さやか「10月3日はまどかの誕生日!」 (18)
--通学路--
まどか「おはよー。杏子ちゃん、さやかちゃん」
杏子「おう、おはようまどか」
さやか「おっはよーまどか! 昨日はちゃんと眠れた?」
まどか「うーん。実はあんまり……」
さやか「ははぁん。さては今日の誕生日会に緊張して眠れなかったんでしょ」
まどか「そ、そんな事……ある、かも」
杏子「別にただいつも通りマミの家で食いまくってプレゼントもらうだけだろ? そんな緊張する事あるか?」
まどか「それは、そうなんだけど……」
まどか「……何故か分からないけど、みんながわたしの誕生日を祝ってくれる事が嬉しくて……そんな事、もうないと思ってたから」
杏子「……? 意味わかんねぇな。誕生日なんて年に一度勝手にくるもんだろ?」
まどか「そうだよね。わたし何言ってるんだろ」
さやか「……」
杏子「……どうした、さやか。突然ボーっとして」
さやか「あ、ううん。……別に誕生日じゃなくても、毎日さやかちゃんが祝っちゃうぞー?」モミモミ
まどか「や、やめてよさやかちゃん!」ワタワタ
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杏子「馬鹿やってないでさ。早く学校行かなきゃ遅刻しちまうぞー」
さやか「……!? 杏子が真面目な事を言っている……?」
杏子「なんだよ、まるでいつもは真面目じゃないみたいな言い方しやがって」
さやか「や、事実その通りじゃん。たまに授業抜け出したりしてるの、あたし知ってるんだからね」
杏子「な!? しっかり幻術魔法で代理をたてていたのにバレてたのかよ!」
さやか「変な事に魔法を使うなー!!」
杏子「……ったくうるせぇなぁ。いいじゃん、学校に行っても寝てるだけなんだし。行っても行かなくてもたいして変わんねぇよ」
さやか「授業は真面目に聞きなさい!」
まどか「あ、でもさやかちゃんも授業中結構寝てるよね」
さやか「そ、それはそれよ。魔法を悪用するなというか……たまにあたしだって授業ちゃんと聞いてる時も、ある……ような……」
杏子「よーし! じゃぁ今日はみんなで学校ばっくれようぜー」
さやか「何でそうなるのさ!」
--教室--
まどか「ところで……誕生日会の話で相談したい事があるんだけど」
さやか「ん? 何さ、このさやかちゃんに言ってみなさい」
まどか「その……ね。ほむらちゃんも呼んでほしいなーとか思ったり、なんて……」
さやか「……!」
杏子「あぁ、学校案内を名目に人けのないところでまどかを後ろから抱きしめた奴だっけ。……そんな奴呼ばなくていいだろ」
まどか「えぇと、あれも何か事情があったらしくて……一度いっぱいお話ししたいなって思ってたんだ」
杏子「甘いなーまどかは。……ま、あんたの誕生日会なんだし、あたしは反対しないけどさ」
杏子「……でも、誕生日会当日に言ってきてくれるもんかねぇ」
まどか「前々から話をしようとはしてたんだけど……」
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まどか「ほむらちゃん! あの、よかったらわたしの誕生日会に……」
ほむら「あなたと話す事なんて何もない」
まどか「え!? ……えぇと、ごめん、なさい」
ほむら「……あまり私に話しかけない方がいいと思うわ。あなたが今の日常を大切に思っているならね」
まどか「……は、はい」
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まどか「という感じで、話も聞いてくれなくて……」
杏子「あー……」
杏子「なら、それこそ別に呼ばなくてもいいだろ。自分で拒否してるんだし」
まどか「うー……」
さやか「……よし! その話さやかちゃんが請け負った!」
