櫻子「君が好きだと叫ばせたい」(180)
櫻子「やばい」
櫻子「気付いた」
櫻子「気付いちゃった」
櫻子「ていうか、なんで今まで気付かなかったんだろ」
櫻子「……」
櫻子「私、向日葵のこと好きだ……!」
櫻子「……」
櫻子「うわ、うわうわうわうわ……っ!?」カァァァァァァッ
櫻子「なにこれやばい、なんかいきなり顔が熱い!」
櫻子「どーしよ、もうすぐ向日葵戻ってくるのに……!」
櫻子「こんな顔、恥ずかしくて向日葵に見せらんない!」
櫻子「な、なにか……なんか、顔を隠すもの……!」キョロキョロ
櫻子「!」
櫻子「あ、あかりちゃん! あかりちゃーん!」
ガラッ
向日葵「ふぅ、お手洗いが混んでて危うく授業に遅れる所でしたわ……櫻子、お待ッ」ビクッ
櫻子「……」シュコー
向日葵「……」
櫻子「……」シュコー
向日葵「さ、櫻子……?」
櫻子「なに?」シュコー
向日葵「なんですの、その……ホッケーマスク」
櫻子「あかりちゃんから借りた」シュコー
向日葵「な、なにゆえ……」
櫻子「向日葵には関係ないでしょ」シュコー
向日葵「ええ……たしかに、あまり関わり合いにはなりたくありませんけど……」
櫻子「……」シュコー
キーンコーンカーンコーン♪
櫻子「やべーーーーーーーーーーーー!」ブハッ
櫻子「やばいやばいやばいやばい、向日葵が可愛いすぎる!」
櫻子「なにあれ反則じゃん! ルール違反の可愛さじゃん!」
櫻子「チャイムと同時に教室を飛び出さなければ今頃……」ゴクリ
櫻子「……」
櫻子「でもどうしよう……向日葵のこと好きだって気付いただけでこんなに大変なんて……」
櫻子「私、死んじゃう? 向日葵の可愛さに殺されちゃう?」
櫻子「……」
櫻子「な、なんとかしないと……!」グッ
櫻子「でもでも、なんとかってなんだろ……どうすれば……」
櫻子「……」
櫻子「向日葵に……告白?」
櫻子「告白とか……しちゃう?」
櫻子「………………」
櫻子「むりーーーーーーーーーーーー!」バタッ
櫻子「むりむりむりむり! ぜーったい、むり!」ジタバタジタバタ
櫻子「向日葵のこと好きすぎて顔も合わせらんないのに、ここ、告白とかー!」
櫻子「死ぬっ、それこそ死んじゃう!」
櫻子「あああでも今の状況をどうにかしないと向日葵が可愛くて私は死ぬ!」
櫻子「!?」
櫻子「どっちみち死んじゃうじゃないですかーやだーーーーーーーーーー!」
櫻子「死にたくなーい! 死にたくなーーーーーい!!」
ギャーギャー
「話は聞かせてもらった!」ザッ
櫻子「!?」
「フフフ……」
櫻子「あ、あなたは……!」
京子「美少女だと思った? 残念、超美少女の歳納京子ちゃんでした!」☆(ゝω・)vキャピ
櫻子「歳納先輩!!!」
京子「おいっすちっぱいちゃん」
櫻子「おいっすです歳納先輩」
京子「うむ、挨拶も済んだし改めて……話は聞かせてもらった!」
櫻子「えっ!? ま、まさか盗み聞きを……ひどい!!」
京子「いや、そのへん歩いてたら普通に聞こえてきたんだけど。ちっぱいちゃん声でっかいんだもん」
櫻子「あちゃー」アチャー
京子「んで、ちっぱいちゃんおっぱいちゃんが好きなんだって?」
櫻子「え、はい!!!」
京子「いい返事だ! 自分の気持ちに素直になるのは大事だよー」ウンウン
櫻子「おぉーっ! 先輩、なんか先輩っぽいです!」
京子「そうだろうそうだろう。なにせワタクシこと歳納京子は……キミの先輩だからね!!!」クワッ
櫻子「な、なんだってー!!!」
京子「……」
櫻子「……」
京子「まあそれは置いといて」ヒョイ
櫻子「はい」
京子「ちっぱいちゃん的にはどうしたいの?」
櫻子「どう……って言いますと?」
京子「さっきは告白しないと死ぬとか言ってたけど」
櫻子「はい、死にます」
京子「そうなんだ怖い」
櫻子「ちなみに告白しても死にます」
京子「なにそれ詰んでんじゃん」
櫻子「はい。どーしましょー先輩?」
京子「そんなの簡単じゃないか」
櫻子「えっ」
京子「こんとんじょのいこ」
