岡部「聖杯戦争……だと?」(177)
岡部「飛べよおおおおぉぉぉぉぉっ!!」
岡部「はぁ……はぁ……、これでタイムリープは何度目だ?」
岡部「どうやっても、何度試しても……まゆりを助けられない」
岡部「無理なのか?過去を変えたとしても、まゆりの死は避けられないのか?」
岡部「どうしてだよっ……!!」
ダル「……オカリン?」
岡部「クソ、こうなったら……!」
ダッ
ダル「行っちゃったお?なんぞ?」
紅莉栖「……」
岡部「はぁ……はぁ……こうなったら……」
岡部母「ちょ、ちょっと、あんたおじいちゃんの土蔵なんかあさってなにして……」
岡部「うるさいっ!!」
岡部「っ!はは……あったぞ、これだ!」
岡部「じいさんが大切にしていた呪いの儀式書……」
岡部「こうなったら、悪魔に魂でも売ってやる……」
岡部「魔方陣は……ふぅ、これで完成だ」
岡部「あとは……呪文を唱えるだけか」
岡部「頼むぞ、神様。いや悪魔でもいい。俺の願いを聞いてくれ……」
岡部「まゆりを助けてくれ……!!」
…………
岡部「汝三大の言霊を纏う七天、」
岡部「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
キィイイイイイッ!
岡部「う、うお!?」
岡部「は、はは……」
岡部「まさか本当に……?」
?「我を呼び、我を求め、キャスターの座を依り代に現界せしめた召還者……」
キャスター「貴殿の名をここに問う」
キャスター「其は、何者なるや?」
岡部「フフ……フゥーハッハッハッハっ!!」
岡部「俺の名前は、鳳凰院、鳳凰院凶真だっ!!」
キャスター「宜しい。契約は成立しました」
キャスター「貴殿の求める聖杯は、私もまた悲願とするところ」
キャスター「かの万能の釜は必ずや、我らのてに、」
岡部「……聖杯?」
岡部「聖杯とはいったいなんだ?」
岡部「そ、そんなことはどうでもよいのだ!」
岡部「おい、あんた、っと……名前はなんと言うのだ?」
キャスター「名前、ですか。そうですね……」
キャスター「ではひとまず『青髭』とでも名乗っておきましょうか」
岡部「で、では、『青髭』さん!俺の願いを俺の願いを叶えてくれるんだよな?」
キャスター「……はて?」
キャスター「……話を聞いたところ、ですが」
キャスター「その娘は、運命の楔にとらわれているようですね」
岡部「な、なに?それじゃいったいどうすればいいんだ!?」
キャスター「何はともあれ、実際にその娘を見てみないことにはなんともいえませんな」
岡部「わかった。これからラボに行こう」
キャスター「ふむ……あぁ、その前に、少し腹ごしらえをしていきたいのですが……」
岡部「す、すまん!急いでいるんだ。ラボについてからではダメか?」
キャスター「……凶真がそういうのでしたら、我慢しましょう」
岡部母「……いやね、寒気がするわ」
ガチャッ
岡部「……まゆりっ!」
ダル「お、オカリンどこに行ってたん?携帯もつながらんし」
紅莉栖「みんなでこれからお祝いするってのに、ラボメンNo.1さんはどこをほっつき歩いて、っ!?」
キャスター「……」ギョロリ
紅莉栖「な、なんだか個性的なお客様をつれてきたわね……」
ダル「え、でかすぎだろjk!?」
まゆり「オカリンにこんなおっきなお友達がいたんだね~」
岡部「まゆり!いるじゃないか!!」
キャスター「……なるほど。この娘ですね」
岡部「ど、どうだ?」
キャスター「思ったとおりですね。この娘の死は宿命づけられているようです」
岡部「それであんたには、な、なんとかできるのか?」
キャスター「ふむ。さすがの私でもこれに干渉するのは骨が折れる」
岡部「な、なんだって?」
キャスター「せめて……10年か20年、それだけの準備期間があればなんとかできたかもしれませんが……」
岡部「そ、そんな……!まゆりが死ぬのは、今日なんだぞ!!」
キャスター「…………」
岡部「ウソだ……悪魔に魂を売っても、それでも助けられないのかよ……!!」
キャスター「いえ、助けることはできますよ」
岡部「……え?」
キャスター「聖杯を手に入れればいいのです」
岡部「な、なんだって?」
キャスター「聖杯戦争。そこで勝利をつかむことができれば、あなたの願望を叶えることなど造作もないことです」
岡部「聖杯戦争……だと?」
キャスター「あなたは面白いですね。私を呼び出したというのに聖杯のことを知らないとは……」
キャスター「右手を御覧なさい」
岡部「……あ、な、なんだこれは!?」
キャスター「令呪ですよ。聖杯戦争における参加資格のようなものです」
岡部「れ、令呪……?」
キャスター「簡単な話ですよ。この娘を助けるためには、戦って、勝てばよいのです」
岡部「戦う……お、俺が?」
ダル「さ、さっきからなに言ってるか全然わからんお」
紅莉栖「禿同」
岡部「ちょ、ちょっと待ってくれ!その聖杯戦争とやらはすぐに終わるものなのか?」
岡部「こうしている間にもまゆりが……」
キャスター「ご心配なきよう。死の運命を変えることはできませんが、」
キャスター「当面の間は、私がなんとかしましょう」
ガチャッ!!
