中川「えっ!?先輩が地下に落とされたですって!?」(122)

部長「奴の借金がついに支払い不可能なところまでいってしまってな…今朝早く帝愛グループに連れていかれてしまったよ」


中川「そんな…どれくらい強制労働させられるんです?」


部長「さぁ…よく覚えとらんが一億万年とか言ってたか…とにかくわしらが生きてるうちはもう会えんだろうな」


麗子「両ちゃんかわいそう…」

地下


両津「ちくしょう 金を返さなかっただけなのにこんなところで働くハメになっちまった 一体わしらはなんの作業をしているんだ?」


前田「なんでもここはテニス場になるらしいですよ」


両津「なんと!地下に潜ってまでテニスをやろうとするとは…御大尽の考えることはワケがわからん…」


班長「こらそこ!何を喋っとるか!!」

両津「班長どの!私(わたくし)はこの労働体制に大いに疑問を持つのであります!!」


班長「なにぃ~?新入りのくせになにをぬかすか!」


前田「あわわ…両津さん…」


両津「私(わたくし)たちはこんなミミズや何やら判らぬ虫けらのように蠢くために生まれてきたわけではありません!そうでしょ」


班長「いいから働け!メシ抜きにするぞ!!」

両津「ちくしょう まったく聞く耳をもたん 地下の轟音で耳をやられちまったんじゃないのか」


前田「両津さん無茶しないで…班長に目をつけられたらおしまいですよ」


両津「あんな親父のなにを怖がっとるんだお前」


前田「あの班長は実は恐ろしい男なんですよ…この間もカイジって子がクレーンの下敷きになりなが砂糖に汚水をかけらて死にました」


両津「悲惨な話だ…」

前田「ここではなるべく上に目をつけられないように生きていくのが得策なんです…」


両津「大バカ者!!!」


前田「げっ!!」


両津「何故そんな理不尽に反発しようとしない!?何故ことなかれ主義で生きて行こうとするのだ!?お前はこんな地下に落とされてもまだ負け犬を続けるつもりか!!?」


前田「り…両津さん…!!」ボロボロ

両津「いいか前田…わしはあの班長を討ち取ろうと思う」


前田「両津さん、なにをやらかそうっていうんですか…?」

両津「なあに、一、二発私(わたくし)の鉄拳を…」


前田「駄目ですって!それこそ幹部クラスが出てきちゃいますよ!!」


両津「ならばギャンブルだ お前らなにか夜な夜な面白そうなことをしてたな」

前田「チンチロのことですか…?」

両津「なにチンチン…?お前らホモの集まりか」


前田「チンチロですよ!両津さん経験ないんですか?」


両津「わしはお馬ちゃん専門だからな」ワハハ


前田「まったく…じゃあダメですね」


両津「たわけ者!要はサイコロをふるだけだろう そんなことは小学生でも出来るわ!」


前田「そりゃふるだけなら出来るでしょうけど…」

両津「幸い今日は給料日だ わしらのMAXであの憎き班長にぶつかってやるぞ!!」ガッ


前田「だ…大丈夫かなあ…」



タコ部屋


班長「三好くん…石田くん…両津くん…」


両津「はいはいはいはいは~い!!!」

班長「へ…返事は一度でよろしい!」


両津「へっへっへ!金だ金だ!このために1ヶ月頑張ってきたからな…さあ諭吉ちゃんでておいで…」

両津「ん…?なんだこの小汚ないじいさんは…」


前田「両津さん…それはペリカですよ」

両津「日本円とは違うのか」


前田「日本円の1/10の価値しかありません」


両津「なんと!!」ガンッ


両津「班長~!あんまりじゃないですか!!1ヶ月身を粉にして働いて1/10とはあまりにひどいっ!!」

班長「知らん知らん!お前たちには1/10で十分だ!!」


両津「理不尽だ!横暴だ!もはや忍耐の限界っ!!わしはここを出たらこのことを世間に訴えかけてやるぞ!!」


班長「ききき…出られるものかっ…お前は生涯この地下の住人だっ…!!」


両津「出れる!あんたを今夜のチンポコで打ち負かし…」


前田「ちょっ…ちょっと両津さんっ…」

前田「なにペラペラしゃべってるんですか!秘密の計画じゃなかったんですか!?」


両津「あまりに悔しくてな… だって1日働いても牛丼も喰えんぞこれじゃあ」


両津「しかしあの班長いよいよ許されんな…今に見ておれよ…」


ミシッ


班長「いやぁ両津くん…」

両津「ぬっ!なんですか班長…私(わたくし)たちは古雑誌古新聞を読むのに忙しいんですが…」


前田「い…いやぁ古新聞は面白いなぁ…」


