俺は、赤羽根ケンジ(2X)。
カメラマンだ。主に旅行雑誌向けの写真を撮っている。
カメラマンというのは意外と大変な職業で、過酷な現場に立ちあう事もある。
そのせいで怪我も絶えない。

ｼﾞﾘﾘﾘﾘ
ｶﾞﾁｬ
赤羽根「はい、もしもし。ああ、錦織編集長」

『よう、赤羽根くん！おめでとう！！』

赤羽根「何がですか？」

『いやいや、左脚のギプス今週で取れるんだろ？』

赤羽根「…違いますよ。ギプスが取れるのは来週です。そんな記憶力でよく編集長になれましたね」

『積み重ねてきた努力とゴマスリの結晶だ。いやあ、しかし来週か。それは残念だな。もう一週間優秀なカメラマンを失うとは。君も仕事を逃したな』

赤羽根「え、仕事？」

『ああ、京都なんだが。ギプスが取れてないんじゃ仕方ないな』

赤羽根「いや、行きますよ！出発は??一時間後ですか??」

『怪我人がバカ言うな！！』

赤羽根「写真なんて人力車に乗りながら撮りますって！車椅子でも電車には乗れますから！！」

『来るな来るな！無茶はしないで安静にしてろ！寺島と松岡に行かせるから』

赤羽根「『寺島と松岡』ですか。…俺を死にそうにしておいてその仕打ちですか？」

『それはお前が突進するでかいイノシシの前に飛び出すからだろ！』

赤羽根「ご希望通り『いい写真』撮ったんですがねえ。…本当頼みますよ。退屈で死にそうなんですよ！六週間も窓から近所を眺めてるだけの生活なんですよ！？」

赤羽根「これ以上退屈にさせるようなら問題起こしますよ！！」

『ほう、例えば？』

赤羽根「『結婚』とか。そうすればもう俺をアゴの先で使えなくなりますよ！」

『別にいいぞ？お前もういい歳だろ？
はあ…今どきの女房はガミガミなんて言わないんだろうなあ』

赤羽根「いやいや、この辺の奥様方は結構ガミガミしてますよ。うちの向かいのアパートの夫婦がすごくって」

続けてくれ

続けてくれ

３