シンジ「誕生日?」(77)

アスカの誕生日SSです

第3新東京市 第壱中学校の昼休み、屋上にて

ケンスケ「なぁなぁシンジ、お前はどうする気なんだよ?」

シンジ「え?どうするって何を?」

トウジ「とぼけんでもええんやでセンセ、ワシらは誰かにバラすなんてんな野暮な事せんからな」

シンジ(…いったいなんの話をしているんだ?)

シンジ「ごめん、いったいなんの事だか全然解らないんだ」

ケンスケ(この感じだと本当に知らないのか?)

トウジ「せんない事言うなやシンジ」

ケンスケ「お前ホントに知らないのか?誕生日プレゼント」

シンジ「誕生日プレゼント?誰の?」

トウジ「誰のってそら惣流のに決まっとるやないか」

シンジ「どうして僕がアスカにプレゼントあげるのさ?」

ケンスケ「誕生日だから」

シンジ「誰に?」

ケンスケ「惣流に」

シンジ「誰が?」

トウジ「シンジが」

シンジ「何を?」

トウジ「プレゼント」

シンジ「いつ?」

ケンスケトウジ「「12月4日」」

シンジ「なんの日?」

ケンスケトウジ「「だから誕生日!!」」

シンジ「どこで?」

ケンスケトウジ「知るか!」

トウジ「アホかおどれは!」

ケンスケ(お、トウジが立った)

トウジ「いつまでボケ倒してるつもりやねん!!12月4日が惣流の誕生日やからセンセはなんやプレゼントでもこさえとるんかいな~?と思て聞いたんやこのタコ!」

シンジ「ご、ごめん」

ケンスケ「まぁまぁ落ち着けって、シンジは本当に知らないみたいだしさ、ほら座って」

トウジ「頼むでほんま」ドカッ

ケンスケ「しかしトウジ」

トウジ「なんや?」

ケンスケ「そこは『5W1Hとか中学生か!?』ってツッコミがあったら得点高かったなぁ」

トウジ「そうやったか~お笑いの壁は厚いって事やなもう一変ファミレスでドリンクバーマラソンしながら練り直し行かへんとな」

ケンスケ「でさ、プレゼントの件なんだけど…」クルッ

シンジ「ホントに知らないよ、初めて知ったくらいだもん」

ケンスケ「そうなのか、面白いネタになると思ったんだけどなぁ」

トウジ「またんかい!散々ネタ振っといて無視とはどういう了見じゃ!!」

ケンスケ「そのツッコミのタイミングはナイスだぜトウジ」

トウジ「たくっ…毎度毎度調子ええ事ばっかり言いおって」ムスッ

シンジ(ケンスケってトウジの扱い方上手いなぁ)

トウジ「まさかほんまに知らんかったんかぁ?ワシでも知ってたんやで惣流の誕生日」

シンジ「うん、何でトウジは知ってるのさ」

トウジ「ワシはケンスケに聞いたで」

ケンスケ「オレは委員長から聞いた」

トウジ「いいんちょやて?いつ?」

ケンスケ「おやおやトウジさん、何か気になる事でもおありですか?」ニヤリ

トウジ「あ、有る訳無いやんか、おのれもどうせ盗み聞きしてたんやろ」

ケンスケ「いやいや、証人はオレしかいないんだぜ、委員長に直接聞いたって展開ももしや…」

トウジ「そ、それがどうした!ワイには関係あらへん!」

ケンスケ(まぁ実際放課後忘れ物取りに言ったら運良く聞けたんだけど、これはいいネタが取れそうだな)

トウジ「そ、それより今はシンジの方が先決や、シンジも惣流の誕生日気になるやろ、な!」

シンジ「う~ん僕は…」

トウジ「な!!」

シンジ「うん…」

シンジ(押し切られてしまった…)

ケンスケ「しかし同棲してるのに何で知らないのかねぇ」

シンジ「同棲って言い方はやめてよ、でも聞いた事無かったし、アスカも教えてくれなかったから…」

ケンスケトウジ「「ハァ~」」

シンジ「ってどうしたのさ、そんな大きなため息ついて」

ケンスケ「あのなシンジ、オレが言うのもなんだけどそういうのはお前が聞きに行くものなんだよ、この時代自分からガツンと行かなきゃ得る物も得られないんだぞ」

シンジ「得る物と言ったって何を得るのさ」

ケンスケ「な、なんてやつ…」

ケンスケ「トウジ…これが格差社会なんだな、初めから持ってるものの違いって奴なんだな」サメザメ

トウジ「泣くんやない、泣くんやないでケンスケ…今日は潰れるまで飲もうやないか」ポンポン

ケンスケ「ありがとうトウジ、やっぱり親友だよな」ウソナキ

シンジ(いったい何がおかしくて僕はネタにされてるんだろう)

シンジ(ミサトさんとかは言わなくても教えてくれたし、言わないって事はそれで良いんじゃないの?)

シンジ(それに誕生日なんてただ歳を取るだけの日でしかないんだし…)


