたが。案の定だったな……」はぁ
誠子「はは…まぁそんな顔しないで……三年振り位ですね」
菫「ああ…それ位だな。で、また私を茶化しでも来たのか?」じろり
誠子「そんな事ありませんよ?」
菫「何故疑問形になっている?」
誠子「あはははは」
尭深「それはいいとして……先輩。その格好は……?」
菫「……やっぱり気になるか……旅館の羽織に、男物のスーツにワイシャツ、スラックスだからな……」
誠子「どうしてそんな服装を?」
菫「お義父さん…社長命令なんだ……男物スーツ一式を、わざわざ女の私のサイズに合わせてるいんだよ……」はぁ
菫「お前らも……だいたい『事情』は判っていると思うが……」
菫「色々有って…社長はどうしても、私を男扱いしたいらしいんだ……」
菫「私としては正直に言って少々不本意ではあるのだが……社長の気持ちを考えれば仕方ない事だとは思うしな……」はぁ
誠子「はぁ…成程……そう言う事ですか……」
尭深<……溜息ばかりの『シュワーヒッター』…………>くす…
照「………………」
菫「はぁ…こんなの来ても女の私じゃ、滑稽なだけで似合う訳ないのにな……お前達もそう思うだろ」
誠子「そんな事無いですよ。似合ってますよ」
尭深「寧ろ…しっくりきてます……//////」ぽぉー
照<…………うん…凄く似合ってる……菫はやっぱりカッコいい……>
誠子<「ここでイケメンですよっ先輩!」なんて言ったらシャープシュートされそうだから黙っておこう……>
菫「有り難う……って素直に喜んでいいものなのか……?」はぁ
誠子「ははは…」
誠子「でも先輩。髪は長いままなんですね?」
菫「ああ…社長に【髪を切れ】とだけは言われなかったな……」
菫「はっきり言って私が短髪にしてもおかしくなるだけだから、言われなくてホッとしているよ……」
誠子「いやいや…もしかしたら案外と似合うかもしれませんよ?」
菫「馬鹿な事を言うな。本当に男性みたいになってしまうだろうが」はぁ
尭深<……それはそれでイケメン…………>ぐっ
菫「それはそうと照。試合とかで忙しいだろうに。よく来れたな」
照「!!?」びくっ
照「……………うん…丁度…時間が開いたから……」もじもじ
菫「そうか……でも、本当に久しぶりだな……高校を出てそれっきりだったから…もう10年近くなるのか……」
照「うん……」もじ…
照<……うう…菫に逢えたのは良いけど……>
照<本人を目の前にしたら、緊張とかで心の中がぐちゃぐちゃして、どうしたらいいか判らないよ……>
菫「だが…正直に言ってお前の活躍はテレビとか新聞で見てるから、そんなに懐かしい感じはしないんだけどな」
照「そ…そうなんだ……私を見ててくれてたんだ……/////」もじもじ
菫「ん?ああ…お前は既にトッププロの一人だから、嫌でも目にするよ」
菫<……何をもじもじしてるんだ?こいつは……>
照「そ…そうなんだ……」もじもじ
照<……は…原村先生に唆されてここまで来ちゃったけど……気の効いた事を一つも言えないよ……>
照<情けなさ過ぎるよ……こんな事なら来なきゃよかった……>うう……
菫「まぁ取り敢えず…久し振りに会えて、一応は嬉しいと言っておこう」にこ
照「……うん…私も……」こく…
尭深「『一応』は余計です」ずず…
照<……でも…それでも菫に逢えたのは……やっぱりそれだけで嬉しい……でも本当に今の私は菫の事を――――>
誠子「…………」ふむ…
尭深「…………」ずず…
誠子「あっそうだ先輩」
菫「ん?どうした亦野?」
誠子「あの…夕食の事なんですけど……」
菫「夕食?ああ…部屋(ここ)に用意すればいいのだろう?」
菫「まぁ有名人の照もいるし、大広間で…と言う訳にもいかんだろうしな」
誠子「その事なんですけど…折角みんな久し振りの再会なんですし、先輩もここで一緒にどうですか?」
菫「一緒にって…お前……」
誠子「宮永先輩も、尭深もそれでいいよな?」
尭深「うん」ずず…
照「……………う…うん……」こく…
菫「いやいや…従業員である私が幾ら顔見知りとはいえ、お客様とそれも客間で食事を摂る訳にはいかないよ」
誠子「そこを何とか……」(両手を合わせて拝みポーズ)
菫「……そういってお前…また前みたいに、私を茶化す気じゃないだろうな?」ジロッ
誠子「!!…いやいや、そんな気は毛頭ないですよ?なぁ尭深?」
尭深「…………」こく
菫「……はぁ…まあいい。そうだな……折角、照も来た事だし…そうだな、それなら私の家で食べるか?」
誠子「えっ!?いいんですか?」
菫「まぁ何の心算かは分からないが、数年振りにこうして来てくれたんだ。早々無碍にする訳にもいかないだろ」
誠子「先輩……ありがとうございます」
菫「待っていろ。今…家族に確認して来るから……」すっ
……。
がら…
誠子「どうでした?」
菫「ああ…大丈夫だそうだ」
誠子「そうですか。よかった」ほっ
菫「あと、部屋はそんなに広くないから、料理の内容は同じだが、お重で出す事になるけどそれでもいいよな?」
誠子「そんなの何の問題も無いですよ」
尭深「…………」こく
菫「……そうか…ではだいたい19時位になると思うが、用意出来たらまた連絡するから」
誠子「お願いします」ぺこり
菫「では。私は仕事に戻るよ」すくっ
誠子・尭深「「お疲れさまでーす」」
照「……………」
―――――。
照<そうか…菫と離れてもう十年近くなるのか……>
照<大人になった菫…あの装いもあって…より格好よくイケメンになってたな……>
照<でも…その間に私自身…色々あったからなのかな……>
照<『十年』と言う月日すら、そんなに長くは感じなかった気がする……>すっ
照<……ううんそれだけじゃない…私は菫の事を思い出さない日はなかった……>
照<まるで…それが私の義務であるかの様に……>ぺりぺり…
照<だから…そんなに懐かしい感じはしなかったのかな……>ぱく
照<でも…会ってドキドキはしたけど…でもこの感じは――――――>
照<…………………………………>もぐもぐ
照<お菓子…美味しい……>もぐもぐ
…………………………。
松実家の居間。
誠子「ほーここが先輩宅ですかー」きょろきょろ
