右京「叛逆の物語?」 (88)
相棒×まどか☆まぎか叛逆の物語のクロスSSです。
まだ映画観てない方でネタバレしたくないという方以外はよろしければ読んであげてください。
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深夜、誰もいない見滝原市の街中。
そこに一台のパトカーが走っていた。
芹沢「ふぁ~ぁ…まったく今夜の深夜パトロールは俺らの当番なんてついてないっすね。」
伊丹「しょうがないだろ、これが警察の仕事なんだからな。」
芹沢「いや…周りを見てくださいよ!
こんな深夜の誰もいない街で犯罪なんか起きるわけがないですよ!?」
伊丹の言う通りそびえ建つビルのオフィスはどこも無人の状態と静けさと共に不気味とも思えるくらいであった。。
伊丹「俺らこれでメシ食ってるんだから文句言うな…うん?…何だ?」
ピチョンッ
異常を感じた伊丹はパトカーの窓越しから外を見ると街の灯りがある方向に向かい一斉に消されているではないか。
気になった伊丹はその方向に目を向けるとそこにいたのは…
伊丹「何だありゃ?」
伊丹が目撃したのはクルクルとまるでワルツのような踊りをする無数の小人。
そして中央にはまるで彼らの劇団長のような派手なぬいぐるみみたいな存在がいた。
こんな光景を見て黙っている伊丹ではなかった。
伊丹「芹沢!車を止めろ!」
芹沢「え?便所っすか?」
伊丹「バカヤロー!緊急事態だ、俺に続け!!」
芹沢「ちょ…ちょっと待ってください!?」
急ぎその場へと駆けつけようとする伊丹と芹沢、だがそれを二人の少女に阻まれてしまう。
「「おじさんたち待った!」」
伊丹と芹沢を止める二人の少女たち。
一人は蒼いショートヘアの髪と衣装で白い純白のマントを付けた少女、
もう一人は赤い長い髪をポニーテルで結い、大きな槍を持つ少女であった。
伊丹「何だお前たちは!?」
芹沢「先輩見てください…あのぬいぐるみ変な事をし始めていますよ!」
伊丹「なんだと?」
芹沢の指摘する通り、そのぬいぐるみは枕を投げ出し周辺のビルを破壊し始めたのだ。
ポンッ ポンッ
ガッシャーン
ビルは倒壊こそしないものの、ガラスが全損する程の被害が出ていた。
伊丹「なんてこった…止めるぞ芹沢!」
芹沢「そんな…あんなのどうやって止める気ですか!?」
??「そっちの若いおっさんの言う通りだよ、歳喰った方のおっさん。」
??「あいつらは『ナイトメア』、普通の人間じゃ刃が立たないモンスターみたいな連中だよ。
ヤツらを倒せるのは私たち『魔法少女』しかいないんだからね!」
伊丹、芹沢「「魔法少女!?」」
二人が魔法少女という言葉に驚く中、またひとり少女が現れナイトメアと呼ばれるモンスターに近付く。
少女は先ほどの少女たちみたく派手な格好をしていて桃色の髪に真っ赤なリボン、フリルの付いたドレスを着ていた。
そして少女は弓矢を取り出しそれを上空に向かい撃った。
バシュッ
すると無数の矢が上空からナイトメアを目掛けて雨の如く降り注いできた。
だが…
??「キャッ!?」
??「あ~ぁ、まどかのヤツ自分も撒き込んじゃってるじゃん…」
??「まったくまどかのヤツはどっか抜けてるとこあるからな。
まぁ…さやかもおなじだけどな!」
??「ちょっと杏子!さやかちゃんはしっかり者だぞー!
…ってそんな事はともかくナイトメアが逃げるよ!後を追わなきゃ!」
??「二人とも!とりあえず誘き出したからあとは誘導お願い!」
そう言うと桃色の少女…先ほどの会話からして『まどか』と呼ばれる少女は何処かへといなくなってしまった。
残った蒼い魔法少女の『さやか』と赤い魔法少女の『杏子』は空高くジャンプして
さやかは剣、杏子は槍を使いナイトメアをある場所へと誘導していった。
伊丹「何だあいつら?これから何をする気だ?」
芹沢「先輩どうしますか?俺らじゃあんなの手に負えないですよ…」
伊丹「バカヤロー!刑事が弱音を吐くんじゃねえ!さっさと追うぞ!!」
そして伊丹たちも彼女たちの後を追う、辿り着いた先は…
伊丹「何だここは?」
芹沢「ここは台所?あれ?誰かが料理している?」
伊丹と芹沢が辿り着いた場所、そこは幻想的な空間であった。
テーブルには先ほどのナイトメアが席に座っていて、さらに台所では金髪でカールの髪型の少女が
肩に赤いぬいぐるみを乗せて台所でポットにお茶を淹れていた。
するとそこへ先ほどの魔法少女と名乗る子供たちが現れた。
まどかはパン、杏子はリンゴ、さやかはターキーをナイトメアの口に放り込んでいるではないか。
そして彼女たちは歌い始める、それはまるで幻想的で優しさに満ち溢れた歌を…
『私は朝の夢を見る♪』
『まだだめよ♪まだだめよ♪何色の朝が来る?』
『まだだめよ♪まだだめよ♪まだ夜は食べかけよ♪』
『踊っている子はどこにいる♪』
『まだだめよ♪まだだめよ♪でも夜はとけていく♪』
『さぁ、おはようナイトメア♪悪い夢は…これっきり♪』
最後の歌詞を歌いながら金髪の魔法少女は台所からお茶を淹れたカップをナイトメアに差し出す。
するとそこから溢れ出る光が周囲を照らし、伊丹たちが気付いた時には…
伊丹「誰も…いない!?」
芹沢「そんな!俺たち夢でも見てたんですか?」
伊丹たちはすぐに周囲を捜索するが先ほど魔法少女たちやナイトメアがいた痕跡はどこにも無かった。
だがその様子をビルの屋上から眺める魔法少女たちの姿があった。
