新世界エヴァンゲリオン (59)
エヴァ×ひぐらし×化物語×ハルヒの四作品クロスです。ベースはエヴァになっています。
エヴァ(テレビ版、旧劇、Q含む新劇の混合。テレビ版第一話より少し前からスタート)
ひぐらし(ひぐらしのなく頃に解、皆殺し編。綿流しのお祭り前日よりスタート)
化物語(つばさキャット終了後からスタート。羽川、髪を切る前)
ハルヒ(『涼宮ハルヒの憂鬱』の終盤からスタート)
【注意】
書き溜めなしです。書くの遅いです。毎日少しずつの更新です。時たまこちらの都合で更新出来ない日もあると思います。
設定、ストーリー、多少いじってあります。特にエヴァは設定変更が多いです。キャラはいじってません。
完結まで三ヶ月ぐらいかかると予想してます。
それじゃ、超絶まったり進行で始めるよー
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366492287
ー親戚の家ー
シンジ「父さんから、手紙……?」
親戚のおばさん「ええ、そうよ。それじゃあ、確かに渡したからね」スタスタ
シンジ「あっ、はい。ありがとうございます……」
シンジ「」ピリッ
シンジ「……」ヨミヨミ
シンジ「……第三新東京市に。……父さんのところに来いって事……? でも、何で急に……」
シンジ「それにネルフって……何だろう……?」
シンジ「……」
シンジ「なんにしろ、行く以外ないんだろうけど……」
ーユーロネルフ支部ー
ーEVA弐号機の肩の上ー
惣流「風、気持ちいいわね……」
式波「そうね。訓練後は特に……」
ー地上ー
加持「やれやれ、あの二人はまたあそこか……。危ないから乗るなと毎回言ってるんだがな……」テクテク
加持「おーい、アスカたちー。ちょっとこっちへ降りてきてくれないかー。大事な話があるんだ」
惣流「加持さん♪」
式波「加持さんか……。ま、見つかっちゃったらしょうがないわね。降りるわよ、惣流」
惣流「言われなくても降りるわよ。加持さんの方から、声かけられるなんてなかなかないんだから。しかも、大事な話って何だろ♪」
式波「まったく、アンタは加持さん加持さんってうるさいわね。それに、その猫なで声やめたら? 女の私でもちょっと引くレベルよ」
惣流「あー、もう、そっちの方がうるさいわよ。それより早く降りるわよ、式波」トットットットッ、ピョン
式波「はいはいっと」トットットットッ、ピョン
惣流「お待たせー、加持さん♪」
式波「お待たせ、加持さん。それで何の話? 弐号機の上に乗るなって話なら手短にしてよ」
加持「ま、それも言いたいところだが、今回はそれはなしだ。少し、というよりはかなり大事な話だから二人ともよく聞いてくれよ」
惣流「なに、なに、いい話? 例えばー、私の魅力についに加持さんが気づいたとか!」
式波「ムリヤリ過ぎね」ボソッ
加持「」ハハッ…
加持「残念だが、そういう話じゃないな。……実はな、この弐号機、急遽、日本への派遣が決まっちまってな」
両アスカ「えっ!?」
式波「ちょっと、それじゃ加持さん。私たちも日本へ行くって事?」
惣流「それより、加持さんは!? 加持さんも一緒に行くの?」
加持「悪いが、俺はここでまだ仕事が残ってるから残留だよ。とはいえ、近い内に俺も日本へ行く予定になってるから、二人とはしばらくの間お別れって事になるな」
惣流「えー。そんなの嫌だ。加持さん、何とかしてその予定を早めてよ」
加持「おいおい、無茶言うなよ。俺一人で決めれるような予定じゃないんだぜ」
式波「そうよ、惣流。あんまり無茶言って加持さんを困らせるもんじゃないわよ。私だって慣れたここを離れるのは嫌だけど、上の命令っていうならしょうがないじゃない」
惣流「むー……」
加持「ま、永久にお別れって訳じゃないからな。しばらくの間だけだ。日本に行く時はお土産も持ってくからそれで我慢してくれ」
惣流「ホントに!?」
式波「ドイツ生まれの人間に、ドイツのお土産を持ってってどうするのよ」ボソッ
惣流「いいのよ。加持さんからもらえるなら、何でも」ボソボソ
加持「とにかく、そういう事だから二人とも日本に行く用意はしておいてくれよ。その内正式に辞令が届くからな」
両アスカ「はーい…」
ー SOS団 部室 ー
キョン「遅いな……ハルヒのやつ。いつもだったらもうこのぐらいの時間には来てるはずなんだが……」
みくる「……」
キョン「それに長門のやつも珍しく来てないし。いつもだったら、俺より大体先に来てて、そこの椅子に人形のように座ってるんだけどな……」
みくる「…………古泉君も、来てないですね」
キョン「あいつは大概後から来るんで、気にする必要はないと思いますけど」
みくる「……そうですか」
キョン「?」
キョン「何か朝比奈さん、今日、元気がないみたいですけど…」
みくる「えっ。……そう見えますか?」
キョン「というより、何かに怯えてるような……」
ダダダダダダッ
キョン「?」
みくる「」ビクッ
ドア『』ガチャッ!!!
ハルヒ「ちょっと、キョン! 大ニュースよ!!」
キョン「ハルヒ。大ニュースはわかったが、勢いよくドアを開けて入って来るな。朝比奈さんが折角いれてくれたお茶に埃が入る」
ハルヒ「いえ、これはむしろ大事件ね! 私と有希の二人がエヴァのパイロットに選ばれるなんて!!」
長門「……」
キョン「……?」
キョン「おい、ハルヒ。ちょっと待て。エヴァ? パイロット? なんだそれは? ここに来る前に柱とか壁に強く頭を打ちつけたとか、そんな記憶はあるか?」
ハルヒ「はあ? キョン、あんたこそ何言ってるの? 豆腐の角に頭でも強く打ちつけた?」
キョン「そんなので頭がどうにかなるやつなんーー」
長門「……これで報告は済んだ。もうこれ以上の必要はない。別のところに」クイッ
ハルヒ「そうね、有希。自分で言っといてなんだけどこれは正しく大事件なのよね! そうと分かったらこんなところでのんびりしている場合じゃないわ! 行くわよ、有希」ガシッ、ダダダッ
キョン「何だったんだ、ハルヒのやつ……?」
みくる「……やっぱり」ボソッ
キョン「?」
何じゃコレ?
多重クロスなんてエタるだけ
どうせハルヒのせいで世界混じっちゃったんだろ?
ハルヒが漫画見て「こいつらが現実にいればなぁ」って考えた結果だろ?
そして最後は人類補完計画が起きたと思ったらハルヒが神の力でいつの間にかなんとかなってて、その時に残った影響を長門が宇宙人パワーで解決だろ?
分かりきってんだよそんなの、だからもう書くな、展開の分かるSSほどつまらないものは無いんだよ
ていうかひぐらしが参加してる以上雛見沢症候群が必ずあるんだろ?
エヴァに雛見沢症候群とか原作以上に狂って大虐殺→ハルヒが神の力により無かった事になるんだろ?
>>1はエヴァ嫌いなの?嫌いだから大虐殺させようとしてるんでしょ?
そして文句言われないようにハルヒを利用するんでしょ?
そういうの本当に止めろよ、今すぐ謝罪して止めろよ
本当に最低だな>>1は、漫画のキャラなら殺しまくって良いと思ってるんでしょ?