菫「あんまりじろじろ見るな……そう言えばお前達、私の家に来るのは初めてだったか?」
誠子「ええ。前の食事は宴会場でしたから」
菫「そうだった思い出した。お前と渋谷と大星で、散々騒いでくれたよな」ピキ
誠子「はは…若気の至りってやつですよ」ぽり…
尭深「認めたくないものだな。若さ故の過ちと言うものは……」ぼそ…
菫「いや。そこは認めろよ」
誠子「それはそうとして…どうして炬燵とテーブルが並んであるんですか?って――――あっ!」
菫「そうだよ。ウチには…弘世家には大層な寒がり屋さんが一人いるんだよ」
尭深「先輩の異常体質の奥さん……」ぼそ
菫「……渋谷…宥はお前の大学の先輩でもあるんだぞ?」
照<…………あの女……>ギリッ
菫「まあいい……取り敢えず適当に座ってくれ」
誠子・尭深・照「「「はーい」」」すっ…×3
菫「もうそろそろ用意出来るからn――――」
コンコン…
?「御客様。お料理をお持ちいたしました……」
がら…
すっ…
?「本日は当松実館をご利用頂き誠にありがとうございます。当館の若女将の弘世 宥と申します……」
宥「本日はごゆっくり御寛ぎ下さいませ……」(三つ指をついて受礼)
誠子「いやいやそんなに畏まらなくても……知らない仲では無いですし……」
宥「しかしそれでは……」
誠子「そんな態度をとられてしまうと、こっちは余計にやり辛くなってしまいますから……」
尭深「そうですよ…松実先輩」ずず…
照<…あったかい詐欺の女…………>
菫「まぁ…こう言っているんだ。お客様の言われる事は素直に聞いてもいいんじゃないか?若女将…いや宥」
宥「…………そうですね……」ぱぁ
宥「お久しぶり尭深ちゃん。それに亦野さんに……それに宮永さん」…にこ
誠子・尭深「「はい。お久しぶりです」」ぺこり
照「…………」こく
誠子<……それにしても…桜色の着物姿の先輩の奥さん……>
誠子・尭深・照<<<悔しいほど色っぽい……>>>
尭深<この艶やかで落ち着いた仕草…佇まい…三年前もそうだったけど…それに更に磨きが掛かっているだと―――!?>
照<……これが人妻特有の匂い立つ様な色気だとでも言うのか……>くそぅくそぅ
宥「それからもう一人…紹介するね。もう入って来てもいいよ」
がら…
尭深・照「「!?」」
?「お久しぶりです。弘世 菫と宥の娘の幸葉(ゆきは)です」(三つ指受礼)
誠子「……ああ久し振り。大きくなったね、幸葉ちゃん」
尭深「うん…おいしそうになっt……じゃなくてかわいいかわいいよ幸葉ちゃん……」はーはーはーはー
幸葉「はい。有り難うございます」にこ
尭深「――――――!!!!//////////」どきーん!!
照「…………」
誠子「幸葉ちゃん。そう言えば幸葉ちゃんは幾つになったのかな?」
幸葉「はい…七歳になりました」にこ
尭深<ストライクゾーン真ん中低め!!>バーン!!
誠子<……七つか…それにしても……年齢に比して大人びて端正な顔立ち……>
誠子<そして長く艶やかな亜麻色の髪の上品でお淑やかな物腰の…正に亜麻色髪の乙女的和風のお姫様そのものなのに……>
誠子<どうしてぴちぴちでギリギリで胸を隠しているタンクトップに……>
誠子<これまたフトモモ付け根ギリギリのショートパンツ姿なんていう……>
誠子<トンでもビッチな格好をしているんだーーー!!!???>がーん
尭深<でも……この正反対にも程があるベクトルが……けしからスバラシイッ!!!>
菫「やはり気になるよな……この子は…幸葉は母親と正反対で極度の暑がりなんだよ……」
誠子「そうなんですか……」
菫「ああ…どういう訳か2年くらい前から段々こうなっていって、今では冬でも半袖の時もある位なんだよ……」
誠子「はぁ…だからテーブルと炬燵が一緒に並べてあるんですね?」
宥「そうなの…幸葉は冬でもテーブルで食べるから、余り並んで食べられなくて……」しゅん
読まないけどほ
菫「まぁ…暑がりなのは体質だからしょうがないのだが……流石にこの格好はどうにかしてほしいのだが……」はぁ
尭深「えっ!?先輩がこの格好をさせているんじゃないんですか?」
菫「そんなわけあるか!!この子は…親の私が言うのも何だが、控えめでお淑やかな性格なんだが……」
菫「身に着ける物だけは…こんな恰好をしてても全然気にしないんだよ」はぁ
幸葉「だって暑いものは仕方ないし……私はこれで構わないと思うから……」
菫「しかしだな……そんな恰好してると…外に出た時だな…その…心配なんだよ……」
幸葉「心配?」きょとん
菫「ああ。その…お前が悪い大人に、どうこうされるんじゃないとかな……」
幸葉「何を言っているの?お父さん」
幸葉「別に薄着でも何でも、こんな子どもに、どうこうしようなんて思う大人なんかこの世界にはいませんよ?」
誠子<いや……残念ながら実際は。そんな大人が私のすぐ隣に居るのだが……>ちら
尭深「うんうん。そんな不埒な大人なんて居ないから、幸葉ちゃんはずっとそのままでいいんだよ?」はぁはぁ
幸葉「はい。有り難うございます渋谷さん」にこ
誠子「…………」
菫「…………なぁ亦野…ちょっといいか?訊きたい事があるのだが……」ひそ…
誠子「尭深の事ですね……アイツが飲料メーカーに就職したのは知ってますよね?」ひそ
菫「ああ…でもそれが如何したんだ?」
誠子「ええ…尭深はそのメーカーの清涼飲料の、茶飲料部門の研究員らしいんですけど……」ひそ
誠子「同じ会社のアルコール飲料の日本酒部門の研究員に、彼女の親戚の姉がいたらしくてですね……」ひそ
菫「ふむ…それで?」ひそ
誠子「その親戚の姉というのがその…ガチでアレらしくて……」
菫「ガチって……そのアレか……」
誠子「……そのアレです…それでその人と付き合って行く内に、いつの間にか尭深も感化されてしまったらしいんです……」ひそ
菫「そんな事が……」ひきっ
幸葉「……あの…済みません」おず…
照「ん?私?」
幸葉「はい。失礼ですが…プロ雀士の宮永女王ですよね……?」
照「私……?うんそうだけど……」
幸葉「やっぱり!よくテレビや新聞で拝見させて頂いてます」ぱぁ
照「そうなんだ」
幸葉「はい」にこ
照「―――――!!」はっ!