まどか「あのおじさんたちには悪い事しちゃったね。」
さやか「仕方ないっしょ、魔法少女の使命に一般人を撒き込む訳にはいかないからね!」
杏子「だな、どうせ変な夢でも見たと思ってすぐに忘れるさ。」
三人が伊丹たちを見下ろしているところへ先ほどの金髪の魔法少女が現れた。
まどか「マミさん、さっきはお疲れ様です!それにベベもね♪」
マミ「まったく一般人が入り込むとは計算外だったわ、もっと結界の張り方を徹底しておかなきゃね…」
ベベ『マミ!ガンバレ!ガンバレ!』
さやか「そういえばあいつ何処行った?」
杏子「あいつって誰だ?」
さやか「ほら、この前転入してきた転校生だよ。あの子も魔法少女なんですよね?」
まどか「あぁ…ほむらちゃんだね、確か今日は休むって言ってたんだけど…」
マミ「困ったモノね、早く私たちのチームワークに慣れてほしいんだけど…」
まどか「それじゃ私…今日はもう帰りますね!」
さやか「帰るの早いね、どうしたの?」
まどか「実は最近…その下着が…盗まれて…」
さやか「何ー!?まどかの下着泥だと!?私の嫁に…許さん!!」
まどか「ちょっとさやかちゃん声大きいって!?それで警察の人に捜査をお願いしたんですけど…」
一方その頃、見滝原市の住宅街では…
「ハァ…ハァ…」
誰もが寝静まった住宅街にひとりの怪しい人物がとある住宅に忍び込んでいた。
するとその怪しい人物はベランダに干されている洗濯物に興味を移す。
「ハァ…ハァ…下着…」
怪しい人物は少女の下着に手を伸ばし、擦り擦りと頬に摺り寄せていた。
その異常な行動を誰かに見られでもしたらその人物の社会的信用は一瞬にして消え去るほどの挙動であった。
ポンッ
すると誰かが背後からその人物の肩を叩いた、驚いて背後を見るとそこにいたのは…
右京「失礼ですが我々は警察の者です、あなたはここで何をしているのですか?」
神戸「まあ大体わかるけどね…ここの家のお嬢さんの下着盗んでどうする気だったの?」
「くっ!?」
怪しい人物は右手に手を伸ばし何かしようとした、だが…
右京「無駄な抵抗はあなたのためにならないのですがねぇ…」
がその前に既に右京はこの人物の手を掴み、そのまま押さえ込んだ。
その人物はたちまち拘束されてしまい身動きが取れなくなった。
神戸「下着は無事です、けどさぁキミ…何でこんなの取ったの?ストーカーかい?」
??「ち…違います!私は…その…鹿目さんの下着を変質者から守っていたんです!」
神戸「いや…そんな言い訳通用すると思ってんの?どう見たって変質者はキミなんだけど…」
その人物の口から出るあまりにも馬鹿げた言い訳、だが右京はここである事に気付く。
右京「あなた…女性ですね…それもこの家のお嬢さんと同じくらいの子供の…」
そこへこの家の…いや…この人物が盗んだ下着の持ち主が現れた。
まどか「あの…あなたたちは?」
右京「あなたはこの家のお嬢さんの鹿目まどかさんですね。
僕は見滝原署特命係の杉下と言います。」
神戸「同じく特命係の神戸、この犯人に見覚えはあるかな?」
まどか「犯人…?」
右京はまどかに確認を取ってもらうために暗闇の中その人物の顔をライトで照らす。
するとそこに映し出された顔を見て三人とも思わず驚いてしまった。
右京「おやおや、まさかこんな女の子が犯人だったとは…」
神戸「これまたキレイな子だな、ていうかこんな子が下着泥だったなんて…」
ライトに映し出された少女はメガネをしており長い黒髪を三つ編みで結っていた一見気の弱そうな感じであった。
まどか「「ほむらちゃん!?」」
神戸「え?知り合い!?」
まどか「ハイ…同じクラスの暁美ほむらちゃんです…けど何でこんな事を…」
ほむら「そ…それは鹿目さんの下着を守ろうと思って…」
右京「そうですねぇ、もしかして暁美さん、あなたは…レ…」
右京がある事を言い掛けた時、さすがにほむらも観念して白状した。
ほむら「すみません!私がやりました!鹿目さんごめんなさい!!」
まどか「え~と…とりあえず下着返してねほむらちゃん…
ほむらちゃんはたぶん私の下着を守ろうとしてくれたんだよね…
だからその刑事さん…今回の事は…あの…その…見逃してもらえますか?」
右京「そうですねぇ、当事者のあなたがそう言うのなら我々はそれ以上何もしませんよ。」
神戸「まあ今回は軽犯罪で…おまけに犯人は未成年でたぶん…初犯だし…
厳重注意という事で落ち着きましょうか。」
右京「ただし、憶えておいてください。次は…ないですからね!」
ほむら「ハ…ハイ…ホムゥ…」
まどか「それとほむらちゃん、私の事はまどかって呼んでね!そしたら今夜の事は忘れてあげるから!」
ほむら「ハイ!鹿…いえ…まどか!」
神戸「やれやれ…」
右京「一件落着ですかね。」
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――――
~見滝原署~
翌朝、見滝原署の刑事課ではある話題で持ちきりであった。
伊丹「だから俺たちは本当に見たんですよ!」
芹沢「そうですよ!信じてください!」
伊丹と芹沢は見滝原署の署長である外村と刑事課の課長である外園に昨日の魔法少女の事について話していた。
だが返答はというと…
外村『…』
外園『…』
伊丹「何ですって?そんな馬鹿げた話は信じられんって…」
芹沢「でも本当なんですって!信じてくださいよ!?」