みくる「あの…キョン君。今日は私、これで失礼しますね。少しやる事が出来たから」
キョン「やる事…? それに、朝比奈さん、さっきやっぱりとか言ってませんでした? それってさっきのハルヒの、パイロットがうんたらかんたらとかいう話と何か関係があるんですか?」
みくる「ごめんなさい、禁則事項なんです。キョン君の質問には私はどれも答える事が出来ないの……」
キョン「つまり、関係があるって事ですね?」
みくる「禁則事項です」
キョン「……」
みくる「本当にごめんなさい」
キョン「いえ、いいですけど……」
みくる「それと、キョン君。……あの、私、メイド服から制服に着替えたいので……その……」モジモジ
キョン「失礼します。俺ももう帰りますから」スチャッ
みくる「ごめんね、キョン君」
キョン「いえ、いいんです。それじゃあ、また明日」ガチャ
みくる「うん、また明日……」
まだ数レスしか話が進んでいない上に文章も悪くないのに、そんなボロクソに叩くほどか?
>>8から>>11みんな同一人物なんじゃねぇのww
まともに知らん作品も混じってるがアスカ2人とか俺得だから続けて、どうぞ。
ー校門ー
キョン「」テクテク…
古泉「おや、奇遇ですね。今、お帰りですか?」
キョン「見ればわかるだろ。大体、校門前で待ち伏せしといて奇遇も何もあったもんじゃない」
古泉「おや、ばれていましたか。うまく誤魔化したつもりだったのですが」
キョン「お前のそういう空々しい演技は俺は嫌いだ」
古泉「それは残念です。以後は慎む様にしますが、こちらにも少し事情がありまして」
キョン「空々しい演技をする事情がか?」
古泉「違いますよ。待ち伏せしてでもあなたにお話ししたい事があったという事です。すみませんが、少しばかりお時間を借りてもいいでしょうか。案内したいところがあるんですよ」
キョン「《神人》とかいう青い怪物の事なら、ついこの間、聞いたばかりだぞ」
古泉「それとはまた別のところ、別の話ですよ。エヴァ、に関しての事です」
キョン「……わかった。少しだけなら付き合ってやる」
ー丘の上ー
タクシー『』ガチャ、バタン
古泉「着きましたよ。ここです」
キョン「……今度はエヴァとかいう赤い怪物が出てくるとかそういうオチじゃないだろうな」
古泉「色んな意味で惜しいと言えば惜しいかもしれませんね。何はともあれ、こちらからの景色を見てもらえれば理解して頂けると思います。百聞は一見に如かずとも言いますし」
キョン「……」テクテク
キョン「」ギョッ!!
キョン「おい、あの海!」
古泉「そうなんです。今はまだ太陽が上の方にあり、夕焼けが出来る様な時間帯ではありません。もっとも、夕焼けの状態であっても、あのような赤色には決してならないでしょうが」
キョン「…………」
キョン「……おい、古泉」
古泉「何でしょうか?」
キョン「まさか、あんな風に海が赤くなったのもハルヒの仕業とか言うんじゃないだろうな?」
古泉「そのまさか、としか僕には考えられなかったんですがね」
キョン「……嘘だろ」
古泉「前にもお話したと思いますが、涼宮ハルヒには願望を実現する能力があると我々『組織』は信じています」
古泉「世界を無意識的に変化、あるいは創造する力、つまりは神と言い換えてもいいでしょう。完全に無自覚な神ですね」
古泉「その彼女が、無意識的に作りだした世界。それがこの赤い海ーーセカンドインパクトによって人類が危機に瀕している世界です」
古泉「《神人》の閉鎖空間と同じように考えるのであれば、この世界は彼女の心をそのまま写す鏡、と言ってもいいかもしれません。つまり、それだけの動揺、焦燥、不安、絶望があったという事です」
キョン「……もう少しわかりやく説明しろ、古泉。セカンドインパクトだとか、エヴァだとか言われても俺にはそれが何の事だかさっぱりわからん。俺が今の時点でわかった事は、ここがろくでもない世界らしいというそれだけだぞ」
古泉「失礼しました。僕は昨日『組織』の方からあらかた話を聞いてしまっているので、つい」
古泉「簡単に説明するなら、南極大陸に巨大な隕石が激突した事によって氷が全て融解し、その為、世界人口の3分の2が失われたのが、セカンドインパクトだと一般的には言われています」
古泉「ただし、これは建前で、事実は《使徒》と呼ばれる怪物によって引き起こされたものというのが世の通説ですね。都市伝説よりも信憑性が多少高い程度のものですが」
古泉「そして、その使徒と呼ばれる怪物に対抗する為、エヴァンゲリオンと呼ばれるロボットを造った。こう聞くとまるで漫画や小説の様な話ですが、この事はこの世界ではまことひそやかに信じられていますし、ほぼ誰もが一度は聞いた事がある話です。知っていないと不自然なほどにね」
キョン「大体はわかった。……だが、古泉。お前はさっきハルヒがこの世界を作ったと言ったな」
古泉「ええ、そうです」
キョン「つまり、お前はハルヒが世界人口の3分の2を殺したと言いたいのか? 仮にあいつに世界を創造するような神みたいな力があったとしても、そんな事をするようなやつでない事だけは俺も断言してやるぞ」
古泉「困りましたね……。そういうつもりで言ったのではないのですが……」
キョン「じゃあ、どういうつもりだったんだ」
古泉「それについては説明しますが、その前に、その握りしめた拳を開いてはもらえないでしょうか? 僕も誤解で殴られるのは御免ですからね」
キョン「……」グッ、パッ、グッ、パッ
キョン「俺は手の運動をしてただけだぞ。それこそ誤解だ。何で俺がハルヒごときの事でお前を殴る必要がある」
古泉「そうですか。それならそういう事にしておきますが」
キョン「……」
古泉「先程も言ったように、この世界は涼宮さんが無意識的に作り出した世界だと我々『組織』の人間は考えています」
古泉「例えば、涼宮さんにスケッチブックを一枚渡し、何も見ずに木を描いてもらったとしましょう」
古泉「木、と一言で言っても、木にも色々な種類がありますし、それに、枝を描くか根っこを描くか葉を描くかで絵はずいぶんと変わってきます」
古泉「今回は、涼宮さんが描いた絵が、それがたまたま枝も根も葉もほとんどない枯木だったという事です。涼宮さんは無意識的にそれを描いただけであって、涼宮さんが木を枯れさせたという訳ではないのですよ」
古泉「解っていただけましたか?」
キョン「……少しはな」
キョン「だが、古泉。一つ解らない事がある」
古泉「何でしょう?」
キョン「何でハルヒはこんな荒んだ世界を作った」
キョン「あいつが、俺たちが元いた、平凡で退屈な世界に愛想を尽かして、エヴァとかいうロボットだかのパイロットになって人類を守る為に戦うというシチュに憧れを持ったというところまでなら一億歩譲って納得してやる。俺も一時期そういう事を空想してた時があったからな」
キョン「だけどな、世界中の人口が3分の2も減ったり、こんな魚すらも住めそうにない赤い海があったりとかは、いくらなんでもやり過ぎだ。ここまで悲惨な世界を作る必要なんか全くないだろう。例え無意識的なものであったとしても」
古泉「」フッ…
古泉「こうなったのは、全てあなたのせいですよ」
キョン「……どういう事だ?」
古泉「そのままの意味ですよ。昨日、あなたはこの世界を作る引き金を引いてしまったんです」
キョン「おい、ちょっと待て。俺は昨日ハルヒに対して何もしていないぞ。せいぜい、暑いから扇げと言ってきたのを断ったぐらいだ」