櫻子「えっ」ナリ
京子「告白しないと死ぬ。告白しても死ぬ。なら……」
櫻子「なら……?」ゴクリ
京子「おっぱいちゃんの方から告白させればいいんだよ!!!」クワッ
櫻子「!!!!!!!!!!」ピシャーン
京子「さあ……イメージしろ!」キリッ
櫻子「!?」
京子「ちっぱいちゃんへ愛の言葉を叫ぶおっぱいちゃんの姿を!」キリリッ
櫻子「!!?」
櫻子「……」モンモンモン
~妄想中☆~
向日葵「櫻子……私、櫻子のことが好き! 大好きですわ!」
向日葵「櫻子ー! 愛してますわ! あなたに夢中ですの! 櫻子おおおおおおおおお!」
向日葵「櫻子の為にこれから毎日ステーキを焼こうぜ?」
向日葵「I'm lovin' it」
向日葵「櫻子ー! 私ですのー! 結婚してくださいましー!」
向日葵「結婚した! 私は櫻子と結婚しましたわ!!!」
~ 終 了 ~
櫻子「」ダバー
京子「フフフ……イメージ出来たようだね」
櫻子「はい……! いいです、すっごくいい!」キラキラーッ
京子「だったら早速明日から作戦開始だよ!」
櫻子「はいっ、歳納先輩!」
京子「ちっちっちっ。これからは私のことを先輩ではなく、師匠と呼ぶのじゃ」
櫻子「えっなんでですか」
京子「ノリじゃよ」
櫻子「ノリですか! 私ノリ弁好きです、師匠!」
京子「わしもじゃよ!」
櫻子「師匠!」
京子「弟子よ! 明日から頑張るぞーっ、」
「「おーっ!」」
~翌日~
京子「告白に大事なのはムード作り!」
櫻子「ふむふむ」
京子「学校で告白に向いてる場所といえば、やっぱり体育館の裏!」
櫻子「おおっ、それっぽいです!」
京子「本当は伝説の木とかあったら手っ取り早かったんだけどねー」
櫻子「でんせつ……?」
京子「まぁいいや。で、今日はそこにひまっちゃんを呼び出してみよう」
櫻子「向日葵を?」
京子「そ。罠とも知らずにノコノコと体育館裏にやってきたひまっちゃんを……」ニヤリ
櫻子「向日葵を……?」ゴクリ
京子「殺ります」クイッ
櫻子「殺るんですか!?」
京子「ウソです」キリッ
櫻子「ウソなんですか!?」
京子「冗談だよ冗談。ほんとは、ちっぱいちゃんにもおっぱいちゃんと同じように呼び出されたという設定で体育館裏に向かってもらいます」
櫻子「へ? なんで私も? ていうか、私が呼び出せばいいんじゃないんですか?」
京子「それじゃダメダメ。だって、あくまで告白するのはひまっちゃんの方なんでしょ?」
櫻子「はい」
京子「なのにちっぱいちゃんがおっぱいちゃんを呼び出しちゃったら、まるでちっぱいちゃんから告白するみたいじゃん」
櫻子「!」
京子「ちっぱいちゃん、告白できる?」
櫻子「むむっ、むりです、死にます……!」ワナワナワナ
京子「ね。だからこそ、ふたりとも知らない誰かに呼び出されたっていう設定が必要なのだよ」
櫻子「な、なるほどー……?」
京子「さあ我が弟子よ、イメージするのじゃ」
櫻子「お、押忍!」
京子「放課後、夕暮れの体育館裏……」
櫻子「……」フム
京子「そこでバッタリ顔を合わせるおっぱいちゃんとちっぱいちゃん……」
櫻子「……」ホホウ
京子「知らない誰かに呼び出されたらしいちっぱいちゃんを見て、おっぱいちゃんは焦ります」
櫻子「……」ンー
京子「『このままジャ、私の櫻子が泥棒猫にとられちゃウッ!(裏声)』」
櫻子「!」
京子「居ても立ってもいられなくなったひまっちゃんは、自分も誰かに呼び出されたことなど忘れて言うのです」
櫻子「……」ゴクリ
京子「『櫻子……キミの瞳に、おっぱい』」キラーン
櫻子「!!!」ズキューン
京子「こうしてふたりは結ばれ、末永ーく幸せーに暮らしましたとさ。めでたしめでたし!」
櫻子「す、すごい……すごすぎる! 完璧じゃないですか!」
京子「はっはっは。じゃなかった、ふぉっふぉっふぉ。同人活動を嗜む者として、これくらい給食前じゃよ」
櫻子「これなら、向日葵の奴も絶対に告白してきますよね!」
京子「間違いないね!」
櫻子「師匠、私やります! やってみせます!」