シンジ「ほかの人は聞かなくても教えてくれたよ」

ケンスケ「あんな事言ってるぜ、トウジ」サメザメ

トウジ「世の中硬派一徹なんぞ古いんかのう」シクシク

シンジ「ミサトさんとか」

ケンスケトウジ「なに!?」グルリ

シンジ「」ビクッ

ケンスケ「それを何故言わんのだねシンジ君!」

トウジ「センセも人が悪いなぁ!!大事な事は全部独り占めかいな、そうは問屋が下ろさへんでぇ!」

シンジ「そんな事言うんならミサトさんに絡まれてみなよ、大人に幻滅するよ絶対」

ケンスケ「何を抜かすか貴様!鈴原曹長!碇シンジ二等兵がこの様な妄言を吐いております!」

トウジ「許せん、許せんなぁ!碇シンジ!ミサトさんの誕生日を言わんかったら即刻銃殺やで!!」

シンジ「12月8日」

ケンスケトウジ「「え?」」

シンジ「12月8日だって、ミサトさんの誕生日」

ケンスケ「待てよ、今日は12月2日なんだから…」ヒーフーミーヨー

ケンスケ「…あと6日後じゃないか!」

トウジ「何でそれを早く言わへんのや!あぁー調子のって新しいタコ焼き器こうてしもた昔のワシをしばき倒したい!!」

ケンスケ「スーパーX3が発売なんてされてなければこんな事には成らなかったんだ!!」

シンジ「あの人ビール券あげればすごい喜ぶと思うよ」

ケンスケ「そんなお歳暮レベルの物を送ったところで評価が上がるわけ無いだろ~」ハァ

トウジ「せやせや」

ケンスケ「まぁいい非常に悲しい事だが無い袖は振れない、それなら触れる袖の話をするまでだ」

トウジ「悔やんでも仕方あらへんしなぁ、人間前を向いてかな」

シンジ「なんだか知らないけどとにかく良かったよ」

ケンスケ「話を戻して、ときにシンジ!」

ケンスケ(ミサトさんと誕生日が近いってのが何かあると思うんだよな)

シンジ「な、何?」

シンジ(う、また面倒な予感)

ケンスケ「惣流の誕生日はどうするつもりだ?」

トウジ「あんまり女に媚びる言うんは情けないと思う、せやけど祝いも何もせんのは男がすたるってもんやで」

ケンスケ「ミサトさんみたいな大人の女性ならともかく、同い年の女の子へのプレゼントくらい今からでもなんとかなるだろ」

シンジ「でも僕…」

トウジ「なんやいったい、この後に及んで」

シンジ「そんな経験なくて…」

ケンスケ「大丈夫だよ、オレ達も協力する悪いようにはしないからさ」

トウジ「せや!」

シンジ(真面目な顔してるけど目が笑ってるんだよ)

シンジ「嘘ついては、そうやって僕を裏切って来たじゃないか」

ケンスケ「そんな事無いって」

シンジ「…八歳と九歳と十歳のときと、十二歳と十三歳のときも僕はずっと…待ってた」

トウジ「な、何を?」

シンジ「バレンタインチョコ」

ケンスケトウジ「「クリスマスプレゼントだろ!!」」

3人「「「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!!!」」」

ケンスケ「誤魔化せないからな!!」

トウジ「誤魔化せへんからな!!」

シンジ「助けて…」(T_T)

所変わって2-Aクラス

アスカ「もちろんアタシはクリスマスカードなんて貰った事無いわよ、浮かれた大学の奴等はクリスマス休暇を人生の浪費に当てていたけどアタシは勉強したわ」

ヒカリ「そんなに熱くならないで、私が悪かったから」

アスカ「誕生日プレゼントとかクリスマスプレゼントなんてどうでもいいじゃない、ミサトを見てるとただ体重と年齢を重ねて行ってるだけだなって常々思うわけよ」

ヒカリ「それじゃ碇君はアスカが明後日誕生日だって事知らないの?」

アスカ「ミサトは書類とかで知ってるかもしれないけど、シンジには話してないから知らないんじゃないの?」

ヒカリ「せっかくなんだから言えば良いのに」

アスカ「だってメンドクサイじゃない」

ヒカリ(どうしよう、ここで変な事言うとまたアスカ拗ねちゃうし…そうだ)

ヒカリ「アスカと碇君は同じエヴァンゲリオンパイロットな訳でしょ?」

アスカ「そうだけど、それがどうしたのよ」

ヒカリ「言ってみれば職場の同僚みたいな物じゃない?変に男の子として意識する必要ないと思うんだけどな」

アスカ「あ、アタシがいつ意識してるってのよ!」

ヒカリ「ほらそこよ」

アスカ「何?」

ヒカリ「そうやって声を大きくしたりする所」

アスカ「アタシは別にあいつを意識してなんか…」

ヒカリ「それなら素直に言えるわよね?」

アスカ「…」

ヒカリ(食いついて来たかな)

ヒカリ「同せ…ルームシェアをしている程の間柄の人間同士が誕生日を知らないで過ごして尚且つそのまま誕生日を終えようとするって言うのは失礼な事じゃない?」

ヒカリ(こういう状況下でなんでこんな事が起こるのか全くわからない訳だけど)

アスカ「そう言われて見れば、そうなのかな?」

ヒカリ「碇君に誕生日いつなのとか聞いてアタシは何日よって風に答えれば簡単な事じゃないの?」

アスカ「確かにねぇ」

ヒカリ「アスカは気にしすぎなのよ、碇君だって誕生日の事話せばお祝いの言葉だって言ってくれるわ」

アスカ「うーん、ヒカリがそう言うなら…」

ヒカリ「ね?やっぱりそう言うのは家でお祝いし合うのが一番だと思うよ」

キーンコーンカーンコーン

ヒカリ「あ!掃除しなくちゃ、アスカもお弁当箱しまって、始めましょ」

トウジ「ひー!遅刻や遅刻!」

ヒカリ「鈴原たち!廊下走るなって言ってるでしょ!」

アスカ(何やってんだか…それにしても)

アスカ「誕生日ねぇ…」

シンジ「ごめん委員長、遅れちゃっ…て」

アスカ(なにあいつ…アタシの事見てる?)