古泉「それだけですか? SOS団の部室で朝比奈さんとイチャイチャしていたところを涼宮さんに見られていませんか?」
キョン「おい」
キョン「あれはイチャイチャしていたとかそういうものじゃなくてだな、というか何でお前がそれを知っているんだ」
古泉「ご安心を。朝比奈さんから直接聞いたという訳ではありません。ただ、涼宮ハルヒを監視しているのは僕や長門さんや朝比奈さんだけではないという、それだけの事です。情報は別の組織からもらいました。何せ、このような事態ですからどこもお互いに協力せざるを得ませんからね」
古泉「ついでに言わせてもらえれば、今回の件については、あなたの主観など意味がないのです。問題は涼宮さんがそれを見てどう捉えたかです。そして、結果、作られたのがこの世界という訳ですよ。涼宮さんの心情をそのまま表していると僕は思っていますが」
キョン「お前が何を言いたいのか俺にはさっぱりわからんのだが」
古泉「ご冗談を」フッ
キョン「……本当だ」
古泉「ずいぶんと力のない声ですが、まあいいでしょう。もう過ぎてしまった事ですし、今更どうにもならない事ですから」
キョン「どうにもならない?」
古泉「そうです。この世界は既に完成してしまっていて、我々の元いた世界は恐らく消えてしまっています。涼宮さんの心情に沿って言うなら、彼女は過去と決別したのですよ」
古泉「一般的な言い方をするなら、叶わない恋を捨て仕事に専念し始めたとでも言うのでしょうかね。それを世界規模で行ってしまう辺りがなんとも涼宮さんらしいですが」
キョン「仕事?」
古泉「ですから、エヴァのパイロットですよ。これまで涼宮さんは宇宙人や未来人や超能力者と『遊ぶ』事を目的としてきました。それが変わって、人類を守る『仕事』へと変化したんです。失恋した女性が、それをまぎらわせる為に勉強や仕事に集中し始めるというのは、少しも珍しい話ではないでしょう」
キョン「……この世界、もう元に戻らないのか?」
古泉「恐らくは……。何せ、この世界にも閉鎖空間は存在していますからね。朝方に僕も一度入りましたが、《神人》も誰もいない完全に無人な空間でした。物質という概念があるかどうかも解らないほど、何もない虚ろな空間でしたよ」
キョン「どうしてそれが戻らない証拠になる」
古泉「解りませんか? 閉鎖空間と、前に僕たちがいた世界が入れ替わったのだとしたら、この世界での閉鎖空間は、前に僕たちがいた世界だという事になります。そこがもう消滅しているのですよ。これでは戻りようがない」
キョン「………………」
古泉「そういう意味で、涼宮さんは過去と決別したと言ったのです。あなたがエヴァのパイロットに選ばれてないのもその証拠でしょう。それに、朝比奈さんもね」
キョン「どういう意味だ」
古泉「そのままの意味ですよ。邪魔者はいなくなるから、後は二人でごゆっくりという事でしょう。僕は男ですから、どうやら除外対象となったようです。少なくとも涼宮さんには、あなたはホモだと思われていない事だけは判明しましたが」
キョン「悪い冗談はよせ」
古泉「おや? かなり本気だったんですけどね」
キョン「おい。……待てよ」
古泉「あるいはこう捉える事も出来るかもしれません。あなたと朝比奈さんが仲良くしているところをこれ以上見たくはなかったともね」
古泉「この場合、同じくエヴァのパイロットに選ばれた長門さんは巻き添えを食らっただけという事になりますが、彼女の事ですから、涼宮さんを監視する為に何らかの工作を行って自分がパイロットに選ばれるよう仕組んだという事も十分考えられます」
古泉「何にせよ、この世界において、あなたと朝比奈さんは涼宮さんから疎遠にされているのですよ。僕とは違って、お二人は涼宮さんからかなり気に入られてましたから。この二人が揃って涼宮さんと行動を共にしないというのは、そうとしか考えられない」
キョン「……あいつの方から疎遠にされるなら、こちらとしては願ったり叶ったりだから、それはそれでいい。だが、このいかにもヤバそうな雰囲気のこの世界は断固として断る。これならハルヒのわがままにつきあってた方が一億倍はマシだ」
キョン「古泉、ハルヒの気が変われば、夢オチとかそんな感じで、なかった事に出来ないのか、この世界」
古泉「先程も言ったはずですよ。僕たちが元いた世界は既に消滅してしまっているのです。なかった事というのはまず不可能かと」
キョン「ハルヒが元の世界に戻りたいと思ってもか?」
古泉「その場合は、恐らく似て非なる世界が新たに作られると思います。完全に元の世界にはならないでしょう。断言は出来ませんが」
キョン「俺はそれでもいいんだがな。少なくとも滅亡の危機に瀕しているこの世界よりは」
古泉「ところがそうもいかないんですよ」
キョン「?」
キョン「何でだ? 例えそれが少し違った世界でも、この世界よりはマシだろう」
古泉「ええ、その意見については僕も賛成します。ですが、反対する理由というのもあるんです」
古泉「仮に涼宮さんが元の世界に戻りたいと思ったとしましょう。そして、新たな世界が作り出されたとします。そこでふと沸き上がる疑問ですね」
古泉「その世界は、本当に今の世界よりもマシなのか? と」
古泉「あるいは、その世界に自分はいるのか? とね」
古泉「一度、こういった世界が作り出されてしまった以上、そこは懐疑的にならざるを得ません。今よりも悪い世界が作られたらたまったものではありませんからね。これは恐らく涼宮ハルヒを監視する全ての組織が思っている事です」
キョン「という事は、つまり……」
古泉「今まで通り、涼宮ハルヒには干渉せず監視対象のみに留める、という事ですよ。これはむしろ前の世界にいた頃よりも強い意見となっています。この世界が滅亡の危機に陥っているとは言え、涼宮さんがエヴァのパイロットになっている以上、使徒によってこの世界が滅亡するという事は絶対にあり得ませんからね」
古泉「実はあなたをここに誘ったのも、その話をするのがメインでして」
キョン「どういう事だ?」
古泉「結論から言わせてもらえれば、涼宮さんに二度と近づかないで欲しいという事です」
キョン「お前は、娘がチャラ男を連れてきた時のガンコ親父か」
古泉「近しいものがあるかもしれませんね」
キョン「それなら、いつ、ハルヒの母親と結婚したのか教えてくれ。もしくは不倫相手か」
古泉「そちらに関しては冗談です。とはいえ、近づかないで欲しいというのは本気ですよ。これは我々『組織』の総意でもあります」
キョン「何でお前たちにそんな事を決められなきゃならん」
古泉「お忘れですか? あなたがこの世界を作るきっかけとなったんですよ。もう一度同じ事が起こるとしたら、またあなたがきっかけとなる可能性が一番高いんです」
キョン「…………」
古泉「それに、涼宮さんの方でもあなたを疎遠にしたがっているように見えます。それを考えれば、こういった話が出てくるのは当然だと思いますが」
キョン「……俺にどうしろってんだ、お前らは。SOS団から抜けろってのか? そんな事したって、クラスが同じな上、席が真後ろなんだ。嫌でも近づく事になるし、むしろあいつから話かけてくる方のが多いんだぞ」
古泉「その心配は無用です。涼宮さんはエヴァのパイロットになるのですから、ネルフ本部のある第三新東京市へと引っ越していきますからね」