京子「よくぞ言った我が弟子よ!」
キーンコーンカーンコーン♪
櫻子「あっ予鈴」
京子「それじゃあ続きは昼休み、娯楽部の部室でね!」
櫻子「はーいっ!」
有馬温泉
キーンコーンカーンコーン♪
櫻子「う~娯楽部娯楽部」
櫻子「(今、娯楽部を求めて全力疾走している私は女子中に通うごく一般的な女の子)」
櫻子「(強いて違うところをあげるとすれば、向日葵が大好きてとこかナ――名前は大室櫻子)」
ガラッ
櫻子「そんなわけで元茶道部室である娯楽部の部室にやって来たのだ!」
京子「いらっしゃーい」
櫻子「師匠、おまたせしましたー!」
京子「んじゃ早速ひまっちゃんを呼び出す方法を決めよっか」
櫻子「押忍!」フンス
京子「まずメールは論外だよね。一発でバレちゃうし」
櫻子「ですねっ」
京子「となるとー……あとは、人に頼むとか?」
櫻子「あっ、いいかも!」
京子「あーでも、情報漏洩は心配かなぁ。人の口に戸は立てられないって言うしね」ウーム
櫻子「……ちょっと師匠!」
京子「ん?」
櫻子「いきなり外国語とか喋んないでくださいよ! ビックリするじゃないですか!」プンプン
京子「へ? ああ、うん……ごめん?」
櫻子「わかってくれたならいいですけどっ」
京子「……」
櫻子「で、他に方法ってないですかね?」
京子「さ、一番ベタな手紙とか? やっぱ呼び出しってったらラブレターっしょ!」
櫻子「うーん……手紙ですか……」
京子「あり、乗り気じゃなさげ?」
櫻子「はい……たぶんですけど、向日葵なら私の字ってわかると思うんですよ」
京子「マジか」
櫻子「マジです。私も向日葵の字なら一発で見分けられますし」
京子「そう言われてみると私も結衣の字わかるや」
櫻子「あるある」
京子「あるある」
櫻子「あ゛ー、手紙もダメならどーすればー……?」ウググ
京子「……」フム
京子「!」ピコーン
櫻子「師匠?」
京子「字で誰かわかるなら、誰かわからない字で書けばいいじゃない!」
櫻子「は?」
京子「字だよ字。手書きじゃなくて、印刷された字!」
櫻子「!」
京子「古新聞を集めれば文章なんて簡単に作れるよ!」
櫻子「うわー! 師匠すごい! 流石!」
京子「」フフン
櫻子「じゃあじゃあ、さっそく古新聞もらってきます!」
京子「おー。車に気をつけるのよー」
櫻子「はーい!」ダダッ
京子「……まあ、学校の敷地内なんだけどね」
ワイワイキャッキャッ
櫻子「師匠師匠、「た」ってあります?」
京子「えーっと……カタカナの「タ」なら。ほい」
櫻子「ありがとうございます。これが、ここに……っと」ペタペタ
京子「できたー?」
櫻子「もうちょっとですー。……でもなぁ」
京子「お?」
櫻子「なーんか……なんか、もう少し足りてない感じが……」
京子「てやんでい」
櫻子「もっとこう、読んだ向日葵が必ず体育館裏に飛び込んでくるような文章を……」
京子「口から出任せで「大切な物を預かっている」ぐらい書いてみたら?」
櫻子「天才あらわる」
京子「よせやい照れるぜ」ヘヘッ
ワイワイキャッキャ
駆け抜け過ぎた。20分ぐらい寝かして……
キーンコーンカーンコーン♪
京子「あ、予鈴だ」
櫻子「っ出来たー!」
京子「おおっ!」
櫻子「師匠! おかげさまで立派な手紙が出来ました!」
京子「うむうむ。あとは放課後にそれをひまっちゃんの下駄箱に突っ込むだけだね!」
櫻子「押忍!」
京子「それじゃあ解散!」
櫻子「押忍! 見てろよ向日葵ー!」フンス
キーンコーンカーンコーン♪
向日葵「あら? なにかしら、私の下駄箱に……」
向日葵「これは……手紙? いったい誰が……」ガサガサ
『オ/前の/大切な/モノ/は/預/か/っ/タ/』
『返/シ/て/欲し/け/レバ/体育/館/裏/ニ/来/い』
向日葵「」
コソコソ
京子「作戦が上手く行ってれば、ひまっちゃんはここに現れるはず」コソッ
櫻子「そしたらタイミングを見計らって私が出ていくんですねっ」コソッ
京子「さよう」コソッ
タッタッタッタッタッ...