結局伊丹たちの事を刑事課の人間は誰も信じはしなかった。
一方刑事課の隣の生活安全課…の小さな窓際の小部屋、そこに4つの席が並べられている。
そこは見滝原署の陸の孤島と呼ばれる窓際部署、通称特命係と呼ばれる場所である。
その部署には現在4人の刑事が所属している。
一人はこの特命係の係長である杉下右京警部。
もう一人が主任の神戸尊警部補、それに神戸よりも前にいる古株の兎山薫巡査部長に
新しく新人として配属された山梨亨巡査部長の計4名である。
そんな彼らの下に鑑識課の米沢がやって来た。
米沢「失礼します、お預かりしていた少女の下着を持ってきました。」
右京「米沢さんどうもありがとう、あとはこの下着を鹿目まどかさんに返却してこの事件は終わりですね。」
神戸「まさかクラスメイトの女子が下着泥の犯人だったなんて…世も末ですね…」
米沢「これは恐らく…百合というものではないでしょうか?」
右京「百合…というと植物の一種の事ですか?」
米沢「いえ、女子同士での恋愛の一種ですな。ちなみに男同士だと薔薇といいます。」
右京「女子同士の恋愛…つまりレ…」
神戸「そんな事より刑事課で何か騒いでますけど何があったんですか?」
米沢「それがですな…」
米沢は右京たちに先ほど伊丹と芹沢が刑事課で話していた内容をそのまま右京たちに伝えた。
神戸「ハァ?魔法少女!?」
米沢「えぇ、昨日の深夜に伊丹刑事たちが巡回パトロールで目撃したと言っているのですよ。
まあ…恐らく寝ぼけていたのでしょうな、誰も相手にしていませんよ。
それで伊丹刑事たちは今夜も巡回パトロールに出るらしいですよ、今度こそ証拠を掴んでいやると意気込んでいましたから…」
神戸「二日もぶっ通しで深夜パトロールってきついでしょ、ねぇ杉下さん?」
魔法少女、普通なら誰もが笑い飛ばしそうな話だが右京はこの話に思わず興味を持った。
右京「面白そうですね、僕たちも付き合ってみようじゃありませんか!」
神戸「言うと思いました、え~と二人はどうする?」
神戸は兎山と山梨の二人にも聞いてみた、だが帰ってきた答えはというと…
兎山『…』
山梨『…』
神戸「そっか、二人ともパスだそうですよ。」
右京「では僕たち二人だけで行きましょうか。」
神戸「わかりました、それじゃ僕はそのように伊丹さんたちに話を伝えに行ってきますよ。」
米沢「それでは私も仕事があるので失礼します。」
そして特命係の部屋を出て行く神戸と米沢、そして黙々と仕事を続ける兎山と山梨。
そんな中、右京は自身の刑事手帳を見てそこに書かれている本来の部署を読み上げた。
右京「『警視庁特命係、杉下右京』ですか…さてはて…どういう事なのですかねぇ…」
右京は自分のデスクで紅茶を飲みながら窓から見滝原の街を見た。
一見平凡で長閑な街であるが…間違いなく異常な事態が起きている事を右京は既に察知していた。
以上とりあえずここまでです。
以前相棒×まどマギのクロスSSを見て自分も書いてみようかなと思い今回書いてみました。
ちなみに映画の資料は少ないので後半あたりは記憶だけを頼り書く事になりおかしな点が出てくるかと思いますが
どうか勘弁してください。
乙
期待させてもらう
乙!
頑張って最後まで書いてくれよ
うーん…初っ端からほむらのキャラを平気で崩壊させてるあたり、ただのまどマギファン発狂させて楽しむだけの釣りSSの可能性あるから気に食わんくなったら批判レス一つもせずにさろうぜみんな
~石の里~
ここは杉下右京たち特命係が常連の飲み屋である。
夜…そこの女将との談笑も終わり、右京と神戸は会計をしてさっそく伊丹たちのところへ合流しようとする。
だがその前に…
右京「それではお暇しましょうか、ところであなたのお名前は何でしたっけ?」
辛子『…』
右京「そうでしたね、つらい子と書いて陽ノ本辛子さんでしたね。
お気になさらず、単なる確認ですよ。」
それからすぐに伊丹たちの乗るパトカーと合流する右京と神戸。
同乗する伊丹は不機嫌さをこれでもかという程悪態をついていた。
伊丹「まったくいいですなあ、特命係のお二人はお暇で!
お二人は暇潰しにやってるだけでしょうがこっちは業務でやってるのでねぇ!」
神戸「あの伊丹さん…これでも僕たちあなたよりも階級上なんですけど…」
伊丹「そうでした、すいませんねぇ態度が悪くて!」
右京「それよりも本当なのですか?その魔法少女というのは…」
悪態をつく伊丹に代わり芹沢が右京の問いかけに答える。
確かに彼らは昨夜このオフィス街で魔法少女たちを目撃したと言う話である。
神戸「なるほど、けどこの辺りのオフィス街って最近じゃ夜になると誰もいないらしいですよね。」
芹沢「なんでも見滝原じゃ労基法に法って深夜以上の残業は禁止だとか言われていますから。
だからこんなとこのパトロールなんて意味無いって俺は思うんですけど…」
チラリと伊丹に目線を移す芹沢、伊丹は不機嫌ながらもこう答える。
伊丹「喧しい!俺たちは見滝原署の刑事だぞ、少しはその事に誇りを持って捜査してりゃ
大抵の事は耐えられるんだよ!」
芹沢「ハイハイ、わかりましたよ。まったく先輩は愛想が無いんだから…」
伊丹の説教に愚痴をこぼす芹沢、そんな伊丹に対して右京はある質問をする。
右京「確かに伊丹刑事の仰る事はもっともですねぇ。
ところで伊丹刑事は刑事になってそろそろ何年になりますか?」
伊丹「いきなり何を仰るんですかね警部殿?