照<…………この子は…あの女の娘…でもこの子は何も悪くない……>
照<ううん…本当は松実さんも、菫も誰も悪くなんて無いんだ……>ふりふり
照<この子の無邪気な笑顔を見て…ずっと分かってた事を…今になってやっと受け入れる事が出来た気がする……>
幸葉「?…あの……」おど…
照「幸葉ちゃん…ありがとう嬉しいよ」にこ
幸葉「はい。私も宮永プロにお逢いする事が出来て嬉しいです」にこ
宥「ふふ…それじゃあ。お重を並べちゃいますね――――」すっ
コト、コト、コト…
照「あれ…私の分h――――」
ガラ―――
?「お待ちどーさまなのです」
照「!!!!!?」どきっ
?「みなさん久し振りです。当松実館副社長の松実 玄で御座います」ぺこり
誠子「お久し振りって……えっ?松実さん副社長なんだ?」
玄「えへへ…そうなんですよ。といっても形だけで、実はまだ学生なんですけど」てへ
尭深「学生?松実さん…大学とかに通ってるの?」
玄「はい。専門学校だけど……お父さ―――社長に旅館経営の勉強をして来いって言われて……」
菫「私や宥も…色々あって大学を中退してしまったけど、社長の御好意でまた大学に通わせて頂いていたんだよ」
誠子「はーそうなんですか……」
尭深「色々違う畑に種蒔き……」ぼそ
菫「……渋谷…聞こえてるぞ?お前…結構棘が有る事を言うな……」
尭深「別に……」しれっ
菫「まったく…お前は唯一私と高校も大学も同じだった間柄だと言うのに……まぁいい……ん?」
照「……………」ぽー
菫「照…どうしたんだ?惚けた貌で副社長――玄さんの方を見て」
照「――――!!なっ何でもないっ//////」はっ!
照<……でも…松実さん…インターハイの試合で、打った切りだったけど……>
照<でも…あの時よりずっと大人びて…お化粧もばっちり決まってて、艶やかで綺麗になって……>ぽー
照<思わず見惚れt――――――>
玄「m―――――宮永さんお久しぶりです。高校の…インハイの時以来ですね」ぺこり
確か誠死ねがいるんだよなこれ
照「―――――!!//////」びくっ
照「えっ!?……あ………う…うん……そうだね……」こくこく
玄「あの…宮永さん。改めて紹介しますね……この子が私の娘の世紫花(よしか)です」
世紫花「初めまして松実 世紫花です」ぺこり
世紫花「こうしてプロ麻雀のタイトルホルダーの方にお逢い出来るなんて、すっごく嬉しいです」ぱぁ
照「そ…そうなんだ……ありがとう」
照<……クリーム色のワンピース…この子の恰好は普通なんだ……>ほっ
照<長い黒髪といい…顔立ちは母親に……ううん…この子は寧ろ父親の面影が――――>じ…
世紫花「?」きょとん
玄「ん?どうされました?世紫化の顔に何か……?」
照「ううん…何でもない…何でもないよ……」ふりふり…
……。
わいわいがやがや。
誠子「さあ…料理も飲み物も揃った所で……お集まり頂いた、白糸台OBに阿知賀OB皆さまの再会を祝しまして――――」すっ
誠子「かんぱーい!!」
一同「「「「「かんぱーい」」」」」
…………。
わいわいがやがや
誠子「そう言えば…幸葉ちゃんも世紫花ちゃんも、麻雀詳しそうだけど…やっぱりルールとか知ってるの?」
幸葉「はい…少しだけですけど……」おずおず
世紫花「リーグ戦とかも、よく幸葉とTVとかで視てますよ」
誠子「やっぱりそうなんだ。宮永先輩の事も知ってたみたいだし…もしかして好きなプロ雀士とかもいるのかな?」
世紫花「……あの…その……」
幸葉「……………」ちらっ
照「……ん?どうしたの?」
世紫花「いえ…なんでも……」
誠子「……!ああ…そういうことか…この人はあんまりそう言う事は気にしない人だから、正直に言ってもいいよ」
照「……?…良く判らないけど…私の事は気にしなくてもいいからね」にこ
世紫花「……わ…わかりました……幸葉一緒に言おうよ」
幸葉「うん」こく
世紫花・幸葉「「せーの」」
世紫花・幸葉「「ギバード・桜子選手です!!」」
誠子「ギバード……?―――ああっ…あの高卒2年目でタイトルを獲った、ポスト小鍛冶とか言われてる?」
幸葉「はい。ギバードさんはここ奈良県の吉野出身で、私も世紫花ちゃんも、少しだけど彼女に麻雀を教えて頂いた事もあるんです」
世紫花「同じチームで同じく吉野出身の赤土 晴絵さんとの師弟コンビで、吉野の双星と言われているんですよ」
誠子「へぇそうなんだ……」
宥「――――それから赤土先生は、私の阿知賀女子の時の先生でもあるんですよ」
誠子「奥さん…それじゃあ……もしかして」はっ
宥「はい。赤土先生はあの時の、阿知賀女子麻雀部の監督さんだったんです」
宥「実はあの時…菫ちゃ―――夫のクセを見抜いたのも実は彼女なんですよ」
誠子「そうか…どうりで……」
……。
照「…………あの…松実さん少しいいかな……」どきどき
玄「はい。いいですよ」
照「松実さんって…その……独身なんだよね……?」
