P「千早! 俺の妹になってくれ!」 (64)
千早「血は繋がっていませんので、無理かと」
P「待ってくれちーちゃん! お願いだから話を聞いて!」ガシッ
千早「いっ……?」
P「頼むってば!」ギュッ
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千早「ちょ、プロデューサー、苦しい……」
P「このままだと俺は、俺は!」ギュムッ
千早「あっ……! ちょ、プロデューサー待って! くすぐったい!」
P「お願いだ千早あああああ!」
千早「わ、わかりました! 話を聞きますから、いったん離れてください!」
千早「それで、一体どういうことですか?」
P「実はな。この間エイプリルフールだったろ?」
千早「はあ」
P「その日の夜、昔の友人と会ってな。そこでアイツとの食事中に俺、嘘をついたんだ」
千早「はあ……」
P「今まで黙ってたけど、実は俺には妹がいたんだ! どうだ驚いたろう! ってな!」
千早「それで、お友達に嘘と見破られたんですね」
P「なっ……!? 千早、どうして分かった!?」
千早「わからない方がおかしいです。急にそんなこと言われて、信じる方がどうかしてます」
P「くっ……アイツと全く同じことを……」
千早「それからどうしたんですか?」
P「いや、あっさり引っ込んだら負けの気がしてな。具体的なプロフィールをつらつらと並べてみたんだ」
千早「……プロデューサー、考えることが子供ですね」
P「いいや、そんなことはない! ともかくこう言ってやったんだ」
P「名前はアサミで、年は16。身長は160cmくらいで、趣味は音楽鑑賞。真面目で歌声は神レベル」
P「それから最重要項目として、胸——っと!」
千早「ん? プロデューサー、どうかしましたか?」
P「いや、何でもない! 俺は何も言ってないぞ!」
千早「そうですか。それにしても、よくもそんなくだらないことを……」
P(危ない危ない……。胸が薄いなんて言ってたら、事態が悪い方に進むのは確実だよな……)
千早「お友達、今の話を信じたんですか?」
P「いーや全然。『そこまで言うなら、直接会わせてくれたら信じてやる』とか言い出してさ」
千早「なるほど。勢いでOKして、今に至る訳ですね」
P「だから頼むよ千早! 今度の日曜日、ほんのちょっとだけでいいんだ! 俺の妹になってくれ!」
千早「いいですよ」
P「そうか、やっぱりダメだよな……」
千早「プロデューサー。私はいいですよ、と言いましたが」
P「仕方ない。やっぱり嘘だったってアイツに言うしかないか……え」
P「ウソ? マジで?」
千早「初めに断っておきますが、これは断じてプロデューサーのためなどではありません」
P「へ?」
千早「これは、私のため……コホン。私の歌のためです」
千早「いろいろな経験を積むことで、歌はより優れたものに進化していく」
千早「そのことは、よく理解していますから」
P「千早……」
千早「もし私に完璧な演技ができたならば」
千早「新たな成功体験を得たことで、私の歌はさらなる進化を遂げるに違いありません」
P「ありがとう千早あああああ!」ダキッ
千早「きゃっ!?」
P「俺のくだらない嘘のために本当にありがとうううううう!」ギュムギュム
千早「で、ですからプロデューサーのためじゃないです! 苦しいですってば!」
P「おっとっと、すまんすまん」
千早「もう……」
P「本当にすまないな。それじゃ今度の日曜10時に、○○駅近くのショッピングモールに来てくれるか?」
千早「10時ですね。わかりました」
P「千早の顔を見てアイツが納得したら、すぐ帰ってくれて大丈夫だからな」
千早「……わかりました」
P「おう。せっかくのオフなのに悪いな。よろしく頼むぜ千早!」
千早「はい」
P「よっしゃあ! アイツめザマーミロ! やっぱり最後に勝つのはこの俺だ! はっはっは!」
千早「……」
千早(ごめんなさいプロデューサー。それとお友達の方)
千早(私は臆病者だから……)
千早(この機会、利用させてもらうわ)
千早「…………」ギュッ
——日曜日
千早「初めまして、アサミと申します。兄がお世話になっています」
友人「あ、は、初めまして。ど、どうもどうもどうもこれはどうも」
P(くっくっく……驚いてる驚いてる)
P(それにしても、さすがは千早だな。演技に隙がない)
P(いつも履かないスカート履いて、眼鏡までかけてくるとは……)
P(俺が言うのもなんだけど、やっぱりプロだなぁ……。変装までしてくるとは、感心感心)
友人「な、なぁ……」
P「ん、どうした」ニヤニヤ
友人「いや、何つーか、その、疑って悪かった。しかも、まさかこんなに可愛いとは思わなかったよ」
P「だろ! 嘘じゃなかっただろ! ふっふーん! ふん! ふん! ふ−ん!」
友人「いや、本当に驚いたよ。それにしても、どことなく歌手の如月千早に似てるような……」
P「え!?」ギクッ
千早「よく言われます。私はそんなことないと思いますけれど」
P(おお! ナイスだ千早!)