ラウンダー「動くなっ!」
ダル「お?」
紅莉栖「え?」
岡部「くそっ、また……!」
キャスター「それに、」
キャスター「腹ごしらえの約束がまだでしたからね……」ギョロリ
ラウンダー「……え?」
萌郁「なに……これ……」
ラウンダー「ひぃいいいいいいっあが!?」
ラウンダー「うわぁぁぁばけものぉっ!!」
萌郁「なんなの……!?」
キャスター「本当はもっと若いほうがよいのですがね……」
キャスター「……おや?」ギョロリ
萌郁「ひっ……」
キャスター「これはこれは……お綺麗なお嬢さんだ」
萌郁「やめて……来ないで……」
キャスター「怖がる必要はありませんよ?」
キャスター「後ろに出口があるではありませんか。どうぞお逃げなさい」
キャスター「私のしもべたちが、あなたに襲いかかる前に、ね……」
萌郁「う、うぅ……」
ラウンダー「がががあがっや、やめ、ぐげっ……」
萌郁「い、いや……!!」
ダッ
キャスター「……フフ」
萌郁「……え?」ゾワッ
萌郁「あ、あ、あ……いやあぁぁぁぁぁぁあがっ!!」
ガキャガゴ、ゴクン
キャスター「……最高ですね。瑞々しく新鮮な恐怖と死の味!!」
紅莉栖「うっ、お、おぇえええっ!!」
ダル「あ、あ……」
まゆり「…………」
ダル「まゆ氏、しっかり……!」
キャスター「ご心配なく。ただ気絶しているだけです」
ダル「は、はい……」
岡部「まゆりは……生きているのか?」
岡部「フフ……ハハハ……」
岡部「俺があれだけ苦しめられた、ラウンダーを、いとも、簡単に……!!」
岡部「COOL!最高だ!超COOLだよあんた!」
キャスター「喜んでいただければなによりです……」
岡部「フゥーハッハッハッハッ!!」
岡部「いいだろう、この鳳凰院凶真、聖杯だかなんだか知らんが、あんたについていこう!!」
岡部「そして、必ずやまゆりを救ってみせよう!!」
キャスター「……ふむ。これはいよいよ、我が悲願の達成に期待が持てそうです」
岡部「フゥーハッハッハッハッ!!」
…………
紅莉栖「……あ、あれ?」
紅莉栖「私、なんで倒れてるんだろ?」
まゆり「あ、クリスちゃん……」
ダル「やっと起きた……」
紅莉栖「橋田?まゆり?なに、あれ、私たちって……?」
ダル「わかんない。たしかお祝いパーティーを集まってやろうって話で、」
ダル「なぜかそこからの記憶がないんだお。もしかして、牧瀬氏も?」
紅莉栖「そうね……。脳科学専攻としては非常に興味深い状況ではあるのだけれど、それより」
紅莉栖「岡部はどこ?あいつだけ見当たらないわね」
ダル「……何よりもオカリンが大事ってことですね、わかります」
紅莉栖「ばっ、ち、ちが!!」
まゆり「オカリンはラボにはいないみたいなのです」
まゆり「どこに行っちゃったのかなぁ……」
岡部「お、おい!ちょっと待ってくれ!」
岡部「『青髭』!あんたその子になにするつもりだ!?」
綯「…………」
キャスター「……まだまだ私は満たされておりませんので」
岡部「ってことは、まさか、あんた綯を食う気か!?」
キャスター「そのつもりですが?」
岡部「ば、バカなことを言うな!!ラウンダーたちならともかく、」
キャスター「しかし……貴殿は魔術師としては到底他のマスターたちには及びませぬ」
キャスター「私が聖杯戦争において十全の働きを見せるためには、たくさんの子供の生贄が不可欠であります」
岡部「こ、子供の生贄……!?」
岡部「だ、ダメだ!!そんなことは俺が許さん!!」
キャスター「……困りましたね」
キャスター「しかし、そうでもしなければ、聖杯戦争に勝つのは難しくなりますぞ」
キャスター「まゆり、といいましたか?あの娘を救うのではなかったのですか?」