キョン「ちょっと待て。また聞いた事がない単語が出てきた上、引っ越しだと? ちゃんと順を追って説明しろよ」
古泉「失礼。ネルフというのは、人類を滅亡から救う為に作られた対策機関ですよ。第三新東京市というのは現在の首都で、ネルフ本部はそこにあります。ちなみに今、僕たちがいる街は第二新東京市ですよ。セカンドインパクトによって、地名はもちろんの事、地図の方もかなり変わってしまっているんです」
キョン「で、その第三新東京市とやらにハルヒは引っ越していくのか? それは確定なのか? あいつは今日一言もそんな事言ってなかったぞ」
古泉「言わなくても解ると思ってそれは省略したのでしょう。ここから通っていける距離ではありませんし、使徒がいつ襲ってくるか解りませんから常駐はしなければならない。必然的にそうなるはずです」
キョン「……そうか」
古泉「さて、僕からの話はこれでおしまいです。そろそろ帰りましょうか。陽も傾いてきた事ですし」テクテク
キョン「…………」
タクシー『』ガチャ
古泉「?」
古泉「どうされました? 乗らないのですか?」
キョン「……俺はいい。歩いて帰る。今乗ると車酔いしそうな気がする」
古泉「そうですか、それなら……。まあ、歩いて帰ってもそれほど時間はかからないでしょう。陽が沈む前には家までたどり着けると思います。前いた世界と多少道が違っていますが、基本的には同じですから、道に迷う事もないかと」
キョン「そうか……」クルッ、テクテク…
古泉「そういえば、あと一つだけ」
キョン「なんだよ?」
古泉「僕たちは今いるこの世界こそが涼宮さんが新たに作った世界だと考えていますが、ひょったしたらその逆の可能性もあります」
キョン「どういう事だ」
古泉「つまり、僕たちが元いた世界こそが、涼宮さんがこの危機的な世界に嫌気がさして、新たに作りあげた平和でのどかな世界だったかもしれないという事です。確かめる術はありませんし、確かめたところで今更意味がない事でもありますが……。それでは」バタン
タクシー『』ブロロ……
キョン「……知るか、そんな事」
キョン「……」テクテク、ピタッ
キョン「……何で俺がさっきからこんなイラつかなきゃならんのだ。くそっ!」
キョン「大体、考えてみれば全部アイツの勘違いじゃねーか! 勝手に一人で結論出して、勝手に一人で自己解決するなよ、アホハルヒ!!」
ー阿良々木宅ー
火憐「兄ちゃん、兄ちゃん、兄ちゃん!」ダダダッ
月火「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん!」タタタッ
暦「ん? どうした、二人とも。そんな慌てて帰ってきて」
火憐&月火「」キキィ、ピタッ
火憐「兄ちゃんはさ、いつも言ってたよな。あたしたちのやってる事は正義の味方ごっこだって」
月火「本物じゃなくて偽物だってさんざんバカにしてくれちゃったよね。ていうか、思い出したら段々腹立ってきちゃった。ムキー! プラチナムカつくー!!」
暦「おいおい、落ち着け、落ち着け。僕も今まで月火ちゃんには色々な逆ギレのされ方をしてきたもんだと勝手に自負していたが、しかし、僕がまだ何も言ってない内にいきなり逆ギレされたのはこれが初めての事だぞ」
火憐「兄ちゃん、それだけこれまでの恨みが強かったって事だよ。さあ、観念してもらおうか」
月火「そうだよ、お兄ちゃん。妹に対しての暴言を償う時が今ここに来たんだよ」
暦「いやいや、ちょっと待て。いきなりそんな事を言われても僕には事情がさっぱりわからないし、観念しろと迫られたところで僕は何に対して観念すればいいのかも全くわからないだろう。まずはきちんと前後状況を説明して、その上で文句を言うなり反省を求めるなりしてくれないと、流石の僕もどう対応していいのか困ってしまうぞ」
火憐「ふっふっふ。兄ちゃん、そのおしゃべりな口もそこまでだよ」
月火「控えおろーう、控えおろーう。この書類が目に入らぬかー!」ババーン
暦「そ、それは!」
火憐「そうだよ、兄ちゃん。ネルフマークだぜ!」
月火「今、ネットで検索ワード急上昇中の、あのネルフだよ!」
火憐「しかも、これはマルドゥク機関からの正式依頼書類!」
月火「私たち二人をエヴァのパイロットにしたいと言ってきたー!」
暦「お、おい……。火憐ちゃんも月火ちゃんもちょっと待て。エヴァのパイロットに選ばれただって? それ、本当に本当の事か? 嘘や冗談とかじゃないんだよな……?」
火憐「兄ちゃん、私たちがこんな事で嘘をつくとでも思うのかい?」
月火「私たちは、小さな嘘はつくけど、大きな嘘はつかないよ」
火憐「さあ、どうする。兄ちゃん!」
月火「土下座して謝る兄の勇敢な姿を妹たちに見せつける時が遂に来たよ。お兄ちゃん!」
暦「すみませんでしたー!!」ガバッ
暦「って、いや、ちょっと待て。何で僕が土下座して謝らないといけないんだ。言葉のカッコ良さにつられて、ついつい土下座してしまったー!! くそー!!」ダンダン
ーーーーーーーーーー
暦「で、火憐ちゃん、月火ちゃん。その正式書類は一体どこからどうやって渡されたんだ。大事な話だから、経緯を兄ちゃんに詳しく教えてくれないか」
火憐「……兄ちゃん、私にそれを話せって言うのか。今更、思い出したくもない出来事だっていうのに……」
月火「あれ? 今回はサスペンス調でお送りする気なのかな、火憐ちゃん」
火憐「そう……。あれは忘れもしない、今日の学校での出来事だよ」
月火「つい四時間ぐらい前の事ー」
火憐「昼休み……。私が弁当を食べていたら、いきなり校長室へ呼び出されたんだ」
月火「なんとー! ここでまさかの急展開!?」
暦「いいや。お前たちにはよくある事だ。というか、何だ、この流れ」
火憐「……で、私は仕方なく行ったんだよ。断れば後から何をされるかわかったものじゃなかったから……」
月火「むしろ断るという選択肢は彼女にはなかったー」
火憐「そして、行った先で手渡されたのがさっきのこれさ。それから後の事は兄ちゃんの想像にお任せするよ……」
月火「という事で、ここで恒例の展開当てクイズー!」
火憐「クイズー! ていうか、初めてのはずだけど?」
月火「さて、火憐ちゃんはその後どうしたのでしょう? 答えは、二人してやりますって即答した、だよ♪」
火憐「クイズだったのに、もうバラしちゃったの!?」
暦「…………一体、僕はどこからどうツッコめばいいんだ」
火憐「とにかく、兄ちゃん。私たちはこれで完全に正義の味方になったんだ」
月火「そうだよ、お兄ちゃん。人類を守る大事なお仕事なんだからね。むしろ、正義そのものだよ」
火憐「だから、兄ちゃん。快く私たちをネルフ本部まで送り出してくれ」
月火「出発の時期は、ある程度こちらに合わせてくれるって言ってたけど、私たちはすぐにでも行きたいんだよ、お兄ちゃん」
暦「というか、火憐ちゃんに月火ちゃん……。行くのを前提に話を進めるのはやめてくれ。大体、まだ母さんの許可だってとってないんだろう……」
火憐「だからだよ。兄ちゃんには一緒に説得を手伝ってもらいたいんだ」
月火「それとお兄ちゃん。そんな心配そうな顔しないでよ。私と火憐ちゃんが揃ってたら、怖いものなしなんだから」
火憐「そうだぜ、兄ちゃん。使徒とかいう化物は、私たちで全部コテンパンに叩きのめしてやる!」
月火「だから、お兄ちゃん。安心して家で待ってなよ。これからは私たちがお兄ちゃんを守ってあげるからさ」
暦「いや……でも……」
暦「」ハッ!