友人「で、ですよね! し、失礼しました! 大変失礼しました!」
千早「いえ、とんでもありません。嬉しく思いますので」
P(うーん、さすがは千早だなぁ。俺と違って全く動じてないぞ)
友人「そ、それじゃあおれはこれで」
P「ああ、また近々飲みにでも行こうな」
友人「じゃ、じゃあまたな」スタコラサー
P「……」
P「……よし」
P「……よっしゃあ!」ガッツ
P「見破れなかった見破られなかったヤッホーイ!」
千早「……兄さん」
P「いやあ、さすがは千早だなぁ。アイツ滅茶苦茶驚いてたぞウッシッシ!」
千早「兄さん」
P「まあ、そりゃそうだよなあ。千早の演技は完璧だったからな。そして相手に千早を指名した俺もすご——」
千早「兄さん」クイックイッ
P「ん? ああ、すまんすまん千早。せっかくのオフだし、後はゆっくり羽を伸ばして——」
千早「そろそろ中に入りましょう。今日は買い物に付き合ってくれるんですよね?」
P「え、買い物?」
P「千早。アイツ帰ったし、もう演技しなくて大丈夫だぞ」
千早「兄さん、耳を貸してください」
P「な、何だよ千早。そんなに怖い顔して……」
千早「……コホン」
千早「……お友達、まだ帰ってません」コソコソ
P「なに!?」ギクッ
千早「まだ向こうで私たちを見ています」コソコソ
P「え、向こう? どこどこ……いないぞ……」キョロキョロ
千早「今バレたら、私の演技が台無しです。もう少し芝居を続けましょう」コソコソ
P「え、だって、俺には見つからない……」キョロキョロ
P「本当にいるのか千早——」
千早「本名で呼ばないでください」コソコソ
P「へ?」
千早「私の名前はアサミです。今の私はプロデューサーの妹ですから」コソコソ
P「え、あ、ごめん。ってえーと」
千早「さあ、行きましょう兄さん。まずは服売り場にしましょうか」
P「あ、はい、行きますです」
P(……どうしよう。何だか妙なことになってきた気が……)
千早「…………」ニコ
ミンゴスの兄さんは長瀬湊で再生余裕
P(……どうしてこうなった)
千早「それでは兄さん、一緒に腕を組みましょう」スッ
P「はい!?」
千早「何を驚いているんですか、兄さん。兄妹が腕を組んで歩くのは、当たり前のことです」
P「え、そうなの?」
千早「はい」
P「いやでも、だって、だってさ千早」
千早「いいから、早く腕を出してください」グイッ
P「ま、待て! 俺と千早は本当はプロデューサーとアイドルな訳でやっぱり何だかちょっとまずい気が」
千早「兄さん、耳を」
P「は、はい……」オズオズ
千早「……どうして演技を続けようとしないんですか?」コソコソ
P「いや、だって」
千早「このままだと、後ろにいるお友達にバレますよ」コソコソ
P「後ろ!?」クルッ
千早「……」
P「おい、やっぱりいないぞ」
千早「柱の影に隠れた所を私は見ました」コソコソ
P「……マジ? アイツしつこいな……」
ち−ちゃんマジ策士
P「それにしてもアイツ、そこまで疑り深いヤツだったかな?」
千早「もしバレたら、私の演技が……私の歌が……」ウルウル
P「分かった! 分かったからちは……じゃなかった、アサミ! ほら」サッ
千早「それでは遠慮なく」グイッ
P(う……俺の腕に、千早の腕が……)
千早「それでは行きましょう、兄さん」ギュッ
P「お、おいちは……じゃない、アサミ。あんまりくっつくなって。周りが見てるぞ」
千早「♪」
P(うう……。千早の腕と体って、こんなに柔らかかったっけ?)