シンジ「…」ジッ

アスカ「…」ジッ

シンジ「…」ジッ

アスカ「な?」

トウジケンスケ「(<●><●>)」ジー

シンジ「うわぁ!」

アスカ「な、何なのよアンタたち!」

ケンスケ「目と目を合わせてアイコンタクトなんていやーんな感じ!」

トウジ「二人の間に言葉なんていらへん言う事かいな」

アスカ「そういうんじゃないわよ!」

ヒカリ「はいはい、貴方達は廊下で雑巾がけしてきなさい、3人いると遊んじゃうから碇君は教室」

トウジ「しゃあないのぉ、わかっとるがな」

ケンスケ「トウジに免じてオレも行くかな」

ナンノコッチャ、マァマァイコウゼ

シンジ「ア、」

アスカ「ほら、アンタもぼうっとして無いで掃除手伝いなさいよ」

シンジ「う、うんわかった」

ヒカリ(せっかくあのバカたちを離したのに何にも話さないのね)

ソレデホウカゴアイツラヲサ

ヒカリ「貴方達、楽しそうな話してるわねぇ?」(?^∀^)

ハイ…スイマセン

6時間目

根府川先生「これで授業を終りにします」

「ありがとうございましたー」

トウジ「終わった終わった、ケンスケ行こか」

ケンスケ「おう」

シンジ「あっ僕も」

ケンスケ「済まないなシンジ、オレらちょっとよる所有るんだ、時間かかっちゃうからさ」

トウジ「すまんなセンセ、別行動や」

シンジ「うん、わかったそれじゃまた明日ね」

ケンスケ「シンジ、ちょっと」コイコイ

シンジ「え?何?」

ケンスケ「ちょうどいいから、惣流に話してみろよ誕生日の事」ヒソヒソ

シンジ「そ、そんな僕」

トウジ「男見せいシンジ」ヒソヒソ

トウジ「ケンスケそろそろ行こか」

ケンスケ「ああ、わかった」

トウジ「ほなさいなら」

サテドウナルコトヤラ、ナンヤデバガメミタイヤノウ

アスカ「ヒカリ、一緒に帰りましょう」

ヒカリ「ごめんねアスカ、私今日は用事が有るのよ、遅くなっちゃうといけないから、ね?」

アスカ「誕生日プレゼントなら??」

ヒカリ「もちろんもう買ってあるわよ、それと」

アスカ「なに?」

ヒカリ「昼休みの事、忘れないでね」ヒソヒソ

アスカ「ちょっ!ヒカリ!?」

ヒカリ「バイバイアスカ」ノシ

アスカ「ヒカリの奴、用事が有るなんて嘘じゃないの?」

シンジ(でもアスカって帰りは委員長と帰ってるし、気にする必要は…)

アスカ(まぁ、シンジはバカ2人と帰るだろうし久々に1人で帰るってのも…)

シンジ「あれ?ア、アスカ、委員長と帰るんじゃないの?」

アスカ「」(*゚-゚)

シンジ「アスカ?どうしたの?」

アスカ(は、謀ったわね…ヒカリ~!!)

アスカ「知らない」(゚?゚*)プイ

イイヨイイヨー

校舎の下駄箱

アスカ「早くしなさいよバカシンジ!!靴履くのにいくらかけてんのよ!」

シンジ「そんな事言うなら自分でカバン持てよな!中途半端な膝立ちって意外と辛いんだぞ!」

アスカ「うっさいわね!言っとくけどもしアタシのカバン落としたらシャイニングウィザード食らわせるからそのつもりでいなさいよ!」

シンジ(だったら自分で持てばいいだろ
)

シンジ「お待たせ!」

アスカ「カバン…やっぱり持つ…」

シンジ「う、うん」

シンジ「…アスカ?」

アスカ「ふう、さて、グズグズしないでさっさと行きましょ」トコトコ

シンジ「なんだ?いったい」

シンジ「…」

シンジ(下駄箱の所からうって変わってアスカは何も喋らない…)

シンジ(ガミガミ言われるのも嫌だけど、こういう状態のアスカも僕は苦手だ)

シンジ(何も聞かなかったらどうせ2人に意気地なしだの言われるんだし聞かなくちゃとは思うんだけど…)

アスカ「…」

アスカ(やってくれたわよねぇヒカリとジャージと眼鏡)

アスカ(どうせあの3人で結託してアタシ達を嵌めたに決まってるわ)

アスカ(アタシがあのバカシンジを意識してるですって?)

アスカ(冗談じゃ無いわよ!加持さんならまだしも、あんなウジウジなよなよした奴にこのアタシが意識してるなんて)アスカ、アスカ…

シンジ「アスカ?ねぇ、アスカってば!」

アスカ「キャア!な、何よ!大声出さないでくれる?」

シンジ「ご、ごめん、ずっとぼーっとしてたからどうしたのかなと思って」

アスカ「別になんでもない…」

ヒカリ『意識する必要ないと思うんだけどな』

アスカ(アタシは意識してなんか…ない)

シンジ「アスカ、あのっ?」

アスカ「ねぇ、シンジ?」

シンジ「え?何?アスカ」

アスカ「アンタの誕生日ってさ、6月6日だっけ?」

シンジ「うん、そうだけどアスカに話したっけ?」

アスカ「うちのお節介なウワバミから聞いたのよ」

シンジ「確かにそうだけど、ミサトさんの前で言っちゃダメだよ、アスカ」クスクス

アスカ「」ドキッ

アスカ「そ、そうでしょこれ以上無いくらいの物よね」ドキドキ

アスカ(なによこれ、シンジに一瞬ドキッとした)

シンジ「そうだ、ア、アスカァ」

シンジ(声が上ずってしまった、やっぱり僕は芝居とかできないよケンスケ)

ケンスケ『そうだシンジ、言っとくけど俺達から聞いたとか言うなよ?』

シンジ『え?なんでさ』

ケンスケ『…まぁいい、オレ達の首の骨が危ないってのも有るが自分の大事な事をそいつに話してもないのに知られてるってのは嫌だろ?』

シンジ『首の骨?』

ケンスケ『上手くオレ達から教わった事を誤魔化しながら惣流に誕生日を聞くんだ、いいな必ずだぞ、絶対だからな』

シンジ『なんでそんなに怖がってるのさ』

トウジ『聞かんでええ事もあるんやでシンジ』

ケンスケ『夕日をバックに腕組する姿はまさに赤鬼そのものだった、あの時確かに奴の眼は渦を巻きその向こうには黄金の!』ヒヒヒヒ

シンジ『僕が話さなければ良いんじゃ…』

ケンスケ『俺達の命に変えても頑張ってくれ、シンジ?』

シンジ(ジャーナリズムは死ぬ事と見つけたりとか訳の分からない事言ってたな)