火憐「……? どうした、兄ちゃん?」
月火「?」
暦「ごめん、火憐ちゃん、月火ちゃん。悪いけどこれから僕はちょっと出掛けるところが出来た。帰りは少し遅くなるかもしれないけど、話はそれからきちんと聞く。だから、それまで返事は待っててくれ」
火憐「それは構わないけどさ……」
月火「どこに行くの、お兄ちゃん?」
暦「知り合いのところだよ、じゃ……!」ダダダダダッ、ガチャ、バタン!!
火憐「兄ちゃんに知り合いなんかいたのか……」
月火「友達じゃないから、それぐらいは流石にいると思うよ?」
ーチャリンコ疾走中ー
暦「くそっ。何で僕は元学習塾ビルへと向かって自転車を全力でペダル中なんだ」
暦「あいつはもうこの第二新東京市からとっくの昔に出てって、今頃どこか別の街でまた同じような暮らしをしているに違いないっていうのに」
暦「でも、足が勝手にそっちの方へと向かってしまう。いつのまにか、何かあった時には忍野に相談するくせがついてしまっているのかもしれない」
暦 (…なんて事を言っていたら、いつのまにやら僕は元学習塾ビルへと着いていた)
暦 (……そこはいつも通り、人気のない静寂な場所だった。こんなところに好きこのんで入る人間なんかまずいなさそうな場所だ)
暦 (まあ、僕は半分吸血鬼なのだから、それには当てはまらないのかもしれないけれど……)
暦 (というか、誰に向かってわざわざ小説風に説明してるんだ、僕は?)
暦「」カツ、カツ、カツ、カツ……
暦「この階段を上る事は、もうないだろうと思ってたんだけどな……」
暦「」スッ……。カラカラカラ……
忍野「やあ、阿良々木君。ずいぶんと遅かったじゃないか。待ちくたびれちゃったよ」
暦「忍野……!」
忍野「おやおやおや、どうしたんだい、阿良々木君。鳩が豆鉄砲を食らったような顔して。いや、この場合は吸血鬼が銀の銃弾を食らったような顔して、と言った方がいいのかな? 忍ちゃんならいかにも言いそうな事だけどねえ」
暦「忍野、そんな事は今はどうでもいい。それよりも忍野、この街から出て行ったんじゃなかったのか?」
忍野「忍ちゃんと同じで僕も自分探しの旅に出ていただけだよ。あっ、そうそう、忍ちゃん。これ、お土産のドーナツ。阿良々木君の分はないけど、まあ、阿良々君は今はきっと食欲がないだろうから構わないよね?」
暦の影「」ズズッ……
忍「」ピョン!
忍「」フワッ……クルクル、スタッ。
暦「忍……」
忍「……」トコトコ、ウケトリ。クルッ、トコトコ、チャクセキ。
忍「……」カプッ、……カジカジ、……ハムハム
忍野「相変わらず、はしっこが指定席だねえ、忍ちゃんは。ま、二人とも元気そうで安心したよ」
忍「……」
暦「おい、忍野。自分探しの旅っていうのは何だ。どこへ行ってたんだ。てっきりいなくなったと思ってこっちは心配してたんだぞ」
忍野「うん。まあ、実際そのつもりだったんだけどね。忍ちゃんもいる事だし、阿良々木君ももう僕の手助けなんか必要ないだろうと思って、本当はこのまま消えるつもりだったんだけどさ」
忍野「ただねえ、阿良々木君。風の噂で君の可愛い妹ちゃん二人がエヴァのパイロットに選ばれたって聞いちゃったものだからさ。流石にこれは僕としても、見て見ぬふりが出来なくてねえ。それでこうして戻って来たという訳だよ」
暦「よく知ってたな、忍野。当事者であるうちの妹二人でさえ、つい四時間前ぐらいに知ったばかりだというのに」
忍野「ま、僕はこう見えて顔が広い方でね。もちろん人の方でもそうだけど、特に怪異の方でもね。だから、怪異絡みの話は大体僕の耳に入ってくるんだよ。好む好まないに関わらずね」
暦「怪異絡みって、やっぱり忍野…。前からそうじゃないかとは思ってたけど、使徒っていうのは……」
忍野「そう。怪異だよ。それも飛びきりのね。怪異の王様が吸血鬼だとしたら、使徒ってのは怪異の神様さ。王と神とでは格以前に次元が違う。それはプライドの高い忍ちゃんでさえ、きっと認めてくれると思うよ」
忍「…………」カジカジ、カジカジ
暦「怪異の神様、か……」
忍野「一応言っておくけどねえ、阿良々木君。神様って言っても前にツンデレちゃんが出会ったようなおもし蟹とかと一緒に考えちゃ駄目だよ」
忍野「日本には昔から八百万の神っていうぐらい神様がたくさんいるし、仏教やキリスト教みたいに海外の神様まで受け入れちまうようなウェルカムな国なんだ。神様がそれだけいれば、当然神様の中でも格ってものができちまう。例えば同じ神様でも、トイレの神様と太陽を司る天照大御神を一緒には出来ないだろう? それと同じさ」
暦「言いたい事はわかったけれど、一つ確認しておきたい。使徒っていうのは神様なのか?」
忍野「いや、違うよ。神クラスの怪異ってだけさ。神様ではないよ。阿良々木君はキリスト教にはあまり詳しくはないのかい?」
暦「人並み程度だと自分では思ってはいるが……」
忍野「使徒ってのはさ、キリスト教に出てくる神の使いだよ。早い話、天使さ。神クラスの怪異ってのは納得がいくだろう?」
忍野「そもそもねぇ、阿良々木君。天変地異を引き起こすような怪異ってのは、神様とほとんど同格なんだよ。日本でも菅原道真は最初怨霊扱いだったけど、今じゃ大宰府天満宮に祀られて学問の神様になっている。使徒が引き起こしたセカンドインパクトの事を考えれば、ほとんど神様だと捉えてしまっても何も不自然なところはないんだ」
暦「つまり、あれか。菅原道真の怨霊を鎮める為に大宰府天満宮が造られたように、エヴァっていうのも使徒を鎮める為に造られた、言ってみれば魔除けの御守りやお札みたいなものなのか?」
忍野「似てはいるけど、どちらかと言えばそんな生ぬるいもんじゃないね。ほら、あれだ。テレビゲームや漫画とかでよくあるだろう? 霊刀や魔法剣とかそんな類いさ。それがもっと近代化されたやつだよ。何せエヴァは武器じゃなくて兵器だからね」
暦「それじゃあ、忍野。うちの妹二人は、その兵器を使って使徒を倒す、いわば昔でいう退魔師や魔導師みたいなものに選ばれたって事でいいのか?」
忍野「退魔師や魔導師ねぇ……。阿良々木君、前にも言ったと思うけど、ちょっと怪異の事をなめて考え過ぎてやしないかい? 相手は天変地異を引き起こすほどの神クラスの怪異なんだぜ? 『そんなもん』じゃあ済まないよ」
暦「え……」
暦「どういう事だよ、忍野。それだけじゃ済まないって……」
忍野「これはねえ、阿良々木君。それほど珍しい事じゃあないんだよ。ずっと遥か昔には、火山の噴火や日照り大雨が続いた時には世界中で当たり前のように行われてきた事だし、西洋の黒魔術なんかだと近代まで密かに行われてきたぐらいだからね。ま、流石に現代ではそんな事をする人はいないと思うけどさ」
暦「黒魔術って……おい、忍野、それってまさか……!!」
忍野「……うん。多分、阿良々木君の考えている通りの事で合ってると思うよ」