P(……それにしても、本当に兄妹って腕を組んで歩くもんなのか?)
P(結局あれから腕を組んだまま2時間あっちこっちへ……)
P(俺の理性は大丈夫だろうか……)
千早「兄さん、そろそろ昼食の時間ですね」
P「あ、ああ……そうだな。そういえば俺も、そろそろ腹が減ってきたなぁ」
千早「私、クレープが食べたいです」
P「ああ、ちょうどあそこにクレープ屋があるぞ。あそこで買うか」
千早「私はイチゴチョコにします」
P「それじゃ俺はイチゴ大福にするか。すいませんお願いしまーす」
女店員「かしこまりました。しばらくお待ちくださいね」
千早「へえ。兄さん、珍しいのを選びますね」
P「何だかたまに無性に食べたくなるんだよな……って。ちh……アサミ」
千早「どうかしましたか、兄さん?」
P「さすがにもう大丈夫だろ。俺は結局、あれから一回もアイツを見てないぞ」コソコソ
千早「いいえ。斜め後ろの証明写真撮影機の影にいます」コソコソ
P「いっ!?」クルッ
千早「どうですか?」
P「いや……本当に、全く分からん……」
千早「例えどんなに上手に隠れたとしても、私の目はごまかせませんので」
P「すごいな……ちh……アサミは」
女店員「お待たせしましたー」
千早「兄さん。そんなことはともかく、クレープができたみたいですよ。はいどうぞ」
P「お、おう、ありがとう。ってあれ?」
千早「どうかしましたか、兄さん?」
P「いや、間違えてるぞ。今俺に渡したのは、ちh……アサミのイチゴチョコの方だ」
千早「いいえ。間違えてません」
P「いやだって俺のはイチゴ大福——」
千早「兄さんが私に食べさせてくれるんでしょう?」
P「」
千早「何を驚いているんですか、兄さん。妹が兄に食べさせてもらうのは、当たり前のことです」
P「え、そうなの?」
千早「はい」
P「いやでも、腕を組むのはまだ分かるけど、これはちょっと……」
千早「あーん」パックン
P「……マジで?」
千早「……」コクコク
P「ホントに?」
千早「……」コクコク
P「……」
千早「……」
すみません。用事ができたんでいったん失礼します。
続きは夜に投下しますので、よろしくお願いいたします。
バッファロー66かよww
まってるでー
俺のためのスレかと思った
>>15
ミンゴスはお兄ちゃんって言うイメージ。
リアルブラコンだしな
続き投下します
P(ええい、どうとでもなーれ!)
P「はいどーぞ」サッ
千早「…………」モグモグパクパク
P「……」
千早「……ふぅ」ゴックン
P「ど、どうだ?」
千早「とっても美味しいです、兄さん」ニコ
P「そ、そうか。それはよかった——」
千早「あーん」パックン
P「……まだやるんすか?」
千早「……」コクコク
P(こうなりゃ、やけだ!)
P「よし、好きなだけ食え、アサミ!」サッ
千早「それでは、遠慮なく」パクン
P「……」
千早「♪」モグモグパクパクニコニコ
P(可愛いな千早……って、いかんいかん!)
P(俺は千早のプロデューサーだ! 変なことを考えるんじゃない!)
P(……それにしても、本当に兄妹でこんなことするのか……?)