岡部「う……だ、だが、」
ブラウン「……!?おい、お前ら!うちの綯をどこにつれてくつもりだ!?」
岡部「あ、み、ミスターブラウン……こ、これは、」
ブラウン「て、てめぇなんだこの野郎!?でけぇ図体しやがって、汚ぇ手で綯に触るんじゃねぇ!!」
キャスター「…………」
ブラウン「岡部、この変態はお前の仲間か!?見損なったぞ!」
キャスター「騒々しいですね」ギョロリ
ブラウン「…………あ」バタン
岡部「ミ、ミスターブラウン!?おい、あんた、」
キャスター「眠らせただけですよ。それで、どうするのですか?」
キャスター「貴殿がお許しになるのであれば……この不細工な男も、永遠の眠りにつかせることになりますが」
岡部「う、ぐぐぐ……」
岡部「(……やむをえないのか?)」
岡部「(俺はまゆりを救うために全てを犠牲にすると誓ったではないか)」
岡部「……や、」
?「……待って!!」
岡部「な、す、鈴羽?」
鈴羽「早まらないで岡部倫太郎。店長や綯ちゃんや、他のみんなを犠牲にする必要なんてない」
鈴羽「それ以外にも、聖杯戦争に勝つ方法はある」
岡部「……え?」
岡部「鈴羽?お前、どうして……?」
鈴羽「岡部倫太郎。落ち着いて聞いてね」
鈴羽「私はね、実は未来から来たんだ」
鈴羽「あなたを、聖杯戦争に勝たせるために」
岡部「な、なにぃ!?」
岡部「お前、どうして聖杯戦争のことを……いや、それより未来から来ただと!?」
鈴羽「そう……私は、未来を、過去を変えに来たんだ」
鈴羽「魔術師が支配する、最悪な2036年の世界を、変えるために」
岡部「ど、どういうことだ……?」
鈴羽「岡部倫太郎……君はやっぱり罪のない人々を殺すことなんてできない」
鈴羽「その結果、君のサーヴァントは力を発揮することができず、敗退する」
岡部「……!?」
鈴羽「君は命だけは助かることができるんだけど……当然、椎名まゆりは死んでしまう」
鈴羽「それだけじゃない……もし君が勝たなかったら、世界はある一人の魔術師の支配下に置かれてしまうんだ!」
岡部「な、なんだと……?」
鈴羽「君は絶対に聖杯戦争に勝たなきゃいけない。椎名まゆりのためにも、世界のためにも……」
キャスター「……なにやら興味深い話ですね」
キャスター「よくわかりませんが、このままでは私の悲願を達成できないというわけでしょうか?それは困りますね」
岡部「お、おい鈴羽!いったい俺はどうすればいいと言うのだ!?」
鈴羽「勝つためにはなにより、キャスターの魔力を万全にしなきゃいけない」
鈴羽「そのために……未来から、これを持ってきた」
岡部「な、なんなのだこれは?」
鈴羽「……未来ガジェット127号機『運命探知の魔眼(リーディング・シュタイナー)X』」
鈴羽「世界戦を越えて、魔力を調達する未来ガジェットだよ」
岡部「なに!?」
キャスター「……ほう」
キャスター「世界戦……聞きなれない言葉ですが、ようは平行世界のようなものでしょうか」
キャスター「なるほど……この道具は平行世界に干渉することができるのですね」
岡部「な、なんだって?世界線?平行世界?いったいなんだそれは!」
鈴羽「簡単に言えば、この世界とは違う世界があると思えばいいよ」
鈴羽「そこに行って、キャスターに魔力を思う存分集めてきてもらえばいい」
鈴羽「そうすれば、この世界戦では誰の犠牲を出す必要もない」
キャスター「なるほど!それは素晴らしい!!」
岡部「ま、待ってくれ」
岡部「それは、つまりこの世界とは別の世界では、誰かが犠牲になるのではないのか……?」
鈴羽「……岡部倫太郎。君ならそう言うと思ったよ」
鈴羽「でもね、決断しなくちゃいけない」