「「!」」
向日葵「はあ、はぁ、はあっ……!」
櫻子「ひ、向日葵だ! 可愛いいいいいい」コソッ
京子「重症だなぁ」コソッ
向日葵「……っ!」キョロキョロ
櫻子「キョロキョロしてます師匠! キョロキョロしてる向日葵も可愛い!」コソッ
京子「どうやら作戦は順調のようだね。あとは……」
向日葵「――」
向日葵「出てきなさい! 卑怯者!!」
「「!?」」
向日葵「どこの誰だか知りませんが……」
向日葵「あんな手紙を寄越して、いったいどういうつもりですの!?」
向日葵「私に用があるのなら、きちんと名を明かして姿を見せなさい!!」
向日葵「それも出来ずに、『大切なものは預かった』? この恥知らず!」
向日葵「なんなんですの……? 私達になんの恨みがあって、こんなこと……!」
向日葵「……」
向日葵「……返してよ」
向日葵「楓を返してぇっ!!」
櫻子「」
京子「」
向日葵「楓、楓はどこですのっ……!?」
櫻子「……」
京子「……」
櫻子「師匠、師匠!」コソッ
京子「なんだい弟子よ」コソッ
櫻子「可愛い向日葵が何を言ってるのか全然わかりません!」コソッ
京子「奇遇だね、私もだよ」コソッ
櫻子「なんでここで楓の名前が出てくるんだろ……?」コソッ
京子「てゆーか楓って誰?」コソッ
櫻子「向日葵の妹です」コソッ
京子「へー」コソッ
櫻子「告られついでに向日葵から借りっぱだったボールペン返すチャンスだと思ってたのになぁ……」コソッ
京子「なんか雲行きが怪しいね、今日のところは煙に巻こっか」コソッ
櫻子「むねん……」コソッ
向日葵「楓、楓! 出てきて楓ー!!」
京子「さて、取り出だしたるは何の変哲もないヘリウムガス」コソッ
櫻子「ほうほう」コソッ
京子「吸います」シュコーーーーー
櫻子「それでそれで」コソッ
京子「……こホンッ。ァ、アーアーアー」カンダカイコエ
櫻子「?」
京子「フフフ……」カンダカイコエ
向日葵「!」
京子「ハーッハッハッハッハッハ!」カンダカイコエ
向日葵「誰!?」キョロキョロ
京子「私ノ名ハ怪盗トシノー!」カンダカイコエ
向日葵「か、怪盗トシノー!?」
京子「イカニモ」カンダカイコエ
向日葵「まさか、あなたが楓を!?」
京子「イカニモ」カンダカイコエ
向日葵「か、返して! 楓は、私の大切な妹ですの! あの子を返してくれるなら、私はなんでも……!」
京子「ヨカロウ」カンダカイコエ
向日葵「へっ?」
京子「君ノ妹ハ開放シヨウ。君ガ家ニ帰ル頃ニハ全テヲ忘レテ普通ニ振舞ッテイルダロウ」カンダカイコエ
向日葵「ほ、本当ですの……?」
京子「本当ダトモ。妹ガ大切ナラバ、コレカラモ姉妹仲良クスルコトダナ……サラバ!」カンダカイコエ
タッタッタッタッタッ...