まど杏「!?」
さやか「まぁ、あいつとはそれなりに深い関係だしねー。さやかちゃんが頼めば、ちょちょいよ」
まどか「……そういえば、さやかちゃん。ほむらちゃんとは仲良しなんだよね」
さやか「おう、唯一無二の親友と言っても過言ではない。一番はまどかだけど、二番目はほむら、仁美、たっくん、恭介、早乙女先生、その他もろもろ……」
杏子「ほぼ全員2番目じゃねぇか! ……ちなみに、あたしは?」
さやか「……圏外?」
杏子「なんだとー!」
まどか「二人ともやめてー」
--見滝原温泉--
さやか「……というわけで、誕生日会のお誘いに来ました」
ほむら「まどかはその話を私にしたかったのね。納得したわ」
さやか「……一つ突っ込んでもいい?」
さやか「あんたのソウルジェムの気配を辿ってみたら……何で温泉に浸かってるわけ!? しかも貸切だし!」
ほむら「そんな事言いながらちゃっかりあなたも浸かってるじゃない」
さやか「それは……そうなんだけど」
ほむら「……ここは一応、私の掘り当てた温泉よ。何をしようと私の自由でしょ。……見つけたのは別世界の杏子だけど」
さやか「……だからって権利の問題とかいろいろ……」
ほむら「それは悪魔の力でさらっと」
さやか「何無駄な事に悪魔の力使ってるんだ!!」
ほむら「無駄ではないわ。この温泉は見滝原市の観光名所の一つとして収益を……」
さやか「あんたは何を目指してるんだ」
ほむら「……本音を言うとね。この温泉は私にとって特別なのよ」
さやか「特別?」
ほむら「えぇ、だって」
5人で力を合わせてワルプルギスの夜を倒した世界のものだから
ほむら「……何でもないわ」
さやか「……そっか。あたし達5人、この温泉が発掘できた世界は仲良かったもんね。みんなで温泉入ったし」
ほむら「……私の心を読んだのかしら」
さやか「さやかちゃんの勘だよ」
ほむら「これは私の夢の世界の話で、あなたが知っているはずがない」
さやか「……」
さやか「ま、まぁそれはそれとして、誕生日会だよ!」
ほむら「話を逸らしたわね」
さやか「とにかく誕生日会! 来るの!? 来ないの!?」
ほむら「行く気はないわ」
さやか「はい来ることに決定! みんなに連絡しておくから!」
ほむら「待ちなさい」
さやか「……何が不満なのさ。あんたの大好きなまどかの誕生日会なのに」
ほむら「私がまどかに近づきすぎると、それがきっかけでまどかの記憶と力が蘇ってしまうかもしれない」
さやか「それはあたしが全力でカバーするよ」
ほむら「……意外ね。てっきりあなたはまどかを円環の理に取り戻そうとしているのだと思っていたのだけれど」
さやか「……今日1日だけ目を瞑る」
ほむら「……それに私はまどかを裏切ったのよ。今更のこのこと誕生日を祝いに行けるわけ、ないじゃない」
さやか「そうかもしれないけど、でもあんたなりにまどかの事を考えてやったんだし……多分まどかの記憶が全て戻ったとしても、まどかはあんたを許すと思うよ」
ほむら「まどかの事を本当に考えるなら、私はあのまま円環の理に導かれているべきだった。……全ては私の我儘。例えまどかが許したとしても、私は許さない」
さやか「……不器用な性格だね、あんたは」
ほむら「あなたにだけは言われたくないわ」
ほむら「……上条君の事、あなたは本当に綺麗さっぱりふっきっているのかしら?」
さやか「!! ……どういう意味?」
ほむら「あなたは円環の理に導かれ、もう世界に干渉できないから志筑さんに上条君の事を託したんじゃないの? でも、あなたにはもう、上条君をあきらめる理由はない」
ほむら「……何なら私の力で志筑仁美の告白をなかった事にしてあげようかしら? いっそ上条君にもあなたが告白した事にして……」
さやか「ほむら、これ以上言ったら怒るよ」
