ほむら「願いの果て」2 (13)
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ほむら「願いの果て」 - SSまとめ速報
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柔らかな風がほほを撫でて顔の横を通り過ぎていく。
地面に咲く花の香りと若草の青い匂いが鼻腔の奥で複雑に混ざり合う。
手で遮った暖かな陽射しが顔の上に僅かな影を作りだす。
晴れ渡った空の下、眼前で波打つ緑色の草原をただ、ぼうっと何をするでもなく眺めていた。
どこか遠くで鳴っている鐘の音が風に乗って聞こえてくる。
もうずっと止むことなく響き渡るこの鐘は一体どこにあるのだろうかと、何となく気になって音が来る方へと目を向けると、
その先に純白のワンピースを着た少女が目に留まった。
少女は服と同じ色した無垢の椅子に小ぢんまりと座っている。隣には椅子がもう一つ、そちらは空席のようだ。
どこか儚げなその少女は向こうをむいているので表情は分からないが、凛とした佇まいとは裏腹に少しだけ寂しそうな、そんな印象を覚えた。
もしかしたら彼女は、そこに座る誰かを待っているのだろうか?
ふとそんな疑問が思考を掠めた
頭の両横に乗っかった二つの赤いリボンと、それに結ばれた髪が白いうなじを隠すのを見つめていると、
何故か、彼女が自分のことを呼んでいるようなそんな気がした。
少女に声を掛けようと一歩足を前に出す。
すると、それを制止するかのように背後から誰かが左の手首を掴んだ。
急な感触に驚いて足が止まる。
一体誰が? 確かめようと振り向こうとするが、身体は石のように固まって自由が効かない。
よく見ると風に舞った花びらが宙に浮いたままになっている。
そしてそれだけではない、鐘の音、風で擦れる葉のさざめき、そして自身の呼吸音。気が付けばそれら一切の音が消失していた。
どうやら腕を掴まれたその瞬間、何もかも静止してしまったようだ。
今横に立っている「誰か」を除いて……。
目の端に映る、連続した菱形模様のタイツと紫色のスカートがゆっくりと正面に回り込む。
見たところ女性のようだ、顔が動かないため胸から下しか分からないが体格はかなり若い。
年は自分と同じくらいだろうか。
その女性の足音が止まって二人が向かい合う。そして一度振り向きながら何かをつぶやくともう一度こちらへと向き直した。
肩越しに見える白いワンピースの少女が小さく頷いて椅子から立ち上がると、そのまま奥へと歩いて行く。
―――遠くへ行ってしまう、呼び止めなくては。
何故かそう直感して、反射的に上体を前に投げ出し、手を伸ばそうとする。
少しだけ、ほんの少しだけ動けた。
しかし前に進むことは出来なかった。
目の前に立つスカート姿の少女が、腰まで伸びた長い黒髪をその頭の動きに合わせて左右に揺らした。
いくつもの曖昧な感情がふつふつと体の奥底から沸いて来る。
遠のく後ろ姿に思いっきり叫びたかった。
それなのに形になる前に霧散して、上手く言葉になって出てこない。
何も出来ないまま、揺れる黒髪の奥で徐々に小さくなる白いワンピースを何も出来ずに、ただ見送る。
―――行かないで……!
ようやく掬い上げた言葉が頭に響くと、もう少女は見えなくなってしまっていた。
主に取り残された二つの椅子が草原の中心で虚しく光を反射させている。
深い喪失感と激流のように押し寄せて来る処理しきれない感情の爆発が、小さな雫となって一筋流れ落ちると、
それを合図にするかのように遠くに聞こえていたはずの鐘の音が一際大きく耳元で響いた後、
しばらく残響音を残して鳴り止んだ。
―――――
「ん……」
頭の上に伸ばした手が、つい先程までけたたましく鳴っていたであろう目覚ましのスイッチから離れた。
揺らめくカーテンの隙間から射し込む朝日に、小さく呻き声をあげて身をよじりながら薄っすらと目を開けると
飾り気の無い、いつもの見慣れた自分の部屋が瞳に映る。
起きなくてはならないのに、やたら鮮明に残った夢の余韻が、次の行動を阻害していた。
草原で二人の知らない少女に逢う夢。
(……変な夢だったな)
しばらく寝ぼけた頭で、その不思議な夢を何度も反芻した後
先端を紫のリボンで結んだ長い三つ編みがシーツの上を滑る音と共に
まだ眠たい目をこすりながらようやく上体を起こす。
(でも……)
指先を頬にあてる。涙の跡の乾いた感触が二本の指へと触れる。
それはさっきまで見ていた夢の名残で、昂ぶった感情の残滓。
「……なんだかとても、悲しい夢」
暗い室内を照らす朝の柔らかな陽射しを背中に感じながら
無造作に置いてある机の上の赤い眼鏡ケースを手に取って
暁美ほむらは静かに呟いた。
今回はここまでです
前スレが切りの良いとこで終われてよかったです
依頼は2~3日後に出します。
ここ意味わからんとかありましたら補足、解説したいと思います
そして次回は未定です、すんません
乙
気長に待つとは言ったが甘いイチャイチャSSと思って見てた頃が大分昔に思える
映画のほむらが気に食わなくてキレてた人だっけか
ぶっちゃけ疑問が思い浮かぶほど覚えてないわ
一旦依頼を出します、すんません
どうした?
ん?エタるのか?
そんな
どうしたんだ?
批判スレで指摘を頂いたので、2~4レス目の表現を少し削って前スレの様な感じにして立て直したいと思います
続きは書き溜め中です
お騒がせしてすんません
このSSまとめへのコメント
え