自分は配属以来ずっと見滝原署の刑事課でしたけどそれが何か?」
右京「配属以来ずっと…ですか?それ以前は他の場所で働いてはいなかったのですか?」
伊丹「?いいえ…ずっと…あれ?ずっと…だったかな?」
何か奇妙な違和感に駆られる伊丹、そんな彼らに対して芹沢がある事をぼやいた。
芹沢「あの…何処も彼処も不気味なくらい静かなんですけど…
今夜は魔法少女もナイトメアも現れないんじゃないんですか?」
伊丹「バカ!この程度の事で弱音を吐くな!まだわかんねえだろうが!?」
右京「ですが芹沢さんの言う事も一理ありますね。
この様な誰もいない場所を襲ったところで意味などありません。
火の無い場所に煙は立たないと言いますからねぇ。」
神戸「ではお言葉ですが、杉下さんは何処かその魔法少女かナイトメアが現れそうな場所に心当たりがあるんですか?」
右京「心当たりという程ではありませんが目ぼしい場所ならあります。」
芹沢は右京の指示を受けてある場所へと向かう、そこは…
~志筑邸~
ここは見滝原市でも名家と知られる志筑家である。
ちなみにこの家にはまどかとほむらの同級生で一人娘である志筑仁美の家でもある。
何故ここが怪しいのかと神戸は右京に訊ねてみた。
神戸「それで杉下さんはどうしてこの家が怪しいと思ったんですか?」
右京「大した理由はありませんよ、僕が泥棒ならこういったお金持ちの家を狙うだろうと思ったまでの事です。」
伊丹「そんな理由でかよ…」
芹沢「けどまあ志筑家ってこの辺りじゃ名家ですからね。
警部の言う事も的外れってわけじゃないかも…」
その時であった、志筑家の一室から奇妙な光が…
4人はパトカーから降りるとその光から奇妙な物体があら現れた。
伊丹「ありゃ昨日のぬいぐるみお化け!?」
芹沢「確かナイトメアって化け物ですよ!」
神戸「ほ…本当にいたんだ…」
右京「まったく驚きですね、おや?」
右京は上空を見回すと二人の少女が建物をジャンプしながらナイトメアに接近しているのを目撃する。
そこで彼女たちが着ている服に注目した。
右京「もしかしてあれが魔法少女ですか、それにあの服は確か…」
伊丹「あの二人…さやかと杏子ってヤツらじゃ!」
芹沢「あの子たちですよ!昨日俺たちが出会った魔法少女は!」
その頃、さやかと杏子はそんな右京たちの事など知る由も無くナイトメアの動向を探っていた。
杏子「あれが志筑仁美のナイトメアなのか?」
さやか「仁美も大変だよね~、あんな無神経なヤツを彼氏にするんだからさぁ。」
そんな二人の前にマミとベベ、それにまどかとほむらが合流する。
マミ「それじゃ、みんないくわよ!」
まどか、ほむら、さやか、杏子「「ハイ!!」」
5人は一列に並ぶとなにやら丸い宝石を出した、その宝石はそれぞれ色が異なりまるで彼女たちの
特徴を表しているかのようであった。
そして5人は光り輝き魔法少女へと変身を遂げる。
その姿は昨夜伊丹と芹沢が目撃した時と同じ恰好であった。
伊丹「間違いねえ…昨日と同じ格好してやがる!」
芹沢「ていうか昨日は4人だったのに今日は5人に増えてますよ!?」
神戸「あの…杉下さん、あの桃色と紫のメガネの子は…」
右京「間違いありません、昨夜僕たちが出会った二人の少女ですよ!」
変身を遂げた彼女たちはそれぞれ空高くジャンプすると決めポーズを取り名乗りを上げた。
「「「「「ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット!!」」」」」
伊丹「ピュ…ピュエラ?」
芹沢「マギ?」
神戸「ホーリー?」
右京「クインテッド…ですか…」
ナイトメア『?』
状況のわからないナイトメアは彼女たちの出現に困惑しながらも攻撃を仕掛ける。
しかす彼女たちはすぐに反撃に移る、まずはほむらが時を止める。
ほむら「リリース!」
カチッ
盾の砂時計を操作してその場にいる者たちの時を止める、次はまどかとマミ。
二人はほむらと接触している事で時間停止中でも動けるのだ。
そして二人は魔法力を合わせて合体技を組む。
まどか&マミ「「ティロ・デュエット!」」
無数に放たれる弾丸、そして時間停止を解除するとともにその弾丸はナイトメアに命中する。
ナイトメア「!?」
戸惑うナイトメア、だがその攻撃は止まる事を知らない。
お次はさやかと杏子、さやかの斬撃と杏子の結界でナイトメアは行き場を失う。
もう何でもありだなwwwwww
さやか「ゴメイサマ・リリアン!」
杏子「アミコミ・ケッカイ!」
魔法少女たちの攻撃により次第に追い詰められていくナイトメア、そしてついにナイトメアは力尽き倒れこんでしまう。
まどか「動きが止まった!」
マミ「みんな、仕上げよ!」
5人はナイトメアを包囲する形で囲んだ、すると次の瞬間彼女たちはテーブルに座り何かを呟き始めた。
伊丹「何だ?あいつら戦ってたんじゃないのか?」
芹沢「これから何が始まるんですか!?」
『ケーキ、ケーキ、まあるいケーキ、 まあるいケーキはだあれ?』
ベベ(ケーキはさやか?)
さやか『ちーがーう、私はラズベリー!まあるいケーキはあ、か、い ケーキは杏子?』
杏子『ちーがーう、私はりんご まあるいケーキはべべが好き ケーキはマミ?』
マミ『ちーがーう、私はチーズ まあるいケーキはこーろがる ケーキは暁美さん?』
ほむら『ち…違います、私はかぼちゃ まあるいケーキは甘いです ケーキはまどか?』
まどか『ちーがーう、私はメロン メロンが割れたら甘い夢♪』
魔法少女たちはフルーツゲームを楽しむように遊んでいた、そして最後に全員一緒に…
『今夜のお夢は苦い夢 お皿の上には猫の夢 丸々太って召し上がれー!』
その途端、テーブルの中央から巨大なケーキが出来上がる。
さらにベベという赤いぬいぐるみも巨大化し、まるで蛇のような姿になると
その巨大なケーキを一飲みで食べてしまった。
右京「おやおや、これは…」
神戸「何が起きてるんだ?」
そして最後にベベはあるモノを吐きだす、それは…
神戸「あれって…人の頭ですか?」
右京「人の顔…いえ…あれは少女の頭ですね、あの少女をどうするのでしょうか?」
ベベが吐き出した少女の頭、それをさやかは優しく抱きしめるとバイオリンを弾く少年の幻影が現れる。
そして少年と少女は光に導かれ、天へと昇って行った。
右京、神戸、伊丹、芹沢「「…」」
さすがに全員がこの現象に言葉を失、い絶句しているといつの間にか夜が明けて朝日が昇っていた。
まどか&ほむら「「やったね!」」
さやか「私たちが力を合わせればチョロイもんだよね!」
マミ「コラコラ、油断は禁物よ。今回だってちょっとひやっとさせられたわ。」
杏子「そういうお説教は嫌いだね。まぁ…ケーキと紅茶があったら別だけど…」
そんな会話が行われている中、右京たちは思い切って彼女たちに接触を試みた。
右京「失礼、よろしいでしょうか?」
杏子「ゲッ!一般人が何でここに!?」
神戸「お言葉だけど僕たちは一般人じゃありませんよ。」
芹沢「俺たちは見滝原署の刑事だからね。」
伊丹「まったく…昨日は体よくいなくなりやがって!
