～個室内（苗木）～

桑田「あれ……いない？」

桑田「舞園ちゃん？」


桑田、ベッドの前まで歩み寄ってきたところで背後に人影を感じる


ｶﾞﾗｯ！


桑田「ッ！？」


舞園「うあああああああッ！」


シャワールームの中に隠れていた舞園、飛び出してきて桑田に向かって猪突猛進

その両の手に硬く握られた包丁の先端が、ギラリと光る


桑田「なっ・・・・・・！」

運動神経は抜群の桑田、咄嗟に包丁を避けようとするが、この至近距離ではさすがに不可能

受け止めようとして……背後の棚に飾ってあった模擬刀を手に取ろうとする


桑田（こいつで！）


舞園「たあっ！！」


舞園、一切の躊躇を捨て去り桑田に襲い掛かる


ｶﾞｯ！


桑田（よし！）


摸擬刀を手にした、が……


ｺﾞﾄｯ！ﾊﾟﾘﾝｯ！


桑田「な！？　痛ッ！」


焦って足元にあったＤＶＤ入りのゴミ箱に片足を突っ込んでしまい、ふらつく


・・・・・・グサッ

舞園「・・・・・・っ・・・・・・」


桑田「あ・・・・・・ぐ・・・あっ・・・・・あ・・・・・・・・・・・ぽ」


包丁はクリーンヒット、見事に桑田の左胸を刺す


ﾌﾞｼｭｯ


刺した包丁を抜き取った舞園、一方反動で床に倒れこむ桑田

まだ息のある桑田に対し、馬乗りになった舞園は、さらに右肩や首などを複数回刺す


舞園「あああああっ！！」


ｸﾞｻｯ　　　　　　ｸﾞｻｯ



そして、気が付いた時には……

桑田はもう、死んでいた

ｶﾗｰﾝｯ


包丁を投げ捨てて、放心状態の舞園は


桑田の死体から目を背け、ベッドにダイブ


舞園「殺った・・・・・・！」


舞園「これで・・・・・・ここから出られるんですね」


返り血に混ざって、流れ落ちる一筋の涙は

喜びによるものか、悲しみによるものか、はたまた心身の興奮状態によるものか定かでない


舞園「帰れる！」

舞園「私の・・・・・・本当の居場所に・・・・・・！！！」


だが、舞園の“希望”が叶うためには

これからが真の正念場であることに、この時の舞園はまだ気が付いていなかった

ほう