玄「はい。そうですよ」
照「その…結婚とかは考えてないの…かな?」
玄「結婚ですか……そうですね…娘には菫さんという父親『代わり』もいますし……」
照「松実さんは……松実さん自身は――――」
玄「私も…今の生活に満足してますし……そうですね…いい人がいれば…って所です」ふふ
照「そうなんだ……一応…聞くけど。好きなタイプとかあるの?」
玄「好きなタイプですか…そうですね…取り敢えず優しい人……あと――――」
照「あと……」ごくり
玄「おもちの大きい人!これは外せませんね~」
照「…………………そう…なんだ……」しゅん
世紫花「…………」
誠子「こうして見ると、先輩ももうすっかり一家の大黒柱ですね」
菫「ふふ…そうだろう…と、言いたい処だが、この家も実際は松実家の物だし……名実ともに私はマスオさん状態だよ」はは…
尭深「役職は支配人見習い……」ぼそ…
菫「それを言うな……今の支配人が退職するまでの間、私はずっとこんなよく分からない役職なんだからな……」はぁ
誠子「先輩にも色々あるんですね……」
菫「ああ…私にだって色々あるさ…………さて…もうそろそろかな……」すっ…
尭深「何かあるんですか?」ずず…
菫「ああ…これから御客様と、麻雀を一局打つ事になっているんだ」すく…
尭深「そうなんですか」ずず…
菫「ああ。一応インターハイ優勝経験者と麻雀が打てると言うのも、この旅館の売りの一つにしてるからな……」
誠子「へーそうなんですか」
菫「ああ。これが、思ったよりも好評で、この為にこの旅館を利用して下さるお客様もいらっしゃるんだよ」
宥「……特に…若い女性のお客様が多いんだけどね……」ぬっ…
菫「宥……」
宥「その中でも二条さんなんて事あるごとに、菫ちゃん目当てで来てるのよね?」
菫「……だからそれは―――――」
誠子「……にじょう?あの……二条って…もしかして……?」
菫「ああ。私が高三のインハイ準決勝の時に打った、千里山の次鋒の人だよ」
誠子「やっぱり……」
菫「お前達もインカレとかで対局とかしてないか?」
誠子「ええ…何度か……」
菫「その彼女と私が編入した大阪の大学で一緒になってな、彼女にはいろいろ世話になって…それ以来の関係かな……」
宥「……『色々』シて貰ったんだよね……」サー
菫「…………だから彼女とは…そう言うんじゃないって何度言えば……」はぁ
誠子「……………」
尭深「……………」ずず…
④
菫「……まぁとにかく、そう言う訳だから……」すっ…
宥「…………わ…わたしも――――」
菫「…………!あっそうだ。幸葉、世紫花お風呂は未だだったな」
幸葉・世紫花「「はい」」
菫「今日はそんなに御客様も多くないから、大浴場に入ってもいいぞ」
幸葉「いいの!?」
世紫花「やった!!」
菫「でも…出来れば、大人の付き添いが欲しいな……」ちらっ
宥「……そうだ玄ちゃんは?」しれっ
玄「私も…昼間は学校だったし、これからまだやらないといけない仕事が……」
菫「そう言う訳だから宥――――」
照「―――――それなら私が……」
菫「照!?」
照「私も未だ入ってないし…いいかな?世紫花ちゃん、幸葉ちゃん」
世紫花・幸葉「「はいもちろんです」」
菫「…………そうか…じゃあ照、宜しく頼むよ」はぁ
照「うん」
尭深「それなら私も――――」ばっ
がしっ
誠子「ただし尭深。お前は駄目だ!!」
尭深「…………」チッ
誠子「ではここらでお開きにしますか?」
菫「そうだな…何だかんだで、お前達と昔話も出来て楽しかったよ」
誠子「はい。私達も久し振りに、先輩と話す事が出来て良かったです」
尭深「…………」こく
照「……じゃあ二人共、準備出来たら行こうか?」
幸葉・世紫花「はいっ」
…………。
松実館大浴場。
かぽーん。
わしゃわしゃ
照「世紫花ちゃん。かゆいところは無い?」
世紫花「はい。大丈夫です」んー
照「じゃあ…もう流すね」さっ
世紫花「…………」こく
ざぱー
照「ちょっと拭くね」ふきふき
世紫花「有り難うございます。じゃあ今度は私がお背中流しますね」さっ
照「うん…お願い」くる
世紫花「はい……どうですか?宮永さん」ごしごし
照「うん。気持ちいいよ」
世紫花「ホントですか?よかったです」えへへ…
照「ねぇ…世紫花ちゃん。幸葉ちゃん、さっきからずっと、ぬるま湯に浸かったままなんだけど……」
世紫花「ああ…幸葉なら大丈夫ですよ。あの子、夏場ならずっと水風呂に浸かっている位ですから」ごしごし
照「ならいいんだけど……」
世紫花「でも…お母さんや菫お父さんからは、日頃から聞いていたのですけど……」
世紫花「それでも…私にとってTVの中の存在の、有名雀士の方のお背中をお流してるなんて、何処か不思議な感じです……」
照「そんな大層な事ではないと思うけど……」
世紫花「そんな大層な事ですよ。でも…そんな大層な方が、こんなに優しくて普通の人だなんて…ちょっと意外でした」