女店員(リア充爆発しなさいマジで)
P(結局何だかんだで、最後まで食べさせてしまった……)
千早「兄さん。歩きすぎて、少し脚が疲れてきました」
P「ああ、そうだな……」
P(俺の場合、心の疲れの方が圧倒的にヤバイんだけどな)
千早「あそこのベンチで一休みしましょう」
P「あ、ああ……。分かった」
千早「よいしょ」トスン
P「よっこらしょっと」トスン
千早「……ふふ」ニコ
P(な、なんだか今日の千早、妙にご機嫌だな……)
P「なあち……アサミ」
千早「何でしょう、兄さん」
P「アイツ本当にさっきいた? いい加減、そろそろ帰ったんじゃないか?」コソコソ
千早「気づきませんでしたか?」コソコソ
P「何に?」コソコソ
千早「クレープを食べている時、近くのテーブルに座ってきました」コソコソ
P「……嘘だろ?」
千早「本当です」
P「間違いなく?」
千早「間違いありません」
P「……全然気づかなかったぞ。よく分かったな、ち……アサミ」
千早「それほどでもありません」
P「それにしても、せっかくのオフなのに……。何だか申し訳ないな」
千早「構いません。私のため……ゴホゴホン!」
P「お、おい。いきなり咳なんかして大丈夫か?」
千早「大丈夫です。全ては私の歌のためですから。そんなことより兄さん」
P「ん……って、何だ急に? 脚を俺の方に出して」
千早「疲れてしまいましたから、マッサージをしてください」
P「」
千早「何を驚いているんですか、兄さん。疲れた妹に兄がマッサージをするのは、当たり前のことです」
P「え、そうなの?」
千早「はい」
P「……さすがに嘘だろ?」
千早「本当です。大丈夫ですよ、兄さん。周りに人はほとんどいませんから」
P「ほとんどって、多少はいるじゃん!」
千早「堂々としていれば、何も問題はありません」
P「……アイツ見てる?」
千早「見ています。紳士服売り場のマネキンの裏に隠れています」
P「うぇ!?」
P「マジでいる? そんな場所に?」
千早「兄さん、これはチャンスです」
P「俺視点で考えると、どう考えてもピンチなんだが」
千早「そんなことありません。仲睦まじいところを見せてあげれば、きっとお友達も納得してくれます」
P「見せるのは、なおさらまずい気がするんだが……」
千早「早くしてください兄さん。私も恥ずかしいですけど、歌のために仕方がないからやるんです」
P(とてもそうは見えないんだが……それだけ本気で演技してるいうことか)
P(千早が本気で取り組んでくれている以上、こっちも真剣にならなければ失礼……か)
P「……分かった。どの辺をマッサージすればいいんだ?」
千早「ふくらはぎの裏を、お願いします」ニコ
P「……ウィ」
P(とは言ったものの……どうしよう)
P(どうやってマッサージすればいいんだ?)
P(えっと……とりあえずこう、撫でる感じで)スス
千早「うっ!」ビクン
P「はっ! すまん、大丈夫かち……アサミ?」
千早「だ、大丈夫ですけど、ちょっとくすぐったいです」
P「すまない。マッサージとか、そんなにやったことがなくてな……」
千早「撫でるのではなく、揉むような感じでお願いします、兄さん」
P「は、はい。すいません。こ、こんな感じでどうでしょうか?」モミモミ
千早「ああ……気持ちいいです、兄さん。もうちょっと、上の方も」
P「あ、はい。この辺ですね?」モミモミ
千早「きゃっ……それはくすぐったいです」ビクン
P「あ、あ、大変失礼しました。そ、それそれそれでは、こんな感じでいかがでしょうか」モミモミ
千早「……いい感じです」
P(なんちゅう柔らかさだ……。マジで理性が……踏みとどまれ、俺……)
千早「ふふ、幸せ……」トローン
P(この光景見られてるんだよなぁ……アイツに)モミモミ
千早「♪♪」トロトロニコニコ
P(全国のお兄さんたち、みんなこんなことやってるのかぁ……)モミモミ
警備員(声を掛けようかやめようかどうしようかやめといた方がよさそうだなうん)