シンジ(やっぱり言わなければ良かった、でももうアスカに声かけちゃったよぉ)

アスカ「え、なな、何よ?いきなり」

シンジ「えっと、僕の誕生日は6月6日なんだ」

アスカ「し、知ってるわよ、ミサトから聞いたって言ったでしょ」

シンジ「えとえと、それでアスカの誕生日はな、何日なのかなって」

アスカ「え、そんな事、聞いてどうすんのよ?」ドキドキ

シンジ(舌が回らない、喉が張り付いてるみたいだ)

アスカ「そうね、あ、あんたがどうしてもって言うなら教えてやるわよ」

アスカ「12月4日よ」

シンジ「やっぱr、そ、そうなんだ!」

アスカ「や っ ぱ り ?」ギヌロッ

シンジ「ヒィ!」

シンジ「ち、違うよ、誤解だよ!聞き間違いだって!」

アスカ「変ねぇここはジオフロントじゃない筈なんだけどなぁ~?」ギシィッ

シンジ「そ、そう言う事じゃなくて!」

シンジ(しまった後ろは塀しか!)

アスカ「シンジは誰に教わったのかなぁ?」ズオオオオ

シンジ「ひ、ヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒ」

シンジ(その時確かに僕は見たんだ、アスカの青い瞳がグルグルと何重にも渦を巻いていたのを)

シンジ(その瞳の向こうに何千何億もの軍勢が宇宙で戦いを繰り広げていた)

シンジ(そこには合体する2機の巨大戦闘機、顔が二つあるロボット、3つの戦艦が合体したロボットと闘うエヴァ…!)

シンジ(そうかそうだったんだ、今なら宇宙戦争の意味も、なぜこの宇宙が産まれたのかも解る)

シンジ(こんな簡単な事だったなんて、使徒とは!エヴァとは!)

シンジ(全ては第一始祖…!)

アスカ「シンジ!シンジったら!」

シンジ「え?あれ?ここは?」

アスカ「しっかりしなさいバカシンジ!」パシッ

シンジ「いたっ!はたかないでよアスカ!」

アスカ「寝惚けながら歩いてんじゃないの、怪我するわよ」

シンジ「怪我どころか僕はついさっき命の危機を感じたんたけど…」

アスカ「あら、なんか言ったかしらぁ?」

シンジ「いえなんにも」(゚_゚ )

アスカ「ったく、知ってんだったらさっさと言えば良かったじゃない、あんなまどろっこしい事しないで」

シンジ「ごめん…」

アスカ「あーあ、色々と損したぁ!」

シンジ「…」

アスカ「まぁいいわ、ジャージとメガネにはアタシのフェイバリットをお見舞いする事で許してあげましょ」

シンジ「僕は喋っちゃったの?」

アスカ「こんな下らない事考える奴はあいつらしかいないでしょ、聞かなくたってわかるわよ」

シンジ(それきりアスカは僕の一歩前を黙って歩いてまた何も話さない、誕生日…か)

シンジ「ねぇアスカ」

アスカ「何よ」

シンジ「誕生日ってどんなものなの?」

アスカ「はぁ?いきなりどうしたのよ?」

シンジ「…僕誕生日とか祝ってもらった記憶がなくてさ、僕にとっては誕生日はただ年を取るだけの日だってずっと思ってたんだ」

シンジ「クリスマスも年を越す前の日って感じだった」

アスカ「…」

アスカ(こいつ、アタシと同じ事…)

シンジ「ここに来る前はただ生きてるだけで他のクラスの人達と誕生日会とかやった事無くて、僕には関係の無い物なんだって」

アスカ「アタシもそうよ…」ボソッ

シンジ「え?」

アスカ「なんでもない、相変わらずくっらーい人生送ってんのね」

シンジ「うんそうなんだ、経験なくてさ」ハハッ

アスカ(何よ、いつもみたいに突っかかってくればいいじゃない…)

シンジ「だからごめんね、アスカ」

アスカ「なんであんたが謝ってるのよ…」

シンジ「ケンスケやトウジに、アスカに誕生日の事聞いてみろって言われたんだけど僕はどういう風にしていいかわからないんだ」

アスカ「…アタシはエヴァに乗るために必死で勉強してきたわ、みんなが遊んでる時もいつだって」

アスカ「誕生日やクリスマスの日だってアタシには関係なかった」

シンジ「アスカが?」

アスカ「うん、一生懸命勉強して、訓練して、そしてアタシはエヴァンゲリオン2号機のパイロットになった」

アスカ「これ(インターフェイスヘッドセット)がアタシの誇りって訳」サワッ

シンジ「だからいつも髪留めに使ってたんだ」

シンジ(でも…それってずっとエヴァに縛られてるって事なんじゃないのかな?)

アスカ「あ~あ、こんな事言うつもりなかったんだけどなぁ、バカシンジがいきなり暗い話始めたせいよね」

シンジ「ごめん…」

アスカ「結局さ、どうしていいかわかんないならやらなきゃいいんじゃないの?」

アスカ「元々アタシは誰かに言うつもりなんて無かったし」ファサ

シンジ(前を向き物悲しげにアスカは髪をなびかせる、うなじを覗かせる紅茶色の髪は太陽に照らされてより一層輝いて見えた)

シンジ(普段見せる事の無いアスカの一面)

シンジ(僕の知らない、僕だけが知ってるアスカがそこにはいて、僕は生意気にももっと色々なアスカを見てみたいって思ってしまった)

シンジ「アスカってさ、いつも同じ髪型だよね」

アスカ「何よ薮から棒に?」

シンジ「そういう髪型って何て言うんだっけ?ほら、怪獣みたいな名前の奴」

アスカ「何よそれ?ツインテールの事言ってんの?」

シンジ「そう、それだよ、アスカもウルトラマン見てたの?」

アスカ「名前だけ知ってるってだけよ、それよりあんた、アタシが怪獣だって言いたい訳?」

シンジ「ち、違うよ!そんなつもりじゃ!」

アスカ「たくっ…ツーサイドアップよ」

シンジ「え?」

アスカ「ツーサイドアップって言うのよ、この髪型は」

シンジ「そっか、ツーサイドアップ…」

アスカ「それで?アタシの髪型がどうかしたの?」

シンジ「あの、アスカの髪って綺麗だから」

アスカ「な、いきなり何言っちゃってんのよアンタ!」ドキドキ

シンジ(ぼ、僕また変な事言っちゃった!いきなりアスカの髪綺麗だなんて!)