照「優しくて…普通……?」
世紫花「……あっ!!ごめんなさい……気を悪くさせてしまいましたか……?」おろおろ
照「ううん…そんな事無いよ。今まで、そんな事言われた事が無くて…その…ちょっと驚いただけだから……」
世紫花「本当…ですか……?」
照「うん。寧ろ…そう言って貰えて嬉しいよ」にこ
世紫花「宮永さん……はい……」じーん
照「…………ねぇ世紫花ちゃん。もう一つ…訊きたい事があるのだけど……」ごくり…
世紫花「はい。何ですか?」
照「その……世紫花ちゃんもやっぱり…おもちは大きい方が良いのかな……?」
世紫花「おもち…ですか?」
照「うん……」どきどき
世紫花「……そうですね…お母さんはあんな感じで……」
世紫花「おもち至上主義と言うか、大きなおもちが大好きみたいなんですけど……」
照「…………」
世紫花「実を言うと私は…大きなおもちは寧ろ好きではないんですよね」
照「えっ!?」
世紫花「大きいと肩とかこりそうですし……」
世紫花「それに何よりも…おもちなんて、赤ちゃんにお腹いっぱい母乳を飲ませてあげる事さえ出来れば……」
世紫花「それこそ大きさなんて全く関係ない。と思っていますから……」
照「世紫花ちゃん……」ふるふる
世紫花「だから私はこう思っているんです―――――」
世紫花「おもちなんてただの飾りです。お母さんにはそれが判らんのです!」
世紫花「―――――――って」
照「――――――――――!!!!!!」きゅうぅーーーーん!!
世紫花「幸葉が極端な暑がりで、極端な寒がりの宥おばさんと正反対な様に……」
世紫花「そこが私と母の…正反対なところですね」にこ
照「――――――――」プルプル…
世紫花「えへへ…お母さんに今のセリフを言ったら、あまりのショックで倒れられかねませんけd―――――」
照「世紫花ちゃん――――!!!」ばっ
だきっ!!
世紫花「えっ!?//////」ドキッ
照「ありがとう…世紫花ちゃん…………」ぎゅう
世紫花「み…宮永さん……//////」あわあわ
照「あっごめんね…つい嬉しくなっちゃって……苦しかったよね……」
世紫花「ううん…大丈夫です…だから……もう少しこのままでいて下さい……」ぎゅ…
照「世紫花ちゃん……」きゅん
メンタルだけは凄いな
内容はゴミクズなのに
世紫花「お母さん達と違う感じで……まるでお父さんに抱き締められているみたいで……凄く安心すると言うか……」
照「………………そうなんだ……」
世紫花「はい……」ぎゅっ
照<良かった……でも…お父さんみたいって――――>
照<それって私のおもちが無いって事だよね…?これは素直に喜んでいいものなのか……?>うーん
世紫花<…………宮永さんあったか~い/////////>ぎゅう…
照<でも―――――ううん世紫花ちゃんが喜んでくれているならそれでいいか……>ふふ
…。
照「ねぇ世紫花ちゃん」
世紫花「はい。何ですか?」
照「世紫花ちゃんはその…お父さんが欲しいって思った事は無いの…かな?」
世紫花「お父さんですか……」
世紫花「菫お父さんが、お父さん『代り』をしてくれてますから……」
世紫花「ですから…これ以上を望んだら、罰が当たってしまいそうですね……」ふふ…
照<……お父さん『代わり』…………>
世紫花「でも…ほんのたまに何ですけど、どうしても幸葉が羨ましくなる時があるんです……」
世紫花「菫お父さんは…私じゃなくて『幸葉のお父さん』だから……」
照「そうなんだ……」
世紫花「あっでも私は全然大丈夫ですから!今のままでも、菫お父さんには充分よくして貰ってますから!」あせあせ
照<この子は本当に――――>ぎゅっ
世紫花「!?ど…どうしたんですか?/////」
照「ううん…何でも無いよ。ねぇ世紫花ちゃん。ちょっと身体が冷えちゃったから、もう一回お風呂に入ろうか?」
世紫花「はい。宮永さn―――――」
照「照でいいよ。世紫花ちゃん」にこ
世紫花「――――!!はいっ照さん//////」にこ
支援
幸葉「――――あの……私はその間に身体を洗っておきますから…そうしたら一緒に出ませんか?」
照・世紫花「「あっ!?」」ぎくりっ
世紫花・照<<この子の事…一寸忘れてた……>>あちゃー
世紫花「あの…幸葉……その…」
幸葉「いいよ?紫花ちゃん」
幸葉「世紫花ちゃん…あんまり嬉しそうに宮永さんとお話してたから…私も何か嬉しくなっちゃった」ふふ…
世紫花「幸葉……」
幸葉「宮永さん……不束者だとは思いますが…世紫花ちゃんの事、宜しくお願いします……」深々とぺこり
照「うん…分かった……って、いや何の事か良く分からないから!」
世紫花「幸葉…何を言って……って言うか不束者って!!/////」かぁ
幸葉「ふふ…」にこにこ
照<……世紫花ちゃんの≪お父さん≫…か…………>うーん……
照<今…ちょっと想像しちゃったけど…あれ…何だろう?不思議とそんなに悪い感じはしなかったな……>はて?