鈴羽「君が決断しなければ、椎名まゆりは救えない」
岡部「……っ」
キャスター「凶真。約束しましょう」
キャスター「たとえ他の世界であっても、あなたの大切な人たちを傷つけることはしない、と」
岡部「……青髭」
キャスター「私の力を信じてください、凶真。必ずや聖杯をあなたの手に入れてさしあげよう」
キャスター「どうか、ご決断を……我が主よ」
岡部「……わかった」
岡部「頼む……」
鈴羽「岡部倫太郎……」
キャスター「……フフ」
鈴羽「じゃあ、はい」
岡部「む、なんだ?なぜ俺にわたす?」
鈴羽「運命探知の魔眼(リーディング・シュタイナー)X は君にしか発動できないからね」
岡部「そ、そうなのか?しかしどうやれば……?」
鈴羽「大丈夫。難しいことじゃないから。キャスターに意識を集中させて」
岡部「む、う……!」
キィィィィィン
…………
キャスター「……おや。ここが別の世界線とやらでしょうか?」
綯「……あ、あの、」
綯「お、おじさん、お客さんですか?」
キャスター「…………」ニヤァ
綯「ひぁ……なに、やめ、やっ……」
綯「ああああああががががががっ!!」
キャスター「…………」ゴクン
キャスター「ふむ、実に美味」
ブラウン「て、て、て……」
ブラウン「てめえええええええええええ!!」
キャスター「……おや?」
キャスター「先ほどはどうも。大変美味でしたよ、貴殿のお嬢さん」
ブラウン「うがあああああああっ!!」
キャスター「……冗談ですよ。お嬢さんなら、貴殿の後ろにいるではありませんか」
ブラウン「え、あ、綯!?」
綯?「…………」
ブラウン「綯!よかった……あ、?」
バクンッ!
キャスター「…………フフフッ!!」
キャスター「実に、実にぃぃぃぃっ!!」
キャスター「素晴らしい!!私を止めるものはなにもない!」
キャスター「この世界!!まさに理想郷!!」
キャスター「……いえ、それには我が聖女の復活が不可欠ですね……ふふ、私としたことが」
キャスター「はて?そういえば凶真となにか約束がした気がしましたが……」
まゆり「ジューシーからあげナンバワン♪ワン!」
キャスター「……気のせいですね」
まゆり「……あのぉ、ブラウン管工房のお客さんですか?」
まゆり「店長さん、お客さんだよ~!……あれ、いないのかなぁ?」
キャスター「……いえいえ、私の用向きはこちらにはありませんぞ」
まゆり「はい?」
キャスター「未来ガジェット研究所、でしたでしょうか?」
キャスター「この建物の二階に招き入れてもらえますか?」
まゆり「え、え?ラボのお客さん!?」
まゆり「ど、どうしよう?オカリンいいって言うかなぁ?」
まゆり「あの、まゆしぃちょっとオカリンに聞いてこなくちゃ、」
岡部「おい、どうした?」
まゆり「あ、オカリン~」
まゆり「この人、オカリンのお友達、なんだかラボに御用が、あ……」バタッ
岡部「ん、おい、まゆり!?いったいどうし、あ……」バタッ
キャスター「……ふむ。娘はともかく、凶真を殺すのはまずいでしょうか?」
キャスター「眠らせておくのがよいですね」
キャスター「……さて」
キャスター「未来ガジェット研究所……どうやら、凶真は皆に好かれているようだ」
キャスター「……ふむ。よい考えが浮かびました」
紅莉栖「……ちょっと、どうかしましたか?」
キャスター「……おや」
紅莉栖「そこに立たれると入り口がふさがれ、……あ」キィン
紅莉栖「あ、お、岡部!?あ、あんたなんて格好してんのよ?」
キャスター「変でしょうか?」
紅莉栖「当たり前じゃない!!趣味悪すぎでしょ?いつの時代よ!」
キャスター「…………」
キャスター「私から見れば、貴殿の格好も少々風変わりに思えますが」
