ライナー「カクヘイキ?」(17)
人類の最終兵器と謳われる其れが其処には置いてあった。
アニのリヴァイ班壊滅によりエレン奪還に成功した俺達はウォール・シーナ最奥まで足を進めることに成功していたーーーー
まぁ、言ってもシーナへ侵入出来るのは憲兵の名を持つアニだけだがな。
アニからの情報によれば、どうやら地下施設なんてもんがあるらしい…姑息な奴らめ、自分らだけ助かろうって気か?
と、思ったら違うみたいだな…
ソイツは巨人もなにも関係無く、土地ごと丸々吹き飛ばせる兵器らしい。
大砲みたいだけど違うっ…ミサ…イルつったか?良く分からねぇ
俺達が生まれるずっと前にセカイタイセンとかいう戦争で使われた兵器だってよ。
一発で東洋のナントカって都市を丸ごと吹き飛ばしたらしい。
しかも、撃たれた土地は100年間ありとあらゆる生物が棲めなくなるらしい。
巨人も危ねえかもな、再生とは別に細胞を侵食してくるみてぇだぜ。
ーーー奴らは本気だぞ、一週間後地下施設のソイツらを全て壁外へ乱発するみてぇだ。
俺も故郷まで届くはずがねぇって思ってたさ、
お前、アニのあんな怯えた目を見たことがあるか?
俺はアニの言ったことが確かな情報だと確信した。
今夜、地下施設を叩くぞ。
ライナー「良いな、ベルトルト」
ベルトルト「…」
ベルトルト「そんな大仕事するなら…準備がいるだろう?」
ライナー「ああ、そうだな」
同期の母の話を聞いた時、不覚にも揺れた心を彼らは否定することが正直出来なかった。
だが、今ゆっくりと進められた足には迷いは無いように思われる。
ベルトルト「ライナー、もう終わりだね」
ライナー「そうだな。長かった。余にも長かったな…まぁ、結構楽しかったぜ?」
長身の男は淀んだ眼差しを向けた、恰も冗談は慎めと言わんばかりの瞳。
自分にも人間を殺したくは無い心が何処かで芽生えている、そんな甘い気持ちを踏み躙る決意とも取れる。
ーーー墓碑はこう綴られていた
『五年前ノ英雄に栄光アレ』
ベルトルト「はは、僕らは何でこんな所に来ちゃったのかな」
ライナー「さぁな、お前も同じ気持ちだったか」
ベルトルト「ふふ」
祈る。
何の為かーーーー
其れは、許しを得る為か。
今から起こる、いや、起こす惨劇への許しを得る為なのか。
ベルトルト「さぁ、」
ライナー「ああ、」
彼らは手を口に添え…叫ぶ、
「「腹筋するぞ!!!」」
早速やられた
えええええ
くっそやられた
モルスァ…
うわっち
oh…
くそうwww薦められたから来たらこれだよwww
>>11
よう、やっぱり来てたか
俺もだ
そんなの引っかかる奴がどこに居るんだ?
俺だ
くっそ
普通に面白かったから困る
続きが欲しい
今朝方に少しばかり降った雨が地上から小さな粒となって滴り落ちる。
露呈された岩肌には様々な窪みがあって、やがてその粒が水溜りとなって溝を満たしてゆく。
地下都市。先住民によって開拓の手が付けられた土地。
理由は明かされないまま王政の手によって開発は中断させられていた。
「将官、終にこの時が来ました。我々が唯一歴史を継ぐ一族です。XXX年前のセカイタイセンの時、将官のご先祖様はさぞ悔しい思いをされたでしょう。ですが、その忌々しきカクヘイキが今、まさに我々の物と―――」
「言うな。人類が人種を失ってからもう長い...我々XX国もまたその波に飲まれた。私の先祖は嘗て最強の技術を誇ったあの国の力を盗んだだけだ」
「しかし、今となってはその国が敷いている王制も内部では脆くなっております。たかが血統による昔の権威はもはや廃れていると思われます。我々がこの壁内の人類を守らなくては」
約百年前、巨人の登場により人類の大半が儚く散っていった。
人類に抵抗の力が無かった訳ではない、その体格、生態能力、皮膚硬度、どれも人類に勝れるものが無かっただけであった。
その時は文明社会が成立して七百と半年程だったであろうか、現在人類の可動領域は非常に狭いものとなりつつある。
「しかし、技術者の力は健在だったようですね。解らないなりにも恐らくはこの様だっただろう...という物は作れました」
「ああ、こんな兵器が本当に有ったのか。そもそもセカイタイセンなどというものが何年前の話か、歴史書に書いてあるだけだろう―――そんな戦争が有ったのかすら果たして分からん」
「私は巨人が出現する以前、人類が有ったという説は信じております。そして、その人類を破滅させたのもこのカクヘイキ、そこから未来に我々は居る。どうでしょう?」
「またお前の飛びすぎた発想だな...だが、この兵器がそれ程の実力を持っていることは度々の実験で分かった」
書物が語るにはセカイタイセンから三十年程後、とある二つの大国によるカク戦争が起こり人類は破滅の道を辿ったとある。
「文明が成立した後も権力を誇った国が、嘗て生きていた人類の末裔、ということは考えられないでしょうか?」
「私には解らんよ...まぁ、この力を持ってすればどちらでも良いこと。我々が歴史を創るぞ」
「はい」
地面の下で、小さな決意が木霊した。
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