ふんふむ
よしかちゃんがおもち狂いじゃないなんて
その頃の松実館ロビー。
誠子「……えっと、確か娯楽室って、この辺だったよな?」きょろきょろ
尭深「うん」こく
誠子「先輩の様子を見物しに来たのはいいけど……麻雀ルームはっと……あっいたいた。打ってる打ってる」
菫「ロン6300です」
OL1「あんっ/////また弘世さんに撃ち抜かれちゃった~」くねくね
OL2「またあんたか…全くあんたはわざと、弘世さんに振り込んでるんじゃないでしょうね?」
OL1「そんな事無いわよ。弘世さんが私を狙い撃ちしてるだけよ?ねぇ弘世さん?」
菫「いや…まあ……」はは…
OL2「あんたってホントに男に貢ぐタイプだよね……」
OL1「そうなのよねぇ~ついついお願いを聞いてしまってっ……て!おい!!」
菫「はは…」
OL3「次こそ必ず上がる……」ぼそ…
菫「では…オーラスいきましょう」
OL123「「「はぁ~い」」」
尭深「先輩…若いOLっぽい人達と打ってるね」
誠子「ああ…とは言っても私達もOLなんだけど……ってそんな事どうでもいいか……」
尭深「うーん…でも何か雰囲気が接待麻雀みたい……」
誠子「まぁ…実際そんな感じだろ――って?あれは――――」
?「………………」ぶつぶつ
誠子「松実さん!?」
尭深「あんな隅っこで隠れる様にして、弘世先輩たちの様子を覗き見しながら、何かブツブツ言ってるね……」
誠子「……気になるな…下世話だとは思うけど…ちょっと気付かれない様に近づいてみようか?」
尭深「うん……」こく
そろそろ…
宥「スミレチャンダイジョウブダヨネ?シンジテイインダヨネ?アンナコタチナンテタダノオキャクサマナンダヨネ?ネ?スミレチャン……スミレチャンスミレチャンスミレチャンスミレチャン――――――」ボソボソボソボソ…………
誠子「家政婦は見たばりに覗き込みながら、ナンか病み気味な事を呪詛を唱えるかのようにブツブツ言ってるーーーー!!!!」ゾゾゾ…
尭深「……ここからじゃ見えないけど、絶対に目のハイライトは消えてるね……」
前科があるからなー
トン
OL3「ロン5200です」
菫「……最後に逆に狙い撃ちされてしまいましたね…いやぁお強いですね」にこ
OL3「ふふ…ありがとうございます」にこ
OL2「この子…普段あんな笑顔なんて見せないのに!?」
OL1「まさかコイツもこうやって、弘世さんのハートも狙い撃ちしようとしてるとか?」
OL2「コイツもって……」
OL3「…………ふふ」にこにこ
菫「はは…それでは切りのいい処で、一旦休憩しましょうか?」がた…
OL1・2・3「「「はぁーい」」」
菫「ふう…やっぱり御客様相手の麻雀はちょっと疲れるな……」
誠子「先輩!ちょっといいですか?」
菫「亦野?それに渋谷まで……なんだお前達…部屋に戻ったんじゃなかったのか?」
菫「……それとも何だ?こんな所まで来て私を茶化しにでも来たのか?」
誠子「そんなんじゃ………ないですよ!それより……」
菫「今の間は何だ?まぁいい。それよりって何だ?」
尭深「松実先輩の事ですけど……」
菫「宥の事か…………」
誠子「やはり気付いていたんですか……」
菫「まあ…流石にな……宥は普段は問題無いんだが、私が特に若い女性と絡むとああなってしまうんだよ……」
誠子「……もしかしてあれが俗に言うヤンデr――――」
菫「それ以上は言うな!……いや…敢えて言わせてくれ――――」
菫「…………」すぅ…
菫「私の嫁さんがこんなにヤンデレなわけがない!!」
誠子・尭深<<…………先輩の心の叫び…………>>
誠子「心中お察しします……」
菫「ああ…ありがとうな……」
尭深「権兵衛が種蒔きゃ烏がほじくる……」ぼそ…
菫「渋谷…お前さっきから棘がある言葉が多いな……というかそもそもその例えは合っているのか?」
尭深「…………そんな事は知りません」ふい
誠子<…………尭深……>ぐっ
誠子「……あの…先輩…尭深は……実は先輩の事g――――」
がしっ
誠子「!?」
尭深「…………」ふりふり…
誠子「尭深……」
菫「渋谷……お前もしかして――――」はっ
尭深「……もう…いいんですよ…私は大丈夫です。今のもちょっとだけ茶化したかっただけですから」にこ
菫「…………そうか……それなら私からは何も言うまいよ」
尭深「……はい…」こく
菫「……話を戻すが。宥をあの様にしてしまったのは……彼女を過度の心配性にさせてしまったのは、全て私の不徳の所為だ」
菫「そして私は…そんな部分を含めて、宥の全てを愛している。私にはその義務と権利があると思っている」
菫「それに、ああなってしまうのも、彼女が私の事をそれ程までに愛してくれているからだと――――」
菫「……そう思うと。私は幸せ者なんだと言う事がよく分かるんだよ」
尭深「…………」
菫「ただ…流石にこれから先は、私も宥も変わらないといけない所も、あるとは思うけどな」
誠子「先輩……」
尭深「色々あるとは思いますけど…それを聞いて少し安心しました…色々な意味で……」
菫「そうか…ありがとう……そうだな。今ので…少し踏ん切りが付いた――――」
誠子・尭深「「?」」
……。
すたすた。
菫「……宥。こんな処で何をしているんだ?」
宥「!!!?」びくっ!!