おかげでこっちは署内で嘘吐き呼ばわりされたんだぞ!」
さやか「おじさんたち昨日の!?」
杏子「おまわりだったのかよ…」
いきなりの右京たちの出現によりさすがの彼女たちも思わず戸惑ってしまう。
マミ「私たちはその…」
右京「あなたたち全員見滝原中学校の生徒さん達ですね。」
さやか「何でその事を!?」
神戸「何でってキミたちの着ている服だけどそれ見滝原中の制服だよね。
そんなの着て出歩いてたら中学生だってまるわかりだから…」
右京「それと…まさかあなた方までこの件に関わっているとは思いませんでしたよ。
鹿目まどかさんに暁美ほむらさん。」
まどか「アハハ…」
ほむら「先日はどうも…」
杏子「何だよ?まどかたちもこのおっさんたちと知り合いなのか?」
右京「まあちょっとした縁で、ところで話して頂けますね。
あなたたち魔法少女の事、それにナイトメアの事も。」
さやか「ちょ…ちょっと!
ナイトメア退治は私たち魔法少女の使命なんだから!
悪いけど警察にどうこうできる問題じゃないんだからね!」
芹沢「うっ…それを言われると弱いな…」
右京「確かに、現段階ではあなた方の言うように我々に先ほどのナイトメアに対処できる能力が無いのは事実です。
ですが我々は警察官です、対処できない問題だからといって放置するわけにはいきませんよ。」
神戸「それにナイトメアとやらの情報があれば対応策も立てられるからね。
悪いけど僕たち警察を舐めないでほしいな。」
まどか「た…確かにそうですね、マミさんどうしましょうか?」
マミ「あの…ナイトメアの事をお話しするのは構いませんけど、私たち魔法少女の事はどうなるんでしょうか?
私たちを監禁して能力を調べるとかされるんですか?」
ほむら「そうですよね、私たちの力を悪用されちゃうかもしれない危険があるかもしれないし…」
右京の意見に賛同するまどかだが彼ら警察が信用できるのか疑問に思うほむらとマミ。
彼女たちからしてみればいきなり現れた右京たちは、まだ信頼に足る要素が無いのだから無理もない話である。
芹沢「いや…俺たちそんな横暴な真似しないから!」
伊丹「公安ならともかくこちとら所轄の刑事だぞ、そんな権限ある訳ねえだろ!
お前らドラマや映画の見過ぎじゃねえのか?」
右京「どうしても話して頂けないと言うならこちらにも少し考えがあるのですが…」
さやか「何さ?私らを逮捕しようっての?」
杏子「あたしら別に犯罪を犯した訳でもないしね、逮捕できる証拠でもあるのかい?」
右京「おやおや、あなた方はご自分の立場をお忘れですね。」
まどか「私たちの立場って?」
右京「あなた方はまだ中学生ですよ、そんなあなた方が深夜からこんな明け方近くまで出歩いていた。
そうなれば我々は職務上あなた方を補導しなければいけません。
そして勿論この事は保護者の方々に報告をさせてもらいますので。」
神戸、伊丹、芹沢「「さすがは杉下警部…えげつない…」」
右京の半ば脅しとも取れる言動、これにはさすがにまどかたちもお手上げである。
さやか「ちょっと刑事さん!それは汚いよ!私ら正義の味方なんだよ!?」
右京「えぇ、それは十分承知していますよ。
ですが…我々も警察官ですので、真夜中に街中を徘徊している未成年を放置するのは…
職務怠慢になってしまうものでして。」
まどか「どうしよう…もし補導なんてされたら絶対パパとママに怒られちゃうよ…」
さやか「そしたら絶対夜出歩かせてもらえないよね…」
杏子「おいおい…アタシなんかただでさえさやかンチに居候で肩身が狭いんだぞ!
補導なんかされでもしたら追い出されちまうよ…」
さやか「いや…ウチの両親そこまで薄情じゃないから…」
ほむら「あの…巴さん…どうしましょうか?」
マミ「刑事さん…ナイトメアの事をお話すれば私たちの事は見逃してもらえますか?」
右京「お約束しましょう。
それどころか今後はあなた方の夜のパトロール時は、我々も同行しますので法的な面でもカバー出来ると思いますよ。」
伊丹「ちょっと警部殿!そんな勝手な口約束していいんですか!?」
芹沢「そうですよ、大体誰がパトロールに同行するんです?」
右京「それは僕たち特命係の出番ですよ、特命係はいつも暇ですからね。」
神戸「ハハ、でもこの案件は確かに特命で対処すべきだと思いますよ。
今のところ刑事課では伊丹さんと芹沢さん以外こんな奇想天外な話を信じる人いないでしょうから。」
芹沢「まあ…お二人がそう言うなら…」
伊丹「別に人が死んだって訳じゃねえしな…面倒な事は特命に丸投げするか…」
さやか「おいおい…警察って案外いい加減すぎる…」
伊丹「バカ言うんじゃねえ、警察に超常現象扱う課は存在しねえんだよ!」
右京「まあその話は置いておいてさっそく本題に入りたいと思います。
まずあなた方魔法少女とは何者なのですか?」
マミ「わかりました、まずは自己紹介させてください。
私は巴マミ、それと鹿目まどかさんに美樹さやかさん、佐倉杏子さんに暁美ほむらさん。
私たち5人はナイトメアという邪悪な存在からこの見滝原の街を守る魔法少女なんです。」
右京「なるほど、それではそのナイトメアとはどういった存在なのでしょうか?
そしてあの存在はどういった条件で出現するのかあなた方の知る範囲で教えて頂けますか?」
マミ「ハイ、ナイトメアは…あら?ナイトメアは……どうやって出現するのかしら?
そういえば私あの存在について何も知らないような…」
神戸「おいおい!キミたち自分が何と戦っているのか知らないのかよ!?」
まどか「あれ?言われてみれば私もナイトメアについて何も知らない…」
杏子「そういやアタシもだ…何であんなヤツらと戦ってたんだ?」
ナイトメアについて何もわからないと答えるマミ、まどか、杏子の三人、
右京はほむらにも聞いてみるが返答はというと…
ほむら「すみません…私はまだ新人の魔法少女でして詳しい事は…」
そんな中、たった一人だけナイトメアについて知っていた人間がいた。
さやか「もう!みんなボケちゃったのかな?