P「ふぅ……」ヘロヘロ
P(結局全部マッサージするのに30分もかかった……)
千早「兄さん。喉が渇きませんか?」
P「うん、渇いた……」
P(主に緊張のせいでな……)
千早「それでは、あそこのお店で一緒にジュースでも飲みましょうか」
P「大いに賛成します……って」
P(ジュース……。また変なことを言い出さないだろうな、千早)
千早「どうしました、兄さん? 何だか難しい顔をしていますよ」
P「え!? い、いやいやいや何でもないですヨー?」
千早「私はオレンジジュースにします。兄さんは?」
P「じゃ、俺もそれでいっか」
千早「決まりですね。すみません、オレンジジュース一つください」
男店員「はーい、オレンジ一つですねー」
P「え? あ、すいません。二つでお願いしま——」
千早「いえ、一つで結構です」
P「いや、だから俺も飲むってば——」
千早「その代わり、ストローを二つ付けてください」
P「」
男店員「」
千早「それでは、『一緒に』飲みましょうか、兄さん」
P「……おい」
千早「はい?」
P「さすがにこれは本気で絶対ダメだろ! だって、だっておかしいじゃん!」
千早「何を驚いているんですか、兄さん。兄妹が一緒に同じ飲み物を飲むのは、当たり前のことです」
P「え、そうなの」
千早「そうです」
P「……ってそんな訳ねーだろ!」
千早「そんな訳あります」
P「……いやいやいやいや、これはあり得ない! 恋人同士ならともかく、兄妹だぞ?」
千早「いいえ。あり得ます」
千早「ところでちょっと兄さん、耳を」
P「……はい」
千早「……これは私の苦肉の策です」コソコソ
P「どういうことだ」コソコソ
千早「私はさっきのマッサージで、お友達が諦めて帰ると思っていました。しかし」コソコソ
P「まさか、まだいるのか?」コソコソ
千早「私にはわかります。離れた階段の陰から、双眼鏡がこちらに向けられているのを」コソコソ
P「……視力いくつだったっけか?」コソコソ
千早「今、それは些細な問題です」コソコソ
P「そうかな……?」
千早「ともかく、最後までやり通さなければ、私は納得できません。さらなる歌の向上のために」コソコソ
P「確かに言ってることはもっともだけど、何もそんなに無理しなくても」コソコソ
千早「お願いします」
P「……」
千早「……」
P(……ま、そもそも最初に千早に無理を言ったのは、俺か)
P「分かった! 分かったよ、アサミ! 飲めばみんな納得だろ、飲めば!」
千早「ありがとうございます、兄さん」ニコッ
P「よっしよっしよっしよっし、それじゃあ飲むぞ!」
千早「いただきます」
P「……いただきます」
千早「……」チューチュー
P「……」チューチュー
P(うう……。演技とは言え、どうして今日の千早はこんなに大胆なんだよ……)
千早「……」チューチュー
P「……」チューチュー
P(俺と千早はプロデューサーとアイドル。俺と千早はプロデューサーとアイドル……)
千早「♪」チューチューニコ
P「……」チューチュー
P(俺と千早はプロデューサーとアイドル。俺とアサミは兄と妹……)
千早「♪♪」チューチューニコニコ
P「……」チューチュー
P(俺とアサミは兄と妹……俺とアサミは兄といもうはっ!?)
千早「♪♪♪」チューチューニコニコニコ
P(いかんいかんいかん! 何を考えてるんだ俺は!)
男店員(俺だって家に帰れば妹の一人や二人……うう……。ちくしょう! ちくしょう!!)
P(周囲の視線が痛い)
——そして時は流れ
千早「もう閉店ですね。時間が経つのは早いです」
P「あ、ああ……。そうだなアサミ」
P(ようやく、8時……)
P(あれからまたマッサージさせられたり、夕飯食べさせたり、一緒にプリクラ取らされたり……etcetc)
P(でもやっと、やっとこさ閉店だ……)
P(疲れた……。マジで疲れた)
P(でも、よくやった俺。よく理性を保った俺。俺は自分を褒めてもいいよね?)