宥「……す…菫ちゃん……あの…これは…その……」おどおど…
菫「宥」
宥「はいっ!?」びくっ
菫「もうすぐ、お客様との麻雀を再開するから、済まないが…お茶を淹れて来てくれないか?」
宥「えっ?い…いいの……?」
菫「ああ。勿論だとも……と、言うより私がお願いしているのだから当然だろう?」にこ
宥「菫ちゃん……はい。直ぐ淹れて来ます」たた…
……。
菫「そろそろ再開しましょうか?」
OL123「「「はぁーい」」」
……。
すすっ
宥「御客様。失礼します……」
OL1・2・3「「「!?」」」
宥「あ…あの……お茶をお持ちいたしましたのでどうぞ……」ぺこり
コト…
OL1「ああ…どうも……」
OL3「…………」ぺこり
OL2<……この人何度か旅館内で見た事があるな……>
菫「恐らく何度か見掛けられた事はあると思いますが…改めて。彼女は当館の若女将の弘世 宥です」
OL2「弘世……?」
菫「彼女は私の妻でもあるのですよ」にこ
OL1・2・3<<<!?…この人が弘世さんの……>>>
菫「実は彼女も私同様、インターハイ出場経験者なんですよ。宜しければ彼女とも一局打たれてみては如何ですか?」
宥「あなt―――弘世支配人見習い!?」
菫「…………」にこ
宥「!!」
OL1<弘世さん…ご結婚されているのは聞いていたけど……>
OL2<そうか…この人が奥さんだったんだ……>
OL3<でも…綺麗なヒト……>
OL123<<<……ちょっと悔しいけど――――――この二人お似合いだわ……>>>
宥「……あの?」
OL1「……じゃあ女将さん――――」
OL123「「「一局願いします!!」」」ぺこり
宥「!!」
宥「こちらこそお願いします!」ぺこり
松実家の子ども部屋。
がちゃ…
照「じゃあおやすみなさい。世紫花ちゃん。幸葉ちゃん」
世紫花・幸葉「「おやすみなさい」」
照「………………」そ…
ばたん…
照「……世紫花ちゃん…それに幸葉ちゃんも、とてもいい子だったな……二人の仲も凄く良かったし……」
照「私もこの頃まで咲とは仲良かったっけ……色々あって私から仲違いして……」
照「今はもう仲直り出来たけど……あの子たちに限って…そんな事にはならないでしょうけどね……」ふふ
?「あれ宮永さん?」
照「!?」びくっ
?「お風呂だけじゃなくて、世紫花達を寝かし付けてくれたんですね。ありがとうございます」ぺこり
照「……松実さん…………」どきどき
玄「御足労をおかけしたのです」ぺこり
照「いいえ…あの子たち全然手が掛からなかった……」
玄「ふふん。そうでしょう?あの子たちは、よく出来たお子たちなのです。とても七歳とは思えない位です」
照「そうだね」
玄「そして世紫花は…何を隠そう私の自慢の娘なのです」どやっ
照「いや…何処にも隠してないのだけど……」
玄「まったく世紫化は私に似て良い子に育ってくれたのです」どやどやっ
照「…………………」
玄「どうしたのです宮永さん…急に無表情になって?」
照「……いえ別に。でも、世紫花ちゃんはあんなにしっかりしているのに、ちょっぴり甘えん坊なところも可愛かった」
玄「えっ?世紫化が甘えん坊……?」
照「ええ…私はそう感じたけど……」
玄「うーん。そうですか…全然って事は無いですけど…私達には余りそういう素振りを見せないから……」ふんふむ
照「…………そっか…それより松実さん……仕事今終わったの?」
玄「はい。今終わった所ですけど……」
照「夕方学校から帰って来て、こんな時間まで…大変なんだね……」
玄「そんな…いいえ私なんかの事より、御客様である宮永さんに……」
玄「逆にこっちがお世話になってしまって…本当に申し訳ないです」ぺこり
照「いや…こちらこそあの子達と色々話せてよかった」
玄「それならいいのですけど……でも何かお礼をしないといけませんね」
照「それなら…私は松実さんとも、少しお話ししたいのだけど……」
玄「私と?もちろんいいですよ」にこ
照「あっ!?……でもそうか…明日も仕事とか学校があるんだよね……」はっ
玄「それなら大丈夫ですよ。明日は学校お休みですし、朝もそんなに早くは無いですから」にこ
照「それならいいのだけど……」
玄「それじゃあ。お酒も少し用意しますね。勿論これは私持ちです」にこ
……。
松実家ダイニング
玄「どうぞ…」
とくとく
照「ありがとう」
玄「このお酒、菫さんが大好きなお酒なんですよ。あの人…お酒の中で日本酒が一番好きなんです」
照「そうなんだ……」くい
玄「そうなのです」にこ
照「そんな事すら知らない位に……私は菫と離れていたんだ…………」
玄「ふふ…今日お越しになられたのも、実は菫さんに合う為だったんですよね?」
照「えっ!?」どきっ
玄「……多分ですけど、和ちゃんにでも、それらしい事言われて」
照「どうして……」はっ!