ナイトメアっていうのはその言葉の通り人間の悪夢を媒介にしている性質の悪いヤツらなの!
それを倒すのが私たち魔法少女の使命って訳よ!」
右京「なるほど、悪夢ですか…
それでこのナイトメアは人を殺害するほどの脅威があるのですか?
今まで何人の死者が出たのか…出来れば事細かく教えて頂きたいのですけどねぇ。」
さやか「え?死人なんていないよ、私らが守っている訳だし当然っしょ!」
右京「ナイトメアは人間の悪夢、という事はナイトメアが出現するのは人々が寝静まる
夜遅くに発生しやすいのですね。」
さやか「そういう事かな!」
乙です
神戸「困りましたね、人間の悪夢を媒介にしてるって事は対応策なんて立てられないじゃないですか。
市民に夢を見るななんて無茶な事言えるわけもないですし…」
芹沢「幸いなのはこれまでに死人が出ていなかったって事くらいですよね。
けどあんな化け物なんだから一人くらい死人がいてもおかしくないと思うんですけど…」
伊丹「まあなんにせよ死人が出なかったのは不幸中の幸いだ。
それでお前ら今までどれだけのナイトメアを倒してきたんだ?」
まどか「どれだけって…あれ?そういえば私たちナイトメア何体倒したんだっけ?」
マミ「そういえば…」
さやか「そんな細かい事覚えてないよ、とにかく数え切れないほど倒してきたのは事実だから!」
杏子「そうか?アタシはそんなに倒したような覚えはないんだけど…」
右京「ところで…先ほどのナイトメアですが…あれは倒したというより
むしろナイトメアに憑りつかれていた人間を浄化したという印象があるのですが…」
さやか「うんそうだね、私らはナイトメアを倒すと言うよりもむしろ浄化してるんだからね。
それで憑りつかれた人たちの想いを諌めているっていう方が正しいのかな。」
右京「それでは次に聞きたい事ですが、あなた方魔法少女はどうやってそのような異能の力を得たのかお聞かせ願いますか。」
まどか「それはこの子と契約したからです!」
まどかはそう言うと肩から一匹の白い猫のような存在を紹介する。
この猫の名はQB、魔法少女たちはみんなこのQBと契約する事により力を得るとの事であった。
右京「なるほど、願いを叶えてもらう代わりにあのナイトメアと戦う運命を与えられたという事ですね。」
マミ「そうです、それが魔法少女の使命ですから。」
伊丹「ほぅ、こんな小っこい猫がねぇ…」
QB「キュー。」
ベベ『QB!QB!』
右京「それと先ほどからずっと気になる事があるのですが、よろしいですか?
『ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット』つまりあなた方のチームの名称ですけど…」
マミ「えぇ、素晴らしい名前でしょう!」
右京「『ピュエラ・マギ』はラテン語、『ホーリー』、そして『クインテット』は英語ですねぇ。
『ピュエラ・マギ』はラテン語で魔法少女、『ホーリー』は聖なるという意味、
『クインテット』は五連奏、つまり日本語に訳すと魔法少女の聖なる五人組、つまりあなた方の事になります。
しかし何故このように言語がバラバラの名称を使われているのか少々気になりまして。
まあ別にラテン語と英語が組み合わされているのは珍しい事ではありませんが…
すみませんね、細かい事が気になるのが僕の悪い癖で。」
マミ「え?あの…その…それは…うぅ…」
まどか「マミさんがこっちを涙目で見てる…」
さやか「そんな涙目でこっち見ないでくださいよ…さすがにこれは私もフォローできないから…」
杏子「せっかく辞典読み漁って考えた名前なのになぁ。」
ほむら「マミさん可哀想…」
神戸「それに変身の時に決めポーズとか必要じゃないよね?
すぐに敵と戦えばいいのに。」
芹沢「必殺技とかも叫ぶ必要ないですよね、」
伊丹「そうだな、そんなモン叫んでいる間に敵の反撃喰らったら洒落にならねえぞ!」
マミ「うぅ…グッスン…」
杏子「ついに言われちまったか。」
さやか「私らですら内心思っていた事をズバッと…」
マミ「グスッ…グスッ…」
右京「ですが僕は個人的な見解ですがあの変身ポーズは芸術的だと思いますよ。」
マミ「本当ですか!」パァァァ
さやか「うわっ!マミさんの目がめっちゃ輝いているよ!?」
右京「えぇ、勿論。
まず巴さん、あなたの変身シーンはまるでフィギュアスケートでの演目を演じるかのような
気品とそれに優雅さに溢れたとても芸術面に優れた変身シーンでしたよ!」
マミ「やっぱりわかってくれる人は分かってくれるのよ!」(じ~ん)
右京「次に佐倉さん、あなたの変身はヨガのポーズを参考にしているのでしょうね。
それに美樹さんはブレイクダンスを、みなさんご自分の個性を実に表現していますねぇ。」
マミ「フフ、わかる人にはわかるものなのね。」
まどか、さやか、ほむら、杏子(さっきまで半べそだったのに…)
右京「それでは我々はこの辺で、あぁそうそう。
補導の件ですが…まあみなさん見滝原の平和をお守りしているという事で大目に見ておきますよ。」
さやか「さっすがー!刑事さん話せるねぇ♪」
魔法少女たちから貴重な話を聞き、とりあえず今日のところは彼女たちを家に帰らせた。
しかしその帰り際、右京は一人の少女の動向が気になっていた。
ほむら「…」
暁美ほむら、他のみんなが笑顔で帰宅する中…何故かこの少女だけは俯いた表情をしていたからだ…
とりあえずここまで
右京さんたちじゃなくても一般人の視点から見るとあの変身ポーズは意味無いと指摘されても仕方ないと思います
乙です
…
更新ないなあ
2ヶ月過ぎてるね…
それから夕方…
~見滝原中学校~
下校時刻、まどかとさやかは帰宅途中に再び右京と神戸に会った。
右京「お二人とも、今朝はどうも。」
さやか「あ、今朝の刑事さんたち!確か…左京さんと悪戸さんだっけ?」
まどか「もう…さやかちゃんったら!杉下右京さんと神戸さんだって!けどお二人ともどうしてこちらに?」
右京「実は雑用を命じられましてね、これから隣町の風見野署に届けものをしなければなりません。」
神戸「命じられたらなんでもやるのが特命係だからね。
下着泥が押収した下着の確認作業もしなきゃいけないし裏ビデオのチェックも…おっとこれはまだ中学生には早すぎる内容だったかな…」
まどか「アハハ…(大変そう…)あれ?さやかちゃんどうかした?」
隣町へ行く…この右京の言葉を聞きさやかは少し顔色を悪くしていた…
さやか「あ、いや…別に…なんでもないって!アハハ!」
神戸「そういえばあとの三人はどうしたんだい?