ほむら「……フフフ。どう怒るの? あなたが私に勝てるはずないのに」
さやか「……もういい。あんたに誕生日会を誘ったあたしが馬鹿だった。……帰るよ」
ほむら「……待って」
さやか「何?」
ほむら「温泉に浸かったんだから温泉代はちゃんと払いなさい」
さやか「……あ、うん。ちゃんと払うよ」
--誕生日会--
杏子「ふぇー。食った食った。これで後1時間は食べなくても大丈夫そう」
なぎさ「なぎさもお腹いっぱいなのです。チーズしか食べられないのです」
マミ「百江さんも佐倉さんもあんまり食べると太るわよ」
杏子「あたし食べても太らないから大丈夫」
なぎさ「なぎさの胃袋は宇宙なのです」
マミ「もう……」
まどか「……」
さやか「……結局来なかったね、ほむらの奴」
まどか「うぅん。ごめんね、さやかちゃんにも迷惑かけちゃって」
さやか「いいってことよ! それにしてもほむらめー! あたしの嫁の誘いを断るなんて!」
まどか「でも、マミさん、杏子ちゃん、さやかちゃん、なぎさちゃんに祝ってもらえて、わたし幸せだよ。みんな、ありがとう」
杏子「……改まって言われると照れるな」
マミ「お礼を言うのはこちらの方。私も楽しかったわ。ありがとう鹿目さん」
なぎさ「なぎさはチーズが食べたかっただけモゴモゴ」
さやか「あんたはちゃんと空気読めっての!」
--帰り道--
さやか「じゃぁ、あたしはこっちだから」
まどか「うん。じゃぁまたね。さやかちゃん」
さやか「おーう。まったねー」
まどか「……ほむらちゃん、わたしの事嫌いなのかな」
ほむら「……別にそういうわけではないわ」
まどか「!? ほむらちゃん!?」
ほむら「ねぇ、まどかは今幸せ?」
まどか「え? えぇと……うん。大切な人たちがいっぱいいて、みんな優しくて……そんな中にわたしがいられて……とっても幸せだよ」
ほむら「そう、よかった……本当に、よかった」
まどか「……その、ね。ほむらちゃんもわたしにとって大切な人だよ。だってほむらちゃんは……あれ……わたしは……」
ほむら「……!?」
まどか「……何でだろう。ほむらちゃんとはあの時が初対面だったはずなのに、何かとてもそうは思えなくって……とても大切な何かを……忘れているような……」
ほむら「気のせいよ」
まどか「……そうかなぁ」
ほむら「あと、これ、誕生日プレゼント。……誕生日おめでとう、まどか」
まどか「え!? あ、ありがとう」
ほむら「……じゃぁ、私はこれで帰らせてもらうわ」
まどか「う、うん。……ほむらちゃん!」
ほむら「……何?」
まどか「プレゼント本当にありがとう! また明日、学校で会おうね!」
ほむら「……えぇ、また明日」
まどか「ほむらちゃんのプレゼント、なんだろ。……ちょっとここで、開けちゃおうかな」
まどか「……こ、これは!?」
みんなで使ってね
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まどか「……」
さやか「何でやねん!」
マミ「多分一生懸命悩んだ結果、そこに辿りついたんじゃないかしら……」
杏子「いや、でも地味に嬉しいプレゼントじゃないか? 」
なぎさ「なぎさも温泉大好きなのです」
さやか「……やっぱみんな尾行してたんですか」
マミ「暁美さんが出てくるならこの辺かなと思って……」
杏子「ま、ほむらの奴もまどかの事が好きだったって話か」
なぎさ「なのです!」
さやか「……うーん」
むしろ好きすぎて宇宙を改変してしまったわけで
いずれほむらとは何らかの形で決着をつけなければいけないわけだけれど
さやか「……まぁ、今日はいっか」
ここまで!
間に合ったぁ……
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