シンジ「違うんだ!いや、違わないけどえっとぼ、僕が言いたいのは!」アセアセ

シンジ「ア、アスカは他の髪型にしないのかなって思って、それで」ドキドキ

アスカ「髪を卸せって事?アンタの言うツインテールは流石に括れないわよ」ドキドキ

シンジ「そう、じゃなくて…」

アスカ「なに?言ってみて?」

アスカ(えーい、落ち着けアタシ!相手はたかがシンジなんだから)

シンジ「他の髪飾りを使えば色々な髪型を出来るんじゃないかと思って」

アスカ「…!」

シンジ「アスカ?」

シンジ(どうしたんだろう、いきなり話さなくなっちゃった)

アスカ「ねえシンジ…アタシさっき言ったわよね?」

シンジ「え?」

アスカ「これはアタシの誇りなの、何年も努力して得たエヴァパイロット、セカンドチルドレンの証」

シンジ「でも」

アスカ「これを外すって事は今までのアタシを否定するって事なのよ」

シンジ「それじゃ、使徒を倒したら…」

アスカ「は?」

シンジ「使徒を全部倒したらどうするの?エヴァが必要の無い世界に成ったら、それだって必要無くなる」

アスカ「っ!」

シンジ「結局それもただの髪飾りってだけになっちゃうよ」

アスカ「うっさい…」ボソッ

シンジ「僕だってその後どうしていいか全然解らない、けど、ずっとエヴァに縛られてちゃいけないと思うんだ」

アスカ「…うっさいのよ、さっきから」

シンジ「アスカ?何で、怒ってるの…?」

アスカ「別にアンタには関係ないでしょ?使徒を倒したらこの同居生活も終わり、馬鹿みたいに熱い日本を離れられるって訳よ」

シンジ「それじゃアスカは使徒との戦いが終わったらどうするのさ!日本から離れてそれで!」

アスカ「さあね、どうでもいいわそんな事」

アスカ「アタシにはエヴァしか無いんだから…」

シンジ「そんな…」

アスカ(何よ、まるで自分のせいみたいな顔してんじゃないわよ)ズキズキ

アスカ「わるかったわね、つまんない事話しちゃってさ」

アスカ「さっさと帰りましょ、今日はミサト帰ってくるみたいだし」スタスタ

シンジ(足早に去っていくアスカの背中はとても寂しそうで)

シンジ(使徒を倒した後の自分をどうでもいいって言ってしまうアスカが僕は放っておけなかった…)

シンジ(だって、そんなの悲しすぎるだろ)

シンジ「アスカ!」

シンジ(ケンスケやトウジから言われたからじゃない、僕自身の思いを伝えるんだ)

アスカ「何?」クルッ

シンジ「えっと、あの…」グーパーグーパー

シンジ(行け、言うんだ僕!)

アスカ「…何よ?用が無いならー」

シンジ「た、誕生日!」

アスカ「え?」

シンジ「明後日のアスカの誕生日、みんなで一緒にお祝いしようよ」

アスカ「…義務感でそう言ってるんなら別に無理しなくても良いわよ」

シンジ「そんなんじゃない…!義務でもなければケンスケやトウジに言われたからでも無い」

シンジ「僕がアスカの誕生日を祝いたいんだ、僕自身の意思で」

シンジ「だから僕にお祝いさせてよ、アスカの誕生日」

シンジ「僕は、アスカと居たいんだ」

アスカ「…」

シンジ「駄目…かな?」
    
アスカ「はんっ!やりたいなら勝手にすれば!」

シンジ「それじゃあ」

     r‐z´   /         `ヽL_
      |/|/ / /|  |   ト、 \ \ヽト \

     V/|/| /‐|<|_,l  |_>‐ヽ| ト、|| ト、|
     イ|イ |/y'´(.j`´|\|´ヒ)`'v|ノN`| |
     || | |∧ /// ・  /// /k) | |
     || | |ヽヘ、  「  ̄`|  イ-'|  | |
     || | |:|:|:|:l\. |_  ノ.///:::|  | |

      |{< ̄ ̄\´\ ̄ 7/ ̄〉´ ̄\l.|
     ノ/ー(⌒ヽ:.:.:\ \/ .イ:.:.:.:.://、|
     //  ヽ::::ハ:.:.:.:.:| >Xく |:.:.:.:.|/ \

    /〈  / ̄}::::::\:.:.ト、/∧ .>|:.:.:.:.}∠   \
    { :}/´l  .::|/::::: ̄ ̄`)ハ〉|:.:.:./:::::<   >
    |Kl  |..:::::ヘ / ̄| ̄/  ./:.:./\::::::::..../\

アスカ「ただし!そんだけ言うんだったらただおめでとうって言うだけのつまんない奴ならただじゃおかないわよ!」

アスカ「このアタシを満足させる位の素敵な誕生日会にする事!良いわね!バカシンジ!」

シンジ(そう言ってアスカは大きく髪を翻し遠くに見えるコンフォート17に向かって走り出して行く)

シンジ(太陽が傾きはじめ、空がオレンジ色に成りかけてたから見間違いなのかもしれない)

シンジ(だけどあの時僕には、太陽を背負ったアスカの頬が赤く染まってるように見えたんだ)

シンジ「待ってよアスカ!」ダッ

シンジ(僕はそれが、僕の見間違いでも思い込みでも無ければ良いなって、そう思ったんだ)