両津「なんとユーゴスバビアが崩壊!!これは大事件だ…」

班長「両津くん…わしは仲直りにきたんだよ…」

両津「えっ?」


前田「(班長の作戦です…のってはいけません…)」


班長「わしも反省したよ…ついつい両津くんに辛くあたってしまった…これはそのお詫びのビールだ…」


両津「ぬぉおお!!酒だ酒だ!!」


前田「り…両津さん…」

両津「いやぁ班長も話がわかる!わしも下町のバッカスと呼ばれたほどの酒好きでしてね!!」


班長「そうだろうそうだろう」


前田「両津さんあの…」


両津「前田!わしは班長を誤解していた この方は人間が出来てらっしゃる 神様のようなお人だ わしらが間違っていた」ポンッ


前田「は…はぁ…」

班長「さぁグイッとやりたまえ」


両津「それじゃ遠慮なく…」


両津「ぷはぁあああ!染みわたる!!人を殺しても手に入れたいこのうまさ」


前田「息をするように飲んでしまった…」

班長「ほおら、つまみもあるよっ…」


両津「ぬぉおおお!!それはビールくんの最高のお友達 焼き鳥ちゃんとポテチさんではないですか!!」


班長「ビールのお代わりはどうだいっ…」


両津「買う買う!買っちゃう!!わしの全財産で買ってしまうぞ!!前田、お前のもよこせっ!!」

前田「そ…そんなあ…」


両津「うるせぇ!!」ボカッ

両津「いやぁ!食った食った堪能したな」ゲフッ


前田「食った食ったじゃありませんよ!二人とも無一文になっちゃったじゃないですか!!」


両津「気にするな…次の給料日まで待てばよい…今は眠い…」ぐぉおおおお


前田「この人はなにを考えているんだ…?」

翌日


両津「ぬぉおおお!!私(わたくし)の給料がないっ!!前田大変だ!!金を盗られた!!」


前田「両津さんが散々豪遊したんじゃないですかっ…」


両津「そ…そうだったか?どうも昨日の記憶が…わし病気かも…」ゴホゴホッ


前田「まったく…給料をもらったことはしっかり覚えてるくせに…」

両津「大体ここは空気が悪すぎるぞっ!!こんなのでは本当に病気になってしまう!!」


前田「粉塵は肺に悪いですからね…」



バタッ


両津「ほら見ろ、また倒れた まるで小学校の朝会だ」


三好「くるしい…くるしい…」

両津「仕方ない、医務室まで運んでやろう」



医務室


三好「くるしい…くるしい…」


医者「その辺に捨ておけ」


両津「なんと!治療しないと死んでしまうぞ!!」


前田「両津さん…薬を買うにもペリカがいるんです…みんな働けないから買えないんですよ…」


両津「そういえばどいつも死にかけのタニシみたいな顔してるな…」


三好「くるしい…くるしい…」

ゴホッ…ゴホッ…


両津「あ!あいつは!!」


白鳥零士「げっ!!スーパー貧乏人!!」


前田「知り合いですか…?」


両津「金持ちのバカ息子でな…何度も両親に勘当されていたがまさかこんなところまで落ちているとは思わなかった…」

白鳥「ふっ…借金の方にこんなところで働かされて挙げ句にこのザマさ…笑いたければ笑えよ」


両津「悲惨な人生だなお前…」


白鳥「大体パパもママも僕の借金ぐらい返してくれればいいんだ…たかが1兆じゃないか…払えよ親ならっ…」ブツブツ


両津「大バカ者!!」


白鳥「ぎょえっ!!」

両津「貴様それでも男かっ!?たかだか1兆の借金ぐらい何故自分で返そうと思わんっ!?わしなど借金が莫大すぎて黒服が困っておったぞ!!」


前田「スケールがすごすぎる…」


両津「前田ゆくぞっ!!こんなフニャチン野郎など顔も見たくないっ!!」


前田「あっ!両津さん…」


白鳥「うぅ…うぅ…」

両津「しかしいよいよマズいことになったな…わしらも近いうちにあいつらの仲間入りというワケか」


前田「両津さんなら大丈夫なような気もしますが…」


両津「まぁね、わしの身体は鋼の肉体…」エッヘン


前田「鋼というより野性…ゴリラに近いような…」


両津「ほっとけ!!」

両津「とにかく次の給料だ!!次の給料で班長に打ち克ちこの地下から脱出をはかるぞ!!」


前田「両津さんならペリカでも借金しそう…」


両津「なんかお前反抗的だな…将来的にはわしを裏切るんじゃないか…?」ピクピクッ


前田「そ…そんなまさかっ!!!」

両さんはがんばった!!
酒の誘惑
班長の甘い言葉
全てをふりきり1ヶ月働きとおした
それは彼の人生ではじめてのことであったという…
そしてついにその日は来た!!