確か杏子ちゃんとマミちゃん、それにほむらちゃんは一緒じゃないの?」
まどか「マミさんは学年が違うから…ほむらちゃんは杏子ちゃんと先に帰ったんです。
けど二人が一緒に帰るのって珍しいよね、今までこんな事なかったのに。
転校してから初めての事じゃないかな?」
右京「転校?暁美さんは転校生なのですか?」
まどか「ハイ、ほむらちゃんは少し前に転校してきたんです。
けどその時もう魔法少女になっててビックリしたよね!」
さやか「そうそう、いきなり私らにソウルジェムの指輪見せつけてさ!
まさか転校生が魔法少女だったとはねぇ…まったく驚きだよ!」
右京「ソウルジェムですか…そういえばあなた方は魔法少女の契約をする際に願いを叶えられるという事でしたが、
差支えなければどんな願いだったかお聞かせくれますか?」
まどか「え?願い…?」
契約による願い、突然そんな事を聞かれてどうようするまどか。
自分が何を願って魔法少女になろうとしたのか何故かその時思い出せなかった…
だが頭の中で何かが過った…
『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい!全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で!!』
まどか「私の願いは魔女を消し去る事…魔女?」
『魔女』…いきなりまどかが呟いた言葉…その言葉が何を意味するモノなのか右京と神戸はこの時点ではまだわかるはずもなかった…
さやか「まどか…アンタまさか…」
まどか「え?私何か言った?」
右京「ハッキリと言いましたよ、『魔女』と。一体どういう意味なのか教えて頂けますか?」
神戸「魔女ってあれだよね、魔法少女が魔女になるって事なのかな?」
さやか「ハハハ!何を仰いますやら!
さやかちゃんたちはずっと魔法少女ですって、魔女なんか…いるわけないじゃない…」
右京、神戸「「?」」
さやかの言葉に何か意味深な意図を感じる二人、だが気付けば予定の時間を過ぎていた。
急いで車に乗り込みその場を去ろうとするが…
さやか「あ、杉下さん!その…この街からは出ない方がいいよ。ていうか……出られないんだけどね……」
右京「ハィ?」
神戸「さ、行きますよ!」
別れ際に告げられたさやかの言葉、しかし神戸がアクセルを吹かしてしまいその場を去らなければならかった…
~風見野への道中~
風見野署へ向かう車の中で右京は先ほどのまどかたちとの会話で妙な事を感じていた。
右京「魔女…ですか…」
神戸「どうかしたんですか?」
右京「鹿目さんが言った言葉が気になったもので…魔女とは一体何なのでしょうか?」
神戸「お言葉ですが、彼女たちも知らないみたいですからね。
単なる言葉のあやだと言う可能性もあるのでは?」
右京「さぁ…ところで…お話に夢中で鹿目さんの下着を返却するのを忘れてしまいましたね…
おや?あれは…」
右京は隣の車線を走るバスを見るとそこにほむらと杏子が乗っているのを見つけた。
風見野駅行きと表示されたバス、どうやら二人とも右京たちと同じく風見野市へと向かおうとしていた。
神戸「二人とも風見野へ行くんですね、何か用事でもあるのかな?」
右京「それはわかりませんが、道路に行先が表示されていますね。次は左ですよ。」
神戸「言われなくてもわかっていますって!」
[←風見野 見滝原→]
神戸の車は左の方向指示を出して左へ行こうとした、だが…
ほむら「……!」
杏子「……!?」
ほむらと杏子を乗せたバスは何故か右の見滝原へ向かっていた。
二人も何故行先と違う場所へ行くのか驚いていた。
右京「風見野駅行きのバスが見滝原の方へ戻っていきますよ!」
神戸「本当だ!けど何で…あれ?」
その時であった、右京と神戸を乗せた車も気付けば何故か見滝原の方へと戻っていた。
突然の出来事に呆然とする右京と神戸、そんな中でバスから降りたほむらと杏子と合流する。
神戸「ほむらちゃん!杏子ちゃん!」
ほむら「刑事さんたち…どうしてここへ?」
右京「偶然あなた方が見えたもので、ところであなたたちは先ほど風見野駅行きのバスに乗っていたはずですよね。
何故見滝原市に引き返したのですか?」
杏子「それがわからねえんだよ!バスの運転手に聞いてもうんともすんとも答えもしねえし…
まるで気味が悪いよ…」
ほむら「私たち…乗るバスを間違えたんじゃ…」
右京「そんなはずはありませんよ、あなた方は間違いなく風見野駅行きのバスに乗っていました。
僕も確認していましたし間違いありません!」
神戸「けどおかしいのは何で僕たちまで見滝原に戻ってきたんでしょうかね?
こっちは間違いなく風見野へ向かったと思ったんですけど…」
誰もが疑問に思う中、ほむらがもう一度…今度こそ風見野へ行こうと提案を持ち掛けた。
ほむら「あの、さっきのは間違いだった可能性もあるからもう一度風見野へ向かってみませんか?」
右京「そうですね、その可能性も否定できません。」
杏子「じゃあ今度はアンタたちの車に乗せてってくれよ!頼むな~♪」
神戸「おいおいタダ乗りかよ…」
こうしてほむらと杏子を乗せて再び風見野市へ、車の中で右京は何故二人が風見野へ行くのかその理由を聞いてみた。
右京「それで何故あなた方は風見野へ?何か用事でもあるのですか?」
杏子「用事って程じゃないんだけど…ほむらがさ…最近何か変だとか言ったんだよ…」
神戸「変?」
ほむら「……杉下さんや神戸さんはこの世界に何か違和感がありませんか?」
ほむらからの突然の問いかけに驚く右京と神戸、何故そんな事を聞くのかと右京は聞いてみた。
右京「その前に、質問に対して質問でお応えするのは如何かと思いますが何故その様な事を思われるのですか?