シンジ(そう言ってアスカは大きく髪を翻し遠くに見えるコンフォート17に向かって走り出して行く)

シンジ(太陽が傾きはじめ、空がオレンジ色に成りかけてたから逆光で見間違えたのかもしれない)

シンジ(だけどあの時、僕には太陽を背負って立つアスカの頬が赤く染まってるように見えたんだ)

シンジ「待ってよアスカ!」ダッ

シンジ(僕はそれが、僕の見間違いでも思い込みでも無ければ良いなって、そう思ったんだ)

期待

コンフォート17、1階エレベーター前

シンジ「ま、待ってよアスカ、ちょっと休憩しよう」ハアハア

アスカ「だらしないわねぇ、このくらいでバテちゃってさ」

シンジ「僕が追いつく度にアスカは思いっきり走ったじゃないか」

シンジ「しかも僕が歩こうとすると怒るし」

アスカ「そうだったっけ?」クスッ

シンジ「もう…」

シンジ(悪戯っぽく笑うアスカを見ると僕の怒る気持ちは少しずつ薄れていってしまう、 アスカは解っててやってるのかな?)

アスカ「はぁ、意味も無く走ったら汗かいちゃった」パタパタ

シンジ「その意味も無いことに付き合わされる身にも成ってよ」

アスカ「意味無くなんかないわよ…」ボソッ

シンジ「え?」

アスカ「何でも無いわよ、バカシンジ」

チンッ イッカイ、デス

アスカ「やっと来たわね、ほら行きましょ」

シンジ「うん」

シンジ(意味が有るのか無いのかどっちなんだ?)

ドアガシマリマス

アスカ「ふう、エレベーターに扇風機がついててほんと助かるわね」

シンジ「そう、だね…」

シンジ(今の僕にとっては非常に大ピンチだよ)

アスカ「どうしたのよ?あんた」

シンジ「い、いや!大丈夫だよ!」

シンジ(近い、近いよアスカ、それじゃアスカの)

シンジ「ほら、走って僕汗くさいからさ、ね?」 ドキドキ

シンジ(アスカの匂いが…風で)

アスカ「何訳のわかんない事ー」

アスカ「…!」カァア

アスカ「そ、そうだ!せっかくだからシャワーでも浴びようかしら!」アハハッ

シンジ「そ、そうだね!暑かったしそうした方が良いよ!」

シンジ「…」ドキドキ

アスカ「…」ドキドキ

シンジ(なにのんびり上がってるんだよ、しかもまだ6階だし)

アスカ(馬鹿と煙はってやつ?なんでミサトは11階とかに部屋借りたのよ!)

シンジ・アスカ(あ~も~!!)

シンジ(早く着いてよ!)

アスカ(早く着きなさいよ!)

チンッ ジュウイッカイデス

シンジ(たすかった…)

アスカ「シンジ、カードキー」

シンジ「うん」スタスタ

アスカ(う~!なにノロノロ歩いてんのよぉ!マッハで行きなさいよマッハで!)

ピッ、プシュッ

アスカ「さーてっと、アタシシャワー浴びてくるから」タッタッタ

シンジ「う、うん行ってらっしゃい」

アタシ「それと」クルッ

アスカ「特別にアタシの後に利用するのを許してやるから、あんたも入りなさいよね!」ビシッ

ガラッ、パタン

シャー…

フーンフ、フフンフン、フフンフ-ン、フ、フフンフ--ン♪

シンジ(鼻歌とはご機嫌な事で…)ギシッ

シンジ(とは言っても…)

シンジ「参ったなぁ、アスカにあんな事言っちゃったけど、実際ひとの誕生日なんてどう祝っていいかわからないよ」ハァッ

ペンペン「ガァーッ、クェッ?」ペタペタ

シンジ「ただいまペンペン、今僕には鳥には分からない悩み事が有るんだ」

ペンペン「ギュー、ガァー、グァッ!」

シンジ「悩みを聞いてくれるの?」

シンジ「それじゃ僕のイスの間にお乗り」トントン

ペンペン「すまねぇな先輩(cv.玄田哲章)」ガァー、グゥー

シンジ「アスカに誕生日会しようとは言ったんだけどどうして良いか分からないんだ」

ペンペン「ギュー、クェ」

シンジ「うん、その時のアスカの事がどうしても放っておけなくてさ、おかしいよね」

ペンペン「ガァー、ギュー」

シンジ「やっぱりペンギンじゃ分からないよね」

ペンペン「グゥー、グェベベ」ニョロ

シンジ「うぇ…」

シンジ「君の言わんとしてる事はなんとなく解ったけど、取り敢えず喉から出てるアジをどうにかしてくれないかな?」

ペンペン「クウェー」ゴクン

ペンペン「男ってのは気合いだぜ、気合い!大将にはそれが無いのがいけねぇ、無鉄砲に突っ走った結果案外上手く行くって事も有るんだぜ、しっかりやれよ大将!(cv.玄田哲章)」ギュー、グギュグバァッ!!!クエックエックェッ、ガァー、グァー、クウェー、ガギャギャァッ!!!

シンジ「うん、ありがとうペンペン」

シンジ「夕飯の準備をするからごめんね」スクッ

シンジ(…何言ってるか全然わかんねぇや)スタスタ

15分後

ガラッ

アスカ「ふぅ、すっきりした、シンジも入ってきなさいよ」

シンジ「大丈夫だよ、煮物やってるからどうせ汗かくし」

アスカ「何作ってんのよ、鳥?」

シンジ「手羽元と野菜の煮物」

アスカ「ふーん」クンクン

アスカ(しまった、アタシ思いっきり!)カアア

アスカ「…やっぱりあんた入ってきなさいよ」

シンジ「大丈夫だよこのくらい」

アスカ「アタシが大丈夫じゃないからよ…」

シンジ「うん?」

ーーーーーーーーーーーーーー

ピッ、プシュッ

ミサト「たっだいま~!」スタスタ

シンジ「おかえりなさい、ミサトさん」

アスカ「おかえり、相変わらず能天気ねぇ」_(・ω・`_)⌒)ノシ

シンジ「アスカも行儀悪く寝っ転がってないで、ご飯よそってよ」

アスカ「たくっ、しょうがないわねぇ、有り難く思いなさいよ」スクッ

シンジ「あ、ありがとう」

ミサト(珍しい事も有るものね、アスカがすぐに言う事聞くなんて)

ミサト「よーし、ミサトさんも手伝っちゃおうかしら!」

シンジ「それは大丈夫です」

ミサト「シンちゃんったらいけず!」

ミサト「さて、もう揃ったかしら?」

シンジ「はい、アスカがお味噌汁も運んでくれたからこれで終りです」ゴトッ

ミサト(アスカったら何かいい事でも有ったの?)