忍野「……西洋風に言えば『生け贄』、東洋風に言えば『人身御供』さ」
暦「……!!」
忍野「もちろんエヴァを造った人間がそこまで最初から考えていたとは、僕は思ってはいないよ。あれは科学の結晶とも言えるべきものだろうからね」
忍野「ただ、霊的やら霊力だのといった単語を持ち出すと、あれは霊媒としては最適のものでね。なにせ、僕の知っている限りでは、あれは神様のコピーだっていうじゃないか。霊力を伝えるのにあれほど適したものはないよ。元が神様だっていうんだからさ」
忍野「だからさ、阿良々木君。僕の考えだと、エヴァを動かすには燃料云々の前に人の魂が必要なんだよ。魂を使ってあれは動いてる。誤解しないで欲しいのは、魂を削って、ではなく、魂を使って、というところだね。だから、乗る度に寿命が減っていくとかいう事はまずないだろうけど、代わりに何らかの影響は必ず出ると思うよ」
暦「何らかって……一体どんな影響が出るんだよ、忍野!」
忍野「さあてね。生憎、僕は神様でもなければエヴァの開発者でもないから、そこまでは僕にもわからないよ。ただまあ、あえて予想するなら、歳をとらない、じゃあないのかな? 日本の人魚伝説にもあるように、寿命が減っていく以外での魂の影響なんて、それぐらいしか僕には思い付かないらね」
暦「歳をとらないって……。それ……」
忍「…………」パクパク…… カプッ……
忍野「そう。君や忍ちゃんと同じって事さ。吸血鬼は肉体だけじゃなく魂の再生までしてしまう。吸血鬼の場合だと、他人からエネルギーを奪ってそれを再生に使っているけど、神の器に乗るんだったらその必要も恐らくないだろうね。そこから自然とエネルギーを吸収してるはずさ」
暦「冗談じゃないぞ、忍野! 僕だけならともかく、火憐ちゃんや月火ちゃんまでそんな事になってたまるか! この話、絶対に断らせてくる。不老不死になって、いい事なんか一つもない!それは僕が一番よく知ってるんだから」クルッ、スタスーー
忍野「まあ、待ちなって、阿良々木君。ちょっとは落ち着きなよ」
暦「落ち着く? そんな事出来る訳ないだろう。あの二人には絶対こんな事言えないけど、火憐ちゃんと月火ちゃんは僕の大事な自慢の妹なんだ。その二人がろくでもない目に合いそうになってるのに、どうして落ち着けるんだ!」
忍野「うん。阿良々木君の言い分はわかるし、気持ちもわかるんだけど、だからこそ落ち着きなって言ってるのさ。急ぐのと焦るのとは全く別物だよ。特に大事なものがかかってる時ほど落ち着かないと……後で後悔する事になるよ。激しくね。まあ、これは大人からの忠告ってやつさ。ここは素直に聞いときなよ。阿良々木君」
暦「だけど!」
忍野「やれやれ……。仕方ないねえ」ツカツカ
暦「……?」
忍野「ほいっと」コカシ!
暦「ぐあっ!」バタッ!!
忍野「ちょっとさ、しばらくそのままでいなよ。僕がタバコを二本吸う間……」チラッ
忍「…………」パクパク……カジカジ……
忍野「いや、四本かな。忍ちゃん、そろそろお腹一杯になってきたのか、食べるペースが落ちてきてるからね」
忍「」チラッ
忍「……」モグモグ……ゴクン ケップ……
暦「そりゃそうだろうさ、一人でドーナツ四個も食べりゃお腹一杯にもなるだろ。そんな事より忍野、さっきから体が全く動かせないだが、僕に何をした!?」
忍野「ちょっとした暗示をかけただけだから心配はいらないよ。その内すぐに動けるようになるから。とにかくさ、阿良々木君。しばらくそこで天井でも眺めながら頭を冷やしなよ。話はそれからしてあげるからさ」
暦「…………わかった」
忍野「うん。素直なのは良い事だね」スッ、シュボッ
忍野「」プカー、フーッ……
暦「…………」
暦「……見知らぬ天井か」
ー12分、32秒後ー
忍「」ケップ
忍「…………」
忍「……」チラッ
忍野「」プカー……
忍「…………」
忍「」フン
忍「」トコトコ
暦の影『』ズズッ……トプン
暦「忍……また僕の影の中に入っちゃったか……」
忍野「いや、そうじゃあないと思うよ。あの子は貸し借りが嫌いな子だからねえ」
暦「?」
忍野「ま、すぐにわかると思うよ。もうすぐ僕もタバコを吸い終わるしね…」
ー17分、57秒後ー
忍野「お待たせ、阿良々木君」
暦「」ムクッ……
暦「で、忍野。いい加減、きちんと説明してくれるんだろうな。言っとくが、僕は自分の意見を変える気は全くないぞ。妹たちには僕が吸血鬼になった事情を話してでも、絶対にエヴァのパイロットを断らせる」
忍野「だから、その考えが浅はかだってんだよ、阿良々木君。よくよく考えてみなよ。この話、断れるとでも本当に思っているのかい?」
暦「どういう意味だ、忍野」
忍野「だからさ、阿良々木君。セカンドインパクトによって人口が激減したとは言え、この世界にはまだ10億人以上の人間がいるんだぜ? その中から、たまたま君の妹ちゃん二人がエヴァのパイロットに選ばれるなんて、そんな偶然が存在するとでも思うのかい?」
暦「……!?」
忍野「これが宝くじだったらひょっとしたらあるかもしれない。でも、世界の滅亡がかかってるっていうのに、そんな大事なことを偶然で決めると思うかい? 何らかの理由があって、君の妹ちゃん二人はパイロットに選ばれているに違いないんだ。それが何なのかは僕は知らないけどね」
暦「そんな……!!」
期待
乙乙!
暦「だ、だけど、忍野。うちの妹二人はパイロットになってくれるように依頼されたって言ってたんだぞ。それに、一緒に母さんを説得してくれって僕に言ってきたんだ。それなのに断れないって事はいくらなんでも……」
忍野「そりゃあさ、阿良々木君。日本は法治国家なんだ。強制的にパイロットにさせるなんて事は建前上どうしても不可能だよ。だからこそ、断った場合の方が怖いんだ。自発的にパイロットにさせる為なら、どんな手段だって使いかねない」
忍野「よくよく考えてみなよ、阿良々木君。何せ、向こうは人類の未来がかかってるんだぜ。多少の無茶だって平気でやるさ。極端な事を言えば、妹ちゃん二人を除いて阿良々木家全員を抹殺して、孤児として国で引き取って半ば強制的に乗せるなんて事だってあり得るんだ」
暦「おい、忍野……。悪い冗談はよせよ……。いくらなんでもそんな……」
忍野「まあ、僕も流石にそこまではしないだろうとは思ってるけれども、似たような手段はとるんじゃあないのかな。阿良々木君のご両親をどこの企業でも雇ってくれないようにして、社会的に抹殺する、ってのが一番考えられる事だろうね。それで生活保護も何らかの理由をつけて受給出来ないようにしてしまえば、その後に待ってるのは……まあ、言わずともわかるだろう?」
暦「…………でも、それはあくまで忍野の想像であって、実際、そんな……」
扉『』ガラッ
忍「」ポイッ、ポイッ、ポイッ
黒服の男1「」ドサッ!!
黒服の男2「」ドサッ!!
黒服の男3「」ドサッ!!