何か理由があるなら是非お聞きしたいのですが…」
ほむら「違和感がするんです…たとえば佐倉さんですけど…
私の知っている佐倉さんの印象がまるで違うんです…何を言っているのかわからないと思うんですけど…」
右京「印象が違うとは…失礼ですがどう違うか具体的に教えて頂けますか?」
ほむら「なんというか…私の知ってる佐倉さんはもっと粗野で乱暴だったというか…」
杏子「ちょっと!それ喧嘩売ってんの!?」
神戸「今も十分粗野で乱暴だと思うけど…」
ほむら「それに…佐倉さんが見滝原にいる事自体がおかしいんです!
佐倉さんは元は風見野にいる魔法少女でした、それが何故か見滝原にいるし…」
杏子「だからそれはさっきも言ったろ!
風見野が平和になったから今度は見滝原の平和を守っているんじゃねーか!」
魔法少女同士の当たり前の会話(?)だが、その会話の内容に右京は疑問に思う部分があった。
右京「会話の最中ですが僕から少し質問させてください。
佐倉さん、あなたは風見野の魔法少女なのですね。ならば今はどちらにお住まいなのですか?」
杏子「そりゃさやかんちに居候させてもらってるのさ!」
右京「居候?失礼ですがあなたのご家族はどうなされたのですか?」
杏子「家族…?」
右京「えぇ、ご家族ですよ。
あなたはまだ未成年、それも義務教育を受けている真っ最中の年齢ですよ。
いくら魔法少女とはいえあなたにもご家族がいらっしゃるはず、失礼ですがご両親は心配してないのですか?」
家族、その言葉を聞き杏子の脳裏に嫌な記憶が過った…
『お姉ちゃん…お腹空いた…』
『私の願いは父さんの話をみんなに聞いてもらう事!』
『神父さまー!』 『教えをお聞かせください!』
『この悪魔!お前は魔女だ!人の心を惑わす魔女だ!!』
次々と杏子の脳裏に襲い掛かる…まるで悪夢のような出来事…
毎日の食べる物にあり付けず…餓えに苦しむ妹…
誰かに願いを叶えてもらおうとする自分…
そして叶えられた願い…だがその願いを父親に全否定されて挙句の果てに魔女呼ばわり…
しかしそれだけでは終わらない…まだ何か…忘れてはならない記憶が甦ってきた…
『心配すんなよさやか。一人ぼっちは…寂しいもんな。いいよ、一緒にいてやるよ。さやか…』
杏子「…アタシらは魔女…」
右京「ハィ?今…魔女と仰いましたか?」
思わず青ざめた顔をする杏子、先ほどまでの明るい素振りとは違い…
まるでトラウマでも呼び起こしたかのような感じであった。
そんな会話の最中、車は先ほどの風見野と見滝原の分岐点の場所までやってきた。
神戸「あ、見えました。さっきの道です!さぁ今度こそ左だ!」
間違いなく左の方へハンドルを切る神戸、だが…
神戸「……そんなバカな…」
右京「確かにキミが左へハンドルを切るのを僕も見ました…」
杏子「じゃあ何でアタシら見滝原に戻ってんだよ…?」
ほむら「あの、今度は降りて歩いて風見野へ行ってみませんか?」
そして全員は車から降りて風見野へ向かおうとする、だがそれも…無駄に終わった…
歩いても歩いてもまるで無限の迷路を彷徨っているかのような感覚に陥る右京たち。
そして気付けば元来た場所に戻っていた…
右京「ここは先ほど僕たちが車を置いた場所ですね。」
神戸「ど…どうなってるんですか?」
杏子「こいつは幻覚か何かか?あたしたちを見滝原の外に出さないための!」
何者かが幻覚を使いこの見滝原の街に自分たちを閉じ込めようとしていると決め込む杏子。
しかし右京がその結論に反対する。
右京「いえ、それは違うと思いますよ。
もしかしたら…この世界には外なんてないのかもしれません…」
杏子「アンタ…何言って…」
神戸「そうですよ杉下さん…そんな訳が…」
右京「静かに、何も気づかないふりをしてください!」
ほむら「あ、そんな…周りが…」
『…』
『…』
『…』
右京が指摘する通り、周りには生気の無い住人達が全員を囲んでいた。
下手に動けばこちらが危ないほどに…
杏子「面白れえ!こんなわけのわかんねえ状況を作ったのが誰か吐かせてやる!」
ほむら「待って、下手に動いたら危険よ。
ここは杉下さんの言う通り名にも気づかないふりをしてやり過ごしましょう。」
杏子「あ…あぁ…」
神戸「…」
結局、風見野へ辿り着けないまま元の見滝原の街へ戻る羽目になった右京たち。
帰り際、ほむらたちを家まで送っていった。
ほむら「それじゃあ私はこれで。」
右京「えぇ、お気を付けて。」
まずはほむらを家まで送った右京と神戸、だが神戸はまるで怪しむような目でほむらを睨んでいた。
右京「キミ、先ほどから暁美さんを睨んでばかりですが彼女に何かあったのですか?」
杏子「まさかアンタ…ロリコン趣味があるとか?」
神戸「ちょ…変な事言わないで!
ただなんだかあの子に違和感があって…最初に会った時のオドオドした感じじゃなく…
なんというか氷のようなクールな感じがしたもので、ほらさっきの変な集団に襲われそうな時もあの子が妙に的確な判断をしたのが気になって…」
右京「確かに、先ほどの行動は暁美さんの性格的にもかけ離れた行動でしたね。」
今のほむらに対して否定的な意見を持つ右京と神戸、だが杏子は…
杏子「そっかな、アタシは今のほむらの感じが妙にしっくりくるんだよな。
まるであれが本来のあいつじゃないのかってくらいにさ!」
それから杏子をさやかの家まで送ったが…
さやかはというと杏子をさっさと家に入れてしまい、話をしようとしたら「今日は遅いから!」と…
あっさりと断られてしまった。
とりあえずここまで
久しぶりの更新すんません
まってたよおお!
正直もうあきらめてたわ
乙です
乙!だよ
乙
右京さんがいることでの安心感がすごいな
乙!
話が変わるけどフォーン・ブースの犯人VS右京さんがみたくなった
a
乙でした
えたーかと思った。
相変わらずおもしろい
リングの方の続編も読んでみたいです。
ハッピーエンドだけど続きありそうな終わり方だったので。
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