アスカ「早くしましょ、お腹空いちゃったわ」

ミサト「んじゃま、いただきまーす!」

シンジ「頂きます」

アスカ「いただきます」

ミサト「あ、この鳥美味しいわね、味もしっかり染みてるし」

シンジ「そうですか、ありがとうございます」

アスカ「悪くないんじゃないの」

ミサト「お、アスカにしては珍しい高得点じゃなーい?」

アスカ「そうね…」モグモグ

ミサト(あり、怒らせちゃった?)

シンジ「…」モグモグ

アスカ「…」モグモグ

ミサト(なんなのこの空気は?喧嘩してた感じでも無いし、さっきまではアスカの機嫌も良さそうだった…)

ミサト(下手に刺激すると面倒な事になりそうなのよねん)

アスカ「ごちそうさま」ガタッ

スタスタ、スッ、トン

ミサト(食器もきちんとシンクに沈めていった、ますますわからないわね)

シンジ「あの…ミサトさん」カチャッ…

ミサト「え?何かしらシンちゃん」

ミサト(良かった、シンちゃんから話しかけてくれた)

シンジ「アスカの前で聞くのはどうにも出来なかったんですが、実は相談したい事が有って… 」

ミサト「何かしら言ってみなさい」

シンジ「あの、アスカの誕生日の事なんですけど」

ミサト(アスカの誕生日…今日は12月2日でアスカは12月4…)

ミサト(あ、なーるほど、そう言う事ね)

ミサト「そっかそっか、そう言う事ねなるほどぜ~んぶ分かったわ」クスッ

ミサト(まったくどっちもウブねぇ~!)クククッ

シンジ「ミサトさん?」

ミサト「あぁ、ごめんなさいね、で、アスカの誕生日について聞きたいことって?」

シンジ「実はアスカの誕生日が明後日だって今日知ったんです」

ミサト(前に余計な事しないでって言ってたからてっきり2人っきりでやる物かと思ってたら、よもやシンジ君にまで話してなかったとはね…)

ミサト(せっかく溜まった書類を恋人にしようと思ってたのに)

シンジ「それでアスカに誕生日会をしようとは言ったんですけど、経験が無いのでどういう風に祝って良いかわからないんです」

ミサト(う、まったくこの子は何の悪気も無く唐突に暗い話するわね、ちょっちトラウマが…)ズーン

ミサト「うーんそうね、誕生日会なんて言うんだから友達沢山呼ばなくちゃね」

シンジ「た、沢山ですか?」

ミサト(ヤバッ)

ミサト「も、もちろん沢山なんて言っても洞木さんとか特別仲の良い友達だけでやるってのも、大切な事よ」

シンジ「そうですよね、良かったぁ」

ミサト「アスカが良い誕生日だったって思ってくれる事が大切なんだから」

ミサト「一番大切なのは気持ちよ気持ち」

シンジ「はい、わかりました」

ミサト「プレゼントはどうするの?」

シンジ「プレゼントですか?」

ミサト「今日知ったのならまだ買ってないでしょうし、何か考えて有る?」

シンジ「うーん、実は…」

ミサト「何かしら、言ってご覧なさいよ」

シンジ「アスカっていつも同じ髪型じゃないですか?」

ミサト「あら!シンちゃんったらいい線突くわね、いつも身に付ける物を与えて自分の存在をアピールするって訳ね!」

シンジ「ち、違いますよ!!」ガタッ

ミサト「ちょ、シンちゃん!聞かれちゃ不味いんでしょ…!」シーッ

シンジ「す、すいません」スッ

ミサト「こっちもからかって悪かったわ」ゴメン

シンジ「いえ、僕はアスカに他の髪飾りを付けないのかって聞いたんです、そしたら…」

ミサト「そしたら?」

シンジ「アスカは、これは今の自分の証でこれを外すと自分を否定する事に成るって言ったんです…」

ミサト「そうなの…」

ミサト(あの子そこまで重く考えてたのね、ワタシの考えてる以上だったわ)

シンジ「確かに僕は他のアスカの姿を見てみたいなって思いました、だけど」

ミサト(何気に凄い事言ってんのシンちゃん気づいてんのかしら)

ミサト「うん、それから?」

ミサト(やっぱりというか意外というか、シンちゃんって結構独占欲強いのかも)

シンジ「僕はそれ以上にエヴァの無い自分なんてどうでもいいって言ってしまうアスカを放っておけなかったんです」

シンジ「それで、えっと…」

ミサト(これは自分が何を言いたいのか分からなくなったって顔ね)