暦「うわっ!」
忍「……」
忍野「ほうら、来た。わざわざありがとうねえ、忍ちゃん。手間をかけさせて悪かったよ」
忍「……」フン
忍「」テクテク、ピョン
暦の影『』ズズッ……トプン
暦「お、おい、忍野。一体何の事だ。それに、この黒服の男たちは一体何なんだよ」
忍野「そりゃまあ、多分、ネルフの諜報部員だろうね。今は忍ちゃんに血を吸われて気絶してるから、単なる被害者とも言えるけどね。阿良々木君、君は尾行されてたんだぜ、ここまで。忍ちゃんに賄賂を送ったのも実はこの為でね」ハハッ
暦「尾行、だと……? 何で僕が尾行なんかされなくちゃ……」
忍野「そりゃあ決まってるだろう、阿良々木君。君がエヴァパイロットに依頼された二人の妹ちゃんの兄だからだよ。兄弟の君でさえ、尾行が三人もついてるんだ。ご両親の方はもっとついてるだろうし、恐らく既に話はされてるはずだよ、きっと。報酬や保証、軽い脅迫まがいの事も含めて、さ」
暦「…………!」
忍野「阿良々木君、これでわかっただろう? 今の君は結構危ない状態なんだ。下手に藪をつついたら、蛇どころか大蛇や熊が出てきかねない。君だけなら、吸血鬼の力が半分あるからなんとかなるかもしれないけどさ、ご両親の方はそうはいかない。僕としては、今は動かない方がいいと思ってるんだよ」
暦「だけど、忍野。それだと、エヴァに乗った時に受ける影響が火憐ちゃんと月火ちゃんに降りかかる事になる……! そもそもエヴァに乗って使徒と戦う事自体危険な訳なんだから……!!」
忍野「…………そこらへんはさ、とりあえず置いときなよ、阿良々木君。君の妹ちゃん二人の噂は僕も色々と聞いているけど、さっき阿良々木君が言った通り、君の自慢の妹二人なんだろう? よっぽどの無茶をしない限りはきっと上手くやってくれるはずだよ」
暦「でも……」
忍野「それにさ、寿命云々の話はあくまで僕の推測だし、それは最悪そうだろうっていうだけの話さ。仮にもしそうだったとしても、それは僕の方で必ずどうにかするよ。その為に戻ってきたんだからね、僕は」
暦「……その言葉、信じていいのか? 忍野……」
忍野「ああ、大丈夫だから安心しなよ。君が忍ちゃんを見捨てればいつでも人間に戻れるように、怪異で引き起こされた事なら、痛みを伴う事はあっても解決方法ってのは必ずあるんだ。専門家の僕が言うんだから、それは間違いないよ。少なくとも、決して悪いようにはしないさ。その点だけは保証する」
暦「あまり……良くない例えだな。僕と忍の事を出されても、正直、悩むだけだ」
忍野「全部が全部、何もかも全て上手くいくって訳にはいかないさ。その辺は、蛇切縄やレイニーデビル、障り猫と、これまで色々と怪異に関わってきた阿良々木君なら十分理解してくれてると思っていたけどね」
暦「…………」
忍野「誰だってさ、怪異に関わろうとして関わってる訳じゃあないんだよ。みんな仕方なくなんだ。阿良々木君が困った人を見て、それを見て見ぬふりが出来ないように、僕も君の妹ちゃん二人も今回に関してはそうだったんだ。好きで関わってる訳じゃあないよ。好きで関わるものでもないしね…」
暦「そうか……」
忍野「……」スッ、シュボッ
忍野「…………」フーッ……
ー 月面 タブバベース ー
カヲル「」パチッ……
カヲル「…………」ムクッ
カヲル「……わかっているよ。あちらの少女が目覚め、長く単調だったプレリュードが終わりを迎えたんだろう?」
SOUNDONLY『そうだ。死海文書の外伝は既に書き換えられ、正伝へとの繋がりを果たした。汝が契約を果たす時も近い』
カヲル「」フッ……
カヲル「」スクッ
カヲル「……全ては御老人の意のままに。僕はその為に生まれてきたのだから」
SOUNDONLY『終わりなき世界に始まりは不要でしかない。パンドラの匣は常に有り続けねばならないのだ。その役目、必ずや果たしてもらうぞ。渚カヲル』
ブン、パッ……
カヲル「…………今度は三番目とはね」
カヲル「」フイッ…
カヲル「……赤き月に赤き海。この世界は悲しみと空しさで満ちているね。まるで今の君の心のように……」
カヲル「今度こそ、君を幸せにしてみせるよ、綾波レイ……」
??????????????????
ー おまけコーナー ー
魅音「やっほー、園崎魅音だよー♪」
式波「二回目ね。式波・アスカ・ラングレーよ」
翼「初めまして。羽川翼です」ニコッ
みくる「私も2回目ですね。朝比奈みくるです。今後ともよろしくお願いします」ペコリ
式波「……で、何で急に私たちが呼び出される事になったのよ?」
翼「あれ? 聞いてなかったの、式波ちゃん。ここは投下以外は顔出しをしない>>1に代わって、私達がレスを返すコーナーだよ。本当に何も聞いてなかったの?」
魅音「あー、ま?、>>1もかなり慌ててたからねえ。まさかプロローグがこんなに長くなるとは思わなかったらしいよ。せっかくレスもらったのに、ずっと返してなかったから、どうしよー、って感じでさあ」
みくる「という事で、ずいぶんと遅れてしまいましたけど、これからはキリのいいところで作品内の誰かがこんな風にしてレスを返していきますね」
魅音「って言ってもなりきりスレとかじゃあないんで、そこらへんはまあ、オマケというよりお遊びって事で」
翼「出番、少ない人が多いからね…。私なんかまだ出てきてないし」
式波「ひぐらし勢に至ってはまだ出てきてすらいないわよね?」
魅音「」ギクッ
式波「つまり、それじゃ可哀想だからここで出してあげようって訳? ま、私はエヴァのパイロットだから、この後もたくさん出てくるし、どうでもいいんだけどね」
翼「あっ。ダメだよ、式波ちゃん。そんな言い方したら。みんなが揃ってこそのクロスSSなんだから、誰一人ないがしろにするのは良くない事だよ。めっ」ポカリ
式波「あっ、うん、もうー。わかったわよ、私が悪かったわよ。ごめんなさい!」
みくる (……式波ちゃんが謝ってるとこ初めて見た。ちょっとびっくり)
魅音 (流石、翼だねえ……。あたしにゃ真似出来ない芸当だよ、あれは)
翼「そういう訳で、レス返しをこれからスタートしていきますね。皆さんよろしくお願いします」
魅音「んじゃ、いってみよー♪」
>>8
マヤ「ちょっと質問の趣旨がわかりにくかったのですが、もし二人のアスカの事を指しているのだとしたら、展開上の都合ですね。単純に>>1がアスカ好きというのもあるのですが」
>>9
沙都子「ラストと途中までは>>1は考えているみたいですので、途中で根を上げない限りはご心配はいりませんわ。既に伏線も張ってしまいました事ですし、なんとかなるのではありませんこと。おーほっほっほっほっ♪」
真宵「というか、だからこそ心配なのではないでしょうか? 沙都都子さん」
沙都子「違うでございますのよ! 私の名前は沙都子ですわ! どこぞの吸血鬼+鬼太郎もどきと一緒にしないで下さいませ!」
ハルヒ「しっつれーい! 噛みまみーー!!!」ガブッ
ハルヒ「ー!!!!」ドタバタ
冬月「やれやれ……。まさか、ネタで本当に噛むとはな」フゥ…
鷹野「あらあら、ハルヒちゃん、無様ねえ」
月火「そこはかとなく似合ってる!?」
>>10
みくる「では、ないんですね。これからの展開がどうなるかと言えばーー」