照「そうか…松実さん…原村先生と知り合いだったっけ……」
玄「はいなのです。勿論。宮永さんと和ちゃんが同じプロチームに所属している事くらいは知っています」こく
照「でも…どうして…私が菫と会う為に来たって……」
玄「いえ…さっきのお食事の時に、時々…宮永さんが菫さんに向けた表情を見て、そう直感したんです」
玄「この人はもしかして私と≪同じ≫なのかなって――――」
照「同じって……何が――――」
玄「私と同じ……菫さんの事が好きな者同士って事ですよ」にこ
照「そうか…ばればれだったんだね……」はは…
玄「はい。ですから今日はお互い腹を割ってお話しましょう」ふんす
照「……じゃ…じゃあいきなり聞いてしまうけど…あの……世紫花ちゃんって…その…………」
玄「ええ。既に御存じだと思いますけど、世紫化は私と菫さんとの間に出来た子どもです」
照「……やっぱり…そうなんだ……」
玄「はい」
支援
照「色々な事情があったと思うけど……」
玄「ふふ…不思議ですよね……姉妹で同じ人との子どもを産んで……」
玄「その上で…全員が同じ屋根の下で暮らしているなんて……」
照「……………」
玄「でも…それでも今、私は幸せなんです……」
玄「菫さんがいてお姉ちゃんがいて、幸葉ちゃんが……そして世紫花がいて……あっお父さんもでしたね」はは…
玄「とにかく。そんな人達と家族として暮らして往く時間が…今の私にとってこれ以上ない幸せなんです……」にこ
照「そうなんだ…でもそれって――――」
玄「はい。凄く危うくて、ちょっとした事で直ぐ壊れてしまいそうで……でも私は…それでも今の営みが好きなんです……」
照「松実さん……」
玄「玄でいいですよ。同じ人を好きになった者同士ですから」にこ
照「……そうだね…じゃあ…私の事も照と呼んでほしい」
玄「はい。照さん」にこ
照「玄さんは…だったらその……もう一度聞くけどやっぱり結婚とか考えてないの?」
玄「結婚ですか?そうですね…改めて、今はあまりですね……」
照「やっぱり…今でも菫の事……」
玄「はい。好きですよ……あの頃から変わらず…自分の娘の名前にその想いを込めてしまう程に……」
照<……世紫花…世界一好きな…紫の…花―――――>はっ…
玄「ふふ…でも…もうそろそろ菫さん離れしないと、お姉ちゃんに怒られちゃいそうですけどね」にこ
照「やっぱり…そうなんだ……やっぱり……」ぶつぶつ…
玄「?…照さんは…違うんですか?」
照「私は……私は……判らない…ここに来るまではそうだと思っていた……でも――――」
照「…………」じっ
玄「?」
照<玄さん…貴女をここで一目見た時から…私は――――――――>ぐぐ…
玄「…………そうですね…照さん…さっきは…結婚は考えてないって言いましたけど……」
玄「でも……私と世紫花と……私達の全てを知った上で受け入れてくれて……その上で私の一番の人にだったら―――――」
照「えっ!?」
玄「……でもそんな人はいないでしょうけどね……」
玄「これでも菫さんとお姉ちゃん。それにお父さんを安心させてあげたいという想いも、一応はあるんですよ」へへ…
照「……………」
玄「えへへ…どこかにそんな人h――――――」
照「―――――――――!!!」ぐあ!
照「玄さん!!……わたしは――――」ばっ
玄「!?」どきっ
玄「い…いきなり…どうしたんですか照さん!?」どきどき
照「わっ私はそのっ玄さんの事をっ――――――//////////!!!!」どきどき
玄「わ…私の事を……?」
照「―――――!!!…………その…応援してるから……」
玄「!?」
玄「そ…そうですか……ありがとうございます………私も照さんの事、応援してますからね」
照「あ…ああ……うん……ありがとう……」
照<うう…何だ私のこのヘタレっぷり……これじゃ菫と、どっこいどっこいだよ…………>ズーン…
………。
玄「……でも今日は照さんと色々お話しする事が出来て良かったです」にこ
照「うん…私も玄さんと話せて…玄さんの事を色々聞けて良かった……」
玄「私の?菫さんの事では無くて?」
照「!!」どきっ
照「う…うん……///////」こく
玄「ふふ…ありがとうございます。何だか照れちゃうけど嬉しいです」にこ
照「―――――――!!!!////////」ぱぁ
…。
玄「それでは…またいつでも来て下さいね。そして、またいっぱいお話しましょうなのです」
照「うん……菫の事が好きだった者同士でね」
玄「………………はい」こく
照「それじゃあもう行くね」
玄「はい。あと…ここは旅館ですから、是非ともゆっくりお休みになって下さいね」にこ
照「うん。ありがとう」にこ
……。
菫「ふう…やっと終わったな……」
宥「お疲れ様です」にこ
菫「宥が卓に入ってくれて、少しは休めるかと思ったら、今度は渋谷達が乱入して来て、勝手に三麻を始めだして……」
宥「あっちで打ってこっちで打つ事になっちゃって……予定よりもずっと長くなっちゃたね」くす…
菫「ああ……正直何時もよりぐっと疲れたよ……」
菫「でも…久し振りに渋谷と亦野と打てたし、何よりお客様に喜んで頂けて良かった」
宥「うん……でも菫ちゃんも、すっかり旅館の人になっちゃったね?」
菫「ん?そうかな……そうか…私も漸くこの世界に馴染んで来たのかな……」
宥「はい……」にこ
菫「ふふ…学生の頃はこうなるなんて全く思わなかったな……」
宥「…………御免ね菫ちゃん」
菫「何を謝っているんだ?こうなったのは、全て私の不徳によるものだし……」
菫「それに私は今の境遇も、あの時の選択も全く後悔してないよ」にこ
宥「菫ちゃん……」
菫「寧ろこうなって良かったと思っている位だ……本来なら報いを受けて当然だと言うのにな…全く私は運のいい女だよ」
宥「菫ちゃん……」
菫「何より宥……私にとって貴女という人に巡り合い、こうして一緒に居られる事が、何よりも幸せで幸運な事なんだよ」にこ
宥「菫ちゃん……うん…私も菫ちゃんと一緒だよ」
宥「菫ちゃんと出逢えて…色々あったけどこうして一緒になれて、今の私は本当に幸せだよ……」にこ
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