ミサト「詰まるところシンちゃんはエヴァパイロットの象徴であるインターフェイスヘッドセットばかりつけてないで他の髪飾りもつけて欲しいって事よね?」

シンジ「はい、そうです」

ミサト「それじゃあ簡単よ、シンちゃんがアスカに素敵な髪飾りをプレゼントをしてあげれば良いのよ」

シンジ「僕がですか?そんな、でもどんな物あげれば良いんですか?」

ミサト「シンちゃん、こればっかりは教えてあげられない…」フルフル

シンジ「なんでですか?僕そんな…」

ミサト「経験が無いなんて誰しも1回は通る道だわ、大切なのはその人に対する気持ちよ」

ミサト「ちょっと変な物だっていいじゃない、一生懸命選んだ物だったらからかってくるかもしれないけどアスカはきっと喜んでくれるわよ」

ミサト「シンちゃんの願いの1つ、あればっかり使わずに他の髪飾りをアスカが選ぶようになるかもしれないし」

シンジ「でも、どうせプレゼントするなら…」

ミサト「うん?」

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           ヽ└'        `ニ                /厂 「ヾ\   |: :/.: :
             〉_,.、     //////         /しリ  |l  |:/|: :/
            イ: :/∧     /////            ヽイ   ′  ' |/
       , ── ノ∨/ l                    //////   ′
        / │   /   ':.                  l   /////

      ′ l   .:/   丶                  |           ′
     /  ヽl  :/   l   ヽ            ー ┘     /
     ′   '、.:/    l    ヽ    \ ‐‐- .、       /
   〈     ∨     |      丶    `丶ー- >   ,  ´
   /\    ヽ    |       丶         ,


シンジ「生意気かもしれないけど、僕の選んだ物でアスカには変わって欲しいんです」

ミサト(グハッ!)ズキューン

ミサト(やっばぁ、脳内でハートを撃ち抜かれた音がしたわ、アスカにその顔でそのセリフを言ったら間違いなく速攻で確変ベッドイン確定、来年は初孫よ)

シンジ「どうかしましたか?」

ミサト「ううん、なんでもないの、シンちゃんも罪作りな子だなって思ってね」

ミサト(天然のたらしってのはこういうのを言うのね、加持の奴とは格が違うわ)

シンジ「はぁ…」

ミサト「あ、そうだわ、そこまでいうならちょっと待ってなさい」スクッ

トットットッ、パタン

シンジ「部屋に入ってしまった…」

アレー?タシカニアッタハズナンダケドナー?ガサゴソ

シンジ(時間かかりそうだしお茶入れ直そうかな)

アー!カジノ、ジェリコワタシガモッテタンダー!

シンジ(ジェリコって確か拳銃…)

ミツカンナイワネェー

シンジ(僕も手伝った方が良いかな?)キシッ

ドザザザァ!キャー!ゴキブリー!

ニンゲンサマヲナメンナヨ、ガイチュウガァ!!

ダンッ!

シンジ「」スッ

シンジ(やっぱりいいや、まだ死にたくないし…あぁ、お茶が美味しい)ズズー

ガラッ

ミサト「はあ、はあ、見つけたわよ」

シンジ「ミサトさん気持ちはありがたいんですけど、まずはどう見てもおもちゃに見えないサバイバルナイフを戻してきてくれませんか?」

ミサト「あら!これはごめんあそばせ!」オホホ

ガラッ、ゴツッ!

イタッ!ダレヨコンナトコロニ、パイナップルオキッパナシニシタバカハ!

シンジ(…年末の大掃除は戦場になるな、本当の意味で)

シンジ(そして無駄かと思ってた兵器の知識を与えてくれたケンスケ、本当にありがとう)

アスカ「ちょっとミサト、さっきからドタバタうるさ…」ガラッ

アスカ「い…」ジッ…

シンジ「あ…」ジッ…

アスカ『ば…か』パクパク、スッ

ガラッ

ミサト「ごめんなさいね、時間かかっちゃって」

ミサトさん「どうかした?シンちゃん」

シンジ「いえ、お茶入れ直しましたので」ドウゾ

ミサト「どれどれ、うん、いい感じに覚ましてくれたのね」ズズー

シンジ「ははっ…」

シンジ(『覚まして』ないです、『覚めた』んですよ)

ミサト「さて、これなんだけどね」バララッ

シンジ「ファッション雑誌ですか?」

ミサト「今でも若いんだけど、もっとピチピチギャルだった時代に買っちゃった奴なんだけど」

シンジ「ピチピチ…」

ミサト「何かしら、シンジくん?」(#^ω^)

シンジ「いえ、ミサトさんは今も変わらずと思いまして」キリッ

ミサト「もぉ!シンちゃんったら上手なんだから!そういう所大好きよ!」

シンジ(僕は自分のこういう所が嫌いだよ…)トホホ

ミサト「買ってみたは良いんだけど、年齢層が高校生くらいで全然使わなかったのよね」

ミサト「その時買う前には商品の確認が必要だなって常々思ったわ」

シンジ「でもアスカは僕と同じ中学生ですよ?」

ミサト「チッチッチッ、女の子のおしゃれを甘く見ちゃいけないわよシンちゃん」

シンジ「そうなんですか?」

ミサト「アスカは見た目大人っぽいから大人びた髪飾りでもピッタリ合うわよ」

ミサト(先に年齢層が上の物見せとけば小学生が付けるような物買って来ないでしょうし)

ミサト「ほらっシンちゃんに貸してあげるから参考にしてね、読み終わったらヤングエース(毎月4日発売)と一緒に縛っていいから」

シンジ(ついでに捨てさせる気だな)

ミサト「頑張ってねシンちゃん」

シンジ「はいっ、ありがどうございます!」

ミサト「うん、よろしい」ニコッ

シンジ「あの…」

ミサト「ん、どうしたの?」

シンジ「ミサトさんと相談出来てよかったです」

ミサト「うん、頑張れ男の子」

シンジ「だから僕…!」

シンジ「僕、ミサトさんの『検閲により削除されました』歳の誕生日も絶対お祝いしますからね!」

      /                /ヽ   /ヽ   /                 \
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     \|ヽ ヽ/ ̄ |  ヽ/ |○ | ´          ´|○  > \/   Zノ| |/\ |  |
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   /                  \              /     |              ヽ
  /                    \         /        |               ヽ
 /                        \     /        |)\               ヽ
/                      /(  ??           ノ  |               ヽ
                          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


ミサト(29歳独身)「いやそれはいいから…」

うげ、文字化けしてる。

とりあえず今回はここまで、他のSSの息抜きとして書いてたのに随分長くなってしまった。

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