紅莉栖「あ、あんたもいつも白衣だろうが!!今日のお前が言うなスレはここですか!?」
キャスター「……?」
紅莉栖「……あ、み、見るな!岡部のくせにそんな目で見るな!!」
キャスター「……貴殿の言うことはよくわかりませんな」
紅莉栖「……ぷっ!ちょ、え?何ですか今の?」
紅莉栖「貴殿て!いつから貴族設定まで追加されたんですか鳳凰院さん」
紅莉栖「もしかしてその妙ちくりんな恰好もキャラ作り?」
紅莉栖「厨二病乙!!」
キャスター「(……やっぱりよくわかりませんね)」
キャスター「さておき、研究所に戻りませんか?立ち話もなんですし」
紅莉栖「だからそのしゃべり方やめろっつーの」
キャスター「……しゃべり方?私の言葉づかいはそんなにおかしいでしょうか?」
紅莉栖「はいはい、そういうのもういいから」
キャスター「よくはありません。この時代に適応することも必要ですからね」
紅莉栖「……今日はしつこいわね。そんなに言うなら勝手にやってれば?」
キャスター「……ふむ、そうですか」
キャスター「では失礼しますね……」
紅莉栖「……え、ちょ、ちょっと!な、なににじりよってきてるのよ!?」
紅莉栖「あ、バカ、HENTAI!こんなとこじゃだめ、あ……?」ズブリ
紅莉栖「……あ、が?」
キャスター「直接脳の中を拝見させていただきますね」ズブジュブ
紅莉栖「あ、あ、あ、あ、あ、あ……」
キャスター「ふーむ、よくわからないですね。この『ぬるぽ』とはどういう意味なのでしょうか?」
紅莉栖「がっ、がっ、がっ、がっ……」
キャスター「……まっこと難しい」
…………
キャスター「言葉塚使いはともかく、服装はあの白衣に直しましょうか」
ガチャッ
ダル「オカリンおかえり~」
キャスター「……この豚にはあまり食欲はわきませんね」
ダル「ちょっ!?僕オカリンにののしられて喜ぶ趣味とかないから!!」
ダル「あまりの暴言にリアルに吹いたお!」
キャスター「…………」ギョロリギョロリ
ダル「え、無視?元ネタ公開はマダですか?」
キャスター「おや。ここにはもう豚一匹しかいないのですか」
キャスター「あてが外れましたね……」
ダル「え、どういう設定なのこれ……まぁいいやオカリンだし」
ガチャッ
るか「あ、あの……こんにちは」
キャスター「……ほぉ、これは可憐なお嬢さんだ」
るか「え、え!?ぼ、ボクですか!?」
ダル「なんなんだ今日のオカリン。安価スレでも建てたのかお?」
るか「あ、あの……!!ボク、おか、凶真さんにお弁当作ってきて……!」
キャスター「おや、私にですか?それはそれは……」
キャスター「しかし、それではあなたの分がなくなってしまうのでは?」
るか「え?そ、そんなボクはべつに……」
キャスター「いえいえ。腹が減っては戦はできぬ、とこの国では言うらしいではありませんか」
キャスター「そうですね……貴殿には豚の肉を御馳走しましょう」スパッ
ダル「あ、?」ドサッ
るか「あ、あ、」
るか「きゃああああああああっ!!?」
るか「は、は、は、橋田さんっ!!」
キャスター「どうしました、早く召し上がりなさい」
るか「岡部さん!?何を言ってるんですか?橋田さんが……!!」
キャスター「……あぁ。火が通っていなければ気に入りませんか?」
ボッ
ダル「があああああああっ!!」
るか「ああああああああああっ!!」
キャスター「はははは!!そんなに喜んでいただけたら私もうれしいですね!!」
キャスター「ほら、早くお食べなさい!焼きたてのうちに!」
るか「え?……やだ!やめて、来ないで!!おか、うぐっぐぐぐ」
るか「うううううううううっ!!」
……これ誰得なんだ?