向日葵「あっ、足音が遠ざかって……声も……」
向日葵「……」
向日葵「怪盗トシノー……いったい何者でしたの……?」グヌッ
櫻子「(可愛い)」
キーンコーンカーンコーン♪
櫻子「(今日も師匠と作戦会議だ!)」ガタッ
向日葵「さ、櫻子」
櫻子「!」ピクッ
向日葵「……」
櫻子「……」シュコー
向日葵「ホッケーマスク、まだ取りませんのね……」
櫻子「う、うん」シュコー
向日葵「私、最近あなたの素顔を見てない気がしますわ」
櫻子「ふーん」シュコー
向日葵「……」
櫻子「……じゃあ私、ちょっと行くとこあるから」シュコー
向日葵「え? あ、そう……そうですか」
櫻子「うん。じゃーね」タタッ
向日葵「……」
ガラッ
櫻子「たっのもーう!」
京子「くせもの!!!」
櫻子「うええっ!?」
京子「って、なんだちっぱいちゃんか。おっすー」
櫻子「お、押忍」
京子「で、今日はまた何の御用? あかりもちなつちゃんもまだ来てないけど」
櫻子「えっ」
京子「えっ」
櫻子「えっ……えっ? あの、師匠?」
京子「うん?」
櫻子「え……っと、その。向日葵に告白させる作戦の続き……やんないんですか?」
京子「続……き……?」
櫻子「……もしかして、ないんですか? 続き」
京子「ないけど」ケロッ
櫻子「えええ……」
京子「流石の私も万策尽きたね。ひまっちゃんマジ難攻不落」
櫻子「いやいやいやそこをなんとか! 師匠だけが頼りなんですよー!」ワーン
京子「え~? 他に頼れる人とかいないの?」
櫻子「いません!」
京子「綾乃とか」
櫻子「杉浦先輩はチョロいからダメです!」
京子「なるほど」
櫻子「ねーお願いしますよー。今までみたいにズバッとナイスなアイディアを、アイディアを~」ウルウル
京子「そうだなぁ……」ウムム
櫻子「……」
京子「……、よし!」
櫻子「!」
京子「弟子よ!」
櫻子「お、押忍!」
京子「これがワシの師匠としての最後の教えじゃ!」
櫻子「押忍!!」
京子「歳納流極意……」
櫻子「……」ゴクリ
京子「自分から告れ!!!」
櫻子「押……うえええ!!?」
京子「以上!!!」ウムッ
櫻子「しかも短ぇ! ちょ、ちょっと師匠!」
京子「なに?」
櫻子「なにじゃないですよ! 私から告白したら死んじゃうんですってば!」
京子「死ねばいいと思うよ?」
櫻子「ひっどおおおおおおおお!?」
京子「ああゴメン、そういう意味じゃなくって」
櫻子「え?」
京子「死んでもやらなきゃいけないことがある……ってこと」
櫻子「!」
京子「または、どうせ死ぬなら前のめり、とも言う」ムフン
櫻子「師匠……」
京子「当たって砕けろの精神だよ。ひょっとしたらそれが思いがけない結果に繋がるかも知れないし」
櫻子「……」
京子「だーいじょうぶ。骨なら拾ってあげるから、ね?」ニカッ
櫻子「……、はい」コクッ
京子「うん。じゃあもう師弟ごっこはおしまいだね、ちっぱいちゃん」
櫻子「はい、歳納先輩」
京子「……よしっ、そんじゃ行ってこーい!」バシッ
櫻子「はいっ! 大室櫻子、行きまーっす!」バビューン
タッタッタッタッタッ...
京子「……」
ガラッ
結衣「京子ー」ヒョコッ
京子「おおっ、結衣にゃーん!」
結衣「遅くなってゴメン……ていうか、今そこで大室さんとすれ違ったんだけど、」
京子「結衣ーっ♪」ダキッ
結衣「うわっ!? ちょ、重いって、京子?」
京子「んー……」スリスリ
結衣「……なにかあった?」
京子「うん。ちょうつかれました」ゴロニャン
結衣「……そっか。お疲れ、京子」ナデナデ
京子「にゃー」ニャンニャン
……
…………
………………
櫻子「……」
キィー...