レイ「ダメ……。禁則事項だから……」
みくる「です。お楽しみにしておいて下さい」ウインク
>>11
ひたぎ「……ひぐらしが出てきている以上、雛見沢症候群は確かに出てくるわ。あれは外せない要素でもあると>>1は考えてるみたいだから。でも、大虐殺? エヴァ嫌い? 基本、展開に関する事は言わないでおこうと>>1は思ってはいたみたいだから代わりに私から言わせてもらうわ。まさか! あり得ないわ! ……私からは以上よ。あとは神原。あなたに任せたわ」
駿河「まあ、そこらへんのところは安心して見てもらえればいいかと思うぞ。私たちも、例え漫画やアニメのキャラクターとはいえ、殺したり死なせたりするのはあまり好ましく思ってはいないからな。機会があればまた遊びに来てくれ。荒らし以外なら誰でも歓迎するぞ♪」
ゲンドウ「展開に関する質問に答えるのはこれで最後だ。全てはシナリオ通りに進んでいて、このレスも予定調和のうちの一つだ」
レナ「嘘だっ!!!」
圭一「いや、そりゃわざわざ言わなくてもわかるぞ、レナ……」
>>13
>>45
撫子「す、すごい励みになったとか、そんなんじゃないんだからね…// う、嬉しくて頑張ってるとか、違うんだからね…//」
惣流「ちょっとアンタねえ、嬉しいなら嬉しいではっきり言いなさいよ。なにその微妙なツンデレっぷりは! 私ぐらいまでいって初めてツンデレと言えるのよ!」
式波「どっちかっていうと、アンタはヤンデレじゃない。ツンデレの代表はこの私よ!」
ひたぎ「……あら、私を差し置いてツンデレを語るだなんて、ずいぶんと無礼な輩もいたものね。例えば試みに聞くけれども、あなたたちは好きな男に対して手錠をかけて拘束した上で思う様に言葉攻めをした挙げ句、自分の指から滴らせた水を舌を伸ばしてすくいとらせ、その上で最終的には『超カッコいい///』、『もう惚れてる///』とか言えるのかしら?」
ハルヒ「わ、私は出来るわよ。そんなの楽勝よ!」
リカ「というか、これはもうツンデレとかではなく一種のプレイではないかと。みー♪」
魅音「あはははは……。私らにはちょいと早いねー、こういう話は。ねー、レナ。……レナ?」
レナ「……>>13と>>45はこのスレの守り神様。>>1がエタるのを絶対に許さない。私もそれを許さない。だから! このナタを持ってきてしまった!」キラーン
長門「……竜宮レナ。ヤンデレ代表。このスレでは詩音といい勝負」
リツコ「言っておくけど、無口代表は、あなたとレイで決まりなのよ」
ミサト「ん?、なんかちょっち話がずれてない、これ?」
翼「とにかく、どちらも本当にありがとうございました。これからも頑張っていきますのでよろしくお願いしますね」ニコッ
火憐「やっぱ、まとめ役は翼さんにお願いするのが一番か……」
月火「私たちが二番になる! って事で、ここで恒例の次回予告ー♪」
火憐「次回予告ー♪ 予告はなしだぜぃ!」
月火「予告になってない!?」
寒いノリだな
早く俺君だして終わらせてくれよ
エヴァ板から来たから勝手が違うかもしれんが頑張ってくれ
乙
ー親戚の家ー
シンジ「……あ、あの、それじゃおじさんおばさん、今までお世話になりました」
親戚のおばさん「ああ、はいはい。お父さんによろしくね」
親戚のおじさん「よろしくな」
シンジ「あ…はい…………。父に伝えておきます……」
おじさん「そうかい、そうかい、そりゃありがたいね」
おばさん「本当にねえ」
シンジ「…………」
シンジ「それじゃ……」テクテク……
ー 駅 ベンチの上 ー
シンジ「電車がくるまで、あと20分ぐらいか……」チラッ
シンジ「…………」
シンジ (おじさん、おばさん、言うのは父さんの事ばっかりだったな……)
シンジ (元気でね、とか、またね、とかそういう事はやっぱり言われなかったや……)
シンジ (期待はしてなかったけど……少し寂しいな……)
レイ「……」テクテク…ピタッ
シンジ (……?)
レイ「……あなたが、碇シンジ君?」
シンジ「え……?」
レイ「…………」ジーッ
シンジ「……そう、だけど……君は?」
レイ「綾波、レイ」
シンジ「…………」
レイ「あなたを迎えに来たの。……横、座ってもいい?」
シンジ「え…? あ……う、うん……//」
レイ「そう……」スッ、ストッ…
シンジ「あ……」
シンジ (……可愛い子だな。しかも、結構近くに座ったから…なんか緊張するよ……//)
レイ「…………」
シンジ「…………//」
シンジ (……何か喋りかけた方がいいのかな……? こういう状況…慣れてないからわからないや…………)
レイ「……」ソッ、ゴソゴソ… スッ…
シンジ (……本?)
レイ「…………」ペラッ……
シンジ (…………読み始めちゃった。……話かけない方がいいのかな……?)
シンジ「…………」
レイ「…………」ペラッ……
シンジ「…………………」
レイ「…………」ペラッ……
レイ「…………」ペラッ……
レイ「…………」ペラッ……
レイ「…………」ペラッ……
シンジ (何の本……読んでるんだろ)チラッ
シンジ (小説……かな?)
レイ「……碇君」
シンジ「あっ、な、何?」
レイ「私は、あなたと仲良くするよう命令されてるの」
シンジ「え…………」
レイ「だから、仲良くするつもり」
シンジ「あ…………」
レイ「何か困った事とかあったら言って。出来る限り、努力するから」
シンジ「…………命令なんだ」
レイ「そう。命令」
シンジ「…………」
レイ「…………」ペラッ……
シンジ「………………そっか」ボソッ
レイ「……そろそろ時間よ、行きましょ」
シンジ「うん……」
ー電車内ー
シンジ「…………」
レイ「…………」ペラッ……
レイ「…………」ペラッ……
シンジ「あ、あのさ」
レイ「何?」
シンジ「綾波は、何で僕と仲良くするよう命令されてるの…? 父さんと…何か関係あるの?」
レイ「」コク
シンジ「そっか、やっぱりそうなんだ……。転校した先で友達が出来るようにとかそんな風に父さんに頼まれたんだ……」
レイ「……違うわ」
シンジ「……?」
レイ「あなたは私と一緒にEVAに乗るから、だから」
シンジ「エヴァ……? エヴァってあのエヴァ? 僕が!? 何で!?」
レイ「……碇君、声が大きいわ。静かにして」
シンジ「あ……」
レイ「…………」ペラッ……
レイ「…………」ペラッ……
シンジ「何で……何で僕がエヴァに乗らなきゃいけないの……? 他に人はいくらでもいるのに、どうして……」
レイ「あなたが選ばれたから。あなたの代わりがいないから。だから」
シンジ「選ばれた? 誰に? 父さんに?」
レイ「ううん……違う」
シンジ「じゃあ誰に」
レイ「EVAに」
シンジ「エヴァに……?」
レイ「そう。EVAに」
シンジ「……綾波。わかんないよ。綾波の言っている事がよくわからないよ。エヴァって使徒とかいうのを倒すロボットなんでしょ? 何でそれが僕を選ぶんだよ……!」
レイ「わからない。でも……」
シンジ「……でも?」
レイ「EVAには心がある。単なる機械じゃない」
シンジ「…………やっぱり、よくわからないよ」
レイ「そう……」
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