るか「おええええええええっ!!」ビチャッ
キャスター「おお、もったいないことを……」
るか「げほ、げほ、おぇ、も、もうやめて……許して……」
キャスター「そうですね、もう一通り遊びましたし」
るか「……え、」
キャスター「いただきます」
バクンッ
…………
キィン
岡部「おお!青髭……魔力は、その、集まったのか?」
キャスター「ええ、それはもう十分に」ニヤリ
岡部「そうか……そうか……」
キャスター「どうか心を痛めないで下さい。凶真の罪ではないのですから」
鈴羽「…………」
キャスター「力がみなぎっています。勝利は見えていますぞ!」
岡部「そうか!ならば、早速他の英霊を倒しに、」
キャスター「……それには及びません」
キャスター「私の座はキャスター。自分から戦いを仕掛けに行くなど上品ではありませんな」
キャスター「まずは、他の陣営の情報集めといたしましょうか……」
岡部「そ、そうか!やはり青髭は頼りになるな!」
岡部「COOLだぞ!」
キャスター「ふふ……おほめいただき恐悦至極……」
アサシン「……どうやら、キャスターが帰還したようですね」
綺礼「そうか……」
時臣「君はどう思う?キャスターの陣営を」
綺礼「初めはとるにたりぬ戦力だと思っていましたが……」
綺礼「この魔力は……」
時臣「……それでもまだ、平均したサーヴァントの実力に追いついた程度だ」
時臣「真に恐れるべきは……彼らが持っている、魔術では測りきれない力の正体だね」
綺礼「あなたでも、わかりませんか?」
時臣「あぁ。あれはむしろ魔術というより……いや、いい」
時臣「警戒し過ぎることはないが、素人マスターだからといって侮らないでいこう」
綺礼「は……」
…………
キャスター「お、おお……!!」
キャスター「これは、我が愛しの聖女、ジャンヌ……!」
岡部「な、なんだどうしたんだ?興奮して……」
キャスター「なんということだ……!!聖杯は既に私の願いを叶えていた……!!」
岡部「お、おい、青髭!?どこへ行くつもりだ?」
岡部「い、行ってしまった……。いったいなんだというのだまったく」
岡部「……青髭のいない間に襲われたら終わりではないか」
岡部「ま、待ってくれぇ!!」
…………
岡部「はぁ……はぁ……」
キャスター「おお……あれはまさしく聖処女ジャンヌ!」
岡部「そ、そうなのか?しかしそのジャンヌさんを復活させるために戦っているのではなかったのか?」
キャスター「お迎えにあがりました!聖処女よ」
岡部「聞いてないな……」
セイバー「な……」
アイリ「セイバー、この人あなたの知り合い?」
セイバー「いや、見覚えはありませんが……」
岡部「お前……忘れられてるぞ」
キャスター「……おおぉ、ご無体な!この顔をお忘れになったと仰せですか!?」
セイバー「知るも何も、貴公とは初対面だ。人違いではないのか?」
岡部「……まぁ、なんだ、そんなに気にせずに、」
キャスター「おお、おおお……!」
キャスター「私です!ジル・ド・レェにて御座います!この私をお忘れになったか、ジャンヌ!」
セイバー「私は貴公の名を知らぬし、そのジャンヌなどという名前にも心当たりはない」
岡部「……え?」
岡部「だ、そうだぞ?」
岡部「人違いだろう、これ」
キャスター「おお、おお……!我が麗しの乙女に、神はどこまで残酷な仕打ちを!!」
岡部「いや、聞けよ」
セイバー「……貴様も武人の端くれならば、尋常に戦いぬいてみせろ」
セイバー「今ここで相手になってやる!」
岡部「おい、青髭!」
キャスター「致し方ありますまい……次は、相応の準備を整えてまいりましょう」
岡部「に、逃げるのか……!」
キャスター「行きますぞ」
岡部「お、おう……」