櫻子「!」
...パタン
向日葵「櫻子? こんな所に呼び出してどうし……相変わらずのホッケーマスクですのね」
櫻子「うん」シュコー
向日葵「はあ……別にいいですけど。それよりなんですの? 11月にもなって屋上とか、流石に寒いんですけど……」ブルルッ
櫻子「うん」シュコー
向日葵「……?」
櫻子「……」シュコー
向日葵「あの、櫻子……?」
櫻子「向日葵の下駄箱に手紙を入れたのは私です」
向日葵「………………、はい?」
櫻子「昨日、体育館裏に向日葵を呼び出したのは私です」
向日葵「なっ……あの怪文書、あなたの仕業でしたの!?」
櫻子「私の仕業です」
向日葵「さっきからなんで敬語……いえそれより、どういうつもりですの!? あなた、本当に楓になにもしてないでしょうね!?」
櫻子「元々楓は関係ありません。向日葵の勘違いです」
向日葵「え、ぁ、そ、そうでしたの……?」
櫻子「そうでした」
向日葵「そ、それはどうも……早とちりを……」
櫻子「お構いなく」
向日葵「……」
櫻子「……」
向日葵「……で? どうしてそんな奇行に走ったんですの?」
櫻子「……」
向日葵「ちょっと、そこで黙られても困りますわ。言い訳ぐらいしなさいな」
櫻子「……」
向日葵「……」
櫻子「……向日葵」
向日葵「な、なんです」
櫻子「私の、マスク。取って」
向日葵「はい……?」
櫻子「取って」
向日葵「なんで私が……自分でやんなさいな」
櫻子「取って!」
向日葵「!?」ビクッ
櫻子「……取って」
向日葵「……わかりましたわ」
向日葵「……」スッ
櫻子「っ」
向日葵「……なんであなたそんなにカタくなってますの」
櫻子「カタくなってなどいません」
向日葵「いつぞやの杉浦先輩のようですわよ」
櫻子「私はあんなにチョロくありません」
向日葵「なるほど」
櫻子「いいから、マスク。早く」
向日葵「はいはい……じゃ、外しますわよ」
櫻子「ん……」
ソッ...
向日葵「!」
櫻子「……」
向日葵「さ、櫻子……あなた……」
櫻子「~~~っ」カァァァ...
向日葵「どうしましたの、顔をそんなに赤くして……ま、まさか熱でも」
櫻子「熱とか、ないし」
向日葵「だったらどうして」
櫻子「向日葵が悪いんだもん」
向日葵「はい?」
櫻子「向日葵が悪い」
向日葵「わ、わけがわかりませんわ……あなたの赤ら顔と私になんの因果がありますの?」
櫻子「っ」カチン
櫻子「――」スゥー
櫻子「向日葵が悪いんだもん!!!」ガーッ
向日葵「!?」ビクッ
櫻子「向日葵が可愛いから悪いの!!」
向日葵「な、ぇ――なぁあっ!?」カァッ
櫻子「ホラまた可愛い! なんだその照れ顔、可愛すぎるっつーの!」
向日葵「な、あなた、なにを……!?」
櫻子「私が……私が向日葵に顔を見せなかったのは!」
櫻子「向日葵のこと考えるだけで顔が熱くなるから!」
櫻子「こんなの、恥ずかしくて見せられないに決まってんじゃん!」
向日葵「……っ」
櫻子「だから、歳納先輩に手伝ってもらって色々考えてたの!」
向日葵「ぁ……それでここ何日か……」
櫻子「……」コクリ
向日葵「ど、どうしてそんなことを……いったい、なんで……?」
櫻子「」ピクッ
櫻子「『どうして』……? そんなの、決まってんじゃん」
櫻子「――」スゥゥゥ
櫻子「向日葵のことが大好きだからだよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
……
…………
………………
京子「(そして、おっぱいちゃんとちっぱいちゃんは晴れてキャッポォウになった)」
京子「(綾乃や千歳、そして私たち娯楽部に祝福されるふたりはとても幸せそうで……)」
京子「(その幸せの手助けになれたと思うと、私もとても誇らしい)」
京子「(そんな騒動から1ヶ月)」
京子「(私は……)」
向日葵「ねぇ、さーちゃん///」イチャイチャ
櫻子「なーに、ひまちゃんっ///」イチャイチャ
向日葵「お願いがありますの。聞いてくれます?///」ベタベタ
櫻子「もっちろん! ひまちゃんのお願いならなんでも聞いたげるよっ///」ベタベタ
向日葵「ほんと? うれしいっ///」キャッキャッ
櫻子「わぷっ。もぉ……おっぱい無罪!///」キャッキャッ
向日葵「それでね、お願いですけど「……また、言ってくれます?///」キャッ
櫻子「え~……? ……いいよっ!///」キャッ
向日葵「ありがとうさーちゃん!///」ギュッ
櫻子「どういたしまして!///」ギュッ
向日葵「じゃあ、お願いしますわ///」ドキドキ
櫻子「うん、言うね? ……ひまちゃん、大好きだーーーーーーーーーーっ!///」
向日葵「やだもうっ、さーちゃんったら///」キャー
櫻子「えへへ、ひまちゃん大好き!///」キャー
京子「(手助けしたことを心から後悔していた)」
おしまい/// べ、別に最初から京子ちゃんを登場させる予定なんてカケラもなかったんだからねっ! 完全に暴走した結果なんだからねっ!///
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