班長「り…両津くん…」


両津「はい」ぬっ


班長「ぎょええ!!なんだねその顔は!!」


両津「節制のしすぎで気がたってまして…お岩さんのようになってしまいました」

両津「わはは!金だ金だ!!ついに手に入れたぞ!!」


前田「今度は全部使ったりしないで下さいよ」


両津「当然だ!いやぁ苦労した分喜びもひとしお…」


ミシッ


班長「どうした両津くん…今日はやらないのか…?コレ…」

両津「それより班長!どうです?あっしとポコチン勝負しやせんか…」


班長「な…なにを言っとるんだねきみは…」


前田「チンチロ!チンチロ!」


班長「なんだっ…貴様わしと勝負したかったのかっ…ききき…なんと愚かなっ…」


両津「わしが勝ったら1日外出券をいただきますよ」

班長「くくく…外出券でもなんでもくれてやるっ…なんなら私の全財産でもかまわんっ…」


前田「完全になめられてますよ…」ヒソヒソ

両津「かえって好都合だ このタヌキを絶望のズンドコまで落としてやろう」


班長「破滅させてやるぞ両津っ…地下の地下までっ…!!」

広間


班長「さて両津くん…チンチロのルールは知ってるだろうね…」


両津「知らん かけらも分からん」


石和「な…なぜ下町育ちがチンチロを知らないんだ…?」


前田「大体この話はじめから無理があるんだ」


班長「ま…まぁいい…とにかくサイコロをふって出た目が強いほうが勝ちというルールだ…」


両津「ふむふむ、なるほど」

班長「ピンゾロが一番強いっ…!次いでゾロ目…456(しごろ)だ…」


両津「ふんふん…ピンゾロね…」


前田「両津さん…班長は456をよく出してきます…ここだけの話、イカサマしてるんじゃないかと…」ヒソヒソ


両津「たわけ者!サイコロにイカサマもクソもあるかっ!!こんなものは運だ!!」

班長「ではわしから参るぞっ!!うりゃあ!!」


456…っ


両津「ぬおっ!ホントに出しおった!!」


前田「だから言ったのに…まったくもう…」


班長「かかか…っ悪いな両津くん…これはもう私の勝ちかなっ…?」

両津「しかしなにか今サイコロの動きが不自然だったような…」


班長「ドキッ!!」

両津「もしかしてそのサイコロ456しか目がないんじゃ…」


班長「な…なにをぬかすかっ!?私は潔白だぞっ!!いいからキミもふりたまえ!!」ズイッ


両津「あわてるところがあやしい…」

前田「両津さん…もうゾロ目を出すしかありませんよ…」ヒソヒソ


両津「わかっておる この両さんに任せておきなさい」


両津「でりゃああああああ!!ぬぉおおおお!!!神よ!私(わたくし)に幸運を授けたまえ!!!!!」


班長「も…もっと静かにできんのかね…?」


両津「きぇえええええい!!!」

両津「ほんじゃらほいほい!!出でよっ!!ピンゾロっ!!」

チンチロリーン


石和「あっ!ションベンだっ!!」


両津「なんとっ!!」ズコッ

前田「な…なにをやってるんですか両津さんっ…!!」


両津「うぅむ…力みすぎたようだ…」


班長「ききき…やってしまったな両津くんっ…!!きみの負けっ…決定的大敗北だっ…!!」


班長「さぁ!連れていって下さい!敗者をっ!!」


両津「ぬぉお!!どこからともなく黒服が現れたぞ!!」

両津「ひぇええ!連れていかれるっ!!誰かわしを助けろーっ!!」


前田「なんでボクまでっ…ボクは無関係だぁ!全部このゴリラのせいだあ!!」

両津「前田!てめぇ!!」


班長「かっかっかっか…」パニパニ



!!


両津「か…金が舞ってる…?」

???「班長…あなたはひどい人だ…」

???「あなたはその地獄チンチロで奪ってきた…金を…無慈悲にっ…」


白鳥「許される話じゃない」


両津「し…白鳥っ!!」


白鳥「勝てっ…貧乏人っ…!!勝って吐き出させろ!!その汚れた金っ…!!悪魔の収奪金をっ…!!」

両津「でかしたぞ白鳥っ!!どうしたんだこのペリカっ!?」


白鳥「カラーコピーしたものだ」


前田「それって犯罪じゃ…」


班長「ぐ…ぐぅううっ…終わったはずだろっ…こんなことっ…」


両津「終わりではないっ!!喰らえ班長っ!!これが報いだっ!!!」


でぇえええええい!!!


ピンゾロッ…!!

班長「ぎょええええええ!!!」ぐにゃああああ


石和「な…なんと強引で無茶苦茶な展開だ…」


両津「やったあ!わしらの勝ちだ!!」

前田「ていうか金持ちっ…!ぼくら金持ちっ…!」


白鳥「うぉおおおお!!!」

班長がチンチロで蓄えていた金はなんと一千億万円を越えていたっ…!!
両さんたちはその金で借金を全額返済
晴れて自由の身となった
班長は地下の地下まで落とされて死んだ


両津「いやぁ!やはり外の空気はうまい!最高だね」


前田「両津さんみて下さい!焼き肉屋がありますよ!!」


両津「ぬぉおおお!うまそう!!さっそく食べにいこう!!」


白鳥「ここはボクが奢ろう」


両津「なんとキップのいい男だ!素晴らしい人物だ!私(わたくし)ははじめからそう思っていたよ、うん」

派出所


テレビ「次のニュースです 本日未明、都内の焼肉屋に三人組が侵入し散々酒を飲んで暴れるという事件が起こりました 調べによると首謀者はリョーツカンキチと名乗っており「おれたちは放たれた…未来へ…開かれた明日へ」などと意味不明な供述を…」


部長「な…なにをやっとるんだアイツは…」ピクピクッ


中川「人間として堕ちてしまうとは…」



おわり

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