アイリ「話の通じない相手って……疲れるわよね」
セイバー「えぇ……それにしてもあのマスター、戦場に出るには貧相が過ぎましたね」
アイリ「そうね。まるで魔力を感じなかったわ……でも、」
セイバー「アイリ?」
アイリ「いえ、なんでもないわ」
すまない、飯、風呂、などなどに向かいたい
保守してくれるとありがたい
よろしくお願いしマウス
おそらく一時間ちょいくらいで来れると思う
それでは
保守どうもでした
キャスター「ふぅーっ!ふぅーっ!なんたることだ!まったくなんたることだ!!」
岡部「おい、青髭。俺が思うにだな、あの女の人はまったく無関係の、」
キャスター「ジャンヌ……おお、ジャンヌ!必ずや貴女の魂を解放して差し上げる!!」
岡部「お、おい……」
キャスター「……生贄を集めましょう」ギョロリ
岡部「……な、なにを言っている!?魔力ならもう十分、」
キャスター「準備が必要だと言ったでしょう!!彼女の前にさらなる冒涜を!背徳を!」
キャスター「そうして神威の失墜を示して差し上げるのです!我が聖処女に!」
岡部「ば、バカな真似はよせ!そんなことをしても何も意味は無い!」
岡部「あの子は人違いだと言っているだろう!」
キャスター「そうですか……凶真、あなたも……」
キャスター「凶真……残念ですよ」
キャスター「私の邪魔をするのであれば……少しだけ、眠っていなさい」
岡部「……あ」バタ
キャスター「ジャァアアアアンヌ!今しばらくお待ち下さい!!」
…………
岡部「ん、うむ……」
岡部「は!?青髭は!?はやくあいつを止めないと!」
岡部「あ、あいつが置いていった水晶……こ、これでどこにいるのかわかるか?」
…………
キャスター「お逃げなさい!お逃げなさい!!」
セイバー「この……外道が!!」
岡部「う、おええっ!」
岡部「こ、子供たちが……!!」
岡部「ど、どうしてこんなことに……」
岡部「くそ……認めないぞ……」
岡部「他の世界線で犠牲になった人たちがいるのだ」
岡部「せめて、この世界の住民たちは守らなくては!!」
岡部「もう二度と、世話になることはないと思っていたが……」
岡部「久しぶりにいくぞ!!」
岡部「飛べよおおおおおおぉぉぉ!!」
…………
岡部「う、はぁ……はぁ……」
キャスター「……?どうしました凶真。顔色が悪いですね」
岡部「あ、青髭……お前がご執心の、ジャンヌ、さんだっけか?」
キャスター「……我が聖処女の名前をご存知か。はて……貴殿に申し上げたことがありましたかな?」
岡部「そ、そんなことはどうでもよいのだ」
岡部「そのジャンヌさんは……どんな容姿をしているのだ?」
キャスター「おや……凶真も我が聖処女の美貌に興味があるのですか?」
キャスター「それはもちろん、精錬にして純白の肌。ビロードや絹のようになめらかな御髪」
キャスター「なにより神より賜った究極の美!!おお、ジャンヌ!!」
岡部「い、いやそういうのではなくてだな……」
岡部「具体的にどんな顔なのか見たいのだ」
岡部「なにか絵や写真のようなものはないのか?」
キャスター「は……ジャンヌの尊顔をみだりにお見せしたくはありませんが……」
キャスター「いいでしょう。他ならぬ凶真の頼みですからね」
キャスター「ほ…………」キィン
岡部「おお、これが……ジャンヌさんか……」
キャスター「どうです?美しいでしょう?」
岡部「あ、あぁ……」
岡部「(たしかに美人だが……全然別人じゃないか!!)」
岡部「か、仮にも好きな相手の顔くらいちゃんと覚えておけ……」
キャスター「はて?何か言いましたか?」
岡部「な、なんでもない」
岡部「(しかし、今ここで改めて見たのだからな。もう間違わないだろう……)」
キャスター「さて、私は他のマスターたちの監視に戻りまして……」
キャスター「お、おお……!!」
キャスター「これは、我が愛しの聖女、ジャンヌ……!」
岡部「」
岡部「お、おい!!どういうことだ!!」
キャスター「なんということだ……!!聖杯は既に私の願いを叶えていた……!!」
岡部「だから話を聞けぇぇぇぇええ!!」
岡部「飛べよおおおおおぉおおぉお!!」
…………
岡部「……どういう頭の構造をしているんだお前は!!」
キャスター「どうして私は非難されているのでしょうか、凶真?」
岡部「ジャンヌ!!聖処女ジャンヌの映像を出してくれ!今すぐ!」
キャスター「突然どうしたのですか?まぁ凶真になら構いませんが……」
岡部「これだ!そうだ!うん、この顔だな、ジャンヌは!」
キャスター「はぁ……」
岡部「大丈夫だな!ちゃんとジャンヌの顔は覚えたな!」
キャスター「はぁ?私がジャンヌのご尊顔を忘れるわけがないでしょう」
キャスター「まったく……私は他のサーヴァントたちの監視に戻りますよ」
キャスター「お、おお……!!」
キャスター「これは、我が愛しの聖女、ジャンヌ……!」
岡部「なんでだよ!!」
キャスター「なんということだ……!!聖杯は既に私の願いを叶えていた……!!」
岡部「飛べよおおおおおぉおおぉお!!」
…………
岡部「お前の目は節穴だ」
キャスター「は……?」
キャスター「おおジャンヌ!今すぐお迎えに参りますぞ!!」
岡部「また行ってしまった……」
岡部「どうしてあいつは、勘違いをやめようとしないんだ……」
岡部「……疲れた。少し休もう」
ガチャ
紅莉栖「あ、岡部……」
岡部「助手か……」
紅莉栖「……最近、あんたあんまりラボに来ないじゃない」
紅莉栖「何かあったの?」
岡部「はは……心配してくれたのか?」
紅莉栖「な、馬鹿じゃないの!?そんなんじゃないし!」
岡部「気にするな。助手は助手らしく臀部のモウコハンでも気にしていればよいのだ……」
紅莉栖「そんなもんない!助手でもないわ!」
岡部「……ありがとうな」
紅莉栖「……岡部」
紅莉栖「あんたもしかして……あれ、使ったんじゃないの?」
岡部「……!?」
岡部「な、なぜわかった!?」
紅莉栖「わかるよ……タイムリープマシンを作ったのはわたしだもの」
紅莉栖「……それに、岡部のこと……だし」
岡部「……え?」
紅莉栖「な、なんでもない!」
紅莉栖「最近の岡部……なにかにすごいまいってるみたい」
紅莉栖「見ていられないのよ。あんたのそばにいる身としては」
紅莉栖「……ねぇ、なにがあったの。話してよ」
紅莉栖「私、岡部の力になりたいの」
岡部「紅莉栖……」
岡部「これから俺が話すことを、信じてくれるか?」
紅莉栖「……当たり前じゃない」
岡部「そうか……そうか」
岡部「紅莉栖……俺は、助けて欲しいんだ」
…………
紅莉栖「ちょ、ちょっと待って!」
紅莉栖「え、なに?まゆりがどう頑張っても救えない、ってところまではわかったんだけど」
紅莉栖「聖杯戦争?サーヴァント?ジャンヌ?なにそれ、どうなってんの?」
岡部「信じてくれると言ったではないか!!」
紅莉栖「い、いや、疑ってるんじゃなくて、急すぎて展開についていけないというか……」
紅莉栖「脳がパンクしそう……」
岡部「ぬぁぜだ!?貴様は天才変態美少女科学者ではなかったのか!?」
紅莉栖「ちょ、ちょっと待ってよ……いま、つっこむ余裕もないんだって」
紅莉栖「なんなの……?魔法?それってなに?そもそも、科学者の私が魔法なんて認めていいのか?」ブツブツ
岡部「助手……」
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