千早「兄さん」チョイチョイ
P(……ちーちゃん、まだ何かあるんですかい)
P「……はい。どういたしましたか、アサミさん?」
千早「最後まで、油断は禁物です」コソコソ
P「まさか……まだいるのか、アイツ?」コソコソ
千早「その通りです。駐車場の料金メーターの陰から、ライト付きの双眼鏡で狙っています」コソコソ
P「……一体全体変態どうして分かるのさ」コソコソ
千早「それが真実だからです」コソコソ
P「はあ……」
千早「そこで最後に、私たちの親睦をアピールする、とっておきの方法を思いつきました」コソコソ
P「嫌な予感しかしないんだが」
千早「大丈夫です。腕を組むのと同じくらい、ノーマルなことです」コソコソ
P「あれがノーマル……まあ、なんでも、いいですけど。それで、何をするんだ」コソコソ
千早「唇にキスです」
P「唇にキスか」
千早「はい」
P「なるほど。確かに人前でマッサージとか一緒に飲み物飲んだりとかよりずっとノーマル」
P「」
千早「何を驚いているんですか、兄さん。兄妹が別れのキスを交わすのは、当たり前のことです」
P「ないから。そんな訳ないから。もう一回言うけど、そんな訳ないから」
千早「大丈夫です、兄さん」
P「いやいやいや、大丈夫じゃない。さすがにこれは大丈夫じゃないよ」ブンブン
千早「そんなことはありません。私と兄さんは今日、来るところまで来ました」
P「あのなあアサミ……いや、千早」
千早「……」
P「俺とお前はプロデューサーとアイドルな訳で。どう考えてもマズい訳で!」
千早「……いいえ。今の私は如月千早ではありません」
P「はい?」
千早「今の私はアサミ。兄さんの妹です」
P「いや、確かにそういう設定で一日やってきたけども」
千早「これはドラマと同じです」
P「え?」
千早「ドラマの中のキスなんて、ありふれたワンシーンの一つです」
P「……」
千早「でもキスをしたからといって、演じた役者同士が恋人になることはごく稀です」
P「……千早」
千早「だから今日、アサミさんとそのお兄さんがキスをしても、私たちの今後に影響はないはずです」
P「……」
P(どうしよう)
千早「……お願いです」
P「だからって……」
千早「アサミさんが、私に勇気をくれたんです」
P「……」
P(……どうすれば)
千早「私だって……」
P「千早……」
千早「私だって、たまには夢を見てもいいじゃないですか……」
P「……俺は」
P(俺は、どうすればいいんだ?)
千早「……」
P「……」
千早「…………」
P「…………」
P「……分かった。本当の本当に、今日だけだぞ」
千早「!!」
P「目を閉じてくれ、千早」スッ
千早「ああ……。ありがとうございます、プロデュ——」
チュッ
——翌日
P「千早、ちょっといいか?」
千早「はい。どうかしましたか、プロデューサー」
P「実は今朝、例の友人からメールをもらってな。返信ついでに、昨日のことに触れてみたんだが」
千早「……はい」ギク
P「それがな。アイツ、昨日は別れてからすぐ帰ったの一点張りなんだよ」
P「うちの妹に見られてたって言っても、人違いだって言い張っててさ」
P「なあ、千早。昨日覗いてた人って、本当にアイツだったか?」
千早「プロデューサー。こうしてはいられません」
P「はい?」
千早「おそらくお友達は、プロデューサーの隙を狙っています」
P「へ、隙? 何の?」
千早「いったん引き下がって、後でボロを出すのを待っているんです」
P「そ、そうなのか? 普通、そんなに根に持つものなのか?」
千早「という訳で、プロデューサー」
P「は、はい」
千早「早速次のデートコー……ゲフンゲフン。次の作戦を練りましょう」
P「お、おいおい千早……。そんなに張り切らなくてもいいんじゃないだろうか?」
千早「いいえ。最後まで完璧にやり遂げないと、私の気が済みませんので」
P「はあ……さいでっか」
千早「さあプロデューサー。今週末に行きたい場所はどこですか?」
P「え? えーっと、それじゃあ……」
P(やれやれ……。軽はずみについた嘘で、とんでもないことになってしまったなぁ……)
P(でも……)
千早「♪♪♪♪♪」ルンルン
P(何だか千早は楽しそうだし、ま、いっか)
おしまい
以上になります。
読んでくれた方、ありがとうございました。
乙ッ!!
もっと可愛いちーちゃんが見たい(○´∀`○)
おつん
脳内ミンゴス変換再生された
乙
面白かった。千早は可愛いな〜
さぁ次は演技じゃなくなる所まで書くんだ!
乙
病んでなくて積極的なちーちゃん可愛い
GJ乙
よくやった!おつ!
4月20日に高島トレイルします(笑)(爆)
詳しくはワタシのパー速に持ってる旅スレでo(^o^)o
【残雪】滋賀高島トレイル一気に歩く【あるかな】
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません